売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04462 Japan GAAP

売上高

5,664.4億 円

前期

5,356.4億 円

前期比

105.8%

時価総額

4,370.1億 円

株価

1,866 (07/16)

発行済株式数

234,194,500

EPS(実績)

158.34 円

PER(実績)

11.78 倍

平均給与

1,621.0万 円

前期

1,580.0万 円

前期比

102.6%

平均年齢(勤続年数)

50.3歳(19.2年)

従業員数

45人(連結:6,787人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、㈱フジ・メディア・ホールディングス(当社)を認定放送持株会社として、子会社89社と関連会社50社で構成され、主として放送法に定める基幹放送や、配信、放送番組・映画・アニメ・イベント等の制作、映像・音楽ソフトの販売、音楽出版、広告、通信販売等のメディア・コンテンツ事業、ビル賃貸・不動産取引・ホテルリゾート運営等の都市開発・観光事業などを営んでおります。

なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

各セグメントに属する主要な会社及び事業系統図は、次の通りであります。

セグメント及び主な事業内容

主要な会社

◇メディア・コンテンツ事業

 

 ・テレビ放送

 ㈱フジテレビジョン

 

 ㈱仙台放送

 

 ㈱ビーエスフジ

 

※関西テレビ放送㈱

 

※㈱スペースシャワーネットワーク

 

※日本映画放送㈱

 

※㈱WOWOW

・ラジオ放送

 ㈱ニッポン放送

 ・放送番組の制作等

 ㈱共同テレビジョン

 

 ㈱フジアール

 

 ㈱フジクリエイティブコーポレーション

 ・映像・音楽ソフトの販売等

 ㈱ポニーキャニオン

 ・音楽出版等

 ㈱フジパシフィックミュージック

 ・通信販売

 ㈱DINOS CORPORATION

 ・広告

 ㈱クオラス

 ・雑誌書籍の出版

 ㈱扶桑社

 ・新聞発行

※㈱産業経済新聞社

◇都市開発・観光事業

 

 ・ビル賃貸・不動産取引

㈱サンケイビル

 ・イベント・内装、ビルマネジメント等

 ㈱サンケイビルテクノ

 

 ㈱サンケイビルマネジメント

 

 ㈱サンケイビルウェルケア

 ・ホテルリゾート運営

 ㈱グランビスタホテル&リゾート

◇その他事業

 

 ・動産リース・商品販売等

 ㈱ニッポン放送プロジェクト

 ・ソフトウェア開発

 ㈱フジミック

 ・レストラン・売店

※㈱フジランド

 ・その他

※伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱

 

(注)1.※印は持分法適用関連会社であります。

   2.㈱スペースシャワーネットワークは、2024年4月1日を効力発生日とした株式交換及び吸収分割を実施し、同日付で社名をスペースシャワーSKIYAKIホールディングス㈱に変更しております。

 

 

 

※画像省略しています。

(注) 上図は主要な連結子会社及び持分法適用関連会社について記載しております。

 

24/06/26

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の概況)

府の月例経済報告によると、当連結会計年度の日本経済は「先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。」と記されており、企業の業況判断は「改善している」とされております。

当社グループにおいても、原材料価格の高騰に伴う物価上昇や巣ごもり需要からリアル消費へのシフトなどの影響もありましたが、2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に引き下げになり、社会経済活動の正常化に伴うイベントの再開、旅行・観光需要が大きく回復した他、ホテルやオフィスビルなどの賃貸物件の稼働が好調に推移したことなどが寄与し、業績を改善することができました。

こうした状況の中、当社グループの当連結会計年度の売上高は、メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業がともに増収となり、全体では前年同期比5.8%増収566,443百万円となりました。

営業利益は、メディア・コンテンツ事業は減益となりましたが、都市開発・観光事業の増益により、前年同期比6.7%増益33,519百万円となりました。経常利益は、持分法による投資利益の減少もありましたが、前年同期比0.3%増益39,173百万円親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に計上した投資有価証券売却益が増加した一方で、前連結会計年度に計上した退職給付信託設定益の反動減や特別損失に計上した固定資産除却損の増加などにより、前年同期比20.9%減益37,082百万円となりました。

 

報告セグメントの業績の状況は以下の通りであります。

 

 

売 上 高

セグメント利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

(百万円)

(百万円)

(%)

(百万円)

(百万円)

(%)

メディア・

コンテンツ事業

420,836

433,663

3.0

17,484

15,706

△10.2

都市開発・観光事業

108,841

128,316

17.9

15,070

19,537

29.6

その他事業

20,394

19,818

△2.8

931

944

1.3

調整額

△14,430

△15,355

△2,086

△2,667

合  計

535,641

566,443

5.8

31,401

33,519

6.7

 

 

(メディア・コンテンツ事業)

当社グループの中核子会社である㈱フジテレビジョンは、配信広告収入の拡大と、催物事業やデジタル事業などコンテンツ・ビジネスの貢献により売上高は増収となりましたが、視聴率の低下等を背景にテレビ広告収入が減収となり、全体では増収で営業減益となりました。

売上高のうち放送・メディア収入は、183,490百万円で前年同期比5.6%の減収となりました。

全国放送を対象とするネットタイムセールスは、レギュラー番組が前年を下回り、単発番組においても「FIVB ワールドカップバレー パリ五輪予選2023」や「FNS27時間テレビ」があったものの、前期の「FIFAワールドカップ カタール2022」や「東アジアE-1サッカー選手権2022」などの規模には及ばず減収となりました。その結果、ネットタイムセールスの売上高は63,551百万円で前年同期比8.2%の減収となりました。

関東地区への放送を対象とするローカルタイムセールスは、10,135百万円で前年同期比4.6%の減収となりました。

スポットセールスは、視聴率の低下や原材料価格の高騰および円安等を背景とした物価上昇の影響により、業種別で前年を上回ったものは19業種のうち「交通・レジャー・観光」「アルコール飲料」「不動産・住宅設備」の3業種に留まりました。その結果、スポットセールスの売上高は73,662百万円で前年同期比8.5%の減収となりました。

一方、民放公式テレビポータル「TVer」などを通じた配信広告セールスは、10月クール木曜劇場「いちばんすきな花」や10月改編で新設した金9「うちの弁護士は手がかかる」などの連続ドラマ再生回数が牽引して、大きな伸びとなり、配信広告収入は7,866百万円で前年同期比61.6%の増収となりました。

コンテンツ・ビジネス収入では、シルク・ドゥ・ソレイユの大型作品「アレグリア-新たなる光-」や、4年ぶりに開催され230万人以上にご来場いただいた「お台場冒険王2023」など各種イベントが貢献した催物事業収入、新旧ドラマ配信をはじめ各種キャンペーンにより会員数が大きく伸長した動画配信サービス「FODプレミアム」を中心としたデジタル事業収入などが前年を上回りました。「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」、「ミステリと言う勿れ」、「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」など劇場公開作品のヒットが相次いだ映画事業収入は、「ONE PIECE FILM RED」が大きく貢献した前期に比べ減収でしたが、過去作品の配信権販売収入や「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の宣伝協力収入などが寄与しました。その結果、コンテンツ・ビジネス収入は54,728百万円で前年同期比26.9%の増収となりました。

以上により、㈱フジテレビジョン全体の売上高は、前年同期比0.3%増収238,219百万円となりましたが、営業利益は前年同期比29.2%減益5,433百万円となりました。

㈱ビーエスフジは、放送事業収入、その他事業収入ともに堅調に推移し、増収増益となりました。

㈱ニッポン放送は、スポット収入の増加などが寄与し放送事業が増収、イベント事業や物品販売事業も好調で、増収増益となりました。

㈱ポニーキャニオンは、配信、アニメの海外番組販売、イベント収入、グッズ売上等が寄与し、増収増益となりました。

㈱フジパシフィックミュージックは、著作権使用料収入や原版使用料収入等が好調に推移し、増収増益となりました。

㈱DINOS CORPORATIONは、ファッション・食品の売上が好調に推移しましたが、リビング系やテレビ媒体を中心とした美容健康カテゴリーが振るわず、全体として減収となりました。また、利益面では減収による影響を販促費のコントロール等のコスト削減でカバーしきれず、営業損失を計上しました。

㈱クオラスは、テレビ等の主力広告媒体の売上高が増加したほか、イベント関連収入の好調が続き、増収増益となりました。

以上の結果、メディア・コンテンツ事業全体の売上高は、前年同期比3.0%増収433,663百万円となり、セグメント利益は同10.2%減益15,706百万円となりました。

 

中核子会社である㈱フジテレビジョンの経営成績等の推移は以下の通りです。

 ㈱フジテレビジョン                      (単位:百万円、%表示は対前年同期増減率)

 

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

238,240

9.5%

237,400

△0.4%

238,219

0.3%

 放送収入

171,692

10.3%

160,381

△6.6%

147,348

△8.1%

  ネットタイム

71,803

5.7%

69,253

△3.6%

63,551

△8.2%

 ローカルタイム

11,073

△4.4%

10,621

△4.1%

10,135

△4.6%

 スポット

88,814

16.6%

80,506

△9.4%

73,662

△8.5%

営業利益

11,280

122.4%

7,677

△31.9%

5,433

△29.2%

 

 

(都市開発・観光事業)

㈱サンケイビルは、オフィス、ホテル、住宅の賃料収入が好調に推移したことや保有物件の売却が寄与し、増収増益となりました。

㈱グランビスタホテル&リゾートは、旅行需要の本格的な回復を受け、札幌グランドホテル、札幌パークホテルをはじめとした運営ホテルの稼働が好調に推移しました。また鴨川シーワールドも堅調で、増収増益となりました。

以上の結果、都市開発・観光事業全体の売上高は、前年同期比17.9%増収128,316百万円となり、セグメント利益は同29.6%増益19,537百万円となりました。

 

(その他事業)

その他事業全体の売上高は前年同期比2.8%減収19,818百万円、セグメント利益は同1.3%増益944百万円となりました。

 

持分法適用会社では、伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱、日本映画放送㈱、㈱WOWOWなどが持分法による投資利益に貢献しました。

 

(財政状態の概況)

当期末の総資産は1,448,833百万円となり、前期末比66,186百万円4.8%)増加しました。

流動資産は404,938百万円で、前期末比9,859百万円2.4%)減少しました。これは主に、有価証券が21,416百万円、棚卸資産が1,116百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が33,592百万円減少したこと等によります。

固定資産は1,043,894百万円で、前期末比76,045百万円(7.9%)増加しました。これは主に、土地が49,378百万円、退職給付に係る資産が9,397百万円、建設仮勘定が8,543百万円、建物及び構築物が7,501百万円それぞれ増加したこと等によります。

負債は579,204百万円で、前期末比45,327百万円8.5%)増加しました。

流動負債は152,437百万円で、前期末比22,460百万円(12.8%)減少しました。これは主に、短期借入金が15,024百万円、「その他」に含まれる一年内償還予定の社債が10,000百万円それぞれ減少したこと等によります。

固定負債は426,766百万円で、前期末比67,787百万円(18.9%)増加しました。これは主に、長期借入金が53,252百万円、社債が20,000百万円それぞれ増加したこと等によります。

純資産は869,628百万円で、前期末比20,858百万円(2.5%)増加しました。これは、剰余金の配当により利益剰余金が12,089百万円減少し、自己株式の取得等により自己株式が9,999百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益37,082百万円を計上したこと等によります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当期における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、47,801百万円の収入となり、前期比13,977百万円22.6%)の収入減少となりました。これは、退職給付に係る負債の増減額が11,817百万円の支出減少となった一方で、税金等調整前当期純利益が10,340百万円減少し、法人税等の支払額が7,040百万円増加、仕入債務の増減額が4,253百万円の収入減少となったこと等によります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、106,535百万円の支出となり、前期比73,765百万円225.1%)の支出増加となりました。これは、有価証券の売却及び償還による収入が37,183百万円減少し、有形固定資産の取得による支出が48,093百万円増加したこと等によります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の5,269百万円の支出から当期は25,240百万円の収入となり、前期比30,509百万円の収入増加となりました。これは、長期借入金の返済による支出が12,094百万円、自己株式の取得による支出が10,000百万円、社債の償還による支出が10,000百万円それぞれ増加した一方で、長期借入れによる収入が48,600百万円、社債の発行による収入が19,911百万円それぞれ増加したこと等によります。

上記の他、合併に伴う現金及び現金同等物の増加額931百万円を加味した結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、98,982百万円となり、前期末に比べ31,173百万円24.0%)の減少となりました。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

自己資本比率(%)

58.6

57.9

59.7

60.6

59.2

時価ベースの自己資本比率(%)

19.9

22.6

19.5

19.2

29.6

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

14.7

6.3

5.1

4.5

6.8

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

14.4

33.5

35.8

43.8

27.3

 

(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※  株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※  キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※  有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

該当事項はありません。

(b) 受注実績

該当事項はありません。

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

メディア・コンテンツ事業

433,663

3.0

都市開発・観光事業

128,316

17.9

その他事業

19,818

△2.8

調整額

△15,355

-  

566,443

5.8

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱電通

85,781

16.0

77,466

13.7

㈱博報堂DYメディアパートナーズ

51,241

9.6

50,789

9.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。当連結会計年度においてはメディア・コンテンツ事業の各社で配信やコンテンツ・ビジネスが拡大し、収益構造が多角化するとともに、都市開発・観光事業では国内、及びインバウンドの旅行・観光需要が大きく回復したことに加え、ホテルやオフィスビルなどの賃貸事業が好調で、営業利益は連結全体で、前年同期比6.7%増益の33,519百万円となりました。

計画対比では、メディア・コンテンツ事業は、配信やコンテンツ・ビジネスが好調の一方、テレビ広告収入の減少や通販事業の伸び悩みがあり、営業利益は期初の目標を下回りました。一方で、都市開発・観光事業は㈱グランビスタホテル&リゾートが旅行需要の本格的な回復を受け、運営ホテルの稼働が好調に推移したほか、㈱サンケイビルにおけるオフィス、ホテル、住宅の賃料収入も好調に推移したことで営業利益は期初の目標を大きく上回り、連結営業利益は目標の320億円を上回る結果となりました。

生活スタイルの変化から視聴者・顧客のニーズが細分化する中、当社グループは、昨年5月に公表した中期グループビジョンのもと、多様なコンテンツやサービス、商品、体験等を、様々なメディアや販路を通じて提供することで持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

また中期グループビジョンにおいて、政策保有株式を投下資本(純資産及び有利子負債の合計)の20%未満とすることを目標として掲げておりましたが、2023年度に約185億円の株式を売却し、投下資本に対する比率は18.1%まで低下しました。2030年度までに政策保有株式を純資産の20%未満とすることを目標とし、引き続き、保有資産の見直しによるキャッシュの創出と成長投資によって利益の拡大を図って参ります。

 

  (セグメント区分別の分析)

(メディア・コンテンツ事業)

メディア・コンテンツ事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

メディア・コンテンツ事業は、中核子会社㈱フジテレビジョンが「TVer」などの広告付き無料配信(AVOD)で再生数・UB(ユニークブラウザ)数・総視聴時間の「3冠」を2年連続で獲得し、配信広告収入が飛躍的に拡大したほか、大型イベントの開催により催物事業収入も大幅に伸長しました。さらに、会員数が引き続き増加基調となっている有料配信サービス「FOD」の事業収入や、ライツ事業収入なども売上高に貢献しました。グループ各社では、広告収入を伸ばした㈱ビーエスフジや、音楽配信の伸びにより著作権使用料収入などが好調に推移し過去最高の売上高・営業利益となった㈱フジパシフィックミュージックなどが大きく寄与し、セグメント全体で増収となりました。

引き続き、テレビの視聴率及びコンテンツ価値の向上に注力し、地上波テレビ広告やBS放送の広告媒体としての価値向上を図ってまいります。グループ各社が有する企画力や制作力を競争力のある経営資源ととらえ、ヒットコンテンツを生み出す環境づくりに努めるほか、知的財産権(IP)の開発・取得などを進め、コンテンツ・ビジネス強化のための投資を拡大する方針です。さらには配信関連ビジネスの一層の成長を目指すのに加え、新規事業領域の開拓や海外展開などを拡大し、「コンテンツの力で稼ぐ」事業構造をさらに強固なものにしてまいります。

 

(都市開発・観光事業)

都市開発・観光事業の経営成績等の状況に関する認識については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

㈱サンケイビルでは保有物件の売却ほか、多様なアセットの販売・売却、並びに賃貸収入の増加が寄与し増収となり、営業利益は過去最高となりました。㈱グランビスタホテル&リゾートにおいては、旅行需要の本格的な回復を受け、主力のホテル事業を中心に大きく業績を伸ばしたほか、鴨川シーワールドも引き続き堅調に推移したことで売上高は2015年4月の連結子会社化以降過去最高となりました。

都市開発・観光事業は、一定の財務規律の中で資産の規模を拡大し成長を図ってまいります。今後も需要の変化に応じて物流施設やデータセンターなど開発する資産の幅を拡充するとともに、大規模な開発案件の発掘を進めてまいります。観光事業では、2024年6月に開業した「神戸須磨シーワールド・神戸須磨シーワールドホテル」による収益拡大に加え、旺盛な国内及びインバウンド需要を取り込み、高い成長を目指します。観光事業は、引き続き高い伸びが期待できる成長産業と位置付け、リスクとのバランスを見極めながら投資を行ってまいります。

 

(その他事業)

その他事業の経営成績等の状況に関する認識等については、(1)経営成績等の状況の概要に記載の通りです。

 

② 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、グループ各社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すため、健全な財務体質と資本効率の向上を両立させながら、成長分野への投資を推進し、株主還元の充実を図っていくことを財務戦略の基本方針としています。

メディア・コンテンツ事業の中核をなす㈱フジテレビジョンは、大規模災害や疾病等の事業上のリスクにより大幅な収入減が長期間生じた際にも、社会的なインフラとして放送を継続する役割を担っており、それを可能とする強固な財務体質と十分な手元流動性を確保しております。併せて都市開発・観光事業では、行動制限の解除や入国規制の緩和などにより国内旅行やインバウンド需要が回復しており、REITを含めた戦略投資や観光需要回復に向けた成長投資への資金確保が必要になると考えております。

自己資本比率、有利子負債残高、ROE等の指標を注視して、一定の財務健全性を確保しながら資本効率を高め、グループ全体の企業価値向上に努めてまいります。

(資金需要の内容)

当社グループの資金需要は、営業活動に関わる支出として、放映権の取得費用、番組制作のための人件費、外注費、著作権等の使用料、通信販売商品の仕入、新規不動産の取得ならびに開発費、既存ビルの設備改修ほか、販売費及び一般管理費(代理店手数料、宣伝広告費、人件費等)があります。

また投資活動に関わる支出として、コンテンツ制作力の増強を図るための放送用設備・機器等の設備投資、メディア戦略強化のための投資資金、グループの資本政策に伴う株式の取得資金等があります。

(資金調達)

当社グループの事業活動を維持し拡大していくためには資金の安定的な確保が求められますが、そのために内部資金を中心に外部資金も有効に活用しております。機動的な投資を可能にするために従前より50,000百万円の社債発行登録枠を確保しておりましたが、2023年12月に20,000百万円の社債を発行し、長期安定資金を調達しました。残枠の30,000百万円につきましても今後の資金調達に活用して参ります。

都市開発・観光事業では建物及び土地の調達にあたり、一定の財務規律の下、金融機関からの借入を活用しています。また、環境問題への取り組みとして、借入条件がCARBON HALF(2030年度までにScope1・2のCO2総排出量50%削減(2013年度比))中間目標の達成状況と連動したサステナビリティ・リンク・ローンによる借入を実行しております。

併せて安定的な外部資金調達を図るために、格付投資情報センターより格付を取得しており、本報告書提出時点でシングルAプラス(安定的)となっております。当社グループは強固な財務体質を有しており、さらに営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力が高いことから、当社グループの成長を維持するための運転資金、設備投資及び投融資に要する資金を調達することは可能と認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループにおいて、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えている会計上の見積りに係る項目は、以下の通りであります。

なお、会計上の見積りに係る項目のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響に重要性があると判断している都市開発・観光事業における棚卸資産評価損につきましては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に算出方法や主要な仮定等の詳細を記載しております。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、課税主体ごとに将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性がないと判断した部分については評価性引当額を計上しております。将来の課税所得の見積りは、当連結会計年度末時点で予測可能な合理的な将来課税所得見込額とタックスプランニングに基づいておりますが、今後の業績の変動により見積りと実績が乖離する可能性があります。この場合、繰延税金資産の取崩等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。

(退職給付に係る資産及び負債)

当社及び一部の連結子会社では確定給付型の退職金制度を採用しており、退職給付債務算定において原則法を採用しています。退職給付債務算定における数理計算は、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率などの計算基礎に基づいており、割引率は安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。また、年金資産の長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。これらの前提条件の見積りと実績の差異は、数理計算上の差異として計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。