E04997 Japan GAAP
前期
309.3億 円
前期比
114.0%
株価
1,179 (05/02)
発行済株式数
50,227,200
EPS(実績)
49.58 円
PER(実績)
23.78 倍
前期
631.2万 円
前期比
96.8%
平均年齢(勤続年数)
36.6歳(11.4年)
従業員数
1,772人(連結:1,972人)
当社の企業集団は、当社、国内連結子会社2社及び国内非連結子会社1社の4社で構成されております。主な事業の内容は、次のとおりです。
企業集団の系統図は、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以 下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和され、感染拡大防止と社会経済活動の両立が進み、回復基調が続くものの、円安・金融資本市場の変動、世界的なインフレの進行等が、個人消費や経済活動に大きな影響を与え、未だ不透明な状況が続いております。
情報サービス産業においては、事業の強化や変革を推進するデジタルトランスフォーメーション(以下DX)関連の需要は旺盛な状況が継続しております。
このような環境の中で、当社グループは2022年4月から2025年3月における中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」を策定しております。当中期経営計画では、市場や社会の潜在ニーズを捉えた付加価値の高いITサービスを提供していく基本コンセプトを前中期経営計画から継続しており、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型のシステムインテグレーション(以下SI)事業へと進化することをビジョンに掲げております。
このビジョンを実現するために、当社グループは三つの基本戦略を定めております。
一つ目の「高付加価値SIサービスの追求」では、顧客のDX推進に対して、最新の要素技術を活用して顧客の価値創造ニーズに応えるサービス事業を推進しております。二つ目の「SIモデル変革の推進」では、高付加価値SIサービスを実現するための基盤づくりや、高生産性と高品質を両立したSIプロセスの整備などをイノベーション的アプローチで実現し、他社との差別化を図る施策を推進しております。三つ目の「事業領域の拡大」では、多様な顧客のITニーズに対応するサービス・製品等の販売事業や、顧客のデジタル変革を戦略策定からサポートするコンサルティング事業、開発からスタートして運用・保守まで集約したマネージドサービスの提供等への事業領域拡大へ向けた施策を推進しております。
当期は、中期経営計画『Shift to the Smart SI Plus』に基づく取り組みを推進し、外部環境変化への柔軟な対応や、推進上の諸課題に確実に対応・改善を図ることを方針としてまいりました。主な取り組みは以下のとおりです。
1) 基本戦略「高付加価値SIサービスの追求」に関する取り組み
当社は、顧客の価値創造ニーズに応える高付加価値SIサービスを拡大するために、今後の社会やビジネスに大きなインパクトをもたらすテクノロジーを注力分野として見定め、人材育成や事業開発を積極的に行なってまいりました。特に、2020年3月期より重点戦略分野として定めているアジャイル関連事業、セキュリティ関連事業などが順調に拡大し、2023年3月期においては、当該事業の売上高は前年同期比60.1%増の8,630百万円、連結売上高構成比は前年同期から7.1ポイント増加し、24.5%を占めるまでに成長いたしました。
2) 基本戦略「SIモデル変革の推進」に関する取り組み
当期は、アジャイル関連事業やセキュリティ関連事業を始めとした高付加価値SIサービス領域においてエコシステム構築に向けたアライアンス契約締結先との協業推進に注力いたしました。
また、当社の提供サービスのさらなる品質向上や、開発プロジェクトにおける品質担保プロセスの効率化を図るためプロジェクトパフォーマンス評価システムの構築を推進する等、より高度な先端技術を活用したSIプロセスの効率化に向けた施策を推進しております。
3) 事業領域の拡大
当期は、事業領域拡大のためのケイパビリティの獲得に向けた活動を推進いたしました。具体的にはマーケティング機能やプロダクトセールス機能の拡充によるサービス製品販売事業拡大や、ノウハウのアセット化やこれを用いた要員育成などコンサルティング事業拡大に向けた取り組みを推進いたしました。また、SI事業においても、維持・保守領域におけるマネージドサービスの提供等ビジネスボリューム拡大に向けた取り組みを推進しております。
4) 将来に向けた積極的な投資
当期は、期初から堅調な事業運営状況を鑑み、将来の更なる事業拡大に向けた投資活動をより積極的に実施しております。具体的には、社員がより意欲的に仕事に取り組める組織風土や働き方の仕組みなどの環境づくりを行うためのワークプレイス戦略への投資、人材確保やエンゲージメント向上に向けたブランディング戦略の推進、採用体制拡充、エデュケーション施策の強化、人事制度再構築等に向けた取り組み等の投資を推進しております。
これらの取り組みを推進した結果、当連結会計年度の業績は、売上高は35,242百万円(前年同期比14.0%増)、営業利益は3,458百万円(前年同期比16.6%増)、経常利益は3,714百万円(前年同期比20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,490百万円(前年同期比20.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して307百万円増加し、12,010百万円(前期は11,702百万円)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権及び契約資産の増加額814百万円、法人税等の支払い1,153百万円などがありましたが、税金等調整前当期純利益3,714百万円などがあり、営業活動によるキャッシュ・フローは1,951百万円(前期は2,174百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の売却による収入93百万円などがありましたが、差入保証金の差入による支出515百万円などがあり、投資活動によるキャッシュ・フローは△354百万円(前期は△2百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払1,097百万円、自己株式の取得による支出304百万円などがあり、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,440百万円(前期は△547百万円)となりました。
③ 生産実績、受注及び販売実績
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループは、開発から運用・管理までの一貫したシステム開発サービス及びシステム製品の販売等を一体とするシステム開発事業を営んでおり、当社グループにおけるセグメントは、「システム開発」のみの単一セグメントであります。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
・売上高(分野別)
<ITコンサルティング&サービス>
ITコンサルティング&サービスはお客さまのDX推進に向けたIT戦略やシステム化構想の立案、技術コンサルティング、最新の技術や開発手法の教育サービスの提供や、自社開発のクラウドアプリケーションサービスの提供、BI(注1)/DWH(注2)、ERP(注3)/CRM(注4)等のソリューションサービスの提供を行っております。当期は、ITサービス管理、クラウドマネージドサービス関連のSaaS(注5)ソリューションサービス案件が堅調に推移し、売上高は前年同期比47.9%増収の5,733百万円となりました。
<金融ITソリューション>
金融ITソリューションは、金融業向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションの提供を行っております。当期はクレジット、保険関連のシステム開発案件等が堅調に推移し、売上高は前年同期比10.5%増収の15,900百万円となりました。
<公共法人ITソリューション>
公共法人ITソリューションは、流通業、製造業、サービス業や公共向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションの提供を行っております。当期は、運輸業、鉄鋼業向けの開発案件等が堅調に推移しており、売上高は前年同期比8.1%増収の9,511百万円となりました。
<プラットフォームソリューション>
プラットフォームソリューションは、ITインフラの環境設計、構築、運用支援、ネットワーク製品開発、ネットワークインテグレーション等の提供を行っております。当期は、クラウド関連のインフラ構築案件が堅調に推移し、売上高は前年同期比6.2%増収の4,098百万円となりました。
(単位:百万円)
(注)1 BI :Business Intelligenceの略。社内の情報を分析し、経営に活かす手法。
2 DWH:Data Ware Houseの略。データ分析や意思決定のために、基幹系など複数システムから必要なデータを収集し、目的別に再構成して時系列に蓄積した統合データベースのこと。
3 ERP:Enterprise Resources Planningの略。基幹系情報システムのこと。
4 CRM:Customer Relationship Managementの略。顧客管理システムのこと。
5 SaaS:Software as a Serviceの略。サーバで稼働するソフトウェアをサービスとして提供する形態のこと。
・売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度と比較し1,055百万円増加し、7,479百万円となりました。
・営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度と比較し491百万円増加し、3,458百万円となりました。
・経常利益及び税金等調整前当期純利益
当連結会計年度における経常利益及び税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度と比較し632百万円増加し、3,714百万円となりました。
・親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較し421百万円増加し、2,490百万円となりました。
財政状態の分析
・流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比較して1,459百万円増加し、18,827百万円となりました。その主な増減要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が889百万円、現金及び預金が307百万円増加したことによります。
・固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比較して239百万円増加し、3,943百万円となりました。その主な増減要因は、非連結子会社1社を連結子会社化したことによる関係会社株式が300百万円減少及びのれんが69百万円増加、その他、差入保証金が311百万円、投資有価証券が64百万円増加したことによります。
・流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比較して504百万円増加し、6,045百万円となりました。その主な増減要因は、買掛金が248百万円、未払費用が156百万円、未払法人税等が140百万円増加したことによります。
・固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比較して39百万円増加し、316百万円となりました。その主な増減要因は、退職給付に係る負債が38百万円増加したことによります。
・純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して1,154百万円増加し、16,409百万円となりました。その主な増減要因は、自己株式が299百万円増加したものの、利益剰余金が1,384百万円増加したことによります。
当社グループが重視している経営指標の売上高、営業利益、株主資本利益率の推移は次の通りです。
・株主資本利益率
株主資本の効率的運用による投資効率の高い経営を図るため、株主資本利益率を重視する経営指標としております。
当連結会計年度における株主資本利益率は、前連結会計年度に比べ1.5ポイント増加し17.0%となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
なお、自己資本比率、時価ベースの自己資本比率、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、次のとおりです。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
* 連結ベースの財務数値により計算しております。
* 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
* 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、人件費、外注費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、状況に応じて金融機関からの借入等による資金調達で対応していくこととしております。
なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動によるキャッシュ・フローの水準については、当面事業を継続していく上で十分な流動性を確保しているものと考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産及び負債の報告数値及び当連結会計年度における収益及び費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、当社グループの事業計画の進捗状況等の情報に基づき検討し、同感染症による当社収益における通期への影響は限定的であると仮定して当連結会計年度(2023年3月期)の会計上の見積りを行っております。
・繰延税金資産の回収可能性
当社グループの連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込額に基づき算出されておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。
・受注損失引当金
請負契約プロジェクトの特性に応じて個別に判断を行う必要があることから不確実性があり、実際に発生する製造原価が見積りと異なった場合に翌連結会計年度に係る連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・一定期間にわたり履行義務が充足される契約に関する収益の認識
一定期間にわたり履行義務が充足される契約については、期末日における見積総原価に対する累積実際発生原価の割合に応じた金額で履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する方法にて計上しております。
総原価の見積りはプロジェクトの進行に応じて適時、適切に見直しを行いますが、契約毎に個別性が高く、顧客からの要請の高度化・複雑化や開発段階でのシステム要件の変更、納期の変更等により、プロジェクトの総原価の見積りが変動する可能性があります。また、これらの見積りは不確実性が含まれているため、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。