売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E05107 Japan GAAP

売上高

148.6億 円

前期

127.0億 円

前期比

117.0%

時価総額

270.3億 円

株価

1,720 (07/12)

発行済株式数

15,714,400

EPS(実績)

102.40 円

PER(実績)

16.80 倍

平均給与

836.6万 円

前期

825.2万 円

前期比

101.4%

平均年齢(勤続年数)

38.0歳(6.8年)

従業員数

730人(連結:834人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は当社(株式会社エフアンドエム)、子会社1社により構成されております。

 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

 なお、次の5部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

アカウンティングサービス事業………個人事業主及び小規模企業に対する経理代行を中心とした会計サービス

コンサルティング事業…………………中堅中小企業の総務経理部門に対する各種情報提供サービス

ISO及びプライバシーマークの認証取得支援

「ものづくり補助金」等の補助金受給申請支援

ビジネスソリューション事業…………認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」

アラカルト型人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズの販売

不動産賃貸事業…………………………当社が所有するオフィスビルの賃貸

システム開発事業………………………連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業等

その他……………………………………パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

 

24/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、株式相場など金融市場が好材料となったものの、物価高騰にともなう消費者の節約志向の高まりや、製造業の停滞などの要因から悪材料となり、小幅ながら悪化傾向にあります。また、ウクライナへの軍事侵攻の長期化、中東情勢の悪化、および円安等による原油、原材料、物価が高騰する一方で価格転嫁が進まないことにより、厳しい経営環境に置かれています。

 このような経済状況のもと、当社グループは引き続き主要事業の会員数の増加およびサービス内容の拡充と業務の効率化に取り組んでまいりました。

 

(財政状態)

(ⅰ)資産

 当連結会計年度末における流動資産は64億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億38百万円増加しました。これは主に現金及び預金が3億13百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1億90百万円、有価証券が1億円増加したことなどによるものです。

 固定資産は87億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億30百万円増加しました。これは主に建物及び構築物(純額)が1億5百万円、ソフトウエアが5億84百万円、投資有価証券が1億18百万円増加したことなどよるものです。

 この結果、総資産は152億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億69百万円増加しました。

(ⅱ)負債

 当連結会計年度末における流動負債は34億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億18百万円増加しました。これは主にその他(流動負債)が2億97百万円増加したことなどによるものです。

 固定負債は1億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ0百万円増加しました。

 この結果、負債合計は35億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億19百万円増加しました。

(ⅲ)純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は116億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億50百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益16億9百万円が計上された一方、剰余金の配当5億25百万円が計上されたことなどによるものです。

 この結果、自己資本比率は76.4%(前連結会計年度末は78.1%)となりました。

 なお、特筆すべき重要な資本的支出の予定及びそれに伴う資金の調達は当面ありません。

 

(経営成績)

 当連結会計年度の経営成績は、売上高148億61百万円(前連結会計年度比17.0%増)、営業利益21億28百万円(同18.2%減)、経常利益21億43百万円(同18.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億9百万円(同14.5%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

(ⅰ)アカウンティングサービス事業

 アカウンティングサービス事業は、生命保険営業職員を中心とする個人事業主及び小規模企業に対する記帳代行等の会計サービスになります。同事業では、各生命保険会社が新入社員向けに随時行っている研修への参加による営業機会の確保に注力いたしました。その結果、当連結会計年度末(2024年3月31日)の会計サービス会員数は92,045名(前連結会計年度末比7,990名増)となりました。

 この結果、アカウンティングサービス事業における当連結会計年度の売上高は43億92百万円(前連結会計年度比11.0%増)、営業利益は12億86百万円(同0.8%増)となりました。

 

(ⅱ)コンサルティング事業

 コンサルティング事業は、中堅中小企業の総務経理部門に対する各種情報提供サービスの「エフアンドエムクラブ」、ISO及びプライバシーマークの認証取得支援、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」をはじめとした補助金申請支援等になります。

 「エフアンドエムクラブ」については、2024年3月末時点で213行庫の地域金融機関と連携契約しております。連携済みの金融機関には、好連携事例の共有や勉強会の開催、結果報告などによる情報共有の強化によって稼働促進を図ることで、営業機会の増強に努めました。また、引き続き中小企業経営者から非常に高い注目を集めている「事業再構築補助金」などの補助金活用を切り口とした提案を行いました。加えて、常態化している人手不足を解消するため積極的に採用活動を行いたい企業、労務管理を適切に行うことで就業環境を整備したい企業、公的支援制度を漏れなく活用したい企業などの経営者ニーズを掴んだことが、新規の会員獲得に貢献しました。会員企業向けには、月に一度企業ごとに設備投資の予定、事業承継や企業ごとの退職金・支給手当の有無を確認し、その回答に応じてタイムリーなフィードバックを行いました。また、会員の従業員教育の一環として、コンプライアンスや時事問題をテスト形式で提供するサービスの提供を開始しました。加えて、他社の取り組み事例や業界の課題を共有する業種別のオンライン交流会を開催しました。個社ごとの状況を把握している担当者だけではなく、担当者頼みにならないサポート体制を構築することで、継続的にサービスをご利用いただけるよう支援を行っております。その結果、当連結会計年度末(2024年3月31日)のエフアンドエムクラブ会員数は11,192社(前連結会計年度末比2,145社増)となりました。

 ISO及び第三者認証取得支援については、個人情報保護法の改正やサイバー攻撃等による情報セキュリティニーズによるプライバシーマークおよびISO27001、食品安全衛生意識の高まりにより企業間取引にHACCP・FSSC22000、自動車部品製造業サプライチェーンの品質面の強化のためISO9001の認証取得支援が増加傾向にあります。また公共工事への参入を目的にISO9001およびISO14001の取得が増加しています。これらの旺盛なニーズへの対応に注力しました。

 「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」をはじめとした補助金受給申請支援については、「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」として、2024年1月に16次締切分の採択結果が発表となり、71件が採択されました。17次締切分については当連結会計年度での計上を見込んでおりましたが、2024年5月に採択結果が発表になり、3件が採択されました。18次締切分については採択結果の発表を待っております。また、「事業再構築補助金」は、2024年2月に第11回締切分の採択結果が発表になり、103件が採択されました。なお第11回締切分の全国の採択率は26.5%と過去最低水準を記録する大変厳しいものとなりました。「事業再構築補助金」については、2023年11月に実施された行政レビューを元に、支援枠を6枠から3枠に簡素化、コロナ債務を抱える事業者に加点措置、事前着手制度の原則廃止といった見直しがなされて、2024年4月23日より第12回締切分の公募が開始しておりますが、同締切分は当連結会計年度での公募とならなかったことが、業績に影響を与えました。

 

補助金名

締切

採択数

ものづくり補助金

14次

81件

15次

59件

16次

71件

17次

3件

18次

事業再構築補助金

第8回

231件

第9回

139件

第10回

147件

第11回

103件

※ 採択結果は発表待ちの状態です(2024年5月31日現在)。

 

 この結果、コンサルティング事業における当連結会計年度の売上高は59億34百万円(前連結会計年度比9.5%増)、営業利益は12億70百万円(同34.1%減)となりました。

 

(ⅲ)ビジネスソリューション事業

 ビジネスソリューション事業は、士業向けコンサルティング、及び企業・士業向けITソリューションの提供等になります。

 士業向けコンサルティングは、認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」等となります。

 「経営革新等支援機関推進協議会」では、コロナ禍によって強まった中小企業からの優遇税制支援や財務支援要請に対応するためのノウハウを必要とする税理士・公認会計士の継続的なニーズが、営業機会の確保につながりました。その結果、当連結会計年度末(2024年3月31日)の「経営革新等支援機関推進協議会」の会員数は1,708件(前連結会計年度末比30件増)となりました。

 企業・士業向けITソリューションの提供としては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズの販売となります。「オフィスステーション」シリーズは、社会保険労務士や税理士向けの「オフィスステーション Pro」、企業向けの「オフィスステーション マイナンバー」「オフィスステーション 労務」「オフィスステーション 労務ライト」(「労務」の機能を一部制限して無料提供)「オフィスステーション 年末調整」「オフィスステーション 給与明細」「オフィスステーション 有休管理」「オフィスステーション 勤怠」(2023年4月リリース)で構成されています。社会保険労務士事務所マーケットの深耕については、大規模事務所向けのパッケージプランの提案を進めました。大規模事務所からのニーズが強かった事務組合機能をリリースしたことにより、社会保険労務士事務所が求める一定程度の利便性を提供できる環境が整ったことが、販売を後押ししています。既存事務所に向けては、引き続き主に大規模事務所を対象としたハイタッチフォローを継続して行い、事務所での稼働を促進しました。企業向けには、販売代理店となるパートナー企業での定期的な勉強会の開催や主催イベントへの参加、大規模展示会への出展により、商談数の増加につなげました。また複数プロダクトを同時に提案することで、営業効率を上げることにも注力しました。合わせて都市部ではタクシー広告を展開することで価値訴求を行いました。「オフィスステーション 年末調整」については、入力された情報からふるさと納税の上限額の目安を表示し、連携したふるさと納税サイトへ誘引する機能を追加しました。情報の取りまとめを行う労務担当者の利便性向上だけではなく、導入企業の従業員のベネフィットを追求し、継続して選ばれるプロダクトを目指しました。また、新規の商談案件についてはフィールドセールスとカスタマーサクセスが連携を密にすることで、リードタイムの短縮や成約率向上に努めました。特にカスタマーサクセスについては、一社あたりのユーザー数を増大させることに加え、クロスセルの取り組みに注力しました。その結果、当連結会計年度末(2024年3月31日)の「オフィスステーション」シリーズの利用は、無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」の利用を含み、企業が36,731社(前連結会計年度末比10,718社増)、士業が3,013件(同546件増)となりました。

 この結果、ビジネスソリューション事業における当連結会計年度の売上高は41億31百万円(前連結会計年度比40.5%増)、営業利益は5億48百万円(同69.8%増)となりました。

 

(ⅳ)不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業は、当社が所有するオフィスビルの賃貸収入で安定した収益を計上しております。当連結会計年度の売上高は1億6百万円(前連結会計年度比3.6%減)、営業利益は30百万円(同4.6%増)となりました。

 

(ⅴ)システム開発事業

 システム開発事業は、連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業等になります。前連結会計年度まではその他事業として区分していたものです。エフアンドエムネットでは、「オフィスステーション」シリーズを中心としたエフアンドエムが販売する商品などのグループ内向け開発が大部分を占めました。

 この結果、システム開発事業における当連結会計年度の売上高は2億35百万円(前連結会計年度比25.2%増)、営業利益は77百万円(同21.7%増)となりました。

 

(ⅵ)その他事業

 その他事業は、パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等になります。パソコン教室の本部運営及びFC指導事業においては、受講生に対する積極的なカウンセリング、資格取得のためのサポートなどを強化することで継続率の向上に努めました。

 この結果、その他事業における当連結会計年度の売上高は60百万円(前連結会計年度比28.9%減)、営業利益は5百万円(同31.7%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ3億13百万円増加(前連結会計年度末比6.4%増)し、52億22百万円となりました。

 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は32億60百万円(同9.2%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益22億33百万円、減価償却費12億96百万円、その他の流動負債の増加6億34百万円などがあった一方、売上債権の増加2億26百万円、法人税等の支払6億57百万円などがあったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は24億21百万円(同27.6%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出3億62百万円、無形固定資産の取得による支出18億50百万円、投資有価証券の取得による支出2億90百万円などがあった一方、投資有価証券の売却による収入1億10百万円などがあったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は5億24百万円(同12.2%増)となりました。これは主に配当金の支払5億24百万円などがあったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

b.受注実績

 該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

アカウンティングサービス事業(千円)

4,392,990

111.0

コンサルティング事業(千円)

5,934,866

109.5

ビジネスソリューション事業(千円)

4,131,654

140.5

不動産賃貸事業(千円)

106,688

96.4

システム開発事業(千円)

235,159

125.2

報告セグメント計(千円)

14,801,358

117.3

その他(千円)

60,410

71.1

合計(千円)

14,861,769

117.0

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 主要3セグメントにおいては、いずれも会員制ビジネスであるため、主たる売上は会費収入となります。売上高の伸長は会員数の増加と原則的に比例するため、会員数を安定的に増加させることが、事業の成長には不可欠な要素となります。また、収益力の向上を図ることが優先課題であると認識していることから、売上高営業利益率と売上高原価率を注視し、その変動要因の把握に努めております。これらについてのセグメントごとの具体的な取り組みと振り返りは次の通りとなります。

[アカウンティングサービス事業]

 主なマーケットである生命保険営業職員のチャネルで会員数が増加しました。なお、同営業職員数は18.5万人(2022年度月平均実働数 出所:株式会社保険研究所『インシュアランス生命保険統計号(令和5年版)』)であり、今後も拡大の余地は十分に見込めるものと考えております。いずれの生命保険会社においても年間を通して積極的な採用活動を行うことは継続しております。新入社員に向けては随時研修が実施されておりますが、当社は各生命保険会社で行われている同研修において、継続して一部のプログラムを担当しております。生命保険営業職員は個人事業主であり、個人で納税の手続きが必要であることについて、研修で詳細の説明を受けることになりますが、当社が確定申告やそのために必要な事柄についての研修を担当することで営業機会の確保に努めております。研修では当社で開発したアプリを活用し、確定申告についての理解を深めていただいた上で、自分で対応するのが難しいと判断された方が、当社サービスをスムーズご利用いただけるよう提案に繋げております。また、契約に関する一連の手続きはオンラインで完結できるため、効率的な営業活動を展開しております。

 また、売上高原価率の改善のため、AIの活用による処理工程の業務効率化を進めました。AI学習には相応の時間を要するものではありますが、AI処理によるカバー率は順調に上昇しており、これが原価抑制に貢献しております。

 インボイス制度がスタートしたことで、企業・個人事業主だけではなく、税理士・会計士業界においても、業務負担が増大しております。今後はAIによる処理精度の向上と共に、処理実績とノウハウを活用することにより、シェアードサービスやアウトソーシングを希望する企業・税理士・会計士の受け皿として機能し、新たな売上を創出していきます。

[コンサルティング事業]

 ベースとなる収益は、エフアンドエムクラブ等の会費売上によるものです。売上拡大には、会員数の増大が必要であるため、新規会員企業獲得のための営業活動の強化ならびに営業人員の増強を行うと共に、サービスを長く利用いただくための取り組みが重要であるとして、契約継続率に注目しております。従来、中小企業の経営課題として上位に位置している、労務管理や人手不足などに対処したいとする経営者のニーズを掴んだ提案を行ったことも貢献しました。会員企業に向けては、引き続き全てのサービス提供が人を介して行われる属人的な体制からの脱却を目指したサービス提供体制の整備を進めました。企業ごとの事情に合わせてタイムリーな情報提供や経営支援を行える体制を整備するため、毎月月初に全ての会員企業に対して、設備投資や採用の計画の有無などを確認するサービスがより深い支援に繋がり、一定の評価を得ております。

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

期末会員数

増減数

期末会員数

増減数

期末会員数

増減数

エフアンドエムクラブ会員数

7,598

852

9,047

1,449

11,192

2,145

 2021年3月から公募が開始された「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」は、第10回から要件の緩和や申請枠の新設など公募要領の大幅な改訂が行われ、より多くの企業が利用できる補助金となりました。一方で、第11回の申請締め切り後、行政レビューが実施され、採択条件が大幅に見直しされ、採択数は厳しい状況となりました。営業機会の増強にはパートナーとなる地域金融機関との連携が重要となりますが、活動実績を高く評価いただいていることから業務提携の締結は順調に進み、業務提携済みの地域金融機関は213行庫となりました。今後も開拓を進めると共に、稼働促進のための取り組みを積極的に行うことで営業活動を活性化させていきます。契約継続率については、タイムリーに個社の状況を把握する取り組みを強化することにより、伴走型支援を深化させることで継続率の改善が実現するものと見込んでおります。

 エフアンドエムクラブの拡販は地域金融機関との連携によるところが大きいため、それに伴う手数料の支払いが発生しますが、あくまでも変動費であり、営業基盤と販売力強化のためには必要な費用だと認識しております。2023年11月に令和5年度補正予算が成立し、継続的な賃上げを促進するための中小企業等の支援として、6,000億円の予算が組まれました。地域金融機関と共に、申請を行いたいとする、より多くの企業の支援体制を構築することが、営業機会の増強につながります。翌期はさらなる「エフアンドエムクラブ」の営業活動強化と、新設された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」等をはじめとした各補助金の申請支援を行うことが業績に貢献する見通しです。

[ビジネスソリューション事業]

 税理士・公認会計士事務所向けサービスである「経営革新等支援機関推進協議会」の会員獲得は、「経営革新等支援機関」の認定を維持・更新するための実績作り、自事務所の新規関与先の拡大や、関与先企業からの優遇税制・財務支援の要請に対応するためのノウハウを必要とする税理士・公認会計士事務所からの継続的なニーズが、営業機会の確保に繋がりました。

 「オフィスステーション」シリーズの拡販については、生産性向上の一環として、HR領域におけるペーパーレス化やDX推進の勢いが強まっていることが追い風となりました。市場にはそれを叶えるためのさまざまなデジタルツールが存在しており、比較検討して導入を進める企業は増加傾向にあります。「オフィスステーション」シリーズはアラカルト型であることから、企業が利用中のシステム機能と重複せず効率的な運用ができ、またIT化をスモールスタートしたい企業のニーズに対応することができます。当期はそれを背景に導入に至った企業に対して、カスタマーサクセスを稼働させることで、一社あたりのユーザー数を増大させることに加え、クロスセルの取り組みに注力しました。また、「オフィスステーション年末調整」に「ふるさと納税」の機能を追加しました。従業員は年末調整の情報を会社へ申告し、該当年度においてふるさと納税の上限額を自身のマイページで認識することが可能となりました。従業員の節税の支援だけではなく、寄付金額が増加したことで社会貢献へつながります。士業事務所向けは大規模事務所向けの提案が進んだことが業績に貢献しました。大規模事務所への導入が加速したことは、社労士業界での宣伝広告効果も高く、会員数増加が加速しました。翌期は有効リードの獲得のため広告宣伝活動を強化し、営業機会を増強いたします。既存ユーザーに対しては、利用機会を増やすための提案を強化することで顧客満足度及び継続率の向上を図り、ARRとLTVの最大化に取り組みます。また、「オフィスステーション」シリーズは利便性向上のため、機能追加や新しいプロダクトの開発を継続して行うことから、その減価償却費が売上高原価率を押し上げる要因となりますが、開発計画については内容を十分精査することでコストコントロールを行います。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、強固な財務体質を保持しつつ、企業価値向上に資する成長投資を行うべく、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。強固な財務体質の維持については、自己資本比率を指標としております。当連結会計年度の自己資本比率は76.4%と、リスク耐性及び健全性において問題のないレベルだと認識しておりますが、円安や物価上昇、金融資本市場の変動等の影響により社会経済活動や事業環境の先行きは見通しづらい状況が続いているため、キャッシュ・フローの状況を注視しつつ財務規律を堅持してまいります。

 経営資源の配分については、収益力の高い既存事業の強化・成長に貢献する投資と、事業経営の基盤である人材採用及び育成への投資を最優先しながら、生産性向上のためのIT活用及び新規事業育成のための投資も継続して行います。投資については、フリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。当社グループではフリー・キャッシュ・フローを、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。この指標は戦略的投資や負債返済に充当可能な資金の純額となると考えており、以下の通りフリー・キャッシュ・フローを算出しております。

(単位:百万円)

 

2023年3月期

2024年3月期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,985

3,260

274

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,898

△2,421

△523

フリー・キャッシュ・フロー

1,087

838

△248

 当連結会計年度においては、営業活動は順調で、各セグメントの会員数とともにキャッシュ・インは増加しておりますが、「オフィスステーション」シリーズの開発を継続したことがキャッシュ・アウトを増加させました。企業規模を問わずHR領域では急速なIT化が進んでおり、「オフィスステーション」シリーズの拡販にとっては引き続き追い風であり、成長力・収益力の両面から今後も成長エンジンであると考えております。翌期以降も着実な拡販や収益力の強化に万全を期すことで、投資回収をしてまいります。その他のセグメントも含め、利益成長によるキャッシュの創出力を高めながら、資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した資本構成を維持してまいります。

 資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を基本方針としております。当社グループのビジネスモデルでは大型の設備投資は発生しないため、そのための資金調達の必要性はありませんが、事業展開に伴う資金需要には機動的に対応するため、充分な現金及び現金同等物を保有しております。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標を設けておりませんが、金融情勢などを考慮しつつ、安全性ならびに流動性の高い短期金融商品を中心に運用しております。

 株主還元については、安定的・継続的な利益還元に努めていくことを原則とし、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することで、長期的なEPSの成長と配当水準の向上に努めてまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。