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最終更新:

E30697 Japan GAAP

売上高

289.9億 円

前期

269.6億 円

前期比

107.5%

時価総額

226.9億 円

株価

2,049 (05/02)

発行済株式数

11,072,000

EPS(実績)

224.71 円

PER(実績)

9.12 倍

平均給与

699.9万 円

前期

704.3万 円

前期比

99.4%

平均年齢(勤続年数)

41.7歳(7.7年)

従業員数

174人(連結:585人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』という経営理念の下、先進的な農薬及び肥料の研究開発、栽培技術の探求、製造及び国内外での販売を主たる事業として取り組んでおります。

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(OATアグリオ株式会社)及び連結子会社26社(旭化学工業株式会社、潤禾(舟山)植物科技有限公司、OAT&IIL India Laboratories Private Limited、Asahi Chemical Europe s.r.o.、PT. OAT MITOKU AGRIO、LIDA Plant Research, S.L.、株式会社インプランタイノベーションズ、Blue Wave Holding B.V.等)と非連結子会社1社及び関連会社2社により構成されております。

当社グループは、特徴的な農薬製品や肥料製品及び独創的な栽培技術を持ち、生産者や一般消費者に対し多様な支援を行い、そこで得られた現場のニーズをフィードバックし研究開発に活用しております。

現在、当社グループは以下の3つの技術ごとにサービスを提供しており、それらの定義を次のように考えております。

(1)防除技術

 防除技術とは、農作物に対して悪影響を与える病害虫から農作物を守る技術と、不要な植物(雑草類)を駆除する技術を合わせた総称であります。当社グループでは、植物の医薬品と位置づける「農薬」として提供しております。

(2)施肥灌水技術

 施肥灌水技術とは、農作物を適正に生育させるための栄養分を与える技術と、農作業の省力化や効率化を図る技術を合わせた総称であります。当社グループでは、植物の栄養分と位置づける「肥料」とそれらを農作物に供給する「養液土耕栽培システム」として供給しております。

(3)バイオスティミュラント

 バイオスティミュラントとは、植物が本来持つ能力や機能を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術の総称であります。当社グループでは、バイオスティミュラントに属する肥料、活力剤を提供しております。

 

(食糧増産に貢献する技術と当社グループが提供するサービス)

※画像省略しています。

 当社グループの特徴は、上記3つの技術ごとにサービスを提供することによって、食糧増産を目指す多面的なソリューションを提供できる点にあります。環境問題や食糧増産問題に直面する農業従事者をターゲットとして、現場のニーズや悩みを汲み上げ、農薬・肥料・バイオスティミュラント全方面の研究開発へ活用してまいります。また、「栽培」を通じた企業文化の構築による新たにD2Cビジネスに挑戦し、多様な製品を一般消費者にも提供していくことができると考えております。

 また、循環型社会の実現を目指したプロバイオポニックス(有機質肥料活用型養液栽培)の実証試験、施設園芸分野での省力化・効率化、ビッグデータを活用したスマート農業の実践に向けた栽培トータルソリューションサービス『アグリオいちごマスター』のバージョンアップや普及にも引き続き取り組んでまいります。今後、新規就農者や農業分野へ新規参入を検討の企業などをターゲットに様々な形でサービスを提供できると考えております。

 

 当社グループの主要製品である農薬・肥料・バイオスティミュラント製品を提供するためには、原体と呼ばれる有効成分や各種製剤を自社開発する研究開発体制が必要となります。

 当社グループは研究開発拠点として、国内及び海外(インド共和国・スペイン)に3拠点を保有しております。

 国内の研究開発拠点として、徳島県鳴門市に研究所を開設し、原体の自社開発や各種製剤開発のため、化合物の合成やスクリーニングを行っております。同地には研究所だけでなく、当社グループの開発した原体や各種製剤を生産する工場設備や生産された農薬・肥料・バイオスティミュラント製品の有効性を実地調査するための栽培研究センターも併設しております。

 海外の研究開発拠点として、インド共和国にInsecticides(India)Limitedとの共同研究所OAT&IIL India Laboratories Private Limitedを設立し、国内の研究開発拠点と同様に化合物の合成やスクリーニングを行っております。また、スペインのLIDA Plant Research, S.L.では、バイオスティミュラント製品の研究開発を行っております。 当社グループは、アグリテクノ事業の単一セグメントであるため、技術ごとに当社グループのサービスについて記載しております。

 

(1)防除技術(農薬製品の提供)

 当社グループは、農薬の研究開発及び製造を行い、全農(全国農業協同組合連合会)を始め、商社やメーカー向けに販売を行っております。

 農業では、特定の作物を人為的な環境で単一栽培するため、病害虫や雑草が発生しやすく、一定の収量と品質を確保することが困難となります。

 農薬は、農作物の栽培を行う上で、その収量や品質、また安全性の確保に重要な役割を担っており、国内外の食糧増産に貢献しております。

 農薬の機能ごとの分類として、殺虫剤・殺菌剤・殺虫殺菌剤・除草剤・殺そ剤・植物成長調整剤・補助剤・その他に分類されます。

 

当社グループが取り扱う主要な農薬製品は以下のとおりであります。

分類

原体名

製剤名

適用作物

殺虫剤

ベンフラカルブ

 

オンコル粒剤5

(特許出願)1981年6月

(登録取得)1986年10月

水稲・さとうきび・きくなど

オレイン酸ナトリウム

オレート液剤

(※1)

(特許出願)1994年8月

(登録取得)1992年12月

野菜類・果樹類など

アラニカルブ

オリオン水和剤40

(特許出願)1982年11月

(登録取得)1993年11月

なし・かんきつ・もも・キャベツなど

トルフェンピラド

ハチハチ乳剤

(特許出願)1989年9月

(登録取得)2002年4月

キャベツ・はくさい・レタスなど

シフルメトフェン

ダニサラバフロアブル

(特許出願)2000年8月

(登録取得)2007年10月

茶・いちご・すいかなど

バチルスチューリンゲンシス菌の産生する結晶毒素

トアロー水和剤CT

(※1)(※2)

(登録取得)2002年3月

野菜類・りんごなど

プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル

アカリタッチ乳剤

(※1)(※2)

(登録取得)2001年4月

野菜類・果樹類・ホップなど

調合油(サフラワー油、綿実油)

サフオイル乳剤

(※1)(※2)

(登録取得)2010年10月

かんきつ・いちご・野菜類・トマト・ミニトマトなど

 

 

殺菌剤

フルチアニル

ショウチノスケフロアブル

(特許出願)1999年12月

(登録取得)2014年12月

いちご・メロン・すいかなど

オキスポコナゾールフマル酸塩

オーシャイン水和剤

(特許出願)1989年10月

(登録取得)2000年4月

りんご・なし・ぶどうなど

炭酸水素カリウム

カリグリーン

(※1)(※2)

(登録取得)2002年5月

野菜類・トマトなど

除草剤

シアン酸ソーダ

シアノット

(※2)

(登録取得)2003年12月

キャベツなど

 

シクロスルファムロン

かねつぐ1キロ粒剤

(※2)

(登録取得)2013年9月

水稲

植物成長調整剤

デシルアルコール

コンタクト

(※2)

(登録取得)1982年7月

たばこ

5-ニトログアヤコール

ニトロフェノール

アトニック

(※3)(※4)

 

水稲・りんご・トマト・いちご・菜種など

※1 当社が「農薬登録を有する天然・食品添加物由来又は有機JAS適合農薬など使用回数に制限のない安心安全な環境にも優しい防除資材」と定義している『グリーンプロダクツ』製品となっております。

※2 買収等により取得した製剤であり、特許出願をしておりませんので、記載を省略しております。

※3 国内登録を取得しておりませんので、記載を省略しております。

※4 日本国内において、植物成長調整剤は農薬として規制を受けておりますが、当社においてこのうち「アトニック」につきましては、バイオスティミュラントとして区別しております。

 

①販売体制

 当社グループの販売体制としましては、国内向けは国内営業本部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、国内2支店、4営業所が、全農、商系代理店を通じた新規顧客獲得、販路拡大などの営業活動を行っております。また、丸善薬品産業株式会社との業務提携により一層営業活動を深掘りしていきます。

 海外向けは海外営業本部を窓口として、商社経由の販売体制と当社及び当社グループ会社直販体制の両面から、当社グループ会社と協議の上で海外の顧客へアプローチしております。特にアジア・中南米・アフリカ地域は人口増加率が高く、今後の成長が見込まれる市場であるため、アジア・中南米・アフリカ地域への販売体制を強化しております。

 具体的な取組みとしましては、農家集会での商品説明会やパートナー企業向け技術説明会等を行い、販売促進に注力しております。

 

②研究開発体制

 当社グループでは、徳島県鳴門市にある研究所に研究開発部を置き、「人や環境に優しい」、「高い安全性」、「世界に通用する独創的な技術」、「世界的なニーズの高い分野の開発」をキーワードに、基礎研究から応用研究まで行っております。

 国内で農薬を新規に開発し、製造・販売を行うには、農薬取締法に定められた登録を取得する必要があります。登録の取得には、厳格な手続きと多様な試験が要求され、およそ十年の歳月と数十億円に及ぶ経費を要すると想定されます。(図表)

 当社では、インドの子会社OAT&IIL India Laboratories Private Limitedとの協力体制を構築し、自社での新規農薬の研究開発スピード向上に取り組んでおります。

 

※画像省略しています。

 出典:農薬工業会、農林水産省

 

(2)施肥灌水技術(肥料製品の提供)

 当社グループは、施設園芸農家向けに養液土耕栽培システムと肥料の販売を行っております。

 養液土耕栽培システムは、液体肥料混入機と点滴チューブ及びその他周辺部材から構成され、養水分を正確に作物の株元に供給できるシステムです。作物の生育ステージに合わせて水と肥料の正確な施用を自動化することで、農業従事者の間口を広げると共に、農作物の収穫量向上に貢献します。

 養液土耕システムは、農家の労力軽減、環境負荷の低減、作物の品質向上や収穫量増加などの目的で使用されています。発売開始後25年以上の実績があり、累計販売台数は約3,000台で全国の農家に導入されております。2017年度からは新機種である液肥混入機TT(Tractable(扱いやすく)&Trustable(信頼できる))シリーズの販売を開始いたしました。導入されている作物は、トマト、いちご、きゅうり、ピーマン、ぶどう、カーネーション等多岐に亘っております。現在、養液土耕システムと生育診断システムを一体化した新サービス『アグリオいちごマスター』を本格的に国内市場にて普及活動を行い、スマート農業に参入してまいります。今後は、いちご以外の作物(トマト、ピーマンなど)にも広げる予定です。

当社グループが取り扱う主要な肥料製品と養液土耕栽培システムの特徴は以下のとおりであります。

分類

製品名

用途

肥料

OATハウス肥料シリーズ

トマト、いちご、花などの水耕栽培用肥料

亜リン酸粒状肥料

果菜類・葉菜類・根菜類・果樹類・芝などの粒状肥料

ホスプラス

果菜類・葉菜類・根菜類・果樹類・芝などの葉面散布肥料

養液土耕栽培用肥料

養液土耕栽培システム用肥料

ルートビーズ

豆類などの液状複合肥料

システム

養液土耕栽培システム

主にトマト・いちご・きゅうり・ピーマン・ぶどう・カーネーションなどの液肥供給システム

花卉資材

美咲・クリザールシリーズ

切り花の生産者用、輸送用、小売及び消費者用品質保持剤

OAT栽培トータルソリューションサービス

アグリオいちごマスター

いちご栽培システム(養液土耕栽培液肥供給システム、生育診断システム、その他機材及び農業資材(OAT製品:肥料・農薬・BS)、栽培暦、アドバイス

 

①販売体制

 当社グループでは、肥料とシステムにおきましては国内営業本部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、全国6ヶ所にある国内2支店、4営業所と、子会社の株式会社養液土耕栽培研究所を通じた活動により、全農、商系代理店を通して新規顧客獲得、販路拡大などの営業活動を行っております。また、丸善薬品産業株式会社との業務提携により一層営業活動を深掘りしてまいります。マーケティング体制としましては、支店に配置した営業グループがきめ細かいマーケティング活動を通じて、顧客ニーズへの対応に努めております。

 また、これら当社グループの施肥灌水技術を家庭菜園や農業の現場へ提供しやすくするため、ウェブ直販サイト「AGRIO」の運営をしております。ウェブ直販サイト「AGRIO」では、リビングで野菜を育てる水耕栽培キット「Living Garden」や農作物の育成に必要な肥料成分を1本でカバーする専門肥料「ベジタブルライフA」、ステビアを利用した農業資材「OATファームA」、切り花のながもち液「美咲」等、一般消費者向けの商品を中心に取扱いを行っております。同サイトでは、園芸家の方や華道家の方から、使用方法等についてのアドバイスを掲載しております。

 オランダのBlue Wave Holding B.V.(クリザールグループ)が持つネットワークを通じて、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ及びアジア各国の世界中の市場へ、切り花の品質保持剤(クリザールシリーズ)の積極的な営業活動を行っております。

 

②研究開発体制

 当社グループでは、徳島県鳴門市に研究開発部肥料・BS開発グループと栽培研究センターを設置し、施設園芸作物の施肥灌水技術並びに、肥料製品の品質改善と安定生産のための技術開発を行っております。

 またBlue Wave Holding B.V.(クリザールグループ)の研究所において、切り花の品質保持剤(クリザールシリーズ)の品質改善のための技術開発や新製品開発を行っております。

 

(3)バイオスティミュラント(植物成長調整剤の提供)

 バイオスティミュラントは、植物が本来持つ免疫力や機能を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術を指しております。バイオスティミュラントは国内での認知度は向上段階にありますが、近年ヨーロッパを中心に、植物の成長や健康を助ける働きを持つバイオスティミュラントが、農薬や肥料と同等の独立した枠組みで捉えられようとしております。

 当社では、バイオスティミュラントの一つである植物成長調整剤「アトニック」の販売を足がかりに、防除技術、施肥灌水技術に続く、当社サービスの第三の柱として確立すべく、注力しております。

 国内でもスペインのLIDA Plant Research, S.L.が開発した天然物由来成分を配合した3製品を全国に展開しており、さらに、環境ストレスの低減や果皮強度の向上が期待できる新製品「プロテクト」の販売も開始いたしました。また、気孔の開口をコントロールすることにより光合成を促進させ収量増加が期待できる製品「ポテト―ル」の普及を行ってまいります。

 

当社グループが取り扱う主要なバイオスティミュラントは以下のとおりであります。

分類

製品名

用途

植物成長調整剤

アトニック

水稲・りんご・トマト・イチゴ・菜種・とうもろこし・さとうきびなどの

植物成長調整剤

肥料

リダバイタル

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

アルガミックス

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

フルボディ

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

プロテクト

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

ポテト―ル

馬鈴薯・甘藷用の葉面散布液肥

 

①販売体制

 アトニックにつきましては、当社海外営業部を通じて広く海外向けに販売活動を行っております。また、当社グループのAsahi Chemical Europe s.r.o.を通じて、主に東ヨーロッパ向けに販売活動を行っております。

 具体的には欧州でのプロモーション活動や、バイオスティミュラント学会の開催を行い、販売促進に注力しております。

 

 スペインのLIDA Plant Research, S.L.のネットワークを通じて、LIDA Plant Research, S.L.の開発した製品をヨーロッパ、南北アメリカなどへ積極的な営業活動を行っております。

 当社グループでは、バイオスティミュラント製品におきましては、国内営業本部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、全国6ヶ所にある国内2支店、4営業所を通じて、代理店を通して新規顧客獲得、販路拡大などの営業活動を行っております。また、丸善薬品産業株式会社との業務提携により一層営業活動を深掘りしてまいります。マーケティング体制としましては、支店に配置した営業グループがきめ細かいマーケティング活動を通じて、顧客ニーズへの対応に努めております。

 

②研究開発体制

 当社研究開発部のBS開発グループと旭化学工業株式会社、スペインのLIDA Plant Research, S.L.の研究所において、既に当社グループに収益貢献している「アトニック」とそれに続く製品の開発を行っております。

 

[事業系統図]

 当社グループの事業系統図は以下のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

(注)無印 連結子会社

※1 非連結子会社で持分法非適用会社

※2 関連会社で持分法適用会社

 

24/03/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが移行されたことに伴い社会活動が通常へと戻りつつある中、インバウンド需要の回復等も見られた一方、堅調な米国経済の影響による大幅な円安の進行や物価上昇による個人消費の停滞等が継続しました。長引くウクライナ情勢に加えイスラエルの武力紛争も勃発し、欧州経済の低迷等も含め、先行き不透明な状況は依然として続いております。

 このような経営環境のもと当社グループは『新たなる挑戦に向けて』と題し、2023年2月に「新中期経営計画(2023-2025年)」を公表しております。

 経営理念『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』の実現に向け、当社グループ一丸となって新たなる挑戦へ邁進してまいりました。

 また、2023年9月に公表しました通り、中長期的な企業価値や株主利益の向上をはかるべく、東京証券取引所の市場につきスタンダード市場を積極的に選択することとしました。経営理念の実現を通して「育てる喜び」「観る感動」「食べる幸せ」を世界中の人々へ届けることを当社グループの使命と捉えております。

 当社グループの提唱する食糧増産技術(アグリテクノロジー)の普及という活動そのものが「環境保全」「資源効率の改善」「飢餓撲滅」といった持続可能な開発目標(SDGs)に資するものと捉え、新たな製品や技術、サービスの開発を通じ、人や環境に優しい持続可能な農業に貢献するために、来期以降も引き続き事業活動を進めてまいります。

 以上の事業活動の結果、当連結会計年度の売上高は289億88百万円(前連結会計年度比20億28百万円増加、同7.5%増)、営業利益37億66百万円(前連結会計年度比4億20百万円増加、同12.6%増)、経常利益38億円(前連結会計年度比4億14百万円増加、同12.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益24億88百万円(前連結会計年度比2億26百万円増加、同10.0%増)となりました。

 

 当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントでありますが、各分野の状況は次のとおりであります。

 農薬分野においては、国内市場では、当社主力製品の殺虫剤「オンコル」や「オリオン」が好調を維持し、殺ダニ剤「ダニサラバ」や殺菌剤「ガッテン」混合剤の売上も年間を通して堅調に推移しました。当社が注力しているグリーンプロダクツ(注1)各種も殺ダニ剤「サフオイル」や殺虫剤「トモノール」等が堅調に推移し、売上高を伸ばしました。海外市場においては殺ダニ剤「ダニサラバ」が好調で売上を大きく伸ばし、殺菌剤「カリグリーン」も前年の売上高を上回りました。それらの結果、農薬分野全体の売上高は118億85百万円(前連結会計年度比4億91百万円増加、同4.3%増)となりました。

 肥料・バイオスティミュラント(注2)分野においては、肥料に関し国内市場では流通過程における過剰在庫の影響により、ハウス肥料や養液栽培用肥料等の販売が前連結会計年度比で減少しましたが、バイオスティミュラント剤「ポテトール」「リダバイタル」「アルガミックス」「フルボディ」が好調に推移し、また、各種肥料の製造販売を行う子会社である旭化学工業も売上高を伸長させました。海外市場におきましては「アトニック」が年間を通じて売上高を伸ばし、東南アジアや中南米へ向け、当社の製品を大きく展開させることができました。オランダの子会社であるBlue Wave Holding B.V.やスペインの子会社であるLIDA Plant Research, S.L.の業績も好調に推移し、「アトニック」の販売を行うインドネシアの子会社であるPT.OAT MITOKU AGRIOも堅調な売上高を維持しました。これらの結果、肥料・バイオスティミュラント分野等全体の売上高は171億3百万円(前連結会計年度比15億37百万円増加、同9.9%増)となりました。

 一方、人件費や研究開発費等が昨年比で増加した影響もあり、販売費及び一般管理費は101億80百万円(前連結会計年度比8億66百万円増加、同9.3%増)となりました。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度の生産実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 (百万円)

 前年同期比(%)

アグリテクノ事業

14,072

103.4

 

②商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績は以下のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 (百万円)

 前年同期比(%)

アグリテクノ事業

817

67.7

 

③受注実績

 当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載を省略しております。

 

④販売実績

 当連結会計年度の販売実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントのため分野別に記載しております。

 分野別の名称

 当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 (百万円)

 前年同期比(%)

農薬

11,885

104.3

肥料・バイオスティミュラント

16,930

109.8

その他

172

117.8

合計

28,988

107.5

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

 当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

金額

(百万円)

割合(%)

金額

(百万円)

割合(%)

丸善薬品産業株式会社

4,852

18.0

4,943

17.1

 

(3)財政状態の分析

① 資産の部

 当連結会計年度末の総資産は340億円となり、前連結会計年度末に比べ29億91百万円増加しました。その内訳は、流動資産が26億66百万円増加、固定資産が3億24百万円増加したことによるものであります。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は195億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億66百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が4億41百万円増加、売掛金が14億97百万円増加、商品及び製品が1億78百万円減少、原材料及び貯蔵品が12百万円減少、仕掛品が5億42百万円増加、その他が3億5百万円増加したことによるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は144億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億24百万円増加しました。その主な要因は、機械装置及び運搬具が51百万円増加、リース資産が46百万円増加、ソフトウェアが25百万円増加、のれんが45百万円減少、投資有価証券が93百万円増加したことによるものであります。

② 負債の部

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は152億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億15百万円増加しました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が7億64百万円減少、短期借入金が40億83百万円増加、その他が3億98百万円増加したことによるものです。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は38億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億48百万円減少しました。その主な要因は、長期借入金が35億96百万円減少したことによるものであります。

③ 純資産の部

 当連結会計年度末における純資産の部は148億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億23百万円増加しました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上24億88百万円、剰余金の配当4億75百万円、為替換算調整勘定が13億1百万円増加したことによるものであります。

 

(4)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億44百万円増加し、当連結会計年度末には37億16百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、獲得した資金は17億89百万円(前連結会計年度は14億16百万円の収入)となりました。これは主として収入面では、税金等調整前当期純利益37億96百万円、減価償却費9億91百万円、のれん償却額6億82百万円等に対して、支出面では、売上債権の増加額14億12百万円、仕入債務の減少額8億95百万円、法人税等の支払額15億74百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、支出した資金は5億85百万円(前連結会計年度は5億69百万円の支出)となりました。これは主として支出面では、有形固定資産の取得による支出3億97百万円、無形固定資産の取得による支出1億22百万円、定期預金の預入80百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、支出した資金は10億52百万円(前連結会計年度は10億29百万円の支出)となりました。これは主として、収入面では、短期借入金の純増加額16億14百万円に対して、支出面では、長期借入金の返済による支出13億33百万円、自己株式の取得による支出6億円、配当金の支払額4億74百万円等によるものであります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は128億14百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は37億16百万円となっております。

 

(6)経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標に照らした分析、検討内容

 当社グループの経営方針、経営戦略等又は目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度においては、2022年2月に策定・公表いたしました「新中期経営計画(2022-2024年)」に掲げた企業活動を実践してまいりました。主な活動は以下のとおりであります。

 ①成長ドライバーへの取組み

・グリーンプロダクツの拡販

 国内果樹・柑橘市場への製品拡販活動の結果、製品に対する高評価を受け、販売量が拡大いたしました。

・バイオスティミュラントの拡販

 バイオスティミュラント製品のメカニズム解明を行い、解明結果を生産者へ伝え製品拡販活動を実施いたしました。

・グローバル製品展開

 殺ダニ剤「ダニサラバ」、殺菌剤「ガッテン」及び「カリグリーン」、肥料製品の販売国を拡大し、輸出量が増加いたしました。

 ②グローバルシナジーの最大化への取組み

・南米、アジアエリアでグループ会社製品の販売展開を行うため、拡販プロジェクトを立ち上げ、販売展開を開始しております。また、研究開発・生産・購買調達の最適化を図るため、グループ会社間連携協力に取り組んでおります。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は37億66百万円(前連結会計年度比4億20百万円増加、同12.6%増)、売上高営業利益率は13.0%(前連結会計年度比3.6%増)、連結ROEは20.0%(前連結会計年度比3.5%減)となり、2023年2月に策定・公表した「新中期経営計画(2023-2025年)」で目標と定めた2025年の経営指標(営業利益、売上高営業利益率、連結ROE)を当連結会計年度で達成いたしました。

 当社グループが主に事業を展開する農業業界においては、国内販売におきましては、農業生産額の減少などにともない市場は縮小傾向にあり、事業環境としてはやや厳しい状況が続くものと考えられます。また、海外販売におきましては、食料の安定供給や作物生産技術の高度化や高品質化など、中長期的には拡大傾向で推移するものと予想しております。

 このような中、当社グループは、「新中期経営計画(2024-2026年)」に基づいた重要課題に取組み、2026年12月期には売上高317億円(当連結会計年度比9.4%増)、営業利益38億円(当連結会計年度比0.9%増)、連結ROE13.8%を達成し、持続的成長軌道に乗せるよう目指してまいります。

 

(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(のれんの減損)

 当社グループは、のれんについて、主として発生日以降5~15年間で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初予想していた収益が見込めなくなった場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(棚卸資産の評価)

 当社グループは、販売目的で保有する棚卸資産は収益性の低下等により期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額の算定に当たっては、直近の販売価額、市場環境等を勘案しておりますが、これらの前提条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が減少することになった場合には、評価損計上の処理が追加で必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。