株式会社マーキュリーリアルテックイノベーター

上場日 (2022-02-25)  情報・通信業インターネットグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E37397 

売上高

14.4億 円

前期

14.1億 円

前期比

101.6%

時価総額

15.1億 円

株価

551 (04/26)

発行済株式数

2,744,000

EPS(実績)

17.49 円

PER(実績)

31.50 倍

平均給与

593.6万 円

前期

570.7万 円

前期比

104.0%

平均年齢(勤続年数)

41.3歳(9.7年)

従業員数

55人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社は、「不動産ビッグデータ×Technology」を事業コンセプトとし様々なサービスを展開しております。当社は不動産マーケティングソリューションの単一セグメントですが、その中で「プラットフォーム事業」「デジタルマーケティング事業」の2つの事業とその他サービスを運営しております。

「プラットフォーム事業」はこれまで自社でマンションデベロッパーより販売が行われるモデルルームやデベロッパー企業様のご担当を通じ物件のパンフレット等の情報収集し、新築分譲マンションのデータベース構築を続けて参りました。

こうした環境下において新築分譲マンションの物件概要情報、新築分譲当時の販売価格情報、物件パンフレット情報などの不動産ビッグデータを活用したSaaS型(注1)マーケティングシステムの提供を行っており、新築マンション業界においてはマンションデベロッパーやマンション販売会社などに向け、マンション相場集計や販売事例一覧表示機能等が搭載された「サマリネット」、「リアナビ」というサブスク型(注2)収益モデルの不動産マーケティングシステムを提供しております。

中古マンション業界では創業以来新築業界向けに蓄積してきた不動産ビッグデータを活用し、新築販売時の物件パンフレット(注3)の画像データや新築時の販売価格などの情報が取得できる「データダウンロードサービス」という従量課金型収益モデルのデータサービスを展開しております。

「デジタルマーケティング事業」は主にマンション販売の集客に係る周辺マンション相場の把握や人気物件の分析ノウハウ等を活用してリスティング広告(注4)のキーワード選定や広告配信エリアの提案など行い、インターネット広告の運用やアクセス解析、Webサイト制作等を行っております。

その他サービスでは、不動産データベースより間取りや販売価格などから世帯属性を想定し広告配布を行うダイレクトメールの配送サービス、システムの受託などのサービスを提供しております。

 

(注)1.SaaSとはSoftware as a Serviceの略でインターネットを介して提供されるソフトウエアのことを指す。

2.サブスク型とはサブスクリプションの略で月額定額料金の収益モデルを指す。

3.パンフレットとはマンションの新築分譲時に購入検討者に対して配布されるコンセプトブックや間取り図面集を指す。

4.リスティング広告とはGoogleやYahoo!が提供する検索エンジンの検索結果で、検索エンジン利用者が検索したキーワードに対し、関連した広告を表示させる広告手法を指す。

事業の種類

具体的なサービス

プラットフォーム事業

サマリネット

リアナビ

データダウンロードサービス

データ提供

デジタルマーケティング事業

リスティング広告運用

サイト制作

その他

タウンマンションプラス

システム開発

マンションバリュー

 

 

(1)プラットフォーム事業

 「プラットフォーム事業」では、「不動産ビッグデータ×Technology」を事業コンセプトとし、各種のサービスを展開しております。

 新築マンション業界向けには「サマリネット」、「リアナビ」など不動産に関連するデータベースを活用したSaaS型マーケティングシステムを提供しております。(現時点でSaaS型で提供しているサービスは、サマリネットのうちマンションサマリとリアナビであります。)

 

 当社の提供する「サマリネット」「リアナビ」は継続課金型の収益モデルとなっており、「サマリネット」及び「リアナビ」のARR(注)は全体の55.8%(2023年2月期)となっております。チャーンレート(解約率)は0.6%(2023年2月期)と低水準であり、継続率が高く安定的な収益確保が可能である点が当サービスの強みとなっております。

 また、当社が保有する新築分譲マンションのデータについては、不動産ポータルサイト運営会社等にデータ提供をおこなっており、これらは不動産ポータルサイト内で過去販売物件の物件概要の掲載や行政区や駅別などエリアごとのマンション相場情報の掲載の為に活用頂いており、データの使用料を月額にて徴収する継続課金型の収益モデルとなっております。

 中古マンション流通業界向けには、新築マンション販売当時に配布されたマンションのコンセプトブック、間取り図面集及び価格表からなるパンフレットの画像データなどの情報が取得できる「データダウンロードサービス」を提供しております。これらのデータは中古マンションの売却査定時や売買商談時に物件の特徴を把握するための情報源としてご活用頂いております。

(注)Annual Recurring Revenueの略で、継続的な契約により毎年決まって得られる売上高を表します。

 

 ① サマリネット

「プラットフォーム事業」における「サマリネット」は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県)・関西圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県)・東海圏(愛知県、岐阜県、三重県)の三大都市圏を対象とし、マンションデベロッパーやマンション販売会社等の新築分譲マンション事業に関わるユーザーがマンション市場の調査等を行う際に必要な過去の販売事例のデータ閲覧やマンション相場集計グラフの出力等が行えるマーケティングシステムです。

現在最も利用者の多いマンションサマリは従来のクライアントサーバ型システムからのSaaS型システムへの移行が終了しており、今後賃貸サマリ、売買サマリ、統計サマリ、開発サマリ、用地サマリ、地質サマリについてもSaaS型システムへの移行を進める計画となっております。

収益モデルは以前のクライアントサーバ型システム同様に月額課金制が主な報酬形態となっており、一部集計レポート等の出力に応じて課金する従量課金も行っております。

 

   各サービスについての特徴は以下の通りです。

サービス名称

特徴

利用方法一例

マンションサマリ

過去に販売された新築分譲マンションの販売データが搭載されており、地図上での物件表示や物件毎の坪単価等の一覧表示、住戸価格の一覧表示、Excelグラフや各種帳票の出力機能等が使用できるサービス

マンション用地購入時に行う市場調査のマーケティングツールとしての利用

賃貸サマリ

賃貸物件の賃料相場を瞬時に集計するシステムで賃貸事例の一覧表示やクロス集計、構成比グラフ等の出力が可能

新築マンション販売時に周辺の賃料相場より住宅費に対する支払い能力などを参考にする為に利用

売買サマリ

中古マンションの相場を瞬時に集計するシステムで販売事例の一覧表示やクロス集計、構成比グラフ等の出力が可能

新築販売時に当該エリアにおける競合物件の位置付けとして中古マンションの相場を把握する為に利用

 

 

サービス名称

特徴

利用方法一例

統計サマリ

国勢調査や住宅土地統計などのデータソースをもとに各町丁目単位での人口、世帯などの集計が可能。グラフや帳票の種類も豊富で地図上でのポリゴン(注)表示機能等も搭載

借家世帯数や平均世帯年収データなどを活用しターゲットボリュームの算出や折り込みチラシ配布エリアの選定等で利用

開発サマリ

分譲マンションのみならず中高層建築の計画情報が閲覧できるサービス

当該地周辺の中高層建築の計画情報を取得し、競合他社の参入や当該地の将来像などを把握する為に利用

用地サマリ

土地の仕入れ担当者が候補用地に対する案件のステータス管理ができるシステムで物件のプロット機能や物件一覧の出力が可能

土地の仕入れ担当者の商談履歴等を地図上で管理するためのツールとして利用

地質サマリ

マンション用地に限らず過去のボーリング調査にもとづき環境リスクレポートの取得が可能

過去のボーリング調査の事例により当該地周辺に土壌汚染、液状化リスク等の1次スクリーニングとして利用

マクロサマリ

当社のマンションデータの大量集計を行うことで、広域かつ長期にわたる不動産マーケットのトレンドを把握

 対象地域または対象駅のマンション価格や分譲件数の推移を把握するために利用

 

(注)ポリゴンとは多角形の面のことで、ここでは「町」や「丁目」などの行政界エリアデータを指す。

 

 なお、賃貸サマリ及び売買サマリはアットホーム株式会社(本店所在地:東京都大田区、代表者名:鶴森康史)、統計サマリはマップマーケティング株式会社(本店所在地:東京都渋谷区、代表者名:新田正則)、地質サマリは応用地質株式会社よりそれぞれデータ提供を受けております。その他は当社顧客より入手したデータであります。

 

 ② リアナビ

「プラットフォーム事業」における「リアナビ」は、SaaS型(リリース当時はASP型と表現)の不動産マーケティングシステムです。

新築分譲マンションの営業担当者をターゲットにリアルタイム性を追求したサービスで、相場情報のほか新規販売情報や完売情報、値引き情報等の販売動向などを即時にユーザーに情報配信することで、新築マンションの販売時に近隣の競合分析や販売戦略の立案等に活用いただいております。

リアナビはユーザーが必要なサービスを選択し、システム利用ライセンス料として月額課金制による収益モデルとなっており、マンションカタログ等の一部従量課金サービスも行っております。

 

   各サービスについての特徴は以下の通りです。

サービス名称

特徴

利用方法一例

マンションカタログ

新築分譲時の物件パンフレット(コンセプトブック、図面集、価格表)の画像データを取得できるサービス

近隣の競合物件調査や商品企画の参考事例として活用

不動産市況

新築、中古、賃貸、戸建て全てのデータによるエリア相場の把握ができるサービス。集計レポートも取得可能

新築、中古、賃貸、戸建てなどの相場を把握し営業戦略の立案や、物件購入検討者に向けた営業資料作成時に活用

 

 

サービス名称

特徴

利用方法一例

エリアポテンシャル

国勢調査等の民力データを活用し、人口、世帯、平均年収等が把握でき、出力グラフ、レポートも取得可能

ターゲット(集客)エリアの選定など広告戦略等の立案時に活用

流通価値算定

物件の売買価格と賃料により表面利回りが瞬時に算出されるツール

過去の販売事例により物件の利回りを算出できるため、営業時に物件の資産性を説明する為に活用

ニュース&トピックス

業界に係るニュースやコラム、各種レポートのダウンロードなど業界特化型の会員向け情報提供サイト

業界ニュースや業界特化したコラム、価格改定情報など情報収集ツールとして活用

リセールプライス

新築時点からの物件価格騰落率が分かるサービス

中古物件の価格査定等で利用

 

 なお、エリアポテンシャルはマップマーケティング株式会社、不動産市況の賃貸データ及びリセールプライスはアットホーム株式会社よりそれぞれデータ提供を受けており、その他は当社顧客より入手したデータとなっております。

 

 ③ データダウンロードサービス

「プラットフォーム事業」における「データダウンロードサービス」は不動産仲介事業者に向けたコンテンツ提供サービスであり、マンション売買仲介業務における物件査定業務時やマンション購入検討者との商談時に必要な情報としてマンションの間取り図や物件の特徴を記載しているコンセプトブック等のデータが取得可能となっており、ご活用頂いております。

当サービスは、株式会社ワンノブアカインド(本店所在地:東京都港区、代表者名:川島直也)との共同運営事業であります。当社はコンテンツの提供及び既存顧客に対するサービスの利用促進営業や今後予定している新たなサービスの提案を行い、株式会社ワンノブアカインドは新規顧客の開拓営業活動及びデータダウンロードサービスのサービス提供サイトのシステム開発及び保守を行っております。

収益モデルはダウンロード数に応じた従量課金となっており、株式会社ワンノブアカインドとレベニューシェアを行っております。

   各サービスについての特徴は以下の通りです。

データ項目

特徴

利用方法一例

パンフレット画像

検索にて特定された物件の新築当時のパンフレット画像(コンセプトブック、図面集)がダウンロードできるサービス

中古マンションの営業において購入検討者に向けた配布資料として新築当時に作成されたパンフレット画像をダウンロードし物件の特徴や間取りの詳細を提示

物件写真

分譲マンションの外観写真やエントランス写真等がダウンロードできるサービス

中古マンションの広告作成や顧客向け資料作成等に利用

新築時価格情報

中古販売履歴情報

新築時の分譲価格や中古販売価格の履歴が一覧表として出力できるサービス

売り物件を査定する際に新築時の価格情報と中古の販売履歴情報を取得し、物件オーナーに対し販売価格の提案を行う際の根拠資料として活用

 

なお、パンフレット画像は当社顧客より入手したデータ、物件写真は当社が制作したデータ、中古販売履歴情報は共同運営事業者の株式会社ワンノブアカインドより提供を受けているものであります。

 

 ④ データ提供

  「プラットフォーム事業」における「データ提供」は主に大手不動産ポータルサイトに対し、物件概要情報や相場情報などをAPI(注)にて提供しております。

(注)Application Programming Interfacenの略で、具体的には当社のデータを他社が使える仕組みを作ること。

 

  以上のプラットフォーム事業の概念図は、次の通りです。

【プラットフォーム事業概念図】

 

※画像省略しています。

(注)簡易GISとは、Googleマップなどの電子地図とデータ連携して、マンション情報等を地図上にて一覧、集計表示するシステムのこと。

 

(2)デジタルマーケティング事業

分譲マンション事業向けのマーケティングノウハウや当社保有の不動産データベースを活用して、インターネット広告の運用、アクセス解析及びバナー(注1)やランディングページ(注2)などクリエイティブ素材の提供、物件サイトの制作等を行っております。

当社が取り扱うインターネット広告はクリック数に応じた課金形式が主流となっており、顧客より月額の運用費用を予算として預かり広告運用を行っております。

 

 ① リスティング広告運用

分譲マンション及び分譲戸建て販売の集客に特化したインターネット広告の運用を行っており、広告運用実績やアクセス解析をもとにモデルルームや販売中物件等への集客促進を担っております。当社の強みとしては、不動産業界及びマンション販売についての知識があり、分譲マンションに関する豊富なデータを保有していることから、特にリスティング広告のキーワード、エリアの選定などを得意としています。Yahoo!プロモーション広告におけるスポンサードサーチ、YDA広告(注3)、GoogleAdwordsにおける検索ネットワーク、GDN広告(注4)だけでなく、Facebook広告、YouTube広告などのSNS広告や位置情報広告も扱っており、物件の完売までをサポートする広告運用代行としてサービス提供を行っております。

 

 ② サイト制作

分譲マンション及び分譲戸建て販売に特化したサイト制作を行っております。広告の対象となる物件の訴求ポイントなどの抽出や販売好調だった物件のクリエイティブ戦略など、当社が長年にわたって蓄積した不動産に関するデータやノウハウを活用し、Webサイト制作やバナー制作などクリエイティブ素材を主に当社のリスティング広告運用の顧客向けに提供しております。

(注)1.ウェブページ上で他のウェブサイトを紹介する役割を持つ画像のこと。

2.ウェブページ上で検索結果や広告などを経由して訪問者が最初にアクセスするページのこと。

3.Yahoo!ディスプレイアドネットワークの略称で、Yahooで出稿できるディスプレイ広告(注5)のこと。

4.Googleディスプレイネットワークの略称で、Googleで出稿できるディスプレイ広告のこと。

5.ウェブページの広告枠に利用者の興味関心に基づき表示される画像広告、動画広告、テキスト広告のこと。バナーで表示されることが多いため、バナー広告と同義で使われることが多い。

 

(3)その他

当社所有の不動産データベース及び顧客の社内システムやWebサービスとデータベースとの連携システムの開発経験等に基づき、以下のサービスを展開しております。

 

 ① タウンマンションプラス

ターゲットを絞り込んでダイレクトメールの配送を行う当社独自のダイレクトメールの配送サービスです。他社のダイレクトメールとの最大の違いは、配布対象のセグメントの方法にあります。タウンマンションプラスでは、当社所有の不動産データベースより築年数や物件価格、間取りなどの物件特性から「世帯属性」や「生活志向」を導き出し、きめ細かく世帯をセグメントすることで、より高い確率で広告主が求めるターゲット顧客に訴求することが可能となり、取り扱う商品やサービスとターゲット顧客とのミスマッチが起こりづらくなる効率的なダイレクトメールの配送が可能となっております。

 

 ② システム開発

サマリネットやリアナビ等の開発・運用実績やデータベース構築ノウハウ等を活かし、システムの受託開発を行っております。

 

 ③ マンションバリュー

マンションオーナー(注)に向けた情報提供サービスです。現在は当社が所有する不動産データを元にしたマンションの相場情報を軸としながら、マンションオーナーに対し所有物件の間取り図、売却時や賃貸時のシミュレーション及びお役立ちコラムなど、マンションオーナーにとって有益な情報を提供しております。3年後を見据えマンションバリューで獲得したマンションオーナー、不動産仲介業者及び購入検討者等が自由にコミュニケーションできるプラットフォーム構築の実現に向けサービスの拡張を行って参ります。

 (注)マンションバリューにおけるマンションオーナーは、分譲マンションの購入者を指します。

 

 

 

[事業系統図]

(1)プラットフォーム事業

 

※画像省略しています。

 

(2)デジタルマーケティング事業

 

※画像省略しています。
23/05/30

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当事業年度における我が国の景気動向は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束に向かうウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって緩やかに持ち直しております。当社の顧客が属する不動産業界におきましては、金融緩和政策の継続及び円安の進展による海外からの資金流入による不動産価格の高止まりや感染拡大防止のためのテレワークの推進に伴う新たな住宅需要の創出等を背景として、住宅建設は底堅い動きとなっております。

当社が事業展開している三大都市圏においては新築マンションの平均価格が年々上昇を続けており、新築マンション業界においても底堅い動きが継続しております。

このような事業環境の下、不動産情報提供サービスを行う当社はサービスの拡大を積極的に推進しております。当社の主力事業である新築マンション事業者向けのSaaS型マンションサマリにおいては、当社サービスの利用アカウントの増加に向けた機能強化及びサービスの拡充等を推進しております。また、成長事業と位置付けている不動産仲介事業者向けのサービスであるデータダウンロードサービスにおいては、新規サービスの開発に引き続き注力しております。

この結果、当事業年度の売上高は1,414,567千円(前事業年度比3.0%増)、営業利益は138,969千円(同31.7%減)、経常利益は141,270千円(同27.2%減)及び当期純利益は92,368千円(同29.5%減)となりました。

なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の流動資産は695,095千円となり、前事業年度末に比べ150,499千円減少しました。これは主に自己株式の取得及び借入金の返済により現金及び預金が151,656千円減少したこと等によるものです。

当事業年度末の固定資産は273,402千円となり、前事業年度末に比べ79,002千円増加しております。これはソフトウエアが33,025千円及びソフトウエア仮勘定が32,371千円それぞれ増加したことによるものですが、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の増加は、SaaS型サービスの機能強化のためのシステム開発を進めたことによるものです。

以上の結果、当事業年度末の資産合計は968,498千円となり、前事業年度末に比べ71,497千円減少しました。

 

(負債)

当事業年度末の流動負債は243,880千円となり、前事業年度末に比べ62,387千円減少しました。これは主に借入金の返済24,900千円及び未払法人税等の減少9,449千円等によるものです。

当事業年度末の固定負債は15,298千円となり、前事業年度末に比べ13,186千円減少しました。これは主に長期借入金の返済により12,000千円減少したこと等によるものです。

以上の結果、負債合計は259,178千円となり、前事業年度末に比べ75,573千円の減少となりました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は709,319千円となり、前事業年度末に比べ4,076千円増加いたしました。これは、自己株式の取得88,133千円により減少したものの、当期純利益の計上による利益剰余金の増加92,368千円のほかストックオプションの権利行使等により増加したことによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ151,656千円減少し、当事業年度末には479,721千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は107,638千円(前事業年度は221,788千円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が142,962千円、減価償却費が60,468千円ありましたが、法人税等の支払額が75,440千円あったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は122,815千円(前事業年度は63,351千円の使用)となりました。当事業年度においては、前事業年度に引き続きサマリネットのSaaS型サービスへのリプレイスのためのシステム開発投資に資金を使用いたしました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は136,479千円(前事業年度は248,194千円の獲得)となりました。これは主に自己株式の取得による支出93,080千円及び長期借入金の返済による支出26,900千円があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を行っておりません。

セグメントの名称

第32期事業年度

(自 2022年3月1日

2023年2月28日

前年

同期比
(%)

不動産マーケティングソリューション事業(千円)

1,414,567

+3.0

合計(千円)

1,414,567

+3.0

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損)

 当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定は慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.  財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.  経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は、1,414,567千円(前事業年度比3.0%増)となりました。事業別にはプラットフォーム事業923,408千円、デジタルマーケティング事業354,366千円及びその他136,791千円でありました。

プラットフォーム事業においては、コロナ禍におけるテレワーク需要を捉えたクライアントサーバ型システムからSaaS型システムへのリプレイスに加え、ライセンス増加による増収効果により、前事業年度比4.4%増の売上高増加となりました。

デジタルマーケティング事業では、既存顧客の深耕により受注件数が増加したこと及び広告運用の内製化により粗利率が改善した結果、前事業年度比3.3%増の売上高増加となりました。

その他事業は前事業年度比5.7%減となりましたが、その主な要因はリフォーム案件の取扱いを中止したことに伴う売上高減少です。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は、新サービスの開発を積極的に推進するためのエンジニア採用に伴い労務費が増加したこと及びソフトウェア償却が増加したこと等により、745,466千円(前事業年度比13.3%増)となりました。

この結果、売上総利益は669,101千円(前事業年度比6.4%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、530,131千円(前事業年度比3.7%増)となりました。主な要因は、インフラ開発要員の現業シフトに伴う人件費の減少22,057千円があった一方で、新サービスの開発のための研究開発費を54,633千円増額させたこと等によるものであります。

この結果、営業利益は138,969千円(前事業年度比31.7%減)となりました。

(営業外損益、経常利益)

当事業年度における営業外収益は、2,886千円(前事業年度比66.8%減)、営業外費用は584千円(前事業年度比96.8%減)となりました。営業外費用が大幅に減少したのは、前事業年度の上場関連費用15,705千円が当事業年度には発生しなかったためであります。

この結果、経常利益は141,270千円(前事業年度比27.2%減)となりました。

(特別損益、当期純利益)

当事業年度における法人税等(法人税等調整額を含む)は50,593千円となりました。

この結果、当事業年度の当期純利益は92,368千円(前事業年度比29.5%減)となりました。

 

目標とする経営指標等の達成状況について

当社は、全社的に重視する指標として売上高及び営業利益を設定しております。

また、サービス毎には、主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)における平均顧客単価(サマリネット)、平均顧客数(サマリネット)、ARR(サマリネット・リアナビ)及び解約率(サマリネット・リアナビ)を、不動産仲介事業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては売上高及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。

 

それぞれの指標の推移は下表のとおりであります。

 

 

 

第31期事業年度

(自 2021年3月1日

2022年2月28日

第32期事業年度

(自 2022年3月1日

2023年2月28日

売上高

(千円)

1,372,800

1,414,567

営業利益

(千円)

203,425

138,969

サマリネット・リアナビ

平均顧客単価

(千円)

203

233

平均顧客数

(社)

267

267

ARR

(千円)

670,814

755,925

解約率

(%)

0.7

0.6

データダウン

ロードサービス

売上高

(千円)

101,542

65,681

平均顧客数

(社)

1,947

2,420

 

 

サマリネット・リアナビについては平均顧客数が横ばいでしたが、SaaS型サービスにおけるライセンス追加等のアップセルを推進したことにより平均顧客単価が上昇し、ARRは順調に増加しております。顧客企業におけるテレワークの広がりなど多様な働き方へのニーズの高まりを背景として、SaaS型サービスが一定の評価を受けているものと考えております。

また、解約率は0.6%と依然として低い水準に抑えられております。

データダウンロードサービスについては、平均顧客数は堅調に増加しておりますが、売上高は大幅な減少となっております。売上高の減少要因としましては、第31期事業年度において計上したスポット受注が当事業年度には計上されなかったこと等によるものであります。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金の手許流動性や財務健全性を考慮したうえで、原則として自己資金を財源とする方針に基づき事業運営、設備投資を実施しております。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の財政状態及び経営成績の分析については、前記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、新規住宅及び既存住宅の流通動向や不動産会社の販売促進活動の動向等があります。また、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社の経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針

当社が今後更なる成長を遂げるために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対処することが重要であると認識しております。そのため、当社の経営成績等に重要な影響を与える要因に対応すべく、当社では新規住宅及び既存住宅を含めた不動産全体の市場動向を鑑みて、顧客のニーズに合わせたサービスを開発・提供していく方針であります。