E38171
前期
8.90億 円
前期比
130.4%
株価
885 (05/01)
発行済株式数
4,607,700
EPS(実績)
34.40 円
PER(実績)
25.73 倍
前期
691.0万 円
前期比
88.7%
平均年齢(勤続年数)
32.4歳(2.3年)
従業員数
30人
当社は「一人ひとりの『らしさ』であふれる世界」というビジョンを掲げ、「『できる』をあたりまえに」をミッションとし、多様性の尊重が社会的に重要なテーマとして注目される昨今、一人ひとりの無限の可能性を実現する機会やきっかけを提供し、豊かなライフスタイルで溢れる世界の実現を目指しております。
ビジョンの実現のために、レンタルスペースの予約プラットフォームである「インスタベース」により、ありとあらゆる場所で、フレキシブルに使えるスペースを提供することで、一人ひとりが思う存分、場所の制限なく、自身を表現できる世界を創造してまいります。
当社はマッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。主たるサービスは「インスタベース」であり、概要は以下の通りであります。
「インスタベース」は、当社の主軸サービスと位置付けており、「人」と「空間」を繋ぐプラットフォームであります。空いている物件やスペースを貸したい人(以下、「スペース掲載者」という)が貸したい期間や時間帯だけスペースを提供し、スペースを使いたい人(以下、「スペース利用者」という)が使いたい期間や時間帯をインターネットを通じてパソコンやスマートフォンから予約することができるマッチングサービスであります。
当社は、「インスタベース」という「人」と「空間」を繋ぐ仕組みの提供を通じて、場所の制限なく人々の持てる可能性を広げ、一人ひとりが持つ想いを実現できる世界を目指しております。
「インスタベース」では、スペースの利用シーンに合わせて、会議室やテレワークスペース、古民家や撮影スタジオ、ダンススタジオなど多種多様なスペースを提供しております。また、スペースの利用目的においては、打ち合わせや商談、セミナーや研修、勉強会などのビジネスユースに留まらず、ヨガやダンスレッスン、撮影、ホームパーティー、各種イベントなどあらゆるニーズに対応しております。遊休スペースを抱えて困っている人、目的に応じて最適な場所を探すことに困っている人、その双方が抱える課題を最適にマッチングすることによって解決するサービスが「インスタベース」であります。
「インスタベース」の特徴の一つが集客力です。「インスタベース」では特定の利用用途に偏らずに、幅広い用途で集客を最大化することに注力してまいりました。一般的に「レンタルスペース」や「時間貸しスペース」として想起される利用イメージは、会議や打ち合わせ(貸し会議室)、会社説明会やセミナー(セミナールーム)、また友人同士でのパーティー(パーティールーム)と思われますが、「インスタベース」ではこのような利用以外にも、ダンスやヨガなどのレッスンに利用できるスタジオ、プライベートジムとして利用できるフィットネススペース、商品・サービス・人物の撮影スペース、エステやネイルなどの施術可能なサロンスペースなど、幅広い用途に対応した多岐に渡るスペースが掲載され、利用されております。
このように、幅広い利用用途としてポートフォリオを広げてきたことで、コロナ禍においても予約数を増加させることができ、さらにはリピート率の高い用途での予約数を大きく増やすことができました。
これまで活動場所を必要としている人は、多額の初期費用を用意して物件を賃貸借契約するか、自宅の一部を教室などの活動場所として確保するか、公民館などの場所を借りるかなど、活動場所として最適な場所を見つけづらい状態でした。また、不動産オーナーから借り手のつかない賃貸物件を収益化したいという相談を多くいただいております。当社の展開する「インスタベース」では、時間単位・日単位での提供が可能なため、賃貸テナントがつかない期間や営業時間外の時間帯だけ、活動場所を必要とする人に提供することができます。
所有スペースを手軽にかつ安心して貸し出せるよう、スペース掲載者に対して必要な管理機能やサービスを提供しております。具体的には、スペースページの作成・管理、予約管理や利用料金の回収、万が一に備えた補償サービスやダブルブッキングを防止するための外部のカレンダーサービスや予約管理システムとの連携機能、さらにスマートロックや防犯カメラをはじめとしたIoT機器(※)とのシステム連携など、効率的でセキュアかつ省人化した運営が行える仕組みを提供しております。
※ Internet of Things の略であり、あらゆるモノをインターネットと接続する技術のことで、モノ同士が相互に通信することにより実現するサービスや仕組みのこと
当社はこのようにスペース掲載者にとって魅力的な価値提供を行うことで、スペース掲載者からスペース利用料に対する手数料(〜35%)をいただいております。スペース利用者は予約時にオンライン決済にてスペース利用料を支払い、決済代行会社を通じて当社がスペース利用料を一括回収し、スペース利用料から手数料を控除した金額をスペース掲載者にお支払いするスキームとなっております。なお、スペース掲載者からいただく手数料は集客という価値提供に対する対価であり、スペース利用者による予約率を最大化したいと考えております。そのため、予約時の確認項目を少なくすることでスペース利用者ができる限りスムーズに予約していただけるよう、スペース利用者からは手数料をいただいておりません。
また、「インスタベース」に付随するサービスとして、飲食を伴うスペース利用時に飲食物の手配の手間をなくすため、スペース利用者とデリバリー・ケータリング事業者をマッチングするサービス「インスタベースPlate」、スペース掲載者とレンタルスペースの運営に最適な商品やサービスを提供する事業者をマッチングする「マーケットプレイス」も展開しております。なお、「インスタベースPlate」においては、スペースの予約と同時にシームレスに飲食物の予約ができる仕組みについて特許を取得しております。
① スペース利用者への価値提供
1.パソコン・スマートフォンで24時間いつでも検索・予約可能
エリアや用途、利用日時などから気軽に目的に合わせたスペースを検索することができ、気になるスペースについてはスペースページにてスペースの内観写真、設備や備品、口コミなどスペースに関する詳細情報をいつでも確認できます。予約する際には電話や書面でのやり取りなどは必要なく、Web上で手軽に予約完結できます。スペース利用者のマイページでは、予約情報や予約したスペースの入退室方法も確認でき、メッセージ機能を通じてスペース掲載者とやり取りをすることも可能です。さらにスマートフォン向けアプリケーションを利用すれば利用直前や利用終了時刻の直前にお知らせの通知を受け取ることも可能です。
2.多種多様な用途で利用可能
スペース利用の目的はスペース利用者ごとに多種多様であるため、多岐にわたる利用ニーズに応えられるよう、創業以来掲載スペース数の増加ならびに様々なタイプのスペース掲載を促進してまいりました。結果として「インスタベース」では日本全国すべての都道府県でスペースが掲載され、当社調べにおいてレンタルスペースのマッチングプラットフォームとして掲載スペース数が最多のサービス(※1)であります。
3.安心して利用できるサービスや機能が充実
法人、個人問わず安心してご利用いただけるよう充実した決済方法や、万が一に備えた補償サービス「インスタベース安心補償」を提供しています。決済方法としては、クレジットカード決済、コンビニ決済、銀行振込(※2)、請求書等の後払い(※3)など、スペース利用者のニーズに合わせた様々な決済手段を提供しております。また、「インスタベース安心補償」はスペース利用者が過失により利用したスペース内の備品や設備等を壊してしまった場合などにおいて、最大1億円が補償されるサービスであります。
これらの機能やサービスは、スペース利用者であればサービス利用料等は一切かからず利用が可能です。(※4)
※1 「スペースシェアリングサービス カオスマップ2022年版」(モノオク株式会社による調査)に記載された日本国内におけるレンタルスペースのスペースシェアリングサービス各社における2023年3月31日時点の掲載スペース数を調査
※2 Pay-easy払いとして銀行振込によるスペース利用料の支払いが可能です。
※3 株式会社ラクーンフィナンシャルが提供する決済サービス「Paid」にて後払い決済が可能です。
※4 決済方法によっては、決済手数料がかかる場合があります。
② スペース掲載者への価値提供
1.充実した予約管理機能や運営サポート
「インスタベース」ではスペース掲載者に対してスペース利用者の集客だけではなく、スペースページ作成管理機能や予約管理機能、ダブルブッキング防止のためGoogleカレンダーと「インスタベース」の予約情報を自動連携する機能やスマートロック・監視カメラなどIoT機器(※)と「インスタベース」の予約を自動連携する機能など、レンタルスペースの運営に欠かせない機能を提供しております。
2.安心のサポート体制
スペース掲載者からの問い合わせに対応するための専門部門を設置し、レンタルスペース運営のサポートを実施しております。
また、スペース利用料の回収については、決済代行会社を通じて当社がスペース利用料を一括回収し、スペース利用後にスペース利用料からサービス手数料を控除した金額をスペース掲載者にお支払いしております。スペース利用者のキャンセルによりキャンセル料金が発生した場合にも、予約時の決済料金から漏れなく回収しており、料金回収の不安なく運営できる仕組みを提供しております。
さらに、スペース利用者が過失によりスペース利用時にスペース内の備品や設備を損壊してしまった場合などにおいて最大1億円が補償される補償サービス「インスタベース安心補償」を提供しており、万が一に備えたサポート体制も整えております。
3.シンプルな料金体系
スペース掲載にあたりかかるコストは、スペース利用料に対するサービス手数料のみの完全成果報酬型となっており、初期費用や月額固定費用などは一切かかりません。サービス手数料には、各スペースへの集客のみならず、「1.充実した予約管理機能や運営サポート」や「2.安心のサポート体制」に記載しているスペース掲載者への提供価値のすべてを内包して提供しており、余計なコストをかけることなく安心して「インスタベース」を利用いただいております。
※ Internet of Things の略であり、あらゆるモノをインターネットと接続する技術のことで、モノ同士が相互に通信することにより実現するサービスや仕組みのこと
(3) スペース掲載者の特徴
「インスタベース」のスペース掲載者は、以下3タイプに大別されると考えております。
① 遊休不動産の所有者(不動産オーナー)
賃貸テナント募集をしているものの、長期間借り手が付かない物件を所有する不動産オーナーが、借り手が見つかるまで期間限定でレンタルスペースとして貸し出すことで、遊休不動産を収益化しております。簡易的なレンタルスペースであれば、机と椅子さえあれば貸し会議室として貸す出すことも可能で、コストを抑えて収益化ができます。
② 既存店舗・施設等の事業者
飲食店やサロン、宿泊施設など、営業時間外や予約の入っていない時間帯をレンタルスペースとして貸し出すことで、遊休スペースを有効活用し本業以外で収益化しております。既存の備品や設備をそのまま活用できるケースが多く、①と同様、コストを抑えて収益化ができます。またレンタルスペースは基本的に「時間貸し」のため、本業の営業時間や予約時間と調整しやすいことも特徴です。
③ レンタルスペース専業の事業者(運営代行会社含む)
不動産投資の1つとして、自身でレンタルスペース運営可能な賃貸物件を契約し、内装リフォームや備品等の初期投資をおこない、レンタルスペースとして貸し出すことで得た収益で家賃及び初期投資コストを回収し収益化しております。①遊休不動産の所有者や②既存店舗・施設等の事業者から委託を受けてレンタルスペースの運営代行をおこなっているケースもあります。
(4) サービスの優位性
① 日本最大級のマッチングプラットフォーム
「インスタベース」の掲載スペース数は26,000件(2023年3月末時点)を超えており、当社調べにおいてレンタルスペースのマッチングプラットフォームとして掲載スペース数が最多のサービスであります。
当社設立時からサービス提供を開始し、ゼロからスペース獲得のための営業及びマーケティングを行ってまいりました。当社では経営効率の最大化を目指し、営業人員に依存せず、自社開発した営業リストの自動作成ツールの活用やメールマーケティングツールなどの活用、Web広告などのオンライン獲得施策の実施、またワークボックス・宿泊施設・娯楽施設等を運営する企業や不動産会社とのアライアンスにより、少人数で効率的なスペースの獲得体制及び仕組みを構築しております。さらに、スペースを安心して掲載いただくため、スペース掲載者に提供する予約管理機能の充実やレンタルスペースの運営を効率化させるIoT機器とのシステム連携、万が一に備えた補償サービスなども提供しております。
2022年3月には旅行業(東京都知事登録旅行業第3-8196号)に登録し、コロナ禍において空室に悩む宿泊施設の客室をワークスペースなどの時間貸しスペースとして貸し出せるよう体制を整え、大手チェーンホテルをはじめとした宿泊施設の客室を数多く掲載いただいております。
また、集合住宅における共有施設を入居者のみに貸し出せるよう、スペース掲載者が利用者を限定してスペースを貸し出すことができる「コミュニティ機能」の提供も行っており、大手不動産会社の分譲マンションをはじめとして複数の集合住宅に導入いただいております。
② 掲載スペースに対する集客
検索エンジンからの流入を最大化するために、効率的な各種WEBマーケティング施策の実施、既存のスペース利用者に対するメールマーケティングを用いた利用促進及びリピート率の向上、UI/UXの最適化による CVR(※1)改善などを実施しており、2023年3月期において利用総額3,807百万円(前期比 36.8%増)、利用数878千件(前期比 27.9%増)と年々集客力を伸ばしております。
その結果、スペース掲載開始年別の予約スペース(※2)あたりの予約総額及び予約総数ともに右肩上がりで増加しております。継続的な掲載により、スペースの認知向上やスペース利用者のニーズに合わせた内装や備品等の充実、スペース運営面の改善によるレビュー評価の向上につながっております。また「インスタベース」においてマッチング精度を向上させるための UI/UX の改善、様々な決済方法の提供など、予約しやすい機能やサービスの提供により、年々予約スペースあたりの予約総額及び予約総数ともに増加し、各スペースへの集客に貢献しております。
※1 Conversion Rate(コンバージョンレート)の略(予約転換率)
※2 当該年において「インスタベース」を通じて予約が発生したスペース
③ ユーザーファーストなプロダクト開発
「インスタベース」はすべて社内で企画し開発しており、柔軟かつ迅速な開発が行える体制を構築しております。マッチングプラットフォームとしてスペース利用者及びスペース掲載者の利便性向上のための機能やシステムの開発を中心に、安心かつ安定したサービスを提供するための基幹システムの構築及び運用を行っております。
また、WEBサービスと合わせてスマートフォン向けアプリケーションの提供や、法人・個人問わずより多くの方にご利用いただけるよう多種多様な決済方法の提供など、サービス利用者のニーズに合わせたインターフェース及び機能の開発を行っており、日々サービスの利便性向上に努めております。
さらに、AI(人工知能)画像判定を活用したスペースの検索結果の最適化(特許出願中)によりマッチングプラットフォームとしてのマッチング精度向上や、スペース予約と同時に飲食物をシームレスに予約できるシステム(特許取得済)によりスペース利用者に対するレンタルスペースの利用機会の創出及び利便性の向上にも取り組んでおります。
(5) プラットフォームサービスとしての健全性
当社ではスペース掲載者及びスペース利用者への法令及び公序良俗の遵守を促し、適切かつ健全なレンタルスペース利用の向上に努めております。スペース利用者及びスペース掲載者の双方に対する規約を整備するとともに、双方からの問い合わせに対応する部門を設置し、法令や規約の禁止事項等に抵触する恐れのある問い合わせや行為が発覚した場合には、顧問弁護士等の専門家と連携して解決に努めております。
また、反社会的勢力の排除にも努めており、反社会的勢力に対する基本方針を定めて役職員への周知徹底やコンプライアンス研修の実施により社内での理解を深めております。プラットフォームサービスとして、スペース掲載者の本人確認による実在性確認及び反社会的勢力排除への取り組みも実施しております。
さらに、スペース利用後にスペース利用者はスペース掲載者に対して、スペース掲載者はスペース利用者に対して相互にレビューができる仕組みを提供しており、適切なレビューが行われるようにチェック体制も整え、健全なプラットフォームの運営に努めております。
[事業系統図]
マッチングプラットフォーム事業「インスタベース」
当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度(2022年4月1日〜2023年3月31日)におけるわが国の経済は、ロシア・ウクライナ情勢の影響によるエネルギー・原材料価格の上昇を始めとした多品目に及ぶ物価高騰で下押し圧力がみられたものの、新型コロナウイルス感染症の行動制限が徐々に緩和され、社会生活が平常化したことから個人消費を中心として緩やかな回復基調で推移しました。また、世界経済につきましては、経済活動は回復傾向が続きましたが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格の高騰、世界的な物価上昇により先行き不透明な状況が続いております。さらに、米国の利上げにより、債券価格が下がり破綻する銀行・破綻懸念先の銀行が現れ、金融資本市場や景気の先行きはさらに不透明なものとなっております。
このような環境の中、当社のマッチングプラットフォーム事業である「インスタベース」に関連するシェアリングエコノミー市場におけるスペースシェア領域の市場規模は、2021年度3,564億円から2022年度3,797億円へ成長し、今後も継続的に成長する予測となっております。(※)
当事業年度においては、テレワークやリモートワークのみならず行動制限の緩和に伴い、大人数利用の各種イベント、パーティーの需要増等、多様且つ多岐にわたり、空きスペースを利活用する需要が見られました。
このような状況下において、「インスタベース」では、WEBマーケティングの有効活用による継続的なユーザー獲得の強化を図るとともに、大手企業とのサービス連携や決済手段の拡充、トップページのリニューアル、利用者向けキャンペーン企画やインフルエンサーマーケティングの展開、各種IoTサービスとの連携など、利用者ニーズの変化に対応したスペースの獲得、利便性向上および認知促進、掲載者の安全かつ効率的な運営管理の実現、UI/UXの改善などを行なってまいりました。
その結果、当事業年度においては、当社の重要指標である「インスタベース」の利用総額は3,807百万円(前期2,783百万円)、利用数は878千件(前期686千件)、掲載スペース数は26.8千件(前期19.0千件)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は1,160,574千円(前期比30.4%増)、営業利益は255,344千円(前期比20.7%増)、経常利益は248,580千円(前期比17.7%増)、当期純利益は158,491千円(前期比13.4%増)となりました。
なお、当社は、マッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
※一般社団法人シェアリングエコノミー協会および株式会社情報通信総合研究所の共同調査:
2022年1月「シェアリングエコノミー関連調査2021年度調査結果」、2023年1月「シェアリングエコノミー関連調査2022年度調査結果」
② 財政状態の状況
(資産の部)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ278,617千円増加し、920,279千円となりました。これは主に、当期純利益の増加及び東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行による現金及び預金の増加が239,153千円、売上高増加に伴う売掛金の増加が18,453千円あったことによるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べ4,983千円増加し、159,602千円となりました。これは主に、「インスタベース」の新規機能等の開発によりソフトウエアを計上したこと等に伴う無形固定資産の増加が19,874千円、本社移転及び新規事業検討のための有形固定資産の減少が7,161千円、敷金差入保証金の減少が4,322千円、繰延税金資産の減少が3,116千円あったことによるものです。
この結果、当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ283,600千円増加し、1,079,882千円となりました。
(負債の部)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて30,838千円増加し、339,031千円となりました。これは主に、本社移転に伴う工事費用の支払等により未払金の減少が35,716千円、「インスタベース」の事業拡大に伴うスペース掲載者への支払予定額増加により預り金の増加が68,477千円、税引前当期純利益が増加したことに伴い未払法人税等の増加が3,779千円あったことによるものです。
固定負債は、前事業年度末と比べて75,010千円減少し、残高はありません。これは、長期借入金を返済したことによるものです。
この結果、当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ44,171千円減少し、339,031千円となりました。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて327,771千円増加し、740,851千円となりました。これは、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行による資本金及び資本剰余金の増加がそれぞれ84,640千円、当期純利益の増加による利益剰余金の増加158,491千円によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて、239,153千円増加し、792,629千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果として得られた資金は221,807千円(前期は249,472千円の獲得)となりました。これは主として、税引前当期純利益248,580千円(前年同期比42,057千円増加)、売上債権の増加額18,453千円(前年同期比466千円減少)、未払金の減少額23,876千円(前年同期比101,208千円減少)及び法人税等の支払額91,289千円(前年同期比39,521千円増加)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果として使用した資金は47,753千円(前期は121,748千円の使用)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出16,393千円(前年同期比29,774千円減少)及び無形固定資産の取得による支出31,359千円(前年同期比85千円減少)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果として得られた資金は65,099千円(前期は1,094千円の獲得)となりました。これは主として、短期借入金の純減少額12,470千円(前年同期比24,940千円減少)、長期借入金の返済による支出85,006千円(前年同期比73,630千円減少)及び株式の発行による収入169,280千円(前年同期比169,280千円増加)によるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社の事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社の事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社の事業別の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社は、マッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況1財務諸表等(1)財務諸表注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況1財務諸表等(1)財務諸表注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
なお、財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産の減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。固定資産における回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異については、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
(売上高)
当事業年度における売上高は、インスタベースにおける利用総額・利用数・掲載スペース数がそれぞれ堅調に増加したことにより、1,160,574千円(前期比30.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ220,275千円増加し、880,453千円となりました。これは主に、「インスタベース」の新規顧客の獲得を目的とした広告出稿の増加に伴い広告宣伝費が76,225千円、「インスタベース」の利用総額の増加による決済代行会社に対する決済手数料の増加に伴い支払手数料が45,446千円、事業拡大に伴う人員増加により給料及び手当が21,721千円、内部管理体制の充実を図るための役員増員に伴い役員報酬が17,452千円増加したことによるものです。
この結果、営業利益は255,344千円(前期比20.7%増)となりました。
(営業外損益、経常利益、当期純利益)
当事業年度における営業外損益は、営業外収益が前事業年度に比べ51千円減少し、9千円となりました。また、営業外費用は、前事業年度に比べ6,271千円増加し、6,773千円となりました。
この結果、経常利益は248,580千円(前期比17.7%増)、当期純利益は158,491千円(前期比13.4%増)となりました。
当社のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社の資金需要の主なものは、当社サービスを拡大していくための開発及びマーケティング・営業・顧客対応等の事業運営に必要な人員の人件費、認知度向上及び顧客基盤拡大に係る広告宣伝費、当社サービス運営に必要な決済手数料に係る支払手数料であります。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本とし、必要に応じて銀行借入により調達することとしております。
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。