プライム・ストラテジー株式会社

上場日 (2023-02-22) 
ブランドなど:KUSANAGI Stack
情報・通信業ソフトウエアスタンダード

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E38367 

売上高

8.77億 円

前期

7.71億 円

前期比

113.8%

時価総額

58.9億 円

株価

1,691 (03/28)

発行済株式数

3,485,000

EPS(実績)

53.19 円

PER(実績)

31.79 倍

平均給与

649.3万 円

前期

616.7万 円

前期比

105.3%

平均年齢(勤続年数)

43.8歳(4.8年)

従業員数

22人(連結:23人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループの事業は、「KUSANAGI Stack」とその開発元としての技術力と知見により、顧客のWordPress等のCMSやWebシステムに関わる課題を解決するものであります。

 一般的にCMSの実行環境としては、大きく「レンタルサーバ」と「パブリッククラウド」の2種類に分類されます。これらを比較すると「レンタルサーバ」は安価に導入ができますが、処理性能が低く、またカスタマイズできる範囲が狭いため個人や小規模サイトを対象にしたものです。逆に「パブリッククラウド」は一定の費用は掛かりますが、処理性能が高く、またカスタマイズできる範囲も広いため、中~大規模サイト向けとなっております。

 

 当社が開発した超高速CMS実行環境「KUSANAGI」、Web表示高速化エンジン「WEXAL® Page Speed Technology®」、戦略AI「ONIMARU® David」によって構成するプロダクト群である「KUSANAGI Stack」はパブリッククラウド上で提供されております。「KUSANAGI」及び「KUSANAGI Stack」を利用することで、顧客のWordPress等のCMSやWebシステムを高速かつ安全に稼働させることができ、Webサイトへのアクセス集中によるサーバダウンや表示速度低下の回避が可能になります。

 当社サービスは「KUSANAGI Stack事業」の単一セグメントであり、「KUSANAGIマネージドサービス」「クラウドインテグレーションサービス」「ライセンス販売」の3つのサービスがあります。

 

(1) 当社グループの製品

 

「KUSANAGI」(クサナギ)

 「KUSANAGI」は、WordPress等のCMSやWebシステムを高速かつ安全に動作させるための実行環境です。

「KUSANAGI」は当社グループがWordPressのシステムインテグレーターとして培ってきたCMSの高速動作やセキュリティに関する知見をもとに開発を重ねた製品であり、「KUSANAGI」を搭載しない標準的な実行環境(注1) と比べ、メディアサイトなどすべての閲覧者に同一のページを表示するサイトにおいて、ページキャッシュ使用時に約2,330倍の、会員サイトなど閲覧者(会員)ごとに個別のページを表示するサイトにおいて、キャッシュ非使用時に約20倍の高速化を実現します。この高速化により、ページ閲覧者には素早いページの表示や、「KUSANAGI」を利用しているユーザーにおいてはアクセス集中時等、サーバ負荷が高い時でも安定的に閲覧可能なサイト環境の運営が可能になるというメリットを享受することができます。

※画像省略しています。

 

また、「KUSANAGI」はフリーミアムモデルを採用しており、製品を無償提供することでプロダクトの認知を向上させ、そこから有償の運用保守サービスや有償版のライセンス販売等の有償サービスへ繋げる戦略をとっております。

その結果、高速化やその他「KUSANAGI」が提供する利便性が認められ、国内外の主要な26クラウド事業者と直接提携し、2023年11月現在34カ国206リージョンで利用可能となり、2023年10月末現在の累計稼働台数は8万台(注2)を超えております。

また、「KUSANAGI」は無償版の他、上位版として「KUSANAGI Business Edition」「KUSANAGI Premium Edition」も提供しております。「KUSANAGI Business Edition」はビジネス用途としてベースとなるオペレーティングシステムのEOLまでのアップデートを保証しており、「KUSANAGI Premium Edition」には「WEXAL® Page Speed Technology®」と「ONIMARU® David」を搭載しております。価格は利用するCPUのコア数に比例し、以下のとおりとなっております。

(単位:円)

有償版価格表

2コア

4コア

8コア

16コア

32コア

64コア

KUSANAGI Business Edition

5,400

7,200

11,000

14,700

18,600

22,600

KUSANAGI Premium Edition

54,400

72,000

110,000

147,000

186,000

226,000

 

なお、競合製品として各種のWordPress高速化プラグインもありますが、これらは、WordPress(アプリケーション)本体にのみ効果がある単一機能のものです。「KUSANAGI」は、アプリケーションだけではなくサーバ(PHPやデータベース等)の処理まで高速化させるため、競合製品と比べて高速化の割合が高くなります。

 

「WEXAL® Page Speed Technology®」(ウェクサル ページ スピード テクノロジー)

 「KUSANAGI」がCMS等のサーバ上でのアプリケーション実行速度を高速化させるのに対して、「WEXAL® Page Speed Technology®」は主としてWebページを構成するHTMLや画像等のリソースの最適化を行い、Webページを閲覧するユーザーの利用するスマートフォン等のクライアント端末とWebページを配信するサーバ間のネットワーク通信の高速化や通信量の削減、ユーザーの閲覧するWebページのブラウザ上でのページ描画の最適化を行うWebサイトの表示高速化エンジンです。

 

「ONIMARU® David」(オニマル デイヴィッド)

 当社が開発する戦略AIを総称して「David」と呼称しており、ONIMARU®はWebシステム・Webサイトのページを解析し最適な高速化戦略を立案するWebサイト最適化版AIソフトウェアです。もともと「WEXAL® Page Speed Technology®」単体では高速化戦略をエンジニアが設定する必要があるところを、本製品により自動的に設定することが可能となり、「WEXAL® Page Speed Technology®」の効果をより高めるための製品となります。

 

「KUSANAGI Stack」(クサナギ スタック)

個別製品ではありませんが、超高速CMS実行環境「KUSANAGI」を中心としたWeb表示高速化エンジン「WEXAL® Page Speed Technology®」、戦略AI「ONIMARU® David」によって構成される当社グループのプロダクト群を総称した名称です。

 

※画像省略しています。

(図)KUSANAGI Stackにおける製品とサービスの関連性

Webページが表示されるためには「データ作成」と「データ表示」の2つの処理が必要となります。「データ生成」であるサーバ側の処理を「KUSANAGI」が高速化し、サーバ処理後の「データ表示」を「WEXAL® Page Speed Technology®」と戦略AI「ONIMARU® David」が高速化するため、これらのプロダクト群である「KUSANAGI Stack」を利用することで、トータルで高い高速性が実現でき、閲覧者にストレスの無い閲覧環境を提供することができます。

※画像省略しています。

 

(2) 当社グループのサービス

当社グループのサービスは「KUSANAGI Stack」とその開発元としての技術力と知見により顧客のWeb運用に関わる課題を解決するものであります。

 

(a) KUSANAGIマネージドサービス

 主としてパブリッククラウド上の「KUSANAGI」を中心に展開されたクラウドコンピューティングリソースおよび「KUSANAGI」上で動作するWordPressを中心とするCMSアプリケーションで構成された法人顧客のWebサイト保守・運用をサブスクリプション型の月額課金にて行う、当社グループの主力サービスであります。

 監視、障害対応、ソフトウェアのアップデート、バックアップの取得、システムパフォーマンスの改善提案やWordPress関連の技術サポートの提供等のフルマネージドサービスをワンストップで提供しております。オペレーションについてもハイパーオートメーションなどの自動化により省力化を図ることで戦略的な価格設定が可能となっております。

 

 当サービスの特徴は以下のとおりであります。

・クラウドインフラから具体的な顧客固有のCMSの動作状況まで一貫したサポートが可能である。

・「KUSANAGI」上で動作させるCMSアプリケーションの動作速度が高速になることから標準的なオペレーティングシステム等の実行環境上での運用に比べて、Webページの応答にかかる時間を短縮できるため、Webサイトを閲覧するユーザーには高いUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供でき、また、より少ないクラウドコンピューティングリソースでの運用が可能となるためWebサイトの運営者にとってはコストメリットを得やすい

・CMSの構築が他社である場合であっても保守・運用を引き受けることが可能である。

 

KUSANAGIマネージドサービスの料金体系は月間ページビュー(PV)数を元にしており、具体的な料金表は以下のとおりとなります。なお、2023年11月時点の顧客数は109社であり、顧客単価は434千円/月、MRRは48,643千円となっております。

 

※画像省略しています。

 

 

(b) クラウドインテグレーションサービス

 A サービス導入時のシステムインテグレーション

 新規にクラウド事業者の環境上で顧客のWebサイトを「KUSANAGI」を利用して構築する際や、顧客の既存のWebサイトをクラウド事業者の環境上で「KUSANAGI」を利用して構築された環境へ移行する際などのクラウド基盤の構築、「KUSANAGI」の初期設定や追加開発、WordPressを中心とするWebアプリケーションの新規または追加開発等を提供しております。

 あわせて、アプリケーションやミドルウェアの最新化対応やセキュリティの強化、負荷ボトルネックの解消等、運用においてリスクとなる点を社内の検知システムを利用して事前に対応することで安定した運用を開始できるようにしております。

 

 B サービス運用時のシステムインテグレーション

 顧客のWebサイトを「KUSANAGI」を利用して当社が運用している際のクラウド基盤の追加構築、「KUSANAGI」の追加開発、WordPressを中心とするアプリケーションの追加開発等を提供しております。

 

(c) ライセンス販売

前述のとおり「KUSANAGI」は無償版の他、上位版として「KUSANAGI Business Edition」、「KUSANAGI Premium Edition」も提供しており、これら有償版のライセンスはパブリッククラウドサービスを提供する各クラウド事業者のマーケットプレイスを通じて顧客へ販売しております。

 また、「KUSANAGI」は高速のCMS実行環境をパブリッククラウド上にある顧客の専用サーバに構築して提供するものであるため、共用サーバを用いるレンタルサーバ利用者に対して「KUSANAGI」は提供しておりませんが、レンタルサーバ事業者に対して当社の持つ高速化技術や出願済み知的財産を有償にてライセンス販売しております。

 

※画像省略しています。

(図)当社グループの事業系統図

 

(注1)KUSANAGIを利用した実行環境: Microsoft Azure Standard D4as_v4インスタンス (2.35Ghz AMD EPYC 7452 プロセッサ 4 vCPU, 16GiB), Premium SSD LRS, 東日本リージョン, KUSANAGI 9.1.0-1, PHP 7.4.27, Nginx 1.21.4, MariaDB 10.5.13, WordPress 5.8.2 で計測

     標準的な実行環境: Microsoft Azure Standard D4as_v4インスタンス (2.35Ghz AMD EPYC 7452 プロセッサ 4 vCPU, 16GiB), Premium SSD LRS, 東日本リージョン, CentOS 7.9.2009, PHP 5.6.40, Apache 2.4.6, MariaDB 5.5.68, WordPress 5.8.2 で計測(当社顧客のKUSANAGI導入前における代表的な実行環境の一例)

(注2)ユニークなIPアドレスをサーバ1台、「KUSANAGI」のリポジトリへの初回アクセスを稼働開始日と定義した稼働台数の累計

 

24/02/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,443,823千円となり前連結会計年度末に比べ777,147千円増加いたしましたこれは主に新株発行等により現金及び預金が767,341千円増加したことによるものであります

 固定資産は58,342千円となり前連結会計年度末に比べ4,092千円減少いたしましたこれは主に無形固定資産が3,238千円減少したことによるものであります

 この結果総資産は1,502,165千円となり前連結会計年度末に比べ773,055千円増加いたしました

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は148,924千円となり前連結会計年度末に比べ89,756千円減少いたしましたこれは主に未払法人税等が44,682千円1年内返済予定の長期借入金が26,004千円減少したことによるものであります

 固定負債は54,279千円となり前連結会計年度末に比べ102,166千円減少いたしましたこれは長期借入金が102,166千円減少したことによるものであります

 この結果負債合計は203,203千円となり前連結会計年度末に比べ191,922千円減少いたしました

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,298,961千円となり前連結会計年度末に比べ964,977千円増加いたしましたこれは主に新株発行により資本金が389,394千円資本剰余金が389,394千円親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が185,376千円増加したことによるものであります

 この結果自己資本比率は86.5%(前連結会計年度末は45.8%)となりました

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は新型コロナウイルス感染症の社会的影響が薄れる一方で物価高による個人消費の低迷や内需のもう一つの柱である設備投資においても製造業を中心として機械投資に弱さが出ており緩やかな成長にとどまるなど厳しい状況が継続しております

 一方で当社を取り巻く国内ITサービス市場においては経済産業省の推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するシステム投資が継続してその存在感を強めております政府情報システムの構築・整備においてはクラウドサービスの利用を第1候補(デフォルト)とするクラウド・バイ・デフォルト原則が方針とされておりますデジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンドが進展する中生産性の向上や業務の効率化を目的としてクラウドサービスを優先的に採用するクラウドファースト戦略を実行する企業が増加しており2022年の国内クラウドサービス市場規模は前年比37.8%増の5兆8,142億円となりました2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は17.9%で推移し2027年の市場規模は2022年比約2.3倍の13兆2,571億円になると予測されております(出所:IDCJapan株式会社国内クラウド市場用途別売上額予測2022年~2027年

 このような経営環境のもと当社は超高速CMS実行環境KUSANAGIをはじめとしたサーバ高速化ソリューションKUSANAGI StackでKUSANAGI Stack事業を展開し一気通貫でWebサイトの保守・運用を行うKUSANAGIマネージドサービスの拡大を図ってまいりました

 以上の結果当連結会計年度における当社グループの業績は売上高877,193千円(前年度比13.8%増)営業利益287,436千円(前年度比3.1%減)経常利益265,884千円(前年度比8.9%減)親会社株主に帰属する当期純利益185,376千円(前年度比6.2%減)となりました

 なお当社グループの事業セグメントはKUSANAGI Stack事業の単一セグメントであるためセグメント別の記載は省略しております

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下資金という)は前連結会計年度末に比べ767,341千円増加し当連結会計年度末には1,326,025千円となりました

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は155,893千円(前連結会計年度は246,633千円の獲得)となりましたこれは主に税金等調整前当期純利益269,034千円等によるものであります

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は20,707千円(前連結会計年度は12,962千円の使用)となりましたこれは主に敷金の差入による支出17,625千円等によるものであります

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は630,179千円(前連結会計年度は32,819千円の獲得)となりましたこれは主に株式の発行による収入778,789千円等によるものであります

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生産活動を行っておりませんので、記載しておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注実績の記載になじまないため、記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはKUSANAGI Stack事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2022年12月1日

  至 2023年11月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

KUSANAGIマネージドサービス

607,264

121.8

クラウドインテグレーションサービス

137,141

79.0

ライセンス販売

132,787

134.5

合計

877,193

113.8

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年12月1日

至 2022年11月30日)

当連結会計年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

住友不動産株式会社

152,448

19.8

202,597

23.1

3.最近2連結会計年度のKUSANAGIマネージドサービスの実績は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(自 2021年12月1日

至 2022年11月30日)

当連結会計年度

(自 2022年12月1日

至 2023年11月30日)

MRR(百万円)

51

48

顧客数(社数)

114

109

 

新規顧客数

10

 

解約顧客数

10

14

顧客単価(千円)

363

445

解約率(%)

0.7

1.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中、将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。

 当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

 

(固定資産の減損)

 当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある場合は、回収可能性を評価し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しています。このうち、将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、資産グループの現在の使用状況等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。

 これらの仮定は、経営者が最善と判断した見積りに基づいて決定しておりますが、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更が生じた場合には、固定資産の減損損失を認識し、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態の分析

 前述の「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

2) 経営成績の分析

(売上高、売上総利益)

 顧客単価の増加に伴う「KUSANAGIマネージメントサービス」売上の増加、既存ライセンスのアップセルなどに伴う「ライセンス販売」売上の増加等があった結果、売上高は877,193千円(前年同期比13.8%増)、売上総利益は577,209千円(前年同期比4.8%増)となりました。サービス別の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績」に記載しております。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は、主に営業及びマーケティング施策としての支出が増加したことや、外形標準課税の計上に伴い、289,772千円(前年同期比13.9%増)となりました。その結果、営業利益は287,436千円(前年同期比3.1%減)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益については、153千円(前年同期比51.4%減)となりました。営業外費用については、主に上場関連費用が増加したことにより、21,705千円(前年同期比327.0%増)となりました。その結果、経常利益は265,884千円(前年同期比8.9%減)となりました。

(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)

 特別利益については、関係会社株式を売却したことに伴い、関係会社株式売却益が3,201千円発生しました。特別損失については、有形固定資産を除却したことに伴い、固定資産除却損が51千円発生しました。その結果、税金等調整前当期純利益は269,034千円(前年同期比7.8%減)となりました。

(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

 主に法人税、住民税及び事業税の減少に伴い、法人税等は83,657千円(前年同期比11.2%減)となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は185,376千円(前年同期6.2%減)となりました。

 

3) キャッシュ・フローの分析

 前述の「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、クラウドの購入資金の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。なお、当社グループの資金の源泉は主に営業活動によるキャッシュ・フローによるものであります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、「ストック型ビジネスの売上高」と事業の収益力を示す「売上高経常利益率」を重要な指標と位置付けております。ストック型ビジネスは当社のビジネスモデルの中心であり、また売上高経常利益率は当社グループ内で開発してきた知的資本や自動化の仕組み(ハイパーオートメーションの導入による工数や作業量の低減など)の効果が出てきており、他社と大きな差別化ができていることの証明であるため、これら2つの指標を重要指標と位置付けております。

最近2連結会計年度における主な経営指標は以下の通りであり、引き続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。

経営指標

2022年11月期

(前連結会計年度実績)

2023年11月期

(当連結会計年度実績)

売上高(千円)

770,988

877,193

内 ストック型ビジネス(千円)

597,321

740,051

経常利益(千円)

291,774

265,884

売上高経常利益率(%)

37.8

30.3

※ストック型ビジネスはKUSANAGIマネージドサービスとライセンス販売の合計値となります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し特定の技術並びにマーケットに偏らないサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。

 

⑥ 経営戦略の現状と今後の見通し

 経営戦略の現状と今後の見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループが属するクラウド市場は、「クラウドファースト」という言葉が浸透しつつあり、本格的な普及期に入ったものと認識しております。

 また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023」によると、日本でDXに取組んでいる企業の割合は2021年度調査の55.8%から2022年度調査は69.3%に増加し、2022年度調査の米国の77.9%に近づいており、この1年でDXに取組む企業の割合は増加しているとの調査結果が示されております。DX取組みの増加は、クラウドコンピューティングの活用やAI技術による高度な自動化への取り組みを推進させるものと考えております。

 このような状況下において、当社グループがさらなる成長を実現し、持続的に成長していくために、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の内容について重点的に取り組んでいく方針であります。