売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E38460 

売上高

15.3億 円

前期

11.2億 円

前期比

136.3%

時価総額

43.9億 円

株価

3,500 (05/08)

発行済株式数

1,255,700

EPS(実績)

81.09 円

PER(実績)

43.16 倍

平均給与

548.4万 円

平均年齢(勤続年数)

32.3歳(4.1年)

従業員数

84人(連結:91人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

 当社は、テクノロジーカンパニーとして、技術と社会の架け橋となり課題解決に貢献するべく、様々な技術を活用して、クライアントのシステム開発、ビジネスモデル変革を支援するデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)事業を展開しております。

 ここ数十年のITの進化は、通信・ネットワークをはじめとした「インフラ資源」とコンピュータ・サーバなどの「計算資源」が性能を大幅に向上し、それらの上で動く様々なアプリケーション「ソフトウェア資源」が活用の幅を広げてきました。また、ソフトウェア資源により取得・加工される様々な情報「データ資源」はAIやIoT技術の発達により爆発的に増加しています。

 進化のプロセスの中で、これら4つの資源「インフラ資源」「計算資源」「ソフトウェア資源」「データ資源」は、個別の企業・組織で利活用するものから、徐々に共有化・汎用化していく流れが加速しています。共通化・汎用化のメリットは、性能向上や効率の観点のみならず、コスト削減が挙げられます。当社は、企業・組織がこれらの進化を活用し、競争力を向上させる事業を行ってきました。

1つ目は、「インフラ資源」「計算資源」「ソフトウェア資源」に関する事業をクラウドインテグレーションサービスとし、クラウドコンピューティングの提供やソフトウェアを中心としたソリューションの提供を行っております。2つ目は、企業・組織が持つ「データ資源」を解析・活用する事業をデータインテグレーションサービスとし、AIやIoTといった技術領域を中心にソリューションを提供しております。

これら4つの資源は相互に連携することで一層の価値を発揮し、企業・組織の競争力及び効率性を更に向上させると考えます。そのため、当社は一気通貫でこれらの資源活用のソリューションを提供するために、ITの進化プロセスに合致した、企業・組織の競争力及び効率性の向上に資する新技術を取り入れ、蓄積しながら、企業・組織の進化フェーズに適した形でサービス提供を行っております。

 

   (1)事業の概要

      当社の事業は「DX事業」の単一セグメントですが、サービス別の分類は以下の通りです。

 

①「クラウドインテグレーションサービス」:AWSによるサーバインフラの構築・運用から、AWSのマネージドサービスを活かしたシステム開発を行うサービス。

②「データインテグレーションサービス」:センサーデバイスから得られる音声や画像などのデータのINPUT(IoT)、STORE(クラウドインフラ)、OUTPUT(AI/ビッグデータ解析)まで、データにまつわる様々な技術・解決策を一貫して提供するサービス

③「その他サービス」:顧客の要望に合わせて開発したシステムから汎用性の高いものを「プロダクトサービス」化して提供するサービス。

 

    当社の強みは、クライアントが置かれているDXのステージに応じて幅広く支援できることです。日本が置かれている状況を鑑みると、多くの企業・組織は業務をシステム化しているものの、容易に変更や拡張することが困難なレガシーシステムが基盤になっていたり(DXレベル0)(注1)、「人が作業すること」を前提に設計されたりしているものであり、「IT技術に多くを任せること」を前提に業務を見直し、大幅な生産性向上や新たな価値創造に資するデータ蓄積が行われていないという現状があります(DXレベル1)。それを乗り越えた一部の企業・組織においても、次のレベルとしてデータを活用した企業価値の向上という新たな課題に直面しています(DXレベル2)。

 DXレベル0及びDXレベル1のステージにいるクライアントにおいては、広範なIT技術群を前提に業務を見直し、最適な技術を組み合わせ、既存のシステムを刷新することが重要と考えております。当社のクラウドインテグレーションサービスは、クラウドファーストの視点を維持しながらも、特定分野・技術に特化せず、ソフトウェア開発からUI/UX(注2)に至るまで幅広い技術群の中からクライアントにとって最適な組み合わせを提供できることが特徴です。

 DXレベル2のステージにいるクライアントについては、データ集積基盤が既に存在している前提で、データに基づく事業運営や価値創出を可能にする良質なデータ収集や活用ノウハウが重要となります。当社のデータインテグレーションサービスは、IoTベンダーとのアライアンスによる更なる良質なデータ収集ソリューションと、自社AI人材によるコンサルティング機能を有しており、データの収集から活用まで一貫して支援できることが特徴です。

 他方、当社でこれまで開発してきたシステムのうち、汎用性が高く多くの人の課題解決に貢献できるものをSaaS(注3)化しており、これを「プロダクトサービス」(サービス区分上は売上構成比が低いため「その他サービス」と表記しております)と位置づけております。360度評価特化型人事評価サービス:360(さんろくまる)は累計1,000社以上の企業や組織にご利用いただいております。また、学校向け連絡サービス:sigfyは、数十万を超えるエンドユーザーにご利用頂いており、広告機能や集金機能を備えております。

 

※画像省略しています。

 

各サービスの詳細は以下の通りです。

 

① クラウドインテグレーションサービス

 当社は、クラウドコンピューティングの様々な機能とソフトウェア開発技術を活用し、幅広いクライアントにクラウドインテグレーションサービスを提供しております。クラウドコンピューティングは、サーバ、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器などの初期投資を必要とせず、加えてそれらを含むコンピューティングリソースを柔軟かつ迅速に拡張・縮小することが可能です。近年ではその利便性の高さから、柔軟性と変化への対応スピードが要求される新規サービス領域での活用はもとより、障害や中断が許されない基幹業務系システムの領域においても主要な選択肢となっています。

 更に、今後イノベーションのキーとなるビッグデータの格納先として、容量に柔軟性があるクラウド上のストレージは最適であることからも、クラウドをIT基盤の最初の選択肢に据えるクラウドファーストの考え方が主流となってきています。当社は、2012年からクラウドコンピューティング技術を取り入れ、クラウドネイティブなソフトウェア開発、クラウドインフラ構築など幅広い実績を有しております。また、単にシステムを提供することに留まらず、社内デザイナーの知見を活かしたUI/UXのノウハウによる優れた顧客体験の実現や、アジャイル開発(注4)等の手法による顧客ニーズへの柔軟な対応を実現しています。

 

a. クラウドネイティブインテグレーション

 当社は、AWSに関する豊富な知識や経験を基に、クラウドのメリットを最大限活用したクラウドネイティブなシステム開発を行なっています。クラウドネイティブな開発とは、クラウドの利点を徹底的に活用するシステムといった意味を持つ言葉です。最初からクラウド上で動くことを前提に、クラウドならではの機能や特性を活かせるよう設計されたシステムのことで、高速な開発や高度な運用自動化などを実現することが可能となります。当社においては、2012年6月に、AWSのグローバルパートナープログラム「APNコンサルティングパートナー」に認定されて以来、AWSがクラウドコンピューティング(注5)上で提供する数百に及ぶサービスとソフトウェア開発双方に精通したエンジニアが、システムの信頼性を最大限に高めるべく、サービスとソフトウェア開発のベストミックスを提案します。スタートアップから大企業、大学/研究機関まで規模・業種・システム内容を問わず、多くの実績を有しています。更に、ゲノム等のビッグデータ解析に代表される高負荷処理をより高速・効率的に行えるシステム構築を行うハイパフォーマンスコンピューティング分野の実績も多く積んでおり、当社の強みの一つとなっています。

 

b. リセール

 当社は、上述したAWSの「APNコンサルティングパートナー」に認定されて以来、日本におけるAWSリセラーとしてAWSの再販売を行っております。当社は、AWS利用料の請求代行サービスを提供するのみならず、新たにAWSを導入することを検討されているクライアントに対し、豊富な導入実績を活かしてクラウド移行の際の技術的なアドバイザリーを行っており、ご要望に最も合致するプランをご提示して環境構築まで支援しております。特に、公共分野(パブリックセクター)への提供に強みを持ち、全国の大学・教育機関や研究開発法人・独立行政法人などへの支援実績を数多く有しております。商業分野(コマーシャルセクター)においては、地場である九州のクライアントはもとより、全国に規模を拡大しつつあります。また、クライアントのDX実現には社内人材の高度化も不可欠です。当社が持つAWSの知見をクライアントに提供する教育サービスも実施しております。

 

c. MSP(注6)

 初期の構築に留まらず、その後の運用メンテナンスまで一貫して対応しております。ただシステムの保守・ 運用を行うだけでなく、日々更新される新たなAWSのサービスやクライアントのニーズを鑑みて、システムのアップグレードやコスト最適策を提案し、新たなビジネス機会の創出へと繋げております。

 

  ②データインテグレーションサービス

 当社は、様々な業界のクライアントに対し、IoT・AI・ビッグデータ解析によるデータインテグレーションサービスを展開しております。前述の「DXレベル」を上げるべく、データのINPUT (IoT)、STORE(クラウド)、OUTPUT(AI/ビッグデータ解析)まで一貫してクライアントのデータ活用を強力に推し進めます。また、PoC(概念実証)の設計、実施に留まらず、「クラウドインテグレーションサービス」と掛け合わせることで、データを中心とした新たな仕組みと既存システムとの連携課題を解決し、最終的なシステム運用に至るまでトータルでサポートします。

 

    a. IoTシステム開発

 データを収集するためのIoTセンサーデバイスの選定、サーバインフラの構築、蓄積したデータを解析するためのシステム開発までトータルサポートを行います。当社は、ハードウェア企業ではないため、IoT関連ハード・ネットワーク企業とアライアンスを組むことにより、クライアントにとって最適な環境を提案いたします。更に、当社の得意分野であるソフトウェア開発・インフラ構築においては、自社で開発した「mockmock」(注7)を活用することで、異常検知や負荷テストを簡単に行うことができ、IoTシステム開発の期間短縮や効率化を可能にします。

 

    b. AI/ビッグデータ解析

 データ活用の技術コンサルティングからディープラーニングや機械学習を使ったモデル作成・システム構築まで、一貫した支援を行います。更に、クライアント自身がAIを扱えるようにするための教育プログラムにも力を入れています。これらを取り揃えることで、多くの企業が陥りがちなPoC(概念実証)までは実施するものの、業務での実活用に至らない課題を克服することが可能となります。当社がディープラーニングにおいて特に実績を有する分野は、画像・OCR・動画・自然言語・音声であり、クライアントのニーズに応じてこれらの技術要素をカスタマイズし、AIの業務実装、ひいてはクライアントのDX達成を支援しております。

 

③その他サービス

a. 360(さんろくまる)

 多面評価(360度評価)に特化し、その煩雑な業務を効率化するサービスを提供しています。管理職の人材育成や研修の効果測定としても利用されています。PCのみならず、スマホ・タブレットからも登録可能で、リモートワークや外回りが多い企業でも便利に利用できます。評価項目は企業が独自に設定することが可能で、評価の実施から回収についても管理者は都度進捗を確認することができます。利用企業数は順調に伸びており、加えて高いリピート率を誇っております。利用企業は規模・業種に関わらず、累計1,000社以上の企業に利用頂いています。

 

b. sigfy

 「学校連絡をもっと楽にシンプルに」というコンセプトの下、学校と保護者を繋ぐ連絡サービスを提供しています。いち早くLINE連携を行う等、年間に約20機能のアップデートを行い、学校と保護者の生命線として大きく貢献しています。サービス開始以来、順調に利用者を増やしています(2023年6月現在 約24万人)。連絡ツールとして学校と保護者を結ぶだけでなく、集金機能を備えるなどして、学校生活の様々なシーンでsigfyの活用機会が生まれています。

 

(2)サービス間の相関関係

  上述したサービスのうち、主たる事業であるクラウドインテグレーションサービスとデータインテグレーションサービスは下図の通り、相互に様々な事業シナジーを持ってサービス展開を行っております。

※画像省略しています。

 

 

(3)当社における先進技術の習得サイクルと社会への還元スキーム

    変化の激しいITの世界においては、先端技術をいち早く習得し、事業化することが肝要と考えております。そのため、当社は創業時から社員の自由な技術習得を奨励しており、技術探究を行う合宿の定期実施や研究費用支援など、社員の学習機会を支援する様々な制度を展開しております。そのような土壌で育まれた先進技術の知識を基に、学術研究機関や企業の先進技術分野の研究開発に高い専門性と提案力を武器に伴走し、そこで得た先進技術の実績と知見を、全国の大学・自治体や九州・福岡の地域企業を中心に展開する流れを推進しております。このサイクルをエコシステムとして確立することで、社会全体のDX推進に貢献していきます。

 

※画像省略しています。

 

(4)当社のビジネスモデルについて

当社のサービスは、「① a.クラウドネイティブインテグレーション」及び「②データインテグレーションサービス」による売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、システムや基盤の設計・構築を行うサービスであり、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、クライアントを開拓することによりフロー売上を拡大させております。その後、システムの継続運用に伴う業務を蓄積することで、「ストック売上」(「① b.リセール」、「①c.MSP」)の拡大による安定収益化を図っております。 

 

※画像省略しています。

 

(注1)DXレベル

経済産業省の「DXレポート2 中間取りまとめ」(令和2年12月発行)によると、我が国のDXへの取り組みは想定以上に遅れていることが判明し、企業の9割以上がDX未着手あるいはDX途上にあるとされております。当社では、DXに全く取り組めていない未着手の状態を「DXレベル0」、散発的な実施にとどまる途上状態を「DXレベル1」、全社横断的かつ持続的にDXに取り組み経営変革に繋げることのできるデジタル企業を「DXレベル2」と表現しております。

(注2)UI/UX

UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は、「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを指します。

(注3)SaaS

Software as a Serviceの略。ソフトウェアを利用者(クライアント)側に導入するのではなく、提供者(サーバ)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用する状況を指します。

(注4)アジャイル開発

プロジェクト開発手法の一つで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく手法です。

   (注5)クラウドコンピューティング

    インターネットなどのコンピュータネットワークを経由して、コンピュータ資源(サーバ、ストレージ、ネットワーク、データベース、ソフトウェアなど)を利用することです。

(注6)MSP

Managed Service Providerの略で、クライアントが利用するコンピュータやシステムの運用や監視、保守を行うことです。

(注7)mockmock

mockmockは、IoTシステム開発支援サービスです。クラウド上に仮想デバイス(mock)を作成し、実デバイスの代わりに疑似データを生成、指定のサーバやデバイスに送信することで、実デバイスなしで簡単にテストや負荷試験の実施が可能となるサービスです。IoT導入において障壁となる、データ検証や負荷テストに活用されており、実デバイスの作成費を削減することで、企業の研究開発における実証実験にかかるコストを低減することが可能となります。

 

23/09/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

流動資産は1,121,816千円となり、前事業年度末に比べ547,202千円増加しました。これは主に現金及び預金が456,734千円、売掛金が41,822千円、契約資産が30,857千円増加したことによるものであります。

固定資産は110,566千円となり、前事業年度末に比べ7,306千円増加しました。これは主に投資その他の資産に含まれる保険積立金が4,492千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 流動負債は378,419千円となり、前事業年度末に比べ41,942千円増加しました。これは主に未払法人税等が49,349千円増加したことによるものであります。

固定負債は54,929千円となり、前事業年度末に比べ39,944千円減少しました。これは主に長期借入金が39,996千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産は799,033千円となり、前事業年度末に比べ、552,511千円増加しました。これは主に資本金、資本剰余金がそれぞれ225,400千円、利益剰余金が101,823千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度(自2022年7月1日至2023年6月30日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の「5類」移行に伴う経済活動の再開により、景気が緩やかに持ち直されてきておりますが、一方で、継続的な物価上昇や世界的な金融引締め等により、金融資本市場や景気動向は先行き不透明な状況が続いております。

 このような中、当社を取り巻く国内IT市場においては、従前からの生産性向上や競争力強化を目的としたDXの需要に加え、ChatGPTに代表される生成系AIの活用可能性に対する企業の需要及び社会的関心が高まっており、デジタル化の流れがより力強いものとなっております。

 当社の事業においては、クラウドインテグレーションサービスにおけるクラウドインフラ構築、AWSリセールサービスの取引が拡大していること等を背景に、当事業年度において、過去最高の売上高及び利益を実現しております。また、ChatGPTを活用した開発支援や、プロダクトサービス(360)におけるChatGPTによる評価項目の提案サポート等、生成系AIを活用したサービスを早期に開始いたしました。

 これらの結果、当事業年度の業績は、売上高は1,532,167千円(前期比36.3%増)、売上総利益は526,756千円(前期比35.5%増)、営業利益は160,708千円(前期比129.3%増)、経常利益は148,279千円(前期比109.5%増)、当期純利益は101,823千円(前期比131.3%増)となりました。

なお、当社はDX事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の業績の概要は以下の通りであります。

 

①クラウドインテグレーション

 AWSによるサーバインフラの構築・運用から、AWSのマネージドサービスを活かしたシステム開発を行う事業です。クラウドインテグレーションは、クラウドネイティブインテグレーション、リセール、MSPの3つのサービスで構成されており、クラウドインテグレーション全体の売上高は1,158,622千円(前期比36.1%増)となりました。

 各サービスの概況は以下の通りです。

 

 

①-1.クラウドネイティブインテグレーション

 当社が長年培ってきたソフトウェア開発力に、AWSのマネージドサービスを活かした開発環境を掛け合わせることで、信頼性と開発効率を両立したシステム開発を提供しております。

 既存案件の追加開発による拡大に加え、クラウド需要の加速に伴い新規契約も堅調に増加した結果、売上高は615,491千円(前期比46.3%増)となりました。

 

①-2.リセール

 AWSの専門的な知識と、様々な開発経験及び知見に基づく提案力を掛け合わせ、クライアントニーズに細かく対応したクラウド環境を提供しております。

 既存顧客からの継続的な受注と、大口顧客のAWS利用料が堅調に増加した結果、売上高は411,095千円(前期比40.6%増)となりました。

 

①-3.MSP

 クラウド技術と当社が独自に開発した死活監視ツールや運用監視ツールを組み合わせることで、安定したインフラ運用を効率的に実現するサービスを提供しております。

 MSPは、特定の案件で契約解約が発生した結果、売上高は132,035千円(前期比4.6%減)となりました。

 

②データインテグレーション

 AIやIoTなどの先進技術を駆使してデータの収集や解析を高度に行い、更にクラウド技術も組み合わせることで、様々なクライアントの業務効率化や業務付加価値の向上をトータルでサポートしております。

 IoTシステム開発やAI/ビッグデータ解析への需要の高まりを背景に、取引数が順調に拡大した結果、売上高は276,533千円(前期比40.0%増)となりました。

 

③その他(自社プロダクト等)

 クライアントの要望に合わせて開発したシステムから、汎用性の高いものをサービス化して提供しております。現在は、360度評価特化型人事評価サービスツールである「360(さんろくまる)」、主に学校や保育園向けの連絡網サービスである「sigfy」を展開しております。

 案件大型化による顧客単価の伸長及び顧客数の増加などの結果、売上高は97,011千円(前期比29.5%増)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度から456,734千円増加し、847,949千円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は115,499千円(前事業年度は83,089千円の獲得)となりました。

 これは、クラウドネイティブインテグレーションサービスの売上規模拡大に伴う売上債権及び契約資産の増加額71,118千円、棚卸資産の増加額16,314千円等があった一方で、売上規模拡大による税引前当期純利益148,279千円、契約負債の増加額14,197千円、未払費用の増加額11,670千円等があったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出した資金は、10,776千円(前事業年度は5,052千円の獲得)となりました。

 これは、有形固定資産の取得による資金の支出が5,301千円、保険積立金の積立による支出4,492千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は352,010千円(前事業年度は120,404千円の支出)となりました。

 これは、当事業年度における新規上場に伴う株式の発行による収入が437,789千円、長期借入金の返済による支出85,666千円等があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b. 受注実績

当社の事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当事業年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次の通りであります。なお、当社は、DX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

サービス区分の名称

金額(千円)

前期比(%)

クラウドインテグレーション

1,158,622

36.1

データインテグレーション

276,533

40.0

その他

97,011

29.5

合計

1,532,167

36.3

 

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下の通りであります。

 

相手先

前事業年度

当事業年度

(自 2021年7月1日

(自 2022年7月1日

  至 2022年6月30日

  至 2023年6月30日

金額

(千円)

割合(%)

金額

(千円)

割合(%)

株式会社まちのわ

270,960

17.7

株式会社内田洋行

116,297

10.3

256,873

16.8

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその運用方法並びに見積りの評価については、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当事業年度においては、DX市場が拡大している中、お客様のDX化をともに考えるコンサルティング、システムの設計、開発、運用までの一貫したソリューションを行うことにより、売上高を順調に伸ばすことができました。特に、クラウド需要により大手企業との大・中規模契約の継続等により売上が増加し、売上高は1,532,167千円(前期比36.3%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は、エンジニアの採用加速に伴う人件費の増加、及び、クラウド使用拡大に伴うAWSクラウド利用料の増加により、1,005,410千円(前期比36.8%増)となりました。以上の結果、売上総利益は526,756千円(前期比35.5%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う体制強化にかかる費用等の増加により、366,048千円(前期比14.7%増)となりました。以上の結果、営業利益は160,708千円(前期比129.3%増)となりました。

 

(営業外収益・営業外費用、経常利益)

当事業年度の営業外収益は、為替差益等により、1,181千円(前期比37.3%減)となりました。営業外費用については、上場関連費用等により、13,610千円(前期比1,046.1%増)となりました。以上の結果、経常利益は148,279千円(前期比109.5%増)となりました。

 

(特別利益・特別損失、当期純利益)

当事業年度は特別利益、特別損失は発生しておりません。また、当事業年度の法人税等合計は46,456千円(前期比140.5%増)となりました。以上の結果、当期純利益は101,823千円(前期比131.3%増)となりました。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。当社の資金需要は、事業規模拡大に係る人件費や採用費が主なものであります。財政状態等を勘案しながら必要に応じて金融機関からの借入による資金調達を行いますが、翌年度における借入計画はありません。

なお、当事業年度末における有利子負債(借入金)残高は80,012千円であり、現金及び現金同等物の残高は847,949千円であります。