E01254 Japan GAAP
前期
571.3億 円
前期比
61.0%
株価
1,287 (04/18)
発行済株式数
19,577,071
EPS(実績)
-256.73 円
PER(実績)
--- 倍
前期
637.9万 円
前期比
102.6%
平均年齢(勤続年数)
40.3歳(17.1年)
従業員数
422人(連結:468人)
当社グループは、当社、子会社2社(連結子会社2社)、関連会社9社(持分法適用会社7社、非持分法適用会社2社)及び関連当事者(主要株主)1社で構成されております。
当社グループの事業の内容、当社と関係会社及び関連当事者(主要株主)の当該事業に係わる位置づけは、次のとおりであります。
ニッケル事業
当社は、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の一部をリオ・チュバ・ニッケル鉱山㈱及びタガニート鉱山㈱(両社ともフィリピン国に所在)より商社を経由して購入及び製錬し、関連当事者(主要株主)の日鉄ステンレス㈱等に商社を経由してフェロニッケル製品として販売しており、太平洋興産㈱は、製錬時に発生する鉱滓を当社より購入し販売をしております。
関係会社の名称
太平洋興産㈱、リオ・チュバ・ニッケル鉱山㈱、タガニート鉱山㈱
関連当事者(主要株主)の名称
日鉄ステンレス㈱
ガス事業
㈱大平洋ガスセンターは、当社が製品の製造過程で使用するガス類を製造し、当社へ販売しております。
関係会社の名称
㈱大平洋ガスセンター
その他
当社の廃棄物リサイクル事業は、一般廃棄物焼却灰等を調整剤としてのホタテ貝殻等と共に混合溶融し、有用金属の抽出、人工砂利等へリサイクルするものであり、資源循環型事業であります。なお、廃棄物リサイクル事業は、今後も採算性が見込めないため、2023年3月31日付けで事業撤退いたしました。今後、廃棄物リサイクル事業の製造設備を活用した新たなリサイクル資源を原料とする事業を検討して参ります。
㈱パシフィックソーワは、主に鋳鍛鋼品及び各種産業機械等の仕入、販売をしております。
アミタホールディングス㈱とは、廃棄物リサイクル事業の環境関連事業等を通じて、企業価値の最大化を目的に、資本業務提携契約を締結しており、また、原材料の一部を購入しております。
主要な関係会社名称
㈱パシフィックソーワ、アミタホールディングス㈱
事業の系統図
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の動向に左右されながらも企業収益・個人消費等は持ち直している一方で、資源高及びドル高の同時進行は企業活動等に影響を及ぼしており、景気回復基調の中でも弱さの混在した推移となりました。
海外経済については、概ね雇用・所得環境等は堅調に推移しておりますが、金融資本市場の変動、ウクライナ情勢の長期化及びインフレ加速等の影響が重石となり、一部景気の持ち直しに足踏み状態が見られる推移となりました。
このような状況のもと、当社グループの売上高並びに損益の大半を占めるニッケル事業の主需要先であるステンレス鋼業界は、経済活動正常化の動きに伴い需要は持ち直し傾向にありましたが、中国ではステンレス需要回復の期待感が先行するもののその兆候は見えず、また、同国の感染症対策の影響や不動産市場の低迷及びウクライナ情勢の長期化等により市況の不透明感が増しており、生産設備の稼働率にばらつきの見られた推移となりました。
このため、フェロニッケル需要は、減速感の見られる推移となりました。
調達面においては、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の価格は、インドネシア未加工鉱石禁輸政策による影響及び底堅いニッケル鉱石需要等を背景に高水準で推移しており、また、世界的な資源高により原燃料及び電力の価格も高騰しており、生産コストの上昇幅が拡大する状況となりました。
ロンドン金属取引所(LME)におけるニッケル価格は、比較的高水準にある中で、金融資本市場の変動、ウクライナ情勢に関連する複合的な要因及び不透明な原油商品市況等の影響に加えて、インフレ加速による景気減速懸念も意識され、方向感の定まらない動きで推移しました。
その中で、当社のフェロニッケル販売数量は、前連結会計年度末直前に発生したフェロニッケル製造設備3基中1基の電気炉溶融物漏出事故に伴う生産数量減の影響で抑えた販売計画としており、加えて、ニッケル需給に緩みが見られること、また、海外ステンレス生産者は生産コストを含めても価格優位性の見られるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、ニッケル銑鉄の価格は当社の販売価格へも影響する環境になっていることから、一定の収益性を損なわない戦略的な数量の抑制へ方針をシフトしたため、前連結会計年度と比べ国内外向けともに減少し、全体では前年度比54.2%の減少となりました。
フェロニッケル生産数量は、電気炉溶融物漏出事故の影響等に伴い前連結会計年度と比べ減少しました。なお、対象の生産設備1基の復旧及び操業再開については翌連結会計年度の見込みですが、事業環境を注視しつつ、数量抑制方針を解除した段階で操業再開する予定です。
フェロニッケル製品の販売価格は、当社適用LMEニッケル価格は前年度比32.2%上昇及び当社適用平均為替レートは前年度比21.1%の円安となり、前年度比では価格高となりました。一方で、前述のとおり、当社適用LMEニッケル価格と当社適用平均為替レートに加えて、ニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準であるため、収入が伸び悩む厳しい販売環境へ急変しました。
このように、事業環境が急変しており、感染症及びウクライナ情勢等の影響は今後も継続するものと考えられますが、採算性重視の受注を徹底し、臨機応変な生産販売体制の構築等に努めております。さらには、海外事業展開・新規鉱山開発等の早期実現及びコストミニマムを追求するための業務効率改善策の強化等、業績の底上げ及び収益安定化に向けた取り組みを継続しております。
その結果、当連結会計年度の連結経営成績は、連結売上高が34,852百万円、前年度比では39.0%の減収となりました。損益面では、減収要因に加え、棚卸資産の収益性低下による簿価切下げ額の計上に伴う売上原価の増加等もあり営業損失は12,588百万円(前年度営業利益4,806百万円)、営業外収益において持分法による投資利益7,066百万円の計上等を含めた経常損失は4,960百万円(前年度経常利益12,999百万円)、特別利益において、電力会社の冬の節電チャレンジキャンペーン参加による電力使用量削減の特典として受取報奨金、特別損失では、電気炉溶融物漏出事故の復旧費用をそれぞれ計上した親会社株主に帰属する当期純損失は5,026百万円(前年度親会社株主に帰属する当期純利益11,368百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ニッケル事業)
ニッケル事業についての経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
その結果、当部門の売上高は34,135百万円、前年度比39.4%の減収、営業損失は12,441百万円(前年度営業利益4,950百万円)となりました。
(ガス事業)
ガス事業についての経営成績は、設備修繕に伴う費用計上等もありましたが安定した操業で、当部門は利益計上となりました。
その結果、当部門の売上高は774百万円、前年度比34.4%の増収、営業利益は4百万円(前年度営業損失10百万円)となりました。
(その他)
その他の事業部門につきましては、不動産事業では販売件数は少なく、また、廃棄物リサイクル事業は受注低迷等で、当部門は損失計上となりました。
その結果、当部門の売上高は38百万円、前年度比88.0%の減収、営業損失は160百万円(前年度営業損失142百万円)となりました。
なお、廃棄物リサイクル事業は、今後も採算性が見込めないため事業撤退いたしました。今後、廃棄物リサイクル事業の製造設備を活用した新たなリサイクル資源を原料とする事業を検討して参ります。
当連結会計年度末における当社グループの資産、負債及び純資産については、次のとおりであります。
資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,027百万円減少し、78,825百万円となりました。
流動資産では、計画的な在庫数量の維持及び原燃料価格等の上昇の影響により商品及び製品等は増加しましたが、その決済による現金及び預金の減少等もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ13,634百万円の減少となりました。
固定資産では、維持更新投資による有形固定資産の増加及び持分法による投資利益の増加に伴う投資有価証券の増加等により、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ2,607百万円の増加となりました。なお、当社の投資有価証券25,518百万円の主な内訳は、持分法適用による連結額16,249百万円、関連会社株式2,378百万円、フィリピンの株式市場へ上場している当社持分法適用関連会社のホールディングカンパニーNickel Asia Corporation株式6,324百万円であります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,907百万円減少し、6,791百万円となりました。
流動負債では、法人税等の支払いによる未払法人税等の減少もあり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ2,969百万円の減少となりました。
固定負債では、電気炉溶融物漏出事故により停止していた生産設備の復旧工事に備えた見込み額である復旧費用引当金の増加等があり、その他の要因も含め前連結会計年度末に比べ62百万円の増加となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,119百万円減少し、72,034百万円となりました。
株主資本は、損失計上及び配当金の支払い等により8,051百万円の減少、その他の包括利益累計額はその他有価証券評価差額金の減少等により68百万円の減少及び非支配株主持分0百万円の増加となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主な増加要因である売上債権の増減額7,400百万円、利息及び配当金の受取額5,229百万円等に、主な減少要因である税金等調整前当期純損失4,287百万円、持分法による投資損益7,066百万円等を加減算し7,516百万円の支出で、前連結会計年度に比べ15,374百万円の支出増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主な増加要因である有価証券の償還による収入1,600百万円、投資有価証券の売却による収入527百万円等に、主な減少要因である有形固定資産の取得による支出942百万円等を加減算し、974百万円の収入で、前連結会計年度に比べ3,884百万円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等3,006百万円の支出で、前連結会計年度に比べ2,220百万円の支出増となりました。
現金及び現金同等物の増減額は、前連結会計年度に比べ13,728百万円の減少となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は17,248百万円となり前連結会計年度に比べ9,383百万円の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 金額は、販売価格により算出したものであります。
2 セグメントをまたがる取引のための生産実績は、各セグメントに含めて表示しております。
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。また、この連結財務諸表の作成にあたる見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a 経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。
(売上高及び営業損失)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ22,277百万円の減収で34,852百万円となりました。また、営業損失は、前連結会計年度と比べ17,395百万円の減益で、12,588百万円となりました。
これは、主に、ニッケル需給に緩みが見られること、また、海外ステンレス生産者は生産コストを含めても価格優位性の見られるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、ニッケル銑鉄の価格は当社の販売価格へも影響する環境になっていることから、一定の収益性を損なわない戦略的な数量の抑制へ方針をシフトしたため売上が伸び悩んだこと、世界的な資源高により原燃料及び電力の価格は高騰しており生産コストの上昇幅が拡大したこと、また、売上原価へ棚卸資産の簿価切り下げ額を計上したこと等により、営業損失となりました。
(経常損失)
当連結会計年度の経常損失は、前連結会計年度と比べ17,960百万円の減益で、4,960百万円となりました。
これは、主に、営業外収益において持分法による投資利益7,066百万円を計上しましたが、売上高及び営業損失の減収減益要因の影響が大きく、経常損失となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度と比べ16,395百万円の減益で5,026百万円となりました。
これは、経常損失になったことが大きく影響しました。
b 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
c 資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、事業活動のための適切な資金を維持するため、足許の環境下では、営業活動で得られた資金によって設備投資資金を賄うことを基本方針としており、また、短期流動性確保の手段として、コミットメントライン契約を締結しております。
資金の流動性に関しては、金融情勢等を勘案しながら、現金及び現金同等物の残高が適正になるように努めており、収益性向上を通じた営業活動によるキャッシュ・フローの改善を財政政策の最重要課題として位置付けております。