売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

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バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E38109 

売上高

27.8億 円

前期

19.8億 円

前期比

140.3%

時価総額

288.4億 円

株価

3,150 (05/02)

発行済株式数

9,155,300

EPS(実績)

46.05 円

PER(実績)

68.40 倍

平均給与

887.9万 円

平均年齢(勤続年数)

36.6歳(2.6年)

従業員数

87人(連結:103人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

(1)ミッション

 当社は「テクノロジーの力で産業構造を変革する」をミッションに掲げております。このミッションのもと、革新的テクノロジーに常に注目し、知見を深めるとともに、正しい創造性・人間性・倫理観をもって活用することで、従来の産業構造を変えていくことを目指し、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を総合的に支援しております。

 

 足元においては、アフターコロナにおける新たな社会の実現や、少子高齢化に伴う労働生産人口の減少、働き方改革等を背景に、日本においても企業のデジタルトランスフォーメーションの需要は高まりを見せております。また、近未来においては、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションにより、新しいビジネスモデルに転換することが予想されます。

 当社は、企業のデジタルトランスフォーメーションを効果的に推進するためには、人とAIが協調してビジネスプロセスを実行する環境を創出することが重要と考えております。これを実現するため、当社はABEJA Platformの提供を通じて、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を支援しております。

 

 また、当社は一般社団法人日本ディープラーニング協会の設立を支援し、正会員として「ディープラーニング for デジタルトランスフォーメーション」拡大に取組むとともに、最先端技術の動向把握や先進的な取組事例の創出に努めております。

 2019年3月には約5,200名が参加した自社リアルカンファレンス「ABEJA SIX 2019」を、2020年5月、2022年7月には自社オンラインカンファレンス「デジタルトランスフォーメーション2020」、「ABEJA SIX 2022」を開催しており、マーケットの醸成を含め、「テクノロジーの力で産業構造を変革する」というミッションを様々な形で推進しております。

 

(2)事業概要

 当社は、ABEJA Platform上で、顧客企業の競争優位の源泉となるビジネスプロセスを変革し、継続的な収益成長の実現に伴走する「デジタルプラットフォーム事業」を営んでおります。

 当社事業は、ABEJA Platformを基盤としており、主たる領域として「トランスフォーメーション領域」と「オペレーション領域」に分類できます。

 「トランスフォーメーション領域」は、フロー型(都度契約)の契約形態となり、企業のデジタルトランスフォーメーションニーズに対応したプロフェッショナルサービスを、ABEJA Platformを導入し、提供しております。

 「オペレーション領域」は、ストック型(継続収入)の契約形態となり、ABEJA Platform上に構築した様々なシステムを汎用的な仕組み・サービスとして提供しております。

 これらを含めた当社の事業全体像は図1のとおりであります。なお、当社事業はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントとなります。

 

※画像省略しています。

 

図1:当社の事業全体像

 

デジタルプラットフォーム事業として展開する当社のビジネスモデルは、EMS(Electronics Manufacturing Service)に近い形態となります。

当社は、これまでの多種多様な業界・業態300社以上のデジタルトランスフォーメーションを支援する上で培ったナレッジ(EMSにおける製造プロセスノウハウ)を活かし、顧客のニーズにあわせ、設計、開発、構築及び運用まで、デジタルトランスフォーメーションに必要な工程をデジタル版EMSとして、フルマネージドサービスで請け負います。これにより、顧客はABEJA Platformの最先端の製造機械と製造ノウハウを活用し、AIシステムをシームレスに基幹業務に取り入れ、運用することが可能となります。

当社の事業を製造業に例えた場合のイメージは図2のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

図2:当社の事業を製造業に例えたイメージ図(デジタル版EMS)

 

 

トランスフォーメーション領域で設計し、ABEJA Platform上に構築したビジネスプロセスを、オペレーション領域で運用する事業モデルとなります。このため、運用におけるフィードバックがビジネスプロセスの精度向上やトランスフォーメーション領域での機能改善・追加開発に結びつくなど、2領域は密接に連携しております。

 

① ABEJA Platform

a.ABEJA Platform概要

 ABEJA Platformは、デジタルトランスフォーメーションの実行に必要な、データ生成からデータ収集、データの加工、データ分析、AIモデリングまでのプロセスを提供し、継続的・安定的な運用を行う、ソフトウェア群となります(図3)。

 ABEJA Platformは、大きく5つのレイヤーで構成されております。顧客企業は必要なデータをABEJA Platformに蓄積することにより、コンピューティングリソースの管理やセキュリティを担保した環境の中で、データ加工等を行い、当該データと、BaaSレイヤーで予め準備しているAIモデルを組み合わせることにより、簡便に属性推定システム、異常検知システムといったAIシステムを構築することができます。

 

※画像省略しています。

 

図3:ABEJA Platform

 

また、ABEJA Platformの強みとして、300社以上に対するサービス提供実績と、その際に開発されたモジュール群が備わっているため、個別の検証を必要とせず安定した品質のソリューションを素早く提供できる点などが挙げられます。

ABEJA Platformの強み

開発速度の向上・早期運用開始

・既に実装されたモジュールを即座に提供することが可能

高い品質安定性

・過去の案件で実際に使われ、品質安定性について個別の検証を必要としないテスト済みのモジュールを利用可能

最先端の技術をいつでも利用可能

・最新のMLライブラリ、最新技術を用いたMLモデルなど、常に最新で最適な技術を利用可能

AutoMLをベースに本番適用

・AutoMLをベースに本番適用できる先進的なシステム

運用コスト・負荷の低減

・フルマネージドサービスとして提供されているため、MLエンジニア以外の運用人員が不要

堅牢なセキュリティ

・医療、金融、自治体でも実績のある高いセキュリティ

・システムダウンが大規模事故につながるような案件での実装経験

 

当社は、創業当初よりABEJA Platformへ継続的な投資を行っており、基礎的な機能面における投資はほぼ完了しております。また、ABEJA Platformにおけるコア技術については、特許(「機械学習又は推論のための計算機システム及び方法(PCT/JP2018/3824)」)を取得しており、競合他社への牽制、優位性の一要素となっているものと考えております。

 

b.ABEJA Platform上でのHuman in the Loopの仕組みについて

 従来、AIを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進するためには、PoC(Proof of Concept:実証実験)を繰り返し行い、AIの精度を継続的に向上させていました。しかし、企業にとってPoC期間は投資期間であり、精度の保証が難しいAIの開発において、継続して投資の意思決定を行うことがボトルネックとなる等、PoCに留まっている企業の割合は63%にものぼります(出所:アクセンチュアニュースリリース「アクセンチュア最新調査―AI活用において、60%以上の企業が概念実証に留まる」2022年6月23日)。

 一方で、ABEJA Platform上で、Human in the Loopの仕組みを利用することにより、PoCを行わず、デジタルトランスフォーメーションを推進することが可能となります(図4)。

 

※画像省略しています。

 

図4:デジタルトランスフォーメーション推進プロセスの比較

 

 

 当社の提供するHuman in the Loopとは、ABEJA Platform上にビジネスプロセスの運用ノウハウや知識をデータとして蓄積するとともに、人が判断や意思決定を補うことで効率的にAIモデルを構築していく仕組みとなります。例えばデータ量が少なく、AIが効果的に学習することができない、高い精度を発揮できない初期段階においても、人が補うことでAIの学習サイクルを成立させることができ、人とAIの協調(人とAIの相互補完)により、当初より実運用を可能としています。

 

 具体的には次のステップにより、ABEJA Platform上でHuman in the Loopの仕組みを実現しております

(図5)。

 

ステップ

状況

ステップ1(DX取組前)

 人が実行

・人が、リアル空間で、ビジネスプロセスを行っている

・運用ノウハウや知識は個々人等に分散

ステップ2

 人が実行

・人が行うビジネスプロセスに、ABEJA Platformを導入

・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている

・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積される

ステップ3

 人が実行・AIが支援

・人が、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている

・ABEJA Platformに徐々に蓄積される運用ノウハウや知識がデータとして活用され、AIが支援、人の負荷が軽減される

・日々のビジネスプロセスにより、データの蓄積と、ABEJA Platformでの活用が進み、さらにAIの支援内容が高度化する

ステップ4

 AIが実行・人が支援

・AIが、ABEJA Platform上で、ビジネスプロセスを行っている

・人が支援(監督・監査)しており、負荷がさらに軽減される

・運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformで活用され、さらに実行内容が高度化する

 

※画像省略しています。

 

図5:ABEJA PlatformにおけるHuman in the Loopの仕組み

 

 図5におけるデジタルトランスフォーメーションの進捗について、ステップ2で人が行うビジネスプロセスにABEJA Platformを導入することで、人とAIが協調してオペレーションを実行する環境が創出されます。これにより、運用ノウハウや知識がデータとしてABEJA Platformに蓄積できるようになり、この点を大きな変革点(トランスフォーメーション)と捉えています。当該環境のもと、日々のオペレーションにより、運用ノウハウや知識のデータ蓄積と活用が進み、ビジネスプロセスのAI化が進んでいきます。

 具体的なHuman in the Loopの仕組みを利用した取組事例として、プラント事業者において工場内配管の腐食度の定常的な検査・モニタリングにAIを活用し、人とAIが協調しながらAIモデルが成長する仕組みを構築しております(図6)。

 

※画像省略しています。

 

図6:Human in the Loopの仕組みを利用した具体例

 

c.取組範囲の拡大について

 一顧客において、単一のビジネスプロセスから、複数のビジネスプロセスに取組範囲を広げることにより、重層的に顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを推進できます。この段階では、ABEJA Platformに蓄積済みの連携データを再活用することで、デジタルトランスフォーメーションの速度を上げ、顧客企業の高収益化に貢献できると考えております(図7)。

 

※画像省略しています。

 

図7:重層的なデジタルトランスフォーメーションの推進

 

② トランスフォーメーション領域とオペレーション領域

 a.トランスフォーメーション領域

 企業のデジタルトランスフォーメーションニーズに幅広く対応したプロフェッショナルサービスをABEJA Platformを導入し、提供しております。

 プロフェッショナルサービスの提供にあたっては、経営レベル、全社レベルのビジョン(デジタルトランスフォーメーションの実現を通して目指す姿)の策定・共有から、ビジョンを具現化するためのプランニング、ビジネスプロセスにあわせたシステム構築・運用までを伴走型で支援しております。

 当社は、創業以来、幅広い業種にわたる300社以上の顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを支援してまいりました。当該経験がプランニング力やプランを具現化する実行力に繋がっております。

 今後は、ABEJA Platform上のHuman in the Loopの仕組みを用いることで、

・ビッグデータが無くても、小規模にデジタルトランスフォーメーションの取組みを開始できる

・企業側の既存システムや既存オペレーションへの影響が小さい

・AIの精度問題のラストワンマイルを超えることができる

といった優位性を活かし、これまでより幅広い業種、企業規模のデジタルトランスフォーメーション支援に取組んでまいります。

 また、当社では顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを推進するとともに、AI研修等を通じて、企業内でデジタルトランスフォーメーションに取組むデジタル人材の育成も推進しております。

 

 b.オペレーション領域

 ABEJA Platform上に構築した様々なシステムを、汎用的な仕組みやサービスとして提供しております。

 現状では、小売業、不動産業、製造業、金融業などが対象となり、複数の業界にわたってABEJA Platform上に構築したシステムを運用して業務推進しております。

 当社では、創業以来、1,000拠点を超える様々な環境に設置したカメラやセンサーから取得したデータ、顧客の業務システムなどをABEJA Platform上に実装してまいりました。これにより、長期間安定運用するノウハウを蓄積し、プライバシーやセキュリティなどを担保する仕組みを構築しております。

 

 c.具体例

 デジタルトランスフォーメーションの具体的な取組事例は以下のとおりとなります。

顧客業種

取組内容

想定する効果

小売

販売データに基づく販売在庫の自動発注最適化システムの構築・運用

食品サプライチェーンの最適化

プラント

画像データに基づきプラントインフラの定期的検査・モニタリングを行うAIシステムの構築・運用

保守人員の削減

製造業

トラブル等のデータに基づき対処方法を選定するAIシステムの構築・運用

トラブル対応コストの削減

電力

稼働データに基づく電力需要予測システムの構築・運用

電力量の効率的コントロール

医療

画像データに基づく疾患検出AIシステムの構築・運用

予防医療と関連疾患の早期発見

介護

介護データに基づく被介護者の自立支援システムの構築・運用

介護従事者の効率性向上、サービス品質向上

金融

アンダーライティング(引受業務)の高度化を行うための支援

引受工数削減、リスクマネジメントの高度化、収益向上

情報

購入データに基づくコンテンツレコメンドAIシステムの構築・運用

利用者の利便性の向上、購入率の向上

不動産

ハイブリッドワーク(オフィス出社とリモートワーク)下における情報・コミュニケーション格差が発生しないためのオフィス環境の構築・運用

入居者ターゲットの拡充

中間流通

効率化のためにDX化すべきオペレーションを予測するシステムの構築・運用

中間工数の削減

 

そのほかに、オペレーション領域主体の具体例として、ABEJA Platform上に構築したABEJA Insight for Retailを、小売業中心に598店舗(2023年8月期末時点)に提供しております。

ABEJA Insight for Retailでは、店舗に設置したカメラなどデバイスを通して消費者の動線分析や年代・性別の推定を行い、入店から購買に至る消費者行動をデータとして可視化・数値化することで、店舗の課題を客観的に把握し、運営の改善に繋げることが可能となります。

 

 d.ABEJA Platformと2領域の連携

 当社では、トランスフォーメーション領域とオペレーション領域で得た知見を基盤であるABEJA Platformに還元するとともに、2つの領域間でも相互に連携をとる、シナジー効果の高い事業モデルとなっております。2領域で獲得した知見をABEJA Platformに蓄積することで、継続的な効率化や安定性の向上、ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンスなどの改善を行っております(図8)。

 

※画像省略しています。

 

図8:ABEJA Platformと2領域の連携

 

 

(3)収益構造

 トランスフォーメーション領域は、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション推進のための各種支援に伴う収入が主な収入となります。デジタルトランスフォーメーションは段階的に進めていくため、多くはフロー型(都度契約)の契約となりますが、一方で長期間にわたる計画的なプロセスとなるため、売上高に占める継続顧客の割合は高くなっております。

   ・継続顧客からの売上比率 (注1) 91.8%(2023年8月期)

   ・大口顧客の平均取引価格上昇率(注2) 160.3%(2023年8月期)

    ※大口顧客=売上高50百万円超

 オペレーション領域は、顧客企業に提供する汎用的な仕組み・サービスに応じたストック型(継続収入)が主な収入となります。

 なお、ABEJA Platformはトランスフォーメーション領域、オペレーション領域の基盤となりますが、全体の売上高のうち、ABEJA Platform関連の売上比率は84.9%(2023年8月期)となります。また、ABEJA Platformの利用社数は250社を超えます(2019年8月期~2023年8月期(累計))。

 

(注1)継続顧客からの売上比率は、既存顧客(前事業年度に売上が発生した顧客)の当事業年度の売上高/当事業年度の売上高。

(注2)大口顧客の平均取引価格上昇率は、当事業年度の大口顧客の「当事業年度の売上合計/前事業年度の売上合計」。

 

(4)SDGsへの取組み

 当社はテクノプレナーシップ(「第2 事業の状況」参照)の基本精神に基づき、SDGs(持続可能な開発目標)の各目標に取組む企業を支援しています。

 SDGsが示す17の目標のうち、以下の項目において、当社のサービスが利用されております(図9)。

 

※画像省略しています。

 

図9:当社のサービスが利用されている項目と具体的な事例

 

 

[事業系統図]

 

※画像省略しています。

 

用語集

用語

内容

AI

Artificial Intelligenceの略称で、人工知能。学習・推論・認識・判断などの人の知能的な作業・活動を行う人工的な仕組み。

AIシステム

人間が定義した特定の目的のために、予測、助言、決定を行う性能を有するシステム。設計次第で様々な自律の程度で動作する。

機械学習(Machine Learning/ML)

コンピュータが、大量のデータから反復的に学習することでルールやパターンを見つけ出し、それをもとに分類や予測を行うアルゴリズムやモデルの総称。

アノテーション

AIが学習する教師データ(正解データ、ラベル)を作成するため、画像やテキストなどのデータに関連する情報を注釈として付与する作業。

ディープラーニング

深層学習とも呼ばれる機械学習の一種。人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層にしたアルゴリズムの総称。

従来は人が行っていたデータから潜在的な特徴を抽出する作業をコンピュータが行うことが特徴。

デジタルトランスフォーメーション(DX)

データとデジタル技術を活用することで製品・サービス・ビジネスモデルの変革を行い、新たな競争優位性を作り出すこと。

EMS(Electronics Manufacturing Service)

Electronics Manufacturing Service の略称で、電子機器をはじめとした他社の製品の製造を請け負うサービスのこと。

EMSは、規模の経済を働かせ製造コストを抑えるといったモデルで拡大、近年では請け負う製品領域が多様化しており、また、サービス領域も製造のみならず設計、保守運用に拡がりを見せている。

AutoML

Automated Machine Learning の略称で、データ収集、データの加工、モデルの生成などの機械学習のプロセスを自動化する技術や手法、概念のこと。

Human in the Loop

システムにおいて、一部の判断や制御を人が補うことで、システムの判断が間違うことがあってもシステムを運用できるようにする仕組み。

Human in the Loop Machine Learning

AIを活用するシステムにおいて、AIの出力する結果に対して人がチェック・フィードバックをすることで、継続的に教師データを作成できる状態を作りAIの精度を高め続ける仕組み。

BPR

Business Process Reengineering の略称で、既存の業務プロセスを見直し、情報システム、制度、組織を含めて再設計すること。

BPO

Business Process Outsourcing の略称で、企業の業務プロセスを一括して外部に委託すること。

オーケストレーション

複雑なコンピュータシステムの設定や管理、調整をソフトウェアによって効率化、省力化、自動化すること。

ユーザーインターフェース(UI)

ユーザーがサービスを利用する際に触れる操作画面や操作方法などの、ユーザーとサービスの接点を指す。

ユーザーエクスペリエンス(UX)

製品やサービスを通して、ユーザーが感じる使いやすさや印象といったユーザー体験のこと。

BaaS

Backend as a Serviceの略称で、アプリケーションのバックエンド機能を提供するクラウドサービス。

ABEJAでは、属性推定や需要予測等のAIを、一定程度の精度が担保された状態で予め準備し、顧客が簡単に利用できるように提供。

PoC(Proof of Concept:実証実験)

構想、企画した AI システムが意図した結果を生み出すかを確認するために、AI の精度などの不確実性が高い部分に絞り実験的に検証すること。

IoT

Internet of Things の略称で、車、住宅、家電製品、センサーなどの様々なモノが、インターネットと接続され、相互に情報交換をする仕組み。

 

23/11/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から社会活動は正常化に進んでおり、国内景気には穏やかな回復の動きがみられます。一方でエネルギー価格や物価の上昇、金融資本市場の変動、国際情勢の不透明さ等の影響により先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社の事業が属するデジタルトランスフォーメーション市場におきましては、ビジネスプロセスのデジタル化や既存のビジネスモデルを変える新たな試みなど、デジタルトランスフォーメーションの取組みは広がりをみせ、企業のIT投資への意欲は引き続き強いものとなっております。今後はアフターコロナにおける新しい社会の実現や、少子高齢化に伴う労働生産人口の減少、働き方改革を背景に、多くの企業においてデジタルトランスフォーメーションを推進する動きが一層活発化するものと捉えております。

 このような環境の中、当社はABEJA Platformを基盤として、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を支援することにより、安定して事業を拡大することができました。

 この結果、当事業年度の経営成績は、売上高2,775,469千円(前事業年度比40.3%増)、営業利益402,788千円(前事業年度は163,502千円の損失)、経常利益379,757千円(前事業年度は181,757千円の損失)、当期純利益421,598千円(前事業年度は196,366千円の損失)となりました。

 なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末の資産合計は4,109,491千円となり、前事業年度末に比べ1,949,692千円増加いたしました。これは主に当社株式上場に伴う株式の発行等の影響で現金及び預金が1,695,998千円増加したこと、売上高増加に伴い売掛金及び契約資産が206,270千円増加したこと、税効果会計適用により繰延税金資産を130,495千円計上したこと、また仕掛品が64,617千円減少したこと等によるものです。

(負債)

 当事業年度末の負債合計は、628,607千円となり、前事業年度末に比べ262,518千円増加いたしました。これは主に第3四半期会計期間より賞与制度を導入し、賞与引当金が124,139千円増加したことに加え、業績・事業規模拡大に伴い未払法人税等が120,654千円増加したこと等によるものです。

(純資産)

 当事業年度末の純資産の残高は、3,480,883千円となり、前事業年度末に比べ1,687,173千円増加いたしました。これは主に当期純利益を421,598千円計上したことにより利益剰余金が増加したことに加え、当社株式上場に伴う株式の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ632,787千円増加したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ1,695,998千円増加し、当事業年度末には3,540,535千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、460,532千円となりました(前事業年度は253,494千円の支出)。これは主に税引前当期純利益379,757千円の計上や賞与引当金の増加額124,139千円、棚卸資産の減少額64,617千円及び売上債権の増加額206,270千円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、5,638千円となりました(前事業年度は14,061千円の支出)。これは主に従業員に対する貸付けによる支出4,998千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により得られた資金は、1,241,104千円となりました(前事業年度は3,958千円の収入)。これは株式の発行による収入1,241,104千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

c.販売実績

 販売実績を領域別に示すと以下のとおりであります。なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

領域の名称

前事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

当事業年度

(自 2022年9月1日

 至 2023年8月31日)

金額

(千円)

前年同期比

(%)

割合

(%)

金額

(千円)

前年同期比

(%)

割合

(%)

トランスフォーメーション領域

1,662,994

169.5

84.1

2,268,613

136.4

81.7

オペレーション領域

315,236

113.2

15.9

506,855

160.8

18.3

合計

1,978,230

157.1

100.0

2,775,469

140.3

100.0

 

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

当事業年度

(自 2022年9月1日

 至 2023年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SOMPOホールディングス株式会社

752,250

38.0

801,500

28.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、当社における重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高は、2,775,469千円(前事業年度比40.3%増)となりました。これは主に、前事業年度に続いて多くの企業でデジタルトランスフォーメーションへの取組みが進んだことによるものです。売上原価については、売上高の増加に伴い、1,049,024千円(前事業年度比31.7%増)となりました。

 その結果、売上総利益は1,726,444千円(前事業年度比46.1%増)となりました。

 販売費及び一般管理費については、主に人員増による人件費の増加及びシステム利用料の減少等により、1,323,655千円(前事業年度比1.6%減)となりました。

 その結果、営業利益は402,788千円(前事業年度は163,502千円の損失)となりました。

 営業外収益は22,344千円(前事業年度比2.0%増)となりました。主な内容は受託研究収入19,800千円であります。また、営業外費用は45,376千円(前事業年度比13.0%増)となりました。主な内容は株式交付費24,470千円及び受託研究費用16,500千円であります。

 その結果、経常利益は379,757千円(前事業年度は181,757千円の損失)となりました。

 特別利益及び特別損失は発生しておりません。

 また、当事業年度及び今後の業績動向等を勘案し、繰延税金資産130,495千円を計上いたしました。これにより、法人税等調整額(益)130,495千円を計上しております。

 この結果、当期純利益は421,598千円(前事業年度は196,366千円の損失)となりました。

 

③ 財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー

の状況」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 当社における主な資金需要は、継続的なサービス提供のための開発・研究に関する費用や人件費、人員獲得のための採用費、当社の認知度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制、法的規制、その他の様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑧ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

 当社は、収益の最大化が企業価値向上につながると考えております。当社では経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、顧客支援の総量である売上高、当社事業の基盤となるABEJA Platformの活用を示すABEJA Platform関連売上比率、安定的な収益獲得を示す継続顧客からの売上比率、当社の収益力を示す営業利益を重要な指標としております。

 当事業年度における売上高は2,775,469千円、ABEJA Platform関連売上比率は84.9%、継続顧客からの売上比率は91.8%、営業利益は402,788千円となります。当社の基盤であるABEJA Platform関連売上比率が売上高全体の84.9%を占めていること、また、継続顧客からの売上比率が91.8%であることから、安定的に継続性のある収益が積み上がっており、足元の成長に繋がっていると評価しております。今後もABEJA Platform関連売上比率や継続顧客からの売上比率を重視することで、売上や営業利益の拡大に努めてまいります。今後の各指標の向上の施策については前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。