売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E32770 Japan GAAP

売上高

36.4億 円

前期

29.6億 円

前期比

123.2%

時価総額

42.2億 円

株価

755 (04/19)

発行済株式数

5,588,400

EPS(実績)

65.08 円

PER(実績)

11.60 倍

平均給与

502.2万 円

前期

458.2万 円

前期比

109.6%

平均年齢(勤続年数)

36.6歳(4.1年)

従業員数

148人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 製造業におけるJMCという強固なブランドを確立するため、「MADE BY JMC」という企業理念及び「ものづくりに知性を。」というビジョンのもと、3次元CADデータ技術を用いて「樹脂を素材とする3Dプリンター」と「金属を素材とする砂型鋳造」の両成型法を利用、発展させながら、製造業を中心に幅広い業種の「試作品」から「最終製品」までの「ものづくり」をトータルサポートすることを主たる事業としております。

 当社の事業は、3Dプリンター事業、鋳造事業及びCT事業から構成されており、報告セグメントの区分も当該事業によっております。3つの事業を持つことで、3次元CADデータのノウハウを共有するだけでなく、人員のローテーションや設備の共同利用など社内のハード・ソフト資源を有効に活用することが可能になります。

 なお、当事業年度より、従来「3Dプリンター出力事業」としていた報告セグメントの名称を「3Dプリンター事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

 3Dプリンター事業につきましては、製品開発を行っている顧客からの試作の依頼を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。製造だけではなく、3次元CADデータの特殊な処理や装置のメンテナンスも自社で行うことで、メーカーと受託サービス会社が持つノウハウを一貫して有しております。

 なお、当該事業は年中無休の稼働体制で顧客のニーズに合わせてサービスを提供しております。

 また、3Dプリンターの技術を用いて開発された心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」は、国内外で心臓カテーテル治療に携わる医師やデバイスメーカー向けに、「HEARTROID PROJECT」(国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科、フヨー株式会社及び当社)を通じて自社製品としてラインアップの増強を進めております。

 

 鋳造事業につきましては、多品種少量生産に適した砂型鋳造法を採用しております。また、多くの鋳造業者が鋳造以外の工程の外注化を図っているのに対し、当社では木型、鋳造、熱処理、機械加工、検査まで一貫した製造工程を内製化したことにより、顧客メーカーの要求に応える安定した製品品質と短納期化を実現しております。従来の「伝統の職人技」と言える部分を精緻な3次元CADデータの取り込みなどを通して、砂型鋳造の精度をダイカスト法(注1)と同等レベルまで向上させたことで、試作品のみならず最終製品の受託も手掛けており、最終製品と同素材の試作品を顧客に販売することで、製品に対する需要を把握するテストマーケティングにも利用されております。

 さらに、砂型3Dプリンター(注2)を導入し、益々大型化・複雑化する設計に対して、これまで手作業で造型することのできなかった複雑な砂型にも対応可能となり、付加価値の拡大に寄与しております。

 また、量産鋳造部品の製造では、トヨタ生産方式(注3)を導入し、効率化と設備増強による製造量増加を進めております。

 品質検査体制ではベーカーヒューズ製の産業用CTを複数機種導入し、自動車や航空宇宙分野で求められる品質水準を確保しております。

 このように品質検査体制と短納期、さらには量産品製造に対するトヨタ生産方式の導入を強みとして、一部の完成車メーカーからTier1(注4)企業として選定されています。

 また、クラシックカーやバイクのレストア(旧型車両等の老朽化した部品を供給する)用パーツの製造販売を行うプロジェクト「JMC BASE」では、当社の高い鋳造技術や産業用CTでの検査技術を活かして、メーカーで生産終了となった部品を製造販売しております。なお、自社主催のレストアイベント「JMCレストアMTG」を通じて、旧型車両等のユーザーの要望を製造するレストアパーツの選定に活かしております。

 

 CT事業につきましては、製品評価やリバースエンジニアリング(注5)等の高度な検査・測定サービスの受託に加え、顧客製品の不具合を検出する「全数検査・選別サービス」を提案しております。また、ベーカーヒューズ製の産業用CT、関連サービス及びボリュームグラフィックス株式会社製の産業用CT/ボクセルデータ用ソフトウエアの販売業務を行っております。

 

[事業系統図]

 

※画像省略しています。

 

(注)1.ダイカスト法

金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳造品を短時間で大量に生産する鋳造方式のことです。

 

2.砂型3Dプリンター

CADデータから直接鋳造用の砂型を造形する装置で、経済産業省が推進する「次世代型産業用3Dプリンターの造形技術開発・実用化事業」でも開発が進められており、今後の国内製造業における基盤となりうる技術の一つとして期待されております。砂型3Dプリンターの導入は、マシニングセンタでマスターモデルとなる木型を削り出し、職人の手込めによって行われていた従来の作業工程を短縮し、特に数多くの砂型を組み合わせて構成する自動車のシリンダーヘッドやインテークマニホールドの中子製作において、飛躍的な工期短縮を実現します。

 

3.トヨタ生産方式

「ジャストインタイム」と「自働化」の2つの理念でムダを排除し、生産を合理化する生産方式のことで、その実現には「1.カイゼン」、「2.問題の見える化」、「3.なぜなぜ分析」、「4.7つのムダとり」の手法を用います。

 

4.Tier1(ティア・ワン)

メーカーに部品を直接納入する一次サプライヤーのことです。一次請負とも言われています。

 

5.リバースエンジニアリング

物体を産業用CTでスキャンし、データをコンピュータに取り込み、そのデータから物体形状のCADデータを再構築することです。

 

[事業フロー]

※画像省略しています。

 

(1)3Dプリンター事業

 3Dプリンター事業では、製品開発を行っている顧客に対して試作品を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。当社が保有する3Dプリンターは、光造形方式、粉末焼結(ナイロン造形)方式、インクジェット方式と、現在業界で採用されている主要な工法を備えております。工法が多岐にわたることに加えて、当社では顧客への短納期化を実現するために、自社による見積データの解析・補正サービスや年中無休の稼働体制を敷いております。また、3Dプリンターでの作製後の各種後加工(塗装・染色・ネジ加工・アルミ真空蒸着(注6)・真空注型(注7))も行っております。

 同事業においては、医療分野でも3Dプリンターによる製品の作製サービスを行っております。脳外科、口腔外科分野において、患者のCT・MRIデータから頭蓋骨や下顎骨のデータを作成し、3Dプリンターで実体モデルを作製しております。実体モデルは、手術前のシミュレーションや手術方式の説明等に利用されております。また、3Dプリンターと真空注型を組み合わせた独自の技術(特許番号5236103号)を保有しております。これは、臓器の複雑な形状を忠実に再現するため、型を3Dプリンターで作製し、シリコーンゴムなどの軟質材料を注入することで、軟質の臓器モデルを作製するものです。臓器モデルは医療機器の機能評価やカテーテル、内視鏡手術のトレーニングに利用されております。

 

 3Dプリンターのそれぞれの方式の特徴は以下のとおりであります。

 

a. 光造形方式

 工業製品の高速試作に用いられる3Dプリンターであります。液体樹脂にレーザーをあて、硬化させながら層を積み重ねていくことで作製します。他の3Dプリンターに比べて高精度な製品を作製することができる一方、導入コストが高額であり、運用には高度なノウハウが必要なため、ハイクラスなサービスビューロー(注8)や大企業の研究開発部等が導入するプロユースの装置であります。用途の例としては、医療機器の試作品、部品の接続の機能検証用のモデル、可視化用の透明モデル等になります。

 

b. 粉末焼結(ナイロン造形)方式

 ナイロン粉末をCO2レーザーで焼き固め、積み重ねていくことで、モデルを作製する3Dプリンターであり、強度や耐熱性が求められるモデルの作製に用いられます。装置は3Dプリンターの中で高額な部類に属し、また、材料費も高価なため導入に対する障壁が高い方式であります。用途の例としては、自動車の動作確認用部品モデルや内装部品の試作品等になります。

 

c. インクジェット方式

 紫外線硬化型樹脂をプリンターヘッドから微細な液滴として吐出し、紫外線ランプで硬化させてモデルを作製する3Dプリンターです。装置は光造形に比べて小型で、モデルの後処理が容易であり、大型の洗浄装置が必要ない方式です。用途の例としては、複雑な内部形状を持つモデル、流路解析用モデル等になります。

 

(注)6.アルミ真空蒸着

真空内でアルミニウムを加熱して、気化・昇華させ、離れた位置に置かれた基材・基板の表面に付着・堆積させて薄膜を形成する技術のことです。

 

7.真空注型

光造形品や切削加工品をマスターモデルにして、シリコーンゴム等の複製用の型を作製します。その型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して複製品を作製する工法のことです。

 

8.サービスビューロー

商用印刷やデスクトップパブリッシングに関連するサービスを行う業者のことで、出力センターとも呼ばれています。ページレイアウトソフトで作成したデータの出力や、スキャニングなど様々なサービスを行います。

 

(2)鋳造事業

 鋳造は、製品の形状を反転させた型に、鉄・銅・アルミニウム・マグネシウム等の溶かした金属を流し込み、製品を作製する工法になります。この時に用いる型を“鋳型(いがた)”と呼び、素材により金型・砂型・石膏型等、数種類に分けられます。

 鋳造工法は、複数の工程から成っており、顧客から受領したCAD(注9)データから型データの作成、木型の作製、砂型の作製、鋳込(注10)、仕上、熱処理、機械加工、検査を経て、製品が完成いたします。これまでの鋳造業界では、その各工程をそれぞれ別会社が営んでおり、工程間のデリバリー時間が発生することや、工程間の情報共有不足による不良品発生が問題となっております。当社も事業開始時は砂型の作製、鋳込、仕上工程のみ自社で行っており、それ以外の工程を外部委託しておりましたが、顧客からの短納期や品質向上の要求に応えるためには、完全素加一貫(注11)の生産体制を構築する必要があり、1工程ずつ着実に内製化してきました。3Dプリンター事業と同様に、顧客からはコストよりも短納期が重視される傾向があるため、当社のスピードが付加価値となり、価格競争面で有利に働く要素となっております。

 当社の砂型鋳造は、金型を使用するダイカスト工法に近い品質を実現しております。それは、切削機械で木型を作製し、同業の砂型鋳造業者よりも細かい粒径の鋳物砂(注12)を使用しているからであります。また、組織の密度等鋳造品の物性において、ダイカスト工法よりも砂型鋳造が優れており、表面粗さと寸法精度が担保されれば、品質は砂型鋳造品が優ると考えております。

 なお、当社では、主にアルミニウム合金及びマグネシウム合金による鋳造を行っております。

 

(注)9.CAD(Computer Aided Design)

コンピュータ支援設計とも訳され、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツール(CADシステム)のことです。

 

10.鋳込

溶かした金属を鋳型に流し入れることです。

 

11.素加一貫

素材(鋳造品)の作製から後加工まで一貫するという意味で、型作製から検査まですべて自社内で完結させることです。

 

12.鋳物砂

鋳造品用の鋳型(砂型)を作製するために用いる砂のことです。耐火性・通気性・伸縮性などが良いものを使います。

 

(3)CT事業

① 検査・測定サービス

 産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供するサービスです。

 当社では、ベーカーヒューズ製の産業用CT「phoenix v|tome|x c450」(ミリフォーカスCT)、「phoenix nanotom m」(ナノフォーカスCT)及び「phoenix v|tome|x m」(マイクロフォーカスCT)を導入しております。これらの装置は、自動車、航空宇宙、電力等の幅広い分野において品質検査を行う用途に最適化されており、非破壊検査や三次元測定に活かされます。また当社で保有する産業用CTで検査・測定が困難なサイズのスキャン対象物は、業務提携先の大型産業用CT装置を用いて測定したデータを当社で解析し提供しております。産業用CTによるスキャン技術は製品現品の品質検査が求められる分野においては不可欠であり、製造規格やメーカー独自の品質検査レベルをクリアするために有効なものであります。当社の主なサービスは下記のとおりであります。

 

a. 鋳造品の内部品質評価

 鋳巣欠陥(注13)は、様々な要因によって発生します。産業用CTは素材内部の欠陥を簡単に検出することができるため、より質の高い製品開発をサポートできます。

 

b. リバースエンジニアリング

 産業用CTは品質検査だけではなく、図面のない製品や自然物のデータ化にも活用できます。更に当社では3Dプリンター事業の豊富な実績から、3Dプリンター出力用のデータの編集も可能であり、リバースエンジニアリングによるものづくりをサポートすることができます。

 

c. 素形材の解析

 カーボンの素材強度に影響するカーボン繊維の配向の解析サービスを行っております。

 

d. 放射線照射

 産業用CTにて放射線を物体に照射し続けることで、物体がどのように変化、変質していくのかを確認するサービスを行っております。

 

e. 文化・教育用途での研究用資料提供

 産業用CTにてスキャン対象物の内部を透過することで、希少生物の骨格や文化財の内部構造の確認を非破壊で行うことができます。この特性を活かし、教養・教育研究を目的とした3Dデータの提供を行なっております。

 

② 産業用CT販売

 ベーカーヒューズ製の産業用CT及び関連サービスの販売を行っております。

 

(注)13.鋳巣欠陥

鋳巣欠陥とは、鋳造品の内部に空洞が発生するという不良のことです。

 

 

24/03/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

 経営成績

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、行動制限が緩和されるなど、社会経済活動の正常化が進展することで回復の兆しが見られております。一方で、原油・原材料価格の高止まりの影響、中国をはじめとした諸外国の景気減退、地政学的リスクの長期化など依然として不透明な状況であります。

 当社を取り巻く試作・開発市場は、世界的なカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)目標達成に向けたEV(電気自動車)開発の本格化により、複雑形状かつ大型サイズの試作品が求められる傾向が顕著となりました。このため当社は、新たな生産技術「ギガキャスト(注1)」の試作需要に応えるため、大型低圧鋳造炉の導入を行い、大型試作品の供給体制の整備を進めました。また、FA(ファクトリーオートメーション(注2))協働ロボット案件についても堅調な受注状況が継続し、業績を牽引いたしました。

 このような環境の中、伊豆木産業用地(長野県飯田市)に国内最大規模の砂型鋳造工場棟「コンセプトセンター第8期棟」を建設し、2023年9月に稼働を開始いたしました。これにより、従来は不適とされてきた自硬性砂型鋳造(注3)による鋳造品の量産が可能となりました。

 3Dプリンター事業では、株式会社ケイズデザインラボ(東京都千代田区)と共同で、製造業向けに3Dプリンターによる小ロット生産確立と普及を支援する事業「デジタル製造プログラム(注4)」の一環として、樹脂3Dプリンター「Figure4」を新たに設置し、様々な樹脂を用いた積層品の量産に向けた提案を進めました。

 この結果、当事業年度の経営成績は、売上高3,640,002千円(前期比23.2%増)、営業利益536,623千円(前期比52.8%増)、経常利益533,438千円(前期比39.9%増)、当期純利益363,695千円(前期比46.9%増)となり、売上高・利益の各項目で過去最高を達成しました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当事業年度より、従来「3Dプリンター出力事業」としていた報告セグメントの名称を「3Dプリンター事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

①3Dプリンター事業

 3Dプリンター事業におきましては、心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID(ハートロイド)」の販売促進活動を、海外で開催される各種国際会議や展示会での出席及び実演などを中心に、積極的かつ継続的に実施したことで製品認知が進み、グローバルデバイスメーカーなどからの受注が続きました。

 また、工業向け試作品を中心とした出力サービスにつきましても、試作・開発市場の景況感の回復により、「短納期」・「高品質」が要求される案件や、まとまった数量の造形を必要とする大口案件を中心に受注が拡大しました。

 この結果、3Dプリンター事業の売上高は729,705千円(前期比33.6%増)、セグメント利益は199,751千円(前期比91.8%増)となりました。

 

②鋳造事業

 鋳造事業におきましては、自動車メーカー各社及び部品メーカーを中心とした国内外のEV関連の試作及び開発や、FA協働ロボット関連の量産部品及び開発に関する案件の受注が年間を通じて堅調に推移いたしました。また、レストア(旧型車両等の老朽化した部品を供給する)分野では、「日産L28型エンジンシリンダーヘッド」の市販化に続き、ユーザーからの要望を取り入れた新たな開発プロジェクトへの着手など、ブランドサイト「JMC BASE」(注5)とともに、レストアブランドの周知拡大を進めました。

 生産面ではコンセプトセンター(長野県飯田市)、ミーリングセンター(静岡県浜松市浜名区)両工場による柔軟な生産体制の構築、短納期対応、原価低減活動により、全社業績を大きく牽引しました。

 この結果、鋳造事業の売上高は2,505,656千円(前期比22.6%増)、セグメント利益は558,000千円(前期比24.4%増)となりました。

 

③CT事業

 CT事業におきましては、二次電池の研究開発、製造に必要なあらゆる技術、部品・材料、装置および二次電池メーカーが出展する大規模な展示会「BATTERY JAPAN(バッテリージャパン)国際二次電池展」への出展により、産業用CTスキャンサービスの周知・啓蒙活動に努めましたが、顧客製品の不具合箇所を特定する「非破壊検査・選別サービス」の案件ボリュームが前期と比較して減少した影響により、売上高は前期を下回り、セグメント利益は前期並みにとどまりました。

 この結果、CT事業の売上高は404,640千円(前期比9.3%減)、セグメント利益は276,003千円(前期比2.8%増)となりました。

 

(注1)ギガキャスト

 大型の鋳造設備で複数のアルミ合金部品を1つのパーツとして成型し、大型の車体部品を生産する方法です。当社では自動車生産工程のギガキャスト化を見据え、試作段階での大型アルミニウム鋳造品の提案ができるよう準備を進めております。

 

(注2)ファクトリーオートメーション

 工場における生産工程の自動化を図るシステムのことで、当社では需要増加が著しい協働ロボット分野で使用される筐体の金属部品に、軽量かつ高強度のマグネシウム鋳造品やアルミニウム鋳造品を提案しております。

 

(注3)自硬性砂型鋳造

 砂に樹脂と硬化剤を混ぜることで強度のある砂型を作る工法で、量産性が低いことから、通常は量産前の試作用途で使用されております。

 

(注4)デジタル製造プログラム

 事業主体者である株式会社ケイズデザインラボと当社及び3DiH各社(八十島プロシード株式会社・原田車両設計株式会社)が3Dプリンターによる小ロット生産の確立と普及を支援する事業です。当事業は、経済産業省「令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」に採択されたビジネスモデル構築型補助事業です。

■ 3Dプリント製造を取り込んだビジネスの検討・ご提案

■ 3Dプリントによる製品製造ベンチマークのフルサポート

■ 3Dプリントによる小ロット生産の品質検証

■ 3Dプリント製造をイノベーションの核とした各種補助金申請サポート

(https://portal.monodukuri-hojo.jp)

(https://ksdl.co.jp/dxc/contents_sv_dmp.html)

 

(注5)ブランドサイト「JMC BASE」

 当社の高い鋳造技術や産業用CTでの検査技術を活かして、メーカーで生産終了となった商品を製造販売することで多くの方に大切な自動車や自動二輪車を長く楽しんでいただくための当社のレストア分野専用のWEBサイトです。

(https://jmcbase.com)

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

3Dプリンター事業(千円)

282,396

121.5

鋳造事業(千円)

1,831,694

124.1

CT事業(千円)

74,747

182.1

合計(千円)

2,188,838

125.1

(注)1.金額は製造原価によっております。

2.セグメント間の振替高は含まれておりません。

 

(2)商品仕入実績

 当事業年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

3Dプリンター事業(千円)

11,783

181.4

鋳造事業(千円)

CT事業(千円)

53,439

193.6

合計(千円)

65,223

191.3

(注)セグメント間の振替高は含まれておりません。

 

(3)受注実績

 当社の受注実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

(4)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

3Dプリンター事業(千円)

729,705

133.6

鋳造事業(千円)

2,505,656

127.6

CT事業(千円)

404,640

90.7

合計(千円)

3,640,002

123.2

(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

   2.主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ファナック株式会社

1,213,978

41.1

1,400,546

38.5

 

当事業年度の販売実績を産業区分別に示すと次のとおりであります。

 

3Dプリンター事業

セグメント内産業区分

当事業年度

(自 2023年1月1日  至 2023年12月31日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

卸売業

352

374,775

51.4

精密機械・医療機械器具製造業

428

91,668

12.6

電気機械器具製造業

282

65,057

8.9

一般機械器具製造業

148

42,600

5.8

専門サービス業(他に分類されないもの)

47

35,954

4.9

その他の製造業

212

19,961

2.7

輸送用機械器具製造業

72

18,226

2.5

その他の事業サービス業

27

14,358

2.0

広告・調査・情報サービス業

5

12,387

1.7

その他

322

54,716

7.5

合計

1,895

729,705

100.0

 

鋳造事業

セグメント内産業区分

当事業年度

(自 2023年1月1日  至 2023年12月31日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

一般機械器具製造業

773

1,760,923

70.3

輸送用機械器具製造業

106

272,905

10.9

卸売業

133

241,685

9.6

電気機械器具製造業

75

117,644

4.7

鉄鋼業、非鉄金属製造業

31

46,438

1.9

自動車・自転車小売業

18

33,023

1.3

精密機械・医療機械器具製造業

33

18,339

0.7

専門サービス業(他に分類されないもの)

11

5,154

0.2

化学工業

6

4,330

0.2

その他

13

5,212

0.2

合計

1,199

2,505,656

100.0

 

CT事業

セグメント内産業区分

当事業年度

(自 2023年1月1日  至 2023年12月31日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

卸売業

163

144,376

35.7

輸送用機械器具製造業

141

112,060

27.7

一般機械器具製造業

27

30,691

7.6

精密機械・医療機械器具製造業

73

28,355

7.0

電気機械器具製造業

62

26,134

6.5

専門サービス業(他に分類されないもの)

35

14,158

3.5

その他の製造業

12

10,740

2.7

化学工業

15

5,467

1.4

鉄鋼業、非鉄金属製造業

12

5,270

1.3

その他

71

27,385

6.8

合計

611

404,640

100.0

(注)1.産業区分に関しては、株式会社帝国データバンクのTDB産業分類表の中分類に従っております。

2.販売件数、販売金額及び比率は、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 該当事項はありません。

 

(2)当事業年度の財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における流動資産は1,562,520千円となり、前事業年度末に比べ174,792千円増加いたしました。これは主に仕掛品が115,497千円減少したものの、電子記録債権が111,742千円、前渡金が59,064千円、商品及び製品が65,232千円増加したことによるものであります。

 固定資産は3,418,083千円となり、前事業年度末に比べ473,797千円増加いたしました。これは主に建設仮勘定が457,224千円減少したものの、建物が534,303千円、機械及び装置が355,812千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は4,980,604千円となり、前事業年度末に比べ648,590千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は1,128,904千円となり、前事業年度末に比べ89,456千円増加いたしました。これは主に契約負債が68,632千円、未払法人税等が46,392千円減少したものの、未払金が116,023千円、短期借入金が100,000千円増加したことによるものであります。

 固定負債は990,525千円となり、前事業年度末に比べ155,279千円増加いたしました。これは主にリース債務が64,792千円減少したものの、長期借入金が219,986千円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は2,119,429千円となり、前事業年度末に比べ244,736千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は2,861,174千円となり、前事業年度末に比べ403,854千円増加いたしました。これは主に当期純利益を363,695千円計上したことによるものであります。

 

(3)当事業年度の経営成績の分析

 当社は、自動車、精密機器、電気機器、航空宇宙及び医療機器等の製造業を中心にコンシューマー、教育、医療及びヘルスケア等幅広い業種の試作品から最終製品づくりをトータルサポートすることを主たる業務とし、「3Dプリンター事業」、「鋳造事業」及び「CT事業」の3事業で、製品の高品質はもとより、短納期において優位性を発揮しております。

 当事業年度における経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要 経営成績」に記載のとおりであります。

 

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、顧客の製品開発に資する試作品の作製及び少量量産品の作製を行っており、開発に関する秘匿情報の漏洩や製品の不良等のリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は、国際的な品質規格であるISO9001やJISQ9100の取得を通じた品質検査体制の構築と審査機関による定期的な検査の実施により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応しております。

 

(5)当事業年度のキャッシュ・フローの分析

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益507,777千円(前期377,801千円)の計上、長期借入れによる収入、減価償却費の計上等があったものの、有形固定資産の取得による支出等により、前事業年度末に比べ3,317千円減少し、当事業年度末には303,243千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は389,555千円(前年同期は600,410千円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加額98,360千円、未払消費税等の減少額53,623千円、未収消費税等の増加額52,298千円等の資金の減少があったものの、税引前当期純利益507,777千円、減価償却費294,002千円等の資金の増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は717,953千円(前年同期は629,120千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出691,846千円等の資金の減少があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は325,079千円(前年同期は29,009千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出255,347千円等の資金の減少があったものの、長期借入れによる収入550,000千円等の資金の増加があったことによるものであります。

 

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

①キャッシュ・フロー

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(5)当事業年度のキャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。

 

②契約債務

 2023年12月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

200,000

200,000

長期借入金

994,970

256,012

452,024

272,002

14,932

リース債務

248,241

86,780

121,630

38,150

1,679

上記の表において、貸借対照表の流動負債に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

③財務政策

当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。

2023年12月31日現在、短期借入金の残高は200,000千円、長期借入金の残高は994,970千円であります。また、当事業年度末において、複数の金融機関との間で合計950,000千円のコミットメントライン契約および当座貸越契約を締結しております(借入未実行残高850,000千円)。

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、販売用の産業用CTの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,443,211千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は303,243千円となっております。