売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E32770 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

 当第3四半期累計期間(2023年1月1日~2023年9月30日)における我が国経済は、個人消費や企業の投資活動に緩やかな持ち直しの兆しがみられるなど、経済活動が正常化に向かう一方、原油・原材料価格の高止まりの影響、欧米や中国など海外の景気減退の可能性、地政学的リスクの長期化など依然として不透明な状況であります。

 当社を取り巻く試作・開発市場は、世界的なカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)目標達成に向けたEV(電気自動車)開発の本格化により、大手自動車メーカーを中心に新たな生産技術「ギガキャスト(注1)」の採用が注目を集めるなど、試作においても複雑形状かつ大型サイズ化の傾向が続いており、当社においてもギガキャスト工法による試作の対応を進めております。また、当第3四半期累計期間においては、FA(ファクトリーオートメーション(注2))協働ロボット案件についても受注状況は堅調に推移いたしました。

 このような環境の中、当社鋳造事業では伊豆木産業用地(長野県飯田市)に量産用鋳造部品、大型鋳造部品の生産を担う国内最大規模の砂型鋳造による工場棟「コンセプトセンター第8期棟」を建設し、2023年9月から稼働を開始いたしました。また、3Dプリンター事業では、株式会社ケイズデザインラボ(東京都千代田区)と共同で、製造業向けに3Dプリンターによる小ロット生産確立と普及を支援する事業「デジタル製造プログラム(注3)」の一環で設置した樹脂3Dプリンター「Figure4」による新たな造形案件の獲得が進みました。

 この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高2,668,935千円(前年同四半期比30.9%増)、営業利益466,802千円(前年同四半期比95.4%増)、経常利益468,412千円(前年同四半期比71.0%増)、四半期純利益300,042千円(前年同四半期比63.4%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 なお、第1四半期会計期間より、従来「3Dプリンター出力事業」としていた報告セグメントの名称を「3Dプリンター事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

①3Dプリンター事業

 3Dプリンター事業におきましては、景況感の回復、展示会や催事の再開により、「短納期」・「高品質」が要求される案件を中心に受注が拡大しました。

 また、心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID(ハートロイド)」は、海外で開催される各種国際会議や展示会への出席及び出展などを中心に、積極的な販売促進活動を継続的に実施したことで、製品認知が進み、グローバルデバイスメーカーなどからの受注が続き業績に寄与いたしました。

 この結果、3Dプリンター事業の売上高は549,371千円(前年同四半期比47.8%増)、セグメント利益は161,859千円(前年同四半期比149.0%増)となりました。

 

②鋳造事業

 鋳造事業におきましては、自動車メーカー各社及びTier1(ティアワン)部品メーカーを中心とした国内外のEV関連の試作及び開発や、FA協働ロボット関連の試作及び開発に関する案件の受注が堅調に推移いたしました。

 生産面では伊豆木産業用地に建設を進めていた砂型鋳造による工場棟「コンセプトセンター第8期棟」の稼働開始にともない、量産用鋳造部品を段階的に既存工場棟から生産移管を進めております。また、ミーリングセンター(静岡県浜松市浜北区)における高難易度の試作加工の取組みや、両工場での柔軟な生産体制による生産量増加及び短納期対応により、全社業績を大きく牽引しました。

 この結果、鋳造事業の売上高は1,827,866千円(前年同四半期比33.3%増)、セグメント利益は465,547千円(前年同四半期比67.8%増)となりました。

 

③CT事業

 CT事業におきましては、二次電池の研究開発、製造に必要なあらゆる技術、部品・材料、装置及び二次電池メーカーが出展する大規模な展示会「BATTERY JAPAN(バッテリージャパン)国際二次電池展」への出展により、新規顧客の獲得活動に努め今後の受注に結実すると見込んでおります。しかしながら、当第3四半期累計期間においても、顧客製品の不具合箇所を特定する「非破壊検査・選別サービス」が前年同四半期と比較して案件ボリュームが減少した影響により、売上高・セグメント利益とも前年同四半期を下回る水準となりました。

 この結果、CT事業の売上高は291,697千円(前年同四半期比18.6%減)、セグメント利益は192,082千円(前年同四半期比14.6%減)となりました。

 

(注1)ギガキャスト

 大型の鋳造設備で複数のアルミ合金部品を1つのパーツとして成型し、大型の車体部品を生産する方法です。当社では自動車生産工程のギガキャスト化を見据え、試作段階での大型アルミニウム鋳造品の提案ができるよう、対応設備の準備を進めております。

 

(注2)ファクトリーオートメーション

 工場における生産工程の自動化を図るシステムのことで、当社では需要増加が著しい協働ロボット分野で使用される筐体の金属部品に、軽量かつ高強度のマグネシウム鋳造品やアルミニウム鋳造品を提案しております。

 

(注3)デジタル製造プログラム

 事業主体者である株式会社ケイズデザインラボと当社及び3DiH各社(八十島プロシード株式会社・原田車両設計株式会社)が3Dプリンターによる小ロット生産の確立と普及を支援する事業です。当事業は、経済産業省「令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」に採択 されたビジネスモデル構築型補助事業です。

■3Dプリント製造を取り込んだビジネスの検討・ご提案

■3Dプリントによる製品製造ベンチマークのフルサポート

■3Dプリントによる小ロット生産の品質検証

■3Dプリント製造をイノベーションの核とした各種補助金申請サポート

https://portal.monodukuri-hojo.jp

 

 

 なお、当第3四半期累計期間の販売実績(内部取引を除く)を産業区分別に示すと次のとおりであります。

 

3Dプリンター事業

セグメント内産業区分

第32期 第3四半期累計期間

(自 2023年1月1日  至 2023年9月30日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

卸売業

260

303,999

55.3

精密機械・医療機械器具製造業

313

52,862

9.6

電気機械器具製造業

215

43,736

8.0

一般機械器具製造業

111

35,722

6.5

専門サービス業(他に分類されないもの)

36

32,378

5.9

その他の製造業

166

15,690

2.9

輸送用機械器具製造業

52

13,775

2.5

教育

14

11,095

2.0

その他の事業サービス業

22

9,600

1.7

その他

226

30,510

5.6

合計

1,415

549,371

100.0

 

鋳造事業

セグメント内産業区分

第32期 第3四半期累計期間

(自 2023年1月1日  至 2023年9月30日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

一般機械器具製造業

566

1,304,238

71.4

卸売業

106

179,708

9.8

輸送用機械器具製造業

89

173,181

9.5

電気機械器具製造業

53

97,476

5.3

鉄鋼業、非鉄金属製造業

22

35,598

1.9

精密機械・医療機械器具製造業

30

15,843

0.9

自動車・自転車小売業

6

7,174

0.4

専門サービス業(他に分類されないもの)

11

5,154

0.3

化学工業

6

4,330

0.2

その他

12

5,161

0.3

合計

901

1,827,866

100.0

 

CT事業

セグメント内産業区分

第32期 第3四半期累計期間

(自 2023年1月1日  至 2023年9月30日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

卸売業

119

105,686

36.2

輸送用機械器具製造業

107

80,110

27.5

一般機械器具製造業

43

22,824

7.8

電気機械器具製造業

52

19,088

6.5

精密機械・医療機械器具製造業

17

15,075

5.2

専門サービス業(他に分類されないもの)

28

10,647

3.7

その他の製造業

11

10,140

3.5

鉄鋼業、非鉄金属製造業

11

5,170

1.8

化学工業

12

3,717

1.3

その他

54

19,236

6.5

合計

454

291,697

100.0

 (注)1.産業区分に関しては、株式会社帝国データバンクのTDB産業分類表の中分類に従っております。

2.販売件数、販売金額及び比率は、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

 該当事項はありません。

 

(5) 従業員数

 当第3四半期累計期間に当社の鋳造事業の拡大のため、主に製造部門の従業員が増加し、当第3四半期累計期間末の鋳造事業の従業員数は前事業年度末から18名増加し101名となりました。

 また、当第3四半期累計期間末の会社の従業員数は前事業年度末から16名増加し145名となりました。

 なお、従業員数は就業人員数であります。

 

(6) 財政状態の分析

(資産)

 当第3四半期会計期間末における流動資産は1,444,067千円となり、前事業年度末に比べ56,339千円増加いたしました。これは主に前払費用が29,705千円、仕掛品が27,458千円増加したことによるものであります。

 固定資産は3,424,814千円となり、前事業年度末に比べ480,529千円増加いたしました。これは主に建設仮勘定が507,026千円減少したものの、建物が553,256千円、機械及び装置が354,977千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は4,868,882千円となり、前事業年度末に比べ536,869千円増加いたしました。

 

(負債)

 当第3四半期会計期間末における流動負債は1,045,379千円となり、前事業年度末に比べ5,931千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が45,153千円、役員賞与引当金が21,612千円、リース債務が21,130千円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が98,168千円増加したことによるものであります。

 固定負債は1,057,781千円となり、前事業年度末に比べ222,535千円増加いたしました。これは主にリース債務が45,516千円減少したものの、長期借入金が267,988千円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は2,103,160千円となり、前事業年度末に比べ228,467千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当第3四半期会計期間末における純資産合計は2,765,722千円となり、前事業年度末に比べ308,401千円増加いたしました。これは主に四半期純利益を300,042千円計上したことによるものであります。