E21187 IFRS
前期
1,924.4億 円
前期比
152.0%
株価
1,962 (04/24)
発行済株式数
79,708,688
EPS(実績)
137.11 円
PER(実績)
14.31 倍
前期
825.0万 円
前期比
110.4%
平均年齢(勤続年数)
47.0歳(4.0年)
従業員数
12人(連結:1,467人)
当社グループは、純粋持株会社であるアサヒホールディングス株式会社(当社)とアサヒプリテック株式会社、他連結子会社12社で構成されており、次のとおり、貴金属事業及び環境保全事業を主たる事業としております。
(1) 貴金属事業
貴金属事業は、貴金属含有スクラップ等から、金・銀・パラジウム・プラチナ等の貴金属・希少金属をリサイクルし、販売することを主たる業務としております。
アサヒプリテック株式会社は国内において、電子材料分野、歯科材料分野、宝飾流通・製造分野、自動車触媒分野から集荷した貴金属・希少金属含有スクラップを、各地の工場で回収・分離・精錬し、高純度の地金製品等として、商社、半導体・電子部品メーカー等に販売する事業、半導体・電子部品メーカー等で使用される製造機械装置の部品について貴金属剥離及び精密洗浄事業を行っております。
海外では、ASAHI G&S SDN.BHD.がマレーシア・シンガポール地域において、韓国アサヒプリテック株式会社が韓国において貴金属リサイクル事業を推進しております。また、アメリカ合衆国においてはAsahi Refining USA Inc.とAsahi Refining Florida LLCが、カナダにおいてはAsahi Refining Canada Ltd.が、金・銀を中心とした貴金属の精錬・加工事業を行っております。
(2) 環境保全事業
環境保全事業は、産業廃棄物の収集運搬及び中間処理を主たる業務としております。
アサヒプリテック株式会社は、各業界の工場、印刷所、病院、学校、研究機関等から排出される、廃酸・廃アルカリ、廃油、廃液、汚泥、廃薬品、医療系感染性廃棄物等の収集運搬・処理・無害化及びリサイクルを行っております。JWケミテック株式会社は、主として工場から排出される廃液の収集運搬及び中間処理を行っております。富士炉材株式会社は、自治体のゴミ焼却炉におけるダイオキシン・重金属を含む特別管理産業廃棄物処理や硝子製造用の溶炉改修・解体・煉瓦屑処理事業を営み、溶炉屑から耐火煉瓦を取り出し、マテリアルリサイクルや有害物処理を行っております。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)業績等の概要
① 業績
|
売上収益 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
税引前利益 (百万円) |
親会社の所有者に帰属する当期利益 (百万円) |
基本的1株当たり当期利益 (円) |
当連結会計年度 |
292,449 |
19,263 |
16,052 |
10,929 |
141.19 |
前連結会計年度 |
192,442 |
26,446 |
26,372 |
18,735 |
238.11 |
増減率(%) |
52.0 |
△27.2 |
△39.1 |
△41.7 |
△40.7 |
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る規制が緩和されたことなどにより、経済活動全般に回復の動きが見られました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、エネルギー価格や原材料価格が上昇しました。このような状況の下、当社グループの各事業セグメントの状況は以下のとおりでした。
貴金属事業セグメント
貴金属リサイクル事業において宝飾分野の金回収量が増加し、北米貴金属精錬事業において金銀製品の加工・販売が増加したため、売上収益は前年同期比で増加しました。一方、第4四半期を通して触媒に用いられているロジウムの価格が急落し、価格変動に対するヘッジが困難であったことを主因として、営業利益は前年同期比で大幅に減少しました。
環境保全事業セグメント
工業生産活動の回復に合わせて、当社グループの産業廃棄物の取扱量は増加しました。横浜事業所における新焼却炉建設のために既存固定資産の減損処理を行いましたが、営業利益は前年同期比で増加しました。他方、2022年5月に当社の連結対象子会社であったJWガラスリサイクル株式会社の全株式を譲渡した影響により、売上収益は前年同期比で減少しました。
また、当社の持分法適用関連会社であった株式会社フジ医療器の特許権侵害訴訟に伴う損害賠償金の当社負担分や、同社株式の譲渡に伴う株式譲渡損失を「その他の費用」に計上しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益292,449百万円(前年同期比100,007百万円増、52.0%増)、営業利益19,263百万円(前年同期比7,183百万円減、27.2%減)、税引前利益16,052百万円(前年同期比10,319百万円減、39.1%減)、当期利益10,929百万円(前年同期比7,805百万円減、41.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益10,929百万円(前年同期比7,805百万円減、41.7%減)となりました。セグメント別の売上収益は、貴金属事業が274,205百万円(前年同期比100,330百万円増、57.7%増)、環境保全事業が18,240百万円(前年同期比326百万円減、1.8%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
|
売上収益 |
セグメント利益(営業利益) |
||||
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
|
貴金属事業 |
173,875 |
274,205 |
57.7 |
26,596 |
19,797 |
△25.6 |
環境保全事業 |
18,566 |
18,240 |
△1.8 |
3,738 |
3,841 |
2.8 |
計 |
192,442 |
292,446 |
52.0 |
30,334 |
23,638 |
△22.1 |
その他 |
- |
3 |
- |
179 |
△786 |
- |
合計 |
192,442 |
292,449 |
52.0 |
30,514 |
22,852 |
△25.1 |
調整額 |
- |
- |
- |
△4,068 |
△3,588 |
- |
連結 |
192,442 |
292,449 |
52.0 |
26,446 |
19,263 |
△27.2 |
② 財政状態の状況
|
前期末(百万円) |
当期末(百万円) |
増減(百万円) |
増減率(%) |
資産合計 |
298,387 |
287,448 |
△10,939 |
△3.7 |
資本合計 |
105,137 |
106,957 |
1,820 |
1.7 |
親会社所有者帰属 持分比率 |
35.2% |
37.2% |
+2.0ポイント |
- |
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ10,939百万円減少し、287,448百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が11,824百万円増加した一方、棚卸資産が22,543百万円減少したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ12,759百万円減少し、180,491百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が1,687百万円、社債及び借入金が6,562百万円、その他の金融負債が1,457百万円、その他の流動負債が1,932百万円減少したことによるものです。
資本につきましては、1,820百万円増加し、106,957百万円となりました。これは主に、当期包括利益による増加12,761百万円、自己株式の取得による減少4,106百万円、剰余金の配当による減少6,987百万円によるものであります。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の35.2%から37.2%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
11,103 |
36,754 |
25,651 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△7,820 |
△3,935 |
3,885 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△6,044 |
△23,818 |
△17,774 |
現金及び現金同等物期末残高 |
6,127 |
17,952 |
11,824 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より11,824百万円増加し、17,952百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は36,754百万円(前年同期比231.0%増)となりました。これは主に、税引前利益16,052百万円(前年同期比39.1%減)、減価償却費及び償却費3,313百万円(前年同期比23.2%増)、棚卸資産の減少額22,511百万円(前連結会計年度は65百万円の増加)、営業債権及びその他の債権の増加額1,863百万円(前年同期比95.1%減)、営業債務及びその他の債務等の減少額849百万円(前連結会計年度は32,705百万円の増加)、法人所得税の支払額7,514百万円(前年同期比41.9%減)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は3,935百万円(前年同期比49.7%減)となりました。これは主に、子会社及び関連会社の売却による収入2,491百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出4,416百万円(前年同期比47.4%減)、定期預金の預入による支出2,716百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は23,818百万円(前年同期比294.1%増)となりました。これは主に、長短借入金の純減少額17,290百万円(前連結会計年度は3,119百万円の増加)、社債の発行による収入4,924百万円、自己株式の取得による支出4,106百万円(前年同期比130.0%増)、配当金の支払額6,992百万円(前年同期比1.2%減)によるものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注の実績については、「(1)業績等の概要 ① 業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
貴金属事業 |
274,205 |
157.7 |
環境保全事業 |
18,240 |
98.2 |
その他 |
3 |
- |
合計 |
292,449 |
152.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
Varinor SA |
42,673 |
22.2 |
63,658 |
21.8 |
田中貴金属工業㈱ |
13,936 |
7.2 |
31,558 |
10.8 |
双日㈱ |
- |
- |
29,350 |
10.0 |
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当社グループは、第9次中期経営計画(2021年4月~2024年3月)において、戦略遂行の成果を、連結売上収益、連結営業利益、株主資本当期利益率(ROE)、自己資本比率の4つの経営目標でモニタリングしております。
当連結会計年度の売上収益は292,449百万円(前年同期比52.0%増)、営業利益は19,263百万円(前年同期比27.2%減)、税引前利益は16,052百万円(前年同期比39.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は10,929百万円(前年同期比41.7%減)となりました。当社が経営効率化の指標としている株主資本当期利益率(ROE)は10.3%(前年同期比8.2ポイント減少)、自己資本比率は37.2%(前年同期比2.0ポイント増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
(ⅰ)キャッシュ・フロー
「(1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(ⅱ)財務政策
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保及び適切な流動性の維持を図るにあたり、営業活動で得られた資金により設備投資の資金をまかなうことを基本方針としています。この基本方針のもと、持続的な利益成長によってキャッシュ・フローを創出し、資本効率の向上と財務ガバナンスの強化を通じて、財務面からグループ全体の企業価値の向上に努めていきます。
(ⅲ)資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、貴金属製品製造のための原材料の購入、製造経費、販売費および一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費、広告宣伝費および専門家への業務委託費用です。当社グループの研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場および北米拠点の向上を中心とした生産効率向上のための設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対して、財務基盤の安定と資本効率の向上を両立させながら積極的に対応する方針です。
(ⅳ)資金調達
当社グループの運転資金および設備投資資金は、主として営業活動で得られた資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。これらの借入金および社債について、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できるとともに、引き続き今後の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えています。
なお、当社グループは、現在取引している金融機関と良好な関係を築いております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び同「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。