株式会社yutori

上場日 (2023-12-27) 
ブランドなど:9090centimeter
小売業アパレルグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E39222 

売上高

24.7億 円

前期

16.3億 円

前期比

151.4%

時価総額

88.2億 円

株価

1,877 (04/26)

発行済株式数

4,697,100

EPS(実績)

-14.57 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

365.1万 円

平均年齢(勤続年数)

27.1歳(2.4年)

従業員数

47人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

1.事業の概要

当社は、主に衣料品及び雑貨等の企画並びにそれらの小売・卸売事業を行っております。なお、当社の事業は、衣料品及び雑貨等の企画及び販売に係る事業(以下「アパレル事業」)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。

 

① ブランド運営

当社の事業は、Z世代(1997年から2009年に生まれた世代)を対象としたストリートファッションブランドを発端として、その後はストリートブランドに限らないファッションカテゴリーにおいて、アパレル商材の企画及び販売により規模を拡大してまいりました。新規ブランドの立ち上げのほか、第5期には、M&Aにより「F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)」、「Younger Song(ヤンガーソング)」、「Wudge Boy(ワッジボーイ)」などのブランドを取得し、ブランド展開戦略の多様化を図っております。

また、当社のブランドは以下の4分類にすることができ、多様性に富んだブランドにより、多種多様なユーザーに対し、ファッションの提案をしています。これによりブランドのポートフォリオを構築し、会社全体として特定のブランドに左右されない安定的な売上の構築に努めております。

1.ティーンカルチャー

過去のトレンドアイテムをリバイバルし、現代カルチャーのエッセンスを取り入れながらブランドを展開するブランドカテゴリーです。

2.トレンド

ZOZOTOWNでの販売をメインに、流行をいち早く取り入れた手に取りやすいアイテムを展開するブランドカテゴリーです。

3.デザイナーズ

アパレル業界で著名なデザイナーやスタイリストのもと、コアなファンを獲得するブランドを展開するブランドカテゴリーです。

4.インフルエンサー

インフルエンサーがブランドディレクターを務め、個人の発信力も併せてブランドを運営しているブランドカテゴリーです。

 

主なブランド及びそのコンセプト等は以下のとおりであります。

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト

※画像省略しています。

9090

(ナインティナインティ)

ティーン
カルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

(2018年8月販売開始)

主に90年代のユースカルチャーをリバイバルしたデザインやカラーアイテムを展開しています。

 

 

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト

※画像省略しています。

centimeter

(センチメーター)

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ

(2020年3月販売開始)

スケート、HIPHOPカルチャーを踏襲したストリートブランドであり、ブランドキャラクターのルーラーくんがプリントされたカットソーを中心に展開しています。

※画像省略しています。

My Sugar Babe

(マイシュガーベイブ)

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

(2020年12月販売開始)

西海岸のサーフファッションをコンセプトとしている。18歳〜24歳の若者をメインターゲットとし、海辺から街まで着ることのできる海外ストリート系ファッションとして、ロゴアイテムを中心に男女問わず着用できるアイテムを幅広く展開しています。

※画像省略しています。

Younger Song

(ヤンガーソング)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

ストリートブランドとして、ファッション感度の高い若者が今着たいトレンドアイテムとロゴアイテムを中心に幅広い商品を展開しています。

※画像省略しています。

PAMM

(パム)

デザイナーズ

20〜30代

レディース

(2020年9月販売開始)

テキスタイルデザインを得意とするファッションブランド「spoken words project」と協業したホームウェアブランド。オリジナルテキスタイルを強みにし、パジャマ・ニット商品、肌着など幅広く展開しています。

※画像省略しています。

Wudge Boy

(ワッジボーイ)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

ミリタリーとワークテイストを持ち合わせたカジュアルブランドであり、男女問わず、着用できるアイテムを多く展開しています。

※画像省略しています。

genzai

(ゲンザイ)

デザイナーズ

10〜20代

メンズ

(2021年4月販売開始)

ブランド名が示す「現在」とそこから逃げる、すなわち前に進むこと「逃走」をコンセプトに掲げるブランド。HIPHOPカルチャーを背景にしたストリートキッズをターゲットに独特なグラフィックがプリントされたカットソーを中心に展開しています。

※画像省略しています。

nemne

(ネンネ)

トレンド

10〜20代

レディース

(2019年12月販売開始)

ガーリーからボーイッシュまで幅広いテイストのトレンドアイテムを低廉に展開するレディースブランドであり、Z世代をターゲットに、今欲しいトレンドアイテムをいち早くキャッチし、スピーディーに企画し、TikTokを中心としたSNSマーケティングをもって、幅広いアイテムを展開しています。

 

 

 

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト

※画像省略しています。

HTH

(エイチティーエイチ)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

カジュアルなアイテムをベースに海外ストリートをミックスさせたスタイルで、ブランドのアイコンでもあり、男女問わず幅広く支持されているHTHオリジナルのインパクトのあるハートロゴのアイテムを中心に展開しています。

※画像省略しています。

STUDENT APATHY

(スチューデントアパシー)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

「student apathy」とは、学生無気力症候群を指し、ディレクター本人の悩みからインスピレーションを受け、他にはない先駆的なアイテムやシルエットに拘ったアイテムを展開しています。

 

 

※画像省略しています。

BADWAY

(バッドウェイ)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

アメカジを軸とした90年代ファッションと、モダンファッションが融合したジャンルレスなグランジストリートなアイテムを展開しています。

 

 

※画像省略しています。

NG

(エヌジー)

ティーンカルチャー

10〜20代

レディース

(2021年10月販売開始)

他人より自分ウケをコンセプトに、レディース向けのストリートウェアを展開するブランド。平成ギャルをリバイバルした新しい「令和ギャル」のスタイルを展開しています。

 

※画像省略しています。

BALLSY

(ボールジー)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ

(2022年10月販売開始)

ミリタリー、ワーク、街並み、自然の配色様々なところからインスピレーションを得たブランド。生地、シルエット、ディテールにこだわった商品を展開しています。

 

※画像省略しています。

Broken Base(ブロークンベース)

トレンド

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年9月販売開始)

「city, outdoor, normcore」をコンセプトに、雑誌から切り出したようなシティボーイ、シティガールの世界観を発信し、トレンドに左右されないライフスタイルを提案し、都会とアウトドアを融合させたユニセックスアイテムを展開しています。

※画像省略しています。

shesame

(シーセム)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

韓国ストリートを、ディレクターのフィルターを通し着回ししやすいよう提案しています。ユニセックスでも着ることのできるアイテムを中心に展開しています。

 

 

 

ブランドロゴ

ブランド名

カテゴリー

対象

コンセプト

※画像省略しています。

BLESS U

(ブレスユー)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2022年10月販売開始)

トレンドのストリートとテックを掛け合わせたテックストリート商品を感度の高い若年層に展開しています。

 

 

 

※画像省略しています。

camphor wood

(カンファーウッド)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年3月販売開始)

リラックスムード漂うアイテムを中心に展開しています。身頃に花の刺繍が大きく入ったシャツがブランドを象徴する商品を展開しています。

 

 

※画像省略しています。

MIOOK

(ミック)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年6月販売開始)

男女で楽しめるフェスコーデを軸に、ミュージックシーンとのつながりを感じられるようなアイテムを展開しています。

 

 

※画像省略しています。

THE INNER PEACE

(インナーピース)

ティーンカルチャー

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年7月販売開始)

アメカジ×プレッピーをコンセプトにして、「内なる平和」を意味するINNER PEACEのロゴをメインに、カットソーやデニムなどのアイテムを展開しています。

 

 

※画像省略しています。

ragmou

(ラグムー)

ティーンカルチャー

10〜20代

レディース

(2023年7月販売開始)

ragmouは「古着っぽさを意味するrag=ボロとフワフワという意味のmou」を意味し、ハンドメイド感のある帽子やバッグなどのニット小物をメインに商品を展開しています。

 

※画像省略しています。

UNAILE

(アンエイル)

インフルエンサー

10〜20代

メンズ・レディース

(2023年7月販売開始)

カップルで決まるモードルックをコンセプトにターゲット層を学生カップルとして、商品を展開しています。

 

 

※画像省略しています。

F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)

デザイナーズ

20〜30代

メンズ・レディース

(2022年4月販売開始)

デザイナーである村山靖行のもと、何にもとらわれないボーダレスな物づくり(Impartial to Everything)をコンセプトに、ミリタリーやアウトドアなどの要素を含んだ、プリントアイテムを豊富に展開しています。

 

 

 

② 販売チャネル

当社の販売チャネルは、主に当社の複数のブランドを取り扱うプラットフォーム型の自社ECサイトである「YZ Store」、株式会社ZOZOの運営する「ZOZOTOWN」での販売、POPUPやオフライン店舗(以下、「店舗等」という。)での販売、および、国内外のセレクトショップへの卸販売が中心となっております。なお、それぞれの全体の売上に対する構成比は、自社ECサイト51.4%、ZOZOTOWN31.5%、店舗等10.3%、卸販売6.1%(第5期、その他の売上が0.7%(注1))となっております。

YZ Storeでは複数ブランドを取り扱っており、YZ Store内の複数ブランドのセット購入を提案しております。またYZ Storeのアプリを、2023年4月よりローンチしましたが、既に5.7万ダウンロード(2023年10月時点)を突破しています。さらに、YZ MEMBERS(会員プログラム)として、年間購入金額に応じたランクにより、会員先行セールやシークレットイベント招待、送料無料クーポンなどの特典を受けることができるプログラムも展開しております。

ZOZOTOWNでは、流行をいち早く取り入れた手に取りやすいアイテムを展開しています。当社商品のZOZOTOWNでのランキング入りを目指して、スピーディーな商品企画を意識しております。

店舗等では、SNSフォロワー数の多いインフルエンサーを店舗スタッフとして配置し、初期投資を抑えた30~40㎡ほどの小型の店舗で、当社の商品を展開しております。SNS集客の優位性を活かし、収益率の高い店舗を増やすことを目指しております。2023年9月末時点での店舗数は13店舗(POPUP(注2)5店舗を含む)であります。

卸販売では、国内および海外を問わず、より多くの感度の高い顧客にリーチするためにセレクトショップに当社商品を展開しております。

(注1)その他の売上には、自社ECサイト、ZOZOTOWN、店舗等、卸販売に該当しない広告協賛売上等が含まれます。

(注2)POPUPとは、定期建物賃貸借契約に基づいて出店する形態の店舗のことを指します。

 

2.事業の特徴

① SNSマーケティング

当社は、広告宣伝としてInstagramやTikTok等のSNSを利用したマーケティング活動に注力しております。当社商品のPRのため、ブランド公式アカウント(店舗公式アカウントを含む)、社内運用個人アカウント、外部のインフルエンサーアカウントをそれぞれ使い分け、SNSユーザーに訴求しています。ブランド公式アカウントでは、新商品の紹介等の投稿を行い、ブランドの世界観を伝えています。社内運用個人アカウントでは、当社のSNS担当者がその個人の視点から商品紹介および商品の着用画像、動画を投稿し、よりSNSユーザーと密接なコミュニケーションを図っております。外部のインフルエンサーアカウントでは、特にZ世代に強い影響力を有するインフルエンサーに対して当社の視認性の高い商品を支給し、着用画像、動画を投稿していただくことにより、当社ブランドおよび商品の認知度の向上、新規顧客の流入を図っております。なお、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)におけるブランド公式アカウント及び社内運用個人アカウント(以下、総称して「社内運用アカウント」という)は合計で91(2023年11月15日時点)であり、それぞれのSNSの特徴に最適化した運用をしております。

SNSにおけるフォロワー数は経営上の重要指標としており、フォロワー数の獲得拡大を目標にしております。2023年11月15日時点で、Instagramの社内運用アカウントのフォロワー数の合計は152.6万人であり、最近1年間で増加傾向にあります。その他、TikTok(161.8万人)、LINE公式アカウント(13.9万人)、X(3.3万人)があり(いずれも2023年11月15日時点のフォロワー数)、複数のSNSチャネルでファンの形成を図っております。

また、フォロワー以外のユーザーの認知拡大も重要と考えており、広告投資(ペイド広告)により、SNSユーザー全体へのリーチ数(SNSコンテンツがユーザーに表示された回数)をコントロールしており、2023年9月のInstagramにおけるリーチ数は、1,425万回となっております。SNSコンテンツの訴求効果については、プロフィールアクセス数を重要視しております。実際にSNSユーザーがそのブランド、商品に興味を持つと、まずSNSアカウントのプロフィールにアクセスして、ECサイトにアクセスするため、プロフィールアクセス数は重要な指標の一つと考えております。2023年9月のInstagramにおけるブランド公式アカウントへの月間プロフィールアクセス数は、253万回となっております。

上記のフォロワー数、リーチ数、プロフィールアクセス数を効果的に増加させるため、特にInstagramにおける投稿に力を入れており、社内運用アカウントにおける動画の月間制作本数446本のうち、広告動画として投資した動画が238本であり、そのうちCTR(注1)が3.5%以上の動画は84本(いずれも2023年9月実績)となっております。さらに、上記の広告動画本数238本のうち、CPC(注2)が10円以下となっている動画は26本(全体の10.9%、2023年9月実績)あり、広告宣伝効果および投資効率の高い広告宣伝を行うことに努めています。

上記のとおり、当社はSNSを起点とした購買体験の設計することにより、最終的には自社ECサイトへアクセスいただき、気に入った商品を円滑に購買いただくことを目標にしております。自社ECサイトへのアクセス数は、集計が可能な2022年度第4四半期から2023年度第2四半期にかけて、176.3万(2023年1月~3月)、180.2万(2023年4月~6月)、186.3万(2023年7月~9月)と順調に増加しております。

また2023年9月では、自社ECサイトへの訪問者数は50.2万人であるのに対して、SNS経由で訪問した者は26.7万人であり、その半数近くがSNSから当社のECサイトにアクセスしております。そして、最終的なYZ Storeでの月間購買者数は1.3万人であり、ECサイトへの訪問者数の増加こそが購買者数の増加につながるものと考えております。

SNSによるマーケティング活動を行うことにより、販売開始前の需要予測、認知拡大が可能になることから、商品企画力の強化にもつながると考えております。当社において、ワンシーズン(春夏物は2~7月、秋冬物は8~1月)で500万円以上販売した商品をSランク商品と定義しており、そのSランク商品の多寡がブランドのヒットに直結し、全社売上の増大、安定化、下支えにつながり、そのSランク商品の開発に社内のリソースを優先的に投下するよう意識しております。SNSや展示会、過去のヒット商品をもとに今後の需要予測を行い、戦略的にSNSでプロモーションを行い、十分に認知拡散を行った後、販売開始をして売上を伸ばしていくことができます。なお、直近のシーズン(2023年2~7月)では、全社売上のうち約2割がSランク商品による売上でした。SNSマーケティング活動によるその他の効果として、社内運用アカウントからの発信により、認知拡散が生じ、ブランドのファンによるUGC(注3)としてのコミュニティの形成も認められます。企業による広告投稿ではなく、一般ユーザーによって、UGCとして制作、生成されたコンテンツの投稿が増え、それにより更に認知度をおよび人気も向上する好循環が生まれます。

(注1)CTR:Click Through Rateの略。ユーザーに広告が表示された回数のうち、広告がクリックされた回数の割合を集計しています。

(注2)CPC:Cost Per Clickの略。ユーザーによる広告の1クリック当たりの費用であり、広告投資額をその広告がクリックされた回数で除して計算しています。

(注3)UGC:User Generated Contentsの略。企業による広告投稿ではなく、一般ユーザーによって制作、生成されたコンテンツの投稿として、当社のブランド及び商品に係る感想、コメントの投稿を意味しています。

 

② NICOモデル

当社は、Z世代の熱狂を獲得する競争力の源泉として「NICOモデル」によるブランド企画、商品企画および開発を行っております。それぞれ以下の頭文字を取り「NICOモデル」としています。

N:Niche

ニッチだが熱量のある領域を選定しております。

I:Item

そのブランド領域におけるアイコニックな商品として認知されるよう商品企画を図っております。

C:Collabo

インフルエンサーとのコラボレーションやデザイナー等と協業して、社内にはない新しいデザインを提案しています。

O:Offline

実店舗やPOPUPの展開により販路拡大とブランドのファンとの交流によるファンの固定化を図っております。

例えば、当社を代表するブランドである「9090」では、90年代に流行したアイテムを現代のストリートシーンに落とし込みリバイバルして展開することでニッチな領域を選定して、大人気を博した「King Logo」シリーズの商品を展開しています。コラボによる「9090ポケモンコレクション」の商品シリーズは人気IP「ポケモン(注1)」の知名度を活かして爆発的な売上を記録しました。さらに、全国を周回するPOPUPで短期間のオフライン販売により需要を確認したうえで、常設店を名古屋と原宿にオープンしました。

 

他にもY世代向けブランドである「PAMM」では、ルームウエア特化ブランドとして、パジャマ、ニット、肌着等を中心に商品を展開しています。特に、着心地の良いニットアイテムが人気であり、「汽水域のニットカーディガン」は再販売を重ねております。コラボとしては、独自の世界観を築きブランディングをしていながら、「PAMM」と親和性がある相手先として、アーティスト「haru.(注2)」、バンドグループ「羊文学(注3)」や「ほぼ日手帳(注4)」と共同して商品開発を実施してきました。そして、これまでPOPUPや展示会の実施を重ね、顧客の反応を確認したうえで、2023年9月にブランド1号店として渋谷PARCOに出店をしました。

当社は、オンライン販売やコラボレーションを通じてブランド・商品の認知を高めた後に店舗展開を行っているため、店舗展開を中心とする場合と比較して投資効率が良いと考えており、店舗の減損リスクを最小限に抑えております。また、NICOモデルのノウハウを実際に適用したブランドから他のブランドへそのノウハウを横展開することでヒット商品の再現性を高めて、ブランド運営をしています。

実際に、十分にユーザーを獲得したブランドから、店舗を順次展開しております。2022年4月1日の初出店を皮切りに、2023年3月末時点で8店舗、2023年9月末時点で13店舗(それぞれPOPUP2店舗、5店舗を含む)を展開しております。また、イベント・企画を多く実施し、ファンコミュニティへの接点をつくっています。

(注1)©Pokémon. ©Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.

ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

(注2)「haru.」は、株式会社HUGに所属するアーティストです。

(注3)「羊文学」は、株式会社次世代に所属するバンドです。

(注4)「ほぼ日手帳」は、株式会社ほぼ日の登録商標です。

 

③ 自律分散型ブランド運営

当社は、各ブランドが自走して自ら利益を獲得できるようにするため「Yリーグ(注1)」という制度を導入して、ブランドごとの採算を管理しております。ブランドの成長ストーリーを全社的に定量的に示すことで、各ブランドの担当者にとって分かりやすい目標となり、かつ、撤退基準を明確にすることで迅速で合理的な意思決定ができるようにしており、定量的な判断のもと損失を最小限に止める体制を目指しております。また、各ブランドにおける投資はブランドごとの自主的な意思決定を尊重しており、ブランドの個性を活かした機動的なブランド運営を行っております。一方で、ブランドごとの売上等の進捗状況や企画・販売戦略を全社で共有する会議を週次で開催しており、特定のブランドで効果を発揮した施策を他ブランドでも展開可能か検討しております。

そして、各ブランドで商品企画を担当するブランドディレクターには、消費者目線を持つことができるようにするため、そのブランドのターゲット層(主にZ世代)と年齢的に近いスタッフを配置しております。また、新規ブランドや新商品を企画したスタッフがそのまま、ブランドの立ち上げ、商品開発にも携わるため、ブランド運営の経験は浅くとも当事者意識を高く持ち、取り組むことができます。その結果、流行が移り変わりやすいアパレル業界においても、適時に需要に応じた商品を企画することができます。

当社の従業員(臨時雇用者を含む)の平均年齢は24.7歳(2023年9月末時点)であり20代の若手社員が半数以上を占めていること、および、本社勤務の従業員のうち45%がクリエイティブ(ブランドディレクター)を担当しており、クリエイティブ業務に携わるメンバーが豊富に集まっていることも当社の特長の一つと言えます。

(注1)Yリーグ:ブランドごとの月間平均売上金額に応じて、Y5からY1の5段階で各ブランドを以下のフェーズに応じてランク付けする社内の制度であります。ブランドを立ち上げて1年で損益分岐点であるY4に到達しない場合は、原則として撤退するものとしています。
Y5:立ち上げ期(700万円未満)
Y4:確立期(700万円以上1,500万円未満)
Y3:グロース期(1,500万円以上2,500万円未満)
Y2:ハイグロース期(2,500万円以上4,000万円未満)
Y1:定着期(4,000万円以上)

 

 

[事業系統図]

当社の事業を事業系統図によって示すと以下のとおりとなります。

 

※画像省略しています。

 

23/12/19

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

(資産)

 当事業年度末における流動資産は891,170千円となり、前事業年度末に比べ67,856千円増加いたしました。これは主に、M&Aの実行等により現金及び預金が265,806千円減少した一方で、商品が221,737千円増加、売掛金が35,999千円増加したことによるものであります。固定資産は450,434千円となり、前事業年度末に比べ430,266千円増加いたしました。これは主に、M&Aの実行に伴うのれんの発生により無形固定資産が322,724千円増加したこと及び実店舗の新規出店にかかる設備等の取得により有形固定資産が43,416千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は、1,341,605千円となり、前事業年度末に比べ498,123千円増加いたしました。

(負債)

 当事業年度末における流動負債は915,278千円となり、前事業年度末に比べ459,846千円増加いたしました。これは主に、運転資金の増加により短期借入金が200,000千円増加、M&Aの実行に伴う分割債務の発生等により未払金が218,320千円増加したことによるものであります。固定負債は195,802千円となり、前事業年度末に比べ106,727千円増加いたしました。これは長期借入金の増加によるものであります。

 この結果、負債合計は、1,111,080千円となり、前事業年度に比べ566,573千円増加いたしました。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は230,524千円となり、前事業年度末に比べ68,449千円減少いたしました。これは当期純損失の計上により利益剰余金が68,449千円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は17.2%(前事業年度末は35.4%)となりました。

 

第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)

(資産)

 当第2四半期会計期間末における流動資産は1,304,004千円となり、前事業年度末に比べ412,833千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が204,489千円増加したこと及び商品が160,868千円増加したことによるものであります。固定資産は432,181千円となり、前事業年度末に比べ18,252千円減少いたしました。これは主にのれんが35,217千円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は1,736,185千円となり、前事業年度末に比べ394,580千円増加いたしました。

(負債)

 当第2四半期会計期間末における流動負債は1,156,827千円となり、前事業年度末に比べ241,548千円増加いたしました。これは主に買掛金が200,041千円増加したこと、短期借入金が100,000千円増加したこと、未払金が170,526千円減少したことによるものであります。固定負債は290,987千円となり、前事業年度末に比べ95,185千円増加いたしました。これは長期借入金の増加によるものであります。

 この結果、負債合計は1,447,814千円となり、前事業年度末に比べ336,733千円増加いたしました。

(純資産)

 当第2四半期会計期間末における純資産合計は288,371千円となり、前事業年度末に比べ57,846千円増加いたしました。これは主に四半期純利益53,219千円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は16.3%(前事業年度末は17.2%)となりました。

 

 

 

②経営成績の状況

第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

当事業年度における我が国の経済は、2022年3月からまん延防止等重点措置が全面解除され、6月からの海外往来の水際処置の緩和などにより、旅行や外食といった接触型サービスを中心に個人消費の回復が見られました。一方、ウクライナ情勢の長期化等による原料価格の高騰や供給面での制約により世界的に物価上昇が継続し、また、内外の金融政策の違いによる金利差を主要因に大幅な円安が進行するなど、国内経済は依然として先行き不透明な状況が続いています。

このような環境のなかで、当社は、事業譲受及び吸収合併や内製での新規ブランドの展開によるブランドポートフォリオの拡充や複数の自社ブランドを扱う統合のEC サイト「YZ Store」をローンチするなど積極的な投資を実行してきました。その結果、事業譲受及び吸収合併や内製での新規ブランドの展開によるブランドポートフォリオの拡充により、売上高は2,470,266千円(前事業年度比51.4%増)となったものの、サプライチェーンの管理体制の強化や人員体制の強化等の投資や海外生産の比重の大きさに伴う円安による原価率の上昇などにより、営業損失は47,625千円(前事業年度は営業利益226,397千円)、経常損失は54,399千円(前事業年度は経常利益224,787千円)となりました。また、事業譲受により取得したF-LAGSTUF-Fブランドにおいて当初想定していた収益が見込めなくなったことから、事業譲受時に発生したのれんについて、全額を減損損失として計上した結果、当期純損失は68,449千円(前事業年度は当期純利益149,640千円)となりました。

なお、当社の事業は、アパレル事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。

 

第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)

 当第2四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限や海外からの入国制限が緩和されたことにより人流が増加し、経済・社会活動の正常化が進んだことで、個人消費には緩やかな回復が見られました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、資源・エネルギー価格の高騰、国際的なインフレなど経済の先行きは不透明な状況が続いております。

 当社の属する衣料品販売業界においても、資源価格の上昇や為替変動による物価上昇などにより、依然として先行き不透明な状況が続いているものの、ファッションに関連する消費意欲は緩やかな回復傾向が見受けられております。このような環境の中、当社は、今後の売上成長と利益確保に向け、オンライン事業を主とした販売強化に加え、実店舗の展開を拡大しております。

 この結果、当第2四半期累計期間の業績は、売上高1,751,912千円、営業利益113,834千円、経常利益106,874千円、四半期純利益53,219千円となりました。

 なお、当社はアパレル事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失、棚卸資産の増加、合併による支出及び有形固定資産の取得による支出等の要因により、前事業年度末に比べ265,806千円減少し、244,688千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は291,610千円(前年同期は110,734千円の資金増加)となりました。これは主に、税引前当期純損失81,917千円の計上、棚卸資産の増加額109,720千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は227,913千円(前年同期は2,254千円の資金減少)となりました。これは主に、合併による支出167,582千円、有形固定資産の取得による支出29,102千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は253,718千円(前年同期は286,434千円の資金増加)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出146,282千円があった一方で、短期借入金の増加による収入200,000千円、長期借入れによる収入200,000千円があったことによるものであります。

 

第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)

 当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前会計年度末に比べ204,489千円増加し、449,177千円となりました。

 当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は211,443千円となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上106,874千円、仕入債務の増加額200,041千円、棚卸資産の増加額167,659千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は239,273千円となりました。これは主に、有形資産の取得による支出23,771千円、敷金の差入による支出20,242千円、合併による支出200,000千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は232,319千円となりました。これは主に、短期借入れによる収入180,000千円、長期借入れによる収入168,864千円等によるものであります。

 

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

 当社は、アパレル事業の単一セグメントであります。

事業分野別の名称

第5期事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第6期第2四半期

累計期間

(自 2023年4月1日

 至 2023年9月30日)

仕入高(千円)

前年同期比(%)

仕入高(千円)

アパレル事業

1,342,294

172.6

854,205

合計

1,342,294

172.6

854,205

 

 

c.販売実績

 当社は、アパレル事業の単一セグメントであります。

事業分野別の名称

第5期事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第6期第2四半期

累計期間

(自 2023年4月1日

 至 2023年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

販売高(千円)

アパレル事業

2,470,266

151.4

1,751,912

合計

2,470,266

151.4

1,751,912

 

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次の通りであります。

 

(商品評価損)

 当社は、商品について正味売却価額が取得原価を下回る場合、棚卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。将来、正味売却価額について、市場動向の変化により見直しが必要となった場合、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(のれんの減損)

 当社は、のれんについて5年間の均等償却を行っております。のれんを含むより大きな単位において事業計画どおりに業績が進捗せず、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合や、経営環境が著しく悪化しているような場合には、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたり慎重に検討することとしておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

第5期事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

(売上高、売上原価及び売上総利益)

 当事業年度の売上高は2,470,266千円(前期比51.4%増)となりました。売上高の主な増加要因は、事業譲受及び吸収合併や内製での新規ブランドの展開によるブランドポートフォリオの拡充や複数の自社ブランドを扱う統合のEC サイト「YZ Store」をローンチするなど積極的な投資の成果であります。

 売上原価は主に、商品の仕入であり、売上原価は1,120,556千円(前期比76.8%増)となりました。その結果、売上総利益は1,349,709千円(前期比35.2%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は1,397,335千円(前期比81.1%増)となりました。サプライチェーンの管理体制の強化や人員体制の強化等の投資や海外生産の比重の大きさに伴う円安による原価率の上昇などにより、営業損失は47,625千円(前事業年度は営業利益226,397千円)となりました。

 

第6期第2四半期累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)

(売上高、売上原価及び売上総利益)

 当事業年度の売上高は1,751,912千円となりました。売上高の主な増加要因は、オンライン販売を主とした販売強化に加え、実店舗の展開を拡大したことによるものであります。

 売上原価は主に、商品の仕入であり、売上原価は693,336千円となりました。その結果、売上総利益は1,058,575千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は944,741千円となりました。売上増加に伴う収益性の改善により、営業利益は113,834千円となりました。

 

③資本の財源及び資金の流動性の分析

 当社の運転資金需要のうちの主なものは、商品の仕入れ、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、金融機関に信用枠を設けており、第5期事業年度末(2023年3月31日)の信用枠の合計は400,000千円でありますが、第5期事業年度末時点では、信用枠の全てを利用しております。今後も、短期運転資金の水準を踏まえながら、金融機関からの信用枠の確保を進めてまいります。

 

 なお、第5期事業年度末(2023年3月31日)における借入金の残高は659,078千円となっております。また、第5期事業年度末(2023年3月31日)における現金及び現金同等物の残高は244,688千円となっております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。

 これらリスク要因の発生を回避するためにも、提供するブランド及び商品力の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。