E01420 Japan GAAP
前期
79.4億 円
前期比
105.7%
株価
2,805 (03/28)
発行済株式数
2,477,435
EPS(実績)
239.75 円
PER(実績)
11.70 倍
前期
571.5万 円
前期比
101.3%
平均年齢(勤続年数)
40.3歳(17.0年)
従業員数
201人(連結:253人)
当社グループの企業集団は、当社並びに連結子会社2社で構成され、工具の製造販売を主な事業とし、その他にファシリティマネジメント事業を行っております。
当社グループとしての事業に係る位置づけは次のとおりであります。
(1)工具事業
工具…………………………………… 自動車整備用工具、医療用工具及び関連機器、電設関連工具、その他一般作業工具及びこれらに関連する機器の製造販売
精密鋳造……………………………… ロストワックス製法による工具及び精密工作機械部品・産業用機械部品などの製造販売
(2)ファシリティマネジメント事業… 不動産の賃貸、業務用不動産の運営等
(太陽光発電による電気の販売を含む)
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う活動制限が緩和され経済活動の正常化が進むなか、物価上昇や世界的な金融引き締めによる下振れが懸念されながらも緩やかな持ち直しの動きが見られました。
しかしながら、自動車や産業機械など関連業界においては、半導体などの部品不足の影響が続くなか、ウクライナ情勢の長期化や為替変動などによる原材料・エネルギー価格の高騰・高止まりもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。とくに、収益性の改善に向け製品仕様の見直しや加工工法の改善、デジタル推進による業務の効率化など、全社一丸となってコストダウンに取り組んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は83億96百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は7億93百万円(前年同期比8.3%増)、経常利益は8億26百万円(前年同期比8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては5億93百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。
[工具事業]
主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。
開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担うTRASAS(トレサス:TRAceable Sensing and Analysis System)シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。引き続きTRASASシリーズのラインナップ拡充に努めるとともに、関連工具との組み合わせ技術で生まれる新たな価値を追求し市場投入してまいります。
また、主力の自動車整備業界にてメカニックの高齢化やタイヤの大型化が進むなか、作業者の負担軽減に向け取り組んでおります。発売以来好評をいただいている電動タイヤリフターに、2023年2月に発売したタイヤローテーションワゴンを組み合わせて使用することで、タイヤのローテーション作業の負荷を軽減いたしました。時代が要求する課題に積極的に取り組み、お客様のトータルサポートの実現に注力しております。
さらに、研究分野として、材料や構造・機構に関する新たな開発にも積極的に取り組み、「安全で、使う人や環境にやさしいツール」の製品化を通じ、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指しております。
販売面では、工具メーカーとしてのノウハウと先進のテクノロジーを融合し、作業者の経験や勘に頼っていた作業の標準化と効率化を提案しております。具体的には、作業現場で確認できた課題やその対策案について、最適な作業工具や作業手順の改善ポイント、作業トレーサビリティの運用方針などを検討後、導入計画を策定し提案しております。活動制限の緩和に伴い様々な展示会へ出展し、現場にも積極的に出向き課題解決策を提案するなどとくにTRASASシリーズの販売促進に取り組んでおります。
また、昨今、大型車や建設機械などのメンテナンス業界において人材不足が深刻化するなか、より高出力で軽量な電動化工具のラインナップを拡充させ、大型自動車や建機の部品交換作業においてより安全かつ容易に作業できる専用工具を充実させるなど、現場作業の省力化や省人化の提案を強化しております。
さらに、KTCものづくり技術館に開設したkDNA Studio(きずなスタジオ)やピットガレージにて収録した課題解決や新製品情報に関するウェビナーコンテンツをウェブメディア「KTC times」で配信しお客様との対話を図るなど、当社グループ特有のDXを推進し、よりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供しております。
生産面では、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着作業などの単純な繰り返し作業は複数の加工設備に共用で使用可能な協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になりました。さらに、協働型自走式ロボットを活用し、人と協働できる独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。
これらの取り組みに加え、エネルギー価格の高騰による電気料金の上昇などに対応するため、設備監視システムの運用による省エネに取り組んでおります。たとえば、熱処理により工具に必要な強さを与える設備「連続炉」にセンサーや通信技術を搭載し、使用電力や稼働状況を見える化することで使用エネルギーの最適化を図るなどコストダウンに取り組んでおります。
また、当社グループは、安全・安心な社会実現に向けた持続可能な取り組みとして、未来の技術者を育成する「技育(技術の教育)」を展開しております。国立大学法人奈良女子大学 工学部の実習に当社グループの社員が講師として参加するなどの産学連携を通じた「技育」分野でのオープンイノベーションの取り組みを推進しております。2022年12月には、「車椅子をテーマとした工具の使い方」の講義に車椅子メーカーと共同で参画するなど、社会問題解決に向けた取り組みや技術進歩に伴う多様な変革のなか、活躍できる技術者の育成に積極的に取り組んでおります。
これらの結果、市販部門における一般産業市場向けの販売が堅調に推移した一方、調達コストの増加やエネルギー価格の高騰による影響があったものの全社挙げての経費削減活動の効果もあり、当連結会計年度の売上高は81億61百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は6億27百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
[ファシリティマネジメント事業]
当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。
当連結会計年度におきましては、所有不動産や石川県羽咋市の太陽光発電所の安定稼働により、売上高は2億34百万円(前年同期比1.8%増)、セグメント利益は1億66百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動において税金等調整前当期純利益の計上などにより資金を獲得したものの、固定資産の取得や配当金の支払等で支出した資金が営業活動で獲得した資金を上回った結果、前連結会計年度末に比べて4億11百万円減少し、当連結会計年度末残高は、32億99百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金の増加は1億93百万円(前年同期は10億26百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8億26百万円に加え、減価償却費3億44百万円による資金の増加があった一方、棚卸資産の増加6億14百万円、法人税等の支払額3億37百万円による資金の減少があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は4億23百万円(前年同期は2億70百万円)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出2億25百万円、子会社株式の取得による支出1億54百万円による資金の減少があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は1億81百万円(前年同期は1億93百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額1億70百万円があったことなどによるものであります。
当社グループの資金需要の動向につきましては、成長戦略投資を進めながら、継続的・安定的な株主還元を続けてまいります。
具体的には配当と投資と手許資金のバランスを保ちつつ、配当に関しては、継続的かつ安定的な配当の維持と業績に応じた配当を基本とし、投資に関しては「新・工具大進化」の実現に向けた新製品開発や生産革新の実現に向けた活動等に投資いたします。手許資金に関しては、今後の経済動向の不確実性拡大に備えるためにも現状水準を維持いたします。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
工具事業(千円) |
9,457,724 |
115.0 |
ファシリティマネジメント事業(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
9,457,724 |
115.0 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
工具事業(千円) |
8,161,693 |
105.9 |
ファシリティマネジメント事業(千円) |
234,802 |
101.8 |
合計(千円) |
8,396,496 |
105.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
トラスコ中山株式会社 |
1,189,963 |
15.0 |
1,242,105 |
14.8 |
ヤマト自動車株式会社 |
1,168,641 |
14.7 |
1,155,870 |
13.8 |
トヨタ自動車株式会社 |
826,662 |
10.4 |
968,238 |
11.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び(追加情報)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、83億96百万円(前年同期比5.7%増)となりました。新型コロナウイルス感染症による活動制限の緩和に伴い、展示会への出展や現場訪問を積極的に実施すると共に、ウェブメディアで新製品情報等を配信しお客様との対話を図る等、デジタル技術を併用した営業スタイルを展開してまいりました。その結果、一般産業市場向けの販売が堅調に推移し、売上高が増加いたしました。
b.営業利益
営業利益は、調達コストの増加やエネルギー価格の高騰による影響があったものの、KTCグループにおける「ものづくりの最適化」を図り、生産性の向上を推進したことに加え、全社挙げての経費削減活動の効果もあり、7億93百万円(前年同期比8.3%増)、売上高営業利益率は9.5%(前年同期比0.3ポイント増)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外損益は、営業外収益として受取配当金35百万円、営業外費用として支払利息4百万円、為替差損5百万円を計上したことなどにより、33百万円の利益(純額)となり、経常利益は8億26百万円(前年同期比8.9%増)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、金額的重要性のあるものの発生はありませんでした。税金等調整前当期純利益は8億26百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に2億35百万円、法人税等調整額に2百万円を計上したことにより、5億93百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、147億5百万円となり、前連結会計年度末に対し3億90百万円増加となりました。その主な内容は、商品及び製品が5億63百万円、受取手形及び売掛金が1億91百万円、のれんが1億7百万円増加した一方、現金及び預金が4億11百万円、電子記録債権が1億5百万円減少したことなどによるものであります。
b.負債及び純資産
当連結会計年度末の負債合計は、35億23百万円となり、前連結会計年度末に対し85百万円減少となりました。その主な内容は、電子記録債務が35百万円、支払手形及び買掛金が19百万円、繰延税金負債が12百万円増加した一方、未払法人税等が89百万円、退職給付に係る負債が47百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、111億81百万円となり、前連結会計年度末に対し4億75百万円増加となりました。その主な内容は、利益剰余金が4億23百万円、その他有価証券評価差額金が33百万円増加したことなどによるものであります。
当社グループの当連結会計年度の流動性及び資金の源泉は、次のとおりであります。
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要の主なものは、製造販売業として機能するための原材料等の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、工場や社屋等の建物及び機械装置、DXを推進するための営業活動用設備等の有形固定資産投資に加え、TRASASシリーズ用ソフトウェアや情報処理の為の無形固定資産投資等があります。
c.財務政策
当社グループは運転資金につきましては、現在、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を策定しており、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。