売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01420 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

      文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 第1四半期連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度との比

較にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。

 

(1)経営成績の分析

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが移行し、経済活動の正常化が進んだことで緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、自動車や産業機械など関連産業においては、電子部品不足の緩和による生産の回復もあり堅調な推移が見られたものの、ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢、為替変動などによる原材料・エネルギー価格の高騰・高止まりもあり、依然として不透明な状況が続いております。

このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。とくに、収益性の改善に向け製品仕様の見直しや加工工法の改善、デジタル推進による業務の効率化など、全社一丸となってコストダウンに取り組んでまいりました。

これらに注力してきたものの、原材料・エネルギー価格の高騰・高止まりや円安進行によるコスト上昇を完全には吸収しきれず、当第3四半期連結累計期間の売上高は57億35百万円(前年同期比3.1%減)、営業利益は4億63百万円(前年同期比21.1%減)、経常利益は5億13百万円(前年同期比17.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては3億55百万円(前年同期比19.5%減)となりました。

 

事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。

 

[工具事業]

主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。

開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担うTRASAS(トレサス:TRAceable Sensing and Analysis System)シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。2023年10月には、TRASASシリーズ代表製品の一つである「メモルク」の機能を向上させ、「ラチェットヘッド」タイプの新モデルを発売いたしました。本製品単体での測定内容のデバイス転送を可能にするだけでなく、目標トルク値到達の通知をより感覚的に捉える光や振動の機能を追加することで、より多様な作業シーンで活躍いたします。さらに、ガスや水道管などの締め付け作業に最適な「モンキヘッド」タイプに加え、豊富なバリエーションの交換ヘッドと組み合わせ可能な「交換式ヘッドタイプ」を開発するなど、作業管理を伴うインフラ関連産業など多様な業種への浸透も図るべく、同製品のラインナップ拡充に取り組んでおります。

また、京都大学との産学連携による共同研究を進めておりました構造最適化手法「トポロジー最適化」を用いた従来の概念を覆す全く新しいツールをnepros neXT(ネプロス ネクスト)シリーズとして展開しております。引き続き、強さを落とさずに軽量化し究極の使いよさを追求する本シリーズのラインナップ拡充に努めてまいります。

さらに、研究分野として、材料や構造・機構に関する新たな開発にも積極的に取り組み、「安全で、使う人や環境にやさしいツール」の製品化を通じ、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指しております。

販売面では、工具メーカーとしてのノウハウと先進のテクノロジーを融合し、作業者の経験や勘に頼っていた作業の標準化と効率化を提案しております。具体的には、作業現場で確認できた課題やその対策案について、最適な作業工具や作業手順の改善ポイント、作業トレーサビリティの運用方針などを検討後、導入計画を策定し提案しております。また、対面活動が社会的に再開するなか、国内営業の専門部隊である「凄腕究め隊」を中心に、様々な展示会への出展や研修会の開催など現場の課題解決策を提案する現場にこだわった活動に取り組んでおり、特にTRASASシリーズの拡販に注力しております。

さらに、KTCものづくり技術館に開設したkDNA Studio(きずなスタジオ)やピットガレージにて収録した課題解決や新製品情報に関するウェビナーコンテンツをウェブメディア「KTC times」で配信することでお客様との対話を図り、TOR1KOツアーを再開し工場見学などのリアルな体験機会との融合による当社グループ特有のDXを推進し、よりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供しております。

そのほか、営業支援策として、2023年11月より開催している工具セットのキャンペーン「2024 SK SALE」では、「KTC」ブランドを代表する製品であるラチェットハンドルを進化させ、90枚ギアを搭載した新モデルを単品販売に先行して入れ組むなど、工具セットの魅力を拡大する販売促進活動を実施しております。また、2023年10月から11月にかけては、「Japan Mobility Show 2023」に出展し、ツールを通じて当社グループが創る安全の未来を体感頂くなど、ブランドの認知度向上とビジョンの浸透に取り組んでおります。

 

 

生産面では、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着作業などの単純な繰り返し作業は複数の加工設備に共用で使用可能な協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になりました。さらに、協働型自走式ロボットを活用し、人と協働できる独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。

これらに加え、生産体制のさらなる安定と強化に向け、作業者の高い技術を要する熱間鍛造ハンマプレス工程の半自動化により習熟度に頼らない誰でもできる仕組みを構築するなど、既存生産設備の改善にも取り組んでおります。

また、当社グループは、ESGの取り組みとして「地球に、社会に、私たちができること」、「E(環境):地球環境に徹底的に貢献する」、「S(社会):あらゆるステークホルダーと共生する」、「G:持続可能な信頼される企業であり続ける」を基本方針とし、安全・安心で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを展開しております。加工工法の改善による生産現場の省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用推進、「技育(技術の教育)」を通じた産学連携による未来の技術者育成への貢献などの活動を通じて、環境、社会への貢献と企業発展を目指して積極的に取り組んでおります。

 

これらの結果、市販部門における一般産業市場向けの販売が堅調に推移した一方、主力の自動車整備市場向けの販売が前年同期の水準に及ばず、当第3四半期連結累計期間の売上高は55億59百万円(前年同期比3.1%減)、セグメント利益は3億41百万円(前年同期比25.5%減)となりました。

 

[ファシリティマネジメント事業]

当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。

当第3四半期連結累計期間におきましては、所有不動産の安定稼働により、売上高は1億75百万円(前年同期比2.9%減)、セグメント利益は1億22百万円(前年同期比5.6%減)となりました。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、149億91百万円となり、前連結会計年度末に対し2億68百万円増加となりました。その主な内容は、投資有価証券が5億24百万円、商品及び製品が3億79百万円、電子記録債権が2億7百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が8億13百万円減少したことなどによるものであります。

負債合計は、32億53百万円となり、前連結会計年度末に対し2億88百万円減少となりました。その主な内容は、その他固定負債が1億89百万円増加した一方、未払金及び未払費用が1億67百万円、賞与引当金が1億30百万円、未払法人税等が1億25百万円減少したことなどによるものであります。

純資産合計は、117億37百万円となり、前連結会計年度末に対し5億56百万円増加となりました。その主な内容は、その他有価証券評価差額金が3億64百万円、利益剰余金が1億84百万円増加したことなどによるものであります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1億40百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
 

(6)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。