E01396 Japan GAAP
前期
396.7億 円
前期比
106.8%
株価
1,066 (05/02)
発行済株式数
4,420,000
EPS(実績)
67.42 円
PER(実績)
15.81 倍
前期
647.4万 円
前期比
95.4%
平均年齢(勤続年数)
43.2歳(18.4年)
従業員数
856人(連結:2,123人)
当社の企業集団は、当社及び製造子会社6社で構成され、自動車焼結製品、鉄道焼結製品、油圧機器製品の製造販売を主な事業内容としており、関連当事者(その他の関係会社)であるトヨタ自動車㈱には継続的に自動車焼結製品を販売しております。
当グループの事業に係る位置づけ、及び事業の種類別セグメントとの関連は次の通りであります。ファインシンター東北㈱は当社の自動車焼結製品の製造を行っており、またファインシンター三信㈱、タイファインシンター㈱、アメリカンファインシンター㈱、精密焼結合金(無錫)有限公司、及びファインシンターインドネシア㈱は、自動車焼結製品の製造及び販売を事業内容としております。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における国際情勢は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和が進む一方で、原材料やエネルギー価格の高騰、欧米を中心としたインフレの進行、ウクライナ・米中情勢等の地政学リスク、中国景気減速、欧米景気後退リスク等、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループ製品の主要市場である自動車産業においては、世界的な半導体不足及び原材料やエネルギー価格高騰の影響があり、厳しい経営環境となりました。
当連結会計年度の業績は、売上高は396億74百万円(前年度比1.8%増)となり、営業損失は9億73百万円と前年度に比べ14億9百万円の減益となりました。また、為替変動に伴う為替差益1億44百万円及び休業日設定による助成金収入1億44百万円の計上等により、経常損失は9億76百万円と前年度に比べ17億円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、一部の固定資産について減損損失を計上した影響等により26億58百万円と前年度に比べ28億66百万円の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①自動車焼結事業
為替変動の影響を除くと、国内・米国を中心とした半導体不足や、中国国内におけるロックダウンに伴う得意先での生産調整の影響等により販売量減少となりました。当社グループとしては、休業日設定等による稼働調整、省人推進及び生産課題の解消に加え、原材料やエネルギー価格高騰の販売価格への転嫁等に取り組み、通期では大幅な減益となったものの、第4四半期では利益確保に至りました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は360億2百万円と前年度と比べ7億9百万円(2.0%)の増収となり、セグメント利益につきましては、2億50百万円と前年度と比べ12億88百万円の減益となりました。
②鉄道焼結事業
新幹線用ブレーキライニング及び新幹線用すり板の搭載車両増加が売上増に寄与した一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴う減便による発注数減少の影響が残り、足元では改善傾向であるものの、通期では前年度比減収となりました。これに対して、売上減に応じた原価低減策等により、原材料やエネルギー価格高騰の影響はあるものの、増益となりました。また、鉄道で培った技術を活かし、新たに産業用集電部品の生産・販売も開始しました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は14億91百万円と前年度と比べ24百万円(△1.6%)の減収となり、セグメント利益につきましては、2億12百万円と前年度と比べ84百万円(65.2%)の増益となりました。
③油圧機器製品事業
北米向けデンタルチェア用製品を中心に、売上高は堅調に推移した一方、購入部品の価格高騰等の影響で減益となりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は21億71百万円と前年度と比べ31百万円(1.5%)の増収となり、セグメント利益につきましては、5億83百万円と前年度と比べ25百万円(△4.1%)の減益となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、18億28百万円となり、前連結会計年度に比べ23億61百万円減少(56.4%減)となりました。これは主に、自動車焼結事業を中心とした、販売量減少、原材料・エネルギー価格高騰などによる当期純利益の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、36億90百万円となり、前連結会計年度に比べ3億43百万円増加(10.3%増)となりました。これは主に、未来Factoryやタイ第二工場関連設備など有形固定資産取得による支出の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、3億5百万円となり、前連結会計年度に比べ16億68百万円増加となりました。これは主に、短期借入金が16億48百万円純増したことによるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(資産)
資産は491億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ、18億56百万円減少いたしました。主に固定資産減損計上に伴う有形固定資産の減少(前連結会計年度末比19億69百万円減)によるものであります。
(負債)
負債は309億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ、7億65百万円増加いたしました。これは、短期借入金増加(前連結会計年度末比12億95百万円増)、支払手形及び買掛金の減少(前連結会計年度末比3億36百万円減)及び長期借入金の減少(前連結会計年度末比3億19百万円減)によるものであります。
(純資産)
純資産は182億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ、26億22百万円減少いたしました。これは、主に利益剰余金の減少(前連結会計年度末比27億90百万円減)によるものであります。
当社グループは、「中期経営計画2025」の達成に向け、グループ一丸となり「競争力の強化」「事業構造変革」「ESG経営」に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、新型ハイブリッド車用のインバーター部品の増産を23年年初に開始しており、24年年央には国内子会社に生産ラインを増設予定です。デジタル技術と匠の技の融合によるモノづくり革新「未来Factory」の実証を継続し、23年度から工場へ展開予定です。また、グローバル最適生産の一環で、タイ子会社第二拠点の立上げ準備を計画通り推進しております。あわせて、食糧課題対応としての昆虫食事業を含めた新規事業開拓、カーボンニュートラルへの取組み、人的資本への投資などに積極的にリソーセスを投入し、将来の収益力確保、企業価値向上への取り組みを推進してまいります。
このような状況の中、当連結会計年度の目標として掲げておりました、連結での売上高400億円、営業利益率2.5%、ROE2.7%に対して、実績は売上高396億円、営業利益率は△2.5%、ROEは△15.8%でした。円安への為替変動が売上を押し上げたものの、自動車焼結事業における半導体不足や、中国国内におけるロックダウン等の影響による販売量減少で、売上高は目標未達となりました。また、国内や米国子会社での生産上のロスなどで営業利益率は未達となり、これに加えて固定資産の減損損失計上等で親会社株主に帰属する当期純利益が大きくマイナスとなった影響などで、ROEは大幅な目標未達となりました。
2023年度以降につきましては、原価改善や寄せ止めなどの取り組みを進めつつ、「中期経営計画」に沿って、未来Factoryの展開などによる収益力向上、電動化関連製品や鉄道及び油圧事業の拡大、新規事業分野の開拓など、事業ポートフォリオシフトを加速し、ESG経営を基盤に企業価値向上に努めてまいります。
重要な経営指標の一つであるCO₂排出量削減については、2013年度比で2025年度までに40%削減、2030年度までに50%削減を目標としており、2022年度の実績は、生産設備の寄せ止めや生産量の減少などで44.4%の削減となりました。
当社グループの資金状況は、営業キャッシュ・フローが18億28百万円となり、そこから「未来Factory」やタイ子会社の第2拠点新設等での設備投資活動で36億90百万円の支出、設備投資等に伴う資金調達などの財務活動によるキャッシュ・フローで3億5百万円増加したことにより、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度より13億83百万円減少し、42億46百万円となりました。
今後の資金需要としましては、国内における「未来Factory」及び新規分野への開発投資、タイ子会社の第2拠点生産準備等に伴う設備投資がありますが、必要資金は自己資金及び借入金でまかなう予定です。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 固定資産の減損損失
当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。