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最終更新:

E31071 IFRS

売上高

54.1億 円

前期

87.4億 円

前期比

61.9%

時価総額

46.8億 円

株価

818 (04/30)

発行済株式数

5,715,800

EPS(実績)

94.25 円

PER(実績)

8.68 倍

平均給与

627.9万 円

前期

595.9万 円

前期比

105.4%

平均年齢(勤続年数)

31.0歳(4.2年)

従業員数

175人(連結:288人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、「医療を想い、社会に貢献する。」を企業理念とし、医療現場の主役である医師と医師との繋がり、そしてその医師のQOL((注)1)の向上が豊かな医療の創造を実現させるという信念のもと、医師の互助組織を母体として発足いたしました。以来、経験・ノウハウの蓄積により確立した医療分野の人材ネットワークを強みとして医師に対するインターネットを活用した非常勤医師紹介及び常勤医師紹介を中心とした医療情報プラットフォーム事業を展開しております。

当社グループの事業は、インターネットを活用した医療情報プラットフォームの提供の単一事業であります。

なお、売上高の構成は次のとおりであります。

(1)医療人材サービス(医療人材情報のプラットフォーム)

① 医師紹介サイトを利用した医師向けの非常勤医師紹介(サービス名称:Gaikin(注)2)及び常勤医師紹介(サービス名称:career)

② コメディカルといわれる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士及び放射線技師向けのアルバイト紹介、転職紹介及び紹介予定派遣等

 

(2)その他

① 医局((注)3)業務をサポートするグループウェア(サービス名称:ネット医局®)の提供

② オンライン診療・健康相談サービス(サービス名称:Door.into健康医療相談、ポケットドクター)の提供

③ 医師によるマーケティング、商品開発(サービス名称:女医プラス、医師プラス)の提供

④ 出版サービス

⑤ 医療機関運営支援サービスの提供

⑥ 医師向けの医薬品プロモーション支援

⑦ 登録・受付センター等の運営

⑧ Well-beingサービス

⑨ 医療機器プラットフォームサービス

 

(注)1. Quality of life(QOL)とは、人々の生活を物質的な面から量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方をいいます。

2. 大学病院で勤務している医師が、大学病院系列市中病院を含む大学病院以外の関連医療機関に勤務することがあります。こうしたなかで、大学病院以外での勤務は医師間では「外勤」と呼ばれており、医師は大学医局の指示/紹介のもと外勤を行っております。

当社グループは、医師の間で呼ばれている「外勤(Gaikin)」を非常勤医師紹介のサービス名称に用いております。

3. 医局とは、大学の研究室ごと、もしくは大学病院の診療科ごとに主任教授を組織の頂点とした医師の人事、研究、教育等を担う非営利の組織のことであり、その規模は数十人から大きいところで百数十人の医師から構成されており、多くの医師はいずれかの医局に所属しております。

 

(医療人材サービス)

1.非常勤医師の人材市場に関する当社の見解

厚生労働省が2010年9月29日に公表した「病院等における必要医師数実態調査の概要」によれば、2010年6月1日時点の医療機関に勤務する非常勤の医師数(約3万人、週当たり延べ勤務時間数を40時間で除して常勤換算)は、医師数全体(医療機関に勤務する現役医師数約16万7千人)の18.3%を占めており、医療現場で非常勤医師の占める割合が高いことから非常勤の医師に対する医療現場の需要は非常に大きいと考えられております。それは、以下に述べる事情によるものと考えております。

(1)まず、医療の特徴の一つとして医療全般における予測不能性が挙げられます。たとえば、患者さんの急変や、緊急手術の発生など、医療機関の日常業務の中には常に予測不可能な状況が多数存在しています。専門医が複数名常駐する医療機関であれば、緊急事態が発生した場合でも、医師の配置変更や人員補充により、医療機関内で調整し、対応することは可能であります。しかしながら、全国的に医師不足の状態が慢性化しているなかで、自院内で医師補充が行える医療機関は数多くありません。そのため、医療を必要とする患者さんの数と医療を提供できる医師の絶対数があっていない医療ニーズの需給がバランスしないという現象が発生しており、適時に他の医療機関に従事する医師に応援要請を行う必要があります。要請に即座に対応できる医師に向けて、広く情報を提供し、かつ迅速な医師の医療現場への紹介が求められております。

 

(2)医師の世界では、一定のキャリアを積むまでは定収入がないこともあります。一般に大学医学部を卒業し医師国家試験に合格したのちに、臨床経験を活かせる一人前の医師として認められるためには、10年程度の期間を要します。この期間、医師は、外勤(診療)により多くの経験を積み、また、外勤(診療)報酬を生計の一助とする場合もあり、代診を含む外勤(診療)は、特に若手医師の高い需要があります。

(3)無医村に象徴される医師の地域偏在による医師不足、特定診療科目の医師不足が深刻な問題となっております。医師臨床研修制度により、症例数が多く臨床経験を得られる都市部の医療機関に従事する医師が増加する一方、地方医療機関及び大学病院に従事する医師が著しく減少し、地方の医療機関の医師不足が深刻となっております。また、過酷な勤務状態及び医療状況である診療科目は人気がなく、このような診療科目の専門医師が不足しております。そのため、地方医療機関及び特定診療科目では、常勤医師のみでは医療の質を維持することができないため、非常勤の医師によるサポートが必要不可欠となり、絶えず非常勤の医師を募集している医療機関は少なくありません。

 

2.医師紹介ビジネスモデルの特徴

当社は、2000年1月に東京大学医学部附属病院の医師の互助組織を母体としてスタートいたしました。互助組織という性格から、医師同士の信頼関係のもと、代診医を紹介しあう仕組みが自然に形成され、これにインターネット技術を活用してシステム化させたのが、今日の外勤(診療)ビジネスモデル(レギュラー、スポット(注)1

)の始まりであります。当社はこのビジネスモデルを、他社に先駆けて事業化させ、事業化以来現在にいたるまで、数多くの医師に当社の紹介システムを利用していただいております。なお、2022年4月より、非常勤医師(外勤紹介)サービスアプリ「MRT WORK」(注)2を展開しております。

また、当社は、医師会員である医師及び医療機関等のニーズを把握することにより、当社医師紹介サイトから医師会員向けに提供する情報の付加価値を高めるとともに、その利便性を向上させることを通じて、医師と医療機関等をつなぐ医療現場に欠かすことのできないネットワークになってきていると自負しております。

 

 (注)1.レギュラーとスポットは、当社が事業展開を始めた当初より使用している呼称であります。

    ①レギュラーとは、「毎週定期で勤務する勤務枠」を指し、週5日勤務ではないものの正規雇用と同等の条件で期間の定めのない労働契約を締結している短時間正規雇用、若しくは契約期間2ヶ月以上の非常勤雇用の形態であります。

       ②スポットとは、「単発勤務の勤務枠」を指し、レギュラーを除く非常勤雇用の形態であります。

   2.MRT WORKとは、当社が提供する非常勤(定期非常勤・スポットアルバイト)紹介サービスのアプリ版であります。特徴として、紹介案件の検索機能が強化され、お気に入り登録などにより案件比較が容易になることで、医療従事者に適切な求人情報の提供が可能となります。

 

(1)医師ネットワークを確立していること

    医師を中心とする医療分野の人材紹介は、医療という専門性が高い業務を担う人材を相手とするため、人材紹介にあたっては①緊急手術、急患対応などの即時対応性②大学派閥の人事特殊性③専門的スキルと経験等を理解した上でのスピード重視の対応が求められます。

    当社は、その設立経緯や現在に至るまでの業務経験・ノウハウの蓄積により、医師を中心とする医療分野の人材ネットワークを強みとして事業基盤を確立しており、企業理念に従い、医師目線で医師の利便性を重視して医師紹介サービス事業を展開しております。

   当社のサービスを利用するに当たり、医師会員登録が必要となりますが、当社は、登録手続き上、必ず、医師免許証などの医師免許を証する公的書類、経歴書等の提出を義務付けており、非医師によるなりすまし登録を防いでおります。加えて、医師免許の確認のみならず、過去勤務された医療機関及び診療科目を確認することにより、医師と医療機関とのミスマッチングも防いでおります。このように医師会員のデータを厳格に管理することにより、医療機関及びその関係者に対し、安心して当社サービスを利用していただける環境を提供しております。

    一般的に人材紹介ビジネス業界には、参入障壁が低いと考えられる傾向があると思いますが、医療分野に限れば、その業界の特殊性を理解した上で対応する必要があり、その経験・ノウハウ等が重要になるため、新規事業者の参入は難しいと考えております。

 

(2)インターネット技術を活用した医師紹介サービスであること

   当社は、医療分野に特化した人材紹介事業を展開するにあたり、医療分野の人材が快適かつ迅速に外勤(診療)探し又は転職活動ができるように、インターネット技術を活用した医師紹介システムを構築しております。

 これにより、求人情報サイトのような利便性と当社専任スタッフによるきめ細かい転職サポート等を実現し、多店舗展開することなく、少人数のスタッフにより、スピーディーな医療機関及び医療分野人材等の求人・求職需要のマッチングを可能にしております。

 当社は、医療機関に対して医師を適切に紹介するため、医療業界の慣行を踏まえた医師紹介システムを構築しております。

 

(3)医師へ提供するその他の付加価値

  当社グループは、医療・ヘルスケア分野において、医療情報プラットフォームを提供することで、医師紹介情報の提供のみならず、医師に対して付加価値の高いサービスを提供しております。当社医師紹介サイトが提供している外勤(診療)紹介以外に、「ネット医局®」、「Door.」の提供を通じて、医師ネットワークの拡大及び当社医師紹介サイト又はアプリ「MRT WORK」のアクセス数及び利用回数が増加することで、医師紹介サイト自体の付加価値を高めております。

 

3.医師紹介の業務

(1)医師紹介の概要

 医師紹介には、大別するとレギュラー及びスポットから構成される「非常勤医師紹介業務(外勤紹介)」と「常勤医師紹介業務(医師転職紹介)」がありますが、それぞれの業務の流れは多少異なっており、当社の人材紹介システムは特に非常勤医師の人材紹介業務に活かされております。

 

 非常勤医師紹介は、「(2) 非常勤医師紹介(外勤紹介)の場合」に記載のとおり、非常勤を希望する医師会員及び医療機関同士が、当社の人材紹介システムを利用して反復継続的にマッチングを行うサービスであります。

 また、当社は、医師紹介サイトを通じた勤務実績に応じてMRTポイントを医師に付与しております。このMRTポイントは、当社サービスを継続的に利用していただくための利用促進策の一環であり、一定ポイントためると、現金への交換が可能となっております。加えて、MRTポイントは、医師会員の善意により日本赤十字東日本大震災義援金など寄付にも活用されております。

 一方、常勤医師紹介は「(3) 常勤医師紹介(医師転職紹介)の場合」に記載のとおり、常勤を希望する医師会員及び医療機関に対して、当社の少人数の常勤医師紹介専任スタッフが当社の医師会員を医療機関に紹介するサービスであります。基本的に当社の既存の医師会員を対象に紹介しております。

 

 当社グループは、連結子会社である株式会社医師のとも(以下、「医師のとも」という。)及び株式会社日本メディカルキャリア(以下、「メディカルキャリア」という。)においても当社同様に医師紹介サービスを提供しております。医師のともが提供する非常勤医師紹介(レギュラー、スポット)及び常勤医師紹介、メディカルキャリアが提供する非常勤医師紹介(レギュラー)及び常勤医師紹介は、「(3) 常勤医師紹介(医師転職紹介)の場合」に記載する業務の流れで行われております。

 

(2)非常勤医師紹介(外勤紹介)の場合

  非常勤医師紹介は、レギュラーとスポットから構成されますが、医師紹介サイトはこれらの医療現場の要望をできるだけ反映させることを可能としており、医師が勤務するまでのプロセスのほとんどを当社の医師紹介サイト内で完結させております。加えて、緊急性が高いケースの場合は、全医師会員にメールを流し、応募を促すなどきめ細かな対応を行っているほか、レギュラーについては、当社専任スタッフが医療機関との調整をします。

 

  非常勤医師紹介の流れは以下のとおりであります。

① 非常勤医師の求人側の医療機関(病院、診療所等)は、あらかじめ、当社医師紹介サイトにより会員登録し、医師求人の募集要項(診療科、期間、報酬など)を医師紹介サイトに掲載します。

②  非常勤による就業を希望する医師は、あらかじめ、当社医師紹介サイト又はアプリ「MRT WORK」を通じて会員登録した上で、掲載されている募集要項を確認し、医師紹介サイト又はアプリ「MRT WORK」経由で応募します。

③ 求人側の医療機関は、医師紹介サイト経由で医師からの応募内容を確認し、雇用につき同意する場合は、両者の労働契約が成立します。なお、レギュラーの場合は、当社専任スタッフが、医師と医療機関との間で、開始時期などを調整します。

 

④ その後、当社は、一定の紹介手数料を求人側の医療機関から受領します。なお、医師からは手数料の受領はありません。

⑤ レギュラーの場合は、レギュラー勤務医師と医療機関との労働契約の維持を図るとともに、当該労働契約が終了した場合に他の医師を適時紹介することができるように、当社専任スタッフが医師及び医療機関に対して、適宜コミュニケーションをとることとしております。

 

[非常勤医師紹介(外勤紹介)の手順(図)]

※画像省略しています。

 

(3)常勤医師紹介(医師転職紹介)の場合

 常勤医師の人材紹介業務は、求人側の医療機関及び転職希望の医師が医師紹介サイトで会員登録等を実施し、その後、常勤医師紹介専任スタッフが、直接面談を行い、会員医師の要望を把握した上で、求人側の医療機関と転職希望の医師のマッチングを行います。

 

 常勤医師紹介の流れは以下のとおりであります。

① 常勤医師の求人側の医療機関(病院、診療所等)は、あらかじめ、医師紹介サイトにより会員登録し、医師求人の募集要項(診療科、期間、報酬など)を医師紹介サイトに掲載します。

② 当社の常勤医師紹介専任スタッフが直接、求人側の医療機関と面談し、雇用条件などの希望を伺い、その希望に極力適う医師の探索を開始し、紹介します。

③ 一方で、正規雇用による就業を希望する医師は、あらかじめ、医師紹介サイトで会員登録した上で、当社医師紹介サイト経由で正規雇用による求職の申し込みを行います。

④ 当社の常勤医師紹介専任スタッフは、直接、医師会員と面談し、就業条件等の希望を伺い、その希望に極力適う医療機関の探索を開始し、紹介します。

⑤ 求人側の医療機関及び医師双方が同意した場合、両者の労働契約が締結されます。

⑥ その後、当社は、一定の紹介手数料を求人側の医療機関から受領します。なお、医師からは手数料の受領はありません。

 

[常勤医師紹介(医師転職紹介)の手順(図)]

 

※画像省略しています。

 

4.その他の医療人材

(1)その他の医療人材の概要

 コメディカルといわれる看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学技士、放射線技師につきましても「3.医師紹介の業務」と同様の紹介をしております。なお、コメディカル紹介には、MRTポイント制度の適用はありません。

 また、当社グループは、一部のエリアにおいて、法令で認められる範囲において、医療人材の紹介予定派遣等を行っております。

 

(2)紹介予定派遣の流れ

 派遣形態による就業を希望する求職者は、運営サイトで会員登録を行います。その後、専任スタッフは、求職者と直接面談を行い、求職者の要望を把握した上で、求人側の医療機関と求職者のマッチングを行います。求職者と求人側の医療機関が双方同意した場合、当社グループと求職者間で労働契約が締結され、一方、当社グループと求人側の医療機関で派遣契約が締結されます。

 当社グループは、契約に従って、求人側の医療機関から報酬を受領し、求職者である派遣スタッフに給与を支給いたします。

 

[紹介予定派遣の手順(図)]

 

※画像省略しています。

 

(その他のサービス)

5.ネット医局®

 ネット医局®とは、当社グループが開発した医局の管理業務の支援を行うグループウェアであり、当社グループは、医局の業務支援の需要に着目し、医局に無償で提供しております。

 ネット医局の主なサービスは、下記のとおりであります。

(1)スケジュール管理

 当直作成表や勤怠管理、スケジュールが一括管理でき、勉強会及び講演会などのイベントのご案内、参加の管理を行うことができます。

(2)情報共有

 掲示板機能により、説明会及びカンファレンスなどの情報共有が可能となります。

(3)アポイント管理

 効率的にアポイント取得及び管理ができ、空き時間等の有効活用を実現することができます。

(4)緊急安否確認(FASTCALL)

 安否確認、緊急掲示板、災害情報等、医療機関危機管理体制に必要な機能を集約し、医療機関の安全管理体制を支援することで、災害時等のリスクマネジメントを行うことができます。

 

 

6.オンライン診療・健康相談サービス

 オンライン診療・健康相談サービスでは、スマートフォンやタブレットに搭載されているカメラを利用することで、患者及び相談者(以下、「患者等」)の顔色や患部の状況を把握することが可能なため、従来の電話による診療(再診)より具体的なアドバイスや診療が行うことができます。

 初診を行っていただいた医療機関に、どこからでも保険適用で再診を受けることができるオンライン診療サービスであります。忙しくて通院による再診ができないとき、普段利用する医療機関が自宅から遠い場合、動くことが容易でない高齢者の方等、通院自体が困難な患者が、気軽に再診を受けることができます。

(1)Door.into健康医療相談《オンライン診療・健康相談サービス》

 Door.into健康医療相談は、医師ネットワークのプラットフォームである「Door.」(注)を通じて、医師・医療機関と患者等、薬剤師など医療従事者をつなぐオンライン健康相談、オンライン診療などを提供するものであります。2023年12月、「Door.」を活用した、育児経験のある小児科専門医による、オンライン健康相談、診療相談「オンラインこども診療」をリリースし、提携医療機関と連携してサービスを提供しております。

 

(注)「Door.」は、医師のネットワークにつながる「Door(扉)」と、ピリオドを付すことにより「Dr.(医師)」のダブルミーニングのコンセプトで展開しております。医師は、「Door.」を開いて「Room」に入ることで、当社グループ及び業務提携先が提供するサービスを受けることができます。

 当社グループは、全国に医療人材および医療機関のネットワークを持つ共有プラットフォームを構築し、グループ内情報の共有化を実現することで、(1)適切なマーケティング、(2)サービスの品質の向上・多様化、(3)アライアンス・M&Aの効果最大化を目指しております。このプラットフォームとなる「Door.」アプリを提供し、医師のネットワークの更なる連携・強化、様々なサービス展開に取り組んでおります。

 

① Door.into健康医療相談の特徴

 オンラインによる健康相談、受診勧奨や受診相談、診療までを一気通貫で行うことができます。あらゆるシーンでご利用いただくことを想定し、画面や操作性を、医師、患者等のだれもが身近に感じ馴染みやすいシンプルなものにしております。

② Door.into健康医療相談の機能

ⅰ) オンライン健康相談

a.相談者は「相談キー」を利用して「Room」に入り、医師からアドバイスを受けます。

b.「相談キー」は、企業やお店から配布、またはサービスサイトにて個人で購入することにより取得することができます。

c.産業保健の補助や福利厚生の充実、企業が提供するサービスの付加価値向上に利用することができます。

d.「相談キー」は目的や用途によりカスタマイズが可能です。提供企業のロゴやサービス案内を掲載することや、1枚のキーでの利用回数や利用期間、チャットのみ、チャット+ビデオ通話、相談内容などを選択して発行することができます。

ⅱ) オンライン診療

a.医療機関毎に発行されている電子診察券である「診察キー」を利用して診療を受けることができます。

b.「診察キー」は、医療機関のキーコードの登録、または医療機関一覧から選択して取得することができます。

c.患者は、医療機関を選んで予約、ビデオ通話で受診し、医療費はアプリ内で自動決済、明細や処方箋などの画像が取得できます。

 

(2)ポケットドクター《オンライン診療サービス》

 当社グループは、株式会社オプティム(以下、「オプティム」)との共同開発によりスマートフォン、タブレットを用いたオンライン診療サービスを提供しております。

 ポケットドクターは、オプティムの持つリモートマネジメントテクノロジー(遠隔管理技術)と、当社グループが培ってきた医療情報及び医師、医療機関のネットワークを組み合わせることで、医療を必要としている人々と遠隔地にいる医療の専門家をつなぐサービスであります。

①ポケットドクターの機能

ⅰ) 患者等は、ウェアラブル機器と連携することによって、ウェアラブル機器から収集される自身のさまざまなバイタルデータ(注)を医師と共有することができます。

ⅱ) 患者等が映像や画像の共有を行う際に、医師はスマートフォン、タブレットからのライブ映像上に、赤ペン機能(赤色のペンにて記入)や、指差し機能を用いて、映してほしい箇所の指示や、症状の説明を的確に行えます。

 

(注)バイタルデータとは、脈拍、血圧、体温など、人体から取得できるさまざまな生体情報のことであります。

 

7.女医プラス、医師プラス

 女医プラス、医師プラスとは、医師が医師としての知識をベースに、医師がそれぞれ持つ個性を活かして、医療、ヘルスケアに関する啓発活動、情報発信を行うユニットであります。

 ユニットを通じて、主に以下のサービスを提供しております。

(1)サンプリングアンケート

  医師による商品やサービスのモニター及びアンケートの回答により、医師の意見の集約をサポートします。

(2)認証マーク

  医師によるアンケートの結果を踏まえて、商品やサービスに医師の認証マークを付与することで、品質や安全性等に対するユーザーへの訴求をサポートします。

(3)商品開発、監修

  商品開発時に、商品やサービスの品質向上を図るため、医学的知見を活かし医師のアドバイスを提供します。

(4)記事監修、取材

  記事に対して専門領域に沿って医学的疑義を確認、また医学的見地に基づき取材を行うことで、正確な医療情報を提供することをサポートします。

(5)メディア出演、講演

  テレビや雑誌、セミナーや研修等で、医療、ヘルスケアに関する正確な情報の発信をサポートします。

 

8.出版サービス

 地元有力病院の医師が、患者や地域住民を対象にわかりやすく執筆した病気と治療の解説書を出版しております。書籍の出版を通じて、病気の説明や検査、診断、標準治療、先進医療など、難解な医療情報を、用語の解説や言い換えを行い、読みやすい文字構成、イラストや図表、写真をバランス良く使用し、病気と治療に関する正しい情報の理解促進を行います。

 

9.医療機関経営支援サービス

 医療機関に診療のための時間を確保していただくために、医療機関のバックオフィス業務を包括的に受託するサービスであります。

(1)ファイナンスサービス

①診療報酬ファクタリング

 診療報酬債権を買い取り、資金化を早期に行います。

②事業資金立替

 医療機関に対して、給与等の支払資金の一時的な立替を行います。

(2)RPO、BPOサービス

 非常勤医師の求人募集、採用から給与振込まで一気通貫で業務をサポートします。さらに、(1)のサービスと連携し、買い取った診療報酬債権を元に非常勤医師の給与を医療機関に代わり支払いをします。

(3)職員・患者の満足度調査サービス

 医師/看護師など「職種ごとの設問」とカテゴリー/重要度の組合せで立体的な分析を行い、患者の心理変化もきめ細かく調査し、病院経営を支える効果的な情報の収集、結果解析を行っております。

 

10.医師向けの医薬品プロモーション支援

 医薬品の広告やパンフレット、医学学会の記事集等の制作や医薬品情報 提供用WEBサイトの構築を通じて、医師や医療従事者に情報提供を行い、また病院内ポスターやパンフレット制作を通じて患者への疾患啓発活動を行っております。特に腫瘍学(oncology)分野を得意とし、幅広い知見と経験を有するメディカルライターをはじめとした人材を擁しております。

 

11.登録・受付センター等の運営

 当社グループは医療人材紹介、採用管理システムBPO等のツールやサービスを活用して医療従事者等で運営する登録・受付センターの運営を受託するサービスであります。医療従事者確保や案件の整理及び調整医療従事者の労務管理などの業務の効率化を図り、大小様々なセンター運営業務に対応できることを強みとし、自治体及び企業にサービスを提供しております。

 

12.Well-beingサービス

 「悩みが深まる前にメンバーのストレスを減らしてあげたい」「若手の看護師は壁にぶつかると簡単に辞めてしまう」「管理職がしんどくなった時、誰にも相談できない」など、ストレスフルな環境に置かれている医療現場の負を解決するサービスです。看護師が日常の悩みを気軽に相談できる「よろず相談カウンセリング」や、部下への対応に悩む管理職をサポートする「管理職専用相談ダイヤル」そして、職員のWell-beingをかなえる各種研修を提供しております。

(1)ストレスマネジメント研修

 管理職は日々様々な悩みを抱えています。管理職ならではのご相談や管理職ご自身の悩みや不調に対し、専門的な見地からコンサルテーションを行います。

(2)職場の心理的安全性を高める研修

 「心理的安全性」について学び、自職場の状況やメンバーの様子を振り返り、課題を特定し対処法を実践的に考えます。管理職同士が日々の工夫や悩みを共有し、お互いの関係性を高めます。

(3)ハラスメント研修&加害者更生プログラム

 問題言動のもととなる「怒り」を取り上げ、そのコントロールの方法を学びます。さらにハラスメントが起こってしまった場合の対応についても学びます。

(4)職場復帰支援

 メンタル疾患で休職したメンバーの再発を防ぎ、安定的に職場復帰をしていく支援並びに職場復帰に対応する管理職の負担軽減を図ります。

 

 (注)Well-beingとは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念であります。

 

 

13.医療機器プラットフォームサービス

 医療機器卸、メーカー、医療従事者をつなぐ医療機器情報サイトを提供しております。

(1)Medikiki.com

ⅰ)医療機器の添付文書ダウンロードでき、回収・改訂などの情報があった際に通知を受け取ることができます。

ⅱ)医療機器のカタログを検索・閲覧・ダウンロードでき、選択した医療機器の比較表をワンクリックで自動生成できます。

(2)クラウド型医療機器管理システム(MMS:Medikiki Management System)

医療機器の点検スケジュールや所在場所の可視化、管理状況に合わせて点検項目のカスタマイズができます。

 

 

[事業系統図]

 

※画像省略しています。

 

 

24/03/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、2022年12月27日に行われた株式会社メディアルトの株式取得による企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループを取り巻く医療・ヘルスケア業界においては、高齢化社会の進行とともに医療の担い手不足や地域偏在、診療科偏在が課題に挙げられてきました。日本の医療費は40兆円を超え2040年度には約66兆円を見込み、医療費の削減、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられている危機的な状況の改善など、持続可能な医療サービスを実現するための対策が求められてきました。2020年より2年以上にわたり席巻した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2023年5月8日以降、5類へ移行しましたが、この感染拡大を契機として救急医療をはじめとした地域医療課題が顕在化しました。

 このような状況の中、当社は、コロナ禍においては行政機関からの要請によるワクチン接種会場の運営や、自宅療養者支援、ワクチン接種後の健康状況調査など、様々な医療体制構築の一助となるべく情勢の変化にあわせた対応を進めてまいりました。5類変更とともに、行政機関の対策や体制に変更が生じ、新型コロナウイルス感染症関連業務が終了または縮小し、今後もその傾向にあります。

 一方で、地域医療課題の解決に向けて、自治体と連携し、医療従事者確保など医療体制構築の取り組みを進めており、10月に和歌山県と医師確保と医療DX実現に向けた連携協定を締結しました。また、2021年度より参画している三重広域連携モデルにおける医療MaaSをはじめとした医療DX実証実験は3期目に入り、「美村」ブランドと連携し医療アクセスの困難な地域においても安心して医療が受けられる地域づくりに寄与しております。今後、このような新型コロナウイルス感染症関連以外の自治体の業務を受託件数増加に向けて取り組んでまいります。

 オンライン診療・健康相談においては、医療・ヘルスケアへの関心が高まる中、資本業務提携先と共に、従業員の健康状態分析から治療まで一気通貫の健康経営支援サービスを6月にリリースし、当社は産業医の募集・配置および「Door.」によるオンライン診療・健康相談の環境整備を担っております。また、12月には子育て経験のある小児科専門医に受診・相談できる医療サービス「オンラインこども診療」をリリースし、医療機関が開いていない夜間帯の医療サポートにより救急医療の軽減にも寄与しております。

 

 こうした多くの要望や時流にあわせ医療プラットフォームを拡大していくことにより、非常勤医師求人紹介サービスの紹介実績が累計200万件突破し、さらなる拡大に向けて取り組んでおります。12月には、2024年2月20日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社日本メディカルキャリアから簡易吸収分割により医療従事者の常勤紹介事業を承継することを決議しました。これにより、当社の強みである医療人材プラットフォームを活用し、常勤、非常勤ともに医療人材紹介の拡大を進めてまいります。加えて0次予防をコンセプトとした外部EAPサービスも拡大し、医療現場における医療人材の職場定着も推進し、医療人材不足課題の解決に真摯に向き合っております。

 

 このほか、7月に関連会社としたメドリング株式会社は、東南アジア圏の医療DXサービスを展開し、ベトナムに続きインドネシア及びカンボジアでもサービスの提供を開始しました。同社とともに、日本で培った医療人材マッチングや医療DXなどのノウハウを応用し、東南アジア圏の医療向上を目指します。

 

 当社グループは、これまで作り上げてきた医療人材プラットフォームおよび医療DXプラットフォームサービスを 最大限に活用し医療現場の一助となれるよう引き続き尽力してまいります。

 

 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計につきましては、6,471,962千円となり前連結会計年度末に対して1,687,061千円減少しました

 当連結会計年度末における負債合計につきましては、1,756,897千円となり前連結会計年度末に対して1,917,343千円減少しました

 当連結会計年度末における資本合計につきましては、4,715,064千円となり前連結会計年度末に対して230,282千円増加しました

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上収益は5,407,087千円(前年同期比38.1%減)、営業利益は834,469千円(同72.0%減)、税引前当期利益は858,036千円(同70.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は517,145千円(同76.1%減)となりました。また、売上収益の内訳は、医療人材サービス(医師、その他の医療従事者)3,159,968千円(同21.2%減)、その他2,247,119千円(同52.5%減)であります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,106,385千円減少し、3,783,478千円となりました。

 当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動の結果使用した資金は193,584千円(前年同期は4,511,679千円の獲得)となりました。これは、営業債権及びその他の債権が985,327千円減少、税引前当期利益858,036千円を計上しましたが、営業債務及びその他の債務が378,964千円減少、法人所得税費用の支払額が1,087,573千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は243,608千円(前年同期比43.5%減)となりました。これは、主にその他の金融資産売却による収入109,057千円を計上しましたが、子会社及び関連会社取得による支出186,698千円、「MRTWORK」及び医療従事者のライフサポート業務に関連するソフトウエアの開発等に係る無形資産の取得による支出75,310千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は669,192千円(前年同期比228.1%増)となりました。これは、主に金融機関からの長期借入金返済による支出156,072千円、利益剰余金を原資とした配当金の支払額164,847千円及び自己株式の取得による支出168,704千円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、医療情報プラットフォームの提供事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

a.生産実績

 当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を売上収益区分別に示すと、次のとおりであります。

売上区分別の名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

医療人材サービス

3,159,968

△21.2

その他のサービス

2,247,119

△52.5

合計

5,407,087

△38.1

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東京都

2,420,359

27.7

620,021

11.5

医療法人社団Vantage Clinic

1,679,300

19.2

2.当連結会計年度における医療法人社団Vantage Clinicへの販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当社グループの当連結会計年度末における財政状態及び経営成績の状況は、次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計につきましては、6,471,962千円となり、前連結会計年度末に対して1,687,061千円減少しました。これは、主に営業債権及びその他の債権の回収により969,569千円減少、法人所得税費用の支払等により現金及び現金同等物が1,106,385千円減少、繰延税金資産が187,265千円減少、医療従事者常勤紹介事業の組織再編に伴うのれんの再評価の実施によりのれんが95,610千円減少したことによります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計につきましては、1,756,897千円となり、前連結会計年度末に対して1,917,343千円減少しました。これは、主に未払法人所得税が561,797千円減少、消費税等の支払等によりその他の流動負債が692,210千円減少及び新型コロナウイルス感染症関連業務の終了又は縮小したことで営業債務及びその他の債務が409,507千円減少したことによります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における資本合計につきましては、4,715,064千円となり、前連結会計年度末に対して230,282千円増加しました。これは、主に自己株式の取得により168,368千円減少しましたが、特別配当167,217千円を実施したものの利益剰余金が261,146千円増加したことによります。

 

b.当社グループの当連結会計年度における経営成績の状況は、次のとおりであります。

(売上収益)

当連結会計年度における売上収益は、新型コロナウイルスワクチン関連以外の既存サービスの売上収益は伸長しましたが、新型コロナウイルスワクチンに関連する大規模接種に係る医療従事者紹介や自宅療養者向けフォローアップセンターなどの運営受託した業務が終了又は縮小したため売上収益が減少しました。

この結果、当連結会計年度における売上収益は、医療人材サービス(医師、その他の医療従事者)3,159,968千円(前年同期比21.2%減)、その他2,247,119千円(同52.5%減)の5,407,087千円となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、自宅療養者向けフォローアップセンター及び新規感染者向け陽性者登録センターの運営に係る費用が減少したことにより、売上原価率が前連結会計年度に比して0.7ポイント減少し、35.3%となりました。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は、3,499,221千円(同37.5%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルスワクチン接種に係る医療従事者紹介の売上収益の大幅な増加による業績賞与等人件費が増加しましたが、人件費の対売上収益比率は前連結会計年度に比して4.6ポイント増加し19.7%となりました。

この結果、当連結会計年度における営業利益は、834,469千円(同72.0%減)となりました。

 

(金融収益、金融費用、税引前当期利益)

当連結会計年度において、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の増加等40,484千円を金融収益、社債及び借入金等に係る利息等7,223千円を金融費用として計上しました。

この結果、当連結会計年度における税引前当期利益は、858,036千円(同70.8%減)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、実際負担税率37.2%の法人所得税費用319,349千円を計上した結果、517,145千円(同76.1%減)となりました。

 

c.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、次のとおりであります。

当社グループの事業に関連する医療・ヘルスケア市場においては、医局人事統制力の緩和、恒常的な医師不足等といった状況が発生しており、医療分野の人材流動化の傾向が強まっております。このような環境下で、「1 経営方針 経営環境及び対処すべき課題等 2.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、医療人材プラットフォームとしての会員数増加、医療従事者及び医療機関に対する知名度の向上が当社の経営成績に重要な影響を与える要因と考えております。そのため、当社グループは、常勤および非常勤の紹介事業に係る経営資源が分散されるといった課題解決に向け株式会社日本メディカルキャリア(2018年3月連結子会社化)の常勤紹介事業を当社が承継し、非常勤から常勤まで包括的な紹介ができる体制を構築し、常勤紹介サービスの周知および販促活動を拡大するとともに、営業組織体制も強化し、より良いサービス提供ができるよう努めてまいります。

また、当社グループは、当社グループが有する医療人材プラットフォームを活用し、医療従事者の地域偏在、診療科偏在といった自治体の抱える地域医療課題解決を目指しております。さらに、医療DXプラットフォームとの連携により医療過疎地の医療アクセスの向上にも寄与するものと考えております。現在こうした当社グループの取り組みや実績について取りまとめ、自治体に対し認知度の向上および継続的な啓蒙活動に努めております。

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりであります。

 当社グループは、「1 経営方針 経営環境及び対処すべき課題等 3.経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上収益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益の対前年度比としております。

 

 

第22期

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

 

 

 

第23期

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

 

 

 

第24期

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

 

 

 

第25期

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

売上収益(千円)

2,562,419

 

4,469,202

 

8,738,193

 

5,407,087

 対前期増減率(%)

 

74.4

 

95.5

 

△38.1

営業利益(千円)

264,363

 

1,267,171

 

2,977,464

 

834,469

 対前期増減率(%)

 

379.3

 

135.0

 

△72.0

親会社の所有者に帰属する当期利益(千円)

131,810

 

774,492

 

2,159,994

 

517,145

 対前期増減率(%)

 

487.6

 

178.9

 

△76.1

 

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症関連業務が終了または縮小によりその他売上収益が対前期比52.5%減少し、当連結会計年度における売上収益は5,407,087千円となりました。一方、受託業務の減少に伴い運営に係る人件費及び外注費等の売上原価が減少した結果、売上総利益の対売上収益比率が0.7ポイント上昇しましたが、販売費及び一般管理費の対前期比96.6%になったことにより営業利益の対売上収益比率は18.6ポイント減少となりました。また、のれんの減損処理等により法人所得税の実際負担税率が11.5ポイント上昇したことも相まって、親会社の所有者に帰属する当期利益の対前期比は、23.9%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループは、事業規模の拡大及び新規事業の育成を通じた収益基盤の多様化を通じて持続可能な長期的な成長を実現し、企業価値の最大化を目指しております。この企業価値の最大化を目指すために、親会社所有者帰属持分比率を資本管理において用いる指標としております。

 当社グループの資金需要は、医療機関に対して一時的な資金の立替等を行う経営支援サービスに係る資金、人件費及び販売促進費等の営業費用の他、非常勤医師紹介及びDoor.に係るシステム構築並びにM&Aとなります。必要な資金は、自己資本及び借入金のバランスを考慮して調達する方針であります。なお、運転資金等の流動性が必要な資金につきましては、取引金融機関から証書貸付による資金調達以外に、取引金融機関との当座貸越枠の設定を行い、弾力的な資金調達ができるようにしております。

 

 前連結会計年度及び当連結会計年度における親会社所有者帰属持分比率は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(2022年12月31日)

 

 

当連結会計年度

(2023年12月31日)

親会社の所有者に帰属する持分(千円)

4,391,413

 

4,577,617

負債及び資本合計(千円)

8,159,023

 

6,471,962

親会社所有者帰属持分比率(%)

53.82

 

70.73

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたる重要性がある会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。