E31542 Japan GAAP
前期
40.4億 円
前期比
82.3%
株価
317 (04/19)
発行済株式数
11,020,900
EPS(実績)
-11.29 円
PER(実績)
--- 倍
前期
507.0万 円
前期比
102.8%
平均年齢(勤続年数)
46.2歳(12.6年)
従業員数
80人(連結:157人)
当社グループ(当社及び連結子会社)は、特殊精密機器関連、化学繊維用紡糸ノズル関連、電子材料スライス周辺関連、マテリアルサイエンス関連の開発・製造・販売を主な事業として取り組んでおります。2023年3月31日現在の子会社数は2社(連結子会社 日本ノズル株式会社、上海那科夢楽商貿有限公司)であります。
当社グループの事業内容は以下のとおりであり、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
当事業は、ダイヤモンドや超硬合金、セラミックスなどの耐摩耗性の高い硬脆材料(*1)を用いた特殊精密部品、工具の設計・製造・販売を行っております。当事業における主要な製品は、自動車部品やベアリング製造用工作機械に用いられるダイヤモンド部品、液晶テレビやスマートフォン、タブレット等の電子機器の製造に欠かせない電子部品実装(*2)用の産業機械に用いられるダイヤモンドノズル(*3)といった部品であります。
当事業では、こうした特殊精密部品・工具に加えて、実装機(マウンター)用ノズル等を洗浄する装置などの開発・製造・販売も行っております。また、微細精密加工技術と装置開発技術の複合により、微細な空間で液体や気体を効率的かつ連続的に混合・合成する化学反応用マイクロリアクター(*4)システムの開発・製造・販売も行っております。
当事業は、連結子会社の日本ノズル株式会社で行っており、主に、化学繊維用紡糸ノズル及び周辺部品、不織布製造装置、不織布関連ノズル等の設計・製造・販売を行っております。
同社は、1928年に創業して以来、化学繊維用(レイヨン製造用)ノズルを国産化し、化学繊維の紡糸ノズル専業メーカーとして事業展開してまいりました。紡糸ノズルは、不織布の製造や炭素繊維の原料となるアクリル繊維などの製造において繊維の品質を決定づける基幹部品であります。その製造にあたっては微細加工(孔(あな)あけ加工、パンチング加工)及び工具・冶具の製造に関して繊細な技術が必要となります。同社では、長年にわたり当該事業に特化してきたことにより、多くの技術的蓄積を有しております。
当事業では、わが国の化学繊維メーカーのみならず、中国、インド、トルコ、欧米など、グローバルな繊維メーカーや紡糸設備メーカー等に対し、各種ノズル等を納入しております。
当事業は、太陽光発電向けダイヤモンドワイヤの製造・販売に関する経験、ノウハウを活かし、ダイヤモンドワイヤ製造装置の開発・販売を行うとともに、半導体向けダイヤモンドワイヤの開発・製造・販売へ事業モデルの転換を進めております。
当事業は、東京大学との共同開発により、ゼオライトを低コストでナノサイズ化する技術開発に成功し、この技術を用いて開発したナノサイズゼオライトの事業化を目指しております。マイクロサイズのゼオライトをナノサイズ化することにより、従来の吸着、イオン交換、触媒などといった特長に加え、透明性、高分散などの特長が付加され、機能性も向上することから、従来のゼオライトでは実現できなかった用途での利用が期待されております。
現在、透明吸湿フィルム分野をはじめ、接着剤や塗料、抗菌・抗ウイルスコーティング剤やコスメ、ヘルスケア分野等の企業において、ナノサイズゼオライトを利用した製品開発が進められており、早期の事業化に向け取り組んでおります。
事業の系統図は、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動に回復の兆しが見られたものの、半導体不足や為替変動、原材料・エネルギー価格の高騰などが影響しており、依然として先行き不透明な状況が継続しております。また、海外経済についても、昨年末までゼロコロナ政策を堅持したことによる中国経済停滞の影響に加え、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や、欧米におけるインフレの加速や金融引き締め政策の実施により、先行き不透明な状況が継続しております。
このような状況下、当社グループは、化学繊維用紡糸ノズル事業において、風力発電用ブレード向け炭素繊維用紡糸ノズルの売上を中心に堅調に推移いたしましたが、特殊精密機器事業においては、中国経済の停滞や世界的な半導体不足の影響などを受け厳しい事業環境となりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は3,322百万円(前年同期比17.7%減)、営業利益は33百万円(前年同期比89.4%減)、経常利益は65百万円(前年同期比80.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は124百万円(前年同期は257百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 特殊精密機器事業
特殊精密機器事業については、工作機械向け耐摩工具関連分野、産業機械向け実装機用ノズル分野ともに、中国経済停滞や世界的な半導体不足の影響により、厳しい受注環境が継続したことによる売上高の減少に加え、原材料価格やエネルギーコストの高騰などの影響を受け、損益面も厳しい状況となりました。
これらの結果、売上高は818百万円(前年同期比11.3%減)、セグメント利益は40百万円(前年同期比64.7%減)となりました。
② 化学繊維用紡糸ノズル事業
化学繊維用紡糸ノズル事業については、風力発電用ブレード向け炭素繊維用紡糸ノズル売上の伸長に加え、不織布製造装置案件が検収されるなど堅調に推移したものの、中国経済停滞の影響を受け既存の化学繊維用紡糸ノズルの売上が減少いたしました。
これらの結果、売上高は2,257百万円(前年同期比24.8%減)、セグメント利益は376百万円(前年同期比44.4%減)と、新型コロナウイルスの感染拡大に起因したマスク特需により売上が大きく伸長し、高収益であった前年同期と比較すると減収減益という結果となりました。
③ 電子材料スライス周辺事業
電子材料スライス周辺事業については、一部顧客において販売開始が計画より遅れているものの、当社の半導体向けダイヤモンドワイヤを正式採用する企業が徐々に増えてきており、それに伴いダイヤモンドワイヤの販売量も増加しております。また、PHX-01販売については、中国ダイヤモンドワイヤメーカーへの販売案件において検収作業が完了し、その対価を収益計上いたしました。
これらの結果、売上高は169百万円(前年同期比142.9%増)、セグメント損失は162百万円(前年同期は383百万円のセグメント損失)となりました。
④ マテリアルサイエンス事業
新規事業として取り組んでいるナノサイズゼオライトについては、複数の用途分野において開発ステージからエンドユーザでの評価ステージへ移行し、量産採用に向けた評価が進んでおります。また、業務提携先である山全社からのパイロットプラントに係る受託収入を計上しております。
これらの結果、売上高は76百万円(前年同期比81.3%増)、セグメント損失は136百万円(前年同期は142百万円のセグメント損失)となりました。
総資産は前連結会計年度末に比べ1,185百万円減少し4,688百万円となりました。これは、建物及び構築物が211百万円増加したものの、現金及び預金が932百万円減少、契約資産が303百万円減少、商品及び製品が209百万円減少したこと等によるものであります。
負債は前連結会計年度末に比べ1,060百万円減少し3,973百万円となりました。これは、シンジケートローンの組成により、短期借入金が1,891百万円増加したものの、長期借入金が2,177百万円減少、契約負債が333百万円減少、支払手形及び買掛金が316百万円減少したこと等によるものであります。
純資産は前連結会計年度末に比べ125百万円減少し714百万円となりました。これは利益剰余金が124百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は15.0%(前連結会計年度末は14.1%)となりました。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
特殊精密機器事業におけるセグメント資産は657百万円となり、前連結会計年度末から23百万円増加しております。これは,売上債権の増加が主な要因となります。
化学繊維用紡糸ノズル事業におけるセグメント資産は2,985百万円となり、前連結会計年度末から689百万円減少しております。これは、不織布製造装置や不織布関連ノズル等が検収されたことによる、売上債権、商品及び製品の減少が主な要因となります。
電子材料スライス周辺事業におけるセグメント資産は88百万円となり、前連結会計年度末から0百万円増加しております。これは、棚卸資産の増加が主な要因となります。
④ マテリアルサイエンス事業
マテリアルサイエンス事業におけるセグメント資産は2百万円となり、前連結会計年度末から32百万円減少しております。これは売上債権の減少が主な要因となります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ932百万円減少し、1,999百万円となりました。
当連結会計年度における連結キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって支出された資金は、81百万円(前年同期は175百万円の収入)となりました。
これは、仕入債務の減少318百万円、契約負債の減少333百万円等の減少要因が、契約資産の減少303百万円、棚卸資産の減少211百万円、減価償却費100百万円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって支出された資金は、470百万円(前年同期は520百万円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出448百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって支出された資金は、378百万円(前年同期は228百万円の収入)となりました。
これは、長期借入金の返済による支出2,577百万円等の減少要因が、短期借入金の純増減額1,891百万円、長期借入れによる収入400百万円の増加要因を上回ったことによるものであります。
当連結会計年度においては、特殊精密機器事業における中国経済の停滞や世界的な半導体不足の影響や、化学繊維用紡糸ノズル事業における新型コロナウイルス感染拡大によるマスク特需の終息による減収減益により、営業活動によるキャッシュ・フローは減少しております。加えて、化学繊維用紡糸ノズル事業における新工場・新事務所棟の建設等の設備投資や取引金融機関に対する約定返済、シンジケートローン契約締結の際に一部の金融機関に対し返済を行ったことにより、当連結会計年度末の資金は前連結会計年度末から932百万円減少する結果となっております。
当社グループの主な資金需要は、各事業における原材料の仕入、製造経費、販売費及び一般管理費の営業費用などの運転資金や借入金の返済及び利息の支払い等であり、自己資金により充当いたします。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,999百万円であり、当社グループの事業規模における事業継続に必要な資金が確保できていることから、短期的な資本の財源及び資金の流動性については問題ないと考えておりますが、事業基盤が確立されている特殊精密機器事業ならびに化学繊維用紡糸ノズル事業での目標数値を達成することにより、営業キャッシュ・フローの最大化を図ってまいります。
また、2024年3月期においても、引き続き子会社日本ノズル株式会社において新工場の建設及び大型メルトブローン不織布用ノズル等の製造設備に関する投資が発生いたしますが、金融機関からの借入及び経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業補助金(2次公募)」の活用により資金を調達してまいります。
今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めてまいります。
(4) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 上記の生産高合計額は各セグメントの第53期連結会計年度における当期製品製造原価の合計額であり、製品棚卸高の増減が反映されておりませんので、連結損益計算書の売上原価とは一致しておりません。
3 化学繊維用紡糸ノズル事業については新型コロナウイルスの感染拡大に起因したマスク需要が減少したため、前年同期に比べて生産高が減少しております。マテリアルサイエンス事業についてはパイロットプラントの立上げに係る受託業務のため、前年同期に比べて生産高が増加しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 電子材料スライス周辺事業については新型ダイヤモンドワイヤ製造装置の検収が完了したため、前年同期に比べて受注高が減少しております。マテリアルサイエンス事業についてはパイロットプラントの立上げに係る受託業務が完了したため、前年同期に比べて受注高が減少しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 伊藤忠システック株式会社は2022年4月1日に伊藤忠マシンテクノス株式会社と合併し、伊藤忠マシンテクノス株式会社に社名変更しております。
4 電子材料スライス周辺事業については新型ダイヤモンドワイヤ製造装置の技術供与が完了したため、前年同期に比べて販売高が増加しております。マテリアルサイエンス事業についてはパイロットプラントの立上げに係る受託業務のため、前年同期に比べて販売高が増加しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。