売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E31896 IFRS

売上高

1,487.2億 円

前期

1,560.5億 円

前期比

95.3%

時価総額

1,139.5億 円

株価

1,545 (05/07)

発行済株式数

73,753,310

EPS(実績)

106.68 円

PER(実績)

14.48 倍

平均給与

648.6万 円

前期

637.3万 円

前期比

101.8%

平均年齢(勤続年数)

43.0歳(10.0年)

従業員数

241人(連結:10,920人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、持株会社である当社、子会社4社(株式会社ベルシステム24、CTCファーストコンタクト株式会社、Horizon One株式会社、株式会社ベル・ソレイユ)及び持分法適用関連会社3社(Bellsystem24-Hoa Sao Joint Stock Company、True Touch Co., Ltd.、株式会社TBネクストコミュニケーションズ)で構成されており、コンタクトセンター業務を中心とするCRM事業を主たる事業として、全国及び海外で事業を展開しております。

当社グループの中核である株式会社ベルシステム24は、1982年の創業以来約40年にわたり、企業と生活者の接点となるコンタクトセンターを中心とした幅広いアウトソーシング事業を展開し、業界のスタンダードモデルを創出してまいりました。人とテクノロジーの力を掛け合わせることで培ってきた運用知見をもとに、事業価値の向上を目指し、電話を主なサービスチャネルとする従来型のサービス提供方法に加え、新たなソリューションの開発に積極的に取り組む等、グループとしての成長を実現してまいりました。

当社グループの事業における当社及び関係会社の位置づけ及びセグメントとの関連は、以下の通りであります。

 

当社グループの連結財務諸表における報告セグメントは「CRM事業」のみでありますが、「その他」として、株式会社ベルシステム24の営むコンテンツ事業及び株式会社ベル・ソレイユの営む事業を記載しております。

 

① CRM事業

CRM事業では、電話を主なコミュニケーションチャネルとする従来型のインバウンド・アウトバウンドコールの業務に加え、WEBや急速に拡大するソーシャルメディア等のIT技術を駆使した様々なサービスを、クライアント企業へ提供しており、具体的には、以下の通りであります。

・クライアント企業のカスタマーサポート業務(主に、クライアント企業の商品・サービスに関する質問に対応する業務)

・クライアント企業のセールスサポート業務(主に、クライアント企業の商品・サービスの販促をサポートする業務)

・クライアント企業のテクニカルサポート業務(主に、クライアント企業のIT製品の操作方法等に関する質問に対応する業務)

・BPO業務(主に、経理・人事分野における業務、市場調査・データ入力作業等を請け負う業務、医薬品・医療機器の開発支援業務)

(主な関係会社)株式会社ベルシステム24、CTCファーストコンタクト株式会社、Horizon One株式会社

Bellsystem24-Hoa Sao Joint Stock Company、True Touch Co., Ltd.、株式会社TBネクストコミュニケーションズ

 

② その他

 株式会社ベルシステム24のコンテンツ事業は、モバイル・PC等を通じ、一般消費者向けの月額課金によるコンテンツ販売や、事業者向けに気象予報コンテンツの販売も行っております。

 また、株式会社ベル・ソレイユは、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社として、当社グループの総務業務及び事務代行の受託を主な業務としております。
(主な関係会社)株式会社ベルシステム24、株式会社ベル・ソレイユ

 

 なお当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

事業の系統図は、以下の通りであります。

※画像省略しています。

(注) →は、営業取引の流れを示しております。

 

23/05/26

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあり、景気に持ち直しの動きがみられました。一方で、世界的な金融引締め等による海外景気の下振れが景気を下押しするリスクになるとともに、物価上昇、供給面での制約等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。また、雇用環境においては、コロナ禍から正常な経済活動に戻りつつある中、急激な採用活動の活発化により、人手不足が顕著になるとともに、人件費の水準は上昇傾向となっております。

そのような環境の下、当社グループの主力事業であるCRM(Customer Relationship Management)事業は、アウトソーシング需要の高まりを受け、堅調に推移しております。また、コミュニケーション手段の多様化に加え、急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)等の導入による自動化や、分散される顧客対応データの資産化・活用が求められる等、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められております。

当連結会計年度においては、中期経営計画の最終年度として「社員3万人の戦力最大化」「音声データ活用によるDX推進」「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組んでまいりました。

音声データ活用によるDX推進においては、コンタクトセンターの対応ログをクライアント企業の売上増加に活用する「DXダイレクトセンター」のサービス提供を開始いたしました。本サービスは、電話の応対履歴を音声認識・テキストマイニング・データ分析等の音声データソリューションを活用し、最適な顧客対応を実現することで、顧客の購買意欲を高め、クライアント企業のマーケティング活動や売上向上等の事業課題にダイレクトに貢献しております。また、これまでの経験や勘等に頼った属人的な運用とは異なり、データ分析専任人材を配置し、当社グループの多種多様な業務運用の知見に照らし合わせて科学的に分析することで、課題特定及び改善アクションプラン、効果計測を具現化する運用プロセス等、音声データの活用を進めることで、課題解決のための重要指標を導き出し、最適なPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回しております。その結果、顧客の感情やニーズを捉えた会話により購買意欲を高め、持続的な成果を実現しております。今後も、クライアント企業の経営課題を解決し、改善・実践するパートナーとして、コンタクトセンターの一層の高度化を進めてまいります。

また、専門性の高いパートナーと新たな挑戦(事業開発)に取り組んでおります。具体的には、株式会社レイヤーズ・コンサルティング(以下、「㈱レイヤーズ・コンサルティング」)と人事・経理分野のコンサルティング・アウトソーシング事業に関する合弁会社、Horizon One株式会社(以下、「Horizon One㈱」)を設立し当社グループの連結子会社といたしました。Horizon One㈱は両社の強みを活かし、人事・経理分野における戦略立案・業務改革・テクノロジー活用、リスキル・業務運用等、川上から川下までの機能をワンストップでサービス提供することで、不確実性が高まる環境における企業の経営課題解決を実現してまいります。

さらに、海外事業強化の取り組みとして、2023年3月に、当社グループでベトナム国内にてコンタクトセンター事業を展開する「Bellsystem24-Hoa Sao Joint Stock Company(以下、「Bellsystem24-Hoa Sao」)」へ追加出資を行ったことで、当社グループの出資比率は80%となりました。現在、Bellsystem24-Hoa Saoは、ベトナムの通信会社大手をはじめとする30社以上のクライアント企業の業務を担い、ベトナム国内のホーチミン・ハノイ・ダナン等に12拠点、従業員約3,400名を擁しており、当社グループが2017年に出資して以降、年平均20%の売上成長率を実現しております。追加出資後においては、ベトナム国内向けに、通信・金融・Eコマース等を成長産業と捉え注力する他、今後の外資系企業の参入加速を見据え、新規顧客の獲得を推進することにしております。また、オフショア事業では、Bellsystem24-Hoa Saoを当社グループのASEANにおける戦略拠点と位置づけ、国内コンタクトセンターのDX支援に加え、ITヘルプデスク、事務系BPO、人事・経理BPO等に強みを持つ当社グループ企業群とのシナジーを創出することで、海外における事業基盤を拡大してまいります。なお、共同出資する凸版印刷株式会社(以下、「凸版印刷㈱」)とは両社の強みを活かし、ベトナム国内企業のDX支援により、高度なコンタクトセンター運営を行うとともに新たな市場の創出を目指してまいります。今後、当社グループは、ASEANを海外戦略の重点エリアと位置づけ、既に進出している台湾・タイでの事業拡大を図り、3年後の2025年度までに海外事業における売上150億円を目指してまいります。

「社員3万人の戦力最大化」という点では、在宅コンタクトセンターの積極的な推進を行っております。また、LGBTQ等の性的少数者(以下、「LGBTQ」)に関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体work with Prideが策定した企業・団体等職場におけるLGBTQへの取り組みの評価指標「PRIDE指標2022」にて、4年連続最高位である「ゴールド」を受賞しました。

 

さらに、女性活躍推進においては、全社をあげたD&I体制と、女性リーダーの育成を加速する取り組みなどが評価され、NPO法人J-Winが主催し、内閣府や厚生労働省などが後援する「2023 J-Winダイバーシティ・アワード」において、最上位のクラスである「アドバンス部門」の「大賞」を受賞しました。

当社グループは、多様なバックグラウンドを持つ従業員が安心して、長期に亘って勤務できる環境の創出に向け、社内外の環境整備に、これからも取り組んでまいります。

その他、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みとして、気候変動が経営や社会に及ぼすインパクトを評価すると共に、カーボン・ニュートラルを柱とした積極的な対応を推進し、2040年までにカーボン・ニュートラルを実現することを目的に「気候変動に対する方針」を策定いたしました。当該方針に基づき、多様な取り組みや各年度の目標・実績値を公式ホームページに公表しております。結果として、ESGのグローバル基準を満たす日本企業を対象とした株価指数「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されると共に、MSCI ESGレーティングにおいて「BBB」から「A」評価に格上げとなりました。

今後もESGへの取り組みを当社グループの成長戦略の重要な要素として位置づけ、社会への貢献と、その実践を通じた当社グループの成長の両方につなげてまいります。

 

各セグメントの業績は以下の通りであります。

なお、2022年3月1日にデジタル人材の再配置や経営資源の最適配分及び効率的なグループ運用体制の構築を図ることを目的として株式会社ベルシステム24(以下、「㈱ベルシステム24」)を存続会社とし、株式会社ポッケ(以下、「㈱ポッケ」)を消滅会社とする連結子会社間の吸収合併を行いました。

これに伴い、当連結会計年度より、これまで「その他」に含めていた㈱ポッケのCRM事業に対するシステム開発事業を「CRM事業」に含めて開示しております。また、前年同期におけるセグメント情報を修正再表示しております。

 

(CRM事業)

先行き不透明な経済状況が続いているものの、社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事株式会社(以下、「伊藤忠商事㈱」)及び、凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、売上収益は前年同期比で増収となりました。利益面では、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、税引前利益は前年同期比で増益となりました。

この結果、CRM事業の売上収益は1,551億58百万円(前年同期比6.7%増)、税引前利益は139億円(同2.0%増)となりました。

 

(その他)

コンテンツ販売収入が減少したため、その他のセグメントの売上収益は8億96百万円(前年同期比11.6%減)となりました。また、税引前利益は、前年同期比4億20百万円増加し2億57百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において、㈱ポッケに帰属するのれんについて4億96百万円の減損損失を計上したことによるものであります。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は1,560億54百万円(前年同期比6.5%増)、税引前利益は141億57百万円(同5.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は93億30百万円(同4.3%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ8億2百万円増加し、69億98百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、181億72百万円となりました(前年同期は162億78百万円の収入)。これは主に、税引前利益が141億57百万円、減価償却費及び償却費が84億50百万円、営業債務の増加が7億21百万円、金融費用が5億57百万円、利息及び配当金の受取額が3億99百万円、法人所得税の支払額が44億19百万円、利息の支払額が4億75百万円及び未払消費税の減少が4億48百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、18億3百万円となりました(前年同期は24億31百万円の支出)。これは主に、有価証券の売却による収入が14億40百万円、有形固定資産の取得による支出が14億8百万円、エスクロー口座への振替による支出が7億17百万円、有価証券の取得による支出が5億31百万円及び無形資産の取得による支出が3億63百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、155億83百万円となりました(前年同期は131億81百万円の支出)。これは主に、長期借入れによる収入が240億円、短期借入金の増加が51億円、長期借入金の返済による支出が337億81百万円、リース負債の返済による支出が64億21百万円及び配当金の支払額が45億84百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産の実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2) 受注の実績

当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動いたします。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。

 

(3) 販売の実績

当連結会計年度における販売の実績をセグメント毎に示すと以下の通りであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

CRM事業

155,158

6.7

その他

896

△11.6

合計

156,054

6.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高
(百万円)

割合
(%)

販売高
(百万円)

割合
(%)

ソフトバンク㈱

15,564

10.6

14,363

9.2

 

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記  2.3 重要な会計方針の要約及び3 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(2)経営成績の分析

① 売上収益

当連結会計年度の売上収益は、主力事業であるCRM事業において、先行き不透明な経済状況が続いているものの社会インフラとしてのスポット需要及び前連結会計年度から業務開始した既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事㈱及び凸版印刷㈱との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、前連結会計年度に比べて95億75百万円増加(前年同期比6.5%増)し、1,560億54百万円となりました。

② 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、前連結会計年度に比べて、17億5百万円増加(前連結会計年度比5.6%増)し、319億62百万円となりました。

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、広告宣伝費等の増加により、前連結会計年度に比べて、6億60百万円増加(前連結会計年度比4.0%増)し、172億31百万円となりました。

④ その他の収益及び費用

当連結会計年度のその他の収益及び費用は、その他の収益及び費用の合計は1億86百万円(収益)となりました。

⑤ 営業利益

当連結会計年度の営業利益は、売上総利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、16億83百万円増加(前連結会計年度比12.7%増)し、149億17百万円となりました。

⑥ 金融収益及び費用、持分法による投資損益

当連結会計年度の金融収益及び費用、持分法による投資損益は、持分法による投資損益の減少により、7億60百万円(費用)(前連結会計年度は2億29百万円(収益))となりました。

⑦ 税引前利益

当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加等により、前連結会計年度に比べて、6億94百万円増加(前連結会計年度比5.1%増)し、141億57百万円となりました。

⑧ 親会社の所有者に帰属する当期利益

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の増加があったものの、税引前利益が増加したことにより、前連結会計年度に比べて、3億87百万円増加(前連結会計年度比4.3%増)し、93億30百万円となりました。

 

 

(3)財政状態の分析

① 資産の分析

流動資産は、主に現金及び現金同等物が8億2百万円、その他の短期金融資産が6億55百万円及びその他の流動資産が3億56百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より18億64百万円増加し、306億73百万円となりました。

非流動資産は、主にその他の非流動資産が2億42百万円及び繰延税金資産が1億79百万円増加しましたが、有形固定資産が30億60百万円、持分法で処理されている投資が4億60百万円、その他の長期金融資産が4億31百万円及び無形資産が3億96百万円それぞれ減少したため、前連結会計年度末より39億26百万円減少し、1,455億77百万円となりました。

これらにより、資産合計は前連結会計年度末より20億62百万円減少し、1,762億50百万円となりました。

② 負債の分析

流動負債は、主に営業債務が9億43百万円及び未払法人所得税が5億53百万円増加しましたが、借入金が208億81百万円、その他の短期金融負債が7億20百万円、未払従業員給付が5億32百万円及びその他の流動負債が5億28百万円それぞれ減少したため、前連結会計年度末より211億65百万円減少し、462億38百万円となりました。

非流動負債は、その他の長期金融負債が29億45百万円減少しましたが、長期借入金が162億50百万円及び引当金が3億9百万円増加したため、前連結会計年度末より136億81百万円増加し、651億1百万円となりました。これらにより、負債合計は前連結会計年度末より74億84百万円減少し、1,113億39百万円となりました。

③ 資本の分析

資本は、主に資本剰余金が22億10百万円減少しましたが、利益剰余金が70億54百万円及びその他の資本の構成要素が3億82百万円増加したため、前連結会計年度末より54億22百万円増加し、649億11百万円となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

資金需要及び資金調達については、当社グループは事業運営に伴う新規拠点の構築及び設備の更新を継続的に実施しております。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。

キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主力事業であるCRM事業においては、サービス提供価格の変動と、オペレーター人材の確保及び人件費の変動が、経営成績に重要な影響を与える主要因と認識しております。当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、昨今の経済状況により、クライアント企業の費用削減傾向が強まる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における原価の大部分は、主にオペレーターの人件費であるため、人材不足による採用難や賃金上昇によるオペレーションコストの増加は、当社グループの経営成績に影響を与えます。

対応策といたしましては、当社グループが40年にわたって築き上げてきた実績と経験を活かして他社との差別化を図り、品質向上及び新しいソリューション提供に努めることで業務の効率化及び売上規模の拡大を実現し、併せて、当社グループのブランド価値向上によりオペレーターの確保及び人件費増に対応する適切な価格設定に努めてまいります。また、今後も戦略型のCRM事業の開発や新しいソリューションを提供し続け、顧客企業とともに成長できるパートナーへの進化を目指してまいります。

 

 

(6)経営戦略の現状と見通し

当社グループが属する派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は1兆円を超え、2019年度以降2025年度までの間に年平均成長率5%程度で拡大すると予測されており、また、当社グループを含む売上高上位3~5社の大手による寡占化が続いております(出典:デロイトトーマツミック経済研究所株式会社「BPO総市場の現状と展望2022年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第16版)」)。そうした中にあり、上位の競合企業は、当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に一定のシェアを確保しつつも、その周辺市場に軸足を移し成長の活路を見出しているものと考えられますが、当社グループにおいては、引き続き当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に軸足を置き、成長路線を描いていく方針であります。

当該市場は上述の通り上位数社で過半のシェアを占める一方、差別化を図るために、音声基盤を軸にした顧客接点の拡大と、オペレーション業務の効率化、VOCなどを駆使したデータ活用などが重要であるとともに、音声認識、感情解析、AIなどに対する従業員のリテラシーとスキルが必要不可欠になってくると言われております。このようなデータ活用の高度化を進め、業務品質や付加価値の向上に努め、高い利益率が見込めるソリューションモデルが新たな事業の柱となる可能性があります。

当社グループの強みは、国内随一の広範な自社コンタクトセンター拠点をベースにした「規模」、40年にわたり培った「対話力」、AIなどの新技術による「データの活用」、困難な課題にも一丸となって取り組む「チームワーク」にあります。これまでに培ってきたこうした強みに加え、伊藤忠商事グループ及び凸版印刷グループ等、パートナーとの営業、事業開発、及びテクノロジー分野におけるシナジーを創出していくことにより、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践するパートナーとして、今後さらなる成長を果たしてまいりたいと考えております。

 

(7)経営者の問題意識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループは、主要ビジネスであるCRM事業を中心に、既存クライアントとの取引拡大及び伊藤忠商事グループや凸版印刷グループの多様な企業ネットワークを活用した新規クライアント獲得強化による売上規模拡大、及び人件費増に対応する適切な価格設定の実施、業務の効率化及びコストコントロールの徹底による収益性向上との相乗効果により、収益基盤の拡充策を強力に展開してまいります。

株主に対しては、利益還元を最重要課題の一つとして認識しており、剰余金の配当を安定かつ継続的に実施し、業績の進捗状況に応じて配当性向及び必要な内部留保の充実等を総合的に勘案した上で、中期的には親会社所有者に帰属する当期利益をベースに、連結配当性向50%を目標として、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。

また、従業員に対しては、“プロフェッショナル”が集う、“働きがい”のある企業の実現に向けて、新たな人事制度、人材育成施策の導入を段階的に進める他、女性活躍推進を目的とした育成プログラムの実施、企業内保育所の設置、及び教育研修施設の開設等、より多様な働き方を実現する環境整備の取り組みを続けてまいります。これらに加え、D&Iと健康経営の更なる推進を図り、多様な人材の活躍を促進してまいります。

さらに、AI等の新技術を活用した自動化対応への取り組みと人特有のホスピタリティー溢れる価値提供を通じたハイブリッド運用により、クライアントが感動するCXを実現する他、クライアントへの最適なソリューション提供により、クライアント企業の新しいビジネス価値を創造してまいります。

これまでのコスト削減中心の単なる「アウトソーサー」にとどまらず、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践・実行する「パートナー」として、『中期経営計画2025』に掲げた重点施策の収益貢献化に向け、引き続き事業基盤を強化してまいります。