売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31896 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当第3四半期連結累計期間における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、個人消費や設備投資の持ち直しが続いていることから緩やかな景気回復の動きがみられました。一方で、中東地域をめぐる情勢の深刻化・長期化によって原油価格の更なる上昇につながり、我が国の物価・経済に影響を及ぼし得るため注意が必要な状況が続いております。また、コロナ禍から平時へと移行し、各企業の業況が回復しているのに伴い業種や規模に関わらず人手不足への対応が課題となっております。

当社グループの主力事業であるCRM(Customer Relationship Management)事業においては、成熟期を迎えており、周辺領域への事業拡大が重要となっております。こうした市場環境の中、他社との差別化を図るために、顧客接点多様化に伴う対応領域の拡大とVOC(Voice Of Customer)などを駆使したデータ活用により、業務品質や付加価値の向上に努めるとともに、新たな事業領域開拓が求められております。

このような経営環境の下、当社グループは中期経営計画で掲げた「人材(総力4万人の最大活躍)」、「型化(データ活用の高度化)」及び「共創(NEW BPOの領域開拓)」の3つの重点施策を推進することで、持続的な成長の実現を目指してまいりました。

当第3四半期連結累計期間においては、コンタクトセンタービジネスの変革に向け、日本マイクロソフト及びGoogle Cloudと共に生成AIを活用したコンタクトセンター業務の実証実験を共同で実施しました。この実証実験における実績を基に、当社が目指す「ヒト」と「AI」の連携による「ほぼ自動化」を実現するハイブリッド型のコンタクトセンターオートメーションの構築を推進してまいります。そして、当社は更なる生成AI活用の一環として、OpenAI社(米国)が2023年11月7日に新たに公開したChatGPT API「GPT-4 Turbo」の社内活用も国内グループ会社を含む社員1万人を対象に開始しております。今後、生成AIを活用した新たなビジネスモデルによる業務効率化を実現することで、労働人口の減少を背景とした新たなアウトソーシングニーズを吸収するとともに、社会課題の解決に向けた事業の実現を進めていきます。

また、中期経営計画に掲げたNEW BPOの領域開拓として、養豚業界のDX化を推進するスタートアップ企業の株式会社Eco-Porkと養豚現場の課題を解決する新サービスの創出・展開に向け、資本業務提携契約を締結いたしました。今後、両社の知見・技術を融合し、養豚業界での新たなビジネスの創造、価値の提供を進めるとともに、養豚分野を皮切りに他の畜産業や他農業分野へ広げ、一次産業におけるBPO事業として売上50億円を目指してまいります。

ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みとしては、性的マイノリティに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する団体work with Prideが策定した企業・団体等職場におけるLGBTQ+における取り組みの評価指標「PRIDE指標2023」にて、認定基準のすべてを達成したことを示す最高位"ゴールド"を5年連続で受賞いたしました。本年度、LGBTQ+に関するイベント「さっぽろレインボープライド」及び「レインボーフェスタ2023(大阪)」への当社社員の参加をはじめ、自身が認識する性と一致した名前や、パートナーの姓を名乗るといった戸籍上の本名とは異なる通称名の利用を勤務時に認める新たな制度のためのガイドラインを展開するなど、様々な取り組みを推進しております。また、多様な人材が応募しやすく働きやすい職場を目指し、ノンバイナリー、インターセックス及びアセクシャルなどの幅広い特性についての知識を身につけることを目的とした教育カリキュラムを人事担当者向けの社内研修「HRカレッジ」にて実施したほか、公式サイトの採用ページにて当社のダイバーシティに関するページを新設しLGBTQ+に関連するFAQを開示しました。当社では、パーパスである「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」の実現を目指し、これからもESGの取り組みを成長戦略の重要な基盤であると考え社会に貢献するだけでなく、その実践を通じて当社グループの成長につなげてまいります。

 

 

各セグメントの業績は以下の通りであります。

 

(CRM事業)

前連結会計年度からの既存継続案件の売上が拡大した他、伊藤忠商事株式会社及び凸版印刷株式会社との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したもののスポット需要による売上が減少したことにより、売上収益は1,125億44百万円(前年同期比3.7%減)、税引前四半期利益は85億57百万円(同24.2%減)となりました。

 

(その他)

コンテンツ販売収入が減少したため、その他のセグメントの売上収益は4億88百万円(前年同期比30.1%減)、税引前四半期利益は1億81百万円(同10.8%減)となりました。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益は1,130億32百万円(前年同期比3.8%減)、税引前四半期利益は87億38百万円(同23.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は59億92百万円(同21.8%減)となりました。

 

(2)財政状態の分析

① 資産の分析

流動資産は、主にその他の流動資産が4億64百万円増加しましたが、営業債権が19億1百万円及びその他の短期金融資産が8億13百万円減少したため、前連結会計年度末より21億72百万円減少し、285億1百万円となりました。

非流動資産は、主に持分法で会計処理されている投資が5億37百万円減少しましたが、のれんが18億75百万円、無形資産が11億90百万円及びその他の長期金融資産が5億51百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より29億11百万円増加し、1,484億88百万円となりました。

これらにより、資産合計は前連結会計年度末より7億39百万円増加し、1,769億89百万円となりました。

② 負債の分析

流動負債は、主に未払法人所得税が23億31百万円及び営業債務が18億28百万円減少しましたが、借入金が58 億円、その他の短期金融負債が11億10百万円、未払従業員給付が5億72百万円及びその他の流動負債が3億73百万円それぞれ増加したため、前連結会計年度末より37億65百万円増加し、500億3百万円となりました。

非流動負債は、主に繰延税金負債が2億16百万円増加しましたが、長期借入金が42億4百万円及びその他の長期金融負債が3億15百万円減少したため、前連結会計年度末より43億28百万円減少し、607億73百万円となりました。

これらにより、負債合計は前連結会計年度末より5億63百万円減少し、1,107億76百万円となりました。

③ 資本の分析

資本は、主に資本剰余金が49億69百万円減少しましたが、利益剰余金が59億92百万円増加したため、前連結会計年度末より13億2百万円増加し、662億13百万円となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、111億81百万円となりました(前年同期は144億74百万円の収入)。これは主に、税引前四半期利益が87億38百万円、減価償却費及び償却費が68億37百万円、営業債権の減少が24億44百万円、法人所得税の支払額が48億91百万円、営業債務の減少が15億28百万円及び段階取得に係る差益が8億38百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、26億82百万円となりました(前年同期は4億4百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出が12億44百万円、有価証券の取得による支出が6億51百万円及び無形資産の取得による支出が6億8百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、84億26百万円となりました(前年同期は131億50百万円の支出)。これは主に、長期借入れによる収入が40億円、短期借入れによる収入が38億円、長期借入金の返済による支出が62億50百万円、リース負債の返済による支出が52億44百万円及び配当金の支払額が46億44百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。

 

これらの結果、現金及び現金同等物の当第3四半期連結会計期間末残高は、70億76百万円(前連結会計年度末比78百万円増加)となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。