E31997 Japan GAAP
前期
185.7億 円
前期比
106.4%
株価
577 (03/28)
発行済株式数
5,516,335
EPS(実績)
108.27 円
PER(実績)
5.33 倍
前期
410.5万 円
前期比
100.8%
平均年齢(勤続年数)
37.0歳(6.0年)
従業員数
699人(連結:751人)
当社グループは、当社、子会社2社からなり、「日本文化をもっと身近にする」「私たちのおもてなしを世界に広げる」「世の中を楽しく変えていく」を経営理念に掲げ、呉服等の販売、振袖等の販売・レンタル、成人式の前撮り写真撮影サービス、成人式当日の着付け及びヘアメイクサービス、きものの着方教室の運営等(和装事業)並びに結婚式場の運営等(ウエディング事業)を行っております。
なお、次のセグメントは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」に掲げるセグメント区分と同一であります。
和装事業は、直営店舗・加盟店・特約店(以下、「小売店舗」という。)、フォトスタジオ、着方教室、催事並びに通信販売により事業を展開しております。
小売店舗では、きもの問屋等から仕入れた呉服や振袖を主とし、それに関連する宝飾品、草履やバッグ等の和装小物の販売・レンタルを行っております。小売店舗で顧客の要望に応じたコーディネートや採寸を行い、提携する外注加工業者で仕立て後、顧客へ納品しております。
フォトスタジオでは、主に当社グループ小売店舗において成人式用の振袖等をお求め頂いた顧客に対する成人式の前撮り写真撮影を行っております。
着方教室では、きものの着方を教えるだけでなく、きものを着て名所にお出掛けする等のイベントの開催を通じきものを着る機会を提供し、きものを着ることの楽しさを感じて頂き、きものファン拡大に努める等、潜在的なニーズの掘り起こしを行っております。
その他、当社グループ店内外での催事の開催、また「産地と着る人の思いをつなぐ」をコンセプトに産地工房から直接仕入れた呉服等の販売を手がける通信販売を行っております。
和装事業は、JTS(注1)事業本部とオンディーヌ事業本部が、多種多様な振袖在庫のほか、呉服在庫、上記小売店舗等において顧客の利便性を追求したワンストップサービス(注2)や悉皆サービス(注3)、また、長い和装の歴史の中で、多くの企業がチャレンジしては軌道に乗せられなかったデザインから生地の選定、製造、販売まで一貫して行う、振袖のSPA化(注4)に成功いたしました。究極の和装企画販売を展開することで、お客様の好みに応じた商品の価格を抑えて販売することにより競合他社との差別化を図っております。
(注1) 「JTS」とは、Japanese Traditional Styleの略で、「和様」の意味であります。
(注2) 「ワンストップサービス」とは、当社グループ店舗において成人式用の振袖等をお求めいただいた顧客に対して自社所有フォトスタジオでの前撮り写真撮影、成人式当日のメイク・着付け等を提供するサービスを指します。
(注3) 「悉皆」とは、きもの等の丸洗い、シミ抜き、刺繍直し、仕立て直し等、きもの等にまつわるお手入れ全般を指します。
(注4) 「SPA」とは、Speciality store retailer of Private label Apparelの略で、「製造小売」の意味であります。企画から製造、小売までを一貫して行うビジネスモデルを指します。
JTS事業本部が展開する販売チャネル及び都道府県別の出店状況は以下のとおりであります。
(注1) 常設店舗のみ記載しております。そのほか、期間限定で出店している店舗もあります。
(注2) 加盟店であります。
(注3) オンディーヌの商品も取り扱っております。
オンディーヌ事業本部が展開する販売チャネル及び都道府県別の出店状況は以下のとおりであります。
(注1) 加盟店であります。
(注2) 一蔵の商品も取り扱っております。
ウエディング事業は、ウエディング事業本部が以下の結婚式場で事業を展開しております。当社グループは、「特別な日を過ごすに相応しい世界観を作り、全員が楽しめるひと時を提供する」という、「おもてなし」の心を実現するべく、直営式場において挙式・披露宴の企画・立案・運営及びパーティードレス・ウエディングドレスのレンタル等を行っております。
運営に際しては、顧客の本物志向を充足させる結婚式のトータルプロデュースを実現するために、「本物志向のファシリティ」、「ソフトの内製化」を重視しております。
「本物志向のファシリティ」については、結婚式場の建築にあたって、主に欧州から本物の調度品や美術品を調達したり、実存した建築や技法をモチーフにしたりと、歴史的な下支えを大切にした施設の設計を心掛けております。それは「美」、「豊」といった表現を、一過性の価値観に頼ることなく行うための手法と考えております。その際にただの懐古主義ではなく、現代の婚礼に対するニーズをきちんと取り込むことにより、満足度の高い施設を目指しております。
「ソフトの内製化」については、当社グループでは、料理、装花、美容、写真撮影、アルバム等フォト製品の企画・開発などのサービスを社内において内製化しており、外注企業ではなく当社グループの従業員が直接、顧客と打ち合わせを行うことにより、顧客の細かなこだわりにも対応し、一層の顧客満足度の向上に努めております。
なお、引出物、食材、花、写真、撮影部材、ドレス等につきましては、提携する専門業者より仕入れております。
また、アジアマーケットにおけるウエディング事業の拡大を目指し、2019年3月に中国の上海に結婚式場をオープンいたしました。中国は年間の婚姻件数が日本の約13倍にも及ぶ大変魅力的なマーケットであり、また、富裕層を中心にウエディングドレスやガーデンセレモニーといった婚礼の西洋化も進んでおります。現在、中国では希少な日本企業による結婚式場として、当社の強みである本物志向にこだわった内装と最先端の演出、そして「おもてなし」を重視したサービスでアジアマーケットにおけるウエディング事業の拡大を図ります。
ウエディング事業本部が展開する結婚式場、所在地及び概要は以下のとおりであります
(注1) 「マナーハウス」(manor house)とは、中世ヨーロッパにおける荘園(マナー)において、地主たる荘園領主が建設した邸宅であります。
(注2) 「格天井」とは、木を組んで格子形に仕上げた天井であります。
[事業系統図]
当社グループの事業の系統図は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で行動制限が徐々に緩和され、個人消費は持ち直し、経済活動の正常化の動きが見られました。一方で、円安の進行やウクライナ情勢の長期化による世界的な資源・原材料価格の高騰などを背景とした急激な物価上昇により、国内景気の下振れリスクが存在しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、お客様、従業員の安心・安全を第一に、引続き新型コロナウイルス感染予防対策を徹底し、店舗・教室、式場の運営に臨んでまいりました。
(和装事業)
和装事業におきましては、3年ぶりに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの各種制限もなく、催事等も計画通りに開催することができ、受注も堅調に推移いたしました。11月には、"きものが持つ多様性″をテーマに第2回目となるきものコンテスト「Universal Kimono Award 2022」を開催するなど、きものが本来持っている価値や新たな魅力、可能性を発信してまいりました。この結果、当連結会計年度の和装事業の売上高は14,819,262千円(前期比3.2%増)、セグメント利益は受注獲得に向けた催事関連費用、教室生徒獲得に向けた募集費用などを積極的に投下したこともあり847,176千円(前期比19.7%減)となりました。
なお、当連結会計年度末の受注残高は、5,064,696千円(前連結会計年度末比4.5%増)となっております。
(ウエディング事業)
ウエディング事業におきましては、国内では3年ぶりの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの各種制限のない状況の中、来館客数も回復し、結婚式の受注、施行ともに好調に推移いたしました。一方、中国上海の子会社では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2022年3月28日から約2ヵ月間にわたり上海市政府によるロックダウンが行われた影響で、2022年4月から6月にかけては結婚式の受注、施行が行えない状況となりました。国内式場の施行回復により、当連結会計年度のウエディング事業の売上高は4,928,086千円(前期比17.0%増)、セグメント利益は427,251千円(前期比186.4%増)となりました。
なお、当連結会計年度末の受注残組数は、国内での施行が好調に推移したことにより、1,194組(前連結会計年度末比11.2%減)となっております。
(全社)
上記の結果、当連結会計年度の業績は、売上高19,747,349千円(前期比6.4%増)、営業利益553,597千円、(前期比8.5%増)、経常利益570,173千円(前期比8.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益597,264千円(前期比3.2%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1,254,472千円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は1,063,310千円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益554,005千円、減価償却費519,685千円、前受金の増加253,065千円があった一方で、棚卸資産の増加78,323千円、未払消費税等の減少133,629千円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,494,049千円となりました。これは主に定期預金の預入による支出244,850千円、固定資産の取得による支出1,136,636千円、投資有価証券の取得による支出200,000千円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は10,642千円となりました。これは主に長期借入れによる収入944,000千円があった一方で、短期借入金の減少額310,000千円、長期借入金の返済による支出524,726千円、配当金の支払額77,191千円があったことによります。
当社グループでは生産活動を行っていないため、生産実績の記載を省略しております。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については内部振替後の数値によっております。
2.和装事業の仕入実績額には、レンタル商品勘定に振替計上した413,247千円が含まれております。
3.ウエディング事業の仕入実績額には、レンタル商品勘定に振替計上した31,213千円が含まれております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
① 和装事業
(注) 売上高の計上につきましては、受注後、仕立てを行うため、受注から1~3ヶ月前後のタイムラグがあります。
② ウエディング事業
(注) ウエディング事業につきましては、挙式施行後に金額が確定するため、ご成約の申込金をお預りしている件数(受注件数)を表示しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については内部振替後の数値によっております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを用いております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は19,136,278千円(前連結会計年度末比5.2%増)となりました。
流動資産の残高は9,905,330千円(前連結会計年度末比0.8%減)となりました。これは主に売掛金が55,152千円、商品が59,920千円増加した一方で、現金及び預金が185,367千円減少したことによります。
固定資産の残高は9,230,947千円(前連結会計年度末比12.4%増)となりました。これは主に建物及び構築物(純額)が675,307千円、投資有価証券が202,983千円増加したことによります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は15,142,247千円(前連結会計年度末比2.4%増)となりました。
流動負債の残高は12,581,751千円(前連結会計年度末比1.2%減)となりました。これは主に前受金が261,907千円増加した一方で、短期借入金が310,000千円、その他が150,335千円減少したことによります。
固定負債の残高は2,560,495千円(前連結会計年度末比24.2%増)となりました。これは主に長期借入金が422,725千円、退職給付に係る負債が47,709千円増加したことによります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は3,994,030千円(前連結会計年度末比17.3%増)となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益597,264千円を計上したこと、配当金77,191千円を支払ったこと、為替換算調整勘定が66,497千円増加したことによります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、19,747,349千円(前期比6.4%増)となりました。
和装事業に関しましては、3年ぶりに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの各種制限もなく、催事等も計画通りに開催することができ、受注も堅調に推移したことにより14,819,262千円(前期比3.2%増)となり、ウエディング事業に関しましては、国内式場の施行が好調に推移したことにより、4,928,086千円(前期比17.0%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、12,122,256千円(前期比6.2%増)となりました。
売上高の回復に伴い売上総利益が増加いたしました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、553,597千円となりました。
給与手当2,926,626千円、広告宣伝費2,305,313千円、地代家賃1,456,621千円、減価償却費518,870千円などを計上したことによります。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、570,173千円となりました。
営業外収益として、為替差益3,315千円、助成金収入4,708千円、残余財産分配金5,923千円を計上したことなどによります。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、554,005千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、597,264千円となりました。
今後の業績動向を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産を計上し法人税等調整額を△87,361千円計上したことなどによります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、和装事業における新規出店に関わる有形固定資産投資及びウエディング事業における式場開設及び式場改装に関わる有形固定資産投資であります。
運転資金及び設備投資資金につきましては、内部留保金を超える資金を金融機関からの借入金により資金調達をすることとしております。なお、当期末の有利子負債残高は、5,599,869千円となりました。
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化や組織体制の整備等、様々なリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは、常に市場の動向等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保並びに育成し、顧客ニーズにマッチした商品やサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。
当社グループは、和装事業については出店、催事、きものを着て楽しむイベントの開催及び着方教室の運営等により、また、ウエディング事業については本物志向のファシリティと専門的なサービスの内製化及び新サービスの提供等により、持続的な成長、企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善な経営戦略の立案、施策の実施に努めております。当社グループが今後も持続的に成長するためには、事業規模の拡大に合わせて適時に人材拡充を進めると同時に、組織体制の整備を進めていくことが重要であると認識しております。このため、当社グループの出店計画に必要な人材を適時に採用すると同時に、将来の成長に対応した採用及び教育研修制度の拡充、新規出店による規模拡大や内部管理体制の強化等の組織整備を進めていく方針であります。