E01676 Japan GAAP
前期
669.2億 円
前期比
118.9%
株価
4,220 (04/26)
発行済株式数
15,730,538
EPS(実績)
379.39 円
PER(実績)
11.12 倍
前期
698.4万 円
前期比
96.3%
平均年齢(勤続年数)
43.4歳(19.4年)
従業員数
414人(連結:1,939人)
当社グループの事業内容は、主にあらゆる産業分野を対象に粉体を取扱う機械・装置及びそのシステムエンジニアリングの提供であります。
連結財務諸表提出会社(以下、当社という。)を中核とし、国内は当社を含め3社、海外連結子会社26社、国内持分法適用会社1社、海外持分法非適用会社3社で構成されております。
当社グループは、海外関係会社を本社に直結させるフラットな組織により運営しております。また、グループ企業集団の強みを生かし、そのシナジー効果を最大限発揮するために研究開発成果の共有、製品開発の分担、製品・部品の相互供給体制を整備しております。
各事業における主要製品並びに主要会社は、次のとおりであります。なお、この事業区分はセグメント情報における区分と同一であります。
以上の事項の概要図は次のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
このような経済環境の中、客先への納期は依然として長いままながら、前期からの豊富な繰越受注残高が安定的に売上に寄与してくるようになってきました。また、再び対ドル、ユーロで円安傾向が強まったことで、邦貨換算上も有利に働いたことから、当連結会計年度の受注高は788億8千2百万円(前期比5.1%の増加)、売上高は795億3千1百万円(前期比18.9%の増加)となりました。受注残高は527億3千2百万円(前期比5.5%の増加)となりました。
利益面におきましては、特に期後半以降、仕入価格急騰に見合った販売価格へと転嫁を進めてきた案件が徐々に売上に寄与し始めたことから、収益性にも改善がみられ、営業利益は79億6千1百万円(前期比44.4%の増加)、経常利益は83億4千9百万円(前期比44.6%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億6千8百万円(前期比48.9%の増加)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
当事業は、粉砕・分級装置、混合・乾燥装置及び日本市場においての大気汚染防止装置、製品捕集用集塵装置、精密空調制御装置等の製造販売、複合ナノ粒子を中心とした新素材開発とその商品化並びに微粉体受託加工サービスを提供するホソカワミクロングループの主力分野であります。
持続可能な社会の実現に向け二次電池電極材料用などの電子材料向けが引き続き拡大基調であったのをはじめ、植物由来肉の原料として需要が高まっている豆類の処理プロセス(プロテインシフト)などを中心に食品分野向けも好調に推移いたしました。また、裾野の広い化学業界向け、鉱産物関係向けなど幅広い分野で堅調であったほか、コロナ禍からの経済活動正常化に伴い、メンテナンスサービス活動も活発となりました。
これらの結果、当連結会計年度の受注高は656億6千4百万円(前期比14.9%の増加)、受注残高は422億2千4百万円(前期比18.1%の増加)となり、売上高は616億9千6百万円(前期比24.7%の増加)となりました。利益面では、増収に加え、値上げが徐々に浸透してきたことから、セグメント利益は80億9千7百万円(前期比62.4%の増加)となりました。
当事業は、単層から多層の各種プラスチック高機能フィルム製造装置の開発・製造・販売を行っております。
2010年度連結会計年度以降、おおむね右肩上がりの成長が続いてきましたが、成長をけん引してきた主力の米国向けに設備過剰感がでてきたことから、成約スピードが鈍化してきております。また、欧州向けも市況環境は冷え込んできております。この先、回復は見込まれるものの、本格的な回復までには若干の時間を要することが見込まれております。
これらの結果、当連結会計年度の受注高は132億1千8百万円(前期比26.2%の減少)、受注残高は105億7百万円(前期比26.1%の減少)となり、売上高は円安効果により、邦貨への為替換算上の上積みもあり、178億3千5百万円(前期比2.2%の増加)となりました。期後半以降、資材価格高騰を反映した案件の売上計上が進んできたことから利益率は回復してきましたが、期前半の低迷をカバーするまでには至らず、セグメント利益は14億2千7百万円(前期比25.6%の減少)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度の資産は、前連結会計年度に比べ、109億8千3百万円増加し、970億2千9百万円となりました。これは、主に受取手形、売掛金及び契約資産が59億4千4百万円、建物及び構築物が27億7千3百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度の負債は、前連結会計年度に比べ、58億3千7百万円増加し、381億2千5百万円となりました。これは、主に支払手形及び買掛金が16億1千6百万円、電子記録債務が12億2千8百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ、51億4千5百万円増加し、589億3百万円となりました。これは、主に為替換算調整勘定が35億9百万円増加したこと、利益剰余金が27億3千5百万円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ、7億9千1百万円減少し、256億8千9百万円となりました。各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、59億4千6百万円の資金の増加(前連結会計年度比21億8千8百万円の減少)となりました。主に税金等調整前当期純利益の計上によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、35億1千2百万円の資金の減少(前連結会計年度比9億1千3百万円の減少)となりました。主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、47億1千3百万円の資金の減少(前連結会計年度比32億9千7百万円の減少)となりました。主に自己株式の取得による支出によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末の財政状態につきましては「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度は、2021年10月よりスタートした第17次中期3カ年経営計画「Challenge To Be Global Standard ~ホソカワミクロングループの最先端技術を業界世界標準へ~」の2年度目となります。初年度となる前連結会計年度は 新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株の拡大やロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、世界経済は不透明感を増す一年となりましたが、当社グループにおいては、過年度からの旺盛な受注とそれに伴う高水準な受注残高を背景に、さらにはドル、ユーロなど主要通貨に対して円安が進んだこともあり、売上高は過去最高を更新し、新中期3カ年経営計画初年度から、売上面では当初設定した目標を上回る好調なスタートとなりました。
このような状況を踏まえ、当社グループでは、新中期3カ年計画の最終年度となる2024年9月期の連結財務目標について、売上高710億円(従来目標は670億円)、営業利益71億円(同67億円)、経常利益71億円(同67億円)、当期純利益49億円(同47億円)に修正し、当連結会計年度は、新しい目標達成に向けた基盤固めの年と位置付けてまいりました。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスのパンデミックについては、世界保健機構(WHO)から、もはや「世界的な公衆衛生上の緊急事態」ではないと発表されるなど、ウィズコロナからポストコロナへと移行した一方、ロシアによるウクライナ進行は解決への糸口が見えず、長期化の様相を呈しました。また、2018年から顕在化した米中対立は、5年が経過しましたが、特に先端半導体をめぐり、米中のハイテク覇権争いは激化しており、米中間貿易は縮小する動きもみられてきております。さらには、これら新型コロナウイルス、ウクライナ紛争、米中対立や過去の金融緩和政策などに端を発したインフレに対応するため、各国の中央銀行は政策金利を継続的に引き上げ、インフレの抑え込みを図りましたが、インフレ率は高止まりしており、政策金利の引き上げが経済活動の重しとなってきております。
このような経済環境の中、当社グループ製品の納期の短縮化は図られてはいないものの、さらなる長期化の傾向はみられず、長いままながら、納期も安定化してきたことから、コロナ禍以降顕著となった受注先行、売上遅延の傾向も解消に向かっております。また、当連結会計年度前半は、物価急騰の影響を受け客先への価格転嫁ができなかった案件の売上が残っておりましたが、期後半以降は、仕入価格上昇を販売価格に転嫁した案件の売上が徐々に進んだことから、利益率にも改善がみられました。
コア事業と位置付ける粉体関連事業におきましては、BEV化に向け、二次電池の電極材料製造に使われるシステムに対する需要は旺盛で、引合い/納入先に地域的な広がりを見せております。また、代替肉への利用を企図した豆類の処理システム(プロテインシフト)も欧米を中心に増加してきているなど、引き続きサステナブルな社会の実現を目指した投資が注目されております。医薬業界向けは好調だった前連結会計年度からの反動減とはなりましたが、培養培地製造システムなどを中心に高水準の受注となりました。その他、裾野の広い化学業界向けや、メンテナンスサービス事業など、全般的に堅調に推移いたしました。
これらの結果、受注高は656億6千4百万円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。売上面では、好調な受注及び積みあがった受注残高からの売上により、前連結会計年度に比べ24.7%増の616億9千6百万円となりました。
もう一つの柱であるプラスチック薄膜関連事業におきましては、西欧諸国向け、中南米向けなど堅調な地域もありましたが、主力市場のひとつである米国向けは過年度から長期にわたり大型投資が続いた影響により、設備過剰感がでてきたことから、減速傾向が顕著となってきました。需給ギャップの解消から新規設備投資が本格的に再開されるまでには、少し時間がかかるものと見込んでおります。このような中ではありますが、ラミネーションフィルム用途に多層フィルム製造ラインなど、いくつかの大型案件も散見されました。
これらの結果、受注高は132億1千8百万円(前連結会計年度比26.2%減)となりました。期首の繰越受注残高が高かったことなどから、売上高は前連結会計年度と比べ、2.2%増の178億3千5百万円となりました。
当社グループでは一品一葉の受注生産体制を取っており、受注から設計、資材発注、製造、出荷/売上計上に至るまで、案件の規模により1年超のタイムラグがあります。そのため、客先からの受注後、資材発注や出荷までに購入部材等の高騰があった場合、当該高騰分を客先への販売価格に転嫁できず、受注時に想定した利益を確保できない案件も発生しておりました。現在の標準的な納期は、コロナ禍前に比べ2倍程度となっており、納期長期化の影響により、当連結会計年度前半まで、このような仕入価格急騰の影響を受けた案件の売上が残っておりました。しかしながら、期後半以降は、仕入価格急騰を反映した値上げ後の案件も徐々に売上に計上されてきたことから、利益率は改善に向かい、通期での売上総利益率は、前連結会計年度比0.4%ポイント改善いたしました。営業活動再開による販売費の増加、人件費の増加などにより販売費及び一般管理費の増加はありましたが、増収効果及び売上総利益率の改善により、営業利益は前連結会計年度と比べ44.4%増加の79億6千1百万円となり、過去最高益となりました。
経常利益も営業利益と同様、前連結会計年度と比べ44.6%増の83億4千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、同48.9%増の59億6千8百万円となり、いずれも過去最高益を更新いたしました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資金需要は主に、製品の製造に使用する原材料や部品の調達等の製造費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用、継続的な新製品開発に向けた研究開発費用、さらには株主各位への配当金支払や株主還元の一環としての自己株式の取得等であります。また、長期性の資金需要は、粉体関連機器及びプラスチック薄膜製造装置の製造に係る工作機械等の製造設備や顧客テストに供するテストセンター機器、DX推進などのデジタル化投資、老朽化施設の更新、受託加工事業の増強のための設備投資等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、平時においては、現預金等の流動性資金は、月次連結売上高の2.0ヶ月以上を維持するよう努めておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大やウクライナ情勢の長期化などを要因として、全般的に顧客への納期が2.0倍前後になってきたこと、今年3月米国において銀行破綻が立て続けに発生したことをきっかけに世界的な金融不安が広まる恐れが高まったことなどから、通常より厚めの流動性を確保するよう努めております。
資金の調達方針としては、短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入による調達を基本とし、設備投資や長期性資金につきましては、金融機関からの長期借入等による調達を基本としております。
当連結会計年度末における借入金の有利子負債の残高は17億7千1百万円、現金及び預金の残高は259億2千8百万円となっております。
なお、当連結会計年度末における当社グループの流動比率は205.6%と流動性は十分な水準にあります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
既述のように、2021年10月1日より新たな第17次中期3カ年経営計画をスタートさせました。昨今の円安傾向を踏まえ、この中期3カ年計画の最終年度となる2024年9月期の目標を売上高710億円、営業利益71億円の達成に修正しております。
一部仕入部材において納期の問題解消にまだ時間がかかるものと思われるものも残っておりますが、仕入部材価格高騰の影響については、客先販売価格への転嫁も進んできており、この先、さらに想定を超えるような物価の高騰がなければ、徐々に値上げ後の案件が売上計上され、利益率は改善に向かうものと考えております。また、当社グループにおいて比較的汎用性の高いものについては、在庫を積み増すなど、納期の短縮にも努めております。