売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01636 Japan GAAP

売上高

811.0億 円

前期

646.6億 円

前期比

125.4%

時価総額

930.9億 円

株価

3,205 (07/16)

発行済株式数

29,045,679

EPS(実績)

214.32 円

PER(実績)

14.95 倍

平均給与

610.1万 円

前期

596.9万 円

前期比

102.2%

平均年齢(勤続年数)

39.0歳(13.4年)

従業員数

967人(連結:1,821人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社と子会社28社(うち連結子会社24社)及び関連会社3社で構成され、各種ポンプ・ポンププラント、環境装置、小水力発電設備、メカニカルシール、その他ポンプ関連機器の製造・販売、据付工事・サービス、電気の供給・風力発電設備メンテナンス及びこれらに附帯する業務を主な事業内容としております。

 当社グループの主な事業内容に係わる位置付け等は次のとおりであります。

なお、セグメント情報を記載していないため、事業部門別に記載しております。

事業の内容

主な事業内容

会社

ポンプ事業

ポンプ、ポンププラント、メカニカルシール、その他ポンプ関連機器の製造・販売及び据付工事・サービス

国内

当社、㈱九州トリシマ、新東邦、その他2社

※協和機工㈱

海外

酉島ポンプ香港有限公司

PT.TORISHIMA GUNA INDONESIA

PT.GETEKA FOUNINDO

PT.TORISHIMA GUNA ENGINEERING

TORISHIMA EUROPE LTD.

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS FZCO.

酉島ポンプ(天津)有限公司

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS EUROPE LTD.

TORISHIMA PUMPS (INDIA) PRIVATE LTD.

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS ASIA PRIVATE LTD.

TORISHIMA AUSTRALIA PTY LTD.

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS THAILAND LTD.

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS (SAUDI ARABIA) LTD.

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS MALAYSIA SDN.BHD.

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS FORMOSA LTD.

TORISHIMA SERVICE SOLUTIONS OF MICHIGAN LLC.

CRYO PUMP REPAIRS LTD.

AUSTRALIAN FLUID HANDLING PTY LTD.

TORISHIMA TRADING AND SERVICES WLL.

その他 5社

環境

新エネルギー事業

環境装置の製造・販売及び各種廃棄物の再利用品等の企画・製造・販売

小水力発電設備の販売及び据付工事・サービス並びに電気の供給・風力発電設備メンテナンス事業

国内

当社

※イオスエンジニアリング アンド サービス㈱

※㈱肥前風力エネルギー開発

(注)※印は、関連会社であります。

 

24/06/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度においては、ロシア・ウクライナ戦争が長期化する中、イスラエル・ハマス間の戦争勃発など地政学的リスクが高まりました。このような国際情勢のもと、世界経済は欧州や中国の景気には弱さがみられる一方、米国においては金利の引き上げにも関わらず消費に底堅さがみられるなど、景況にばらつきがみられ、先行きは不透明な状況が続いています。

 

 わが国においては、新型コロナウイルス感染症の分類が5類感染症に移行し景気の制約要因が解消するとともに、インバウンド需要の回復や円安を追い風とする輸出増加がありました。海外要因による物価上昇が個人消費への逆風となりましたが、景気は穏やかな回復局面にあるといえます。但し、今後の金利や為替の動向などが景況に影響を及ぼすことも考えられます。

 

 当ポンプ業界においては、世界的な人口増加に対応するための水資源を中心としたインフラ整備や老朽化した設備の更新、異常気象に対応した防災減災対策など、今後もポンプに対する需要の基調は、底堅く推移すると見込まれますが、景況の影響をうけ受注環境が悪化する可能性はあります。

 

 このような状況下、当社グループはエッセンシャルなインフラ企業として社会的要請に応えるべく、カーボンニュートラル社会に役立つ水素・アンモニアを扱うポンプ技術の研究開発・産学連携の共同開発を推進しています。すでに火力発電所ではアンモニア混焼実証試験用のポンプ運転が始まりました。そして2024年3月には超電導モータを搭載した大流量液化水素ポンプの運転試験に世界で初めて成功しています。

 このように社会が必要とする新しいポンプの開発に努めるとともに、ポンプ製造のための設備や仕組みの改善を図り、生産性・生産能力の向上にも努めています。今年度は鋳造工場の大幅刷新を行い、その生産能力は1.5倍、電気使用量は従来比40%の削減を見込んでいます。さらにグローバル事業体制の拡充・強化のため、拠点の拡大等も引き続き実施しました。

 

 当連結会計年度の当社グループの受注高は、87,955百万円(前連結会計年度89,028百万円 前連結会計年度比98.8%)となりました。

 

 これを需要先別に見ますと、官公需は24,683百万円(前連結会計年度24,061百万円 前連結会計年度比102.6%)、民需は11,164百万円(前連結会計年度11,770百万円 前連結会計年度比94.9%)、外需は52,107百万円(前連結会計年度53,197百万円 前連結会計年度比98.0%)となりました。

 

 当連結会計年度の売上高は81,103百万円(前連結会計年度64,659百万円 前連結会計年度比125.4%)を計上し、当連結会計年度末の受注残高としては95,138百万円(前連結会計年度88,286百万円 前連結会計年度比107.8%)を来期以降に繰り越すことになりました。

 

 当連結会計年度の営業利益は、海外向け売上等が増加したことにより、6,822百万円(前連結会計年度は営業利益5,927百万円)となりました。

 

 経常利益は、営業外費用として為替差損1,638百万円などが発生したことにより6,297百万円(前連結会計年度は経常利益5,693百万円)となりました。

 

 

 親会社株主に帰属する当期純利益は、保有投資有価証券の売却を進めたことにより6,225百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益4,404百万円)となりました。

 

 当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末に比べ11,485百万円増加し101,560百万円となりました。これは主に、売上高増加に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加(前連結会計年度比3,414百万円増加)、受注高増加に伴う仕掛品の増加(前連結会計年度比1,074百万円増加)したことなどによるものです。

 

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ4,376百万円増加し48,928百万円となりました。これは主に、受注高増加に伴う契約負債の増加(前連結会計年度比413百万円増加)、及び製品保証引当金の増加(前連結会計年度比523百万円増加)したことなどによるものです。

 

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ7,109百万円増加し52,632百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,100百万円増加し、12,831百万円となりました。なお、連結貸借対照表における「現金及び預金」には3ヶ月超の定期預金を前連結会計年度末には148百万円、当連結会計年度には570百万円を含んでいます。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は2,857百万円(前連結会計年度は1,246百万円の増加)となりました。これは、売上債権の増加2,786百万円(前連結会計年度は5,584百万円の増加)及び棚卸資産の増加1,368百万円(前連結会計年度は2,858百万円の増加)などの資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益8,482百万円(前連結会計年度は5,623百万円)及び減価償却費2,081百万円(前連結会計年度は2,286百万円)などの資金の増加があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は424百万円(前連結会計年度は1,277百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出3,158百万円(前連結会計年度は839百万円の支出)などの資金の減少があったものの、投資有価証券の売却による収入4,631百万円(前連結会計年度は50百万円の収入)などの資金の増加があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は3,314百万円(前連結会計年度は2,190百万円の減少)となりました。これは、長期借入れによる収入600百万円(前連結会計年度は2,500百万円の収入)などの資金の増加があったものの、長期借入金の返済による支出1,736百万円(前連結会計年度は3,617百万円の支出)及び配当金の支払額1,547百万円(前連結会計年度は1,285百万円の支出)などの資金の減少があったことによるものです。

 

 

 

③生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

 当連結会計年度における生産実績を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の内容

金額(百万円)

前年同期比(%)

ポンプ事業

82,552

126.7

その他

556

50.8

合計

83,109

125.5

 

ロ 受注状況

 当連結会計年度における受注高及び受注残高を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の内容

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

ポンプ事業

86,966

98.9

94,880

107.7

その他

989

93.7

258

161.1

合計

87,955

98.8

95,138

107.8

 

 当連結会計年度における需要先別の受注高及び受注残高の構成比

需要先別

受注高

(%)

前年同期構成比

(%)

受注残高

(%)

前年同期構成比

(%)

国内

官公需

28.1

27.0

27.9

23.8

民需

12.7

13.2

10.2

11.9

外需

59.2

59.8

61.9

64.3

合計

100.0

100.0

100.0

100.0

 

ハ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業の内容ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の内容

金額(百万円)

前年同期比(%)

ポンプ事業

80,212

126.1

その他

891

83.1

合計

81,103

125.4

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

エジプト政府

7,474

11.6

11,877

14.6

 

 

 

 当連結会計年度における需要先別販売実績の構成比

需要先別

販売実績(%)

前年同期構成比(%)

国内

官公需

23.6

28.4

民需

14.7

14.6

外需

61.7

57.0

合計

100.0

100.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討等

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度は、当社グループは、エッセンシャルなインフラ企業として社会的要請に応えております。カーボンニュートラル社会に役立つ水素・アンモニアを扱うポンプ技術の研究開発・産学連携の共同開発を推進しております。2024年3月には、超電導モータを搭載した大流量液化水素ポンプの運転試験に世界で初めて成功し、火力発電所での、アンモニア混焼実証試験用のポンプ運転が始まりました。

また、今年度は工場の生産性向上のため鋳造工場の大幅刷新を行い、生産能力が1.5倍増及び電気使用量は従来比40%の削減を見込んでいます。また、グローバル事業体制強化のため、拠点拡大も実施しました。

 

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末から11,485百万円増加し101,560百万円となりました。

 これは主に、鋳造工場改修工事等に伴い有形固定資産が増加(前連結会計年度末比3,361百万円増加)したこと、受注高の急拡大による仕掛品の増加(前連結会計年度末比1,074百万円増加)したこと、売上高の増加に伴い受取手形、売掛金及び契約資産が増加(前連結会計年度末比3,414百万円増加)したことなどによります。

 

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から4,376百万円増加し48,928百万円となりました。

 これは主に、受注高の急拡大に伴い契約負債が増加(前連結会計年度末比413百万円増加)したこと、製品保証引当金が増加(前連結会計年度末比523百万円増加)したこと、鋳造工場改修工事に伴いその他に含まれる未払金が増加(前連結会計年度末比1,243百万円増加)したことなどによります。

 

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から7,109百万円増加し52,632百万円となりました。

 これは主に、配当金支払額が前連結会計年度よりも増加(前連結会計年度末比265百万円増加)したものの、親会社株主に帰属する当期純利益が増加(前連結会計年度末比1,821百万円増加)したこと及びその他有価証券評価差額金が増加(前連結会計年度末比1,487百万円増加)及び為替換算調整勘定が増加(前連結会計年度末比928百万円増加)したことなどによります。

 

 当連結会計年度の売上高は81,103百万円(前連結会計年度64,659百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比16,444百万円の増収となります。

 売上高増加の要因としましては、官需及び民需は、ほぼ前連結会計年度並みとなったものの、昨年度から続く継続的な大規模受注に伴う海外向けハイテクポンプの増収効果により、当連結会計年度も好調に推移し、前連結会計年度に続き、大幅な増収となりました。

 

 当連結会計年度の営業利益は6,822百万円(前連結会計年度5,927百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比894百万円の増益となります。

 営業利益増加の要因としましては、賃上げに伴う労務費の増加や、売上高の増加に伴う販売直接費の増加、水素・アンモニアを扱うポンプ開発に関する研究開発費用の増加などがあったものの、前連結会計年度と比較して売上高が大きく増加したことなどによります。

 

 当連結会計年度の経常利益は6,297百万円(前連結会計年度5,693百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比604百万円の増益となります。

 

 経常利益増加の要因としましては、為替差損を1,638百万円計上したものの、営業利益が増加したことによるものです。為替差損の増加については、主に海外受注における外貨建て売上の為替変動リスクに対して予約等によりヘッジしていることによるもので、予約を実施した当時から為替相場が円安に進んだ結果生じたものです。

 

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は6,225百万円(前連結会計年度4,404百万円)を計上することになりました。これは前連結会計年度比1,821百万円の増益となります。

 親会社株主に帰属する当期純利益増加の要因としましては、経常利益の増加に加え、資産圧縮方針のもと実施した保有有価証券の売却によるものです。

 

 当社グループに重要な影響を与える要因として、需要先の動向と収益環境の変化、グローバリゼーションに伴う為替動向、世界動向、保有有価証券の株価動向、事故及び災害、製品に対する重要な不具合、法的規制、訴訟及び感染症拡大などによる事業への影響が考えられます。

 

 需要先の動向と収益環境の変化に対応するためには、研究・開発に注力し、水・新エネルギーなどの資源や環境問題など時代が求める新たなニーズに適切に応える分野を強化するとともに、採算面の改善を図っております。

 グローバリゼーションに伴う為替・世界動向に対応するためには、為替予約、外貨建ての資材調達の推進や現地での資材調達を行っております。

 

 保有有価証券に対する株価動向に対応するためには、資産圧縮方針のもと保有有価証券の見直し、売却を行っております。

 

 事故及び災害に対応するためには、グループ全体に安全のための行動と対策を周知徹底しております。

 

 製品に対する重大な不具合に対応するためには、会計上適切な引当金を計上することに加え、品質マネジメント部門を強化し、品質、機能、安全性、納期等に万全を期しております。

 

 法的規制に対応するためには、本社内に法務部門を設置し様々な法的規制の検証を行うとともに、法令遵守の徹底を含めた教育を行っております。

 

 訴訟等に対応するためには、契約留意事項の確認や、片務的契約の排除等、契約内容の事前検証を行っております。

 

 今回の新型コロナウイルス感染症に対応するためには、本社・工場内におけるマスク着用、来訪者に対する検温の実施、手洗い・うがいの徹底などの対策をとるとともに、可能な限りの時差出勤・時短勤務の実施及び事務職員の在宅勤務実施などを行いました。今後、新型コロナウイルス感染症に関わらず、必要とされる事象が発生した場合は、これらの対応を即時に実施します。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

キャッシュ・フローの状況と分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要は、営業活動につきましては、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び労務費等)、受注獲得のための販売手数料及び研究開発費が主な内容であります。投資活動につきましては、生産活動のための固定資産の更新や生産・サービス能力の増強及び生産性向上のための設備投資が主な内容でありますが、財源としては、自己資本及び銀行からの借入金を主体とした負債となっております。

 

 手元流動性としては、当連結会計年度末は、現金及び流動性預金として12,831百万円を確保しており、手元流動性比率としては1.98となっておりますが、当社グループは年度末に売上及び検収による支払が集中することが多く、年度末に資金不足とならないようにしております。また、設備投資を積極的に進める方針であり、手元流動性には若干の余裕を持たせることとしております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。

(ア)棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産について、期末における収益性の低下の有無を判断し、収益性が低下していると判断されたものについては、帳簿価額を正味売却価額または処分見込価額まで切り下げております。

収益性の低下の有無に係る判定は、原則として個別品目ごとに、その特性や市況等を総合的に考慮して実施しております。

 また、受注工事に係る棚卸資産については、工事損失引当金により収益性の低下を反映させております。

(イ)有価証券の評価

当社グループは、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外の有価証券について時価評価を行い、評価差額については税効果会計適用後の純額を、その他有価証券評価差額金として純資産の部に含めて表示しております。

減損処理にあたっては、時価が取得価額の50%以上下落した場合のほか、時価回復の可能性をもとに判断しております。

(ウ)債権の回収可能性

当社グループは、金銭債権の回収可能性を評価して貸倒見積高を算定し、貸倒引当金を計上しております。

貸倒見積高算定の対象となる債権は、日常の債権管理活動の中で、債権の計上月や弁済期限からの経過期間に債務者の信用度合等を加味して区分把握しております。

貸倒見積高の算定に際しては、一般債権については貸倒実績率を適用し、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に相手先の財務状況等を考慮して、回収可能性を吟味しております。

(エ)退職給付費用及び債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の期待運用収益率であります。

割引率は、従業員の退職給付の見込み支払日までの平均期間に対応する期間の日本の国債利回りを基礎に設定しております。

また、年金資産の長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ及び過去の運用実績、収益の将来見通しを総合的に判断して設定しております。

(オ)繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかの回収可能性を検討し、回収が不確実であると考えられる部分に対して評価性引当額を計上して繰延税金資産を減額しております。

回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得の見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。

 

 

(カ)重要な収益及び費用の計上基準

 当社グループでは以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。

  ステップ1:顧客との契約を識別する。

  ステップ2:契約における履行義務を識別する。

  ステップ3:取引価格を算定する。

  ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。

  ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識する。

 

 製品販売については、製品に対する物理的占有、所有に伴う重大なリスク及び経済価値の顧客への移転状況といった支配の移転に関する指標を勘案した結果、製品に対する支配を顧客に移転して履行義務を充足するのは製品の引渡時点であると当社は判断し、当該時点で売上高を認識しております。

 また、当社は工事請負契約を顧客と締結しております。当該契約については、当社の履行により他に転用できる資産を創出せず、かつ、現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を当社が有していることから、資産の支配を一定の期間にわたって顧客に移転していると考えております。

 このため、報告期間の末日において測定した履行義務の充足に係る進捗度に基づき、工事期間にわたって売上高を認識しております。なお、当社は、総工事原価の妥当な積算を行うこと、及びこれらの契約に係る進捗度を合理的に見積ることが可能であることから、進捗度の測定についてはインプット法の使用が適切であると考えており、契約ごとの工事原価総額に対する発生工事原価の割合を用いております。

(キ)製品保証引当金

 当社グループは、将来発生すると予想される無償保証工事費用に備えるため、製品保証引当金を過去の実績に基づいて算定し、計上しています。