E01551 Japan GAAP
前期
5,122.7億 円
前期比
117.5%
株価
3,165 (04/19)
発行済株式数
379,830,231
EPS(実績)
108.60 円
PER(実績)
29.14 倍
前期
767.5万 円
前期比
100.5%
平均年齢(勤続年数)
41.0歳(15.0年)
従業員数
3,375人(連結:13,020人)
当企業集団が営んでいる主な事業内容と、当該事業に係わる各社の位置づけは次のとおりです。
株式会社ダイフク
マテリアルハンドリングシステム・機器、洗車機等の製造販売を行っています。
㈱コンテックの企業グループから製品に組み込まれる電子機器を購入し、㈱ダイフク・マニュファクチャリング・テクノロジーをはじめとする国内の連結会社へ物流機器の設計・製造等を委託しています。
また、Daifuku North America Holding Companyの企業グループ、Clean Factomation, Inc.をはじめとするその他の連結会社は、㈱ダイフクから供給されるマテリアルハンドリングシステムのコンポーネントと現地で生産・調達する部材を組み合わせて、販売や据付工事、アフターサービスを行っています。
コンテックグループ
㈱コンテック及びその連結会社は、パソコン周辺機器・産業用コンピュータ・ネットワーク機器の開発、製造、販売を行っています。
Daifuku North America Holding Company(DNAHC)グループ
Daifuku North America Holding Company及びその連結会社は、北米を中心にマテリアルハンドリングシステム・機器の製造販売を行っています。
Clean Factomation, Inc.(CFI)
Clean Factomation, Inc.は、主に韓国の半導体メーカーにクリーンルーム内搬送システムを提供しています。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
<事業系統図>
当連結会計年度(2023年3月期)における当社グループを取り巻く事業環境は、物流・半導体関連で高水準の投資が継続しました。また、EVシフトの加速や、空港利用の回復に伴う需要も顕在化しました。一方、インフレやサプライチェーンの混乱、欧米経済の減速懸念等、経済環境全般では不透明な状況が続きました。
このような経済・事業環境において、当社グループの受注は、各システム向けとも伸長し、特に半導体・液晶生産ライン、空港向けシステムは好調に推移しました。売上は、部材調達期間が長期化している影響を受けたものの、豊富な前期末受注残高をベースに半導体・液晶生産ライン、空港向けシステムがけん引し、全体としては好調に推移しました。
この結果、受注高は7,374億75百万円(前年同期比25.2%増)、売上高は6,019億22百万円(同17.5%増)となりました。
利益面では、原材料費・人件費等が高騰した影響を受けたものの、売上高の増加により営業利益は588億54百万円(同17.1%増)、経常利益は597億59百万円(同16.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は412億48百万円(同15.0%増)となりました。
受注高、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも過去最高となりました。
なお、当期の当社グループの平均為替レートは、米ドルで132.09円(前期110.39円)、中国元で19.50円(同17.13円)、韓国ウォンで0.1020円(同0.0963円)等となりました。為替の変動により、前期比で受注高は約713億円、売上高は約415億円、営業利益は約22億円、それぞれ増加しました。
2024年3月期の業績予想は、半導体関連の一時的な投資抑制による受注の減少、及びインフレ・人件費高騰の影響による減益を見込んでおり、受注高6,300億円、売上高6,050億円、営業利益545億円、経常利益555億円、親会社株主に帰属する当期純利益405億円、売上高営業利益率9.0%としています。
このような経済・事業環境のもと、当社グループは、特に人手不足によって一層加速している自動化の流れを着実に受注につなげて売上を伸ばすとともに、DXの推進等により引き続き収益性・生産性の向上を図ってまいります。また、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を目指してまいります。
2024年3月期の為替レートは対米ドル133.45円(2023年3月期実績レート132.09円)、対中国元19.43円(同19.50円)、対韓国ウォン0.1041円(同0.1020円)などで計画を立てており、為替による大きな影響は見込んでいません。
上記の業績予想は、主に受注済の案件の進捗見込みや今後受注が見込まれる案件の確度や時期、期中の進捗度合いを想定し算出していますが、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の顧客の動向・競合状況、「3 事業等のリスク」に記載している各種リスク要因などのさまざまな不確定要素により、実際の業績は記載の見通しと異なる可能性があります。
2023年3月期 実績
セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。
なお、当社グループのうち、株式会社ダイフク、株式会社コンテックをはじめとする国内の会社が3月末決算であるのに対し、海外子会社については、そのほとんどが12月決算のため2022年1月から2022年12月末までの期間の状況を記載しています。
〔図〕報告セグメントの業績
※1 DNAHC = Daifuku North America Holding Company
※2 CFI = Clean Factomation, Inc.
受注・売上ともに全領域で順調に推移しました。
セグメント利益は、原材料費等が高騰している影響を受けたものの、売上増等に伴い増加しました。
この結果、受注高は2,931億25百万円(前年同期比11.7%増)、売上高は2,388億55百万円(同6.1%増)、セグメント利益は340億53百万円(同18.8%増)となりました。
日本市場では企業の設備投資が回復傾向にあり、産業用コンピュータ製品、計測制御用ボードをはじめとしたIoT機器製品の販売が増加しました。一方、セグメント利益は、部材価格高騰の影響を受け、減益となりました。
この結果、受注高は192億92百万円(前年同期比1.6%減)、売上高は186億4百万円(同17.8%増)、セグメント利益は9億88百万円(同19.6%減)となりました。
受注は、全領域で伸長しましたが、特に自動車生産ライン、空港向けシステムが好調に推移しました。売上は、前期末受注残高をベースに順調に推移しました。
セグメント利益は、労務費・人件費の高騰の影響を受け、減益となりました。
この結果、受注高は2,110億47百万円(前年同期比56.1%増)、売上高は1,587億69百万円(同13.0%増)、セグメント利益は61億84百万円(同17.6%減)となりました。
④ Clean Factomation, Inc.(CFI)
韓国半導体メーカーの旺盛な設備投資により、受注、売上、セグメント利益とも増加しました。
この結果、受注高は481億77百万円(前年同期比31.0%増)、売上高は426億94百万円(同48.9%増)、セグメント利益は29億61百万円(同41.2%増)となりました。
⑤ その他
「その他」は、当社グループを構成する連結子会社68社のうち、上記②③④以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・洗車機等の製造・販売・工事・サービスを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。
国内子会社:
株式会社ダイフクプラスモアは、各種洗車機の販売等を行っています。販売台数は、顧客への政府補助金政策により好調に推移し、年間としては過去最高となりました。
海外子会社:
中国、台湾、韓国、タイ、インドなどにマテリアルハンドリングシステムの生産拠点があり、最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。
また、北中米、アジア、欧州、オセアニアには販売・工事・サービスを行う子会社を幅広く配置しています。
受注・売上とも、アジアにおける半導体・液晶生産ライン向けシステムがけん引して好調に推移し、セグメント利益も前期から大きく伸長しました。
この結果、受注高は1,658億32百万円(前年同期比22.8%増)、売上高は1,409億14百万円(同34.4%増)、セグメント利益は56億35百万円(同51.0%増)となりました。
業種別や仕向け地別の詳細については、[図]業種別受注高・売上高及び[図]仕向け地別受注高・売上高をご参照ください。
[図]業種別受注高・売上高
[図]仕向け地別受注高・売上高
資産は、前連結会計年度末に比べ682億29百万円増加し、5,515億52百万円となりました。これは主に、受取手形・完成工事未収入金等及び契約資産が411億61百万円、原材料及び貯蔵品が153億93百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ279億65百万円増加し、2,192億28百万円となりました。これは主に、契約負債が232億19百万円増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ402億64百万円増加し、3,323億23百万円となりました。これは主に、利益剰余金が292億66百万円、為替換算調整勘定が116億77百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ162億82百万円減少し、1,023億89百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、200億34百万円となりました(前年同期は566億91百万円の増加)。これは主に、税金等調整前当期純利益が550億52百万円あったものの、売上債権及び契約資産の増加が316億93百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、118億74百万円となりました(前年同期は98億28百万円の減少)。これは主に、固定資産の取得による支出が137億16百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、301億87百万円となりました(前年同期は275億50百万円の減少)。これは主に、配当金の支払額が119億82百万円、長期借入金の返済による支出が159億円あったことによるものです。
連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象としています。
5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
6 2023年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。このため、2022年3月期連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、時価ベースの自己資本比率を算定しています。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
① 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A(シングルAフラット)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めてまいります。
② 経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約1.5~2.0カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要事項と位置づけ、剰余金の配当については、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金については内部留保金として、今後の成長に向けた投資資金に充てる方針です。
設備投資・研究開発に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。現中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期の3年間累計)では総額839億円となる予定です。
③ 資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。
固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。
④ 資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しています。グループ内では資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため信用格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「A(シングルAフラット)」となっています。一方、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。なお、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5経理の状況 2財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(6) 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社及び連結上の調整額です。
当連結会計年度(2023年3月期)の受注高は25.2%増と大きく伸び、売上高も豊富な前期末受注残高を背景に17.5%増となりました。また、営業利益は17.1%増、経常利益は16.6%増、親会社株主に帰属する当期純利益も15.0%増となり、いずれも過去最高となりました。
業績に大きく影響したのは、日本や北米における一般製造業・流通業向けシステムへの投資が引き続き旺盛なことに加え、アジアにおける半導体・液晶生産ライン向けシステムが伸長したことです。特に「デジタル化の進展」により半導体業界が活況となり、積極的な投資が続きました。リスク管理にも注意しながら、コストダウンによる収益性の改善に注力していきます。
空港向けシステムも、アフターコロナで空港利用の回復に伴う需要が顕在化し、受注・売上とも好調に推移しました。
自動車生産ライン向けシステムも、「EVへのシフト」の加速により北米を中心に好調に推移しました。
当社グループの経営成績の分析の詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要」、課題分析や今後の施策などの詳細は「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
2022年3月期からスタートした3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」では、最終年度である2024年3月期の連結売上高6,000億円を経営目標の一つとして掲げていましたが、4つのコア事業(一般製造業・流通業向けシステム、半導体・液晶生産ライン向けシステム、自動車生産ライン向けシステム、空港向けシステム)が好調に推移し、2023年3月期の連結売上高は6,019億円となり、目標を1年前倒しで達成しました。2024年3月期も4つのコア事業が高水準で推移することが見込まれるため、連結売上高は6,050億円を目指します。
一方、最終年度の営業利益率は10.5%を目標にしていましたが、2023年3月期の営業利益率は9.8%でした。2024年3月期は原材料費・人件費上昇に伴うコスト増もあり9.0%の予想で、残念ながら目標には届かない見込みです。
なお、「Value Transformation 2023」におけるROEの目標は10%以上ですが、2023年3月期のROEは13.2%でした。2024年3月期についてもROE10%以上を確保できる見込みです。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めています。
当社グループの収益構造は、親会社株主に帰属する当期純利益の大部分をダイフクが上げています((1) 経営成績等の状況の概要 [図]報告セグメントの業績)。ダイフクのさらなる収益性向上を図ることはもちろん、海外を中心としたダイフク以外のセグメントの収益力向上が課題です。
また、「第1企業の概況 3事業の内容」に記載のとおり、当社グループの主な事業であるマテリアルハンドリングシステムの製造・販売は、グループ各社の密接な連携の上に成り立っており、グループ全体の横断的な取り組みが重要になります。詳細については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」をご参照ください。