E01583 Japan GAAP
前期
635.5億 円
前期比
90.5%
株価
1,354 (04/19)
発行済株式数
11,743,587
EPS(実績)
204.62 円
PER(実績)
6.62 倍
前期
485.0万 円
前期比
101.0%
平均年齢(勤続年数)
40.5歳(13.6年)
従業員数
751人(連結:1,009人)
当社グループは、「当社」、「連結子会社6社、非連結子会社1社及び関連会社6社」で構成され、建設用クレーン、油圧ショベル等及びその他の製品の製造ならびに販売を主な事業としております。
当社グループのセグメントは、製造・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」は当社(建設用クレーン・油圧ショベル等・その他の製品)、「中国」は加藤(中国)工程机械有限公司(油圧ショベル等)及び加藤中駿(厦門)建機有限公司(油圧ショベル等)、「その他」はKATO WORKS(THAILAND)CO.,LTD.(建設用クレーン)、KATO IMER S.p.A.(油圧ショベル等)等の3つで構成されています。
事業系統図は次のとおりです。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済社会活動の正常化が進み景気は持ち直しの動きがみられました。
一方、世界経済は、新型コロナウイルス感染症回復過程による需要急増やロシア・ウクライナ侵攻の長期化等によりインフレが進行、欧米を中心とした金融引き締め政策により為替市場は大幅に変動しました。
また、中国経済においては、ゼロコロナ政策を堅持していたものの急激に政策転換、転換後も需要低迷は続き先行き不透明な状況は継続しています。
このような状況下、当社は2022年度を新たな中期経営計画の初年度として、中期経営計画の基本方針として掲げた「収益性改善・強化」「財務体質の改善」「将来の基盤構築」に取り組んでおります。
当連結会計年度の経営成績は、サプライチェーン混乱の影響を受け、売上高は575億3千万円(前年同期比90.5%)と、前期比60億1千8百万円の減収となりましたが、中計施策で掲げた収益性改善・強化の各施策が奏功し、外貨建て輸出製品の為替差益もあり、営業利益12億5千8百万円(前年同期は営業損失72億2千2百万円)、経常利益18億6千5百万円(前年同期は経常損失69億2千9百万円)、構造改革の一環として前年度に売却方針を決定した常陸那珂工場(仮称)の売却により、9億9千万円を特別利益に計上しました。
親会社株主に帰属する当期純利益24億3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失95億7千5百万円)となりました。
国内の建設用クレーンの売上高は、315億2千1百万円(前年同期比102.0%)とほぼ横ばいの推移となりました。ラフターの新機種投入効果もあり、中・大型クレーンが増加しました。海外売上高は、サプライチェーン混乱による供給制約の中、国内受注残を優先したため、前年度好調であったアジア向けが減少し、売上高は37億5百万円(前年同期比73.0%)となりました。
国内向け油圧ショベル等の売上高は、サプライチェーン混乱の影響を受け、85億3千3百万円(前年同期比74.4%)となりました。海外向け油圧ショベル等は、欧米向けが堅調に推移する一方、その他の地域が伸び悩み、売上高は63億5百万円(前年同期比107.3%)となりました。
よって、日本の売上高は509億7千4百万円(前年同期比93.7%)、セグメント利益は18億4千5百万円(前年同期はセグメント損失23億3百万円)となりました。
中国は、市場低迷により、厳しい販売環境にて推移いたしました。
中国の売上高は29億6千8百万円(前年同期比49.4%)となり、セグメント損失は9億7千2百万円(前年同期はセグメント損失51億6千9百万円)となりました。
その他の地域におきましては、欧州などの需要は旺盛なものの、他地域が伸び悩み、売上高は55億7千2百万円(前年同期比95.7%)となり、セグメント利益は4千9百万円(前年同期はセグメント損失1億3千8百万円)となりました。
財政状態については、次のとおりであります。
(資産の状況)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末の1,026億4千5百万円に比べ38億4千6百万円減少し、987億9千9百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加13億8百万円、破産更生債権等の増加2億9千6百万円と売掛金の減少12億3千8百万円、棚卸資産の減少4億8千7百万円、有形固定資産の減少20億5千3百万円によるものであります。
(負債の状況)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末の584億円に比べ65億7百万円減少し、518億9千3百万円となりました。これは主として、支払手形及び買掛金の増加2億4千3百万円と長期借入金の減少53億3千3百万円、1年内長期借入金の増加34億3百万円、短期借入金の減少32億5千8百万円によるものであります。
(純資産の状況)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末の442億4千5百万円に比べ26億6千万円増加し、469億6百万円となりました。これは主として、利益剰余金の増加22億8千5百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は199億7千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ13億8百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、64億7千1百万円の増加となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益25億1百万円、減価償却費15億7千6百万円、貸倒引当金の増加3億3千9百万円、売上債権の減少37億3千6百万円及び棚卸資産の減少7億3千万円の増加要因と固定資産売却益9億9千2百万円の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、13億6千9百万円の増加となりました。その主な要因は、有形固定資産の売却による収入14億5千3百万円の増加要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、66億6百万円の減少となりました。その主な要因は、長期借入金の返済による支出44億5百万円、短期借入金の純減少額12億4千4百万円、社債の償還による支出5億2千4百万円、割賦債務の返済による支出3億3百万円の減少要因によるものであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)自己資本比率: 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率: 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率: 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ: 営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を用いております。
※2020年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業キャッシュ・フロー数値がマイナスのため、表記を省略しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 当連結会計年度において、中国セグメントにおいて生産実績に著しい変動がありました。これは主に市場低迷によるものであります。
当社グループの主要製品の生産方式は、ほとんどが見込生産方式なので、受注実績の記載は省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、中国セグメントにおいて販売実績に著しい変動がありました。これは主に市場低迷によるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は575億3千万円(前年同期比90.5%)となりました。主要品目別の売上高の状況及び分析は以下のとおりであります。
建設用クレーン
国内売上高は315億2千1百万円(前年同期比102.0%)と微増で推移しました。35t・60tラフターの新機種投入効果もあり、大型ラフターが増加しました。海外売上高は、前年度好調であったアジア向けが減少し、36億6千9百万円(前年同期比58.5%)となりました。よって、建設用クレーンの売上高は351億9千万円(前年同期比94.7%)となりました。
油圧ショベル等
国内売上高は、公共工事・民間工事の回復から需要は堅調に推移し、85億3千3百万円(前年同期比74.4%)となりました。海外売上高は、中国において景気後退により減少したものの、北米・欧州での需要が増加したため、128億9千8百万円(前年同期比93.3%)となりました。よって、油圧ショベル等の売上高は214億3千1百万円(前年同期比84.7%)となりました。
その他
その他の売上高は9億8百万円(前年同期比82.8%)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ24億6千5百万円増加し、91億円(前年同期比137.2%)となりました。その主な要因は、サプライチェーン混乱の影響を受け、計画通りの製品生産が厳しい中で、販売価格の見直し、利益重視の販売戦略の徹底、アフター市場での部品販売の強化、これまで取り組んできた製品コストの削減などの施策効果が発現し、その結果、売上総利益率は5.4ポイント増加し、15.8%となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損益は、売上高が減少するなか、販売費及び一般管理費の削減に努めたため、前連結会計年度と比較し84億8千1百万円増加し、営業利益12億5千8百万円(前年同期は営業損失72億2千2百万円)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、受取配当金の増加、為替差益の増加、貸倒引当金戻入額及び製品保証引当金戻入額の増加により、2億5千7百万円増加し、12億6千9百万円(前年同期比125.5%)となりました。営業外費用は、5千5百万円減少し、6億6千3百万円(前年同期比92.3%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常損益は、前連結会計年度に比べ87億9千4百万円増加し、経常利益18億6千5百万円(前年同期は経常損失69億2千9百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の特別利益は、「構造改革によるキャッシュ・フロー改善」の施策の一環として常陸那珂工場(仮称)の売却による固定資産売却益により、前連結会計年度に比べ4億6千6百万円減少し、9億9千2百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べ31億9千万円減少し、3億5千6百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は24億3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失95億7千5百万円)となりました。
b.キャッシュ・フローの状況及び、資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要は主に運転資金、設備投資資金、研究開発資金であります。
運転資金のうち主なものは、製品製造のための原材料や販売用部品の仕入費用や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。当社グループは製造メーカーではありますが、外注先等による部品・半製品の製造のリードタイムを相当程度必要とするため、先行した部材の確保が必要です。また販売用部品の欠品を防ぐ必要性からも在庫負担が大きいという特徴があります。
設備投資資金は主として、生産活動に必要な工場設備であり、研究開発資金は新製品の開発に係る費用及び開発部門の人件費であります。
これらの資金需要につきまして、短期資金需要については、手元資金や営業活動により得られたキャッシュ・フロー及びコミットメントライン等の融資枠による金融機関からの短期借入を基本としております。また、長期運転資金及び大規模な設備投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入や社債を基本としております。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は341億5千1百万円、現金及び現金同等物の残高は199億7千7百万円となり、よってネット有利子負債は141億7千3百万円(前年同期比65.7%)となりました。有利子負債が大きく減少している理由といたしましては、中期経営計画で掲げている運転資本の適正化により、売掛債権の回収や棚卸資産残高の適正化による営業キャッシュフローの増加によって、金融機関の借入返済を図ったことによります。
なお、常陸那珂工場(仮称)の建設中止・売却方針により当面の新工場の建設等に係る設備投資資金の需要は終了しましたが、コア事業及び将来成長に向けた新製品の開発には積極的かつ集中的に資金を振り向けていきます。
当社グループは持続的な成長と企業価値の向上を実現するために2023年3月期を初年度とする「中期経営計画2022-2024『スリムで骨太体質への変革』―次なる飛躍に向けた徹底的な変革の3年―」を策定し、厳しい事業環境下においても、コスト構造を根本から見直し、強靭な利益体質へと生まれ変わるために、その進捗を計る経営指標として、売上高、売上原価率、営業利益、営業利益率、棚卸資産残高を定めております。中期経営計画最終年度の2024年度(2025年3月期)においては、売上高664億円、売上原価率83.2%、営業利益31億円、営業利益率4.7%、棚卸資産残高327億円を数値目標としております。
中期経営計画初年度の2022年度(2023年3月期)においては、売上高641億円、売上原価率85.4%、営業利益13億円、営業利益率2.0%、棚卸資産残高310億円を数値目標としておりました。当連結会計年度の実績値は以下となり、サプライチェーン混乱、中国市場低迷により売上高は未達となりましたが、売上原価率・営業利益額・営業利益率・棚卸資産残高はほぼ達成しております。
d.経営成績等に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性がある事項については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種の進展等により新規感染者数が減少傾向でありますが、世界各国の地域状況により、再度の感染拡大の恐れがあるとともに、ロシアのウクライナ侵攻により、世界経済の先行きの不透明感は一層高まっております。
また、それに伴い当社グループの製品においては、多くの部材や外注品、多種の油圧部品や電子・自動車部品を必要とする為、今後も加速するであろう世界的な部品調達難及び物流価格の高騰により売上高及び利益に影響を及ぼす要因があります。
主としては、
・仕入先企業からの部品や資材の調達難による生産の見合わせ
・国内及び海外工場の生産調整、生産停止による稼働率の低下
・取引先からの受注の減少、キャンセルによる製品販売台数の減少、滞留在庫の増加
・製品の需給バランスが崩れることによる製品販売価格の下落
・取引先の財政状態悪化、信用不安による貸倒リスクの増加
であります。
そのため中期経営計画で掲げる「収益性改善・強化」、「財務体質の改善」「将来の基盤構築」を継続的に進め、生産・販売・設計のIT環境の充実、組織変更などの事業体制の整備はもとより、品質保証部門や経営企画部門の整備による管理体制の強化を進め、常に市場動向及び業界動向に注視しつつ、社会及び顧客のニーズに合った製品開発とサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。