売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01650 Japan GAAP

売上高

3,724.8億 円

前期

2,558.6億 円

前期比

145.6%

時価総額

1,634.9億 円

株価

2,774 (07/12)

発行済株式数

58,938,210

EPS(実績)

503.48 円

PER(実績)

5.51 倍

平均給与

746.2万 円

前期

640.8万 円

前期比

116.4%

平均年齢(勤続年数)

44.7歳(20.6年)

従業員数

3,468人(連結:11,398人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(グローリー株式会社)、子会社100社及び関連会社7社により構成されており、主に「金融市場」「流通・交通市場」「遊技市場」「海外市場」の4つのセグメントに対し、通貨処理機・セルフサービス機器の製造・販売・保守、電子決済サービス、生体認証ソリューション、ロボットSI等の提供を行っております。

 当社グループの事業に係る当社と主要な関係会社の位置付け及び事業区分との関連は、次のとおりであります。

 

 

金融市場

流通・交通市場

遊技市場

海外市場

その他

国内

グローリー㈱

グローリープロダクツ㈱

グローリーナスカ㈱

 

 

 

 

北海道グローリー㈱

 

 

海外

光栄電子工業(蘇州)有限公司

 

 

 

 

GLORY (PHILIPPINES), INC.

 

 

 

 

Sitrade Italia S.p.A.

 

 

 

 

Glory Global Solutions Ltd.

 

 

 

 

Glory Global Solutions (International) Ltd.

 

 

 

 

Glory Global Solutions (France) S.A.S.

 

 

 

 

Glory Global Solutions Inc.   (注)

 

 

 

 

Glory Global Solutions (Singapore) Pte. Ltd.

 

 

 

 

Glory Global Solutions (Shanghai) Co., Ltd.

 

 

 

 

Acrelec Group S.A.S.

 

 

 

 

Revolution Retail Systems, LLC (注)

 

 

 

 

Flooid Topco Limited

 

 

 

 

(注)2024年4月1日付で、Glory Global Solutions Inc. を存続会社とし、Revolution Retail Systems, LLC を消滅会社とする吸収合併を行っております。

 

 事業の系統図は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

24/06/24

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国においては堅調な設備投資や個人消費を背景に景気が拡大傾向となりましたが、欧州や中国では回復に遅れが見られました。また、不安定な国際情勢による影響が懸念される状況が継続いたしました。

わが国経済におきましては、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、社会経済活動が正常化したことやインバウンド需要の持直しもあり、景気は回復基調となりました。一方で、円安の進行や物価上昇が継続し依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。

こうした状況のなか、当社グループは、2021年4月からの3ヶ年を計画期間とする『2023中期経営計画』の最終年度として、「コア事業と新領域事業のクロス成長」をコンセプトに事業活動に取り組んでまいりました。

コア事業につきましては、海外市場において、金融市場及びリテール市場ともに、人件費高騰や人手不足対応に伴うセルフ化ニーズが継続し、製品・サービスの需要は堅調に推移いたしました。加えて、半導体を始めとする部品調達難が解消し、生産が正常化したことにより主要製品の販売が増加いたしました。また、当社の米国連結子会社であるGlory Global Solutions Inc.とRevolutionグループとの間で米州地域における販売・保守事業の一元化を進めるなど、両社の統合による事業効率化に向けた準備を行ってまいりました。(*) 国内市場においては、金融市場及び流通・交通市場では、2024年7月3日に予定されている新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業が通期にわたって継続し、製品売上高、保守売上高ともに大幅に増加いたしました。また、遊技市場では、スマート遊技機向けカードシステムの販売が好調に推移いたしました。

新領域事業につきましては、海外においては、Acrelecグループが展開するセルフサービスキオスク関連事業が堅調に推移いたしました。また、リテール市場向けソリューションの充実やソフトウェア事業の拡大を目的に、小売業向けクラウドソリューションであるユニファイド・コマース・プラットフォームを開発・販売する英国Flooidグループを2024年1月に買収いたしました。国内においては、当社のリテールメディア事業「BUYZO Media」の拡大に向け、業務提携や実証実験に取り組んでまいりました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、372,478百万円(前期比 45.6%増)となりました。このうち、製品及び商品売上高は、231,844百万円(前期比 49.5%増)、保守売上高は、140,633百万円(前期比 39.5%増)でありました。利益につきましては、営業利益は、51,276百万円(前期比 9,709.2%増)、経常利益は、48,438百万円(前期は 2,720百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は、29,674百万円(前期は 9,538百万円の損失)となり、売上高、利益ともに過去最高を更新いたしました。

 

(*)Glory Global Solutions Inc.によるRevolutionグループの吸収合併を2024年2月28日付で決議し、2024年4月1日付で手続きが完了いたしました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(金融市場)

主要製品である「オープン出納システム」及び窓口用「紙幣硬貨入出金機」や「紙幣両替機」の販売は、好調でありました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。

この結果、当セグメントの売上高は、78,422百万円(前期比 116.3%増)、営業利益は、24,179百万円(前期比 15,785.3%増)となりました。

 

(流通・交通市場)

主要製品である「レジつり銭機」及び警備輸送会社向け「売上金入金機」の販売は好調でありました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。

この結果、当セグメントの売上高は、74,774百万円(前期比 64.0%増)、営業利益は、10,593百万円(前期は 571百万円の損失)となりました。

 

(遊技市場)

主要製品である「カードシステム」の販売は、スマート遊技機向けのユニットが好調でありました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。

この結果、当セグメントの売上高は、28,201百万円(前期比 86.3%増)、営業利益は、10,030百万円(前期比 517.4%増)となりました。

(海外市場)

米州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」及びリテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、89,419百万円(前期比 29.0%増)となりました。

欧州では、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」の販売は低調でしたが、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は順調であり、売上高は、79,489百万円(前期比 12.3%増)となりました。

アジアでは、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調であり、売上高は、16,330百万円(前期比 3.3%増)となりました。

また、Acrelecグループの売上高は、29,916百万円(前期比 33.2%増)であり、Revolutionグループの売上高は、17,994百万円(前期比 1.3%増)でありました。

この結果、当セグメントの売上高は、185,239百万円(前期比 18.8%増)、営業利益は、6,645百万円(前期比 1,422.4%増)となりました。

 

その他の事業セグメントにつきましては、売上高は、5,840百万円(前期比 96.6%増)、営業損益は、173百万円の損失(前期は 1,118百万円の損失)となりました。

 

また、当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。

総資産は、前連結会計年度末に比べ85,799百万円増加し、467,072百万円となりました。主な要因は、のれん28,642百万円、受取手形、売掛金及び契約資産26,418百万円、棚卸資産16,068百万円の増加であります。

負債は、前連結会計年度末に比べ53,038百万円増加し、238,326百万円となりました。主な要因は、長期借入金24,985百万円、未払法人税等10,583百万円、賞与引当金7,811百万円の増加であります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ32,761百万円増加し、228,746百万円となりました。主な要因は、資本剰余金12,286百万円の減少、及び、利益剰余金25,566百万円、為替換算調整勘定14,389百万円の増加であります。

この結果、自己資本比率は48.8%(前連結会計年度末は50.7%)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,520百万円減少し、35,173百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、41,854百万円の収入となりました(前期は16,486百万円の支出)。これは、主に税金等調整前当期純利益46,814百万円、減価償却費13,380百万円、のれん償却費7,560百万円等の資金の増加があった一方、棚卸資産の増加9,901百万円、売上債権の増加20,278百万円等の資金の減少があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、33,577百万円の支出となりました(前期は9,364百万円の支出)。これは、株式会社フュートレック等の株式売却による収入が1,138百万円があった一方、製品の製造に係る金型・治工具類にかかる有形固定資産の取得による6,376百万円の支出、ソフトウェア等の無形固定資産の取得による1,876百万円の支出、Flooid Topco Limitedの株式取得等による28,002百万円の支出があったためであります。

 

以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは8,276百万円の収入となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、13,957百万円の支出となりました(前期は8,526百万円の収入)。これは、主に借入金の純増減額による18,954百万円の収入があった一方、Sitrade Italia S.p.A.株式の追加取得による支出14,600百万円、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払い5,804百万円等の支出があったためであります。

 

 

※画像省略しています。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、当社グループ(当社及び連結子会社)の生産実績のうち、当社及び主な海外連結子会社の金額を記載しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

金融市場(百万円)

26,324

127.0

流通・交通市場(百万円)

29,498

134.3

遊技市場(百万円)

11,492

196.1

海外市場(百万円)

49,667

111.9

報告セグメント計(百万円)

116,982

125.9

その他(百万円)

691

190.1

合計(百万円)

117,673

126.1

 (注)金額は当社及び主な海外連結子会社の製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社グループの製品は、大部分が見込生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

金融市場(百万円)

78,422

216.3

流通・交通市場(百万円)

74,774

164.0

遊技市場(百万円)

28,201

186.3

海外市場(百万円)

185,239

118.8

報告セグメント計(百万円)

366,637

145.0

その他(百万円)

5,840

196.6

合計(百万円)

372,478

145.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

(経営成績等の概要)

 

※画像省略しています。

※画像省略しています。

 

■ 売上高 : 372,478百万円(前期比 116,621百万円増)

生産の正常化、及び国内の新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業により、前期比45.6%増加いたしました。

 

■ 営業利益 : 51,276百万円(前期比 50,754百万円増)

 経常利益 : 48,438百万円(前期比 51,158百万円増)

 親会社株主に帰属する当期純利益 : 29,674百万円(前期比 39,212百万円増)

 

売上高の増加、及び半導体等の部材価格高騰の影響が緩和し、大幅な増益となりました。主な増益要因といたしましては、売上高の増加による効果が41,582百万円、原価率の改善による効果が29,777百万円でありました。一方、減益要因といたしましては、円安影響による海外コストの増加や新紙幣発行への対応に伴う物流コストなどの増加等により販管費が20,604百万円増加いたしました。また、為替の影響につきましては売上高でプラス15,731百万円、営業利益でプラス1,097百万円の影響がありました。

 

なお、当社グループは、2023中期経営計画期間(2022年3月期から2024年3月期)において、目標とする経営指標を、自己資本当期純利益率(ROE)、売上高、及び営業利益としております。当事業年度の自己資本当期純利益率(ROE)は、14.1%でありました。売上高、営業利益につきましては前述のとおりであり、ともに過去最高となりました。

 

 

(セグメント別の概況)

 

※画像省略しています。※画像省略しています。

 

■ 海外市場

売上高につきましては、金融市場向け「紙幣入出金機(RBG/GLRシリーズ)」及び、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売が継続するセルフ化ニーズを捉え好調でありました。また、保守売上高の増加や円安の進行に加え、Acrelecグループの売上高増加により増収となりました。営業利益につきましては、売上高の増加や部材価格高騰の影響緩和により大幅に改善いたしました。

 

地域別では、米州におきましては、金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」、及びリテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は、セルフ化ニーズを捉え好調でありました。加えて、円安や保守売上高の増加により大幅な増収となりました。また、Revolutionグループの売上高は前期並みでしたが、Acrelecグループの売上高は前期から大幅に増加いたしました。

欧州におきましては、主要製品である金融市場向け「紙幣入出金機<RBG/GLRシリーズ>」の販売は低調でありましたが、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調でありました。また、Acrelecグループの売上高の増加に加え、円安や保守売上高の増加により地域全体で増収となりました。

アジアにおきましては、金融市場向け「紙幣整理機」の販売が増加いたしました。また、リテール市場向け「紙幣硬貨入出金機<CI/CI-Xシリーズ>」の販売は好調に推移いたしました。加えて、Acrelecグループの売上高も増加いたしましたが、地域全体では前期並みとなりました。

 

※画像省略しています。

子会社につきましては、Acrelecグループは、特に欧州のファストフードチェーンにおける販売は好調に推移し、売上高は29,916百万円(前期比 7,452百万円増)となりました。

地域別では、米州におきましては、米国でセルフサービスKIOSKの販売が順調に推移しているほか、大手F&B向けの大口商談も活発化しております。

欧州におきましては、ドイツや英国での販売が増加しております。英国ではファストフードチェーン等への販売が順調であり、ドイツでは大手ガソリンスタンド向けにKIOSKを販売するなど、飲食以外にも市場が拡大しています。

アジアにおきましては、フィリピン、台湾、タイ、日本などの大手ファストフードチェーン向けにセルフサービスKIOSKの販売が進みました。

 

Revolutionグループにつきましては、売上高は17,994百万円(前期比 236百万円増)と前期並みとなりました。

販売につきましては、主要顧客向けの紙幣硬貨入出金機をグローリー製品に置き換えていることもあり、Glory Global Solutions Inc.(米)(以下、「GGS Inc.」とする。)による販売への切り替えが進みました。営業利益につきましては、切り替えによる販売数量の減少やGGS Inc.との販売・保守事業の統合に向けた取り組みに伴う先行投資により営業損失が拡大しました。

なお、2024年4月1日付で当社の米国連結子会社であるGGS Inc.がRevolutionグループを吸収合併いたしました。これにより、米国市場における事業運営の効率化を図り、米州地域全体での業績向上に努めてまいります。

 

■ 金融市場

売上高につきましては、新紙幣発行に伴う製品の更新や改造作業により、主要製品である「オープン出納システム」の販売が前期比 179.7%増、また「窓口用紙幣硬貨入出金機」の販売は前期比 161.0%増となりました。また、保守売上高につきましても増加いたしました。
 営業利益につきましては、プロダクトミックスの改善、及び改造作業に伴う増収等により大幅な増益となりました。

 

■ 流通・交通市場

売上高につきましては、主要製品である「レジつり銭機」の販売は前期比 77.3%増となりました。また、警備輸送会社向け「売上金入金機」の販売につきましても前期比 189.6%増と好調に推移いたしました。加えて、新紙幣発行に伴う改造作業により保守売上高も増加いたしました。
 営業利益につきましては、製品売上高、及び保守売上高の増加等により増益となりました。

 

■ 遊技市場

売上高につきましては、主要製品である「カードシステム」の販売は、スマート遊技機向けのカードユニットの販売が好調に推移し、大幅な増収となりました。

営業利益につきましては、売上高の増加、及び構造改革の効果等により大幅に増加いたしました。

 

 

(企業価値向上への取り組み)

※画像省略しています。

※画像省略しています。

 

当社グループは、企業価値向上への取り組みとして、PBR(株価純資産倍率)1倍以上の早期実現を目指します。2026中期経営計画で掲げる財務目標の達成に加え、負債・資本構成の最適化、生産性向上やキャッシュ創出力強化により、ROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)、ROA(総資産利益率)を改善いたします。また、財務健全性とのバランスを考慮しつつ、成長投資や株主還元の強化に取り組んでまいります。

特に、株主還元に関しましては、「2023年度(2024年3月期)の配当金額(1株につき年間106円)を基準とした累進配当及び株主資本配当率(DOE)3%以上」を配当目標と定め、安定的・継続的な増配による株主還元の強化を図ります。

また、近年社会的な要請が高まっている非財務目標への取り組みや開示の強化、投資家との継続的な対話によるエンゲージメント向上に注力することで企業価値向上に取り組んでまいります。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

1)財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、財務の安全性を維持しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。

 財務の安全性の維持に関しては、信用格付(R&I)「A」以上の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。

 同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用を進めることにより、資本コストの低減及び資本効率向上にも努めてまいります。

 設備投資及び事業投資に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。これらの方針のもと、2023中期経営計画においては3年間累計で総額940億円の投資を実施し、その内訳は長期ビジョン2028達成に向けた戦略投資が690億円、コア事業の基盤強化を目的とした設備投資が250億円となりました。また、2024年4月より新たにスタートする2026中期経営計画の3年間累計では総額500億円の投資を計画しており、300億円を設備投資に、200億円を新領域事業への機動的な戦略投資(M&A等)とDX基盤整備やコア事業の生産性向上に向けた投資に充当する計画であります。

 なお、各年度の設備投資は減価償却費の範囲内とすることを原則とし、財務の安全性を維持し、妥当な水準の手元流動性を確保してまいります。

※画像省略しています。

 

2)経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。2026中期経営計画期間、イベントリスク耐性を十分に備えるべく、売上高の約2ヵ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、企業価値向上に資する戦略投資及び株主還元に配分するように考えております。

 

3)資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、コア事業に係る資金支出では、部品・原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費(賃借料、手数料、人件費など)などがあります。

 当事業年度においては、改刷対応に伴う生産影響及び部品調達に係るリスクに備えることを目的とした部材の確保等により資金需要が増加しました。

 また、長期ビジョン2028に掲げる事業ドメインの拡大に向けた戦略投資に係る資金支出は、新領域事業の創出・拡大に向けた業務提携及びM&Aなどがあります。

 

4)資金調達

 当社グループの事業活動維持及び拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部留保資金及び外部調達を有効に活用しております。

 コア事業の基盤強化を目的とした設備投資には、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を活用することを基本とし、戦略投資については、設備投資に配分後の営業キャッシュ・フローを充当することを基本とした上で、資金調達手段の多様化、資本コストの低減、資本効率向上を企図し、金融機関からの借入れや社債発行等有利子負債も積極的に活用しております。当事業年度における資金需要の増加については、金融機関からの借入金で調達しております。

 また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要経営課題と認識しており、当社グループの本報告書提出時点におけるR&Iの格付は「A(安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実現可能と認識しております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。