E31954 IFRS
前期
790.4億 円
前期比
101.6%
株価
832 (04/23)
発行済株式数
41,599,600
EPS(実績)
-30.99 円
PER(実績)
--- 倍
前期
512.6万 円
前期比
94.8%
平均年齢(勤続年数)
44.2歳(11.9年)
従業員数
460人(連結:3,066人)
当社グループは、奈良に本社を置く当社及び国内外の連結子会社23社により構成されております。主な事業として、精密ボール(プレシジョン・コンポーネントビジネス)、精密ローラー(同)、ボールねじ及び送風機(リニアビジネス)の製造販売を行っております。当社グループは、日本に加え、米国、イタリア、ポーランド、スロバキア、オランダ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イギリス、中国、タイ、インド及び台湾にて製造販売、また、シンガポール及び韓国にて当社製品の販売を行っております。
プレシジョン・コンポーネントビジネスは、2023年12月期における当社グループ売上収益のおよそ95%の事業であり、顧客の厳しい要求に合った様々な材質、サイズの20,000種類を超える幅広い高品質精密ボールを製造販売しております。さらに、幅広い範囲の精密ボールの在庫を十分な水準で保有しているため、通常は顧客に対して短い納期で納入する事ができます。
精密ボールは主に重要な構成要素としてボールベアリングに使用され、自動車や工作機械のような最終製品の品質、信頼性を確実なものとしております。精密ローラーは主に、当社グループの精密ボールと類似の用途に加えて、油圧ポンプ及びモーター等の一定の非ベアリング用途にも使用されます。
セラミックボールは、軽量でありながら高い強度を持っています。優れた絶縁性に加え、耐摩耗性、耐熱性、耐食性にも優れています。この特徴を活かして、工作機械のスピンドルモーターやターボチャージャー、高速で回転する歯科用ドリルなどのベアリングに使用されています。その他、浄水処理や食品関連の液体制御用の定量ポンプのチェックボールとしても使用されています。
風力発電機、電気自動車、5G技術をサポートする半導体製造装置など、環境に優しい未来を創造するためにツバキ・ナカシマのセラミックボールは不可欠です。
また、当社グループはボールペンのペン先ボールや医療用のプラスチック球のような様々な非ベアリング用途も製造販売しております。
リニアビジネスは、主に精度を左右する部品として工作機械等に使用されるボールねじ(直動軸受案内)及び中・大型送風機を製造販売しており、2023年12月期における当社グループ売上収益のおよそ5%の事業であります。
主な製品の特徴と用途は以下のとおりであります。
(事業系統図)
※ プレコンとは、プレシジョン・コンポーネントビジネスの略称になります。
(業績等の概要)
国内では、年初から全般的に需要の回復が続いておりましたが、下期後半から景気の一服感が強まっております。自動車産業では半導体不足の解消や円安により改善が継続したものの、一部メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり販売の伸長が縮小しており、また工作機械は需要の落ち込みから低調な状況が続いております。更には、全般的な物価上昇による総需要の減少やコストの増加、人手不足の深刻化による悪影響等一段と懸念されております。海外では、欧州や中国の景気低迷をアメリカの安定により世界経済を支えている状況にありますが、各所で利下げに転じる方向ではあるものの、いまだ既往の高インフレや金融引締影響が散見され、再度の需要減速等リスクを留意の上世界市場の動向も注視しております。
このような状況下、当期の売上収益は、主力事業のプレシジョン・コンポーネントビジネスの主要製品が、世界的な工作機械受注の落ち込み、また、当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等により、前期比1.6%増の80,337百万円となりました。
利益面につきましては、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円(その他の費用に計上した1,834百万円及び生産停止等による生産性低下影響132百万円)、更にボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上しましたが、前年同期に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等及びリニアビジネスののれんの減損損失13,562百万円がなくなったことから、営業利益は前期から9,918百万円増加し、853百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期損失は前期から7,802百万円改善しましたが、1,287百万円の損失となりました。
セグメント業績を示すと、次のとおりであります。
プレシジョン・コンポーネントビジネス
プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、世界的な工作機械受注の落ち込み、そして当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等あり、プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、前期比3.1%増の75,929百万円となりました。セグメント損益(営業損益)につきましては、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円を計上し、一方、前年同期に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等の減損損失9,546百万円がなくなったことから、前期から10,261百万円改善し、営業利益は4,804百万円となりました。
リニアビジネス
リニアビジネスの売上収益は、工作機械の受注の落ち込みや顧客の在庫調整などにより、前期比17.8%減の4,407百万円となりました。一方で、セグメント損益(営業損益)につきましては、前年同期に計上したリニアビジネスののれんの減損損失4,016百万円がなくなりましたが、売上減少及びボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上したことにより、前期から344百万円悪化し、3,972百万円の損失となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ6,187百万円増加し166,078百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が1,659百万円、棚卸資産が1,888百万円増加した一方、現金及び現金同等物が1,116百万円減少したため流動資産が2,341百万円増加となり、また、設備投資により有形固定資産が3,463百万円増加し、無形資産及びのれんが1,327百万円減少しましたが、その他の非流動資産が1,227百万円増加し非流動資産が3,846百万円増加したことによります。
負債につきましては、前期末に比べ2,176百万円増加し、111,936百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が2,370百万円増加したことによります。なお、前期末に財務制限条項に抵触し流動負債に区分した一部の借入金43,933百万円について、当連結会計期間末では非流動負債内の社債及び借入金に計上しております。
資本につきましては、前期末に比べ4,011百万円増加し、54,142百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定などのその他の資本の構成要素が6,355百万円増加したこと、及び利益剰余金が2,442百万円減少したことによります。
当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,405百万円の資金の増加となりました。主な要因は、税引前当期利益113百万円、減価償却費及び償却費3,189百万円、減損損失3,423百万円などの資金の増加要因があった一方で、営業債務及びその他の債務の減少1,651百万円、利息の支払額1,173百万円、法人所得税等の支払額1,568百万円などの資金減少要因がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出を主な要因とし、4,895百万円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出7,000百万円の減少がありましたが、転換社債の発行による収入10,020百万円により、1,394百万円の増加となりました。これらに当連結会計年度のUSドル高及びユーロ高を主な要因とする、980百万円の換算差額等を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は23,003百万円と前連結会計年度末と比べ1,116百万円の減少となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息
(注) 1 IFRSに基づく連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均販売価格で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均仕入価格で表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 プレシジョン・コンポーネントビジネスの生産方式は、見込生産のため該当事項はありません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 上記の金額には当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。重要性のある会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3重要性のある会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」及び「3.重要性のある会計方針」に記載しております。
国内では、年初から全般的に需要の回復が続いておりましたが、下期後半から景気の一服感が強まっております。自動車産業では半導体不足の解消や円安により改善が継続したものの、一部メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり販売の伸長が縮小しており、また工作機械は需要の落ち込みから低調な状況が続いております。更には、全般的な物価上昇による総需要の減少やコストの増加、人手不足の深刻化による悪影響等一段と懸念されております。海外では、欧州や中国の景気低迷をアメリカの安定により世界経済を支えている状況にありますが、各所で利下げに転じる方向ではあるものの、いまだ既往の高インフレや金融引締影響が散見され、再度の需要減速等リスクを留意の上世界市場の動向も注視しております。
このような状況下、当期の売上収益は、主力事業のプレシジョン・コンポーネントビジネスの主要製品が、世界的な工作機械受注の落ち込み、また、当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等により、前連結会計年度に比べ1.6%増加の80,337百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、世界的な工作機械受注の落ち込み、そして当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等あり、前連結会計年度に比べ3.1%増加の75,929百万円、リニアビジネスでは、工作機械の受注の落ち込みや顧客の在庫調整などにより、前連結会計年度に比べ17.8%減少の4,407百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度に比べ5.8%減少の67,177百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べ69.6%増加の13,160百万円となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ6.6%減少し、83.6%となりました。売上原価減少の主な要因は、コスト改善効果が見られ、また、プレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産の減損損失の計上がなくなったことによるものです。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、主に前連結会計年度に計上したプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産の減損損失の計上がなくなったことにより、前連結会計年度に比べ5.7%減少の7,916百万円となりました。
④ 営業損益
営業損益は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円(その他の費用に計上した1,834百万円及び生産停止等による生産性低下影響132百万円)、更にボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上しましたが、前連結会計年度に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等及びリニアビジネスののれんの減損損失13,562百万円がなくなったことから、853百万円の営業利益となりました。事業部別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、4,804百万円の営業利益、リニアビジネスでは、3,972百万円の営業損失となりました。
⑤ 法人所得税費用
法人所得税費用は、主にオランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用の税効果を計上できないことから、税引前利益より大きい1,402百万円の計上となりました。
⑥ 親会社の所有者に帰属する当期損益
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、1,287百万円の損失となりました。
⑦ EBITDA
EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費+減損損失)は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減などにより、前連結会計年度に比べ8.6%減少の7,465百万円となりました。
⑧ フリーキャッシュフロー(FCF)
FCF(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、営業債務及びその他の債務の減少や有形固定資産の支出があった一方、税引前当期利益が回復したことにより、前連結会計年度から改善し3,528百万円の支出となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、継続的に企業価値を向上させることを経営の指針とし、①設備投資、②株主還元、③借入金の返済のバランスをとりながら、資金の使途を決定しています。当社グループの資金の源泉は、内部資金及びツバキ・ナカシマ本体の社債及び銀行借入金により調達したものであり、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを活用し、グループ内の資金をタイムリーに把握すると共に、グループ会社間親子ローンやグループ会社間配当を実施する等し、資金効率の向上に努めております。キャッシュ創出力が当社の強みであり、利益の向上と共に運転資本の最適化を図っています。
なお、現金及び現金同等物の残高は23,003百万円となっております。
当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金または社債及び銀行借入金により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。