E01602 IFRS
前期
1.43兆 円
前期比
117.5%
株価
1,422.5 (04/24)
発行済株式数
343,286,307
EPS(実績)
99.85 円
PER(実績)
14.25 倍
前期
680.6万 円
前期比
104.0%
平均年齢(勤続年数)
40.9歳(17.2年)
従業員数
11,412人(連結:46,053人)
当社グループは、当社、子会社128社及び関連会社14社で構成され、自動車部品、ベアリング、工作機械・システム等の製造販売を主な事業としており、当社グループの主な事業内容は以下のとおりであります。(2023年3月31日現在)
なお、以下の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「5.事業セグメント」における事業区分と同一であります。
事業の系統図は以下のとおりであります。
(注) *1 ㈱ジェイテクトファインテックは、2022年4月1日付で宇都宮機器㈱が日本ニードルローラー製造㈱及び他の連結子会社1社と合併し、商号変更したものであります。
*2 ㈱ジェイテクトサープレットは、2022年4月1日付で光洋熱処理㈱が他の連結子会社1社と合併し、商号変更したものであります。
*3 JTEKT CZECH REPUBLIC S.R.O.は、2022年4月1日付でJTEKT AUTOMOTIVE CZECH PLZEN S.R.O.が他の連結子会社1社と合併し、商号変更したものであります。
*4 当連結会計年度中に、以下のとおり商号変更しております。
*5 当連結会計年度の末日以降、以下のとおり商号変更しております。
当連結会計年度の事業環境は、原材料価格・物流費・エネルギー費高騰、ウクライナ情勢を契機とする各所での地政学リスクの顕在化や中国のゼロコロナ政策による影響はあったものの、コロナ禍からの経済活動の正常化が進み、概ね緩やかな回復傾向が継続しました。
当社は自動運転・電動化、循環型社会への貢献、DX等、変化し続ける時代への対応が求められている中、社会課題の解決を通して企業を成長させるため、2021年4月に「長期・中期経営計画」を策定し、その第一期中期経営計画の2年目にあたる2022年度は「人づくり、仕組みづくり」「経営基盤強化」「競争力強化」「将来への種まき」に取り組んでまいりました。
当社では、One JTEKTとしてグループシナジーを最大化し、盤石な基盤と機動力を有する強い企業となるために、第一期中期経営計画の重点取組みとして、ジェイテクトの基本理念を実践できる「人づくり、仕組みづくり」を掲げております。
当期は「ジェイテクトの基本理念」を従業員一人ひとりが実践できるよう、動画メッセージや社内報を活用した浸透活動に注力しました。その象徴として、2022年8月には、アフターマーケット事業本部内での「おもしろいことをやろう」という呼びかけに、「ジェイテクトの基本理念」の中央に掲げる「本気」を持った仲間が集まり、自転車用高性能軸受「ONI BEARINGTM」を開発・商品化することができました。お客様のために何ができるかを考え、行動できる企業集団への変革を実感しております。
加えて、2023年4月には当社グループ統一デザインのユニフォームを採用しました。また、国内15社のグループ合同入社式を開催しました。これらの取組みにより、グループ会社間や事業間に存在する壁を取り払い、真の「One JTEKT」として一体感のある「人づくり、仕組みづくり」を着実に進めております。
「経営基盤強化」では、「収益体質強化」と「事業基盤強化」に注力いたしました。
収益体質強化では指標となる損益分岐点売上比率(2019年度売上収益比)にこだわり、欧州・北米における構造改革の着実な推進とグローバル規模での徹底的な原価低減と固定費削減を進めた結果、2020年度時点で92%であった損益分岐点売上比率を、外部環境を除いた体質評価ではありますが2022年度には82.5%にまで引き下げることができました。
事業基盤強化では、グループガバナンスを強化し、個社ごとに利益を追求して事業推進する個別最適経営からグループ一体経営へと舵を切りました。One JTEKTとして着実かつスピーディーにシナジーを発揮していくには、情報共有や活発な議論を通じてベクトルを合わせていくことが大変重要になります。現在、経営課題検討会で当社の経営役員と各社、地域の経営陣とでグループ全体最適の視点から課題や方向性を徹底的に議論しておりますが、今後は経営層のみにとどまらず、各階層での交流を促し、One JTEKTとしての結束を図っていきたいと考えております。
また、「競争力強化」においては、グループ会社の多様なシーズを活用したグループ一体営業やクロスセールス活動を加速させ、お客様に更にご満足いただける商品・サービスの提供に注力しております。当期は、2022年4月の事業ブランド統一を契機に、様々な展示会にて国内グループ会社とともに共同出展を実施するとともに、国内・海外のグループ会社を「JTEKT」を冠する社名に変更することで、当社グループの持つ多種多様なNo.1 & Only One製品を「JTEKT」ブランドとして拡販・PRする体制を構築してまいりました。加えて、循環型社会に貢献することを目的として、軸受をはじめ、ステアリングや駆動製品においてもアフターマーケット事業を強化し、グローバルでのプロダクトライフを通じてお客様を支えるサービスの拡充を進めております。
同時に、製品開発手法においてもプロダクトアウトからマーケットインへの転換を推し進めることで、今まで以上に価値ある製品・サービスをお客様に提供することを目指しております。工作機械では2022年4月に、マーケットインの発想で開発した「良質廉価」な新製品を市場に投入しました。今後も競争力の高い製品をお客様にお届けするべく、市場環境の変化や将来ニーズをしっかりと見つめ、改革を進めてまいります。
「将来への種まき」については、ジェイテクトグループがこれまでに培ってきた既存技術やノウハウを組み合わせ、社会課題を解決し、人々の安心・快適な暮らしを実現するための新たな技術の創出に取り組んでおります。既存領域を効率化することで生み出したリソーセスを、自動運転対応等の先行領域や、新規領域へ振り向けるほか、カーボンニュートラルに向けた研究、DX による基盤強化等、将来のビジネスモデルを見据えた戦略投資を進めてまいりました。当社の主力事業である自動車事業では、将来的なBEV(電気自動車)や自動運転適応車の拡大に貢献するために、ステアバイワイヤシステムと補助電源としての高耐熱リチウムイオンキャパシタを組み合わせたステアリングシステムの開発を進めている他、2022年9月にはBEVの心臓部であるeAxleの小型化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.TM」を開発・発表しました。
また、新ビジネスとしては、コオロギの食品としての可能性に注目し研究を進めております。当社の持つIoE(Internet of Everything)ソリューションやグループ会社の設備を含めた自動化技術、データ・品質管理技術を活用した飼育・加工一貫プラントにより、効率的かつ持続的なタンパク源の創出に貢献してまいります。
当社では「地球のため、世の中のため、お客様のため」に、環境へ配慮した取組みにも注力しております。近年、国内外のお客様からのカーボンニュートラルへの要求は具体的になりつつあり、カーボンニュートラル実現に向けた取組み等、気候変動への対応の重要性は日に日に高まっております。2022年5月に宣言したオールジェイテクトでの「2035年カーボンニュートラル達成」に向けて、生産技術革新による省エネの推進、再生可能エネルギーの積極的な導入、モデル工場での実証を通じた新エネルギーの採用に取り組み、加えて、全従業員が主体的に日常業務の改善を通じた徹底的な省エネ活動に取り組むことで、かけがえのない地球を次世代につなぐための挑戦を続けております。
また、2018年に賛同を表明したTCFD*については、既に環境報告書及びホームページにて、フレームワークに沿った開示をしておりますが、複数のシナリオ(1.5℃/4℃)でのリスク及び機会の分析等、有価証券報告書や環境報告書での更なる開示に向けた取組みを進めております。
*TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):気候関連財務情報開示タスクフォース
当連結会計年度の連結業績につきましては、次のとおりであります。
売上収益は1兆6,781億46百万円と前連結会計年度に比べ2,497億20百万円(17.5%)の増収となりました。事業利益につきましては626億58百万円となり、前連結会計年度に比べ203億11百万円(48.0%)の増益となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は342億76百万円と前連結会計年度に比べ135億93百万円(65.7%)の増益となりました。
なお、売上収益事業利益率は3.7%と前連結会計年度より0.8ポイント上昇しております。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
「自動車」におきましては、為替の影響もあり、日本や北米、アジアを中心に全地域で販売が回復したことにより、売上収益は前連結会計年度に比べ1,773億30百万円(18.4%)増収の1兆1,426億93百万円、事業利益は、原材料価格・物流費・エネルギー費高騰の影響はあるものの、販売増や為替の影響に加え、原価低減の活動やコストアップの影響を売価へ転嫁する取組みの成果等により、前連結会計年度に比べ162億15百万円(109.7%)増益の309億92百万円となりました。
「産機・軸受」におきましては、中国を除く全地域で販売が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度に比べ399億19百万円(12.8%)増収の3,515億7百万円となりました。事業利益は、原材料価格等の高騰影響が大きいものの、為替影響や原価低減の効果等により、前連結会計年度に比べ6億49百万円(4.0%)増益の170億40百万円となりました。
「工作機械」におきましては、日本や北米を中心に販売が増加したことにより、前連結会計年度に比べ売上収益は324億70百万円(21.4%)増収の1,839億45百万円、事業利益は38億22百万円(38.5%)増益の137億58百万円となりました。
財政状態につきましては、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産は、為替の影響もあり営業債権や棚卸資産が増加したこと等により、1兆4,413億55百万円と前連結会計年度末に比べ548億92百万円の増加となりました。
負債につきましては、為替の影響等による営業債務の増加や引当金の増加により、7,406億19百万円と前連結会計年度末に比べ145億71百万円の増加となりました。
また、資本につきましては、当期利益の計上等により、7,007億35百万円と前連結会計年度末に比べ403億20百万円の増加となりました。
なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の1,819円47銭から1,945円44銭に増加いたしました。
また、社債及び借入金につきましては、2,551億70百万円と前連結会計年度末に比べて65億91百万円減少しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3) 長期的な会社の経営戦略」や「(5) 優先的に対処すべき課題」に記載しております様々な取組みにより、経営上の目標達成につなげてまいります。
連結キャッシュ・フローにつきましては、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払い等による資金の減少があったものの、税引前利益の計上等により、当連結会計年度は782億79百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は670億39百万円の資金の増加)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、当連結会計年度は521億9百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は252億65百万円の資金の減少)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払い等により、当連結会計年度は287億7百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は435億31百万円の資金の減少)
これらに換算差額を加減算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,238億50百万円となりました。
(注) 1 金額は平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注加工費及び購入部品費が含まれております。
当社グループの販売高の大部分を占める、自動車業界向け部品については、納入先から提示される生産計画を基に、当社グループの生産能力等を勘案して生産を行っております。
なお、工作機械の受注実績は以下のとおりであります。
(注) 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。
① 売上収益
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ2,497億20百万円(17.5%)増収の1兆6,781億46百万円となりました。
セグメント別に見ると次のとおりであります。
「自動車」は前連結会計年度に比べ1,773億30百万円(18.4%)増収の1兆1,426億93百万円となりました。地域別の主な内訳は、日本4,051億67百万円(405億97百万円、11.1%の増収)、アジア・オセアニア3,379億49百万円(414億70百万円、14.0%の増収)、北米2,234億7百万円(577億32百万円、34.8%の増収)であります。
「産機・軸受」は前連結会計年度に比べ399億19百万円(12.8%)増収の3,515億7百万円となりました。地域別の主な内訳は、日本1,532億31百万円(74億63百万円、5.1%の増収)、北米892億33百万円(219億76百万円、32.7%の増収)、アジア・オセアニア564億40百万円(39億69百万円、7.6%の増収)であります。
「工作機械」は前連結会計年度に比べ324億70百万円(21.4%)増収の1,839億45百万円となりました。地域別の主な内訳は、北米874億82百万円(256億67百万円、41.5%の増収)、日本800億27百万円(78億83百万円、10.9%の増収)、アジア・オセアニア148億63百万円(18億20百万円、10.9%の減収)であります。
② 事業利益
当連結会計年度の事業利益は、前連結会計年度に比べ203億11百万円(48.0%)増益の626億58百万円となりました。
セグメント別に見ると次のとおりであります。
「自動車」は、材料費や物流費の高騰によるマイナス要因を販売増加や為替の影響に加え、原価改善の効果等によりカバーし、前連結会計年度に比べ162億15百万円(109.7%)増益の309億92百万円となりました。
「産機・軸受」は、材料費や物流費の高騰の影響はあるものの、販売増加や為替影響、原価改善の効果が大きく、前連結会計年度に比べ6億49百万円(4.0%)増益の170億40百万円となりました。
「工作機械」は、販売増加の効果等により前連結会計年度に比べ38億22百万円(38.5%)増益の137億58百万円となりました。
③ その他の収益・その他の費用
その他の収益は、固定資産売却益が増加しましたが、雇用調整助成金の減少や前連結会計年度に退職給付に係る負債戻入額を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ6億48百万円(7.3%)減少の82億91百万円となりました。
その他の費用は、操業休止関連費用の減少や前連結会計年度に売却目的で保有する資産に係る評価減の計上がありましたが、製品保証引当金繰入額の増加等により、前連結会計年度に比べ67億39百万円(45.3%)増加の216億24百万円となりました。
④ 金融収益・金融費用
金融収益は、円安進行に伴う為替差益の増加や受取利息の増加等により、前連結会計年度に比べ3億7百万円(17.5%)増加の107億73百万円となりました。
金融費用は、円安進行に伴う支払利息の増加等により、前連結会計年度に比べ16億70百万円(48.8%)増加の50億90百万円となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益
上記の要因等により、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ135億93百万円(65.7%)増益の342億76百万円となりました。
当社グループは、2030年の目指す姿を達成するための第一期中期経営計画期間の目標を以下のとおりとしております。また、2023年度に事業利益1,000億円の達成を目指し、中期経営計画を推進してまいります。
第一期中期経営計画(期間:2021~2023年度)の目標
※2019年度売上収益比
なお、実績につきましては、インフレに伴う急激なコストアップの影響を除いた体質評価としております。
また、これらの目標につきましては、達成を保証するものではありません。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資、研究開発費等の長期資金需要と、当社製品製造のための材料及び部品購入等の運転資金需要であります。
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持及び健全な財政状態の維持を財務方針としております。
現金及び現金同等物等の流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、市場あるいは金融機関からの資金調達を通じ、現行事業の推進と事業拡大に必要となる資金を確保できる状況と考えております。
また、グループ各社に偏在する余剰資金の相互融通を図る等、資金効率の向上に努めております。