売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01738 US GAAP

売上高

3.36兆 円

前期

3.34兆 円

前期比

100.7%

時価総額

1.99兆 円

株価

4,590 (12/19)

発行済株式数

433,397,301

EPS(実績)

292.05 円

PER(実績)

15.72 倍

平均給与

926.1万 円

前期

892.3万 円

前期比

103.8%

平均年齢(勤続年数)

46.1歳(19.8年)

従業員数

3,712人(連結:106,648人)


3【事業の内容】

 当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表をもとに、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しています。これについては、「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様です。

 当社グループは、当社及び連結子会社253社(2023年3月31日現在)により構成され、「エネルギーシステムソリューション」、「インフラシステムソリューション」、「ビルソリューション」、「リテール&プリンティングソリューション」、「デバイス&ストレージソリューション」、「デジタルソリューション」及び「その他」の7部門に関係する事業を主として行っており、その製品はあらゆる種類にわたっています。各事業における当社及び主要な関係会社の位置付け等の概要は次のとおりであり、当区分は事業の種類別セグメント情報の区分と一致しています。また、持分法適用会社は130社(2023年3月31日現在)です。

部門別主要製品

当社及び主要な関係会社の位置付け

製造

販売・エンジニアリング・

サービス他

エネルギーシステム

ソリューション

 

 

 

火力発電システム、原子力発電システム、電力流通システム、太陽光発電システム、水力発電システム等

原子燃料工業㈱、東芝エネルギーシステムズ㈱、東芝水力機器杭州社、東芝ジェイエスダブリュー・パワーシステム社、東芝電力流通システム・アジア社、東芝電力流通システム・インド社、常州東芝変圧器社、ジーイー東芝タービンコンポーネンツ・メキシコ社、河南平芝高圧開閉器社、平高東芝(河南)開関零部件製造社

原子燃料工業㈱、東芝エネルギーシステムズ㈱、東芝プラントシステム㈱、東芝水力機器杭州社、東芝ジェイエスダブリュー・パワーシステム社、東芝電力流通システム・アジア社、東芝電力流通システム・インド社、ティーピーエスシー・インド社、ティーピーエスシー・タイ社、イーレックスニューエナジー佐伯㈱、KK6安全対策共同事業㈱、常州東芝変圧器社、河南平芝高圧開閉器社、平高東芝(河南)開関零部件製造社

 

 

 

部門別主要製品

当社及び主要な関係会社の位置付け

製造

販売・エンジニアリング・

サービス他

インフラシステム

ソリューション

 

 

 

上下水道システム、放送システム、電波機器、産業光源、コンプレッサー、産業システム、環境システム、道路システム、駅務自動化機器、交通機器等

西芝電機㈱、東芝産業機器システム㈱、東芝インフラシステムズ㈱、東芝産業機器アジア社、東芝インターナショナル米国社、東芝三菱電機産業システム㈱、大連東芝機車電気設備社、TMEICインド社、東芝三菱電機工業系統(中国)社

西芝電機㈱、東芝産業機器システム㈱、東芝インフラシステムズ㈱、東芝産業機器アジア社、東芝インターナショナル米国社、東芝三菱電機産業システム㈱、大連東芝機車電気設備社、シュネデール東芝インバータ社、TMEIC米国社、TMEICインド社、東芝三菱電機工業系統(中国)社、エムティジェイブイ

ビルソリューション

 

 

エレベーター、一般照明等

東芝エレベータ㈱、東芝ライテック㈱、東芝電梯(中国)社、東芝電梯(瀋陽)社、東芝照明(昆山)社

 

 

東芝エレベータ㈱、東芝ライテック㈱、東芝電材マーケティング㈱、東芝電梯(中国)社、東芝電梯(瀋陽)社、東芝照明(昆山)社

リテール&プリンティングソリューション

 

 

 

POSシステム、複合機等

東芝テック㈱、東芝アメリカビジネスソリューション社、東芝テックヨーロッパ画像情報システム社、東芝泰格信息系統(深圳)社、東芝テックシンガポール社

東芝グローバルコマースソリューション・ホールディングス㈱、東芝テック㈱、東芝テックソリューションサービス㈱、東芝アメリカビジネスソリューション社、東芝オーストラリア社、東芝テックフランス画像情報システム社、東芝泰格信息系統(深圳)社、東芝テックシンガポール社、東芝テック英国画像情報システム社

デバイス&ストレージ

ソリューション

 

 

パワーデバイス、小信号デバイス、光半導体、ミックスドシグナルIC、イメージセンサ、ロジックLSI、HDD、半導体製造装置等

㈱ジャパンセミコンダクター、加賀東芝エレクトロニクス㈱、㈱ニューフレアテクノロジー、東芝デバイス&ストレージ㈱、東芝マテリアル㈱、東芝情報機器フィリピン社、東芝セミコンダクタ・タイ社

㈱ニューフレアテクノロジー、東芝デバイス&ストレージ㈱、東芝マテリアル㈱、東芝アメリカ電子部品社、東芝エレクトロニクス台湾社、東芝情報機器フィリピン社

デジタルソリューション

 

 

ITソリューションサービス等

東芝デジタルソリューションズ㈱

東芝デジタルソリューションズ㈱、東芝ITサービス㈱、ウイングアーク1st㈱

 

 

部門別主要製品

当社及び主要な関係会社の位置付け

製造

販売・エンジニアリング・

サービス他

その他

 

 

電池等

当社、東芝大連社、キオクシア㈱、ティディエス リチウムイオン バッテリー グジャラート社

当社、東芝データ㈱、東芝トレーディング㈱、東芝アメリカ社、東芝アジア・パシフィック社、東芝大連社、東芝中国社、東芝システム欧州社、東芝欧州社、東芝ガルフ社、東芝国際調達香港社、キオクシア㈱、キオクシアホールディングス㈱、SBS東芝ロジスティクス㈱、ティディエス リチウムイオン バッテリー グジャラート社

 

 

 当社グループにおける主要な関係会社の事業の系統は、概ね図のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手した情報に基づいて、当社グループが判断したものです。

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。

 

売上高

33,617

(+

247)

営業損益

1,105

(△

484)

税引前損益

1,890

(△

501)

当期純損益

1,266

(△

681)

(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示(以下、同じ)

  2.「当社株主に帰属する当期純損益」を当期純損益として表示しています(以下、同じ)。

 

 当期の世界経済は、米国、中国をはじめとして持ち直していますが、欧州では、持ち直しに足踏みがみられます。国内経済は、サービス産業をはじめ個人消費は全体として緩やかに持ち直し、設備投資は一部で足踏みがみられるものの全体として持ち直しています。輸出は弱含んでいます。

 来期(2023年度)は、緩やかな持ち直しが続くことが期待されますが、米国では金融引締めによる下振れリスク、中国では不動産市場の動向等による下振れリスク、また、欧州については金融引締めやエネルギー情勢による下振れリスクがあります。また、国内経済も、アフターコロナの下で、景気の持ち直しが続いていくことが期待されますが、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動などのリスクもあります。

 こうした状況下、当社グループの売上高は、エネルギーシステムソリューションが、原子力の安全対策工事関連の工事進捗差等の影響や、火力・水力の既受注案件の工事進捗等の影響、送変電・配電システムの増収による影響で増収、インフラシステムソリューションは、鉄道・産業システムが増収、ビルソリューションは昇降機の海外事業及び照明は増収になったものの昇降機の国内事業が減収、空調事業の連結除外の影響等により減収、リテール&プリンティングソリューションはリテール事業、プリンティング事業ともに増収、デバイス&ストレージソリューションは、半導体が増収になったものの、HDD他がモバイルやデスクトップのHDD市場縮小、ニアラインHDD市場の調整等の影響で減収になった結果減収、デジタルソリューションは、中部東芝エンジニアリング㈱(現キオクシアエンジニアリング㈱)の売却影響等があったものの、官公庁向け、民間向けシステムがともに伸びており増収になった結果増収となり、全体としては前年同期比247億円増収し3兆3,617億円になりました。営業損益は、インフラシステムソリューション、デジタルソリューション、その他が増益・改善となったものの、エネルギーシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューションは減益となり、前年同期比484億円減少し1,105億円になりました。税引前損益は、空調事業の売却益や当社保有の関連会社株式の一部譲渡益、特別配当等により増益となったものの、キオクシアホールディングス㈱の持分法投資損益等の影響で減益となり、前年同期比501億円減少し1,890億円になりました。当期純損益は、連結子会社の繰延税金資産の取崩し影響等で、前年同期比681億円減少し1,266億円になりました。

 

   1)売上高及び営業損益

事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。

セグメント

売上高

営業損益

エネルギーシステムソリューション

6,695

(+

1,105

120

%)

304

(△

52)

インフラシステムソリューション

6,932

(+

385

106

%)

450

(+

33)

ビルソリューション

4,481

(△

1,509

75

%)

59

(△

204)

リテール&プリンティングソリューション

5,131

(+

599

113

%)

△41

(△

158)

デバイス&ストレージソリューション

7,971

(△

627

93

%)

429

(△

228)

デジタルソリューション

2,356

(+

50

102

%)

270

(+

26)

その他

2,328

(+

163

107

%)

△420

(+

107)

消去

△2,277

(+

81

%)

54

(△

8)

合 計

33,617

(+

247

101

%)

1,105

(△

484)

(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示

 

①エネルギーシステムソリューション

発電システムは、原子力が安全対策工事関連の工程進捗差等の影響により増収、火力・水力は既受注案件の工事進捗差等の影響により増収になった結果増収、送変電・配電等は、送変電・配電システム、太陽光発電システムが増収になった結果、部門全体として増収になりました。

損益面では、送変電・配電等が増収により増益になったものの、発電システムは東芝プラントシステム㈱のプロジェクト案件のコスト精査、発電システムに係る製品保証引当金の見直しの影響により減益になった結果、部門全体として減益になりました。

 

②インフラシステムソリューション

公共インフラは、社会システム事業の規模減等の影響で減収になったものの、鉄道・産業システムが産業システム事業の新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復を主因とした規模増・為替影響等で増収になり、部門全体として増収になりました。

損益面では、公共インフラは社会システム事業の減収による影響で減益になったものの、鉄道・産業システムは産業システム事業の増収、前年の構造改革がなくなったことによる影響等で改善し、部門全体として増益になりました。

 

③ビルソリューション

 昇降機の海外事業及び照明が増収になりましたが、空調事業の連結除外の影響や昇降機の国内事業の減収の影響等により、部門全体として減収になりました。

 損益面では、照明は増益になったものの、空調事業の連結除外の影響や、昇降機の減益等により、部門全体として減益になりました。

 

④リテール&プリンティングソリューション

リテール事業、プリンティング事業ともに増収となった結果、部門全体として増収になりました。

損益面では、プリンティング事業ののれん減損等の影響で減益になった結果、部門全体として減益になりました。

 

⑤デバイス&ストレージソリューション

半導体は、産業向け等の市況堅調等により増収になったものの、HDD他はモバイルやデスクトップのHDD市場の縮小、ニアラインHDD市場の調整等の影響で減収となった結果、部門全体として減収になりました。

損益面では、半導体は増収により増益になりましたが、HDD他は減収による影響、製品保証引当金の計上等の影響で減益となり、部門全体として減益になりました。

 

⑥デジタルソリューション

中部東芝エンジニアリング㈱の売却影響等があったものの、官公庁向け、民間向けシステムがともに伸びており、部門全体として増収になりました。

損益面では、中部東芝エンジニアリング㈱の売却の影響があったものの、官公庁向け、民間向けシステムがともに好調で、部門全体として増益になりました。

 

なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高2,277億円が含まれています。また、当社グループのエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューションにおいては売上高が第4四半期に集中する傾向があります。

   2)税引前損益

 営業外損益は、空調事業の売却益や当社保有の関連会社株式の一部譲渡益、特別配当等により増益となったものの、キオクシアホールディングス㈱の持分法投資損益等の影響で減益となり、前期に比べ17億円減少し、785億円になりました。この結果、税引前損益は、前期に比べ501億円減少し、1,890億円になりました。

   3)当期純損益

 法人税等は、前期に比べ392億円増加し、△640億円になりました。非支配持分帰属損益は、△16億円の利益控除になり、前期に比べ控除額が212億円減少しました。これらの結果、当期純損益は、前期に比べ681億円減少し、1,266億円になり、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純損益は、前期に比べ149円49銭減少し、292円56銭になりました。

   4)キャッシュ・フローの状況

    要約連結キャッシュ・フロー計算書

営業活動によるキャッシュ・フロー

340

(△2,152)

投資活動によるキャッシュ・フロー

△88

(+1,157)

フリー・キャッシュ・フロー

252

(△  995)

財務活動によるキャッシュ・フロー

△1,423

(+  745)

為替変動の現金及び現金同等物への影響額

9

(△   86)

現金及び現金同等物純増減額

△1,162

(△  336)

現金及び現金同等物期首残高

4,429

(△  826)

売却目的保有に分類された現金及び現金同等物(控除)

(△  217)

現金及び現金同等物期末残高

3,267

(△  945)

(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示

 

当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の2,492億円の収入から2,152億円減少し、340億円の収入になりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の1,245億円の支出から1,157億円減少し、88億円の支出になりました。

これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前期の1,247億円の収入から995億円減少し、252億円の収入になりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の自己株式の取得による影響等があり、前期の2,168億円の支出から745億円減少し、1,423億円の支出になりました。

その他に為替の影響によるキャッシュの増加が9億円あり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期の4,429億円から1,162億円減少し、3,267億円になりました。

 

  5)生産、受注及び販売の実績

 当社グループの受注高及び受注残高については、前期並みとなりました。デジタルソリューションの受注残高は、前年度までに受注した大型案件の受注残が売上に至ったため前年度末に比べて減少しています。なお、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記13.」をご参照ください。

 生産規模については、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、事業の種類別セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

販売規模については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」の売上高をご参照ください。

受注については、当連結会計年度の実績をセグメント毎に示すと次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)

受注高(億円)

前期比(%)

受注残高(億円)

前期比(%)

エネルギーシステムソリューション

5,980

107

12,293

96

インフラシステムソリューション

5,196

99

6,953

107

ビルソリューション(昇降機)

2,359

101

1,090

95

デジタルソリューション

2,207

90

1,087

87

合計

15,742

100

21,422

99

(注)1.セグメント毎の受注高及び受注残高は、上表のセグメントにおいて受注生産方式にて事業を行っている事業部門の社内管理上の経営数値であり、これらを正確に把握することは困難であるため概算値で示しています。

2.受注残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記13.」で公表している残存履行義務残高とは異なります。

3.受注高については、当連結会計年度に受注した額のみを記載しており、当期より前に受注した案件が当期に解除された場合でも受注高からは控除しておりません。

4.セグメント間取引については消去していません。

   6)資産、負債及び資本の状況

    要約連結貸借対照表

現金及び現金同等物

3,267

(△

945)

受取手形、売掛金及び契約資産

8,419

(△

173)

棚卸資産

5,942

(+

624)

その他の流動資産

2,991

(△

1,547)

長期受取債権

60

(+

8)

投資等

5,302

(△

282)

有形固定資産

4,914

(+

311)

オペレーティング・リース使用権資産

920

(△

130)

その他の資産

3,578

(+

182)

資産計

35,393

(△

1,952)

短期借入金

600

(△

157)

支払手形及び買掛金

4,481

(△

342)

短期オペレーティング・リース債務

366

(+

1)

その他の流動負債

8,241

(△

913)

未払退職及び年金費用

2,618

(△

153)

長期オペレーティング・リース債務

594

(△

132)

長期借入金及びその他の固定負債

5,122

(+

40)

株主資本

12,474

(+

408)

非支配持分

897

(△

704)

負債・資本計

35,393

(△

1,952)

(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示

 

 総資産は、2022年3月末に比べ1,952億円減少し、3兆5,393億円になりました。

 株主資本は、当期純損益及び包括損益の増加による影響により、2022年3月末に比べ408億円増加し、1兆2,474億円になりました。

 借入金及びリース債務残高は、2022年3月末に比べ140億円減少し、4,884億円になりました。

 この結果、2023年3月末の株主資本比率は2022年3月末に比べ2.9ポイント増加し、35.2%になりました。

(注)1.連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費並びにのれん減損損失を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。

2.なお、以上の定性的情報は、特記のない限り前年同期との比較で記載しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準及び会計慣行に従っています。連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発資産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。

①繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産を計上しており、繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠に基づいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されています。そのような場合には、繰延税金資産に対する評価性引当金を計上しています。評価性引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理であり、将来の不確実な経済条件の変動によって、追加の評価性引当金の計上、あるいは過去に計上した評価性引当金の取り崩しが必要となる場合があります。また、繰延税金資産、評価性引当金の計上は事業年度末時点で適用されている税制や税率に基づいており、それらの改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。

 

②未払退職及び年金費用

 当社及び一部の子会社の期間純退職及び年金費用は最新の統計数値に基づく割引率、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益等の前提条件に基づき算定しており、算定に影響を与える特に重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付けで確定利付の社債及び確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、年金資産運用の基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。

 当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損失累計額」に含めて報告しています。そのため、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化した場合、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、その他費用として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。

 

③長期性資産

 有形固定資産及び耐用年数が明らかな無形資産は見積耐用年数、契約期間、または見積利用期間にわたり定額法により償却しています。これらの資産について資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、割引前予想キャッシュ・フローに基づいて減損の有無を評価しています。減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合には、減損損失を計上する可能性があります。

 

④のれん

 のれんは1年に1回減損テストを実施しています。減損テストにおいて、報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合に、当該報告単位に割り当てられたのれんの総額を上限として、その上回る額を減損額として計上しています。また、1年に1回の減損テストに加えて、事業環境の変化等による企業価値の下落を示唆する状況が発生した場合で、帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合は、減損を認識することになります。したがって、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込み、加重平均資本コストの割引率の変動によっては、減損を計上する可能性があります。

 

⑤有価証券の減損

 当社グループは、市場価格のない持分証券については減損の兆候の有無の判断において考慮する定性的な評価を行っています。その結果、公正価値の下落が認められる場合、その下落分について評価損を計上する可能性があります。また、負債証券及びその他の投資については、公正価値の下落が一時的でないか否かの評価を、市場価格の下落の程度とその期間、被投資会社の財政状態及び今後の見通し並びに当該有価証券の今後の保有方針等の観点から定期的に行っています。一時的でない公正価値の下落が発生している場合には、その下落分について評価損を計上する可能性があります。

 

⑥偶発債務

 当社グループは全世界において事業活動を展開しており、訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。国内においても、複数の訴訟や損害賠償請求を受けており、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることが出来る場合には、合理的に見積り可能な金額を引当計上しています。見積りを行う際には、訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟や関連する要因等を考慮していますが、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。その場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループが現在知りうるかぎり、これらの争訟は当社グループの財政状態及び経営成績に直ちに重大な影響を及ぼすものではないと当社グループは考えています。

 

上記以外の事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記1.会計処理の原則及び手続並びに連結財務諸表の表示方法、2.主要な会計方針の要約」に記載しています。

 

 2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、ROS(売上高営業利益率)、EBITDA(営業利益と減価償却費を合算して算出)、ROIC(投下資本利益率)を選定しています。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。

 

売上高

すべての利益の源泉となるものであり、事業規模も表すことができる指標として採用しました。

営業利益

本業の利益水準を計る指標として採用しました。

ROS

本業の収益効率性を計る指標として採用しました。

EBITDA

減価償却費等の非現金費用を除外することにより、実態に近い収益性を把握できる指標として採用しました。

ROIC

資本効率性を計る指標であり、投下した資金からどれだけの利益を生み出したかを把握することができると考え、採用しました。

2022年6月に、以下のとおり、2022年度の見通し及び2025年度の目標値を公表しました。併せてTSR(株主にとっての総合投資利回り)の拡大を図ります。

 

<経営数値目標(2022年6月時点)>(単位:億円)

 

2021年度実績

2022年度見通し

2025年度目標

売上高

33,370

33,000

40,000

営業利益

(ROS%)

1,589

(4.8%)

1,700

(5.2%)

3,600

(9.0%)

EBITDA

2,441

2,700

5,000

ROIC

15.8%

13.8%

17.0%

(注) 経営数値目標は数値目標であり、達成を保証するものではありません。

これに対する2022年度の実績は以下のとおりです。

<2022年度実績>(単位:億円)

 

2021年度実績

2022年度実績

売上高

33,370

33,617

営業利益

(ROS%)

1,589

(4.8%)

1,105

(3.3%)

EBITDA

2,441

2,264

ROIC

15.8%

8.7%

 

2022年度は空調事業の連結除外影響等による減収があったものの、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、リテール&プリンティングソリューション及びデジタルソリューションで増収となり、全体として増収、売上高の見通しを達成しました。一方、HDDの製品保証引当金、プリンティング事業ののれん減損、HDD市場の急激な縮小、発電システムに係わる製品保証引当金などの影響により営業利益及びEBITDAは減益、見通し未達となっております。

なお、売上高及び営業損益の状況の詳細は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」に記載のとおりであり、経営方針については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を、事業上のリスクについては「3 事業等のリスク」をご覧ください。

 

 3)経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの事業領域であるエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションの各事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争があります。詳細は、「3 事業等のリスク」に記載しています。

 

  4)資本の財源及び資金の流動性

資金調達

 当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。

 資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた資金構成の維持を基本方針としています。当期末の直接調達枠は、コマーシャル・ペーパーの発行枠を6,000億円、国内普通社債の発行枠を3,000億円保有しています。

流動性管理

 2023年3月末においては、現金及び現金同等物として3,267億円、コミットメントライン未使用枠の2,580億円を合わせ、5,847億円の手元流動性を確保しました。

格付け

 当社は、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)、㈱日本格付研究所(以下「JCR」という。)の3社から格付けを取得しています。当有価証券報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、S&P: BB+(引き下げ方向のクレジット・ウォッチ)/B、R&I: BBB(格付けの方向性はネガティブ)/a-2、JCR: BBB+(見通しは安定的)/J-2です。

 

 なお、当期末(2023年3月31日)現在における、2022年度(2023年3月期)の設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。