売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01739 IFRS

売上高

5.00兆 円

前期

4.48兆 円

前期比

111.8%

時価総額

5.28兆 円

株価

2,458 (04/19)

発行済株式数

2,147,201,551

EPS(実績)

99.62 円

PER(実績)

24.67 倍

平均給与

827.4万 円

前期

806.7万 円

前期比

102.6%

平均年齢(勤続年数)

41.3歳(16.9年)

従業員数

35,136人(連結:149,655人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

 当社はIFRSに基づいて連結財務諸表を作成しています。三菱電機グループ(当社を中核として連結子会社209社、持分法適用会社40社を中心に構成)においては、インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネスプラットフォーム、その他の5セグメントに関係する事業を行っており、その製品はあらゆる種類にわたります。

 2022年度の三菱電機グループの主な事業内容と、主な関係会社の事業の種類別セグメントにおける関連は以下のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5 セグメント情報」をご参照ください。

※画像省略しています。

 (注) 1 総合販社欄の会社は複数事業の製品販売を担当している会社が多いため、事業別に区分せず一括して表示しています。

2 連結子会社は

 

、持分法適用会社は

 

で括っています。

3 メルダスシステムエンジニアリング㈱は、2023年4月1日付で三菱電機メカトロニクステクノロジーズ㈱に商号変更しています。

4 菱電商事㈱は、2023年4月1日付で㈱RYODENに商号変更しています。

 

23/06/29

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」などに記載のとおりですが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は以下のとおりです。

 

(1) 業績概要

 当連結会計年度の景気は、米国では、企業・家計部門ともに持ち直しが継続しましたが、中国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限の影響による下押しがみられ、その後の持ち直しも緩やかなものに留まりました。日本では、個人消費を中心に緩やかな持ち直しが継続しましたが、欧州では、企業・家計部門ともに持ち直しはより緩やかになりました。また、一部素材価格の上昇や物流費の高止まり、電子部品等の需給逼迫の長期化などの動きがみられました。

 このような状況の中、三菱電機グループは、これまでの事業競争力強化・経営体質強化に加え、新たなビジネスエリア経営体制での事業変革・ポートフォリオ戦略の加速による収益力最大化に、従来以上に軸足を置いて取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。

 

<連結決算概要>

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前連結会計年度比

売上高

44,767億円

50,036億円

5,269億円増

営業利益

2,520億円

2,623億円

103億円増

税引前当期純利益

2,796億円

2,921億円

124億円増

親会社株主に帰属

する当期純利益

2,034億円

2,139億円

104億円増

 

①売上高

 売上高は、為替円安の影響などにより、前連結会計年度比5,269億円増加の5兆36億円となりました。ライフ部門では、ビルシステム事業はアジア・国内向けで増加し、空調・家電事業は欧州・国内・北米向け空調機器の需要拡大などにより増加しました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業は脱炭素関連分野の設備投資を中心とした需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動化関連製品などの需要が堅調に推移し増加しました。ビジネスプラットフォーム部門では、情報システム・サービス事業はシステムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業が増加し、電子デバイス事業はパワー半導体の需要などが堅調に推移し増加しました。インフラ部門では、電力システム事業は前連結会計年度並みとなり、社会システム事業は海外の公共分野向けで増加し、防衛・宇宙システム事業は防衛システム事業が増加しました。

 

<売上高における為替影響額>

 

前連結会計年度

期中平均レート

当連結会計年度

期中平均レート

当連結会計年度

売上高への影響額

連結合計

-

-

約2,700億円増

内、米ドル

113円

136円

約1,190億円増

内、ユーロ

131円

142円

約360億円増

内、人民元

17.7円

19.7円

約480億円増

 

②営業利益

 営業利益は、インフラ部門、インダストリー・モビリティ部門の減益はありましたが、ビジネスプラットフォーム部門、ライフ部門などの増益により、前連結会計年度比103億円増加の2,623億円となりました。営業利益率は、販売費及び一般管理費の増加などにより、前連結会計年度比0.4ポイント悪化の5.2%となりました。

 売上原価率は、為替円安や価格転嫁による改善はありましたが、一部素材価格の上昇に加え、インフラ部門での採算悪化などにより、前連結会計年度比0.1ポイント悪化しました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比1,343億円増加し、売上高比率は前連結会計年度比0.4ポイント悪化しました。その他の損益は、固定資産減損損失の計上はありましたが、土地の売却などにより前連結会計年度比22億円増加し、売上高比率は前連結会計年度比0.1ポイント改善しました。

 

③税引前当期純利益

 税引前当期純利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度比124億円増加の2,921億円、売上高比率は5.8%となりました。

 

④親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、税引前当期純利益の増加などにより、前連結会計年度比104億円増加の2,139億円、売上高比率は4.3%となりました。

 なお、ROEは前連結会計年度比0.2ポイント悪化の6.9%となりました。

 

事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。

① インフラ

社会システム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内鉄道各社における設備投資計画見直しの動きが継続しましたが、国内外の公共分野における投資が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内外の公共分野の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は円安の影響や海外の公共分野の増加などにより前連結会計年度を上回りました。

電力システム事業の事業環境は、国内電力会社の設備投資の動きが継続し、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力安定化の需要などが国内外で堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業や海外の発電事業の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は前連結会計年度並みとなりました。

防衛・宇宙システム事業は、受注高は宇宙システム事業の大口案件の増加により前連結会計年度を上回り、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加により前連結会計年度を上回りました。

この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比103%の9,731億円となりました。

営業利益は、売上案件の変動や防衛・宇宙システム事業の採算悪化などにより、前連結会計年度比140億円減少の275億円となりました。

 

② インダストリー・モビリティ

FAシステム事業の事業環境は、スマートフォンや半導体などのデジタル関連分野の需要は減少しましたが、リチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野の設備投資を中心に、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高はデジタル関連分野の需要が一服したことから前連結会計年度を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、脱炭素関連分野の需要の増加などにより前連結会計年度を上回りました。

自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響などはありましたが、新車販売台数は前連結会計年度を上回り、電動車を中心とした市場の拡大に伴う電動化関連製品などの需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響に加え、モーター・インバーターなどの電動化関連製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。

この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比112%の1兆6,602億円となりました。

営業利益は、FAシステム事業は売上高の増加や円安の影響などにより増加しましたが、自動車機器事業は素材・物流費の上昇や固定資産減損損失の計上などにより減少しました。部門全体では、前連結会計年度比5億円減少の959億円となりました。

 

③ ライフ

ビルシステム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響やアジア・国内の増加などにより受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。

空調・家電事業の事業環境は、第2四半期以降、電子部品の需給状況に改善の動きが見られました。このような状況の中、同事業は、円安の影響や欧州・国内・北米向け空調機器の増加などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。

この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比116%の1兆9,471億円となりました。

営業利益は、素材価格・物流費の上昇や第1四半期での操業度低下などはありましたが、売上高の増加や円安の影響などにより、前連結会計年度比86億円増加の1,012億円となりました。

 

④ ビジネスプラットフォーム

情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、システムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業の増加により受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。

電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業向けのパワー半導体の需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は客先の先行手配が一巡した影響などによるパワー半導体の減少や、液晶事業の終息などにより前連結会計年度を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、民生・産業向けのパワー半導体の増加などにより前連結会計年度を上回りました。

この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比112%の4,293億円となりました。

営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前連結会計年度比134億円増加の399億円となりました。

 

⑤ その他

売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前連結会計年度比113%の8,360億円となりました。

営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比47億円増加の314億円となりました。

 

顧客の所在地別の売上高の状況は、次のとおりです。

① 日本

空調・家電事業やFAシステム事業などの増加により、前連結会計年度比106%の2兆4,670億円となりました。

 

② 北米

空調・家電事業や自動車機器事業などの増加により、前連結会計年度比135%の6,255億円となりました。

 

③ アジア

空調・家電事業、ビルシステム事業などの増加により、前連結会計年度比109%の1兆2,189億円となりました。

アジアのうち中国については、電子デバイス事業やビルシステム事業の増加はありますが、空調・家電事業、FAシステム事業などの減少により、前連結会計年度比99%の5,836億円となりました。

 

④ 欧州

空調・家電事業などの増加により、前連結会計年度比123%の6,078億円となりました。

 

⑤ その他

その他の地域にはオセアニアなどが含まれており、前連結会計年度比117%の843億円となりました。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比(%)

インフラ

881,401

102

インダストリー・モビリティ

1,478,400

112

ライフ

1,355,738

126

ビジネスプラットフォーム

279,540

125

その他

1,227

61

3,996,306

114

(注) 上記金額は、仕込製品については仕切予定価格、注文製品については受注価格で示しています。

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

受注高(百万円)

前連結会計年度比(%)

インフラ

1,175,328

121

インダストリー・モビリティ

1,687,579

100

ライフ(空調・家電を除く)

564,366

110

ビジネスプラットフォーム

435,332

88

(注) 「ライフ」セグメントのうち空調・家電事業については、受注生産形態をとらない製品が多く、受注規模を金額で示していません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

インフラ

973,139

103

インダストリー・モビリティ

1,660,296

112

ライフ

1,947,157

116

ビジネスプラットフォーム

429,320

112

その他

836,072

113

消去

△842,290

-

5,003,694

112

(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しています。

 

(3) 資産及び負債・資本の状況分析

 総資産残高は、前連結会計年度末比4,745億円増加の5兆5,825億円となりました。棚卸資産が2,495億円、売上債権が1,072億円、その他の非流動資産が595億円増加したことがその主な要因です。

 棚卸資産の増加は、為替円安影響に加え、インダストリー・モビリティ部門やライフ部門での需要増や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。

 負債の部は、社債、借入金及びリース負債が712億円、契約負債が509億円、買入債務が428億円増加したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比2,087億円増加の2兆2,192億円となりました。なお、リース負債を除く社債・借入金残高は前連結会計年度末比350億円増加の2,522億円、借入金比率は4.5%(前連結会計年度末比+0.2ポイント)となりました。

 資本の部は、配当金の支払い845億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益2,139億円の計上及び為替円安等を背景としたその他の包括利益累計額923億円の増加等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比2,630億円増加の3兆2,390億円、親会社株主帰属持分比率は58.0%(前連結会計年度末比△0.3ポイント)となりました。

 

<財政状態計算書関連指標>

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

前連結会計年度末比

売掛債権回転率

3.63回転

3.71回転

0.08回転増

棚卸資産回転率

4.66回転

4.14回転

0.52回転減

借入金比率

4.3%

4.5%

0.2ポイント増

親会社株主帰属持分比率

58.3%

58.0%

0.3ポイント減

(注) 1 売掛債権回転率は、売上債権と契約資産の合計より算出しています。

   2 借入金比率は、リース負債を除く借入金・社債残高より算出しています。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

①財務戦略に関する基本的な考え方

三菱電機グループは、健全な財務体質を維持するため、業績向上による資金収支の改善に加え、棚卸資産の縮減活動、売掛債権の回収促進といった資産の効率化、グループ内資金の更なる有効活用による資金の効率化に引き続き取り組んでまいります。

また、2025年度に向けた中期経営計画におけるキャピタル・アロケーション方針のもと、成長投資を最優先としつつ、利益成長を通じた株主還元強化を踏まえた資本政策の実行により、更なる資本効率の向上を図ってまいります。

なお、成長戦略を進めて行く中で、必要となります設備投資、研究開発、M&A等の資金につきましては、重点成長事業を中心とした営業活動において創出されたキャッシュ・フローを源泉に、自己資金の活用を図りつつ、必要に応じて金融機関等から機動的に資金調達を行ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,667億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが1,485億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは181億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは1,195億円の支出となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比813億円減少の6,458億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加はありましたが、売上債権の回収影響や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度比1,156億円の収入減少となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産売却収入の増加等はありましたが、有価証券等の売却収入の減少や有形固定資産の取得の増加等により、前連結会計年度比336億円の支出増加となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の増加や自己株式の取得の減少等により、前連結会計年度比1,217億円の支出減少となりました。

 

③財源及び流動性

運転資金需要のうち主なものは、生産に必要な材料購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものです。

短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入等により、設備投資や長期運転資金は、自己資金の活用を図りつつ金融機関からの長期借入及び社債により調達を行っています。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,458億円、社債、借入金及びリース負債残高は4,007億円です。社債、借入金及びリース負債の内訳は、短期借入金が874億円、社債及び長期借入金が1,647億円、リース負債が1,484億円です。

三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断

当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。これらの連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を使用する必要があります。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の連結財務諸表の金額に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。

 

①一定の期間にわたり履行義務を充足する契約における見積総費用

 インフラ部門、ライフ部門及びビジネスプラットフォーム部門における一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、当該工事請負契約の当期末時点の進捗度に応じて収益を計上しています。進捗度は、当連結会計年度までの発生費用を工事完了までの見積総費用と比較することにより測定しています。

 見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。

 工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。

 経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した工事請負契約の見積総費用を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループが認識する収益の金額に影響を与える可能性があります。

 

②引当金の認識及び測定

 受注工事損失引当金は、インフラ部門、ライフ部門及びビジネスプラットフォーム部門における工事請負契約において、当該工事の見積総費用が請負受注金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額を合理的に見積もることができる場合に、将来の損失見込額を引当金として計上しています。当連結会計年度末における受注工事損失引当金の残高は、55,491百万円です。

 見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。

 工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。

 経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した将来工事損失見込額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。

 製造上やその他の不具合に対し、製品の種類や販売地域及びその他の要因ごとに定められた期間又は一定の使用条件に応じて製品保証を行っており、期末日現在において将来の費用発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる場合に、製品保証引当金を計上しています。将来の発生費用は、主に過去の無償工事実績及び補修費用に関する現状に基づいて見積っています。当連結会計年度末における製品保証引当金の残高は、57,962百万円です。

 経営者は、発生費用の見積り額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。

 

③有形固定資産の回収可能価額

 有形固定資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。

 資産又は資金生成単位の見積回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。資産又は資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合には、当期の純損益において減損損失を認識しています。

 経営者は、使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フロー及び処分コスト控除後の公正価値の見積りはいずれも妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によって見積りが変更となることにより資産又は資金生成単位の見積回収可能価額が変動し、結果として、将来において有形固定資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。

 これらの前提条件を用いた見積りは、合理的であると判断していますが、翌連結会計年度において、経済環境の変化等により、見直しが必要となった場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

④のれん及び無形資産の回収可能価額

 耐用年数を確定できる無形資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については少なくとも1年に一度、同時期に減損テストを実施しています。

 重要なのれんはライフ部門に含まれる空調・家電事業及びビルシステム事業に配分されたのれんであり、減損テストの回収可能価額は、主として経営者が承認した今後5年度分の事業計画及び成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いた使用価値で算定しています。割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しており、当連結会計年度における主要な割引率は、9.5%~14.0%です。成長率は、のれんが配分されている資金生成単位グループが属する市場の長期期待成長率を参考に算定しており、当連結会計年度における主要な成長率は0.8%~2.0%です。

 経営者は、事業計画や成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額や割引率は妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によってキャッシュ・フローの見積り額や割引率が変更となることにより使用価値が変動し、結果として、将来においてのれん及び無形資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。

 

⑤繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産は期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しています。

 三菱電機グループは繰延税金資産の実現可能性の評価にあたり、繰延税金資産の一部又は全部が実現する可能性が実現しない可能性より高いかどうかを考慮しています。繰延税金資産の実現は、最終的には将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除が減算可能な期間における将来課税所得によって決定されます。その評価にあたり、予定される繰延税金負債の戻入、予測される将来課税所得及び税務戦略を考慮しています。

 経営者は、当連結会計年度末の認識可能と判断された繰延税金資産が実現する蓋然性は高いと考えていますが、繰延期間における将来の見積課税所得が減少した場合には、実現する可能性が高いと考えられる繰延税金資産は減少することとなります。

 

⑥確定給付制度債務の測定

 三菱電機グループは、従業員を対象とする従業員非拠出制及び拠出制の確定給付型退職給付制度を採用しています。従業員の確定給付制度債務は、割引率、退職率、一時金選択率や死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき算定しています。確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の再測定による変動は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。

 割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しており、当連結会計年度末の割引率は1.2%です。

 経営者は、年金数理計算上の基礎率の算定は妥当なものと考えていますが、実績との差異又は基礎率自体の変更により、確定給付制度債務の金額に影響を与える可能性があります。

 

⑦金融商品の公正価値

 三菱電機グループは、主に取引関係維持・強化を目的として保有している資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。このうち非上場株式の公正価値については、投資先の純資産等に関する定量的な情報及び投資先の将来キャッシュ・フローに関する予想等を総合的に勘案して算定しています。

 経営者は、公正価値の見積りは妥当なものと考えていますが、投資先の業績や将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提条件が変動した場合は、三菱電機グループのその他の包括利益の金額に影響を与える可能性があります。