E33864 IFRS
前期
21.4億 円
前期比
108.7%
株価
774 (03/28)
発行済株式数
4,331,560
EPS(実績)
-7.93 円
PER(実績)
--- 倍
前期
316.2万 円
前期比
97.2%
平均年齢(勤続年数)
28.2歳(3.0年)
従業員数
374人(連結:376人)
当社グループは当社(株式会社コンヴァノ)及び子会社1社(株式会社femedia)により構成されており、ネイルサロンの運営を行うネイル事業及びこれに付帯するメディア事業を展開しております。なお、次の2事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
当社は「新しい価値の創造と機会の拡大」を企業理念として掲げており、社名もCreation Of New Value And New Opportunities の頭文字を取り、「Convano(コンヴァノ)」と名付けております。個人商店が大半と思われるネイルサロンをチェーン化するにあたり、従来の常識や既成概念にとらわれず課題にチャレンジし続けることで、現在のネイルサロンチェーンの店舗展開を中心としたビジネスモデルの構築に至っております。
『いつもキレイ』を『私らしく』選べる
「私らしいキレイ」を「もっと身近に」感じたいというお客様の声からファストネイルは誕生いたしました。行きたいときに行きたいところに、お客様それぞれのライフスタイルに合わせた“新しいネイルのカタチ”を私たちは提供いたします。
ネイルサロンのチェーン展開が当社の中核事業であり、独自開発による生産性の高い店舗オペレーションや、パソコンやスマートフォンを使用してお客様ご自身でデザインを選択していただくセルフオーダーシステム、さらにその各デザインに3,500円(税抜)から9,000円(税抜)までの7ラインの価格を明記することなどにより、お客様に安心してお手軽にリピートしていただける低価格でスピーディーなサービスを実現しております。
また、社内教育研修により短期間でのネイリスト育成を実現しており、未経験者でも採用後2ヶ月にて店舗勤務が可能となります。そのため、美容学校などの卒業生や経験者に限らないリクルートができ、出店計画などに合わせた柔軟な人材育成を行っております。
さらに、ネイルケア・ハンドケア商品の自社ブランドとして“Legaly”(レガリー)と“CONST”(コンスト)を展開しており、店舗での施術に使用する傍ら、店頭やECサイトにて一般小売も行っております。
なお、当社ではネイルサロンの中心ブランド「ファストネイル」のほかに、姉妹ブランドとして「ファストネイル・プラス」及び「ファストネイル・ロコ」を展開しております。各ブランドのコンセプトと特徴及びメニューは以下のとおりとなっております。
各ブランドの出店地域と店舗数は以下のとおりとなっております。
店舗数の推移は以下のとおりであります。
(単位:店)
子会社である株式会社femediaはメディア事業を展開しております。
当社のネイルサロンの各店舗では、施術中のお客様の目線の先に大型液晶モニター「ファストネイルビジョン」を設置しており、商品広告や新店オープンの告知、クイズ、占いなどのコンテンツを放映しております。
株式会社femediaは、このファストネイルビジョンにて他企業のCMなどの広告放映を行い、広告収入を得ることを目的とする事業として独立させたものであります。お客様の大半が美容に興味をお持ちの女性であるため、視聴されるターゲットが不特定多数ではなく明確に絞れることと、施術中のお客様の視界に入るため高い視聴率が期待できることが大きな特徴となっております。
さらに、上記広告放映との相乗効果を高めるために、お会計時にお客様へ試供品などを確実に提供する“手渡しサンプリング”や、当社がお客様へ配信するメールマガジンへの“広告掲載”、当社のサロン予約システム“FASTNAIL TOWN”のアプリ内に掲載する“バナー広告”や“アンケート調査”などのメニューも同時に展開しております。
また近年では、広告放映や手渡しサンプリング等のサービスでは、「ファストネイル」の枠を超えて同業他社の店舗をネットワーク化しております。
当社の主要事業でありますネイルサロン「ファストネイル」の主な特徴は、以下のとおりであります。
従来の一般的なネイルサロンでは、ネイリストがお客様に対して終始対面形式にて「デザインの決定」~「既存ジェルの除去」~「新しいジェルの施術」までを行い、1名のお客様の対応が終了するまで概ね1~2時間程度を要していました。
当社ネイルサロンでは、パソコンやタブレット端末の画面でお客様ご自身によりネイルデザインのサンプル写真を選択していただくことで、完全なセルフオーダー方式を実現しております。さらにこれらの機能にネット予約機能も加えたウェブサイトやアプリ“FASTNAIL TOWN”も独自に製作しており、ご自宅のパソコンやスマートフォンでご来店前のデザイン選択とサロン予約が可能となっております。
なお、主な予約経路は“FASTNAIL TOWN”経由となっており、自社以外の集客メディアも活用しておりますが、それらに依存しない独自の集客チャネルを持っていることが、当社の大きな強みとなっております。
また、お客様が装置の穴に指を入れるだけで、既存ジェルを除去しやすくする専用装置「e.g.1(イージーワン)」を自社開発いたしました。この「e.g.1」を使用することにより1名のネイリストが新しいジェルの施術と並行して、他のお客様の既存ジェル除去を同時に行うことができます。
さらに、電話による予約受付、ご来店時の案内、お会計や次回の予約案内などのレセプション業務を、施術を行うネイリストの業務と切り離し、分業化することで、ネイリストがお客様の爪への施術のみに集中できるようにしております。
このような生産性を高める仕組みを独自に構築することで、当社ネイルサロンでは1名のネイリストが1時間で平均2名のお客様の施術を行っており、安定した品質を維持しながら、低価格でのサービス提供を実現しております。
当社ネイルサロンでは、常時約1,500枚のネイルサンプル写真を用意しております。ジェルのカラーバリエーションも130色以上を揃え、その組み合わせにより20万通りのデザインを実現いたしました。そしてすべてのサンプル写真に対して、3,500円(税抜)から9,000円(税抜)まで7種類の価格を設定し、明示することで、ご予算に応じたデザイン選択をお楽しみいただけるようにしております。
このように料金を各サンプル写真に明示することにより、一般的なネイルサロンにありがちな「基本料金とオプション料金の積み重ねで、施術が終わってみないと総額が不明。」「勧められると断りづらい。」といった価格に対するネガティブなイメージや、顧客を不安にさせる要素を払拭し、いつでも安心してご利用していただけるネイルサロンを目指しております。
当社ではネイリスト育成研修機関であるコンヴァノ・ネイルビジネスアカデミー(CNBA)と、プロネイリスト育成サロン「NAIL FLAPS(ネイルフラップス)」を開設し、未経験者でも採用後2ヶ月で店舗デビューが可能となるように、ファストネイルで必要なオペレーションに特化した、当社独自の教育カリキュラムを使用して研修を実施しております。
また、独自に開発したプロネイリスト実務能力判定「アーバンテスト(注)」を実施し、実際に店舗で働くプロネイリストとしての総合力を判定しております。研修生の店舗デビューの条件として基準を設けることで、安定した品質の維持に努めており、基準未到達者は繰り返し受験し、合格するまでは店舗デビューができないこととしております。
一方で店舗への配属後も、各自のタイトルに応じたトレーニングプログラムや、企業内大学であるコンヴァノ・ユニバーシティ(CU)や外部スクールによる各種セミナーなどを用意し、ネイルに関する技術向上だけではなく、各々のキャリアプランの実現と自立した人材の育成をも目指し、従業員のサポートに努めております。
このように充実した人材育成制度を構築することにより、ネイリスト育成並びに安定した品質の施術と接客の提供、従業員のモチベーションの維持・向上に寄与しているものと考えております。
(注)アーバン(á:ban)は、Assessment of Business Ability for Nail expertの略称。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による活動制約は段階的に緩和されたものの、オミクロン株などによる感染の再拡大も発生した一方で、為替相場の急激な変動や地政学的な衝突の影響による物価上昇など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの属するネイル業界におきましても、感染の再拡大による外出の自粛や、物価高による節約志向の高まりなどにより、回復基調ではあるものの依然として厳しい経営環境で推移しました。
このような環境の中、当社グループはコロナ禍に起因する人員不足並びに店舗スタッフの感染などにより一部店舗で臨時休業を実施したものの、積極的な採用活動を行ったことにより人員不足は解消に向かい、前連結会計年度に比べて増収となりました。
店舗展開ではファストネイルブランドにて、4月にテラスモール湘南店(神奈川県藤沢市)、9月にmozoワンダーシティ店(名古屋市西区)、12月になんばウォーク店(大阪市中央区)を直営店として優良商業施設に新規出店しました。
利益に関しては、従業員の待遇改善や人員不足解消に向けた積極的な採用教育活動の実施、予約アプリの利便性を高めるための改修など、将来に向けた投資、原材料並びにエネルギーコストの上昇などにより費用が増大したことに加え、売上収益の回復により雇用調整助成金の受給対象から外れたことで当連結会計年度は赤字となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上収益は2,330百万円(前連結会計年度比8.7%増)、営業損失は36百万円(前連結会計年度は営業利益89百万円)、税引前損失は43百万円(前連結会計年度は税引前利益82百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は34百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期利益51百万円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(店舗数)
(注)( )内はフランチャイズ店舗であり内数であります。
(新規出店)
(業績)
(単位:百万円)
(業績)
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6百万円増加し、399百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は127百万円(前連結会計年度比239百万円の収入減)となりました。これは主に、助成金返還損失引当金を△81百万円、営業債権及びその他の債権の増減額を△26百万円それぞれ計上したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は41百万円(前連結会計年度比52百万円の支出減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出を33百万円計上したことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は79百万円(前連結会計年度比166百万円の支出減)となりました。これは主に、リース負債の返済による支出を201百万円計上した一方で、短期借入金の増減額を170百万円計上したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループで行う事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先が無いため記載を省略しております。
2.調整はセグメント間の相殺消去であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。
新型コロナウイルス感染症の影響は、感染症法上の分類について季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられることなどを契機に、徐々に収束に向かうことが予想されます。一方で、人件費の高騰に加えて原材料やエネルギー価格、物流コストなど様々な物価高の影響は、2023年4月以降も2024年3月期中は一定期間継続するものと見込まれるものの、その影響は限定的であると仮定し、会計上の見積りを行っておりますが、現時点ですべての影響について予測を行うことは困難な状況であるため、収束時期等によって変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末における資産、負債及び資本の状況は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ37百万円増加し、628百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が26百万円、その他の流動資産が8百万円増加したことなどによるものであります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べ75百万円増加し、1,907百万円となりました。これは主に、使用権資産が74百万円増加したことなどによるものであります。
その結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ112百万円増加し、2,536百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ74百万円増加し、1,244百万円となりました。これは主に、借入金が120百万円増加したことなどによるものであります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べ72百万円増加し、476百万円となりました。これは主に、リース負債が65百万円増加したことなどによるものであります。
その結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ145百万円増加し、1,720百万円となりました。
資本合計は、当期利益の計上などにより前連結会計年度末に比べ33百万円減少し、816百万円となりました。
当社グループの売上は、経済情勢、消費者の嗜好の変化、他社との競合、天候不順、出店計画等による影響を受け、また当社グループの費用は、原材料価格、光熱費、不動産賃料、人件費等による影響を受けます。したがって、これらの変動要因が発生し、当社グループによる対応策が有効に機能しなかった等の場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの経営成績に影響を与える他の要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
(c) 経営戦略の現状と見通し
ファストネイルは、コロナ禍以前は安定的な収益を確保しており、現状はコロナ禍の影響を受けておりますが、女性の「キレイでいたい」「おしゃれをしたい」といった普遍的な欲求に応えるビジネスであることから、日常生活の回復とともに需要も徐々に従前の水準に戻るものと考えております。
よって当社グループは、既存店の集客と収益力強化のために人材教育や魅力的なプロダクトの開発・提供に力を入れ、さらに優良物件への積極的な出店と、新たなフランチャイズパートナーの開拓を進めることにより、今後も事業規模の拡大を図ってまいります。
① 資金需要
主として運転資金、設備投資、長期借入金の返済、法人税等の支払に資金を充当しております。
運転資金のうち主なものは、人件費、地代家賃、材料費等であります。
設備投資は主に、ネイルサロン「ファストネイル」の新規出店にかかる有形固定資産の取得、敷金及び保証金の差入等であります。
② 資本の財源
営業活動によるキャッシュ・フローにより得た資金を基本としておりますが、運転資金につきましては、状況に応じて取引銀行から短期借入れを行っております。
③ 資金の流動性
・当座貸越契約
当社は、取引銀行6行との間で貸越極度額合計500百万円の当座貸越契約を締結しております。
当連結会計年度末において、当該契約に基づく借入を500百万円実行しております。
・コミットメントライン契約
当社は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に備え、2020年5月に取引銀行2行との間で借入極度額合計500百万円のコミットメントライン契約を締結しました。
当連結会計年度末において、当該契約に基づく借入を250百万円実行しております。
・劣後特約付金銭消費貸借契約
当社は、新型コロナウイルス感染症の影響により毀損した財務基盤の中長期的な安定を図り、将来の業績拡大を見据えた事業展開を推進するため、2021年3月31日付で株式会社商工組合中央金庫と劣後特約付金銭消費貸借契約を締結し、200百万円の借入を実行しております。