E01849 Japan GAAP
前期
528.1億 円
前期比
116.1%
株価
3,080 (07/12)
発行済株式数
18,220,000
EPS(実績)
254.94 円
PER(実績)
12.08 倍
前期
670.3万 円
前期比
100.9%
平均年齢(勤続年数)
40.3歳(15.3年)
従業員数
1,054人(連結:1,999人)
当社の企業集団は、当社及び子会社11社で構成され、戸建住宅向けシステム、集合住宅向けシステム、医療・福祉施設向けシステム、オフィス・公共施設向けシステム等の電気通信機器の製造・販売を主な内容とし、さらに各事業に関連する据付工事、請負、修理等の事業活動を展開しております。
当企業集団の各社の事業に係る位置づけは、次のとおりであります。
当社が電気通信機器を製造・販売するほか、生産面ではタイのアイホンコミュニケーションズ(タイランド)とベトナムのアイホンコミュニケーションズ(ベトナム)が製品の生産を行っております。また、フランスのGEGA ELECTRONIQUEが製品の生産及び一部販売を行っております。さらに、国内ではアイホンコミュニケーションズ株式会社が当社製品の生産と基板の加工を行っております。
また、販売面では北米につきましてはアイホンコーポレーションが、欧州(イギリスを除く。)につきましてはアイホンS.A.S.が、オセアニアにつきましてはアイホンPTYが、東南アジアにつきましてはアイホンPTE.が、イギリスにつきましてはアイホンUKがそれぞれ販売を行っております。
さらに、開発面では株式会社ソフトウェア札幌及び株式会社テシオテクノロジがソフトウェア開発等を行っております。
なお、GEGA ELECTRONIQUEにつきましては、当社グループ全体の経営効率の向上を目的に2024年2月から解散手続きを開始しております。
セグメントの区分は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
会社名 |
日本 |
アイホン株式会社 |
北米 |
アイホンコーポレーション |
欧州 |
アイホンS.A.S.、アイホンUK |
タイ |
アイホンコミュニケーションズ(タイランド) |
ベトナム |
アイホンコミュニケーションズ(ベトナム) |
その他 |
アイホンPTY、アイホンPTE. |
事業の系統図は次のとおりであります。(2024年3月31日現在)※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における世界経済は、欧米を中心にインフレ抑制のために金融引き締めが行われ、景気後退が懸念される状況が続きました。また、中東情勢の悪化等、地政学リスクが高まっており先行きが不透明な状況が継続いたしました。
こうした中、わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことにより、景気は回復基調で推移いたしました。一方で、物価の高騰、急激な為替の変動等、先行きが不透明な状況が継続いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ)財政状態
当連結会計年度末の財政状態は、資産784億1千6百万円(前連結会計年度末比78億1千8百万円増)、負債135億2百万円(同12億9千6百万円増)、純資産649億1千3百万円(同65億2千1百万円増)となりました。
(ロ)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高613億3千4百万円(前連結会計年度比16.1%増)、営業利益52億6千8百万円(同40.2%増)、経常利益61億3千万円(同47.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益46億4千5百万円(同58.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(日本セグメント)
売上高は543億7千4百万円(前連結会計年度比16.6%増)となりました。営業利益は売上高の大幅な増加等もあり48億3千4百万円(同75.4%増)となりました。
戸建住宅市場の売上は、大幅に増加いたしました。主な要因は、新築では当社の納入時期にあたる住宅着工戸数は前年同期から減少が続く中、商品供給の正常化により主力テレビドアホンの販売が好調に推移したことに加え、前年度に行った価格改定の効果があったことによります。また、リニューアルにおいても商品の供給不安が払拭されたことにより、主力のワイヤレステレビドアホンを中心に量販店等への販売が引き続き好調に推移いたしました。
集合住宅市場の売上は、大幅に増加いたしました。主な要因は、部品不足の回復に伴い商品の供給状況が安定したことから、分譲マンション、賃貸マンションともにリニューアル向けの販売が大幅に増加したことによります。また、下半期を中心に価格改定の効果が見られたことも影響いたしました。なお、新築では当社の納入時期にあたる住宅着工戸数が前期比増加となる中、大手賃貸ディベロッパー等への積極的な受注活動により賃貸マンション向けの販売が好調に推移したものの、市場競争環境の正常化により分譲マンション向けの販売は大幅に減少いたしました。
ケア市場の売上は、微増いたしました。主な要因は、新築では病院の着工数減少の影響により大きく販売が減少したものの、深刻化する医療・介護従事者不足の解決策の1つである「見守り支援」ニーズの高まりを背景に、自治体等からの補助金活用を含む継続的なソリューション提案活動が奏功し、病院や高齢者住宅等のリニューアルの販売が大きく伸長したことによります。また、下半期以降は価格改定の効果も見られました。
業務市場の売上は、増加いたしました。主な要因は、テナントビルや官公庁案件、商業施設等における省人化・無人化ニーズに即したIPネットワーク対応インターホンシステムの販売が好調に推移したことによります。また、学校等における連絡用設備のリニューアル受注が拡大したことや、前年度に実施した価格改定も売上の増加に寄与いたしました。
(北米セグメント)
売上高は現地通貨ベースで大幅に増加するとともに、円貨ベースにおいても為替の影響により大幅に増加し、119億1千8百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。営業利益は売上高の大幅な増加があったものの、グループ会社からの仕入価格増加の影響等もあり3億1千7百万円(同38.0%減)となりました。
主な要因は、商品供給の正常化に伴い、北米の主要市場である学校・政府案件等の業務市場を中心にIPネットワーク対応インターホンシステムやテレビドアホンの販売が好調に推移したことによります。また、住宅市場においても高単価であるネットワーク対応商品の需要が拡大していることも好調の要因となっています。なお、現地通貨ベースにおける累計の売上高は前年同期を大幅に上回っているものの、金利負担の増大によりオフィスへの設備投資を抑制する動きが見られたことなどから、下半期以降の売上の伸びは鈍化いたしました。
(欧州セグメント)
売上高は現地通貨ベースでは減少したものの、円貨ベースでは為替の影響により増加し、41億4千7百万円(前連結会計年度比8.2%増)となりました。また、営業損失は3千7百万円(前連結会計年度は営業利益1千9百万円)となりました。
主な要因は、ユーロ圏経済において物価高と金融引き締めにより内需の停滞が継続していることにあります。主要国フランスでは、積極的なプロモーション活動により戸建住宅向けのWi-Fi対応テレビドアホンを中心に販売が好調に推移したものの、住宅ローン金利の上昇等に端を発する新築住宅着工数が大幅に減少した影響を受けております。また、企業や地方公共団体等の設備投資予算が縮小する中、現地政府による支援もありエネルギー関連商材への投資を優先する傾向が強まったことにより、業務市場の販売が低迷したことも影響いたしました。
一方、イギリスにおいては経済環境の不安定な状況は継続しているものの、下半期以降は市況が安定したことにより、IPネットワーク対応インターホンシステムを中心に業務市場の販売が好調に推移し、売上は前年同期から増加いたしました。
(タイセグメント)
生産拠点として、売上高は95億7千1百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。営業利益は、部品価格の高騰等もあり2億円(同17.2%減)となりました。
主な要因は、部品の供給が正常化した状況に合わせ、下半期以降に商品在庫の削減に向けて計画的な生産調整を行った結果、累計生産量が前年同期を下回ったことによります。
(ベトナムセグメント)
生産拠点として、売上高は58億5千7百万円(前連結会計年度比17.9%減)となりました。営業利益は、部品価格の高騰や売上高の大幅な減少等もあり2億8千6百万円(同9.6%増)となりました。
主な要因は、部品の供給が正常化した状況に合わせて計画的な生産調整を継続しており、累計生産量が前年同期を大幅に下回ったことによります。
(その他)
売上高は13億7千9百万円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費の増加や原価率悪化等もあり2千7百万円(同67.1%減)となりました。
主な要因は、オーストラリアを中心とするオセアニアにおいては、国内経済の減速により新築を中心に住宅市場の停滞が大きく影響し、販売が大幅に減少したものの、シンガポールを中心とする東南アジアにおいて、需要の高いIPネットワーク対応インターホンやナースコールの販売が好調に推移したことによります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ78億3千万円増加し、215億8千7百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は90億5千6百万円(前連結会計年度は47億8千1百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益61億7千9百万円、棚卸資産の減少額19億1千3百万円、減価償却費10億2千1百万円などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は5千8百万円(前連結会計年度比97.7%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7億8千2百万円があったものの、有価証券の売却及び償還による収入7億5千1百万円などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は16億9千9百万円(同3.3%減)となりました。これは主に、配当金の支払額14億7千1百万円などがあったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
35,207 |
103.7 |
タイ |
9,522 |
100.0 |
ベトナム |
5,781 |
80.2 |
合計 |
50,511 |
99.6 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しておりません。
(ロ)受注実績
当社グループは、主として需要見込による生産方式をとっておりますので記載を省略しております。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
日本 |
43,910 |
115.8 |
北米 |
11,897 |
121.2 |
欧州 |
4,146 |
108.2 |
その他 |
1,379 |
111.2 |
合計 |
61,334 |
116.1 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
当連結会計年度末における資産は784億1千6百万円(前連結会計年度末705億9千7百万円)となり78億1千8百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が78億3百万円増加、投資有価証券が11億7千3百万円増加、棚卸資産が10億6百万円減少したこと等によるものであります。
負債は135億2百万円(前連結会計年度末122億5百万円)となり12億9千6百万円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が8億1千8百万円増加、未払消費税等が7億7千万円増加したこと等によるものであります。
純資産は649億1千3百万円(前連結会計年度末583億9千1百万円)となり65億2千1百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益により46億4千5百万円増加、為替換算調整勘定が18億3千1百万円増加したこと等によるものであります。
(ロ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、613億3千4百万円(前連結会計年度比16.1%増)となりました。売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (ロ)経営成績」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、265億3千万円(前連結会計年度比17.5%増)となりました。主な増加要因としましては、売上高の増加によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、212億6千2百万円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。主な増加要因としましては、人件費や研究開発費の増加によるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、52億6千8百万円(前連結会計年度比40.2%増)となりました。主な増加要因としましては、売上総利益が増加したことによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、61億3千万円(前連結会計年度比47.1%増)となりました。主な増加要因としましては、営業利益が増加したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、46億4千5百万円(前連結会計年度比58.6%増)となりました。主な増加要因としましては、経常利益が増加したことによるものであります。
なお、当社グループが経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としている連結売上高営業利益率はバックオーダーの解消や価格改定により売上高が増加したことに伴い、8.6%(前連結会計年度比1.5ポイント増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、持続的な成長のための積極的投資と株主への利益還元に必要な資金の確保、並びに強固な財務基盤の維持を目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出に努めております。運転資金需要の主なものは、製品を生産するための材料仕入、外注費等の製造費用や新商品開発のための新商品開発費及び販売費であります。また、設備資金需要の主なものは、製品を生産するための機械装置等の固定資産購入であります。なお、当社グループはこれらの資金を全額自己資金で充当しております。
また、株主還元につきましては、長期的な視点に立った安定的な配当を実施するとともに、経営基盤の強化と収益見通しを勘案しつつ積極的な配当を検討しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。
(製品保証引当金)
製品保証引当金は、将来発生する修理費用の見積額を計上しております。修理費用の見積額は、過去の発生実績率や特定案件の合理的な見積りに基づいて計上しておりますが、実際の発生実績率または修理費用が見積りと異なる場合、製品保証引当金に影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付債務及び退職給付費用)
退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。