E02059 Japan GAAP
前期
1,087.9億 円
前期比
103.6%
株価
596 (04/25)
発行済株式数
152,000,000
EPS(実績)
11.79 円
PER(実績)
50.55 倍
前期
1,122.7万 円
前期比
80.9%
平均年齢(勤続年数)
44.9歳(11.0年)
従業員数
418人(連結:1,076人)
当社グループは、ブランド製品、テクノロジーソリューションの各事業製品の開発・製造・販売を主な活動としているほか、サービス業務等を行っております。
事業の内容と当社及び当社の関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりであります。
なお、以下の事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
(1)ブランド製品事業
製品区分 |
主要製品 |
関係会社 |
クリエイティブソリューション |
・ディスプレイ 液晶ディスプレイ面に直接描画と文字入力ができるペンタブレット ・ペンタブレット 筆圧感知ができるペンにより非常に繊細な描画等が可能なペンタブレット及び簡単な操作で使用できるペンタブレット ・モバイル OSを搭載したクリエイティブタブレット
<使用用途> コンピューターグラフィックを利用したグラフィックスデザイン、映画やアニメの制作、写真編集、工業デザイン及びイラストレーション、ホームページデザイン、オンライン教育及びテレワークでの利用等 |
当社 ワコムヨーロッパ ワコムテクノロジー ワコムチャイナ ワコムコリア ワコムオーストラリア ワコムホンコン ワコムシンガポール ワコムタイワンインフォメーション ワコムインディア |
ビジネスソリューション |
液晶ディスプレイ面に直接描画や文字入力ができるビジネス用途向け製品
<使用用途> 教育分野、医療分野、デジタルサイン分野での利用等 |
(2)テクノロジーソリューション事業
製品区分 |
主要製品 |
関係会社 |
AESテクノロジーソリューション |
デジタルペン技術(アクティブES:Active Electrostatic/EMR:Electro Magnetic Resonance)を搭載した、デジタルペン、マルチタッチセンサー、タッチパネル等の部品及びモジュール
<使用用途> タブレットPC、電子書籍や携帯端末等のモバイル機器への組み込み利用等 |
当社 ワコムチャイナ ワコムタイワンインフォメーション |
EMRテクノロジーソリューション他 |
以上の状況について事業系統図を示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下、世界経済はロシア・ウクライナ情勢に起因した地政学的緊張の高まりに加えて、エネルギーや食料価格の高騰と主要国での中央銀行の金融引き締めによる金利上昇、ウイルスの変異株台頭による感染の再拡大による影響も残ったことなどから、経済成長の減速が見られました。このような情勢下、IT市場では、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルネットワークの重要性が高まり、それらに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の主要通貨に対する円相場は、各国の景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対ドル及び対中国元では円安、対ユーロでも小幅に円安となりました(為替変動による連結業績への影響は、売上高を約156億円押し上げ、営業利益を約13億円押し上げたと試算)。
このような事業環境の下、当社グループは、2021年5月12日に発表した2025年3月期を最終年度とする中期経営方針『Wacom Chapter3』に則って、引き続きペンやインクのデジタル技術で常に市場の主導権を握り、「意味深い成長(財務的な成長だけではなく、私たちのお客様が製品・サービスのユーザー体験を通じて感じる成長であり、私たちが日々の暮らしを営む社会やコミュニティ全体が新たな学びを積み重ねていくことであり、一人一人の自己実現を通じた成長で構成される多面的な意味を持つ成長)」を目指して事業運営にあたりました。当連結会計年度では、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)、教育といった成長分野において、事業モデルを一段と進化させるための戦略を協業パートナーと推し進めるとともに、生産性やコスト構造の改善にも全社的に努め、経営判断の質の向上を通して経営課題に取り組みました。
ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新に取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当連結会計年度では、主力のクリエイティブソリューションにおいて、製品ポートフォリオ強化の一環としてプロ向けディスプレイ製品の新製品を2022年9月に発表したことなどにより、プロ向けディスプレイ製品の販売は伸ばしましたが、ディスプレイ製品、ペンタブレット製品ともに中低価格帯モデルの販売が減少したことなどから、ブランド製品事業全体としての売上高は、前年同期を下回りました。
テクノロジーソリューション事業については、デジタルペン技術(アクティブES:Active Electrostatic、EMR:Electro Magnetic Resonance)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当連結会計年度では、AESテクノロジーソリューション及びEMRテクノロジーソリューション他ともに売上高が前年同期を上回ったことから、テクノロジーソリューション事業全体としての売上高は、前年同期を上回りました。
中期経営方針の戦略軸に沿った全社的な取り組みとしては、株式会社セルシス(アートスパークホールディングス株式会社は、その子会社である株式会社セルシスと2022年9月1日付で合併し、商号を株式会社セルシスに変更しております。以下、セルシス)との資本業務提携及び第三者割当増資の引受けを2022年4月11日開催の取締役会において決議しました。セルシスは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至る事業を推進し、イラスト・マンガ・アニメーション制作アプリを当社ペンタブレット製品へ付属するなど、20年以上におよぶ協業の歴史を当社と共有しております。当業務提携により教育など特定用途に向けたクリエイティブ創作体験の共同開発、デジタル著作権管理や創作にまつわる権利保護に向けた技術の実装とサービス運営の検討などを行っております(詳細は、2022年4月11日付公表の「アートスパークホールディングス株式会社との資本業務提携及び第三者割当増資の引受けに関するお知らせ」をご参照ください)。成長の促進を図るため、新たなコア技術やビジネスモデルの開発への積極的な投資を行うとともに、2022年11月には、人間の創造性の源に思いを馳せ、アート、教育、テクノロジーなど多様な領域のパートナーと共創する「創造的混沌」をテーマとしたコミュニティイベント「Connected Ink(コネクテッド・インク)2022」を開催しました。最新のデジタルインク・テクノロジーを駆使した教育向けAIやクリエイターの権利保護、メタバース空間での創作の可能性など、多様な分野でのパートナーとの取り組みを発表しました。
また、当社では、ベトナムでの生産の増加が見込まれることから、安定的な生産の確保と品質の維持を担保するため、ベトナムに生産管理、品質維持のための子会社を当社全額出資により設立することを、2022年9月28日開催の取締役会において決議しました。
(注)当社グループの事業活動への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における影響及び取り組み、並びにロシア・ウクライナ情勢による影響及び取り組みについては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 <新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における事業活動への影響及び取り組み>、<ロシア・ウクライナ情勢による事業活動への影響及び取り組み>」をご覧ください。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産の残高は、75,278,772千円となり、前連結会計年度末に比べ1,946,298千円増加しました。これは主に、繰延税金資産が2,268,682千円、原材料及び貯蔵品が2,149,986千円増加し、売掛金が1,935,970千円減少したことによります。
負債の残高は、34,789,108千円となり、前連結会計年度末に比べ4,959,686千円増加しました。これは主に、短期借入金が7,000,000千円増加し、買掛金が2,473,095千円減少したことによります。
純資産の残高は、40,489,664千円となり、前連結会計年度末に比べ3,013,388千円減少しました。これは主に、自己株式の減少3,669,149千円、親会社株主に帰属する当期純利益1,792,138千円により増加し、自己株式の消却等に伴う資本剰余金の減少5,639,142千円、剰余金の配当3,179,516千円により減少したものであります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ5.5ポイント減少し、53.8%となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における売上高は112,729,503千円(前年同期比3.6%増)となり、営業利益は、主に、ブランド製品事業における減収、セグメント事業間やブランド製品事業での製品カテゴリー別の売上高構成比率の変化、棚卸資産評価損等の計上に伴い、2,013,286千円(同84.5%減)、経常利益は2,867,878千円(同80.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,792,138千円(同83.6%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、1,808,957千円減少(前年同期は10,253,742千円減少)し、当連結会計年度末には19,979,904千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの内訳は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、1,055,588千円(前年同期は235,526千円の使用)となりました。これは、当連結会計年度において法人税等の支払額3,724,742千円、仕入債務の減少額3,019,707千円及び為替差益1,023,948千円などの支出要因が、減価償却費2,196,157千円、税金等調整前当期純利益2,192,561千円及び売上債権の減少額2,174,132千円などの収入要因を上回ったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3,141,668千円(前年同期は1,372,479千円の使用)となりました。主な内訳は、投資有価証券の取得による支出1,601,321千円及び有形固定資産の取得による支出1,275,363千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,068,847千円(前年同期は10,516,084千円の使用)となりました。内訳は、短期借入れによる収入7,000,000千円、配当金の支払額3,177,100千円、自己株式の取得による支出2,003,990千円及びリース負債の返済による支出750,063千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
ブランド製品事業(千円) |
24,778,002 |
85.2 |
テクノロジーソリューション事業(千円) |
49,047,296 |
135.7 |
合計(千円) |
73,825,298 |
113.2 |
(注)上記の金額には、製品仕入実績を含んでおります。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
ブランド製品事業(千円) |
41,160,711 |
78.2 |
テクノロジーソリューション事業(千円) |
71,568,792 |
127.5 |
合計(千円) |
112,729,503 |
103.6 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
サムスングループ |
23,721,973 |
21.8 |
37,647,901 |
33.4 |
2.サムスングループには、主に、Samsung Electronics Japan Co., Ltd.、Samsung Electronics Co., Ltd.が含まれております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
当社グループのセグメントごとの業績に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
◎ ブランド製品事業
<クリエイティブソリューション>
クリエイティブソリューションは、プロ向けディスプレイ製品の販売を伸ばしましたが、ディスプレイ製品、ペンタブレット製品ともに中低価格帯モデルの販売が減少したことなどから、前年同期の売上高を下回りました。
○ ディスプレイ製品
「Wacom Cintiq Pro(ワコム シンティック プロ)」は、営業活動を活発に行い、前年同期の売上高を僅かに上回りました。また、2022年9月にはプロ向け大型モデル「Wacom Cintiq Pro 27」を発表しました。「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)」は、需要に落ち着きが見られたことなどから、前年同期の売上高を下回りました。「Wacom One(ワコム ワン)液晶ペンタブレット13」も同様に、前年同期の売上高を下回りました。これらの結果、ディスプレイ製品全体の売上高は、前年同期を下回りました。
○ ペンタブレット製品
「Wacom Intuos Pro(ワコム インテュオス プロ)」は、経年等の影響があるなか、営業活動を活発に行いましたが、前年同期の売上高を下回りました。「Wacom Intuos(ワコム インテュオス)」は、経年に加え、需要に落ち着きが見られたことなどから、前年同期の売上高を大幅に下回りました。「One by Wacom(ワン バイ ワコム)」も同様に、前年同期の売上高を大幅に下回りました。これらの結果、ペンタブレット製品全体の売上高は、前年同期を大幅に下回りました。
○ モバイル製品他
デジタルペン搭載タブレット市場が拡大し競争環境が大きく変化するなか、Windows 10搭載クリエイティブタブレット「Wacom MobileStudio Pro(ワコム モバイルスタジオ プロ)」は、前年同期の売上高を下回りました。また、モバイル製品以外のスタイラスペン製品を中心とした売上高は、前年同期を上回りました。これらの結果、モバイル製品他全体の売上高は、前年同期を下回りました。
<ビジネスソリューション>
流動的な市況や案件進捗の動向の影響があるなか、ビジネスソリューション全体の売上高は、前年同期を僅かに下回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は41,160,711千円(前年同期比21.8%減)、セグメント損失は3,980,908千円(前年同期はセグメント利益8,712,098千円)となりました。また、売掛金の減少等の一方、投資有価証券の増加等により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ567,630千円増加の19,430,996千円となりました。
◎ テクノロジーソリューション事業
<AESテクノロジーソリューション>
OEM提供先のメーカー各社から引き続き高い評価を得ており、AESテクノロジーソリューション全体の売上高は、前年同期を上回りました。
<EMRテクノロジーソリューション他>
OEM提供先の製品ポートフォリオの変化が奏功し、EMRテクノロジーソリューション他全体の売上高は、前年同期を大幅に上回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は71,568,792千円(前年同期比27.5%増)、セグメント利益は10,756,187千円(同21.0%増)となりました。また、部材調達リスクに備えた在庫水準の上昇等により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ410,098千円増加の22,490,760千円となりました。
<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行下における事業活動への影響及び取り組み>
当連結会計年度での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、次のとおりであります。
ブランド製品事業では、当連結会計年度において、前年同期と比べて落ち着きが見られた需要が、クリエイティブソリューションのディスプレイ製品やペンタブレット製品の中低価格帯モデルの販売に影響を及ぼしました。さらに、中国でのゼロコロナ政策の徹底と一部地域でのロックダウンの実施などを受けて、中国での販売にも影響を及ぼしました。
テクノロジーソリューション事業では、当連結会計年度において、中国でのゼロコロナ政策の徹底と一部地域でのロックダウンの実施を受けて、生産サプライチェーンオペレーションの制約などがありましたが、AESテクノロジーソリューション及びEMRテクノロジーソリューション他の業績に与える影響は軽微でありました。
全社的な取り組みとしては、全世界的に、テレワークの実施等柔軟な勤務体制を継続することで、コロナ禍後の新しい働き方の在り方を検討するとともに、従業員の安全確保、感染拡大防止に向けた社会的責任の遂行を図りました。
<ロシア・ウクライナ情勢による事業活動への影響及び取り組み>
当連結会計年度での当社グループの事業活動への影響及び取り組みについては、次のとおりであります。
当社グループは、ロシア及びウクライナに事業拠点を有しておらず、また、金融や物流等の困難な状況を鑑み、2022年3月期の第4四半期連結会計期間(2022年1~3月期)に、同地域への直接的な出荷を一時停止しました。当連結会計年度においては、ウクライナ向けの出荷を再開しましたが、両国での売上実績は前年同期を大幅に下回りました。なお、前年同期における、連結売上高に対する両国での売上高の割合は、約1%であります。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループは、これらのリスクに対して、継続的にモニタリングを行って現状把握に努めるとともに、低減・回避等の対応に努めております。なお、当連結会計年度末現在において、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載されたリスクに関する重要な事象等は存在しておりません。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、VR(仮想現実)/MR(複合現実)、AI(人工知能)、セキュリティ(安全性)、教育といった成長分野に対応した新製品や次世代デジタルペン技術にかかる研究開発費、量産出荷のための金型設備投資、管理部門等における業務効率向上のためのITシステム投資であります。なお、設備もしくはシステムとして資産計上される資本的支出の規模は、毎期20億円~25億円程度を目安としております。当連結会計年度においては、製品量産用金型や自動組立機への投資などがあるものの、投資計画そのもののキャンセルや投資時期の見直しがあり、総額約16億円となりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金調達、資金運用等に関する取り組み方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)」に記載のとおりであります。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、約107億円(借入金90億円、リース負債約17億円)であります。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、約200億円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り項目特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、会計上の見積りを行うに際して使用した重要な仮定は、合理的であると判断しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大及びロシア・ウクライナ情勢が会計上の見積りに与える影響については、将来の業績の不確実性の程度が会計上の見積りに与える感応度は低い状況であると判断し、評価時点において入手可能な情報に基づく最善の見積りを行っております。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2022年3月期~2025年3月期を対象期間とするグループ中期経営方針『Wacom Chapter3』に沿って事業を展開してまいりました。折り返し地点となる2年が経過し、進捗状況について、後半2年に加えて次期『Wacom Chapter4』に向けた展望とともに、『Wacom Chapter3』策定時に設定しました財務方針のガイドラインを次のとおりアップデートしております。
a. 事業活動の効率性
2025年3月期のROIC(投下資本利益率)10%以上への回復を目安に事業を運営してまいります(修正前:25~30%程度)。
b. 資本の効率性
2025年3月期のROE(自己資本利益率)10~15%程度を想定しております(修正前:20%程度)。
c. 株主還元
配当支払については、適正な財務の健全性を確保することを前提にしつつ、連結ベースの配当性向が目安である30%程度を上回る場合でも、原則として安定的な1株当たりの配当額の維持を目指してまいります。
自己株式取得については、上記の資本の効率性を実現する観点から配当支払では賄えない部分について、投資機会や財務状況なども考慮の上、機動的に遂行してまいります。
当連結会計年度における各経営指標の状況は次のとおりであります。また、2021年5月13日から2025年3月31日までの期間に、総額200億円を上限とする自己株式の取得を実施する方針を策定しており、当連結会計年度において累計20億円(累計2,773,700株)の自己株式の取得を実施し、2021年5月13日以降の自己株式取得額の累計は50億円となりました。
|
前連結会計年度 (2022年3月期 実績) |
当連結会計年度 (2023年3月期 実績) |
2022年3月期~ 2023年3月期 財務方針のガイドライン(修正前) |
2024年3月期~ 2025年3月期 財務方針のガイドライン(修正後) |
ROIC (投下資本利益率) |
29.7% |
3.7% |
25~30%程度 |
10%以上 |
ROE (自己資本利益率) |
27.0% |
4.3% |
20%程度 |
10~15%程度 |
配当性向 |
29.4% |
176.4% |
30%程度 |
30%程度。それを上回る場合でも原則として安定的な配当額を維持。 |
ROIC=税引後営業利益 / (正味運転資本の期首期末平均+事業用資産の期首期末平均)
事業用資産:有形固定資産+無形固定資産+他資産(うち事業用と定義するもの)