E02059 Japan GAAP
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間(2025年4月1日から2025年9月30日まで)における当社グループを取り巻く事業環境において、世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢に加えて中東地域に起因した地政学的緊張が続くなか、米国の関税政策を見越した経済活動の前倒しの影響が見られるなど、引き続き先行き不透明感が残るものとなりました。このような情勢下、IT市場では、モバイル、クラウド、AI、ブロックチェーンなどに関連した技術革新や利便性向上などが見られました。なお、同期間の円相場は、景気や金融・貿易政策等に対する見方を反映し、前年同期の平均レートと比較すると対米ドルで円高となりました。
このような事業環境のもと、当社グループは、2025年5月9日に発表した2029年3月期を最終年度とする中期経営計画『Wacom Chapter 4』を推進するため、当社がこれまで磨き上げてきた要素技術をさらに高め統合し、新たな「かく」体験を実現する技術革新に取り組んでおります。また、コミュニティのユースケースを深く理解、発掘すべく、パートナーとともに体験とコミュニティの共創にも努めております。そして、「創る(Creation)」「学ぶ/教える(Learning/Teaching)」「はたらく/楽しむ、その先へ(Work/Play & Beyond)」「より人間らしく生きる(Well-being)」といった4つのユースケース領域で、「かく」こと全般の『総合的な体験を届ける“道具屋”』として事業モデルを一段と進化させるための戦略の展開を図っております。当中間連結会計期間では、各ユースケース領域において、事業モデルを進化させるための戦略を協業パートナーと推し進めるとともに、生産性やコスト構造の改善にも努め、経営判断の質の向上を通して経営課題に取り組みました。
テクノロジーソリューション事業については、デジタルペン技術(アクティブES:Active Electrostatic、EMR:Electro Magnetic Resonance)の事実上の標準化に取り組むとともに、タブレット・ノートPC市場での利用拡大や教育市場での事業機会の拡大に努めました。当中間連結会計期間では、OEM顧客の需要動向に加えて円高や米国の関税政策による影響を受けた需要期の変化等から、当事業の売上高は前年同期を下回り、その結果、セグメント利益も前年同期を下回りました。
ブランド製品事業については、創造性発揮のための最高体験をお客様にお届けするため、技術革新に取り組むとともに、顧客サービスの向上に努めました。当中間連結会計期間では、一部機種の販売終了による需要動向の変化等から、当事業の売上高は前年同期を下回りましたが、セグメント利益は前期に実施した事業構造改革が奏功し、4期振りとなる黒字化を達成しました。
中期経営計画『Wacom Chapter 4』の戦略軸に沿った全社的な取り組みとしては、前期に実施したブランド製品事業の事業構造改革を確実なものとすべく、海外一部地域を日本からの直売モデルに変更するなど販売オペレーションの効率化を図りました。商品ポートフォリオの刷新にも努め、2025年6月には描き心地と集中しやすさを追求したミドルレンジのディスプレイ新製品となる「Wacom Cintiq(ワコム シンティック)」を、さらに7月には描くことに特化したオールインワン設計により軽さと使いやすさを追求したポータブルクリエイティブ新製品「Wacom MovinkPad (ワコム ムービンクパッド)11」を発表しました。また、企業価値の中長期的な向上を目指す観点からは、当社グループが持つデジタルペンの技術価値や各要素を「ペンとインクの統合体験」として市場実装すべく、次世代の成長エンジンとなる技術開発を推進し、積極的な投資や提携を行っております。2025年4月には業務用モニター上でのインク体験といった新しいユースケースを開拓するためSYNCORE TECHNOLOGY(シンコアテクノロジー)社に、2025年5月には医療現場/メディカルワークフローの中で「かく」体験を共創するためHoloeyes(ホロアイズ)株式会社にそれぞれ出資しました。2025年8月には世界的オープンソース3D制作ソフトウェアBlender(ブレンダー)との戦略的パートナーシップを強化すべくBlender開発基金プログラムの支援を最高ランクレベルに引き上げることを発表しました。
サステナビリティの取り組みについては、中期経営計画『Wacom Chapter 4』を補足するため、2025年6月に「Wacom Story Book Issue 2『薄い本』」を発行しました。この「Wacom Story Book」シリーズは、ワコムに関わる人々の多様なストーリーを集めたアンソロジー(選集)形式の読み物となっており、「Issue 2」は4つのテーマ「Chapter 4 サイドストーリー」「コミュニティと共に、生きる」「わたしたちのサステナビリティ」「わたしたちのガバナンス」の小冊子で構成されております。
これらの結果、当中間連結会計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
① 財政状態
当中間連結会計期間末における資産の残高は、71,222百万円となり、前連結会計年度末に比べ450百万円増加しました。これは、売掛金が3,099百万円、商品及び製品が2,720百万円、投資その他の資産が1,251百万円増加し、現金及び預金が4,533百万円、原材料及び貯蔵品が613百万円、流動資産のその他が1,209百万円減少したことなどによるものであります。
負債の残高は、37,924百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,987百万円減少しました。これは、買掛金が3,084百万円増加し、短期借入金が2,000百万円、流動負債のその他が2,978百万円減少したことなどによるものであります。
純資産の残高は、33,297百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,437百万円増加しました。これは、親会社株主に帰属する中間純利益4,137百万円、その他有価証券評価差額金の増加909百万円により増加し、剰余金の配当2,959百万円により減少したことなどによるものであります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ3.2ポイント増加し、46.8%となりました。
② 経営成績
当中間連結会計期間の売上高は51,394百万円(前年同期比10.3%減)、営業利益は5,854百万円(同6.9%増)、経常利益は5,838百万円(同22.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は4,137百万円(同19.2%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、各セグメントの業績説明における記載順序、記載方法等を一部変更しております。
a. テクノロジーソリューション事業
販売数量の増加によりAESテクノロジーソリューションの売上高が前年同期を上回りましたが、販売数量の減少や円高の影響などにより、EMRテクノロジーソリューションの売上高が前年同期を下回り、事業全体としては前年同期の売上高を下回りました。
これらの結果、テクノロジーソリューション事業の売上高は36,914百万円(前年同期比13.1%減)、セグメント利益は7,561百万円(同18.9%減)となりました。
b. ブランド製品事業
商品ポートフォリオを刷新するなか、新製品の投入によりミドルレンジのディスプレイ製品、ポータブルクリエイティブ製品及びハイエンドのペンタブレット製品の売上高が前年同期を上回りましたが、販売終了を含む一部既存機種の販売数量の減少や円高の影響などにより、事業全体としては前年同期の売上高を下回りました。
これらの結果、ブランド製品事業の売上高は14,480百万円(前年同期比2.3%減)、セグメント利益は前期に実施した事業構造改革による固定費削減の効果から924百万円(前年同期はセグメント損失1,106百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、19,830百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,533百万円減少しました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,855百万円の収入(前年同期は3,217百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前中間純利益5,596百万円、減価償却費871百万円、売上債権の増加額3,062百万円、棚卸資産の増加額1,986百万円、仕入債務の増加額3,057百万円及びその他の流動負債の減少額2,689百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,306百万円の支出(前年同期は412百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出889百万円及び投資有価証券の取得による支出389百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,213百万円の支出(前年同期は6,323百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の返済による支出2,000百万円及び配当金の支払額2,953百万円などによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、4,228百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。