E02070 Japan GAAP
前期
372.1億 円
前期比
100.7%
株価
3,395 (03/29)
発行済株式数
24,007,728
EPS(実績)
286.51 円
PER(実績)
11.85 倍
前期
648.9万 円
前期比
94.1%
平均年齢(勤続年数)
43.3歳(15.2年)
従業員数
217人(連結:302人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(サン電子株式会社)、子会社7社、関連会社14社により構成されており、「モバイルデータソリューション事業(2023年4月1日よりグローバルデータインテリジェンス事業へ名称変更。)」、「エンターテインメント関連事業」、「新規IT関連事業」の開発・製造・販売を主たる業務内容として事業活動を展開しております。
当社グループのうち主要な事業を行っているのは、当社、連結子会社5社、持分法適用会社14社であり、当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業における位置付け並びにセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。
[事業の系統図]
以上に述べた事業区分と企業集団の概要を系統図によって示しますと、次のとおりであります。
(注) 1 ※ 連結子会社
2 〇 関連会社
3 非連結子会社で持分法非適用会社である2社については、重要性が乏しいため記載を省略しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績
売上高につきましては、前期と比較してモバイルデータソリューション事業及びエンターテインメント関連事業において受注が堅調に推移したことにより、全体の売上高は、374億49百万円(前期比0.7%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、世界的なインフレ等の影響により、255億37百万円(前期比3.0%減)となり、売上総利益率は68.2%(前期比2.6pt減)となりました。
営業損失は、17億11百万円(前年同期は13億60百万円の利益)となり、減益となりました。これは主に、モバイルデータソリューション事業において、当社の連結子会社であったCellebrite社が第4四半期から連結除外となったため、収益が最も多い第4四半期の売上が当連結会計年度に含まれなくなったことによるものであります。
<各セグメントの概況>
a.モバイルデータソリューション事業
売上高は、デジタルフォレンジック機器及びその関連サービスの受注が堅調に推移し、デジタルフォレンジック製品の販売が前期に比べ増加しましたが、Cellebrite社が第4四半期から連結除外になったため、収益が最も多い第4四半期の売上が当連結会計年度に含まれなくなったことにより、0.6%の減収となりました。セグメント利益は、研究開発費や販売費及び一般管理費等が増加したことにより、30億72百万円の減益となりました。
b.エンターテインメント関連事業
遊技機関連事業につきましては、半導体不足などによる部品・部材の高騰により原価高となりましたが、売上高は受託開発が増加したことと、新製品の受注が増加したことにより、増収減益となりました。
ゲームコンテンツ事業につきましては、既存タイトルの成長鈍化、新規タイトルへの開発投資のため、減収減益となりました。
この結果、セグメント全体では、増収減益となりました。
c.新規IT関連事業
M2M事業につきましては、売上高は、部品調達難により出荷数量が減少し、7.8%の減収となりました。セグメント利益は、出荷数量の減少に加えて原材料高騰の影響により、45百万円の減益となりました。
<財政状態>
総資産は417億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ403億29百万円の減少となりました。
流動資産は238億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ486億29百万円の減少となりました。
主な減少要因としては、現金及び預金285億40百万円、未収入金217億95百万円の減少であります。
固定資産は179億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億99百万円の増加となりました。
主な増加要因としては、投資有価証券111億93百万円、関係会社株式34億68百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては、のれん22億13百万円、有形固定資産その他13億95百万円、無形固定資産その他12億8百万円及び繰延税金資産11億25百万円の減少であります。
なお、上記の主な減少要因は、当社の連結子会社であったCellebrite社及びその子会社13社を持分法適用関連会社へ移行したことに伴う影響であります。
(負債)
負債は67億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ483億3百万円の減少となりました。
流動負債は40億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ349億36百万円の減少となりました。主な減少要因としては、契約負債178億1百万円、未払法人税等85億15百万円、未払費用37億76百万円及び短期借入金33億39百万円の減少であります。
固定負債は27億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ133億66百万円の減少となりました。主な減少要因としては、デリバティブ債務143億88百万円の減少であります。一方、主な増加要因としては、繰延税金負債20億63百万円の増加であります。
なお、上記の主な増減要因は、当社の連結子会社であったCellebrite社及びその子会社13社を持分法適用関連会社へ移行したことに伴う影響であります。
(純資産)
純資産は350億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ79億73百万円の増加となりました。主な増加要因としては、利益剰余金247億95百万円及びその他有価証券評価差額金28億95百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては、資本剰余金125億46百万円、自己株式27億42百万円、新株予約権25億83百万円及び為替換算調整勘定17億82百万円の減少であります。
なお、上記のうち、資本剰余金、利益剰余金、その他有価証券評価差額金、新株予約権及び為替換算調整勘定の主な増減要因は、当社の連結子会社であったCellebrite社及びその子会社13社を持分法適用関連会社へ移行したことに伴う影響であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、29億34百万円(前連結会計年度末残高274億38百万円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、前年同期は36億32百万円の収入に対して、135億18百万円の支出となりました。主な資金の減少要因としては、法人税等の支払額118億81百万円、デリバティブ評価損益121億7百万円、未収入金の増加額39億17百万円及び売上債権の増加額36億23百万円であります。一方、主な増加要因としては、税金等調整前当期純利益139億60百万円及び契約負債の増加額24億7百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、前年同期は40億20百万円の収入に対して251億31百万円の支出となりました。主な資金の減少要因としては、有価証券の取得による支出115億13百万円、金銭の信託の取得による支出109億円及び投資有価証券の取得による支出68億32百万円であります。一方、主な増加要因としては、有価証券の償還による収入33億87百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、前年同期は30億36百万円の支出に対して、255億74百万円の収入となりました。主な資金の増加要因としては、連結の範囲を伴わない子会社株式の売却による収入305億14百万円であります。一方、主な減少要因としては、短期借入金の減少33億39百万円及び自己株式の取得による支出27億42百万円であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
当社グループは、エンターテインメント関連事業の一部において受注生産を行っております。当連結会計年度における受注状況を示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。
なお、自然災害の増加、半導体不足の影響や主要顧客の情勢等、先行きを予想することは極めて困難でありますが、入手可能な外部の情報等を踏まえ、当連結会計年度末時点で合理的であると思われる様々な要因を勘案した上で、会計上の見積りを行っております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 5.会計方針に関する事項」に記載のとおりです。
<外部環境について>
モバイルデータソリューション事業が属するデジタル・インテリジェンス市場につきましては、法執行機関の業務におけるデジタル化が世界的に進んでいることに加え、最大市場となる米国では、犯罪対策を行う予算が増加しております。欧米では法執行機関への2023年度予算案は、2022年度以上の額が盛り込まれております。また、犯罪手法の高度化がますます進んでおり、英国等では、捜査活動やデバイスの解読活動が追い付かなくなっている状況も報告されております。
次に、エンターテインメント関連事業のうち、パチンコ市場につきましては、2022年11月からスマート遊技機が導入され始め、稼働が好調なことも影響し、スマート遊技機を中心に新台需要も高まりつつあります。一方、世界的な半導体不足による供給難や原価高騰、パチンコホールの減少等、将来的な不透明感が依然として存在しております。
ゲームコンテンツ市場につきましては、コロナ禍において在宅で楽しむエンターテインメントとしての地位を確立しており、今後も拡大傾向が続いていくと思われます。また、技術の進歩によりゲーム開発はパソコン一台、一人からできる時代となり、各プラットフォームでリリースされるゲームの数も拡大傾向にあり、競争が激化している状態です。
上記のように、市場環境が不透明な事業も存在する中、当社グループとしましては、更なる業績向上を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用し、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。
新規IT関連事業のうち、M2M、IoT市場につきましては、各通信キャリアが2026年3月末までに3G回線を順次停波するため、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが本格的に進んでおります。産業機器などに遠隔地からアクセスする監視/制御システムの需要は増加している一方、多くの企業が市場に参入しているため、市場自体は拡大しつつも競争環境は厳しくなっております。また、世界的な半導体不足による供給難や原価高騰等が今後も続く可能性もあり、現時点では不透明な状況にあります。スマートグラスを利用した遠隔支援市場につきましては、まだ市場が本格的に立ち上がっている状況ではないものの、コロナ禍によるオンライン業務や、人手不足による企業の遠隔支援に関する需要は高まってきております。
<競争優位性>
モバイルデータソリューション事業につきましては、当社の持分法適用関連会社であるCellebrite DI Ltd.(以下、「Cellebrite社」という。)が、高度アクセス技術を用いた次世代ソリューション、民間向けの新しい遠隔モバイル収集システム、新しいSaaSベースの証拠管理ソリューション等を開発し、新技術、生産性、効率性における競争力を高水準で維持しております。当期においては、Vanderburgh社との協業によって米国司法に貢献し、強制労働や人身売買をなくすための取り組みも実施いたしました。
エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、業界及び顧客を特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力の蓄積をし、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。
ゲームコンテンツ事業につきましては、知名度の高い「上海」ブランドを使ったモバイルゲームを社内で開発から運営まで完結し、コスト効率の良い収益を長期にわたり維持することが可能となっております。また、当社が多くのIPを保有する「レトロゲーム」ジャンルは、欧米市場を中心に人気が再来しており、その有効活用により更なる収益の拡大が見込める状況にあります。
新規IT関連事業につきましては、各通信キャリア、パートナーと強力な信頼関係を構築しつつ、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を維持しております。
また2021年11月にリリースしました「DRX5010」はデュアルSIM対応で、それぞれ異なる通信キャリア回線を冗長化することが可能となりました。これによりキャリア網障害発生時には主回線から副回線に自動切換えを行い、回線の通信断を防ぎ、遠隔監視・制御、データ収集を止めることなく運用することができるようになっております。
また、マルチスマートグラスデバイスに対応し、遠隔支援に特化した「AceReal Assist」は、他社製スマートグラスに順次対応しております。今後は、M2M事業で培ったモバイル通信機器とのシナジーを図り、遠隔支援の視野を広げ、DXを推進する全ての企業へ、AR技術をベースとしたソリューションを提供いたします。
<経営施策>
モバイルデータソリューション事業につきましては、データ分析分野を中心とした事業拡大を図っております。
エンターテインメント関連事業のうち、ゲームコンテンツ事業につきましては、既存のモバイルタイトル、ライセンス事業を収益基盤としつつ、新たな収益の柱として当社レトロゲームIPを活用した、新規タイトルの開発に着手しております。
新規IT関連事業のうち、「おくだけセンサー」等戦略商品について、マーケティングを行いながら、機能開発、新規顧客の開拓に努めております。飲料自販機は日本国内で約228万台設置されており、その多くが在庫管理等に3G回線を使用しています。M2M事業では、3GからLTE(4G)へマイグレーションするための戦略製品である「A330」、「A900」を開発、販売開始しており、在庫管理システムを展開している大手通信キャリア、パートナーと連携をしながら、複数の大手飲料オペレータに採用され、順調に事業が拡大しております。また、今後デバイスマネジメント「SunDMS」の機能強化をすることにより付加価値を高め、ストックビジネスの拡大を図っております。「AceReal Assist」についてはスマートグラスに対応した遠隔支援の機能にフォーカスし、ソリューションビジネスを中心に、事業展開を進めております。大手通信キャリアとは5Gをキーワードに戦略的パートナーシップを形成しており、今後も多様なソリューション案件で更なる拡販を図ってまいります。
IoT/M2M事業とのシナジー効果を目指す道筋を描く第一弾として、マレーシアのEKTechとのM&Aを実施いたしました。
また、収益力向上のため、2022年10月にマーケティング部と技術開発部を統合した研究開発部門を設立いたしました。今後の当社の事業展開を踏まえ、当面のテーマをデータビジネスの推進として、人工知能(AI)、情報セキュリティ、ヘルスケアの技術開発を始めております。更に研究開発に際しては、技術シーズを持つ大学との共同研究を行い、差別化した製品開発を目指してまいります。
<商品・サービスの概況>
モバイルデータソリューション事業につきましては、新しいSaaSベースの証拠管理ソリューションとして「Cellebrite Guardian」をリリースし、導入が進んでおります。「Cellebrite Guardian」では、証拠データの保存、管理、共有など、デジタル証拠を一元管理するフローを支援いたします。また、関連する法執行機関の権限により、証拠データの共有、複製、転送、過去データの閲覧などを可能とし、捜査フローの効率化を図ります。また、Forensic Focus4:cast awardにて、DFIR Commercial Tool of the Yearや、Investigator of the Yearを3年連続で受賞するなど、デジタルフォレンジックにおける高い技術力が証明されております。
エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、パチンコ・パチスロの企画から設計、映像制作、プログラムまでのトータルのコンテンツ開発と、制御基板の設計から製造までを一貫して受託しております。また、コンテンツ開発のノウハウを活かし、スマートフォン向けのパチンコ・パチスロの実機シミュレーションアプリを展開しており、実機の市場での稼働貢献、コンテンツの知名度向上を図っております。
ゲームコンテンツ事業につきましては、2023年2月15日にPCゲーム「いっき団結」をSteamでリリース。初日に日本の売上ランキングでTOP10に入り、当社レトロIPが市場で通用した好例となりました。
新規IT関連事業につきましては、飲料自販機向けLTE(4G)マイグレーション戦略製品「A330」、「A900」が複数の大手飲料オペレータに採用され、既に導入開始しております。Rooster等のルータ・ゲートウェイ製品においては回線冗長化及びデバイスマネジメントサービス「SunDMS」との連携で他社との差別化を打ち出し、売上高も堅調に推移しております。また、センサーデバイス「おくだけセンサー」については実証実験から本格導入フェーズとなりました。自社製センサーに限らず多種多様な他社製センサーへも対応可能なマルチセンサーソリューションの更なる強化のため、「BlueXtender」を2022年11月24日にリリースいたしました。遠隔支援に特化した「AceReal Assist」は、クラウド型であり、複数メーカーの最新スマートグラスに迅速に対応することができます。簡易な操作で遠隔支援が開始できるため、すぐに円滑な双方向のコミュニケーションが実現できます。今後、この「AceReal Assist」を手始めに、お客様のDXの課題を解決すべく、新たなソリューションを広く展開してまいります。
<損益計算書(連結)について>
連結売上高につきましては、前期と比較してモバイルデータソリューション事業及びエンターテインメント関連事業において受注が堅調に推移したことにより、全体の売上高は、374億49百万円(前期比0.7%増)となりました。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましては、世界的なインフレ等の影響により、255億37百万円(前期比3.0%減)となり、売上総利益率は68.2%(前期比2.6pt減)となりました。
<販売費及び一般管理費について>
連結の販売費及び一般管理費は、272億48百万円(前期比9.1%増)となりました。これはモバイルデータソリューション事業において、人件費等が増加したことが主な要因です。
当社グループでは、将来成長に向けた先行投資としての研究開発活動を重視しており、成長しているモバイルデータソリューション事業を中心に研究開発を積極的に行っております。
モバイルデータソリューション事業につきましては、継続的に新規機種・アプリ等に対応するための研究開発活動のほかに、分析システムの機能追加・改善等を重点的に取り組んでおります。またBlackBag社のPCフォレンジック等分野への事業拡大にも注力しております。
エンターテインメント関連事業につきましては、厳しい業界環境を踏まえ、研究開発活動については、収益性を確認したうえで研究開発対象を厳選し、映像研究やハード開発を行っております。
新規IT関連事業のうち、M2M事業につきましては、次世代通信機器の開発や「おくだけセンサー」の特定用途向けのカスタマイズ開発等を進めております。AR事業につきましては、連携できるサービスの拡張等に注力しております。
<営業利益について>
連結の営業損失は、17億11百万円(前年同期は13億60百万円の利益)となり、減益となりました。これは主に、モバイルデータソリューション事業において、当社の連結子会社であったCellebrite社が第4四半期から連結除外となったため、収益が最も多い第4四半期の売上が当連結会計年度に含まれなくなったことによるものであります。
<経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益について>
連結の経常利益は、141億74百万円(前期比46.5%増)となり、増益となりました。これは急激なドル高による為替差益28億95百万円及びデリバティブ評価益121億7百万円を計上したこと等が主たる要因です。また親会社株主に帰属する当期純利益は、68億78百万円(前期比144.0%増)となりました。
<キャッシュ・フローについて>
キャッシュ・フローの成長性につきましては、特にフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)を重視しております。当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは、連結子会社であったCellebrite DI Ltd.がNASDAQ市場に上場した際に売却した当社所有の株式の代金が入金されたことに伴い、法人税の支払いや有価証券の取得等の要因があったため、386億49百万円の減少となりました。このような特殊要因を除き、今後も安全性を高められるようにビジネスモデル等も活かしながら、フリー・キャッシュ・フローの増大に取組んでまいります。
<資本の財源及び資金の流動性についての分析>
a.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、販売及び一般管理活動、研究開発活動のための人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。当社は特に大きく設備投資を必要とするビジネスモデルではありませんが、一方で技術変化の早い事業分野に属しており最新技術の研究開発や複数年度にまたがる受託開発、ソフトウエアの更新等のための研究開発活動に係る資金需要が生じております。
b.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、短期借入金により調達することとしております。また内部資金の一部には、複数年度にわたってソフトウエアを更新するための研究開発活動のために事前に受け取る前受収益が含まれております。流動資産から流動負債を控除した運転資本につきましては、当連結会計年度の末日も含め、以前から流動資産が上回っております。
また、半導体不足に伴う在庫確保等で必要な手元資金残高を平常時より増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図っていきます。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
当社グループの経営陣は、事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営計画及び経営戦略を立案するように努めております。
当社グループの情報通信事業を取り巻く環境は、技術進化の著しい分野であり、市場の変化や多様化が大きく、予断を許さない状況ではありますが、高付加価値製品やソリューションをいち早く投入し、従来のフロー型ビジネスに加え、ストック型ビジネスの展開を加速していきます。更なる成長を目指し、グローバルな事業展開を図るとともに、情報通信市場へ経営資源を集中し、高い収益力を確保する企業体質の確立を図っていきます。
当社グループのエンターテインメント関連事業を取り巻く環境は、市場環境の低迷、顧客ニーズの変化が大きく、製品の優劣も大きいため、先行きは不透明な状況が続くと予想されますが、エンターテインメント性を追求した製品創りと、ノウハウを持つ通信ネットワーク技術を活かした新たな事業展開も推進していきます。
また、新市場の開拓及び新規事業の育成にも注力し、シナジー効果が見込まれるビジネスパートナーとの提携を積極的に行う等、将来の成長に向けたチャレンジを継続します。