売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02070 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当社グループ内の業績管理区分の一部変更等に伴い、第1四半期連結会計期間より「モバイルデータソリューション事業」を「グローバルデータインテリジェンス事業」に報告セグメントの名称を変更しております。当該変更による、セグメント情報に与える影響はありません。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

<外部環境について>

グローバルデータインテリジェンス事業が属するデジタルインテリジェンス市場につきましては、Cellebrite DI Ltd.(以下、「Cellebrite社」という。)のUFED等の最新鋭のデジタルインテリジェンスツールは今や必要不可欠なソリューションとなっており、米国の警察組織への導入が広がりを見せております。

エンターテインメント関連事業のうち、パチンコ・パチスロ市場につきましては、2022年11月からスマート遊技機が導入され始め、稼働が好調なタイトルがでてきたことも影響し、スマートパチスロを中心に新台の需要が高まってきております。一方、世界的な半導体不足による供給難は回復の傾向が見えてきましたが、継続している原価高騰、パチンコホールの減少等、将来的な不透明感が依然として存在しております。

ゲームコンテンツ市場につきましては、コロナ禍以降生活様式が変化した現在、在宅で楽しめるエンターテインメントとしての地位を確立しており、今後も拡大傾向が続いていくと思われます。また、技術の進歩によりゲーム開発はパソコン一台、一人からできる時代となり、各プラットフォームでリリースされるゲームの数も拡大傾向にあるため、競争が激化している状態にあります。

新規IT関連事業のうち、IoT市場につきましては、人手不足解消や生産性向上にデジタル化は不可欠であり、IoTの裾野がさらに拡大しており、産業機器などに遠隔地からアクセスする監視/制御システムの需要は増加しております。また、エッジコンピューティングにより、ネットワーク機器側がより多くのデータを現地でデータ処理し、クラウドへの依存・負荷を減らす動きもあり、長時間安定稼働運用を可能とする産業用ネットワーク機器等が必要不可欠となっております。また、各通信キャリアが2026年3月までに3G回線を順次停波するため、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが順調に進んでおります。

半導体全体の供給については回復しつつあるものの部材高騰は続いており、当社製品の供給や利益に影響が出る可能性もあり、現時点では不透明な状況にあります。

上記のように、市場環境不透明な主力事業も存在する中、当社グループの更なる業績向上を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。

 

<競争優位性>

グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、デジタル証拠量の爆発的な増加に加え、テクノロジーに精通した犯罪者(組織)に対峙する法的執行機関に対して、捜査リソースの生産性を向上させるための最新鋭なデジタルインテリジェンスツールと共に、トレーニング及びサービスを長年に渡り提供しております。次世代ソリューション「UFED Ultra」は、デジタル捜査機関のあらゆる携帯電話への合法的なアクセスやデジタル証拠の抽出を、より簡単に実現させることが可能となりました。またAI開発への投資を進めており、捜査機関が行う膨大な量のデータ、デバイス、アプリ、捜査令状の中から関連する証拠を特定・抽出するのに大きく貢献いたします。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、業界及び顧客を特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力を蓄積し、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。

ゲームコンテンツ事業につきましては、知名度の高い「上海」ブランドを使ったコンシューマー機向けゲーム、モバイルゲームを社内で開発から運営まで完結し、コスト効率の良い収益を長期にわたり維持することが可能となっております。また、当社が多くのIPを保有する「レトロゲーム」ジャンルは、欧米市場を中心に人気が再来しており、その有効活用により更なる収益の拡大が見込める状況にあります。

新規IT関連事業につきましては、各通信キャリア及びパートナーと強力な信頼関係を構築しつつ、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を維持しつつ、5GやエッジAIをキーワードに製品開発を進め、更なる競争力強化を図っております。産業用ネットワーク機器「Rooster」はデュアルSIM対応で、それぞれ異なる通信キャリア回線が冗長化することが可能となりました。これにより通信キャリア網が障害発生時には自動検知し主回線から副回線に自動切換え、回線の通信断を防ぎ、遠隔監視・制御、データ収集を止めることなく運用することが可能となり、販売が好調に推移しております。

IoT分野において導入が始まると、遠隔地に多数設置されたIoTデバイスの運用管理の負荷やメンテナンスコストは大きくなり、それをいかに軽減するかが課題になっております。「SunDMS」は死活監視や「Rooster」の一元管理が可能となり運用コストを大幅に軽減することを実現し、すでに約1,000社の運用に使われております。回線冗長化と保守運用に欠かせない「SunDMS」によって安定運用が実現でき、他社との差別化、優位性を図っております。

 

<経営施策>

グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、年々巧妙化・組織化するサイバー犯罪に対峙する犯罪現場において、インシデント発生後に調査、解析をするデジタルインテリジェンス(フォレンジック)だけではなく、法執行機関に向けた、インシデントを事前に予知し、防止するためのアクティブサイバーディフェンスや脅威インテリジェンスとの相互関連性が高まっております。各種犯罪手法に我が国の法的執行機関が対応できるように、より専門的なトレーニング、サポート体制を強化すると同時に、新たな技術を備えた商材を取り揃えるべく活動の他、アジア太平洋地域の営業強化を進めてまいります。また、多様化するサイバー犯罪への対応する要求の高まりを受けて、当社が保有するグローバルなデジタルインテリジェンスツールの情報を基に、対応する新たな商材提供を国内に対して開始いたしました。

新規IT関連事業につきましては、産業用ネットワーク機器「Rooster」の更なる販売の拡大、「おくだけセンサーソリューション」をはじめとしたソリューション開発に努め、データ可視化・分析などデータビジネスに注力し、サービス強化をすることにより付加価値を高め、ストックビジネスの拡大を図っております。

また、収益力向上のため、2022年10月にマーケティング部と技術開発部を統合した研究開発部門では、データビジネスの推進として、人工知能(AI)、情報セキュリティ、ヘルスケアの技術開発を進めております。技術シーズを持つ大学との共同研究を進めており、差別化した製品開発を目指してまいります。

 

<商品・サービスの概況>

グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、従来のデジタルインテリジェンス商品に加え、脅威インテリジェンスやアクティブサイバーディフェンス関連商材及び関連サービス・サポ―トの提供を進めております。持分法適用関連会社であるCellebrite社では、民間部門向けのモバイルデバイス調査用の「Mobile Ultra」のリリースを発表いたしました。オールインワンアプリケーションである「Mobile Ultra」は、企業調査中の事実を迅速に明らかにし、収集、抽出、レポートのプロセスを加速いたします。また、公開されているオンラインデータの収集とレビューを安全に自動化する新しいSaaS ベースのソリューションである「Cellebrite Smart Search」を発表いたしました。「Cellebrite Smart Search」の追加により、Cellebrite ポートフォリオ内の価値の高い調査ツールの範囲が広がります。研究者向けに特別に構築された「Cellebrite Smart Search」は、目的の個人または組織に関する公開されているすべてのオンラインデータを収集し、最も関連性の高い情報を表示して、関係者向けに標準化された共有可能なレポートを迅速に生成いたします。実績としては、企業調査と電子情報開示のための新しいSaaS 製品である「Endpoint Mobile Now」を導入いたしました。これは民間部門の顧客向けの同社初のSaaS ソリューションであります。新規商材関連では、2023年11月に戦略的販売パートナシップ契約を締結した脅威インテリジェンスの世界的なリーディング企業であるSixgill社製(イスラエル)のディープウェブ及びダークウェブ監視特化型インテリジェンスソリューションの「Cybersixgill」の販売を本格開始いたしました。同製品は独自のアルゴリズムによるディープウェブ、ダークウェブ上の高性能な自動収集機能を備え、組織がフィッシング、データ漏洩、詐欺、マルウェア、脆弱性悪用等を検出・保護し、リアルタイムでサイバーレジリエンスを強化し、リスクへの露出を最小限に抑えることができるツールとなり、年々巧妙化、組織化するサイバー犯罪及び攻撃に対峙するアクティブサイバーディフェンスの意識の高まりを背景に、政府及び法執行機関のみならず、金融サービス等の民間企業への導入が進んでおります。

エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、パチンコ・パチスロの企画から設計、映像制作、プログラムまでのトータルのコンテンツ開発と、制御基板の設計から製造までを一貫して受託しております。また、コンテンツ開発のノウハウを活かし、スマートフォン向けのパチンコ・パチスロの実機シミュレーションアプリを展開しており、実機の市場での稼働貢献、コンテンツの知名度向上を図っております。

ゲームコンテンツ事業につきましては、レトロゲームIPを活用した企画を複数進めており、2024年2月29日にマルチプラットフォーム(コンシューマー機)で「へべれけ2」をグローバルで発売予定であります。他にも、2023年2月にSteam向けに配信し好評を博した「いっき団結」も、Switch向けのリリースを当連結会計年度内に予定しております。

新規IT関連事業につきましては、飲料自販機向けLTE(4G)マイグレーション戦略製品「A330」、「A900」が複数の大手飲料オペレータに採用され、既に導入開始しております。「Rooster」等のルータ製品においては回線冗長化およびデバイス「SunDMS」との連携で他社との差別化を打ち出し、売上高も堅調に推移しております。また更なる事業拡大に向けAI画像解析搭載可能なエッジコンピュータを2023年9月に「LBX8110」をリリースいたしました。エッジコンピュータは新たなIoT領域での新商材となり画像解析などAI技術をベースに新たなソリューションを提供いたします。

また、センサーデバイスおくだけセンサー」についてはHACCP(食品衛生管理)での温度管理や加速度(振動)センサーによる予知保全として、本格導入フェーズとなりました。

 

<損益計算書(連結)について>

全体の売上高は、74億67百万円(前年同期比78.4%減)となりました。これは主に、前第3四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましても、上記減収の影響もあり、22億11百万円(前年同期比91.0%減)となり、売上総利益率は29.6%(同41.8pt減)となりました。

 

連結売上高

セグメント

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

グローバルデータインテリジェンス

28,734

740

△97.4

エンターテインメント関連

4,473

4,544

1.6

新規IT関連

1,312

2,195

67.3

調整額

△22

△13

合計

34,497

7,467

△78.4

 

 

売上総利益

セグメント

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

グローバルデータインテリジェンス

23,023

173

△99.2

エンターテインメント関連

1,101

1,308

18.8

新規IT関連

475

716

50.5

調整額

22

13

合計

24,623

2,211

△91.0

 

 

売上総利益率

セグメント

2023年3月

第3四半期累計
(%)

2024年3月

第3四半期累計
(%)

グローバルデータインテリジェンス

80.1

23.4

エンターテインメント関連

24.6

28.8

新規IT関連

36.3

32.6

合計

71.4

29.6

 

 

 

<販売費及び一般管理費について>

連結の販売費及び一般管理費は、19億93百万円(前年同期比92.5%減)となりました。これは主に、前第3四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。

 

販売費及び一般管理費

セグメント

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

グローバルデータインテリジェンス

24,650

81

△99.7

エンターテインメント関連

690

728

5.5

新規IT関連

399

552

38.2

調整額

758

631

合計

26,497

1,993

△92.5

 

 

研究開発費

セグメント

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

グローバルデータインテリジェンス

8,828

△100.0

エンターテインメント関連

417

488

17.0

新規IT関連

202

187

△7.2

調整額

77

106

合計

9,525

782

△91.8

 

 

<営業利益について>

連結の営業利益は2億18百万円(前年同期は営業損失18億74百万円)となりました。これは主に、前第3四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。

 

営業利益

セグメント

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比

増減率

(%)

グローバルデータインテリジェンス

△1,626

91

エンターテインメント関連

433

593

36.8

新規IT関連

76

164

115.0

調整額

△758

△631

合計

△1,874

218

 

 

<経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益について>

連結の経常損失は42億67百万円(前年同期は経常利益135億66百万円)となりました。これは、Cellebrite社におけるデリバティブ評価損が影響し、当社が持分法による投資損失44億98百万円を計上したことが主たる要因です。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は41億45百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益63億5百万円)となりました。

 

<各セグメントの概況>

[グローバルデータインテリジェンス事業]

 

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比
増減額

(百万円)

前年同期比
増減率

(%)

売上高

28,734

740

△27,993

△97.4

セグメント利益又は損失(△)

△1,626

91

1,718

 

前第3四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等により、279億93百万円の減収となりました。

 

[エンターテインメント関連事業]

 

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比
増減額

(百万円)

前年同期比
増減率

(%)

売上高

4,473

4,544

71

1.6

セグメント利益

433

593

159

36.8

 

遊技機関連事業につきましては、半導体不足などによる部品・部材の高騰により原価高となりましたが、売上高は受託開発が増加したことと、新製品の受注が増加したことにより、増収増益となりました。

 

[新規IT関連事業]

 

2023年3月

第3四半期累計

(百万円)

2024年3月

第3四半期累計

(百万円)

前年同期比
増減額

(百万円)

前年同期比
増減率

(%)

売上高

1,312

2,195

882

67.3

セグメント利益

76

164

87

115.0

 

M2M事業につきましては、原材料高騰の影響は残るものの、部品調達難が解消傾向にあることから、セグメント全体では増収増益となりました。

 

(2)資産、負債及び純資産の状況

(資産)

総資産は421億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億23百万円の増加となりました。

流動資産は236億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億円の減少となりました。主な減少要因としては、未収入金38億73百万円、現金及び預金17億68百万円及び受取手形及び売掛金1億37百万円の減少であります。一方、主な増加要因としては、金銭の信託33億円、原材料17億98百万円及び製品3億95百万円の増加であります。

固定資産は185億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億23百万円の増加となりました。主な増加要因としては、投資有価証券41億55百万円の増加であります。一方、主な減少要因としては、関係会社株式34億67百万円の減少であります。

(負債)

負債は86億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億17百万円の増加となりました。

流動負債は51億31百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億6百万円の増加となりました。主な増加要因としては、短期借入金4億30百万円、契約負債3億27百万円、支払手形及び買掛金2億49百万円及び未払法人税等2億20百万円の増加であります。

固定負債は35億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億11百万円の増加であります。主な増加要因としては、繰延税金負債8億22百万円の増加であります。

(純資産)

純資産は335億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億94百万円の減少となりました。主な減少要因としては、利益剰余金45億98百万円の減少であります。一方、主な増加要因としては、その他有価証券評価差額金29億53百万円の増加であります。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、7億82百万円であります。