E02066 Japan GAAP
前期
1,073.6億 円
前期比
96.6%
株価
1,478 (04/19)
発行済株式数
92,221,420
EPS(実績)
88.15 円
PER(実績)
16.77 倍
前期
571.8万 円
前期比
104.6%
平均年齢(勤続年数)
36.7歳(9.1年)
従業員数
716人(連結:1,533人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社16社により構成され、パソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売及びこれらに付帯する事業を行っております。
当社は、主に当社が開発する「ELECOM」ブランド、連結子会社であるロジテック株式会社及びロジテックINAソリューションズ株式会社が開発する「Logitec」ブランド、連結子会社であるハギワラソリューションズ株式会社が開発する「HAGIWARA Solutions」、「JDS」ブランド、連結子会社であるDXアンテナ株式会社が開発する「DXアンテナ」、「DXデルカテック」ブランドの各製品・商品の国内販売を行うほか、グループ会社等を通じて「ELECOM」ブランド製品・商品を海外にも販売しております。
当社グループの事業に係わる位置づけは次のとおりであります。
なお、当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売の単一セグメントであります。
[事業の系統図] (2023年3月31日現在)
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢、資源価格の高騰、世界的なインフレと金利上昇、半導体不足やコロナ禍でのサプライチェーン停滞などにより、景気に減速が見られました。また、わが国経済は、上記に加え、米ドル建ての仕入取引が多い当社のような企業にとって急速な為替変動が引き続き懸念材料となるなど、先行き不透明な状況が続いておりますが、一方でコロナ禍での政府の水際対策の緩和などもあり、一部に弱さが見られるものの、個人消費や雇用情勢の緩やかな持ち直しも見られます。
このような環境の中、当社グループは、AIやIoTなどの世の中の様々なイノベーションと人々の“かけ橋”となり、革新的な技術を誰もが気軽に使えるモノやコトに変えて、人々の暮らしをより楽しく快適にすることを使命とし、パソコン・デジタル関連製品において、テレワーク、抗菌・抗ウイルス、ヘルスケアなどをキーワードに幅広い分野で付加価値の高い新製品を投入し、また調理家電といった新たな分野にも挑戦し、積極的な需要の喚起を図りました。加えて、伸長するEコマース(EC)や法人向け事業含め、販売チャネルの特性に合わせた販売戦略の推進に取り組みました。
これらの結果、売上高は103,727百万円(前連結会計年度比3.4%減)、売上総利益は38,341百万円(前連結会計年度比3.4%減)、営業利益は11,305百万円(前連結会計年度比18.9%減)、経常利益は11,376百万円(前連結会計年度比21.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,129百万円(前連結会計年度比21.8%減)となりました。
売上高は、パソコン関連機器、TV・AV関連機器を中心に需要が低調に推移した影響を受けました。また、半導体不足やコロナ禍でのサプライチェーン停滞を受けて在庫を積み増していた量販店が、停滞状況からの回復を踏まえて今度は在庫削減を強化するなど、その環境変化を踏まえて、一部製品群の販売戦略を見直した影響もあり、売上高全体は減少しました。ただし、量販店での当社製品の実販売の改善と流通在庫管理の取り組みは強化しており、また様々な事業機会を捉えて法人向け事業やECは着実に成長しております。具体的には、グループ会社の産業機器向けストレージに対する需要は堅調に推移し、ECにおいてもスマートフォン向け高速充電器などが戦略的な拡販で伸長しております。一部、立ち上げに時間を要している新規事業テーマでは、新製品の投入などに向けた取り組みを進めており、さらなる企業価値向上のためにM&Aなども継続して検討しております。
売上総利益は、海外から米ドルで製品を調達する当社にとっては円安進行による原価上昇の影響、また半導体不足及び資源高騰によりパソコン及びデジタル関連製品の原価が大きく上昇した影響を受けました。値上げ及び新製品の価格見直しの取り組みを行いましたが、流通在庫含めた棚卸資産の適正化を進めたことで、売上総利益全体は減少しました。
営業利益は、売上総利益の減少に加え、開発部門を中心に積極的に人材採用を進め人件費が増加したこと、及び事業継続性と効率性の向上を目的とした兵庫物流センターの本格稼働に伴い減価償却費が増加したことにより、販売費及び一般管理費が前連結会計年度に比べて増加したこともあり、減少しました。
経常利益は、営業利益の減少に加え、急激な円安進行による為替差損が発生したことにより営業外費用が増加し、減少しております。
品目別の概況は、次のとおりであります。なお、当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売の単一セグメントであるため、商品区分である品目別で概況を記載しております。
(パソコン関連)
eスポーツ向けの製品の投入やECを中心に高付加価値マウスや電源タップなどを戦略的に販売したものの、パソコン本体の出荷台数が低調に推移したこともあり、PCケーブルなどの販売も同様に推移しました。これらの結果、パソコン関連に係る当連結会計年度の売上高は、29,731百万円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。
(スマートフォン・タブレット関連)
スマートフォンなど、本体の販売台数が減少したことにより、ケースやフィルムを中心としたアクセサリ類の販売が落ち込みましたが、高速充電に対応したAC充電器、モバイルバッテリーを中心に戦略的な拡販を行いました。これらの結果、スマートフォン・タブレット関連に係る当連結会計年度の売上高は、19,633百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
(TV・AV関連)
ヘッドセットマイクやAVケーブル関連の需要が一服し、TV・AV関連に係る当連結会計年度の売上高は、17,428百万円(前連結会計年度比9.5%減)となりました。
(周辺機器)
グループ会社であるハギワラソリューションズ㈱含め法人販路は好調でしたが、量販店向けネットワーク製品の販売戦略を見直した影響もあり、周辺機器に係る当連結会計年度の売上高は、29,275百万円(前連結会計年度比3.3%減)となりました。
(その他)
グループ会社であるロジテックINAソリューションズ㈱のカスタムPC及びタブレットが堅調に推移し、新製品であるアルコールチェッカーの法人販路への投入もありました。これらの結果、その他に係る当連結会計年度の売上高は、7,656百万円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,774百万円減少し、106,846百万円となりました。これは主に、兵庫物流センターの設備の資産計上及び湘南研究所の取得による有形固定資産の増加はありましたが、自己株式の取得の進行に伴う預け金の減少によるものです。
負債は、3,578百万円減少し、25,642百万円となりました。これは主に、仕入債務及び設備関係の未払金の減少によるものです。
純資産は、196百万円減少し、81,204百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加はありましたが、2022年8月まで実施しておりました自己株式の買い付けによる株主資本の減少によるものです。
以上により、自己資本比率は前連結会計年度末の73.4%から75.8%となり、引き続き強固な財務基盤が維持されています。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は41,253百万円を保有しており、高い手元流動性を確保しております。不透明な事業環境下においても、事業の継続性を第一義とし、引き続きM&Aなど弊社の成長に繋がる投資を行ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は、営業活動の結果増加した資金が9,161百万円、投資活動の結果減少した資金が7,110百万円、財務活動の結果減少した資金が3,255百万円あったこと等により、前連結会計年度末に比べ829百万円減少し41,253百万円となりました。
当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は9,161百万円(前連結会計年度は9,665百万円の資金の増加)となりました。主な要因は、法人税等の支払額3,319百万円、仕入債務の減少額4,155百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益を11,445百万円計上し、売上債権の減少額1,583百万円、減価償却費2,685百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は7,110百万円(前連結会計年度は5,664百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、兵庫物流センターの設備及び湘南研修所の土地・建物の支払いなどの、有形固定資産の取得による支出6,194百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は3,255百万円(前連結会計年度は14,127百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、配当金の支払3,271百万円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目の名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
パソコン関連 (百万円) |
805 |
7.7 |
スマートフォン・タブレット関連(百万円) |
1,151 |
5.1 |
TV・AV関連 (百万円) |
2,511 |
△10.1 |
周辺機器 (百万円) |
8,791 |
6.0 |
その他 (百万円) |
3,675 |
0.1 |
合 計 (百万円) |
16,935 |
2.0 |
b.製品・商品仕入実績
当連結会計年度の製品・商品仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目の名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
パソコン関連 (百万円) |
15,879 |
△11.4 |
スマートフォン・タブレット関連(百万円) |
11,010 |
2.5 |
TV・AV関連 (百万円) |
6,919 |
△13.4 |
周辺機器 (百万円) |
12,738 |
△8.5 |
その他 (百万円) |
1,799 |
12.3 |
合 計 (百万円) |
48,348 |
△7.3 |
c.受注実績
当社グループは、見込生産・仕入を主体としており、総販売高に占める受注生産・仕入の割合は極めて僅少のため、受注実績の記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目の名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
パソコン関連 (百万円) |
29,731 |
△3.9 |
スマートフォン・タブレット関連(百万円) |
19,633 |
1.9 |
TV・AV関連 (百万円) |
17,428 |
△9.5 |
周辺機器 (百万円) |
29,275 |
△3.3 |
その他 (百万円) |
7,656 |
0.5 |
合 計 (百万円) |
103,727 |
△3.4 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
㈱ヤマダデンキ |
13,259 |
12.4 |
- |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品を事業領域としておりますが、これら製品に関わる分野は技術革新の進歩が早く、商品サイクルが非常に短い傾向にあります。また、競合他社との競争環境も厳しく、原材料価格の高騰等により仕入価格が上昇した場合であっても、販売価格に転嫁することが困難な可能性があります。当社グループは継続的な新製品開発と調達コストの削減に取組んでおりますが、関連分野製品の新製品開発の遅れ、為替相場の変動、原油価格や原材料価格の動向等による売上原価の上昇が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染症については感染対策と経済社会活動の両立が進んでおりますが、世界主要各国において、インフレ鎮静化と景気後退回避を両立させることは容易ではなく、また急速な為替変動リスクや地政学リスク、金融不安といった課題も依然として続いており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、基幹事業分野の開発人材の採用による開発力の強化及び継続的な調達コストの削減ならびに調達先の多様化等に取り組み、当社グループの永続的な発展を図ってまいります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産評価損)
棚卸資産評価損については第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(返金負債に含まれる売上値引見込相当額)
主要な販売先である家電量販店や代理店に対して支払うリベートや値引等について、期末時点において支払が確定していないものについて、顧客に返金すると見込んでいる対価を収益から控除して返金負債として計上しております。当該返金負債の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績に基づく最頻値法を用いております。
③経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比3.4%減の103,727百万円となりました。これは主にスマートフォン・タブレット関連の販売が伸長しましたが、TV・AV関連、パソコン関連や周辺機器の販売が減少したことによるものです。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比3.4%減の65,385百万円となりました。これは主に売上高の減少によるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比4.9%増の27,035百万円となりました。これは主に減価償却費や人件費の増加によるものです。
(営業外収益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度比9.0%増の521百万円となりました。これは主に受取利息が305百万円増加しましたが、前連結会計年度に計上していた為替差益364百万円が、当連結会計年度は発生しなかったことによるものです。
(営業外費用)
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度比1,681.3%増の451百万円となりました。これは主に為替差損を419百万円計上したことによるものです。
(特別利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比774.1%増の131百万円となりました。これは主に退職給付制度終了益を91百万円計上したことによるものです。
(特別損失)
当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度比83.7%減の62百万円となりました。これは主に前連結会計年度に計上していた減損損失229百万円及び関係会社株式売却損116百万円が、当連結会計年度は発生しなかったことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
前述の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比21.8%減の8,129百万円となりました。
④ 財政状態の分析
財政状態の分析に関する情報については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載のとおりです。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金の主なものはパソコン及びデジタル機器関連製品に関わる仕入代金及び販売費及び一般管理費があります。また、設備投資需要としては新製品の金型投資や情報処理のための無形固定資産投資等があります。
当社グループはそれらの資金需要に対応するため、内部留保を蓄積することで流動性を確保することとしております。また、重要な資本的支出やM&A等により多額の資金需要が生じた場合の財源としては、金融機関からの借入や新株及び社債の発行等により資金の調達を行うこととしております。