売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02066 Japan GAAP

売上高

1,101.7億 円

前期

1,037.3億 円

前期比

106.2%

時価総額

1,566.8億 円

株価

1,699 (07/16)

発行済株式数

92,221,420

EPS(実績)

108.27 円

PER(実績)

15.69 倍

平均給与

617.9万 円

前期

598.1万 円

前期比

103.3%

平均年齢(勤続年数)

36.6歳(8.7年)

従業員数

765人(連結:1,905人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社19社により構成され、パソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売及びこれらに付帯する事業を行っております。
 当社は、主に当社が開発する「ELECOM」ブランド、連結子会社であるロジテックINAソリューションズ株式会社が開発する「Logitec」ブランド、連結子会社であるハギワラソリューションズ株式会社が開発する「HAGIWARA Solutions」、「JDS」ブランド、連結子会社であるDXアンテナ株式会社が開発する「DXアンテナ」、「DXデルカテック」ブランド、連結子会社であるテスコム電機株式会社が開発する「テスコム」ブランドの各製品・商品の国内販売を行うほか、グループ会社等を通じて「ELECOM」ブランド製品・商品を海外にも販売しております。
 当社グループの事業に係わる位置づけは次のとおりであります。
 なお、当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売の単一セグメントであります。

[事業の系統図]                                 (2024年3月31日現在)

※画像省略しています。

 

24/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢などの地政学リスクや、各国でインフレ鎮静化のための金融引き締めが続く中、米国経済は堅調な一方で欧州経済は失速するなど、地域間で強弱はありましたが、全体として、景気に緩やかな減速が見られました。わが国経済は、底堅い設備投資需要やインバウンド需要の回復、雇用情勢の改善など、緩やかな景気の回復基調が見られましたが、一方で、個人消費の伸び悩みや半導体需要の減速、また、特に米ドル建ての仕入取引が多い当社のような企業にとって急速な為替変動が引き続き懸念材料となるなど、先行き不透明な状況が続きました。

 このような環境の中、当社グループは、パソコン関連製品、スマートフォン・タブレット関連製品等の分野で競合に対抗可能な製品開発を強化し、リアル店舗及び伸長するEコマースのそれぞれのチャネルに即した戦略的な商品投入を推し進めました。また、監視カメラ・クラウド・周辺機器・ソフトウエア・ネットワーク工事などを融合したセキュリティ関連事業のように、グループ会社各々の強みを活かし、他社協業も進めながらソリューションをパッケージ化するなど、市場規模も大きく成長性の見込めるBtoB領域への積極展開を図りました。加えて、M&Aでは、2023年6月30日に当社の求めるネットワークの設計・構築・保守・運用といった機能を一社完結で出来るgroxi㈱(以下、groxi社)を子会社化し、2023年7月6日には、当社グループの家電事業の成長を加速させることを目的とし、ヘアドライヤーをはじめとした美容家電製品の主要プレーヤーとしての市場での認知を確立しているテスコム電機グループを子会社化し、各社が持つ成長ポテンシャルと当社グループの強みを掛け合わせる取り組みを進めました。

 これらの結果、売上高は110,169百万円(前連結会計年度比6.2%増)、売上総利益は42,572百万円(前連結会計年度比11.0%増)、営業利益は12,380百万円(前連結会計年度比9.5%増)、経常利益は13,360百万円(前連結会計年度比17.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,985百万円(前連結会計年度比22.8%増)となりました。

 売上高は、周辺機器やTV・AV関連製品を中心に厳しい競争環境や需要低迷の影響を受けましたが、モバイルバッテリーや高速充電に対応したAC充電器が新商品の投入など戦略的な拡販により大きく伸長し、またiPhone新機種関連商品の販売も好調に推移しました。加えて、監視カメラを中心としたセキュリティ関連事業の立ち上がり効果と、M&Aの新規連結効果により、売上高全体は増収となりました。

 売上総利益は、海外から製品を米ドルで仕入れする当社にとっては、円安の進行が円換算額の原価上昇に影響を与えましたが、前年度から取り組んでいる値上げ等の価格改定やリベートの管理徹底などの利益重視の取り組み、及び増収効果により、増益となりました。結果として売上総利益率も改善しました。

 営業利益は、テスコム電機グループ及びgroxi社の新規連結による人件費や管理費の増加に加え、人への投資強化の一環として給与のベースアップ等により人件費が上昇したこと、またM&A費用の発生や、コロナ禍からの経済活動の正常化に伴う旅費交通費等の管理費増加などにより、販売費及び一般管理費が増加しましたが、売上総利益の良化により、全体では増益となりました。

 経常利益は、営業利益段階での増益に加え、受取利息の増加及び前連結会計年度の急激な円安進行で生じた為替差損が当連結会計年度では為替差益に転じたことにより、全体では増益となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、上記に加え、関係会社株式の売却による一時的な法人税等の減少などがあったことから、増益となりました。

 

 品目別の概況は、次のとおりであります。なお、当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品の開発・製造・販売の単一セグメントであるため、商品区分である品目別で概況を記載しております。

 

(パソコン関連)

 パソコン本体の需要が低調に推移したこともあり、PCケーブル類やUSBハブ等の販売は落ち込みましたが、ゲーミングキーボードなど、EC販路でキーボードが好調に推移し、またマウスも特徴のある新商品投入により伸長、加えて法人向けPCフィルターの案件増加もありました。

 これらの結果、パソコン関連に係る当連結会計年度の売上高は、30,364百万円(前連結会計年度比2.1%増)となりました。

 

(スマートフォン・タブレット関連)

 モバイルバッテリーが量販店を中心に、また高速充電に対応したAC充電器がEC販路を中心に、新商品の投入など戦略的な拡販により大きく伸長しました。加えて、新型iPhoneの発売により、Type-Cケーブルやスマートフォンのケースやフィルムを中心としたアクセサリ類の販売が好調に推移しました。

 これらの結果、スマートフォン・タブレット関連に係る当連結会計年度の売上高は、22,060百万円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。

 

(TV・AV関連)

 グループ会社DXアンテナ㈱の販売が首都圏の新築物件を中心とした電気通信工事により伸長しましたが、ヘッドセットマイクやAVケーブル関連の需要が落ち込み、TV・AV関連に係る当連結会計年度の売上高は、16,887百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。

 

(周辺機器)

 ネットワーク機器、ストレージ機器ともに厳しい競争環境により減販となりましたが、ストレージ機器における競争環境は改善してきており、ネットワーク機器も今後、改善が見込まれます。メモリ関連は、半導体関連の需要減速により産業機器向けを中心に大きく販売が落ち込みましたが、価格改定の取り組みやSSDの伸長などにより利益は改善しております。また、セキュリティ関連事業は大きく拡大しました。

 これらの結果、周辺機器に係る当連結会計年度の売上高は、27,477百万円(前連結会計年度比6.1%減)となりました。

 

(その他)

 法人向けカスタムPCの販売は落ち込みましたが、テスコム電機グループとgroxi社の新規連結効果により販売が大きく伸長し、その他に係る当連結会計年度の売上高は、13,380百万円(前連結会計年度比74.8%増)となりました。

 

b.財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、以下の要因により前連結会計年度末に比べ10,521百万円増加し、117,368百万円となりました。

<増加要因>

 受取手形及び売掛金:M&A(テスコム電機グループ及びgroxi社の子会社化)、及び販売回復により増加しました。

 商品及び製品:M&A、及び需要動向を踏まえた仕入により増加しました。

 為替予約:円安の進行により増加しました。

 固定資産:M&Aにより増加しました。

<減少要因>

 有価証券:債券の一部売却により減少しました。

 

 負債は5,277百万円増加し、30,919百万円となりました。これは主にM&A及び仕入に伴う買掛金の増加によるものです。

 純資産は5,244百万円増加し、86,449百万円となりました。これは主に、自己株式の取得による株主資本の減少影響はありましたが、利益剰余金の増加に加え、円安の進行によるその他の包括利益累計額の増加によるものです。

 以上により、自己資本比率は前連結会計年度末の75.8%から微減の73.6%となりましたが、引き続き強固な財務基盤が維持されています。

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は41,484百万円を保有しており、高い手元流動性を確保しております。不透明な事業環境下においても、事業の継続性を第一義とし、引き続きM&Aなど当社の成長に繋がる投資を行ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は、営業活動の結果増加した資金が9,669百万円、投資活動の結果減少した資金が2,428百万円、財務活動の結果減少した資金が8,169百万円あったこと等により、前連結会計年度末に比べ230百万円増加し41,484百万円となりました。

 当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果増加した資金は9,669百万円(前連結会計年度は9,161百万円の資金の増加)となりました。主な要因は、法人税等の支払額3,762百万円、売上債権の増加額1,964百万円、棚卸資産の増加額643百万円、未払金の減少額1,348百万円といった資金減少項目があった一方で、税金等調整前当期純利益13,500百万円、減価償却費2,950百万円、仕入債務の増加額1,715百万円といった資金増加項目があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果減少した資金は2,428百万円(前連結会計年度は7,110百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、有価証券の売却による収入6,877百万円と、有形固定資産の売却による収入1,316百万円があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出5,161百万円と、有価証券の取得による支出2,651百万円、及び有形固定資産の取得による支出2,352百万円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は8,169百万円(前連結会計年度は3,255百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、配当金の支払3,522百万円と、自己株式の取得による支出5,005百万円といった資金減少項目によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比増減率(%)

パソコン関連         (百万円)

1,237

65.5

スマートフォン・タブレット関連(百万円)

756

△30.9

TV・AV関連            (百万円)

2,106

△24.6

周辺機器           (百万円)

7,645

△7.8

その他            (百万円)

2,935

△20.0

合 計            (百万円)

14,682

△11.5

 

b.製品・商品仕入実績

 当連結会計年度の製品・商品仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比増減率(%)

パソコン関連         (百万円)

24,010

51.2

スマートフォン・タブレット関連(百万円)

8,415

△23.6

TV・AV関連            (百万円)

5,871

△15.1

周辺機器           (百万円)

11,978

△6.0

その他            (百万円)

4,364

142.5

合 計            (百万円)

54,640

13.0

 

c.受注実績

 当社グループは、見込生産・仕入を主体としており、総販売高に占める受注生産・仕入の割合は極めて僅少のため、受注実績の記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目の名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比増減率(%)

パソコン関連         (百万円)

30,364

2.1

スマートフォン・タブレット関連(百万円)

22,060

12.4

TV・AV関連            (百万円)

16,887

△3.1

周辺機器           (百万円)

27,477

△6.1

その他            (百万円)

13,380

74.8

合 計            (百万円)

110,169

6.2

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①経営成績等の状況に関する認識及び検討内容

 当社グループはパソコン及びデジタル機器関連製品を事業領域としておりますが、これら製品に関わる分野は技術革新の進歩が早く、商品サイクルが非常に短い傾向にあります。また、競合他社との競争環境も厳しく、原材料価格の高騰等により仕入価格が上昇した場合であっても、販売価格に転嫁することが困難な可能性があります。当社グループは継続的な新製品開発と調達コストの削減に取組んでおりますが、関連分野製品の新製品開発の遅れ、為替相場の変動、原油価格や原材料価格の動向等による売上原価の上昇が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、欧米を中心とした各国の金融引き締めの継続や中国における不動産部門の不振等による成長ペースの鈍化、加えて地政学リスク、物価上昇の継続、特に急速な為替変動リスクといった課題も依然として続いており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、パーパス「Better being」を根底として、中期経営計画の重点戦略である、お客様満足度を高める商品・サービスによる新たな価値創造と、持続可能な成長を実現するための人材育成と強い事業基盤構築の取り組みを推進し、長期的・持続的成長を実現してまいります。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

(棚卸資産評価損)

 棚卸資産評価損については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

(返金負債に含まれる売上値引見込相当額)

 主要な販売先である家電量販店や代理店に対して支払うリベートや値引等について、期末時点において支払が確定していないものについて、顧客に返金すると見込んでいる対価を収益から控除して返金負債として計上しております。当該返金負債の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績に基づく最頻値法を用いております。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比6.2%増の110,169百万円となりました。これは主に「周辺機器」や「TV・AV関連」の販売は減少しましたが、「スマートフォン・タブレット関連」や「パソコン関連」、またM&Aの新規連結効果により「その他」の販売が伸長したことによるものです。

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比3.4%増の67,597百万円となりました。これは主に売上高の増加と原価を意識した販売手法の浸透に基づく粗利率の改善によるものです。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比11.7%増の30,192百万円となりました。これは主に人件費や管理費の増加によるものです。

(営業外収益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度比97.7%増の1,031百万円となりました。これは主に受取利息の440百万円増加によるものです。

(営業外費用)

 当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度比88.6%減の51百万円となりました。これは主に前連結会計年度に計上していた為替差損419百万円が、当連結会計年度は発生しなかったことによるものです。

(特別利益)

 当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比77.1%増の233百万円となりました。これは主に前連結会計年度に計上していた退職給付制度終了益91百万円が当連結会計年度は発生しなかった一方で、新株予約権戻入益101百万円や関係会社株式売却益65百万円などを計上したことによるものです。

(特別損失)

 当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度比48.9%増の92百万円となりました。これは主に固定資産除却損などの増加によるものです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 前述の結果、及び関係会社株式の売却による一時的な法人税等の減少などにより、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比22.8%増の9,985百万円となりました。

④ 財政状態の分析

 財政状態の分析に関する情報については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載のとおりです。

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの事業活動における運転資金の主なものはパソコン及びデジタル機器関連製品に関わる仕入代金及び販売費及び一般管理費があります。また、設備投資需要としては新製品の金型投資や情報処理のための無形固定資産投資等があります。

 当社グループはそれらの資金需要に対応するため、内部留保を蓄積することで流動性を確保することとしております。また、重要な資本的支出やM&A等により多額の資金需要が生じた場合の財源としては、金融機関からの借入や新株及び社債の発行等により資金の調達を行うこととしております。