売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01904 Japan GAAP

売上高

1,847.3億 円

前期

1,422.0億 円

前期比

129.9%

時価総額

1,007.8億 円

株価

1,292 (04/17)

発行済株式数

78,000,000

EPS(実績)

100.18 円

PER(実績)

12.90 倍

平均給与

635.4万 円

前期

619.1万 円

前期比

102.6%

平均年齢(勤続年数)

45.1歳(10.2年)

従業員数

538人(連結:5,408人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社(ニチコン㈱)、子会社25社および関連会社3社により構成されており、各種コンデンサ、その関連製品の製造販売および変圧器、圧力センサの製造販売等の事業活動を行っています。

 当社および関係会社の位置づけは、次のとおりです。

 なお、当社は「コンデンサおよびその関連製品」の単一のセグメントとしているため、製品区分別に記載しています。

 当社は、電子機器用コンデンサ(アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池、正特性サーミスタ)、電力・機器用及び応用機器(パワーエレクトロニクス用フィルムコンデンサ、公共・産業用蓄電システム、加速器用電源、瞬時電圧低下/停電対策装置、変圧器、圧力センサ)、回路製品(家庭用蓄電システム、V2Hシステム、EV用急速充電器、スイッチング電源、機能モジュール、無停電電源装置)およびその他(原材料等)を製造・販売しています。

 当社は、上記各種製品を子会社より仕入れ、主に国内・外のメーカー、商社、代理店等へ販売するとともに、海外子会社へ供給しています。

 また、原材料および半製品を国内および海外生産子会社ならびに関連会社へ供給しています。

(1)国内の主な関係会社

 ニチコン製箔㈱は、アルミ電解コンデンサ用電極箔の製造、ニチコン大野㈱、ニチコン岩手㈱は、アルミ電解コンデンサの製造、ニチコン草津㈱、㈱酉島電機製作所、日本リニアックス㈱他1社は、電力・機器用及び応用機器などの製造、ニチコン亀岡㈱、ニチコンワカサ㈱、㈱ユタカ電機製作所他1社は、回路製品等の製造を行い、当社その他から供給された原材料および半製品を加工し、当社へ納入しています。さらに、日本興産㈱は、損害保険代理店業等その他の事業を行っています。

(2)海外の主な関係会社

 ニチコン(マレーシア)センディリアン バハッド、ニチコン エレクトロニクス(無錫)カンパニー リミテッドおよびニチコン エレクトロニクス(宿遷)カンパニー リミテッドは、当社その他から原材料等の供給を受けてアルミ電解コンデンサ、機器用コンデンサおよび回路製品の製造を行い、主に海外販売拠点へ供給するとともに、当社から供給を受けた製品とあわせて、シンガポール、マレーシア、タイ、中国、香港および周辺国のユーザーへ販売しています。さらに、三和電機㈱およびタイコン コーポレーション他1社は、韓国および中国でそれぞれアルミ電解コンデンサの製造販売を行っています。また、無錫ニチコン エレクトロニクス R&Dセンター カンパニー リミテッドは、海外における各種電源およびアルミ電解コンデンサの設計・開発を行っています。

 ニチコン(アメリカ)コーポレーション、ニチコン(オーストリア)ゲー・エム・ベー・ハーおよびニチコン(香港)リミテッド他6社は、当社および海外生産拠点から供給された各種コンデンサの販売等を行っています。

事業系統図

 以上述べた事項を事業系統図において示すと次のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

 

 

23/06/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が徐々に緩和されたことに伴い、経済活動の正常化が進み、景気の持ち直しの動きがみられました。一方で、エネルギー価格や原材料価格の高騰によるインフレ圧力の強まり、急激な為替相場の変動に加えて、ロシア・ウクライナ情勢の長期化など、依然として景気の下押し懸念は強く、先行き不透明な状況が続いています。米国経済は、雇用が伸びるなど景気が持ち直しましたが、インフレ抑制のための相次ぐ金融引き締めが続き、景気後退のリスクが高まりました。欧州経済は、エネルギーの供給懸念による物価上昇を背景に、景気の回復が遅れています。中国経済は、ゼロコロナ政策を解除したものの、不動産市場の低迷や輸出の減少などにより経済成長のペースは鈍化しました。

このような状況において当社は、中期成長目標「Vision 2025」を策定し、目標達成を通して持続可能な成長の実現を目指しています。当期の取り組みについて、コンデンサ事業においては、欧米市場等で自動車の電動化、電装化を背景に車載向けが伸長しました。また、産業機器向けについても省人化、自動化を背景に堅調に推移しており、エアコンを中心とした民生家電市場においても国内やアセアン市場を中心に堅調に推移しました。

また、当社の経営の新たな柱であるNECST事業におきましては、脱炭素化のメガトレンドを受けて、再生可能エネルギーの活用拡大と温室効果ガス排出削減に寄与する環境関連製品においては、太陽光で発電した電気を家庭やEVにも活用できる新型家庭用蓄電システム「トライブリッド蓄電システム®」およびV2Hシステム「EVパワー・ステーション®」が伸長したほか、公共・産業用蓄電システムやEV化に必須の社会インフラである急速充電器等の需要が拡大し、売上が大幅に伸長しました。また、太陽光発電システムの生産事業所への導入や当社NECST製品による電力の家産家消(※)を体験できる「ニチコン 明るい未来館」を開設するなど、事業活動での温室効果ガス排出削減を進めるとともに、事業を通じた環境啓蒙活動も進めており温暖化対策に貢献しています。

※家産家消:電力を家で作って家で使うという意味

これらの結果、当連結会計年度の売上高は184,725百万円と前期比29.9%の増収となり過去最高を更新しました。また、利益につきましては、営業利益は12,676百万円と前期比97.2%の増益、経常利益は為替差益を1,730百万円計上し15,263百万円と前期比77.6%の増益となり過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、米国競争当局による調査に伴い発生した米国の個別訴訟およびカナダのクラスアクションに関する和解金を独占禁止法関連損失として6,395百万円計上したことなどにより7,814百万円と前期比1.1%の減益となりました。

製品区分別売上高につきましては、電子機器用は、車載関連機器向けに加え、産業機器や白物家電などのインバータ関連機器向けなどの売上が増加したことなどにより100,613百万円と前期比22.7%の大幅増収となりました。

電力・機器用及び応用機器は、主としてxEV向け機器用フィルムコンデンサの売上が大幅に増加したことなどにより23,387百万円と前期比20.3%の大幅増収となりました。

回路製品は、家庭用蓄電システムやV2HシステムおよびEV・PHV用急速充電器、スイッチング電源などの売上が伸長したことなどにより60,363百万円と前期比49.4%の大幅増収となり、NECST事業の成長が全体にも大きく寄与しました。

設備投資につきましては、新規事業の成長を見据えた技術・開発投資や当社のコア事業であるアルミ電解コンデンサの生産能力増強、xEV向けフィルムコンデンサの増強を中心に11,200百万円の設備投資を実施しました。

 

 所在地別の経営成績は、次のとおりです。

a.日 本

 国内においては、アルミ電解コンデンサの車載関連機器向けやインバータ関連機器向けの売上が増加したことに加え、家庭用蓄電システムやV2HシステムおよびEV・PHV用急速充電器、スイッチング電源などの売上が増加したことなどにより、売上高は80,886百万円と前期比27.4%の増収となりました。営業利益は、売上高の増収や円安の影響などにより7,000百万円と前期に比べ2.8倍となり、大幅増益となりました。

b.米 国

 米国地域においては、主に電気自動車向け需要が大幅に増加したことなどにより、売上高は17,583百万円と前期比46.3%の大幅増収となりました。営業利益は、販売コストの削減や売上高の増収などにより1,059百万円と前期比85.1%の大幅増益となりました。

c.アジア

 アジア地域においては、車載関連機器向けやインバータ関連機器向けアルミ電解コンデンサの売上が増加したことなどにより、売上高は74,317百万円と前期比28.0%の増収となりました。営業利益は、製造コストの削減や売上高の増収による稼働益などにより3,784百万円と前期比23.0%の増益となりました。

d.欧州他

 欧州その他の地域においては、車載関連機器向けおよび産業機器向けのアルミ電解コンデンサの需要が増加したことなどにより、売上高は11,938百万円と前期比38.4%の大幅増収となりました。営業利益は、売上高の増収などにより667百万円と前期比61.5%の大幅増益となりました。

・所在地別の経営成績

 前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

 

日本

(百万円)

米国

(百万円)

アジア

(百万円)

欧州他

(百万円)

(百万円)

消去又は

全社

(百万円)

連結

(百万円)

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 (1)外部顧客に対する売上高

63,474

12,017

58,079

8,627

142,198

142,198

 (2)所在地間の内部売上高又は振替高

47,207

0

14,844

62,051

△62,051

110,681

12,017

72,923

8,627

204,250

△62,051

142,198

  営業利益

2,528

572

3,077

413

6,592

△165

6,427

 

 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

日本

(百万円)

米国

(百万円)

アジア

(百万円)

欧州他

(百万円)

(百万円)

消去又は

全社

(百万円)

連結

(百万円)

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 (1)外部顧客に対する売上高

80,886

17,583

74,317

11,938

184,725

184,725

 (2)所在地間の内部売上高又は振替高

58,294

1

18,006

76,302

△76,302

139,181

17,585

92,323

11,938

261,028

△76,302

184,725

  営業利益

7,000

1,059

3,784

667

12,512

164

12,676

 

 

・海外売上高

 前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

 

米州

アジア

欧州他

Ⅰ 海外売上高(百万円)

12,023

59,074

8,637

79,735

Ⅱ 連結売上高(百万円)

 

 

 

142,198

Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%)

8.5

41.5

6.1

56.1

 

 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

米州

アジア

欧州他

Ⅰ 海外売上高(百万円)

17,592

75,456

11,941

104,991

Ⅱ 連結売上高(百万円)

 

 

 

184,725

Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%)

9.5

40.8

6.5

56.8

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ7,269百万円増加し25,068百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ3,922百万円収入が増加し9,186百万円の収入となりました。これは主に、棚卸資産の増加額が5,069百万円、売掛債権の増加額が4,891百万円および和解金の支払額が3,487百万円発生しましたが、税金等調整前当期純利益9,970百万円、減価償却費7,543百万円を計上したことに加え、仕入債務の増加額が1,289百万円となったことなどによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ2,146百万円支出が増加し8,121百万円の支出となりました。これは主に、有価証券・投資有価証券の売却及び償還による収入が2,167百万円となりましたが、有形固定資産の取得による支出が9,350百万円、有価証券・投資有価証券の取得による支出が607百万円となったことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、5,435百万円の収入(前期は2,303百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が1,915百万円、長期借入金の返済による支出が1,152百万円、短期借入金の純減少額1,000百万円となった一方で、長期借入れによる収入が10,000百万円となったことなどによるものです。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における製品区分の生産実績は、次のとおりです。

製品区分

当連結会計年度(百万円)

前期比(%)

電子機器用

102,816

118.4

電力・機器用及び応用機器

23,238

114.4

回路製品

60,908

150.7

その他

361

95.1

合計

187,324

126.6

(注)金額は、販売価格によります。

 

b.受注実績

 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における製品区分の受注実績は、次のとおりです。

製品区分

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期末比(%)

電子機器用

101,191

91.3

57,402

101.0

電力・機器用及び応用機器

25,817

115.4

9,614

133.8

回路製品

66,129

147.0

14,675

164.7

その他

116

14.5

521

68.1

合計

193,255

108.0

82,214

111.6

 

c.販売実績

 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における製品区分の販売実績は、次のとおりです。

製品区分

当連結会計年度(百万円)

前期比(%)

電子機器用

100,613

122.7

電力・機器用及び応用機器

23,387

120.3

回路製品

60,363

149.4

その他

361

95.1

合計

184,725

129.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

①重要な会計方針および見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたって、財政状態および経営成績に影響を与える項目は下記のとおりです。なお、当社グループの重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項  4.会計方針に関する事項」に記載しています。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

a.固定資産の減損

 当社グループは、事業用の様々な有形固定資産および無形資産を所有しています。毎期、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)があるかどうかを判定し、減損の兆候がある資産または資産グループについて、帳簿価額がこれらの資産の継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる割引前の将来キャッシュ・フローの総額を超える場合に、減損損失を認識することとしています。また、資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価値と、正味売却価額のいずれか高い方の金額を資産の回収可能価額とし、帳簿価額が回収可能価額を上回る額を減損損失として測定しています。今後の事業計画との乖離や市況・需要の変化等によって、期待される収益やキャッシュ・フローが生み出せない可能性を示す事象(減損の兆候)が見られる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

b.貸倒引当金

 当社グループは、売掛債権、貸付金等による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合は追加引当が必要となる可能性があります。

c.投資の減損

 当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客等および金融機関の株式を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれています。当社グループは連結会計年度末において、上場会社では株価が取得価額を50%以上下落した場合、非上場会社では会社の純資産額が欠損により50%以上下落した場合に減損損失を計上しています。また、株価が取得価額の30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損損失を計上しています。将来の市況悪化または投資先の経営成績不振により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

d.繰延税金資産の回収可能性

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項  (重要な会計上の見積り) 2.繰延税金資産の回収可能性」に記載のとおりです。

e.退職給付に係る負債および年金制度

 当社の退職金規程では、勤続年数3年以上の従業員については、原則として退職時に退職一時金の受給資格を有することになります。この退職給付金は、通常、勤務年数、退職の事由、退職時の算定基礎額により算出されています。

 当社および一部の国内連結子会社は、従業員の退職給付に関し、確定給付型年金制度および退職一時金制度を採用しており、当社および在外連結子会社の一部につきましては、確定拠出型年金制度を採用しています。退職給付に係る負債および退職給付費用の計算は、数理計算上で設定された前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には割引率、年金資産の長期期待運用収益率、将来の昇給率、退職率、死亡率などが含まれます。当社グループが使用した前提条件は妥当なものと考えていますが、実際の結果が異なる場合、または前提条件が変更された場合は、退職給付に係る負債および退職給付費用に影響を与える可能性があります。

f.製品保証引当金

 当社は、製品の販売に係る一定期間内の無償サービスの費用に備えるため、当該費用の発生割合および支出実績を勘案した見積額を計上していますが、実際の製品不良率や保証費用が見積りと異なる場合には、追加の引当が必要となる可能性があります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

イ.財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べて22,227百万円増加し192,339百万円(前期末比13.1%増)となりました。

 流動資産は、前期末に比べて20,832百万円増加して115,830百万円(前期末比21.9%増)となりました。これは主に、現金及び預金が前期末に比べて7,269百万円増加し25,068百万円、棚卸資産が前期末に比べ6,060百万円増加し37,203百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が前期末に比べ5,314百万円増加し42,413百万円となったことなどによるものです。

 有形固定資産は、前期末に比べて4,757百万円増加して44,314百万円(前期末比12.0%増)となりました。これは主に、当連結会計年度における設備投資実施額が11,200百万円となり、減価償却費7,543百万円を上回ったことなどによるものです。

 投資その他の資産は、前期末に比べて3,351百万円減少して30,884百万円(前期末比9.8%減)となりました。これは主に、投資有価証券が前期末に比べて3,430百万円減少して27,862百万円となったことなどによるものです。

 流動負債は、前期末に比べて7,420百万円増加して60,530百万円(前期末比14.0%増)となりました。これは主に、短期借入金が前期末に比べ1,000百万円減少し10,600百万円となった一方で、未払金が前期末に比べ3,764百万円増加し5,674百万円、契約負債が前期末に比べ2,923百万円増加し3,251百万円、電子記録債務が前期末に比べ1,582百万円増加し13,138百万円、支払手形及び買掛金が前期末に比べ1,057百万円増加し17,755百万円となったことなどによります。

 固定負債は、前期末に比べて8,104百万円増加して30,453百万円(前期末比36.3%増)となりました。これは主に、繰延税金負債が前期末に比べて1,149百万円減少して4,605百万円となった一方で、長期借入金が前期末に比べ8,750百万円増加したことなどによるものです。

 利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益を7,814百万円計上、配当金の支払いを1,915百万円行ったことで、前期末に比べて5,898百万円増加して60,938百万円となりました。その他有価証券評価差額金は、前期末に比べて2,226百万円減少して11,724百万円となりました。また、為替換算調整勘定は、前期末に比べて2,747百万円増加して6,656百万円となりました。

 自己株式の期末残高は、前期末に比べて1百万円増加して11,627百万円となりました。

 以上の結果、純資産は前期末に比べて6,701百万円増加し101,354百万円(前期末比7.1%増)となりました。

 直近3事業年度の自己資本比率および時価ベースの自己資本比率は次のとおりです。

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

55.9

54.3

51.4

時価ベースの

自己資本比率(%)

49.2

47.3

49.1

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

ロ.経営成績の分析

a.売上高

 当連結会計年度の売上高は、前期に比べ42,526百万円増加し、184,725百万円(前期比29.9%増)となり過去最高を更新しました。

 国内売上は、アルミ電解コンデンサの車載関連機器向けやインバータ関連機器向けの売上が増加したことに加え、家庭用蓄電システムやV2HシステムおよびEV・PHV用急速充電器、スイッチング電源などの売上が増加したことなどにより、売上高は79,734百万円と前期比27.6%の増収となりました。海外売上高については、アジア市場において車載関連機器向けやインバータ関連機器向けアルミ電解コンデンサの売上が増加したことなどにより、売上高は75,456百万円と前期比27.7%の増収となりました。米州については主に電気自動車向け需要が大幅に増加したことなどにより、売上高は17,592百万円と前期比46.3%の大幅増収となりました。また、欧州他は車載関連機器向けおよび産業機器向けのアルミ電解コンデンサの需要が増加したことなどにより、売上高は11,941百万円と前期比38.3%の大幅増収となり、海外市場全体では104,991百万円となり前期比31.7%の増収となりました。これらの結果、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前期比0.7ポイント上昇し56.8%となりました。

b.売上原価・販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の売上原価は、電力料をはじめとする燃料費や部材調達コストの高騰などの影響を受けましたが、生産性向上や品質改善による仕損じの削減を図った結果、前期に比べ33,183百万円増加し150,977百万円(前期比28.2%増)となり、売上原価率は前期比1.1ポイント改善し81.7%となりました。

 販売費及び一般管理費は、人件費や運送コストの高騰などにより前期に比べ3,093百万円増加し21,071百万円(前期比17.2%増)となりました。売上高販管費比率は前期比1.2ポイント下降して11.4%となりました。

c.営業利益と親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の営業利益は、上記a.およびb.の結果、前期に比べ6,249百万円増加し12,676百万円(前期比97.2%増)となりました。また、営業利益率は前期比2.4ポイント良化し6.9%となりました。

 営業外損益項目では、為替差益を1,730百万円(前期は1,332百万円)計上したことなどにより、経常利益は前期に比べ6,668百万円増加し15,263百万円(前期比77.6%増)となり過去最高を更新しました。

 特別損益項目では、特別利益として投資有価証券売却益を1,123百万円(前期は1,088百万円)計上し、特別損失には独占禁止法関連損失6,395百万円(前期はなし)を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ87百万円減少し7,814百万円(前期比1.1%減)となりました。

ハ.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ7,269百万円増加し25,068百万円となりました。

 変動要因は「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、1,065百万円のプラスとなりました。資金調達の方法および状況ならびに資金需要の動向については次項「ニ.資本の財源及び資金の流動性」に記載のとおりです。

ニ.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、設備投資、改修等に係る投資資金や、当社製品製造のための人件費や経費、材料および部品などの製造費用、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の運転資金です。

 これらに必要な資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入による資金調達および社債の発行により対応します。当連結会計年度においては、コンデンサ事業およびNECST事業の地球環境の解決に貢献する製品・サービスに要する設備投資資金として、総額100億円のグリーンファイナンスによる資金調達を実施しました。

 当社グループは、手許資金ならびに直接・間接金融による資金調達を実施し、事業の拡大に必要な資金の流動性を確保できるものと考えています。

ホ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 翌期(2024年3月期)の経済環境の見通しは、地政学リスクの高まりを背景とする原燃料価格の高騰や部材調達難が継続し、先行きの不透明感と不確実性が高い状況が続いています。

 重点4市場と位置付ける「エネルギー・環境・医療機器」「自動車・車両関連機器」「白物家電・産業用インバータ機器」「情報通信機器」の各市場ともに、半導体をはじめとする部材不足や素材価格の上昇圧力があるものの、カーボンニュートラルの動きの加速により環境関連需要は拡大する見通しです。

 当連結会計年度の期初計画の達成状況は以下のとおりです。

指標

当連結会計年度

(計画)

当連結会計年度

(実績)

当連結会計年度

(計画比)

売上高(百万円)

153,000

184,725

31,725( 20.7%)

営業利益(百万円)

7,800

12,676

4,876( 62.5%)

営業利益率(%)

5.1

6.9

1.8ポイント

経常利益(百万円)

8,600

15,263

6,663( 77.5%)

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

7,400

7,814

414(  5.6%)

 当社グループは、2021年11月、2026年3月期を最終年度とする中期成長目標「Vision 2025」を公表しています。2026年3月期において売上高2,000億円、営業利益率10%以上の目標としており、2期目となる当連結会計年度においては売上高、営業利益率ともに年度計画を達成し、2期連続計画を達成しています。