売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02128 IFRS

売上高

1.35兆 円

前期

1.17兆 円

前期比

115.3%

時価総額

6,238.2億 円

株価

4,033 (03/28)

発行済株式数

154,679,954

EPS(実績)

287.98 円

PER(実績)

14.00 倍

平均給与

792.9万 円

前期

736.5万 円

前期比

107.7%

平均年齢(勤続年数)

41.4歳(16.5年)

従業員数

7,768人(連結:28,486人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社及び当社の関係会社(連結子会社145社,持分法適用関連会社28社(2023年3月31日現在))においては,資源・エネルギー・環境,社会基盤・海洋,産業システム・汎用機械及び航空・宇宙・防衛の4つの事業を主として行なっており,その製品は多岐にわたっています。各事業の主な事業内容及びグループ各社の位置付け等は次のとおりです。

 なお,次の4事業は第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「6.セグメント情報」に記載の報告セグメントの区分と同一です。

 

(資源・エネルギー・環境)

 当事業においては,原動機(陸用原動機プラント,舶用原動機),カーボンソリューション(ボイラ,貯蔵設備),原子力(原子力機器)等の製造,販売,サービスの提供等を行なっています。

[主な関係会社]

㈱IHIプラント,寿鉄工㈱,㈱IHI原動機,ニコ精密機器㈱,青森プラント㈱,㈱IPS相生(注①),

JURONG ENGINEERING LIMITED及びその子会社19社(注②),ISHI POWER SDN.BHD.,

PT IHI POWER SERVICE INDONESIA(注③),NIIGATA POWER SYSTEMS(SINGAPORE)PTE. LTD.,

IHI E&C International Corporation及びその子会社1社(注④),

IHI POWER SYSTEM MALAYSIA SDN.BHD.,Steinmüller Engineering GmbH及びその子会社1社,

IHI Power System(Thailand)Co.,Ltd.,IHI Power Generation Corporation及びその子会社4社(注⑤),

IHI SOLID BIOMASS MALAYSIA SDN.BHD.,IHI Terrasun Solutions Inc.,IHI Energy Solutions Inc.,

他1社

 

(社会基盤・海洋)

 当事業においては,橋梁・水門,交通システム,シールドシステム,コンクリート建材,都市開発(不動産販売・賃貸)等の製造,販売,サービスの提供等を行なっています。

[主な関係会社]

㈱IHIインフラシステム,㈱IHIインフラ建設,㈱IHI建材工業,ジャパントンネルシステムズ㈱,

㈱三越,新潟トランシス㈱,JIMテクノロジー㈱,

IHI INFRASTRUCTURE ASIA CO.,LTD.,IHI California Inc.,I&H Engineering Co.,Ltd.,

Terratec Limited及びその子会社4社,(注⑥)

 

(産業システム・汎用機械)

 当事業においては,車両過給機,パーキング,回転機械(圧縮機,分離装置,舶用過給機),熱・表面処理,運搬機械,物流・産業システム(物流システム,産業機械)等の製造,販売,サービスの提供等を行なっています。

[主な関係会社]

IHI運搬機械㈱,㈱IHI扶桑エンジニアリング,西日本設計㈱,㈱IHI機械システム,

㈱IHIフォイトペーパーテクノロジー,㈱IHI物流産業システム,セントラルコンベヤー㈱,

㈱IHI回転機械エンジニアリング,㈱IHIターボ,㈱IHIアグリテック,㈱IHIターボサービス,

㈱IHI汎用ボイラ,㈱IHI回転機械製造(注⑦)

IHI Hauzer Techno Coating B.V.及びその子会社5社,IHI Press Technology America,Inc.,

Indigo TopCo Limited及びその子会社22社(注⑧),

IHI Charging Systems International GmbH及びその子会社2社,

IHI寿力圧縮技術(蘇州)有限公司,長春富奥石川島過給機有限公司及びその子会社1社,

IHI Turbo America Co.,IHI TURBO(THAILAND)CO.,LTD.,IHI VTN GmbH及びその子会社3社,

台灣石川島運搬機械股份有限公司,江蘇石川島豊東真空技術有限公司,

IHI DALGAKIRAN MAKINA SANAYI VE TICARET A.S.,IHI ASIA PACIFIC(Thailand)CO.,LTD.

石川島寿力回転科技製造(蘇州)有限公司(注⑨),(注⑩),(注⑪)

 

(航空・宇宙・防衛)

 当事業においては,航空エンジン,ロケットシステム・宇宙利用,防衛機器システム等の製造,販売,サービスの提供等を行なっています。

[主な関係会社]

㈱IHIエアロスペース,㈱IHIエアロスペース・エンジニアリング,

㈱IHIエアロマニュファクチャリング,㈱IHIキャスティングス,㈱IHIジェットサービス,

㈱IHIマスターメタル,㈱アイ・エヌ・シー・エンジニアリング,明星電気㈱,

IHI‐ICR,LLC.,IHI Aero Engines US Co.,Ltd.

 

(その他)

 当事業においては,通信,電子,電気計測,情報処理などの機器・装置等の製造,販売,サービスの提供等並びにサービス業を行なっています。

[主な関係会社]

㈱IHIエスキューブ,㈱IHIトレーディング,㈱IHIビジネスサポート,

㈱IHI検査計測,高嶋技研㈱,豊洲エネルギーサービス㈱,そうまIグリッド(同),

IHI do Brasil Representações Ltda.,IHI ENGINEERING AUSTRALIA PTY.LTD.,IHI Europe Ltd.,IHI INC.,

石川島(上海)管理有限公司,IHI ASIA PACIFIC PTE.LTD.,IHI Americas Inc.,

IHI(CANADA)LTD.,ALPHA Automotive Technologies LLC

 

 (注)①. 新規設立に伴い,新たに連結の範囲に含めています。

    ②. JURONG ENGINEERING LIMITED(資源・エネルギー・環境)の子会社のうち,1社は清算結了により消滅しま

した。

    ③. PT Cilegon Fabricators(資源・エネルギー・環境)は商号をPT IHI POWER SERVICE INDONESIAへ変更しま

した。

    ④. IHI E&C International Corporation(資源・エネルギー・環境)の子会社のうち,1社は清算結了により

消滅しました。

    ⑤. IHI Power Generation Corporation(資源・エネルギー・環境)の子会社のうち,2社は既に清算手続きを進めており,重要性が乏しくなったため,連結の範囲から除外しました。

    ⑥. 千葉倉庫㈱(社会基盤・海洋)は株式を譲渡したことに伴い, 当社の関係会社ではなくなりました。

    ⑦. 株式を追加取得したことに伴い,新たに連結の範囲に含めています。

    ⑧. Indigo TopCo Limited(産業システム・汎用機械)の子会社のうち,1社は清算結了により消滅しました。

    ⑨. 新規設立に伴い,新たに連結の範囲に含めています。

    ⑩. ㈱IHI技術研究所(産業システム・汎用機械)は株式を譲渡したことに伴い,当社の関係会社ではなくな

りました。

    ⑪. 上海世達爾現代農機有限公司(産業システム・汎用機械)は,既に清算手続きを進めており,重要性が乏し

くなったため,連結の範囲から除外しました。

 

[主な関係会社及び事業系統]

各事業における当社及び主な関係会社の位置付けは,次のとおりです。

※画像省略しています。

 

※セグメントを構成する連結子会社を,上表に記載しています。なお,各連結子会社のセグメントにおいて果たす機能について,製造・販売・エンジニアリング・据付・サービスの5つに分類して表示しています。

※複数の機能を果たす子会社の場合,その機能を並べて表示できない会社については,会社名の右横に≪製≫

 ≪販≫≪エ≫≪据≫≪サ≫として表示しています。

※上表の連結子会社は,2023年3月31日現在のものです。

 

23/06/23

4【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は,ロシア連邦によるウクライナ侵攻の長期化などの地政学リスクの高まり,世界的なインフレや金融引き締めなどにより,先行き不透明な状況が続きました。一方,低迷していた中国経済は,ゼロコロナ政策の解除を契機に,内需を中心に一時的な持ち直しの動きが見られました。わが国経済については,コロナ禍から経済活動が正常化していく中で,世界的なインフレの影響は受けつつも,景気は緩やかに持ち直しています。

 

当社グループの主力事業である民間向け航空エンジンは,サプライチェーンの混乱は続くものの,新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ旅客需要の回復に伴って,スペアパーツ販売などのアフターマーケットはおおむね順調に推移しました。

車両過給機においては,半導体不足は解消しつつあるものの,世界的な景気減退リスクが懸念される中,自動車会社の生産台数は緩やかな回復にとどまりました。

当社グループの事業全体として,原材料価格の高騰は,多くの事業の採算性に影響を及ぼしていますが,為替が円安水準で推移していることに加えて,販売価格への着実な反映や工事採算の改善などによる成果も現れ始めています。

 

当社グループは,「プロジェクトChange」という取り組みにおいて,当連結会計年度までの期間を環境変化に即した事業改革への準備期間と位置づけ,成長軌道への回帰と成長事業の創出に取り組んできました。とくに,製品・サービス事業からライフサイクルでの価値提供(ライフサイクルビジネス)へのビジネスモデル転換や収益基盤の強化を推進してきました。

このような取り組みにより,当社グループの当連結会計年度の受注高は前年度比8.3%増の1兆3,661億円となり,売上収益についても,15.3%増の1兆3,529億円となりました。

損益面では,営業利益は,前年度に保有資産の売却益を計上したことによる減益や原材料価格の高騰の影響はあるものの,民間向け航空エンジンでスペアパーツ販売の増加と採算改善,原子力関連機器の増収やカーボンソリューションでの採算改善などに加え,為替が円安で推移したことにより,4億円増益の819億円となり,報告セグメントのすべてで増収増益となりました。一方で,税引前利益は,持分法による投資損失や為替差損の計上などにより,227億円減益の648億円,親会社の所有者に帰属する当期利益は215億円減益の445億円です。

 

当連結会計年度の報告セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。

(単位:億円)

報告セグメント

受注高

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

前連結

会計年度

当連結

会計年度

前期比

増減率

(%)

(2021.4~2022.3)

(2022.4~2023.3)

増減率(%)

売上収益

営業

損益

売上収益

営業

損益

売上収益

営業

損益

資源・

エネルギー・

環境

3,738

3,934

5.2

3,444

229

3,713

262

7.8

14.2

社会基盤・海洋

1,810

1,340

△25.9

1,673

153

1,710

170

2.2

11.2

産業システム・

汎用機械

3,845

4,559

18.6

3,769

128

4,365

180

15.8

40.2

航空・宇宙・防衛

3,047

3,727

22.3

2,652

△93

3,641

361

37.3

報告セグメント 計

12,441

13,562

9.0

11,540

418

13,431

975

16.4

133.1

その他

547

539

△1.5

627

△10

542

13

△13.5

調整額

△376

△440

△439

406

△444

△168

合計

12,612

13,661

8.3

11,729

814

13,529

819

15.3

0.6

 

<資源・エネルギー・環境>

世界各国でカーボンニュートラル化に向けた動きが加速しており,環境負荷低減に向けた課題は,国・地域やお客さまの事情により多様化しています。化石資源からの脱却は,エネルギー分野の電力・ガスといったユーティリティ部門だけでなく,鉄鋼や化学をはじめとした産業分野でも素材の製造プロセスの脱CO₂化に向けた動きに広がりがみられます。

このような事業環境のもと,受注高は,東南アジアでの大型発電所プロジェクトの受注などで増加しました。

売上収益は,原子力などで増収となりました。

営業利益は,原子力で工事進捗やカーボンソリューションでの採算改善により増益となりました。

 

<社会基盤・海洋>

国内においては,インフラの老朽化や気候変動による自然災害の激甚化の対策として国土強靭化政策は継続されており,流域治水や橋梁の維持,修繕,事後保全の更なる推進が求められています。一方,人口減少の中,建設分野における人手不足は常態化しており,インフラ整備・維持管理を着実に行なうため,省人化・自動化及びDXの推進による生産性向上が求められています。

このような事業環境のもと,受注高は,橋梁・水門等で減少しました。

売上収益は,橋梁・水門などで増収となりました。

営業利益は,橋梁・水門での増収や海外案件の採算改善により増益となりました。

 

<産業システム・汎用機械>

自動車業界を中心に影響の大きかった,中国におけるロックダウンによる混乱は解消されたものの,産業分野全体としては人件費・原材料・エネルギー価格の高騰が常態化しており,資機材の供給不足・長納期化が続いている状況です。

その一方で,産業分野のメガトレンドとして,エネルギーを多く使用する業界を中心としたカーボンニュートラルへのニーズや,労働人口の減少による省人化に対するニーズの高まりは一層加速しています。また,世界経済の分断化によって地産地消の自律的な社会への転換が進展しています。これらの変化は,新たなビジネスを創出する機会となっています。

このような事業環境のもと,受注高は,車両過給機や運搬機械などで増加しました。

売上収益は,為替が円安で推移した影響もあり,車両過給機や熱・表面処理,回転機械などで増収となりました。

営業利益は,パーキングや物流・産業システムで減益となったものの,車両過給機や回転機械の増収などで増益となりました。

 

<航空・宇宙・防衛>

世界の旅客需要は着実に回復をしており,当社のエンジンは燃費及び運用コストにおける優位性から,アフターマーケットでの収益も回復を継続しています。また,防衛予算の増額,宇宙産業の市場拡大の流れを受け,防衛・宇宙事業においても,新たな価値創造を図り,競争力向上を目指していきます。一方で,サプライチェーンの混乱や物価高騰は継続しており,将来の事業環境は依然として不透明なところもあるため,変化に打ち勝つ事業体質構築に向け,DXの活用による生産性向上等,コスト構造強化をさらに推進し,成長を加速していきます。

このような事業環境のもと,受注高は,民間向け航空エンジンなどで増加しました。

売上収益は,民間向け航空エンジンでのエンジン本体・スペアパーツの販売増加に加え,為替が円安で推移した影響もあり増収となりました。

営業利益は,民間向け航空エンジンでの,スペアパーツの販売増加や新製エンジンの原価低減や性能改善に伴うプログラム関連費用の負担減少などで黒字に転じました。

 

なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

b.資産及び負債,資本の状況

当連結会計年度末における総資産は1兆9,419億円となり,前連結会計年度末と比較して622億円増加しました。主な増加項目は,棚卸資産で343億円,営業債権及びその他の債権で304億円,主な減少項目は,現金及び現金同等物で207億円です。

負債は1兆4,857億円となり,前連結会計年度末と比較して130億円増加しました。主な増加項目は,社債及び借入金で214億円です。有利子負債残高はリース負債を含めて5,194億円となり,前連結会計年度末と比較して139億円増加しました。これには,「脱CO₂の実現」の取組みの一環として発行したトランジション・ボンドを含みます。

資本は4,562億円となり,前連結会計年度末と比較して492億円増加しました。これには,親会社の所有者に帰属する当期利益445億円が含まれています。

以上の結果,親会社所有者帰属持分比率は,前連結会計年度末の20.3%から22.2%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下,「資金」という)の残高は,前連結会計年度末と比較して207億円減少し,1,247億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは541億円の収入超過(前連結会計年度は1,141億円の収入超過)となりました。これは,調達品の価格上昇や納入遅れに備えた在庫の確保などにより棚卸資産が増加したものの,利益の獲得により資金が増加したためです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは523億円の支出超過(前連結会計年度は279億円の収入超過)となりました。これは,有形固定資産の取得による支出があったためです。前年同期は有形固定資産の取得による支出があった一方で,保有資産の売却による収入により収入超過となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは240億円の支出超過(前連結会計年度は1,214億円の支出超過)となりました。これは,配当金の支払や金融負債の返済による支出があったためです。

 

(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示し,比率は四捨五入表示しています。

 

③生産,受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

資源・エネルギー・環境

384,267

9.4

社会基盤・海洋

170,288

0.3

産業システム・汎用機械

434,025

12.8

航空・宇宙・防衛

368,957

32.2

報告セグメント 計

1,357,537

14.6

その他

33,805

12.1

合計

1,391,342

14.5

(注)1. 金額は販売価格によっており,セグメント間の取引を相殺消去しています。

2. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。

 

b.受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと,次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比(%)

期末受注残高

(百万円)

前期末比(%)

資源・エネルギー・環境

393,402

5.2

565,718

7.2

社会基盤・海洋

134,094

△25.9

218,410

△12.7

産業システム・汎用機械

455,982

18.6

201,033

11.2

航空・宇宙・防衛

372,759

22.3

293,455

3.4

報告セグメント 計

1,356,237

9.0

1,278,616

2.9

その他

53,938

△1.5

20,879

△8.7

調整額

△44,003

合計

1,366,172

8.3

1,299,495

2.7

(注)1. 各セグメントの受注高は,セグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。

2. 各セグメントの受注残高は,セグメント間の取引を相殺消去しています。

3. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

資源・エネルギー・環境

371,397

7.8

社会基盤・海洋

171,038

2.2

産業システム・汎用機械

436,526

15.8

航空・宇宙・防衛

364,172

37.3

報告セグメント 計

1,343,133

16.4

その他

54,277

△13.5

調整額

△44,470

合計

1,352,940

15.3

(注)1. 販売実績は売上収益をもって示します。

2. 金額はセグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。

3. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

一般財団法人

日本航空機エンジン協会

88,214

7.5

157,344

11.6

4. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。

 

(2)経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は,IFRSに準拠して作成されています。連結財務諸表の作成に当たり,見積りが必要となる事項については,合理的な基準に基づき,会計上の見積りを行なっています。

詳細については,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」,及び注記「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループ及びセグメントごとの経営成績の状況は(1)経営成績等の状況の概要の①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。

 

当社グループは,「プロジェクトChange」での取り組みにおいて,当連結会計年度までの期間を環境変化に即した事業改革への準備期間と位置づけ,成長軌道への回帰と成長事業の創出に取り組んできました。

成長軌道への回帰については,製品・サービス事業からライフサイクルでの価値提供へのビジネスモデル転換をはかりました。ライフサイクルビジネスの売上収益は2019年度比+35%となり,「プロジェクトChange」の目標を達成しています。また,コスト構造強化にも取り組み,DXの活用による生産性向上や業務プロセスの改革が進んでいます。

成長事業の創出については,新たなビジネスモデルとして,アンモニアバリューチェーン事業への取り組みを本格化してきました。その結果,「プロジェクトChange」での経営目標は達成できなかったものの,過去最高水準の営業利益を実現することができ「グループ経営方針2023」につながる準備は整いつつあります。

 

「プロジェクトChange」のもとで準備した事業変革を本格化していくため,「グループ経営方針2023」では,当社の成長をけん引する成長事業として航空エンジン・ロケット分野を,また将来の事業の柱として期待される育成事業としてクリーンエネルギー分野を位置づけ,これらの成長・育成事業に経営資源を大胆にシフトし,投資を実行していきます。中核事業である資源・エネルギー・環境,社会基盤,産業システム・汎用機械の各分野では,引き続き事業ポートフォリオの変革を通して継続的な成長シナリオを描き,投資に必要なキャッシュを創出していきます。また,それらを実現するために必要な人財並びにDXへの投資を進め,企業文化,企業体質の変革を進めていきます。

 

 

2019年度

(2020年3月期)

2020年度

(2021年3月期)

2021年度

(2022年3月期)

2022年度

(2023年3月期)

「プロジェクトChange」

2022年度

経営目標

ROIC

4.1%

2.2%

6.4%

6.3%

10%以上

営業利益率

3.8%

2.5%

6.9%

6.1%

8%以上

CCC

92日

124日

112日

120日

80日

(注)各指標の算出方法は次のとおりです。

 ・ROIC  :(1-法定実効税率)×(営業利益+受取利息+受取配当金)

   ÷(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債の金額)

 ・CCC   :運転資本÷売上収益×365日

 ・運転資本:営業債権+契約資産+棚卸資産+前払金-契約負債-営業債務-返金負債

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.財務戦略の基本的な考え方

当社グループは,事業基盤の強化やキャッシュ創出力向上の取組みを通じて得られた自己資金を原資として,財務基盤の拡充と株主還元のバランスを取りながら,事業変革のための投資を進めていくことを財務戦略の基本方針としています。

2022年度のキャッシュ・フローは,営業活動によるキャッシュ・フローが541億円の収入となり,投資活動によるキャッシュ・フローは523億円の支出となりました。合計したフリー・キャッシュ・フローは17億円となり,前連結会計年度に対して1,403億円減少しました。「プロジェクトChange」の取組みの成果により,キャッシュを稼ぐ力の基盤は確立できたものの,運転資本削減に課題が残っています。

引き続き当社グループは,「グループ経営方針2023」で掲げる業務プロセス改革やデジタル基盤の高度化による,業務効率化と固定費・変動費の削減,CCCの改善により,継続的に営業キャッシュ・フローの創出を図り,成長・育成事業への最適な資金配分により,持続的な高成長を実現する企業体質への変革を実現し,企業価値向上へつなげていきます。

 

b.資金調達の方針

当社グループの運転資金,投資向け資金等の必要資金の財源については,主として営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を財源とすることを原則としていますが,必要に応じて,短期的な資金については銀行借入やコマーシャル・ペーパーなど,設備資金・投融資資金等の長期的な資金については,金融市場動向や既存借入金及び既発行債の償還時期等を総合的に勘案し,長期借入金や社債等によって調達しています。

外部からの資本・資金調達については,関連するリスクを適切にコントロールした上で,資本コストを最小化する調達を実現することを資金調達の基本方針としています。

また,当社グループ内部では,グループガバナンスの向上,資金効率の向上及び資本コストの低減を図り,企業価値向上に寄与するため,グループ一体となった資金調達・資金収支管理を実施しており,当社と国内子会社間,また海外の一部地域の関係会社間ではキャッシュ・マネジメント・システムによる資金融通を行ない,グループ内の流動性確保,資金効率向上に努めています。

 

c.資金需要,資金調達及び流動性の分析

当社グループの主な資金需要は,事業活動に必要な運転資金,成長事業創出のための研究開発費及び設備投資等です。

当連結会計年度末の有利子負債残高はリース負債を含めて5,194億円となり,前連結会計年度末に対して139億円増加しました。これは主として,事業活動による運転資金の増加を外部借入で調達したことや社債を発行したことによるものです。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,247億円であり,前連結会計年度末と比較して207億円減少しています。手元資金の流動性については現金及び現金同等物に加え,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,今後も十分な水準を確保していきます。

また,資金調達にあたっては流動性の確保の観点に加え,「脱COの実現」の取り組みの一環として,2022年6月に,機械セクターで初のトランジション・ボンドを発行しました。

外部借入においてもESGファイナンスを積極的に取り組んできました。ESGを軸においた経営をファイナンス面から促進すべく,今後もESGファイナンスに積極的に取り組んでいきます。

 

(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。