E02129 Japan GAAP
前期
1,240.8億 円
前期比
108.8%
株価
2,263 (07/12)
発行済株式数
69,345,051
EPS(実績)
287.75 円
PER(実績)
7.86 倍
前期
558.7万 円
前期比
107.6%
平均年齢(勤続年数)
41.3歳(18.0年)
従業員数
1,055人(連結:2,232人)
当企業集団は、株式会社名村造船所(当社)、子会社14社および関連会社4社より構成されており、船舶、機械および鉄鋼構造物の製造販売ならびに船舶の修繕を主な事業内容としているほか、これらに付帯する業務等を営んでおります。
当企業集団の事業に係る位置づけおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。
なお、次表の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメント区分と同一であります。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。 (単位:百万円)
当連結会計年度の為替レートは以下のとおりです。
(注1)未入金かつ未予約のドル建売上高は当連結会計年度末のレートでもって円換算しております。
(注2)売上高平均レートは、「為替予約済レートを含む円換算売上高総額」÷「ドル建て売上高総額」であります。
(概況)
当連結会計年度の世界経済は、ウクライナや中東における地政学的な問題が大きく影を落とし、中国経済の減速が懸念されながらも、欧米各国中央銀行の金融政策などにより急激なインフレは緩和され、比較的順調に推移しましたが、通貨面では米国の高金利政策の継続により米ドルの独歩高が続いております。
世界の新造船市場は、2021年以降の新造船需要の回復に伴って、2023年1~12月の世界の新造船竣工量は新型コロナウイルス禍以前の6,000万総トン台に回復し、日本造船所においても資機材価格や人件費の高騰が懸念されるものの、船価水準の上昇と円安を追い風に手持工事量を積み上げております。
当連結会計年度の経営成績は、グループ経営資源の「選択と集中」による事業基盤の強化と合理化を加速させた結果、売上高は135,006百万円、営業利益は16,493百万円、経常利益は円安による為替差益(2,485百万円)を含め20,007百万円、税金等調整前当期純利益は20,056百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は19,954百万円と大幅な増収増益になりました。
<セグメント別概況>
(単位:百万円)
〈新造船事業〉
当連結会計年度の売上高は102,834百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は16,780百万円(前年同期比69.1%増)となりました。前連結会計年度の業績には決算期が当社と異なる海外子会社が前々期に竣工時売船した新造船2隻の売上高(約100億円)やその利益(約13億円)、工事損失引当金の戻入益(約96億円)などの特殊要因が含まれております。当連結会計年度においては、鋼材をはじめとする材料費の高騰の影響を受けたものの、円安の進行に加えて操業量の回復と建造船価の改善、函館どつく株式会社と連携した工数や資材費などの原価削減活動の効果もあって、前期比で大幅な増収・増益となりました。
当連結会計年度におきましては、地球環境に配慮したLPG燃料対応大型LPG・アンモニア運搬船(VLGC)1隻やLNG燃料対応大型石炭専用船1隻、大型撒積運搬船6隻など計12隻を完工し、大型撒積運搬船など計25隻を受注した結果、当連結会計年度末の受注残高は310,858百万円(前年同期比31.6%増)となりました。
〈修繕船事業〉
佐世保重工業株式会社と函館どつく株式会社が担う修繕船事業においては、主力の国内艦艇修繕工事に加えて、佐世保重工業株式会社においては大型客船や探査船、LNG運搬船などの技術難度が高い修繕工事に積極的に取り組み、函館どつく株式会社においては函館・室蘭両工場の地域特性を生かして海上保安庁巡視船、フェリー・RORO船、作業船や漁船にも取り組んだ結果、当連結会計年度の売上高は18,990百万円(前年同期比16.8%増)となり、稼働率が大幅に改善されたことから営業利益は1,766百万円(前年同期比78.2%増)となりました。
当連結会計年度末の受注残高は10,715百万円(前年同期比30.6%増)となりました。
〈鉄構・機械事業〉
鉄構橋梁部門においては、昨年7月に発生させました橋桁落下事故により工事が大幅に遅延したことから売上高が減少し、事故処理に伴って発生が見込まれる費用約5億円を当連結会計年度に計上いたしました。舶用機械部門においては、原材料費の高騰による赤字を最小限に抑えるために操業量の調整を余儀なくされました。その結果、当連結会計年度の売上高は6,858百万円(前年同期比1.8%減)、営業損失は122百万円(前年同期は226百万円の営業利益)となりました。
当連結会計年度末の受注残高は6,906百万円(前年同期比26.9%減)となりましたが、舶用機械部門の事業環境は、顕著に改善してまいりました。
〈その他事業〉
事業環境の好転と経営の合理化により、当連結会計年度の売上高は6,324百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益は511百万円(前年同期比15.0%増)となりました。
当連結会計年度末の受注残高は、2,030百万円(前年同期比5.3%増)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の総資産は、業績の改善と、新造船の受注増に伴う契約負債の増加により現金及び預金が増加したほか、保有している投資有価証券の時価上昇の影響もあって前連結会計年度末に比べて49,890百万円増加し、174,791百万円となりました。
負債は、新規受注案件の増加に伴う契約負債の増加により前連結会計年度末に比べて19,955百万円増加し、94,892百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を19,954百万円計上し、また、その他有価証券評価差額金が9,829百万円増加したことから、前連結会計年度末に比べて29,935百万円増加して79,899百万円となり、当連結会計年度末の自己資本比率は5.6ポイント増の45.4%となりました。
新造船事業においては進水時までに原価の85%の支払いが発生しているにも関わらず入金額が30~40%にすぎず、修繕船事業においては工事の大型化・長期化にも関わらず工事代金の支払いが殆ど完工後となり、いずれも資金負担が重い状況にあります。また、当社は「大型設備投資は不況時に」を原則に伊万里事業所の完成度を高めてまいりましたが、不況時における資金需要となるがために外部借り入れが難しく、設備投資の多くを転換社債や増資で得た自己資金で賄ってきたことから、当連結会計年度末の有利子負債比率は16.1%と至って健全な状態にあります。しかしながら、新造船事業や修繕船事業における運転資金負担の特異性、特に環境対応船の建造期間の長期化や研究開発の増加、函館どつく株式会社や佐世保重工業株式会社の老朽設備の更新と増強、当社伊万里事業所をはじめとする各工場のスマートファクトリー化などによる事業基盤強化とさらなる成長のための長期資金の需要増に対応するために、直接金融に加えて取引銀行などの理解と協力を得て、有利子負債比率80%を限度に長期借入金の増額と当座貸越の増枠などあらゆる資金調達の方策を検討してまいります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と言う)は、前連結会計年度末に比べ25,930百万円増加し、55,386百万円となりましたが、グループ内の資金需要が強く、さらなる上増しが必要であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、業績の改善や新造船の受注増に伴って契約負債が増加したことにより、27,405百万円の資金の増加になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得等により1,919百万円の資金の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、新規借入等により571百万円の資金の増加となりました。
当社グループの事業活動にかかる運転資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源とし、必要に応じて不足分について銀行借入による調達を実施しております。設備投資資金等の長期的資金については、設備投資計画や事業投資計画に基づき、金利動向や既存借入金の償還時期等を総合的に勘案した上で長期借入金(や社債)等により調達することを基本方針としております。また、国内金融機関とコミットメントライン契約を締結するなど、不測の事態にも対応できる体制を整えています。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して25,930百万円増加し、55,386百万円となりました。引き続き長期的視野に立ったグループ経営を推進し、財務基盤の強化に努めてまいります。
当社グループの資金需要は、営業活動については、鋼材や資機材などの原材料費および外注加工費、人件費のほか、技術力強化や新船型開発、品質向上のための研究開発費が主な内容となっております。投資活動については、2022年度末に伊万里事業所先進化プロジェクトを発足させ、IoTやAI技術の活用による生産活動の合理化と省力化設備の導入による工場先進(スマートファクトリー)化の早期実現に向けて取り組んでおり、各製造拠点における生産性向上とコスト競争力強化を目的とした設備の近代化に加え、省エネ機器への代替や既存設備の予防保全、老朽化設備のリプレイス等の費用があります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。