E02131 Japan GAAP
前期
330.4億 円
前期比
113.9%
株価
4,030 (04/25)
発行済株式数
2,253,000
EPS(実績)
327.12 円
PER(実績)
12.32 倍
前期
472.5万 円
前期比
110.7%
平均年齢(勤続年数)
40.0歳(14.3年)
従業員数
599人(連結:654人)
当社グループは、内海造船株式会社(当社)及び連結子会社(内海エンジニアリング㈱)、その他の関係会社(日立造船㈱)により構成されており、船舶の製造、修理を事業の核にして、土木建設、ホテルの経営などの事業を営んでいる。
当社グループ間の取引及びセグメントとの関連は次のとおりである。
(1)船舶事業
当社は、船舶の製造・修理等を行っている。
当社は、船舶の製造、修理に必要な鋼材及び主機を日立造船㈱を経由して購入している。
内海エンジニアリング㈱は、研掃材の製造販売、救命筏の修理等を行っている。
(2)その他
①陸上事業
内海エンジニアリング㈱は、土木建設及び当社設備の新設、補修を行っている。
②サービス事業
内海エンジニアリング㈱は、当社の顧客施設の管理・運営の請負及びギフトショップの経営等並びに当社所有建物等を使用し、ホテル・レストランの経営を行っている。
事業の系統図は次のとおりである。
※画像省略しています。
(注) 上記子会社は、連結子会社である。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、不安定な為替相場や物価、エネルギー価格の高騰など景気の下振れリスクはあったものの、企業活動、個人消費は持ち直し傾向で推移した。世界経済については、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格の高騰、世界的な物価上昇により先行き不透明な状況が続いている。
このような状況のもと、当連結会計年度の経営成績については、売上高376億17百万円(前年度比13.9%増)、営業利益7億65百万円(前年度比65.7%増)、経常利益6億38百万円(前年度比50.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億37百万円(前年度比414.9%増)となった。
当連結会計年度の財政状態については、資産は前連結会計年度末に比べ33億97百万円増加し、402億4百万円、負債は、前連結会計年度末に比べ27億60百万円増加し、327億74百万円、純資産は、前連結会計年度末に比べ6億37百万円増加し、74億29百万円となった。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。
(a) 船舶事業
新造船市場においては、これまでの重油に代わる燃料の動向を様子見する動きに加えて、原油、鋼材価格の高騰や急激な為替相場の変動など、先の見えない状況により、2023年はじめごろまで商談は停滞していたが、ドライバルク市況の上昇を機に潮目が変わり、期近な船台が埋まる危機感も働いて、船主の発注に対する姿勢にも変化が見られた。
改修船市場においては、2023年1月に中国がゼロコロナ政策を緩和させ、入渠制限についても緩和したことで、ここ数年の国内修繕ヤードへの引合い案件の数も一服しているが、中国側の受け入れ態勢が整っていないなど従来の需給関係に戻るまでには今しばらくの時間がかかる見込みである。当社においては、大型の改修船に取り組むことにより、一般修繕工事の隻数は減少したものの、1隻当たりの売上高が増加したことや、生産性の向上に取り組み、収益の確保を行っている。
このような状況のもと、コスト競争力の強化のため、2工場(瀬戸田工場、因島工場)体制の強みを活かしたより効率的な生産性向上の取組みに加え、資機材費の削減については、海外調達を拡大するなど、更なるコストダウンを徹底して行い、フェリー4隻、ロールオン/ロールオフ型貨物船(RORO船)2隻、コンテナ船2隻、漁業実習船1隻を引き渡した。
なお、当社グループは、地球環境問題が企業の社会的責任として重要であることを十分に認識し、環境性能を踏まえた船舶の技術開発・設計を進めるとともに、事業活動を通して環境保全、省エネルギー、リサイクル等の環境負荷低減に取り組んでいる。
この結果、当連結会計年度の船舶事業全体の経営成績については、売上高371億15百万円(前年度比14.1%増)、セグメント利益17億19百万円(前年度比23.7%増)となった。
受注については、新造船10隻(フェリー、コンテナ船、貨物船、輸送船)、修繕船他で500億12百万円(前年度比9.1%減)を受注し、受注残高は、新造船19隻他で783億56百万円(前年度比19.7%増)となった。
(b)その他
陸上・サービス事業の当連結会計年度の経営成績については、売上高10億18百万円(前年度比0.5%増)、セグメント利益13百万円(前年度比212.6%増)となった。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より69億65百万円減少し、91億27百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は63億82百万円(前年度は107億80百万円の獲得)となった。
これは主に、売上債権及び契約資産、前渡金が増加したことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2億49百万円(前年度は16億78百万円の使用)となった。
これは主に、投資有価証券の売却、固定資産の取得によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3億59百万円(前年度は2億78百万円の使用)となった。
これは主に、長期借入金の返済による支出が長期借入れによる収入を上回ったことによるものである。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりである。
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
自己資本比率 |
19.9% |
18.5% |
18.5% |
時価ベースの自己資本比率 |
5.4% |
5.5% |
6.7% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
- |
0.90年 |
- |
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
- |
105.50倍 |
- |
1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動キャッシュ・フロー/利払い
(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算定している。
(注3)営業活動キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としている。
また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。
(注4)2021年3月期及び2023年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオの指標については、営業活動キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略している。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日) |
前年増減比(%) |
船舶事業(百万円) |
35,385 |
16.3 |
報告セグメント計(百万円) |
35,385 |
16.3 |
その他(百万円) |
634 |
△1.4 |
合計(百万円) |
36,020 |
15.9 |
(注)1.金額は当連結会計年度の製造費用によっている。
2.セグメント間の取引については相殺消去している。
(b) 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
受注高 |
受注残高 |
||
金額(百万円) |
前年増減比(%) |
金額(百万円) |
前年増減比(%) |
|
船舶事業 |
50,012 |
△9.1 |
78,356 |
19.7 |
報告セグメント計 |
50,012 |
△9.1 |
78,356 |
19.7 |
その他 |
526 |
2.4 |
31 |
328.0 |
合計 |
50,538 |
△9.0 |
78,388 |
19.7 |
(注)1.前連結会計年度に受注したもので、当連結会計年度に値引、値増のあったものは受注高で修正している。
2.セグメント間の取引については相殺消去している。
(c) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月 1日 至 2023年3月31日) |
前年増減比(%) |
船舶事業(百万円) |
37,115 |
14.1 |
報告セグメント計(百万円) |
37,115 |
14.1 |
その他(百万円) |
502 |
△2.6 |
合計(百万円) |
37,617 |
13.9 |
(注)1.総販売高に対する割合が10%以上の販売先に対する販売実績は次のとおりである。
|
販売先 |
セグメントの名称 |
総販売高に対する割合・金額 |
前連結会計年度 |
宮崎カーフェリー(株) |
船舶事業 |
10%~40% |
南西海運(株) |
(3,303~13,214百万円) |
||
合計 |
|
40%~50% (13,214~16,517百万円) |
|
当連結会計年度 |
ASAHI MARINE(PANAMA),S.A. |
船舶事業 |
10%~20% |
TAIWAN NAVIGATION CO.,LTD. |
|||
MI-DAS LINE S.A. |
|||
ROSEX COMPANY LIMITED |
(3,761~7,523百万円) |
||
合計 |
|
50%~60% (18,808~22,570百万円) |
2.セグメント間の取引については相殺消去している。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
当社グループは、売上高及び営業利益を重要な指標として位置付けており、2022年10月20日に開示している当連結会計年度の計画と達成状況については、以下のとおりである。
i)2023年3月期計画との比較
|
2023年3月期 (計画) |
2023年3月期 (実績) |
2023年3月期 (計画比) |
売上高 |
38,500百万円 |
37,617百万円 |
△882百万円 (2.3%減) |
営業利益 |
700百万円 |
765百万円 |
65百万円 (9.4%増) |
ii)前連結会計年度との比較
|
2022年3月期 (実績) |
2023年3月期 (実績) |
2023年3月期 (実績比) |
売上高 |
33,035百万円 |
37,617百万円 |
4,582百万円増 (13.9%増) |
営業利益 |
462百万円 |
765百万円 |
303百万円増 (65.7%増) |
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、概ね計画どおりとなり、前連結会計年度に比べ45億82百万円増加し、376億17百万円(前年度比13.9%増)となった。これは主に、船舶事業において、新造船の売上隻数が2隻増加したこと及び改修船について工事隻数が24隻減少したものの、大口改造工事の売上を計上したためである。
(営業利益)
当連結会計年度においては、前連結会計年度に比べ3億3百万円増加し、営業利益7億65百万円(前年度比65.7%増)となった。これは主に、鋼材をはじめとする資機材価格の高騰が利益を圧迫したものの、円安の影響により外貨建て工事の収益が増加したことによるものである。
(経常利益)
当連結会計年度においては、前連結会計年度に比べ2億14百万円増加し、経常利益6億38百万円(前年度比50.5%増)となった。これは主に、営業利益が前連結会計年度に比べ増加したことによるものである。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度においては、前連結会計年度に比べ5億94百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益7億37百万円(前年度比414.9%増)となった。これは主に保有株式の一部を売却したことにより投資有価証券売却益4億66百万円を計上したためである。
なお、詳細については、「第2 事業の状況 4(1)経営成績等の状況の概要」に記載している。
(b)財政状態の分析
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
資産 |
36,807 |
40,204 |
3,397 |
負債 |
30,014 |
32,774 |
2,760 |
純資産 |
6,792 |
7,429 |
637 |
(資産)
前連結会計年度末の368億7百万円から33億97百万円増加し、402億4百万円となった。
これは主に、現金及び預金が減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産、前渡金が増加したためである。
(負債)
前連結会計年度末の300億14百万円から27億60百万円増加し、327億74百万円となった。
これは主に、契約負債が増加したためである。
(純資産)
前連結会計年度末の67億92百万円から6億37百万円増加し、74億29百万円となった。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものである。
(c)経営成績に重要な影響を与える要因について
詳細については、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載している。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載している。
キャッシュ・フロー及び資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは事業活動のための適切な資金を確保し、資金の流動性を維持するとともに、健全な財政状態を目指すための安定的な営業キャッシュ・フローの創出が資本財源の最優先事項と考えている。
また、当社グループが船舶を建造する上で、建造工程の進捗に応じて分割払いが行われる造船業界の商慣習によって、工事代金の後払いが発生し、建造コストの支払いから売上債権の回収までの期間において手元流動性の低下が見込まれるため、常に一定程度の余剰資金を確保しておく必要があると考えている。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は91億27百万円、有利子負債残高は94億15百万円であり、手元流動性は十分に確保している状況で、財務状況は健全であると認識している。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、資機材の仕入れなど、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものである。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としている。
なお、当連結会計年度において、今後の事業成長に伴い生じる資金需要に対して、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するとともに、より一層の財務基盤の強化を図るために取引行4行とシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結している。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。