株式会社インティメート・マージャー

上場日 (2019-10-24) 
ブランドなど:IM-DMP
サービス業ネット広告グロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E35157 Japan GAAP

売上高

29.8億 円

前期

28.0億 円

前期比

106.5%

時価総額

34.6億 円

株価

1,045 (04/26)

発行済株式数

3,313,750

EPS(実績)

30.44 円

PER(実績)

34.33 倍

平均給与

640.7万 円

前期

519.1万 円

前期比

123.4%

平均年齢(勤続年数)

30.4歳(2.8年)

従業員数

56人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 インターネットの普及とともに、スマートフォン、タブレット等の様々なオンライン端末が利用されるようになり、インターネット広告技術が発展したことで、企業のマーケティングにおける選択肢は拡大いたしました。一方で、インターネット上を流通する情報量は急速に増大し、マーケティングを行う企業が膨大なデータの中から自社商品に真に関心を抱くユーザー群を見つけることがより大きな課題になってきております。

 当社グループは、当社及び関係会社(子会社1社及びその他の関係会社1社)から構成されており、その主な事業内容は、創業以来蓄積してきたオーディエンスデータ(閲覧履歴などの来訪するブラウザが保有する情報全般)(注1)により構成される当社グループ独自のデータマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)(注1)である「IM-DMP」を用いて、データの活用によりクライアント企業(広告主)のオンライン、オフライン双方のマーケティングを支援する事業を行っております。オーディエンスデータとデータ分析結果を一覧できるダッシュボードの両方を具えるIM-DMPを用いる事で、マーケティングを行う企業に対し、IM-DMPで保有する膨大なデータの中からより広告効果が高いと見込まれる消費者を抽出、ターゲティングする事が可能となります。

 データマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)はDMPと略され、デジタルマーケティングの領域におけるDSP、SSP、アドネットワーク等(注2)の延長線上にあるいわゆる「アドテクノロジー」の1つとして説明されることがありますが、当社グループが提供するIM-DMPはデジタルマーケティングの分野に限定されるものではありません。Webサイトへの来訪時に付与するブラウザ毎のID(当社グループでは「IM-ID」の名称で管理)をキーとすることで、インターネット上で収集したオーディエンスデータを、テレビCM、ダイレクトメール等のオフラインマーケティングにも応用が可能であり、今後は更にデータ活用分野を広げていきます。

 また、「個人情報の保護に関する法律」(以下、「個人情報保護法」という。)が改正され、さらにプラットフォームによるCookie(注3)に関するプライバシー対策が強化されており、AppleはブラウザであるSafariのITP(Intelligent Tracking Prevention)アップデートにより3rd Party Cookie及び1st Party Cookieの一部をブロックしており、GoogleはChromeでの3rd Party Cookieサポートを2024年に終了すると発表しました。これらの影響によって、従来のWeb広告の効果測定やターゲティングに利用できるオーディエンスデータ(行動履歴や興味関心など)の把握が困難になることが予想される状況です。

このような背景を受けて、当社は基盤となるデータ活用プラットフォーム「IM-DMP」やネットワークデータ環境の構築支援サービス「IM-CDP」をアップデートし続け、共通IDソリューション「IM-UID」や機械学習を活用したリアルタイムオーディエンス解析技術、メディア向けのデータ利用同意管理プラットフォーム「IM-CMP」など、3rd Party Cookieに依存しない技術を開発してまいりました。

 これら基盤サービスや技術を活用し、パートナーとの連携によるソリューションも導入することで、2021年8月に3rd Party Cookieに依存しないターゲティング広告プラン「IMポストCookieアドネットワーク」の提供を開始しました。

 

 当社グループが展開する事業の特徴は以下のとおりです。なお、当社グループはDMP事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(1)IM-DMPについて

 当社グループが提供するIM-DMPは、インターネット利用者(ユーザー)の属性データベースとしてIM-ID及びIM-UIDから得られる情報によって構築されております。IM-ID及びIM-UIDにデモグラフィックデータ(性別、年齢、職業等)、ジオグラフィックデータ(居住地域等)、サイコグラフィックデータ(趣味、嗜好、興味、関心事項等)等の属性情報を集積することで、各IDの特徴(実相)を、より鮮明なものにしております。なお、当社グループが保有する属性情報に個人情報は含まれておりません。

 このように、多様な属性情報を集積したIM-ID及びIM-UIDを分析・分類し、定期的に更新することで、IM-DMPにおいては、適切なターゲットに、適切なタイミングで、適切なマーケティング手法によりアプローチする提案を行うことができるものであります。

 

(2)IM-DMPの特徴

 当社グループが提供するIM-DMPには、パブリックDMP(注1)として、主に以下の2種類のデータベースが具わっております。

 

①インターネット利用者の属性データベース

 当社グループは、ブラウザに割り当てているIM-ID及びIM-UIDに様々な属性情報を集積しております。それらを用いて集積される情報は以下の2種類に分類されます。

 

 

a.確定情報

 インターネットリサーチ会社(注4)から購入するデモグラフィックデータ(性別、年齢、職業等)及びデータプロバイダーから購入するジオグラフィックデータ(居住地域等)が確定情報に該当します。

 IM-ID及びIM-UIDと確定情報を紐付けて同一対象として認識することが可能になります。

 

b.類推情報

 当社グループが提携するポータルサイト、ニュースサイト、まとめサイト等のWebメディアから取得するWebメディアへの接触情報(=インターネット上の行動履歴)をもとに、「各IM-ID(又はIM-UID)が何に興味がありそうか」を類推し、サイコグラフィックデータ(趣味、嗜好、興味、関心事項等)を抽出します。抽出するサイコグラフィックデータは、対象となるWebページの特徴を、例えば「旅行」「転職」等のキーワードに読み替えたもので、これがIM-ID又はIM-UIDに集積・更新されていきます。なお、当社グループが提携するWebメディアから取得する情報は、インターネット利用者が閲覧したWebサイトそのものを特定する情報ではなく、あくまで、閲覧したWebサイトに記載されている内容(語句)を抽出したものです。

 

②デジタル広告配信ツールとの連携機能

a.IM-ID及びIM-UIDを異なるデータ形式に変換

 IM-DMPには、IM-ID及びIM-UIDをアドネットワークやDSP等の様々なデジタル広告の配信ツールで利用可能なデータ形式に変換する機能が具わっています。この機能を用いることで、IM-ID又はIM-UIDが付与されたユーザー群へのアプローチ方法に様々な手法を選択することが可能になります。

 デジタルマーケティングの領域においては、WebブラウザのCookieを利用した対象顧客の行動履歴をもとにターゲットを絞って行う「ターゲティング広告」と呼ばれるインターネット広告手法が広く利用されております。当社グループのデータベースを用いることで、ターゲティングの精度を高く保ちつつ、クライアント企業が望む適当な広告配信ツールを利用することが可能です。

 広告配信ツール以外にもIM-ID及びIM-UIDを活用することで、Googleアナリティクス、Adobeアナリティクス等のWebサイト分析ツール、サイト来訪者が訪れるWebサイトページの改善を行うLPOツール(Landing Page Optimization:ランディングページの最適化)等に連携することが可能です。

 

b.IM-ID及びIM-UIDに付加された属性情報を異なるデータベースに付加

 会員情報を有するクライアント企業が、自社の会員情報とIM-ID及びIM-UIDを紐付けることで、会員情報にサイコグラフィックデータ(趣味、嗜好、興味、関心事項等)を付加することが可能になります。この手法を用いれば、例えば、全ての会員ではなく、特定の商品に興味を抱いている会員にだけダイレクトメールを送付することが可能になります。

 

(3)当社グループの提供するサービスの内容

 当社グループは、クライアント企業自身でデータを分析し、活用することが可能な場合には、IM-DMPが搭載するデータのみ提供しております。

 しかしながら、IM-DMPを継続的に有効活用するには、高度なデータ分析力とデータ活用先であるマーケティングツールに関する知識が必要です。このため、当社グループでは、クライアント企業自身が持つデータ(1st Party Data)とIM-DMPのデータ(3rd Party Data)を統合し、後述するフィルタリングやターゲティング等広告配信を効率的・効果的に行うために、高度な分析を提供するコンサルティングサービスを提供しております。これにより、クライアント企業は、マーケティング専門人材を自社内に置かなくとも、効率的且つ多様なマーケティング手法を採用することが可能になります。

 また、抽出されたデータは、オフラインマーケティングや効果測定等への活用や、リードジェネレーションへの活用、リスク管理といったデジタルマーケティング以外のデータ活用への展開も始めており、様々なソリューションを提供しております。

 

①データマネジメント・アナリティクスサービス

(ⅰ)効率的な広告配信のためのデータ提供

 IM-DMPをデジタルマーケティングに活用することで、リターゲティング(過去に広告主Webサイトを訪れたことのあるユーザーに対して再度広告を表示させる手法)の効率化や、今までアプローチできていなかった新規顧客向けのターゲティングを行うことができます。

 クライアント企業のホームページ、キャンペーンサイト等にJavaScriptタグ(注5)を設置し、来訪者のCookieを取得します。来訪者のCookieに保存されているIM-ID又はIM-UIDを、当社グループのデータベースに保存されているIM-ID又はIM-UIDと照合することで、来訪者の属性情報を視覚的に分析することが可能になります。当社グループでは、来訪者の属性分析を行った後、主に以下の2つの技術を用いてサービスを提供しております。

 

a.フィルタリング

 クライアント企業のWebサイトへの来訪者の中には、競合企業の社員、自社の社員、ボット(注6)等、コンバージョン(注7)しない(ECサイトであれば商品を購入しない)可能性が非常に高いユーザー群が一定割合存在します。IM-DMPを活用することで、このようなユーザーを特定し、無駄な広告配信費用を削減することで、広告配信効率を改善しています。

 

b.ターゲティング

 IM-DMPを活用することで、コンバージョンが発生したユーザーがどのような属性情報をもっているかを分析することが可能になります。この分析結果をもとに、IM-DMPのデータから広告配信のターゲットとなるオーディエンスリスト(注8)を抽出します。このオーディエンスリストをデジタル広告の配信ツールに連携することで、広告効果の高いユーザー群へ効率的な広告配信を実現しています。

 

(ⅱ)IMポストCookieアドネットワーク利用のためのデータ提供

 IMポストCookieアドネットワークでは、3rd Party Cookieに依存しない共通IDソリューション「IM-UID」を活用して広告配信を提供しております。DSP/SSPがCookieに依存しない広告配信を行うためにはIM-UIDの利用が必須となり、広告の配信量に応じたIM-UIDのデータ利用料が発生します。

 

②マーケティング支援サービス

 IM-DMPで保有しているIM-ID及びIM-UIDのデータを使った以下のマーケティング施策のサービス提供を行っております。

 

(ⅰ)データ活用広告配信サービス

 IM-DMPを利用したいクライアント企業に対して、効果的な広告配信を行うためのコンサルティングに加え、IM-DMPで保有しているデータを使った広告配信までワンストップでのサービス提供も行っております。より効果的な広告配信を行うためには、配信された広告を見た消費者が実際にコンバージョンに至ったかどうか確認し、その結果を踏まえて更にターゲットを選別するといった継続的な広告の運用が鍵となります。当社グループがIM-DMPに登録されているデータを解析する技術を用いて潜在顧客の特定を行い、広告配信・運用まで担うことで、配信結果を踏まえた更なる潜在顧客の絞り込みが可能となり、より精度の高い広告配信へと繋がります。

 

(ⅱ)IMポストCookieアドネットワークサービス

 従来のCookieを用いたデジタルマーケティングを行っているクライアント企業に対して、IMポストCookieアドネットワークによる広告配信サービスの提供を行っております。将来的に3rd Party Cookieを利用した従来型のターゲティング広告を実施できる機会は減少していくことが予想されており、本サービスを利用することで継続的に効率の高いデジタルマーケティングの施策を実施することができるようになると見込んでおります。

 

③成果報酬型ディスプレイ広告運用サービス「Performance DMP」

 IM-DMPのフィルタリング技術を用いて、クライアント企業の商品に関するディスプレイ広告をコンバージョンし易いと推定されるユーザーを抽出して、クリックや購買行動などの成果獲得を行うサービスです。成果指標の獲得件数に応じて課金されるサービスであるため、ダイレクトレスポンス領域(広告接触者から購買に繋がるレスポンスを得ることを目的とする広告でありブランディング広告と対になる手法)における顧客獲得単価改善施策の一つとして活用することが可能です。

 

④企業リスト生成サービス「Select DMP」

 IM-DMPにて保有しているオーディエンスデータを用いて、顧客企業の商品購入ニーズの高いキーワードを持つ企業群を抽出し、リアルタイムで購入ニーズの高い企業リストを提供しております。これによりクライアント企業は、自社商品に興味がある顧客を効率的に見つけ出し、的確なタイミングでアプローチすることが可能となります。また、クライアント企業の競合商品のキーワードを持つ企業群を抽出することで、自社商品の解約防止にも役立てることが可能です。

 

〔用語説明〕

(注1) オーディエンスデータ、データマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)

オーディエンスデータは、ブラウザ毎に割り振られたID及びIDに付加される情報全般を言います。

データマネジメントプラットフォーム(Data Management Platform)はDMPと略され、DMPにはプライベートDMP及びパブリックDMPの2種類があります。プライベートDMPは1st Party Data(広告主が保有するオーディエンスデータ)を利用し、パブリックDMPは3rd Party Data(第三者が持つオーディエンスデータ)を利用します。

例えば、英会話教材を販売するクライアント企業の場合、「Webサイトにアクセスしたものの、購入までに至らなかった、年収1,000万円以上の女性」というユーザー群に商品の購入を促したいという場合、1st Party Dataは「Webサイトにアクセスした」「購入までに至らなかった」が該当し、3rd Party Dataは「年収1,000万円以上」「女性」が該当します。1st Party Dataはクライアント企業が自社のWebサイトの情報を分析して収集しますが、3rd Party Dataは外部から取得する必要があります。

既にクライアント企業の商品に興味のあるユーザー群を対象にマーケティングを行う場合はプライベートDMPの活用が有効ですが、パブリックDMPを利用することでプライベートDMPではリーチしづらい新規顧客を発掘することが可能になります。パブリックDMPとプライベートDMPの双方の強みをうまく活用することが、DMPを活用したマーケティングのポイントです。

 

(注2) DSP、SSP、アドネットワーク

①DSP(Demand Side Platform):広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォーム。媒体側の広告収益の最大化を支援するプラットフォームであるSSP(Supply Side Platform)と対になる仕組みであり、両者はRTB(Real Time Bidding)を通して、広告枠の売買をリアルタイムに行っています。

②SSP(Supply Side Platform):媒体社側から見た広告収益の最大化を支援するプラットフォーム。RTBの技術を活用して、DSPに対してユーザーの1インプレッション毎に広告枠のオークションを行うことで媒体側の広告収益最大化を支援します。

③アドネットワーク:複数の媒体の広告枠を束ねて広告配信ネットワークを形成し、これらの媒体に広告をまとめて配信することにより、広告配信を効率化させる仕組み。

 

(注3) Cookie

ユーザー情報をWebブラウザに一時的に記録したり参照したりする機能のこと。Cookieの記録として書き込まれる情報の中には、ホームページに訪れた訪問回数や、ユーザーID、パスワード等の会員情報が挙げられます。

 

(注4) インターネットリサーチ会社

顧客企業のリサーチニーズを反映した調査票をインターネット上で再現した後に、パネルへアンケートを依頼して回答を収集する事業者のこと。

 

(注5) JavaScriptタグ

コンピュータで扱う文書(テキストデータ)中に埋め込む特殊な記号や文字列のこと。デザイン、レイアウト、論理構造、意味を記述します。主にHTMLやXMLといったマークアップ言語で用いられます。

 

(注6) ボット

インターネット上で情報収集を行うため複数のWebサイトを巡回するプログラムのこと。人ではなく機械であるため、コンバージョンの対象とはなり得ません。

 

(注7) コンバージョン

購入、会員登録、資料請求等、サイト毎に目標とされる成果が達成されること。

 

(注8) オーディエンスリスト

デジタルマーケティングの対象者を、年齢、職業、居住地等、抽出したい特定の条件によってグループ分けしたユーザー群のこと。

 

 

 事業系統図は以下のとおりでありますが、関係会社2社については重要性が乏しいため記載を省略しております。

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

23/12/21

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は2,093,090千円となり、前連結会計年度末に比べ105,484千円の増加となりました。

 流動資産は2,018,152千円となり、前連結会計年度末に比べ107,448千円増加しました。これは主に現金及び預金が151,235千円増加したことによるものであります。固定資産は74,848千円となり、前連結会計年度末に比べ1,904千円減少しました。これは主に有形固定資産が1,701千円、無形固定資産が580千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は561,932千円となり、前連結会計年度末に比べ7,307千円の減少となりました。

 流動負債は455,632千円となり、前連結会計年度末に比べ7,307千円減少しました。これは主に買掛金が16,977千円減少したことによるものであります。固定負債は106,300千円となり、前連結会計年度末と変動はありません。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,531,158千円となり、前連結会計年度末に比べ112,791千円の増加となりました。これは主に資本金、資本剰余金がそれぞれ4,070千円増加したこと、また親会社株主に帰属する当期純利益100,883千円の計上による利益剰余金の増加によるものであります。

 この結果、自己資本比率は72.1%(前連結会計年度末は70.4%)となりました。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染収束の傾向により、行動制限が徐々に緩和され個人消費の正常化がみられました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的な資源価格の高騰やインフレ、金利上昇による経済活動への影響により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社の主力事業が属するインターネット広告市場におきましては、国内外の様々な影響を受けつつも、社会活動のデジタル化を背景に継続して高い増加率を保っており、2022年のインターネット広告市場は前年比14.3%増の3兆912億円(株式会社電通「2022年日本の広告費」)となりました。

 また、2022年4月に施行された個人情報保護法の改正や、ブラウザ提供会社の仕様変更による3rd Party Cookieの利用制限が懸念される中、Cookieを代替するサービスである「ポストCookieソリューション」への社会の関心が高まっております。このような状況で、「ポストCookieソリューション」として当社が開発した「IMポストCookieアドネットワーク」は3rd Party Cookieに依存せずにターゲティング広告配信ができるため、引き続き高い引き合いが寄せられました。

 ソリューション毎の経営環境につきましては、マーケティング支援においては、足元の広告関連市場の景況変化の影響を受け、既存案件の減額により単価は減少しました。一方で、ポストCookieソリューションを軸にした新規アカウントの獲得や、生成系AIを活用することで、人員数に依存しない受注体制や受注効率の向上を図り、アカウント数は増加基調となりました。

 成果報酬型ディスプレイ広告運用サービス「Performance DMP」については、一部の代理店が実施していたキャンペーンが終了したことで、第2四半期にはアカウント数が一時的に減少しましたが、第3四半期以降は再度増加基調となりました。また、費用対効果の高い案件への注力や取引条件の見直しや案件の選別等の各種施策が功を奏し、収益性が向上しました。

 費用面においては、人員強化や優秀な人材確保のための新たな報酬制度の導入により、人件費が前期比増加した一方で、一部の業務の内製化により、業務委託費は前期比で減少しました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,982,406千円(前年同期比6.5%増)、営業利益138,868千円(同47.1%増)、経常利益139,065千円(同50.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100,883千円(同42.9%増)となりました。

 なお、当社グループは、DMP事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ151,235千円増加し、1,611,021千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は148,724千円(前年同期は90,460千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益139,065千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は481千円(前年同期3,410千円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出481千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は2,992千円(前年同期は21,789千円の収入)となりました。これは、株式の発行による収入2,992千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループの提供するサービスの性格上、受注確定から売上計上日までの期間が短期間であり、期末日現在の受注残高が年間売上高に比して僅少であるため、その記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはDMP事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

DMP事業

2,982,406

106.5

合計

2,982,406

106.5

 

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社メタップスワン

364,136

13.0

458,873

15.4

株式会社ファンコミュニケーションズ

245,222

8.8

352,685

11.8

 

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは経営方針に則った通期業績予想について、業績動向等を踏まえ、期初に公表した各経営指標の予想値を修正し2023年5月15日に公表いたしました。

 当社グループが定める経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に関する業績予想の達成状況は下表のとおりです。

 

業績予想(千円)

実績(千円)

予想比(%)

売上高

3,147,088

2,982,406

94.8

営業利益

143,176

138,868

97.0

経常利益

144,312

139,065

96.4

親会社株主に帰属する

当期純利益

96,271

100,883

104.8

1株当たり当期純利益(円)

29.43

30.77

104.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、広告媒体の仕入費用及び人件費等の営業費用であります。

 当社は、運転資金につきましては内部資金及び銀行等金融機関から借入により充当しております。

 

③重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。