株式会社フォーラムエンジニアリング

上場日 (2020-03-09) 
ブランドなど:コグナビ
サービス業人材サービスプライムTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E35487 Japan GAAP

売上高

287.5億 円

前期

269.1億 円

前期比

106.8%

時価総額

482.4億 円

株価

903 (04/18)

発行済株式数

53,419,200

EPS(実績)

21.77 円

PER(実績)

41.48 倍

平均給与

400.0万 円

前期

400.0万 円

前期比

100.0%

平均年齢(勤続年数)

37.4歳(7.8年)

従業員数

4,377人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社は、1981年4月に主として人材派遣サービスを行う企業として設立されました。

エンジニア派遣サービスは、現在、当社の主業であり、2023年3月期売上高の99.1%を占めております。このエンジニア派遣サービスにおいて、2023年3月31日時点で1,348事業所に正社員として雇用しているエンジニアを4,019名派遣しております。また、当社は、その他に理工系新卒学生の就職支援から転職、教育、社内人材配置まで、エンジニアの全てのキャリアシーンを支援することを目的とした5つの「コグナビ」サービスを提供してまいりましたが、2023年3月31日をもって社内人材配置最適化サービス「コグナビ タレントマネジメント」をより顧客ニーズに合わせたサービス内容に刷新するために終了し、4つの「コグナビ」サービスを提供していくこととなりました。なお、当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1)エンジニア派遣

当社エンジニア派遣サービスの主なターゲットは、機械・電機系(以下、「機電系」という。)主要8業種(自動車、輸送用機械、産業用機械、精密機器、電気機器、家電、電子部品、情報通信)に属しており、従業員数が100名以上の約3,200事業所と、それらに属する部署になります。特定の企業や案件に偏ることなく、多くの取引先から受注を獲得出来ているため、取引基盤が広く安定しております。

当社は、これらの顧客企業に対し、設計・開発、実験・評価、生産技術、品質保証等の各職種にエンジニアを派遣しております。当社は、派遣エンジニアを原則正社員として雇用し、通勤可能範囲内の就業先を選定することで、安定した就業環境を提供しております。また、ITエンジニアも派遣エンジニアとして雇用しており、ソフトウエアの開発、IT機器や通信回線の監視等の業務に派遣しております。

当社のエンジニア派遣サービスの特長として、以下の3点があげられます。

①部署単位での顧客企業管理

当社の顧客企業は複数県にまたがって事業所を設置していることが多く、派遣契約に関する決裁権限も各事業所に付与されているケースが一般的です。この点を踏まえ、当社による顧客企業管理も企業単位ではなく事業所単位としております。さらに当社は、顧客企業の各事業所に属する部署まで把握してその業務内容や必要とされるスキルなどの理解に努めております。このような部署単位での業務内容・人材ニーズ把握努力が、後述のエンジニア人材の人工知能(以下、「AI」という。)によるスキルをベースにしたダイレクトマッチングシステム「cognavi」(以下、「コグナビ」という。)開発の基となっております。

②「コグナビ」によるスキルをベースにしたダイレクトマッチング

当社は、顧客企業各部署の業務に必要なスキルをツリー構造で表した「テクニカルツリー」と、エンジニアが保有するスキルや経験をツリー構造で整理した「スキルツリー」をエンジニア派遣におけるマッチングにも利用しております。

当社は、顧客からの求人案件に対し、業務に必要なスキルの「テクニカルツリー」と当社派遣エンジニア社員の「スキルツリー」をマッチングさせ、それを可視化することで、求人企業から見ても求職人材から見ても主観に頼らないダイレクトマッチングシステムを提供しております。

③独自のルートによる人材採用

当社は、求人・求職情報サイトに広告を掲載して応募者を募る一般的な手法に加え、下記5つの派遣エンジニア人材採用ルートを構築しております。採用にあたっては、地域性を重視し、応募者の書類選考から採用に至るまで全てのプロセスを各営業拠点で行っております。通勤可能範囲や地域特性を考慮し、地元での就業を希望するエンジニア人材の意向に沿った就業機会の場を数多く、迅速に提案できる体制を整えております。

a.居住エリア内の求人案件への応募促進

当社は、自社専用人材採用サイトである「コグナビ 派遣」(旧エンジニアピット、2019年9月改称)を運用しておりましたが、2023年3月31日をもってサイトを閉鎖し、「コグナビ 派遣」の登録会員に向けて、会員が居住するエリアの当社顧客の派遣求人案件情報をメール配信し、応募を促すサービスへと変更いたしました。

b.カムバック採用

   当社で派遣エンジニアとして就業経験のある退職者に対して、当該人材が居住するエリアの派遣求人案件

  情報を定期的にメールで配信することで再応募を促進しております。

c.社員紹介制度

   当社社員から紹介された人材を派遣エンジニアとして採用する制度です。紹介者と求職者それぞれに報奨

  金を支払うことで応募を促進しております。

d.過去の就業辞退者

当社の派遣求人案件に応募されたものの選考過程で辞退された人材に対して、当該人材が居住するエリアの派遣求人案件情報を定期的にメール配信することで再応募を促進しております。

 

 

e.理工系大学からの紹介

当社は、理工系学生が将来エンジニアを目指すきっかけづくりとして、全国の大学でエンジニア経験者による「エンジニア職セミナー」を無料で開催しております。この取組みは、理工系学部の教授からも高く評価され、2023年3月期には理工系学部を持つ大学の過半数で同セミナーを実施いたしました。

当社は、通常の新卒採用に加え、このようにエンジニア職セミナーを通して当社の取組みを評価していただいた教授等から当社を推薦いただき、理工系学生を当社エンジニアとして採用しております。

 

(2)エンジニア紹介及びその他

当社は、設立以来エンジニア派遣サービスを主業としてきましたが、以下の3点に配慮し、市場動向を先取りした新しいビジネスモデルを追求しております。

・当社の顧客企業・エンジニアについて、明確な選択と集中を行う。

・人材派遣ビジネスで一般的な「求人企業の需要」に対する営業活動ではなく、「求職人材」を起点とした営業活動を推進する。

・採用活動における労働集約的な業務のあり方からの脱却を目指して、業務プロセスの効率化を追求する情報通信テクノロジー(以下、「ICT」という。)を活用し、これらの特長を具現化したものが、エンジニアのスキルをベースにしたダイレクトマッチングシステム「コグナビ」です。

 

「コグナビ」の主な特長は以下のとおりです。

①エンジニアのスキルをツリーで体系化

「コグナビ」では、AIを活用し、エンジニアのスキル、顧客企業の各部署における業務内容の双方を、わかりやすく可視化して把握するために、「技術・ツール」「製品・部品」「職種・工程」「学問」の4分野から構成された技術要素に係る用語を、ツリー構造で体系的に整理しております。「製品・部品」を例にとると、「自動車関連」⇒「自動車」⇒「ボディ」⇒「内装部品」⇒「エアバッグシステム」のように、ツリーの階層が深くなるほど細分化されます。選択肢となる技術用語は、2023年3月末時点で約178,000語が登録されております。

②「スキルツリー」と「テクニカルツリー」

エンジニアが保有するスキルや経験を、ツリー構造で登録したものを「スキルツリー」と称しております。登録したスキルにはそれぞれ5段階の習熟度を設定することで、保有スキルの幅と深さを体系化、可視化しております。ツリーを構成する技術用語は、それぞれ「関係線」で結ばれております。ひとつの技術用語を選択すると、その関係線が関係する他の技術用語にも結び付きます。これにより、「このスキルを持っていれば、この製品も扱えるのでは?」といった、業界や職種の枠にとらわれない、それまで見えていなかった新たな可能性を見出すことが可能です。

一方、顧客企業における各部署の業務内容や必要とするスキルを、ツリー構造で登録したものを「テクニカルツリー」と称しております。「スキルツリー」同様、選択した技術用語に対し、それぞれ5段階の重要度を設定することで、必要とするスキルの幅と深さを体系化、可視化しております。なお、エンジニアが選択する「スキルツリー」と、顧客企業が選択する「テクニカルツリー」の項目は、同一のものとなっております。

③ツリーの技術用語を結ぶ「関係線」

ツリーの技術用語は分野ごとに繋がり、体系化されておりますが、各技術用語はそれぞれの分野を超えて技術的、学術的に関連し合っております。当社では、これらの関係性を線で繋ぐ「関係線」によって、エンジニアが気づかなかった職種や製品分野で活躍する可能性を提案できるようになりました。また、顧客企業においても、他業種で活躍したエンジニアの採用や、ジョブローテーションのための自社エンジニアの異動部署選定などに活用できる仕組みを提供しております。2023年3月末時点で、約150,000本の関係線が登録されております。

 

 

※画像省略しています。

ツリーの技術用語間を結ぶ関係線イメージ図

 

 

④「マッチングスコア」と「マッチングツリー」

顧客企業における各部署の「テクニカルツリー」と、エンジニアや理工系学生の「スキルツリー」を重ね合わせてマッチングを行い、それを数値化した結果(「100」を完全マッチングとした場合の比率)を「マッチングスコア」と称しております。「マッチングスコア」のスコアは、エンジニアの持つスキルと顧客企業が求めるスキルが多くマッチするほど高くなります。

スキルのマッチングに際し、「スキルツリー」と「テクニカルツリー」を重ね合わせ、マッチングした箇所をハイライトしたものを「マッチングツリー」と称しております。「マッチングスコア」での判断に加え、「マッチングツリー」では具体的にどの技術要素がマッチしているかを視覚的に判りやすく把握できるため、顧客企業の各部署が重要視するスキルをエンジニアがどの程度保有しているかなど、より双方のニーズに合致した、客観的な意思決定を可能としております。

 

 

※画像省略しています。

     テクニカルツリー・スキルツリー・マッチングツリー(例)

 

⑤「マッチングマップ」

上記の「マッチングスコア」は、「マッチングマップ」と称する地図上に表示されます。顧客企業側の画面には事業所を中心として、通勤圏内に居住するエンジニアとの「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのようなスキルを保有するエンジニアがいるのかを地図上で確認できます。一方、エンジニア人材側の画面には自宅を中心として、通勤圏内にある顧客企業における各部署との「マッチングスコア」が表示されます。通勤可能範囲内にどのような企業の求人があるのかを同様に地図上で確認し、応募することが可能です。

 

※画像省略しています。

※画像省略しています。

顧客企業側のマッチングマップ(例)

エンジニア人材側のマッチングマップ(例)

 

⑥ダイレクトマッチング支援機能

顧客企業の担当者は、上記の「マッチングマップ」上の転職・就職希望者を確認したうえで、着目したエンジニア人材に対して応募を促すためのオファーメールを送信することが可能です。また、エンジニアは、「マッチングマップ」上の興味のある企業に対して、採用を働きかけるアピールメールを送信することが可能です。

応募やオファーメール、アピールメール送信後における、エンジニアと顧客企業担当者とのやりとりは、「コグナビ」上にてチャット形式で行います。書類選考から面接の設定、面接結果の連絡まで、全て「コグナビ」上で完結させることが可能です。

当社は、上記の「コグナビ」の6つの特長を活かした人材サービスとHRマネジメントサービスを提供しております。「コグナビ」をベースとして、エンジニア人材市場における全ての人材流動パターンを捕捉するため、以下の5つの「コグナビ」サービスをラインアップしております。これにより、当社は全てのエンジニア採用ルートを備えたビジネスモデルを構築しております。

(人材サービス)

a.コグナビ 派遣(エンジニア派遣サービス)

b.コグナビ 転職(機電系エンジニア人材紹介サービス)・コグナビ 転職IT(ITエンジニア人材紹介サービス)

c.コグナビ 新卒(新卒理工系学生就職紹介サービス)

(HRマネジメントサービス)

d.コグナビ タレントマネジメント(企業内人材最適化配置サービス、2023年3月31日サービス終了)

e.コグナビ カレッジ(企業内エンジニア向け研修仲介サービス)

これら「コグナビ」各サービスの概要は以下のとおりです。

 

a.コグナビ 派遣

上記(1)に記載のとおりです。

 

b.コグナビ 転職・コグナビ 転職IT

顧客企業と機電系エンジニアの転職希望者を「コグナビ」の根幹となるツリーと「マッチングマップ」によって結びつける人材紹介サービス「コグナビ 転職」を2018年7月に立ち上げました。このサイトは「エンジニアの転職はAIの時代へ。」をコンセプトとし、「コグナビ」の仕組みを活用して求人企業と求職人材をダイレクトマッチングする機能を有しております。

ターゲットとなる顧客企業と機電系エンジニアは「コグナビ 派遣」と共通であり、2023年3月末時点で、20,739名の登録会員を有し、1,592事業所の顧客にサービスを提供しております。

また、2020年7月から、ITエンジニアに特化した人材紹介サービス「コグナビ 転職IT」を立ち上げましたが、2023年6月30日をもちまして、機電系エンジニア人材紹介サービス「コグナビ 転職」に統合することとし、単独でのサービスを終了する予定です。

 

c.コグナビ 新卒

「コグナビ 転職」における、ツリーと「マッチングマップ」を核としたマッチングの仕組みを、顧客企業と新卒理工系大学・大学院学生の就職希望者とのマッチングに応用する理工系学生専門の就職支援サービス「コグナビ 新卒」を2019年7月に立ち上げました。このサービスは「好きな科目が仕事につながる」をコンセプトとし、「学生が自分にどんな仕事が合っているかよくわからないため、知名度のある企業に応募が集中してしまう」という従来型就職活動の課題を解決し、自分の学んだ科目を生かして就職先企業を見つけることができるサービスです。求人企業にとっても、大学名や成績で判断するのではなく、各部署に応じた業務に必要な知識を備えた学生の採用につながるものと考えております。

基本的な仕組みは「コグナビ 転職」と同じですが、「コグナビ 転職」における「スキルツリー」の代わりに、就職を希望する学生が大学で学んできた「履修科目」と「実験実習」に関する「履修ツリー」を作成して利用します。また、「コグナビ 転職」における5段階のスキル「習熟度」の代わりに3段階の実験実習「習得度」を設定し、さらに好きな履修科目に対して「好きな科目」マークを付すことができる仕組みになっております。

また、「コグナビ 新卒」は、文系・理工系双方の学生を対象としている既存の総合型求人・求職情報サイトと異なり、理工系学生が就職後の環境がイメージしやすい独自コンテンツを掲載しております。企業単位ではなく事業所単位でコンテンツを準備し、それぞれの事業所でどのような製品を扱い、どのような部門があるのかを紹介しております。また、実際のオフィスや実験設備、就業している若手エンジニアへのインタビュー等を、写真や動画、360度パノラマ動画にて掲載しております。

これらの企業紹介コンテンツは、当該企業が「コグナビ 新卒」の管理画面上で作成及び更新できるようになっております。この機能により、掲載企業は常に最新の情報を維持することができ、当社は掲載コンテンツの作成及び更新に関する工数負担を削減することが可能と考えております。なお更新にあたっては、当社管理担当者による内容確認を経て公開される流れとなっております。

なお、「コグナビ 新卒」のターゲットとなる顧客企業は、「コグナビ 派遣」のターゲットとほぼ同様となります。

 

d.コグナビ タレントマネジメント

「コグナビ タレントマネジメント」は、「コグナビ」の根幹となるツリーを核としたマッチングの仕組みを応用し、「テクニカルツリー」による部署ごとの業務に必要なスキル情報と、「スキルツリー」による在籍エンジニアの保有スキル情報を登録することで、顧客企業における在籍エンジニアの流動化を促進するような人材配置システムを実現できないかという発想から、2019年10月よりサービスを開始しておりましたが、2023年3月31日をもちましてサービスを終了いたしました。今後は、顧客企業のニーズを再検討し、サービスを刷新することを考えております。

 

e.コグナビ カレッジ

顧客企業内の各部署における不足したスキルをカバーするためには、人材を社内もしくは社外からの補充、又は在籍エンジニアへの教育が必要となります。教育の受け皿として、機電系製造業の自社エンジニア向けリスキリング研修を近隣の大学で実施するために両者の仲介を行うサービスを「コグナビ カレッジ」という名称で2019年2月より提供しております。

これまで企業の研修は、外部研修業者の施設で実施するか、企業内でのOJT、Off-JTという形が殆どでしたが、より専門的な知識の習得や、技術革新に伴う企業の業態変換等に対応するにあたっては、選択肢の少なさや講師の不在が課題となっていました。また採用環境が厳しい中、設計部門に理工系以外の学生を採用してから育成するといったニーズも発生しております。

一方、大学にとっては少子化に伴って学生の確保が年々困難となる中、施設や教授の稼働率向上、競合となる近隣大学との差別化、近隣企業との関係強化による就職率の向上等、様々な課題を抱えております。

専門知識を持った大学教授と充実した大学の設備を活用し、企業のニーズに沿った研修を当社がカスタマイズして提供することで、双方の課題を解決すると共に、企業と大学とのコミュニケーションが強化されることで、将来の新卒採用や共同研究の可能性を広げ、地域活性化にも貢献し得るサービスです。

2023年3月末時点で、11大学と基本契約を締結し、62社との講義実績があります。

 

以上のほか、当社から派遣されているエンジニアを顧客が直接雇用したい場合に、本人の希望を確認のうえ、一定の手数料を受け取り、雇用関係を変更する場合があり、これを「転籍」としております。

以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

 

[事業系統図]

 

※画像省略しています。

※画像省略しています。

 

 

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限が緩和され、景気は緩やかに持ち直しております。当社の主要顧客である大手製造業においては、不安定な世界情勢の影響による資源価格の高騰や半導体不足等による供給面での制約、世界的なインフレ懸念から進みつつある金融引締めによる影響等により先行きが不透明な状況が継続する中、当社が特化する機械・電気系エンジニアの求人需要は堅調に推移いたしました。

このような環境のもと、当事業年度において、主力のエンジニア派遣サービスは、派遣エンジニア求人広告の掲載内容見直しや当社社員によるエンジニア社員紹介制度、退職者のカムバック採用制度等の施策を講じた結果、派遣エンジニアの採用は当事業年度後半から好転し、当事業年度末時点の稼働人員数は前年同期を185名上回る3,918名となりました。また、当事業年度末時点の派遣単価も前年同期比で上昇したことにより、エンジニア派遣サービスの売上高は前事業年度を上回りました。紹介事業におきましては、クロスセリング方式による営業活動を強化したことにより、業績への寄与度はまだ小さいものの、理工系学生に特化した就職支援サービス「コグナビ 新卒」を筆頭に、機械・電気系エンジニアの採用メディアサービス「コグナビ 転職」、エンジニアの企業研修を大学で実施するために両者の連携をサポートするサービス「コグナビ カレッジ」、企業内エンジニア配置最適化サービス「コグナビ タレントマネジメント」が、全て前年同期比で増収となりました。

一方、当事業年度におけるエンジニア社員の平均有給取得日数は前年同期比で2.3日増加し、売上総利益を押し下げる要因となりました。また、マスプロモーションの実施等による販売費及び一般管理費が増加したことにより、当事業年度の営業利益は前事業年度を下回りました。

以上の結果、当事業年度の売上高は28,751百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は1,622百万円(同11.6%減)、経常利益は1,619百万円(同10.8%減)、当期純利益は1,163百万円(同6.9%減)となりました。

なお、当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(資産)

当事業年度末における流動資産は14,492百万円となり、前事業年度末に比べ2,866百万円減少いたしました。これは、主に短期借入金の返済により現金及び預金が3,294百万円減少したことによるものであります。固定資産は3,207百万円となり、前事業年度末に比べ201百万円の減少となりました。これは、主に満期日が1年以内に到来する投資有価証券200百万円を流動資産に振り替えたことによるものであります。

この結果、総資産は17,700百万円となり、前事業年度末に比べ3,067百万円減少いたしました。

(負債)

当事業年度末における流動負債は5,728百万円となり、前事業年度末に比べ3,065百万円減少いたしました。これは、主に短期借入金が3,000百万円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は5,728百万円となり、前事業年度末に比べ3,065百万円減少いたしました。

(純資産)

当事業年度末における純資産は11,972百万円となり、前事業年度末に比べ2百万円減少いたしました。これは、繰越利益剰余金が80百万円減少した一方で株式報酬制度に基づき自己株式を77百万円処分したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は67.6%(前事業年度末は57.7%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ3,294百万円減少し10,395百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,515百万円(前年同期は1,456百万円の収入)となりました。

これは主に、税引前当期純利益1,619百万円計上されたことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は594百万円(前年同期は838百万円の支出)となりました。

これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出499百万円や子会社株式の取得による支出93百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は4,215百万円(前年同期は1,405百万円の支出)となりました。

これは主に、短期借入金の返済による支出3,000百万円や配当金の支払額1,234百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は、エンジニア派遣を中心とするサービスを提供しているため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社は、エンジニア派遣を中心とするサービスを提供しているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントでありますが、エンジニア派遣とその他の二つのサービスがあります。当事業年度における販売実績は、次のとおりです。

名称

当事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

エンジニア派遣サービス

28,486

106.4

その他

264

186.5

合  計

28,751

106.8

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

当社の当事業年度の経営環境としては、新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限が緩和され、経済活動の正常化の兆しが見えると共に、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。

このような環境の下、我が国が現在直面している構造的なエンジニア不足の環境において、AIを駆使した当社独自のスキルマッチング技術「コグナビ」各サービスの浸透と拡充に取り組んでおります。

エンジニア派遣サービス「コグナビ 派遣」は、回復基調にある顧客企業の需要に確実に応えるべく、中途採用の強化並びに翌事業年度に向けて新卒採用の拡大等による人材確保に取り組みました。

経験者採用向けエンジニア紹介サービス「コグナビ 転職/転職IT」は、企業の採用意欲が次第に回復し、正社員求人が増加する中、企業の求人獲得に向けた活動を強化いたしました。

理工系学生のための就職支援サービス「コグナビ 新卒」は、理工系大学で実施している「エンジニア職セミナー」によって学生会員を順調に獲得し、登録会員数は前年の1.6倍となる8,537名となりました。そして、サービスを利用して企業に採用された学生数は当事業年度末時点で前年度の年間採用者数の2.6倍に増加しました。

エンジニア育成の研修を大学で実施するために両者の連携をサポートするサービス「コグナビ カレッジ」は、当事業年度末時点において、新たに1大学と契約を締結しました。そして、企業の旺盛な研修需要に応え、当事業年度末の研修受講企業数は前年度末の1.9倍となりました。

企業内エンジニア配置最適化サービス「コグナビ タレントマネジメント」は、企業単位だけでなく、部署単位でもご利用いただけるサービス「部署マネ」を展開し、導入企業数を増やしておりましたが、お客様のご要望に応えるサービスに刷新すべく、2023年3月31日をもちましてサービスを終了いたしました。

以上の結果、当事業年度の売上高は28,751百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は1,622百万円(同11.6%減)、経常利益は1,619百万円(同10.8%減)、当期純利益は1,163百万円(同6.9%減)となりました。

なお、当社はエンジニア派遣・紹介事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの業績の記載は行っておりません。

また、財政状態及びキャッシュ・フローの分析については、(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

前記 3「事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金・設備資金については、主に自己資金により充当しております。当事業年度末の現金及び現金同等物は10,395百万円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。

また、不測の事態に備えた資金の流動性を確保する手段として、取引金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しております。

今後の重要な資本的支出としては、第3「設備の状況」3「設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、基幹系情報システム(ERP)等の、ソフトウエア開発投資を予定しており、その調達源については、自己資金により実施しております。

 

d.経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営課題として、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限が緩和され、経済活動が正常化することによるエンジニア需要拡大に対する対応が挙げられます。当社は、2023年3月期の売上高は前年を上回ったものの、利益が前事業年度より減少したことから、2024年3月期には次のような打ち手を実施いたします。

当社は、エンジニアのすべてのキャリアシーンを支援するために、理工系学生の就職支援から、転職、派遣、企業研修、社内異動の5つのサービスを展開しておりましたが、収益成長を加速するため、今後は、経営資源を既存の収益源であり、高利益率を維持している主業のエンジニア派遣サービス、理工系学生の登録会員数の増加に伴い、第二の収益源として成長が見込まれる理工系学生向け機電系エンジニア就職支援サービス、経験者採用向けエンジニア紹介サービス及び2022年10月に設立いたしましたインド法人Cognavi India Private Limitedを基点に、エンジニア需要の今後の飛躍的な増加と圧倒的な学生数を有するインドにおけるジョブポータルサイトの開発・運営サービスの4つの分野に集中してまいります。また、販売費及び一般管理費につきましては、今後はマスプロモーション費や情報システム費等を大幅に削減し、売上高販管費率を下げることにより、売上高の成長をより営業利益の成長に結びつけるための収益構造を追求してまいります。

なお、当社の中長期的経営課題とそれらへの取組状況につきましては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますので、ご参照ください。