売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E35514 Japan GAAP

売上高

35.2億 円

前期

34.2億 円

前期比

102.9%

時価総額

15.3億 円

株価

850 (03/28)

発行済株式数

1,802,160

EPS(実績)

-107.24 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

395.0万 円

前期

422.1万 円

前期比

93.6%

平均年齢(勤続年数)

33.2歳(3.9年)

従業員数

280人(連結:417人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社(アディッシュ株式会社)と連結子会社3社(アディッシュプラス株式会社、アディッシュオーパス株式会社、adish International Corporation)により構成されており、ソーシャルメディア(注1)やコミュニケーションサービス(注2)などの情報領域で発生する課題を解決し、利用者にとって健全で心地よい“居場所”をつくることを目的とした「カスタマーリレーション事業」を提供しております。

 現在、スタートアップを中心としたインターネット関連産業では、SNSやブログなどのソーシャルメディア、ソーシャルアプリ(注3)やスマートフォンアプリに加え、シェアリングエコノミー(注4)、Fintech(注5)、MaaS(注6)など様々な領域において新たなサービスが生まれ提供されております。

 

 当社グループは、今後の日本経済の成長の鍵となるスタートアップがグロースできるように支援することに注力しております。これまで当社が培ってきたカスタマーに係るノウハウを活かし、スタートアップによるカスタマーサクセス(注7)の実現に向けた様々な課題を解決するための支援として、カスタマーサクセスコンサルティングから施策の実行、改善提案などを推進するとともに、カスタマーサポートの体制構築・リソース提供など複合的なサービスの提供を行っております。

 

 また、新たなサービスが発展する一方で、社会通念上不適切と思われる書き込みや行為による被害が発生するなど、デジタルエコノミー特有の課題があり、これらの課題に対処するためのサービスを提供することにより、人と人のつながりあるいは人と企業などのつながりを支援し、インターネットを通じた社会が、健全で心地よいものとなるよう貢献するための事業展開を推進していきたいと考えております。

 

 「カスタマーリレーション事業」は以下の2つのサービスに区分しております。なお、当社グループは「カスタマーリレーション事業」の単一セグメントであります。

 

1.グロース支援サービス

 企業が成長する際に必要となるカスタマーに関する課題を解決するサービスであり、以下のサービスを複合的に提供しております。

・カスタマーサクセス総合支援

 スタートアップが急成長に伴い抱える課題の解決を支援するサービスであります。カスタマーサクセスコンサルティングからリソース支援など総合的に支援しております。

・ソーシャルアプリサポート

 利用者からのお問い合わせを顧客企業に代わって対応するカスタマーサポートサービスであります。電話、メール及びチャットを利用したカスタマーサポートに対応しており、海外市場に向けてサービス展開をしている顧客企業にも幅広くサポートするために10ヵ国語以上の言語に対応しております。

・インターネットモニタリング

 利用者の行う投稿を24時間365日体制でモニタリングし、不適切なものが発見された場合に、注意、報告、警告、非表示化などの対応を行うサービスであります。

 

2.アダプション支援サービス

 デジタルエコノミーに適応する上での課題を解決するサービスであり以下のサービスを複合的に提供しております。

・スクールガーディアン

 学校生活上の課題となり得るネットいじめの可能性がある書き込みや、インターネットでの個人情報流出をモニタリングして生徒指導に活かしていくコンサルティングサービスであります。

・フロントサポート

 企業がソーシャルメディアを活用して利用者に能動的に働きかけることで、利用者とのつながりを維持、向上させ、ファンコミュニティ(注8)を形成していくためのサービスであります。

・システムプロダクト

 インターネットモニタリング、カスタマーサポートの技術及び知見を活かし、チャットボット(注9)サービス「hitobo」、誹謗中傷投稿AI検知サービス「matte」、SNS炎上対策サービス「Pazu」を提供しております。

 

(注)1.「ソーシャルメディア」とは、インターネット上で不特定多数の人が双方向でコミュニケーションをとることで、情報共有及び情報の拡散が発生するメディアのことであります。

2.「コミュニケーションサービス」とは、インターネット上で利用者が投稿する文章、画像、映像、音声などの様々なコンテンツを通してコミュニケーションを取ることができるサービスのことであります。

3.「ソーシャルアプリ」とは、SNSなどのソーシャルメディア上で利用できる、利用者同士の繋がりや交流関係を機能に活かしたWebアプリケーションのことであります。

4.「シェアリングエコノミー」とは、主にインターネット上のプラットフォームを介して、遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しや利用をするサービスにより構成される経済圏を指します。

5.「Fintech」とは、金融を意味する「Finance」と、技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語であります。ICTを駆使した革新的、あるいは破壊的な金融商品・サービス自体及びその潮流を意味しております。

 

6.「MaaS」とは、Mobility as a Serviceの略称で、マイカー以外のすべての交通手段による移動をひとつのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念であります。

7.カスタマーサクセスとは、顧客が成功に向かうことができるよう顧客に寄り添い顧客の成功とは何かを深め続ける取り組みのことであります。

8.「ファンコミュニティ」とは、特定のサービスや製品などに対して熱狂的な愛好者が形成するコミュニケーションネットワークの総称と定義しております。

9.「チャットボット」とは、テキストや音声を通じて会話を自動的に行うプログラムのことであります。

 

[事業系統図]

 当社の事業の系統図は次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

24/03/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは「スタートアップにおけるカスタマーサクセス支援のトップパートナーへ」という方針を掲げ、スタートアップへのカスタマーサクセス設計コンサルティングや運用サービスの提供を中心にしたカスタマーリレーション事業を展開しております。よりよいカスタマーサクセスサービスを提供するために、昨年来「カスタマーサクセスプライムラーニング」を全従業員に向け実施しております。さらに、中長期的な成長を見込んだ人材の積極的な採用等による人材への先行投資を進めてまいりましたが、一部子会社の不採算化や大型案件の一部解約、サービス提供開始時期の延期等により、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,018,504千円となり、前連結会計年度末に比べ272,947千円減少いたしました。これは主に現金及び預金の減少291,802千円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加11,304千円によります。固定資産は158,444千円となり、前連結会計年度末に比べ9,062千円減少いたしました。これは主に差入保証金の減少9,476千円の減少によります。この結果、総資産は1,176,948千円となり、前連結会計年度末に比べ282,009千円減少いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は555,111千円となり、前連結会計年度末に比べ29,898千円減少いたしました。これは主に1年以内返済予定の長期借入金の増加36,640千円、未払金の減少20,264千円、未払法人税等の減少17,587千円、未払消費税等の減少23,726千円によります。固定負債は182,121千円となり、前連結会計年度末に比べ35,635千円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加34,912千円によります。この結果、負債合計は737,233千円となり、前連結会計年度末に比べ5,737千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は439,715千円となり、前連結会計年度末に比べ287,746千円減少いたしました。これは主に自己株式の取得99,902千円、親会社株主に帰属する当期純損失の計上193,265千円によります。この結果、自己資本比率は37.1%(前連結会計年度末は49.8%)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高は3,520,743千円(前年同期比2.9%増)、営業損失171,889千円(前年同期は98,080千円の営業利益)、経常損失172,276千円(前年同期は107,847千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失193,265千円(前年同期は77,026千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 なお、当社グループはカスタマーリレーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ291,802千円減少し、当連結会計年度末には557,215千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は249,565千円(前年同期は93,651千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失の計上175,919千円、未払消費税等の減少23,726千円、法人税等の支払額39,601千円によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は14,572千円(前年同期比96.4%)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出20,970千円、差入保証金の回収による収入8,591千円によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は27,990千円(前年同期は136,246千円の獲得)となりました。これは主に長期借入れによる収入150,000千円、長期借入金の返済による支出78,448千円、自己株式の取得による支出99,902千円によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当社グループの事業は、カスタマーリレーション事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同期比

(%)

カスタマーリレーション事業

3,520,743

102.9

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ストライプジャパン株式会社

527,198

15.4

445,232

12.6

楽天グループ株式会社(注)

351,277

10.3

(注)当連結会計年度の販売実績が総販売実績の10%に満たないため記載しておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

a.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は3,520,743千円となりました。これは主にスタートアップ企業へのカスタマーサクセス支援戦略推進に伴う新規顧客獲得による業務拡大によるものであります。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は999,171千円となりました。また、売上総利益率は一部の大型案件の解約やサービス開始時期の延期等による待機人材の増加により28.4%となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、当連結会計年度の当初計画に基づく従業員給与の昇給及び中期的な業務拡大に備えた人材採用費用、新規顧客獲得に向けた広告宣伝費の計上により1,171,060千円となりました。この結果、当連結会計年度における営業損失は171,889千円となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、国内連結子会社であるアディッシュプラス株式会社において宮崎県日南市の補助金給付2,056千円を計上したことにより3,486千円となりました。

 営業外費用は、借入金の利息1,905千円及び在外連結子会社であるadish International Corporationの円預金の現地通貨換算による為替差損1,261千円を計上したことにより3,873千円となりました。この結果、当連結会計年度における経常損失は172,276千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、在外子会社であるadish International Corporationにおける固定資産の減損損失3,643千円の計上、税金等調整前当期純損失175,919千円、法人税、住民税及び事業税21,964千円及び法人税等調整額△3,527千円の計上により193,265千円となりました。

 

b.財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は1,176,948千円となり、前連結会計年度に比べ282,009千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び自己株式の取得による資金の使用により、現金及び預金が291,802千円減少したことと、売上高の増加に伴い、受取手形、売掛金及び契約資産が11,304千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債は737,233千円となり、前連結会計年度末に比べ5,737千円増加しました。これは主に新規借入に伴う1年内返済予定の長期借入金が36,640千円、長期借入金が34,912千円それぞれ増加したことと、年度末費用の抑制により未払金が20,264千円減少、課税所得の減少により未払法人税等が17,587千円減少、課税標準額の減少により未払消費税等が23,726千円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は439,715千円となり、前連結会計年度末に比べ287,746千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失を193,265千円計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は37.1%(前連結会計年度末は49.8%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要の主なものはサービス提供に伴う人件費、外注費、地代家賃などの営業費用であります。運転資金については、自己資金、金融機関からの借入により充当することとしております。

 当社グループの資金の流動性については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は557,215千円となっており、十分な流動性を確保していると考えております。

 なお、重要な資本的支出の予定については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制など、様々なものが挙げられます。詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりと認識しており、これらのリスクについては解消に努めていく所存であります。

 

⑥ 当社グループの経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 当社グループは、企業価値の増大を図っていくために「売上高」「経常利益」を重要な経営指標としておりますが、当連結会計年度における売上高は3,520,743千円となったものの、経常損失は172,276千円となりました。2024年12月期以降は、売上高の拡大はもちろんのこと、売上原価、販売費及び一般管理費をコントロールしていくことで、経常利益の改善に向け取り組んでまいります。