株式会社アルファパーチェス

上場日 (2022-12-26)  卸売業ネット通販スタンダード

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E38118 

売上高

519.5億 円

前期

443.8億 円

前期比

117.1%

時価総額

105.2億 円

株価

1,092 (04/19)

発行済株式数

9,631,000

EPS(実績)

88.26 円

PER(実績)

12.37 倍

平均給与

567.2万 円

前期

562.6万 円

前期比

100.8%

平均年齢(勤続年数)

40.8歳(6.9年)

従業員数

248人(連結:262人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループ(当社および当社の子会社)は、当社、連結子会社であるATC株式会社、および非連結子会社である愛富思(大連)科技有限公司の3社により構成されており、MRO事業とFM事業の2つを主な事業として取り組んでおります。MRO事業は主に間接材の購買業務を改善したいというモノに関しての顧客のご要望に応える事業であり、FM事業は主に施設の管理や運用を効率化したいというサービスに関しての顧客のご要望に応える事業です。両事業により、モノとサービスを効率的に、適切かつ低コストで購入できる仕組みとサービスを提供し、顧客の最適購買を実現します。

 

(1)MRO事業

MROとは「Maintenance Repair and Operations」の略称で、本来、商品とサービスの双方を包含する概念ですが、日本では設備や機械の修理用備品、文具、オフィス用備品等のMRO商品の物販のことをMROと呼ぶことが多いため、当社グループでもMRO商品の物販事業をMRO事業と称しています。MRO事業は、インターネットを活用し、企業が日常的に購入する消耗品の発注から納入までを効率化する手法を活用した間接材の販売事業です。MRO商品は、その種類が極めて多い割に、購入量は少なく、単価も安い、典型的なロングテール(多品種・少量・少額)型の商品であり、当社グループは、主に上場企業を中心とした大企業の企業グループ全体を顧客とするべく、その購買に最適なITプラットフォームを提供し、①幅広い商品の選択肢から最適な商品を、②価格競争力のある単価で、③管理された顧客の社内決裁を経て購入が可能、という強みを生かして事業を行っております。顧客本体の事業所、営業所だけでなく、顧客の子会社や関係会社までを含む顧客の企業グループ全体と日本全国のMRO商品提供者(サプライヤー)をITシステムで結び、商品物流を基本的にサプライヤーからの直送とすることで、MRO商品調達に関し業界全体のDX(Digital Transformation)を進めております。なお、MRO事業の売上と粗利は主に物販活動によるものです。顧客からは若干のシステム利用料をいただく他、顧客システムとの連携接続や、顧客の特別な仕様要求がある場合、個別にシステム改定料等を頂きますが、取引額全体に占める比率は小さく、システム提供により利益を得るビジネスモデルではありません。

 

①幅広い商品の選択肢から最適な商品

当社グループの顧客である大企業の企業グループには、多数かつ多様な事業所や関係会社が存在し、それぞれの拠点や関係会社が購入を希望する商品は多岐にわたります。当社グループでは、この多様なニーズに対し、現在取引のあるサプライヤーが提供する幅広い商品を電子購買システム経由で販売しております。また、顧客が、当社グループの電子カタログに登録されていない商品の購入を希望される場合には、顧客の具体的な要望に従って、適切なサプライヤーと商品を探し出し、複数のサプライヤーの相見積りの結果を顧客に提供する仕組みを運用しております。これらの方法により、顧客は、常に幅広い選択肢から最適な商品を購入することが可能となります。

 

②価格競争力のある単価で購入可能

当社グループが仕入、再販の契約を締結している多数のサプライヤーから供給可能な幅広い商品が、価格や納期の情報とともに顧客の電子購買システム上に表示されるため、結果的にサプライヤー間の自由で公正な競争が発生することとなり、当社グループは、顧客に、価格競争力のある単価で多様な商品の提供が可能となります。また、当社グループを一元窓口として、幅広い顧客への再販が行われることから、当社グループの製品あたりの購入額が増大し、当社グループの顧客も、自社グループのみの購買では実現できないボリュームディスカウント後の価格での購入が可能になります。

 

③管理された社内決裁(購買統制・購買管理)

当社グループが提供するMRO商品群は非常に幅広いことから、そのMRO商品群の全てに関して、顧客が独自に適切な管理、統制プロセスを経た購入を行う際に、相当な工数が必要となります。大企業グループにおいては、商品カテゴリーや商品の価格帯毎に、異なる購買主管部門や購買規程が存在する一方、あらゆる拠点や関係会社で多数の購買行為が発生するため、全体を統括する購買管理部門は、実効的な購買行動の管理統制に苦心されています。社員がBtoC(個人向け)の大手通販会社から個別に必要な商品をネットで購入し、会社が立て替え払いをするといったやり方は認め難いため、管理された社内決裁を経た適切な購買管理の重要性が強く認識されています。その購買を支援し、システム的に担保するのが、当社グループの電子購買システムです。

 

※画像省略しています。

 

(2)FM事業

FMとは「Facility Management」の略称で、施設・設備管理のことです。MROという言葉には”Repair &Maintenance”が含まれているため、広義のMROに含まれますが、日本では物販事業のみをMRO事業と呼ぶ事例が多く、またロングテール物販と施設・設備管理は物品の提供かもしくは役務の提供かといった点で事業特性が異なることから、当社グループでは後者をFM事業として区分管理しています。一般的な意味でのFacility Managementとは、土地、建物、構築物、設備等の事業用資産すべてをコスト最小、稼働率最大で運営、維持するための総合的な管理を指しますが、当社グループでは、商業施設の新築、改装、修繕、清掃および運営支援並びに工事用建材を各店舗の工事日程にあわせて提供する事業に限定しています。当社グループ内では、商業施設の開店や改装時に、仕様・数量・配送日程等のあらゆる面で店舗工事に最適化した建材提供を「材・工分離」(資材支給と施工を別の業者が行う)形態で行う部分をCFM (Construction & Facility Management)、商業施設の維持管理や改装、修繕および各種法定点検対応などの予防保全を行う部分をFMと称し、事業部を分けて運営していますが、両者は商業施設の開店から閉店までのライフサイクルにあわせて、適宜、必要な物財やサービスを提供するという点で共通の事業特性を持ち、改装工事の際に建材支給と施工が分離されるか統合されるかは、顧客側都合によって決まる事項であるため、二部門を合わせてFM事業として管理しています。

当社グループが手掛けるFM事業は、店舗数が多く、同型施設・設備が多数あり、建材や役務提供業務の定型化が容易なチェーンストア(コンビニエンスストア、ドラッグストア、ファストフード店、ビジネスホテル等)向けが中心です。大規模チェーンストアはチェーンストア全体の本部と全国の直営店、フランチャイズ店の組み合わせで運営されることが多く、当社グループはチェーン本部の管理業務の一部を受託する形で、全国の直営店、フランチャイズ店に対して均質なサービスを提供しています。店舗の建物と設備に関する資材やメンテナンスの代行発注、購買、受託、および品質の管理、店舗管理コストの可視化によるチェーン本部のコスト削減支援、全国の修繕・保守・清掃のパートナーと連携した全国ネットワークによる24時間365日体制のメンテナンス、及び緊急対応などが、当社グループが顧客に提供しているサービスです。顧客が属する業界の動向や環境の変化や顧客の新築・改装・修繕・清掃・購買の方針の振れ幅が大きい場合には、FM事業全体の売上も変動する場合がありますが、複数の業態のチェーンストアが顧客となっているため、セールスミックスにより、その増減の一部は吸収されて平準化します。

※画像省略しています。

 

(3)その他事業

その他に分類されているのは、当社グループのITシステムの開発および運用の部門を2014年1月に分社して設立したATC株式会社のITシステム開発運用部門です。この事業は、当社向けのITシステム開発、運用によって培った技術、ノウハウを外販するもので、他の事業と比較すると低リスクかつ高収益であることが特徴ですが、副産物としての事業の性格上、規模的には小さな金額にとどまります。

 

(4)サプライヤーおよびパートナー会社について

顧客の社名入り商品等、一部の商品については当社自体が在庫を保有し、配送を行います。また、当社が複数サプライヤーからの納品を受けて一括納品を行う場合もありますが、当社グループのMRO事業における商品納入の大部分はサプライヤーから顧客への直接配送によって行われています。これらの物流機能については、当社グループは全面的にパートナー企業に委託をしております。FM事業における役務についても基本的に直接顧客へ提供されますが、材・工分離の形態で資材支給の役務提供を行う場合は、顧客にタイムリーに資材を支給する目的で一時的に当該資材を在庫として保有する事もあります。また、当社グループが顧客に提供しているITシステムの開発、運用に関しても、その大部分をパートナー会社に委託しております。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

 

24/03/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナ感染症の流行によって発生したサプライチェーンの混乱がようやく収束した上に、国内外の人流回復による個人向けサービス需要の復活により、緩やかに回復中です。部品制約がなくなって国内生産が拡大した自動車産業を筆頭に製造業は堅調である上、百貨店・宿泊・飲食サービスなどの復活に牽引され、非製造業も好調でした。

 このような経済状況の下、当社の主力事業分野の一つである工具、消耗品、修繕部品、文具等の間接材の市場では、製造業における堅調な工場稼働とオフィスや商業施設への人の回帰などにより、安定した成長を持続することができました。もう一つの主力事業分野である国内商業施設向けサービス市場では、ビジネスホテルなどの大型改装が活発となり、年間を通じて活況が続きました。

 以上のような環境の下、当社グループの業況は前連結会計年度(以下「前期」)からの好調を持続し、売上高は51,951百万円(前期比17.1%増)、売上総利益は4,828百万円(前期比11.1%増)、販売費及び一般管理費は3,640百万円(前期比10.2%増)、営業利益は1,188百万円(前期比14.0%増)となりました。経常利益は、不要となった無形固定資産の除却損7百万円等を織り込み1,183百万円(前期比19.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は850百万円(前期比20.8%増)となりました。

 

 各セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

<MRO事業>

 間接材購買のためのシステム提供と物品販売を行うMRO(Maintenance, Repair & Operations)事業においては、主要顧客である製造業向けでは、輸出採算の改善による工場稼働の増や新規顧客との取引開始により前期以上の成長を持続することができました。サービス業の事業所向けでは、消毒液等の新型コロナ対策商品の販売が減少したもののビル竣工に伴う初期備品のスポット需要を取り込むことで前期比増を維持いたしました。一方、親会社を経由する中小事業所向けの卸販売に関しては、市場での価格競争が激化により、売上は前期比増を維持したものの成長率が低下しました。また、費用では持続的な成長継続のために積極的なITシステム投資を行っていることから、ITシステム関連の費用が増加しました。これらの結果、MRO事業の売上高は37,145百万円(前期比16.4%増)、セグメント利益は636百万円(前期比11.2%増)となりました。

 

<FM事業>

 商業施設向けにサービスの提供を行うFM(Facility Management)事業においては、多店舗展開のコンビニエンスストアやファストフード店舗の改装需要は前期水準となりましたが、アフターコロナの人流回復やインバウンド需要の回復を見込んだビジネスホテルなどの大型改装案件が急回復したことで売上が大幅に増加しました。これらの結果、FM事業の売上高は14,726百万円(前期比18.4%増)、セグメント利益は480百万円(前期比16.7%増)となりました。

 

<その他>

 その他事業は、当社の子会社であるATC株式会社のソフトウエア事業が中心であり、同社が高度なノウハウを持つMDM(Master Data Management)関連の外販事業の成約案件が増えたことで、売上高は79百万円(前期比81.1%増)、セグメント利益は71百万円(前期比22.9%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は14,696百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,784百万円増加いたしました。現金及び預金が272百万円、売掛金及び契約資産が2,028百万円増加し、棚卸資産が491百万円減少したことが主な要因です。固定資産は2,419百万円となり、前連結会計年度末に比べ46百万円増加しました。無形固定資産が89百万円増加し、有形固定資産が49百万円減少したことが主な要因です。これらの結果、総資産は、17,115百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,830百万円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は11,690百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,112百万円増加しました。これは1年内返済予定の長期借入金が84百万円、未払金が70百万円減少しましたが、買掛金が1,035百万円、未払消費税等が171百万円、賞与引当金が30百万円増加したことなどによるものです。固定負債は54百万円となり、前連結会計年度末に比べ57百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が53百万円減少したことによるものです。これらの結果、負債合計は、11,745百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,054百万円増加しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は5,370百万円となり、前連結会計年度末に比べ775百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益850百万円の計上による増加、剰余金の配当141百万円による減少が主な要因です。これらの結果、自己資本比率は31.4%(前連結会計年度末は30.1%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,169百万円となり、前連結会計年度末に比べ272百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,224百万円の収入超過となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益1,183百万円、仕入債務の増加1,035百万円、棚卸資産の減少491百万円、未払消費税等の増加171百万円、減価償却費616百万円の収入要因があった一方、売上債権の増加2,026百万円、法人税等の支払額366百万円の支出要因があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、722百万円の支出超過となりました。その主な要因は、当社グループの内製ソフトウエア開発増加に伴う無形固定資産の取得による支出657百万円の支出要因があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、229百万円の支出超過となりました。その主な要因は、株式の発行による収入66百万円の収入要因があった一方、長期借入金の返済による支出137百万円、配当金の支払額141百万円の支出要因があったこと等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。

 

b 受注実績

 当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。

 

c 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

MRO事業

37,145

116.4

FM事業

14,726

118.4

報告セグメント計

51,871

117.0

その他

79

181.1

合計

51,951

117.1

(注)1.その他セグメントはITシステム開発運用部門であり、MRO事業、FM事業とセグメント間の取引がありますが、全額内部消去されるため、ITシステムの外販事業のみの金額を表示しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アスクル株式会社

7,293

16.4

7,560

14.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

す。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 「経営成績等」及び「財政状態」並びに「セグメントごとの経営成績の状況」に関する分析・検討内容

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、51,951百万円(前年同期比17.1%増)となりました。

 売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は、売上の増加に伴い47,123百万円(前年同期比17.7%増)となりました。

 この結果、売上総利益は、4,828百万円(前年同期比11.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、3,640百万円(前年同期比10.2%増)となりました。

 主な要因は、稼働ソフトウエアの増加に伴う無形固定資産の償却費及びシステム保守・運用費用、売上増加に伴う物流費の増加によります。

 この結果、営業利益は、1,188百万円(前年同期比14.0%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当連結会計年度において、営業外収益は3百万円(前年同期比5.8%増)、営業外費用は8百万円(前年同期比84.0%減)発生しました。

 主な要因は、無形固定資産の除却損7百万円が発生したことによるものです。

 この結果、経常利益は、1,183百万円(前年同期比19.0%増)となりました。

 

(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

 上記の結果、税金等調整前当期純利益は、1,183百万円(前年同期比19.0%増)となり、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を332百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、850百万円(前年同期比20.8%増)となりました。

 

 なお、財政状態の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b 経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b 資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、休前日を除く通常月においては、近年、売掛金と買掛・未払金の残高が、ほぼ拮抗していることから、運転資金需要のうち主なものは、人件費や賃借料といった営業固定費と業務委託費からなるITシステムに係る保守運用費用であり、費目としては販売費及び一般管理費となります。一方、投資を目的とした資金需要は、事業基盤を形成するITシステム、ソフトウエアへの投資であり、費目としては無形固定資産の取得となります。運転資金は、主として自己資金で調達することとしておりますが、ソフトウエアへの投資額が足元で増加していることから、投資については、銀行等からの長期借入金により、投資額の一部を賄っております。

 

  前連結会計年度末における有利子負債残高は214百万円であり、全額が長期借入金ですが、借入期間は平均3年であるため、常に1/3以上の借入額が1年以内に返済予定の借入金となっています。当連結会計年度末の有利子負債残高は76百万円で、1年以内の返済予定額が53百万円と過半を占めており、返済間近の借入額が増加しております。当連結会計年度末における現金及び預金の残高は4,169百万円と余裕がありますが、今後も資金残高及び各キャッシュ・フローの状況を常時もモニタリングし、資本の財源及び資金の流動性の確保に努めてまいります。

 

③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、当社グループのサービスの普及度を測れる連結売上高と連結営業利益額となります。

 連結売上高に関しては、基盤事業であるMRO事業において、中核分野である製造業の大企業向けが順調に伸長している一方、もう一つの基盤事業であるFM事業でも、ビジネスホテルなどの大型改装案件が急回復したことで、順調に伸長し前年比117.1%となりました。

 また、連結営業利益額に関しては、前年比114.0%となりました。当社グループでは、人件費やIT関係費等の営業固定費の増加率以上の伸長率で、連結売上高を伸長させることにより、連結営業利益額を増加させることができると考えており、その達成状況を判断するために連結営業利益額を経営指標としています。

 

連結売上高と連結営業利益の推移及び前年比伸長率

 

 

2021年12月期

通期

 

2022年12月期

通期

 

2023年12月期通期

 

連結売上高(百万円)

37,948

44,383

51,951

前年比(%)

117.0

117.0

117.1

連結営業利益(百万円)

864

1,042

1,188

前年比(%)

116.6

120.6

114.0

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しておりますが、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社及び連結子会社は、グループ通算制度を採用しております。繰延税金資産の回収可能性は、グループ通算制度の適用対象会社の事業計画に基づく課税所得を基準として見積っております。繰延税金資産の計上にあたっては、その回収可能性について、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金の解消スケジュール及び将来課税所得の見積り等に基づき判断しております。また、将来課税所得の見積りは将来の事業計画を基礎として、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しております。

 課税所得の見積りの基礎となる翌期以降の事業計画における主要な仮定は、事業セグメントごとかつ得意先別に集計した売上高と売上総利益率の予測であります。

 売上高の予測は、過去の売上実績や新規顧客との商談状況、顧客の出店・改装計画などを基とし算出しております。また、売上総利益率の予測は、売上高の予測と過去の仕入実績などに基づいて売上原価を予測し算出しております。

 なお、課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度において認識する繰延税金資産の金額に重要な変動を与えるリスクがあります。