売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E26327 Japan GAAP

売上高

359.6億 円

前期

292.1億 円

前期比

123.1%

時価総額

1,456.3億 円

株価

1,814 (07/12)

発行済株式数

80,279,827

EPS(実績)

-58.79 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

803.8万 円

前期

778.1万 円

前期比

103.3%

平均年齢(勤続年数)

41.2歳(5.6年)

従業員数

224人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

(1) 主な事業内容

 当社グループは、当社及び子会社1社(ライフネットみらい株式会社)で構成されています。

 当社は、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社です。相互扶助という生命保険の原点を忘れず、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、生命保険事業を営んでいます。主な事業内容は以下のとおりです。なお、当社は生命保険事業の単一セグメントとなっています。

 ①保険引受業務

 生命保険業免許に基づき、人の生存又は死亡に関して一定額の保険金等を支払うことを約し保険料を収受する保険の引受業務を営んでいます。

 ②資産運用業務

 保険業法、同法施行規則に定めるところにより、生命保険の保険料として収受した金銭その他の資産の運用業務を営んでいます。

 ③業務の代理・事務の代行業務

 他の保険会社等の業務の代理又は事務の代行を行っています。

 また、子会社のライフネットみらい株式会社は、オンライン保険代理店事業等を営んでいます。

 

 

(2) マニフェストを基軸とした経営

 当社グループは、2008年の開業以来「ライフネットの生命保険マニフェスト」を掲げ、経営理念を「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」と定めています。デジタルテクノロジーを活用しながら、一貫してお客さま視点で商品・サービスを提供し、生命保険の未来をつくるオンライン生保のリーディングカンパニーとなることで、「安心して、未来世代を育てられる社会」の実現を目指します。

ライフネットの生命保険マニフェスト

「正直に、わかりやすく、安くて、便利に。」

第1章 私たちの行動指針

(1) 私たちは、生命保険の未来をつくる。生命保険は生活者の「ころばぬ先の杖がほしい」という希望から生まれてきたという原点を忘れずに。

(2) 私たちは、お客さまの声に耳を傾け、お客さまに何が必要かを常に考え行動する。

(3) 私たちは、自分たちの友人や家族に自信をもってすすめられる商品・サービスだけを届ける。

(4) 顔の見える会社にする。私たちは、経営のこと、商品のこと、社員のこと、どんな会社なのか、正直に伝える。

(5) 私たちは、多様性を尊重し、協力しあうことで、変化に対応しつづける。100年後もお客さまに安心を届けられる会社であるために。

(6) 私たちは、常に誠実に行動する。コンプライアンスを遵守し、倫理を大切にする。

第2章 生命保険を、もっと、わかりやすく

(1) 私たちは、「生命保険がわかる」情報を提供する。お客さまが自分にあった保障を納得して、選べるように。

(2) 私たちは、誰もが読んで理解できる「約款」(保険契約書)をつくる。

(3) 私たちは、お申し込みだけでなく、保険金・給付金を請求するときにこそ、わかりやすいと思ってもらえる商品やサービスを届ける。

第3章 生命保険料を、安くする

(1) 私たちは、保障内容を過剰にしない。必要な備えを、適正な生命保険料で提案する。

(2) 私たちは、よい商品を安く提供するための工夫を怠らない。

(3) 私たちは、生命保険料を抑え、その分をお客さまの人生の楽しみに使ってほしいと考える。

第4章 生命保険を、もっと、便利に

(1) 私たちは、ご契約の検討から保険金・給付金の受け取りまで、あらゆる場面でお客さまの便利を追求する。

(2) 私たちは、私たちの考えに共鳴してくれたパートナーと協力して、お客さまに商品やサービスを届ける手段を増やす。

(3) 私たちは、生命保険の枠を超えて、「生きていく」ことを支える情報とサービスに触れる機会を増やす。

(4) 私たちは、お客さまの期待の先にある「便利な生命保険」を通して、次の時代の当たり前をつくる。

お客さま一人ひとりの生き方を応援する企業でありたい。

そのために、これからも挑戦を続けます。

 

(3) 商品構成

 個人向けの保険商品は、インターネットを通じてお客さまに「比較し、理解し、納得して」ご契約いただきたいという考えのもと、いずれの商品も複雑な特約や配当のない、シンプルでわかりやすい保障内容となっています。また、パートナー企業との協業として、2016年4月からはKDDI株式会社と「auの生命ほけん」を、2020年4月からは株式会社セブン・フィナンシャルサービスと「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」を、2021年7月からは株式会社マネーフォワードと「マネーフォワードの生命保険」を、2023年12月からは三井住友カード株式会社と「Vポイントが貯まる保険」を販売しています。

 団体向けの保険商品は、事業領域の拡大の一環として新たに開始した団体信用生命保険事業において、2023年7月からauじぶん銀行株式会社の住宅ローン利用者に向けて団体信用生命保険の提供を行っています。

 

(主要商品の概要)

 定期死亡保険「かぞくへの保険」は、低廉な保険料で大きな保障が得られる「定期型」で、死亡や所定の高度障害状態となった場合に、保険金を受け取ることができる保険です。

 終身医療保険「じぶんへの保険3」「じぶんへの保険3レディース」は、入院や手術に備える保険です。加入時の保険料が変わらず、一生涯保障が続く「終身型」で、保障内容に応じて、「エコノミーコース」「おすすめコース」を設けています。また、「じぶんへの保険3レディース」は、女性特有の病気で入院した場合に、手厚い保障が受けられる保険です。

 就業不能保険「働く人への保険3」は、病気やケガで働けなくなった時の生活費から、就業復帰後も生じる治療費の負担や収入減少もサポートする、新しいコンセプトの保険です。

 がん保険「ダブルエール」は、治療費に備える「治療サポート給付金」と、がん治療に伴う休職や時短勤務等による収入の減少に備える「がん収入サポート給付金」のダブルの保障を受けられる保険です。

 認知症保険「be」は、認知症や軽度認知障害(MCI)の早期発見・早期治療をサポートする保険です。

 なお、現在販売している、Pontaポイントがたまる「auの生命ほけん」「セブン・フィナンシャルサービスの生命ほけん」「マネーフォワードの生命保険」「Vポイントが貯まる保険」は、上記の保険商品と同一の保障内容です。

 

 

(4) 販売チャネル

 当社は、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社です。インターネットを活用することにより、営業職員の人件費や店舗の維持等に係る経費(販売経費)を抑えられることから、営業職員を主体とする従来の生命保険会社と比べ、相対的に低廉な保険料での商品提供が可能となります。

 個人保険事業においては、お客さまが当社のウェブサイト等を通じて保険に申し込む「ダイレクトビジネス」と、パートナー企業のウェブサイトやアプリを通じて保険に申し込む「パートナービジネス」の2つの販売チャネルを有しています。当社の店舗であるウェブサイトでは、商品内容の説明に加え、お客さまに適した保障を選んでいただくためのコンテンツを工夫するなど、ウェブサイトを初めて訪れるお客さまにもわかりやすい説明を心がけるとともに、お客さま視点のUI/UX向上のための改善活動を重ね、ストレスフリーな顧客体験を提供しています。コンタクトセンターでは、保険の申し込みや見直しでお悩みのお客さまに向けて、電話、メールやチャットによって、経験豊富な保険プランナーが保険選びをサポートしています。また、開業以来、ダイレクトビジネスで培ってきたオンラインでの生命保険販売の知見を活かし、昨今では様々な業種の企業との協業を拡大しています。幅広い顧客基盤とブランド力を有するパートナー企業の経済圏に保険ビジネスを組み込むことで、より多くのお客さまに当社の商品・サービスを提供しています。なお、当社の保険募集代理店であるKDDI株式会社は、当社のその他の関係会社です。

 団体信用生命保険事業においては、KDDIグループの一社であるauじぶん銀行株式会社の住宅ローン利用者に向けて、2023年7月から団体信用生命保険を提供しています。auじぶん銀行株式会社は、2015年に住宅ローンの提供を開始して以降、住宅ローン事業を急速に成長させている魅力的なパートナー企業です。当社にとって、団体信用生命保険事業への取組みは新たな挑戦であり、今後DX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進する銀行業界において、オンライン生保が大きな役割を果たしていけるよう、提携先銀行の拡大を見据えながら団体信用生命保険事業の成長を目指します。

 

 

[主な販売チャネル別アクセス経路]

※画像省略しています。

 

 

24/06/18

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、当連結会計年度より、IFRSを適用しています。また、前連結会計年度の財務数値についても、IFRSに組み替えて比較分析を行っています。なお、財務数値に係るIFRSと日本基準との差異については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「42. 初度適用」をご覧ください。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度において、日本経済はコロナ禍からの回復を遂げ、経済活動の再開に伴い緩やかな成長基調を取り戻しました。しかしながら、物価の上昇が個人消費の力強い回復を阻害しており、賃金の継続的な上昇を通じて成長期待を高めることが今後の課題となっています。

 金利状況においては、日本銀行によるゼロ金利政策は解除されたものの、国内外の金利差は広がり、為替の円安傾向は継続しています。

 生命保険業界においては、金利上昇を受けた一時払い商品の予定利率の引き上げ・新型コロナウイルス感染症関連の保険金等支払いの収束による業績回復・異業種企業との資本提携の動き等、事業環境の変化に直面しています。

 このような状況において、当社グループは「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社として開業から16年目を迎えました。当連結会計年度においては、開業以来初の団体信用生命保険事業を開始し事業領域を拡大させるとともに、個人保険事業においても、パートナー企業との共同開発商品を販売する等、お客さま視点での商品・サービスの提供に努め、個人保険の保有契約件数は60万件を突破しました。

 

(契約の状況)

 当社グループは、新たな収益機会の拡大を目指して、2023年7月より団信の提供を開始しました。当連結会計年度末の個人保険及び団信を合算した保有契約年換算保険料*1は、前連結会計年度末比119.6%の28,750百万円となりました。内訳について、個人保険は前連結会計年度末比105.8%の25,424百万円、団信は3,326百万円となりました。

 個人保険における保有契約件数、新契約年換算保険料及び新契約件数、解約失効率は次のとおりです。保有契約件数は、2024年3月に60万件を突破し、前連結会計年度末比105.7%の600,945件となりました。また、当連結会計年度の新契約年換算保険料は、前連結会計年度比73.6%の2,883百万円、新契約件数は、前連結会計年度比73.5%の72,434件となりました。また、当連結会計年度の解約失効率*2は、6.5%(前連結会計年度6.5%)となりました。

*1.年換算保険料とは、1回当たりの保険料(団信は、保有契約をもとに算出される翌月の収入保険料)について保険料の支払い方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額をいいます。当社商品の保険料は全て月払いのみとなっているため、1ヶ月当たりの保険料に12を乗じたものを年換算保険料としています。

*2.解約失効率は、解約・失効の件数を月々の保有契約件数の平均で除した比率を年換算した数値です。

 

(収支の状況)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

増減額

保険収益

20,732

24,698

3,966

保険サービス損益

6,618

8,222

1,604

金融損益*3

△452

555

1,008

その他の損益*4

△822

△527

295

税引前利益

5,343

8,251

2,908

親会社の所有者に帰属する当期利益

3,562

5,734

2,171

 

 当連結会計年度の保険収益は、前連結会計年度比119.1%の24,698百万円となりました。内訳について、個人保険に係る保険収益は22,694百万円、団信に係る保険収益は2,004百万円となりました。個人保険については、保険収益を構成する主要な要素のうち、「予想保険金及び維持費*5」は10,464百万円、「消滅したリスクに関する非金融リスクに係るリスク調整の変動(以下、「リスク調整リリース」)」は1,678百万円、「提供したサービスについて認識したCSM*6(以下、「CSMリリース」)」は7,056百万円となりました。保険サービス損益は、主にリスク調整リリース及びCSMリリースの計上により、前連結会計年度比124.2%の8,222百万円となりました。金融損益は、主に投資信託の評価益の計上により、555百万円となりました。その他の損益は、保険サービスに直接関連しない費用の計上等により、△527百万円となりました。

 以上の結果、税引前利益は、前連結会計年度比154.4%の8,251百万円となりました。また、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比161.0%の5,734百万円となりました。

 なお、当連結会計年度において発生した保険契約の履行に直接関連する費用のうち、保険契約群団の獲得に直接起因する費用(マーケティング、新規契約の査定及びシステムに係る費用等の合計)である保険獲得キャッシュ・フローは前連結会計年度比90.3%の9,377百万円、保険獲得キャッシュ・フローに含まれない費用である維持費は前連結会計年度比112.0%の4,533百万円となりました。

*3.金融損益とは、主に金融資産から生じる投資損益、保険金融収益または費用、再保険金融収益または費用の小計です。

*4.その他の損益とは、保険サービスに直接関連しない費用、保険事業以外の損益を指し、商品開発費用や子会社の損益等が含まれます。

*5.維持費とは、保険契約の履行に直接関連する費用のうち、保険獲得キャッシュ・フローに含まれない費用を指し、保険契約の管理及び維持に係る費用や保険サービス提供のための間接費用が含まれます。

*6.CSMはContractual Service Marginの略であり、将来において保険サービスを提供するにつれて認識することとなる未稼得利益を表します。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末の総資産は、112,417百万円(前連結会計年度末93,814百万円)となりました。主な勘定残高として、高格付けの公社債を中心とする投資有価証券は51,564百万円、保険契約資産は32,378百万円となりました。保険契約は一般的には負債として計上されるものの、当社グループは以下の表「保険契約負債の内訳」のとおり、個人保険の保険契約負債はマイナスとなることから保険契約資産として計上しています。その内訳は、個人保険における将来キャッシュ・フロー現価△150,693百万円、リスク調整26,141百万円及びCSM92,173百万円となりました。また、団信においては保険料配分アプローチを適用して測定し、保険契約負債として685百万円を計上しました。

 

保険契約負債の内訳

(単位:百万円)

将来キャッシュ・フロー現価

(保険金等から保険料を差し引いた収支の現価)

△150,693

リスク調整

26,141

CSM

92,173

個人保険における保険契約負債 合計

△32,378

団信における保険契約負債(保険料配分アプローチを

適用して測定する契約に係る保険契約負債)

685

 

 負債は、主に繰延税金負債が増加したことにより、21,535百万円(前連結会計年度末18,110百万円)となりました。主な勘定残高は、繰延税金負債18,610百万円となりました。

 資本は、公募増資及び第三者割当増資による新株式発行を行ったことに加え、当期利益を計上したことにより、90,882百万円(前連結会計年度末75,704百万円)となりました。

 また、行政監督上の指標のひとつとして経営の健全性を判断するために活用する指標である連結ソルベンシー・マージン比率は、当連結会計年度末において2,192.9%となり、充分な支払余力を維持しています。

 

(商品・サービスなどの取組み)

 当連結会計年度における主な取組みとして、2023年9月に、公募増資による新株式発行、auフィナンシャルホールディングス株式会社及び三井住友カード株式会社を割当先とする第三者割当増資による新株式発行を行いました。本増資で獲得した資本を活用し、今後さらなる成長を加速させ、オンライン生保の可能性を解放し、魅力的な経済圏を有するパートナー企業との取組みの推進を目指します。

 当社グループは、2023年7月より、開業以来初の団信事業として、auじぶん銀行株式会社の住宅ローン利用者に向けた団信の提供を開始しました。また、三井住友カード株式会社を通じて、2023年12月より「Vポイントが貯まる保険」の販売を開始しました。

 さらに、当連結会計年度においても外部機関からの多数の評価を獲得しました。商品では、定期死亡保険「かぞくへの保険」が、「価格.com保険アワード2023年版」において生命保険の部(定期保険)で7年連続総合第1位を受賞しました。サービスでは、コンタクトセンターとウェブサイトが2023年「HDI格付けベンチマーク(生命保険業界)」において業界最多記録(当社調べ)となる11回目の最高評価を受賞しました。さらに、実際に契約手続きをされたお客さまが評価する「J.D. パワー生命保険契約満足度調査」ではダイレクト型チャネル部門で4年連続第1位*1を受賞し、前経営方針の重点領域として掲げた「顧客体験の革新」への注力が、お客さまからの高い評価につながったものと考えています。

*1.J.D. パワー「生命保険契約満足度調査<ダイレクト部門>」において、2021年~2024年の4年連続1位受賞。2024年調査は新規契約・更新手続きをした顧客1,331名からの回答によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険契約資産の増加がマイナスに影響したものの、税引前利益の計上により、6,016百万円の収入(前連結会計年度2,681百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の取得により、3,443百万円の支出(前連結会計年度763百万円の収入)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に公募増資及び第三者割当増資による新株式発行により、9,681百万円の収入(前連結会計年度109百万円の支出)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、24,423百万円(前連結会計年度末12,137百万円)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 生命保険業においては、該当する情報がないため記載していません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。本項における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営状況の分析等

 当社グループは、当連結会計年度までの経営方針において、EEV(ヨーロピアン・エンべディッド・バリュー)を当社グループの企業価値を表す最も重要な指標と位置づけ、経営目標として「EEVの2,000億円早期到達」を掲げました。また、EEVの持続的な成長を支える経営指標として、成長性指標・収益性指標・健全性指標を設定しており、各指標の説明、成果及び分析は以下のとおりです。

 なお、当社グループは、2024年5月14日に、新たな経営方針及び2024年度から2028年度までの中期計画を発表しました。2023年度より国際財務報告基準(IFRS)を適用していることから、当中期計画においては当社グループの企業価値を表す重要な経営指標にIFRSに基づいた「包括資本(Comprehensive Equity)」を定め、経営目標として「2028年度における包括資本の2,000億円~2,400億円到達」を設定しています。詳細は、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題をご参照ください。

 

(EEVについて)

 EV(エンベディッド・バリュー)は、「修正純資産」と「保有契約の将来利益現価」を合計した指標であり、当社グループが用いるEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、EV(エンベディッド・バリュー)の種類の一つです。

 「修正純資産」は、期末の純資産に調整額(負債中の内部留保等)を合計して算出します。当年度の純利益がプラスの場合は、修正純資産を増加させる要因となり、マイナスの場合は、修正純資産を減少させる要因となります。「保有契約の将来利益現価」は、現在の保有契約から生じる将来の利益を現在価値に割り引いたもので、新契約を獲得すると、一般的には保有契約の将来利益現価が増加します。

(EEVを経営指標として定めた理由)

 生命保険契約は、一般的に新規の契約を獲得する時に多くの費用がかかるものの、収益となる保険料収入を生み出す期間は長期となるため、費用と収益の発生にタイムラグが生じます。現在の法定会計(日本基準)上の損益計算書では、新規の契約獲得に係る費用を初年度に一括計上する一方で、収益となる保険料収入は長期にわたって計上されます。そのため、新規の契約が増加するほど当年度に計上される費用が増加し、当期の利益にマイナスの影響を与える構造となっています。特に、当社グループのように保有契約に占める新契約の割合が大きい生命保険会社においては、当期の法定会計上の損益計算書の損益が損失の計上となる傾向にあります。当社グループは、超長期となるビジネスである生命保険会社の企業価値を評価するためには、法定会計に加えて、将来の利益も含めた長期の収益性を示すEV(エンベディッド・バリュー)も考慮する必要があると考え、EEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)を前経営方針における経営指標として定めました。

 

(EEV計算結果と変動要因分析)

 当連結会計年度末のEEVは、前連結会計年度末比17.9%増加の146,991百万円となりました。修正純資産は25,251百万円、保有契約の将来利益現価は121,740百万円となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

(2023年3月末)

当連結会計年度末

(2024年3月末)

増減

EEV

124,666

146,991

22,324

修正純資産

18,367

25,251

6,883

保有契約の将来利益現価

106,299

121,740

15,440

 

 また、前連結会計年度末から当連結会計年度末までのEEVの変動要因分析は以下のとおりです。

 なお、修正EV増加額につきましては、EEVの変動のうち、「新契約価値」「将来利益現価の割り戻し」「保険関係の前提条件と実績の差異」の合計額を修正EV増加額と定義したもので、当社グループの期間業績を表す指標と位置付けています。

(単位:百万円)

2023年3月末EEV

124,666

 

修正EV増加額

8,953

 

2023年度の新契約価値

6,730

 

将来利益現価の割り戻し

1,472

保険関係の前提条件と実績の差異

750

保険関係の前提条件の変更

3,132

 

経済的前提条件と実績の差異

357

 

2024年3月末EEVの調整*1

9,881

 

2024年3月末EEV

146,991

 

*1. 資本の増減による項目

 

 前連結会計年度末から当連結会計年度末にかけて、EEVは22,324百万円増加しました。当連結会計年度においては、団信事業の開始に伴う新契約価値の増加、個人保険の死亡率前提の見直しや団信の引受に伴う事業費効率の改善など保険関係の前提条件の変更による増加、2023年9月に実施した公募増資及び第三者割当増資等により、EEVは伸長しました。

 

(EEVの持続的な成長を支える経営指標)

 当社グループは、成長性指標として保有契約業績及び新契約業績、収益性指標*2として保険獲得キャッシュ・フロー効率(保険獲得キャッシュ・フローを新契約件数で除した新契約1件当たりの保険獲得キャッシュ・フロー)及び保険獲得キャッシュ・フローを除く経費率(保険獲得キャッシュ・フローを除く経費を経過保有年換算保険料で除した割合)、健全性指標として連結ソルベンシー・マージン比率を設定しています。各指標の結果分析は以下のとおりです。

 成長性指標について、当連結会計年度末の保有契約業績は、個人保険及び団信を合算した保有契約年換算保険料が前事業年度末比119.6%の28,750百万円となりました。

 個人保険における業績は次のとおりです。保有契約業績は、保有契約年換算保険料が前連結会計年度末比105.8%の25,424百万円、保有契約件数が2024年3月に60万件を突破し、前連結会計年度末比105.7%の600,945件となりました。新契約業績は、新契約年換算保険料が前連結会計年度比73.6%の2,883百万円、新契約件数が前連結会計年度比73.5%の72,434件となりました。また、解約失効率は6.5%(前連結会計年度6.5%)と、前連結会計年度と同水準を維持しました。当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い保障性の生命保険商品の需要低下が長引いたことなどにより、個人保険の保有契約業績の成長速度は緩やかとなりました。

 団信においては、保有契約年換算保険料が3,326百万円となりました。2023年7月から開始したauじぶん銀行株式会社との取組みにおいて、急速な成長を続けるauじぶん銀行の住宅ローン融資実行額を背景に、当社グループの保険契約年換算保険料も力強い成長を実現しました。成長性指標については、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況もご参照ください。

 収益性指標について、保険獲得キャッシュ・フロー効率は、前連結会計年度の10.5万円から当連結会計年度は12.9万円となりました。新型コロナウイルス感染症の収束に伴う保障性の生命保険商品の需要低下の継続により新契約の獲得が想定どおりに進捗しなかったこと、及び個人保険事業のさらなる成長の実現に向けた新たな営業投資を行った結果、保険獲得キャッシュ・フロー効率は低下しました。保険獲得キャッシュ・フローを除く経費率は、前連結会計年度の20.7%から当連結会計年度は18.4%となりました。主に、auじぶん銀行株式会社が契約する既存の団信契約の引受保険会社を当社へ移管したことにより保有契約が大きく増加したことでのスケールメリットが働き、保険獲得キャッシュ・フローを除く経費率が改善しました。

 健全性指標の連結ソルベンシー・マージン比率は、2,192.9%(前事業年度末3,173.1%)で、充分な水準を確保しています。ソルベンシー・マージン比率についての詳細については、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容のb. ソルベンシー・マージン比率もご参照ください。

*2.収益性指標は、財務報告において、2022年度までは、従前適用している日本基準を踏まえて「営業費用効率」及び「営業費用を除く事業費率」を設定していましたが、2023年度より新たに国際財務報告基準(IFRS)を任意適用したことから、それぞれ「保険獲得キャッシュ・フロー効率」及び「保険獲得キャッシュ・フローを除く経費率」に変更しました。なお保険獲得キャッシュ・フローとは保険契約群団の獲得増加に直接起因する費用であり主に従来の営業費用に新契約査定に係る費用及びシステムに係る費用を加えたものです

 

b. ソルベンシー・マージン比率

(a) ソルベンシー・マージン(支払い余力)の考え方

 ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株式市場の暴落など、通常の予測の範囲を超えて発生するリスクに対応できる「支払い余力」を有しているかどうかを判断するための経営指標・行政監督上の指標のひとつです。具体的には、純資産などの内部留保と有価証券含み益などの合計(ソルベンシー・マージンの総額=支払い余力)を、定量化した諸リスクの合計額で除して求めます。なお、ソルベンシー・マージン比率が200%以上であれば、行政監督上、健全性についてのひとつの基準を満たしているとされます。

ソルベンシー・マージン比率 =

ソルベンシー・マージン総額

 × 100(%)

リスクの合計額 × 1/2

 

(b) 連結ソルベンシー・マージン比率

 当連結会計年度末のソルベンシー・マージン比率は、2,192.9%となり、支払余力は引き続き高水準を維持しています。

                                   (単位:百万円)

項   目

前連結会計年度末

(2023年3月31日)

当連結会計年度末

(2024年3月31日)

(A) ソルベンシー・マージン総額

31,818

45,669

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資本金等

16,430

86,661

価格変動準備金

124

危険準備金

2,420

異常危険準備金

一般貸倒引当金

(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益(税効果控除前))×90%

(マイナスの場合100%)

△855

△240

土地の含み損益×85%

(マイナスの場合100%)

未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額

全期チルメル式責任準備金相当額超過額

15,679

17,687

負債性資本調達手段等

全期チルメル式責任準備金相当額超過額及び負債性資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額

△1,854

△58,438

控除項目

△124

その他

(B) リスクの合計額

  ※画像省略しています。

2,005

4,165

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保険リスク相当額          R1

1,043

2,357

一般保険リスク相当額        R5

巨大災害リスク相当額        R6

第三分野保険の保険リスク相当額   R8

400

891

少額短期保険業者の保険リスク相当額 R9

予定利率リスク相当額        R2

4

4

最低保証リスク相当額        R7

資産運用リスク相当額        R3

1,266

2,324

経営管理リスク相当額        R4

81

167

(C) ソルベンシー・マージン比率

※画像省略しています。

3,173.1%

2,192.9%

(注) 上記は、保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出

しています。

なお、2023年度末の連結ソルベンシー・マージン比率は、平成23年金融庁告示第23号第1条第2項の

規定に基づき、国際財務報告基準(IFRS)に従って作成した連結財務諸表に基づき算出しています。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険契約資産の増加がマイナスに影響したものの、税引前利益の計上により、6,016百万円の収入(前連結会計年度2,681百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の取得により、3,443百万円の支出(前連結会計年度763百万円の収入)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に公募増資及び第三者割当増資による新株式発行により、9,681百万円の収入(前連結会計年度109百万円の支出)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、24,423百万円(前連結会計年度末12,137百万円)となりました。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。

 当社は、保険料収入を主な資金の源泉としています。また、保険金・給付金の支払いに対応するために必要な一定程度の預貯金を含め、手元流動性を確保したうえで資産運用を行っています。

 当連結会計年度においても、高格付けの事業債などの円金利資産を中心とした運用を継続しました。また、適切なリスク管理のもとで国内外の株式や債券などを対象とした運用を通じて、資産の多様化を行っています。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。

 

(3) 並行開示情報

 当社は、2021年5月に子会社であるライフネットみらい株式会社を設立しましたが、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第5条第2項により、当企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性が乏しいものとして日本基準に準拠して連結財務諸表を作成していませんので、並行開示情報は記載していません。

 

(4) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。

前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 42. 初度適用」に記載のとおりです。

 

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(保険契約資産等)

 日本基準において、保険業法及び保険業法施行規則に基づき、以下の保険契約準備金を積み立てています。

 

・支払備金

 期末時点において支払義務が発生しているもののうち支払いが行われていないもの、又は、まだ支払事由の報告を受けていないものの支払事由が既に発生しているものと認められるものについて保険業法の規定に基づいて算出された金額

 

・責任準備金

 期末時点において、保険契約上の責任が開始している契約について、保険契約に基づく将来の債務の履行に備えるため、算出方法書に記載された方法に従って計算した金額

 責任準備金のうち保険料積立金については、大蔵省告示に定める方式により計算しています。

 責任準備金のうち危険準備金については、保険業法施行規則に基づき、保険契約に基づく将来の債務を確実に履行するため、将来発生が見込まれる危険に備えて、所定の積立基準額以上を繰入計上し、積立限度額の範囲内で積み立てています。

 また、保険契約に再保険契約を付した場合において、支払備金及び責任準備金の積立額のうち、再保険を付した部分に相当する金額を計上しないこととしています。

 IFRSでは、保険契約グループの帳簿価額を、残存カバーに係る負債と発生保険金に係る負債の合計としており、残存カバーに係る負債は、将来の期間において契約に基づき提供されることとなるサービスに係る履行キャッシュ・フロー及び報告日の残存CSMで構成されています。

 発生保険金に係る負債は、まだ支払われていない発生保険金及び費用に係る履行キャッシュ・フローで構成されています。

 また、IFRSでは保険契約に再保険契約を付した場合においても、上記の残存カバーに係る負債と、発生保険金に係る負債について、金額の一部を控除する処理は行っていません。

 日本基準において、再保険貸借は再保険協約に基づき計上しています。

 また、新契約の一部(以下、出再契約)を対象として修正共同保険式再保険を行っており、出再契約にかかる新契約費の一部は再保険収入に含まれる出再手数料として収益計上し、未償却出再手数料として再保険貸に資産計上され、その後一定の期間において費用である再保険料を含む再保険収支に基づいて段階的に償却しています。

 IFRSでは、再保険協約に基づいてカバーを受ける際に、再保険契約グループごとに再保険契約負債を認識し、再保険者から回収した金額若しくは回収見込み額を再保険契約資産として認識しています。

 また、修正共同保険式再保険契約については、IFRS第17号における保険契約の定義を満たさないため、IFRS第9号に基づき会計処理を行っています。

 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、保険契約資産が32,378百万円増加し、保険契約負債が59,783百万円減少し、再保険契約資産が4,126百万円減少し、再保険契約負債が696百万円減少しています。

 

(純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産)

 日本基準において、一部の有価証券を「満期保有目的の債券」へ分類し、償却原価により測定していますが、IFRSでは「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」へ分類し、公正価値にて計上しています。

 また、日本基準において一部の有価証券(金銭の信託において信託財産として運用している有価証券を含む)を「その他有価証券」へ分類し、帳簿価額と公正価値の差額をその他の包括利益に計上していますが、IFRSでは「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」へ分類し、公正価値の変動額を純損益に認識しています。

 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、投資損益が387百万円増加し、その他の包括利益(税効果前)が1,084百万円減少しています。