売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E35610 Japan GAAP

売上高

72.7億 円

前期

64.7億 円

前期比

112.3%

時価総額

83.5億 円

株価

647 (04/26)

発行済株式数

12,909,400

EPS(実績)

42.05 円

PER(実績)

15.39 倍

平均給与

698.2万 円

前期

743.2万 円

前期比

93.9%

平均年齢(勤続年数)

37.7歳(6.7年)

従業員数

136人(連結:174人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社5社の計6社(吸収合併により消滅したRISE Japan㈱については、連結子会社の数に含めておりません。)により構成されており、「人と企業の可能性を広げ、世界を豊かにする」をビジョンに掲げ、社会的に大きな使命を負い、世界的視野で勝ち残りをかけて戦う顧客企業の人材開発・組織開発を長期的に支援することを使命として事業を展開しております。

近年ますますグローバル化が進む中で、各企業においては、競争優位性を確立して持続的に成長するために不可欠な、「人材・組織基盤の強化」と「優れたリーダーの輩出」のニーズがますます高まっていると認識しております。

高まるニーズに対し当社グループでは、企業経営やコンサルティングファームでの経験を有するプロフェッショナルタレントと連携し、その様々な領域の知見を活用して、顧客企業と共に本質的な課題を特定し、事業進化、イノベーション、経営高度化のための人材開発・組織開発を支援しております。

 当社グループは、顧客企業における人と組織に関わるコンサルティングや人材の育成と開発を支援する「人材開発・組織開発事業」と「その他事業」の2事業を以下のビジネスモデルを用いて運営しております。

 

(1)ビジネスモデルと事業の特長

 当社グループは、企業経営において重要度の高い人材開発並びに組織開発の課題解決を、顧客企業との長期間に亘る強固なパートナーシップに基づいて提供しております。

 

①当社のビジネスモデル

当社のビジネスモデルの特長は以下の3点であります。

i.  企業経営並びにコンサルティングファームでの経験を有する独立したプロフェッショナルタレントを中心とした1,500名超(2023年3月末現在の契約人数、うち2023年3月期の稼働人数540名)の講師・コンサルタントのネットワーク

(注)プロフェッショナルタレントである人材開発サービスを提供している企業については、1法人を1名とカウント。

ⅱ. 経営課題に対して自社固有の解を探求し続ける大手企業との長期に亘るパートナーシップ

ⅲ. 定型の人材開発・組織開発プログラムを持たず、プロフェッショナルタレントとの共創によるテーラーメイド型のプログラム提供

 

この特長を活かして、当社グループは、経営的な視点・視座で顧客企業と共にディスカッションを通じて課題を特定し、解決策を顧客企業と共に練り上げ、企画の提案や実行支援を行っております。また、成果を検証し改善策や代替案を提供し続けることで、顧客企業の企業価値向上に貢献していると認識しております。

 

※画像省略しています。

 

 

 

②事業の特長

i.大企業に特化した顧客基盤

   当社グループの取引先は、売上高2,000億円から5,000億円未満の規模を中心とした準大手企業や、複数の事業法人と多くの従業員を国内外拠点に展開し準大手企業以上の売上規模を有する大手企業であり、主要な顧客基盤として日本を代表する大企業との取引関係を有していることが特長であります。

ⅱ.顧客企業との長期に亘る継続取引

 5年以上の継続取引顧客(※)(旧セルムとの取引開始時含む)からの売上は6割を超えております(当社管理システムから2023年3月期実績を集計)。その理由は、顧客企業の経営課題を理解し、解決に向け伴走する存在であると当社グループを捉えていただいているためと認識しております。

(※)継続取引顧客:当年度に当社単体において売上があった顧客のうち、前年度にも売上を計上していた顧客

ⅲ.顧客企業の複数の部門からの取引

 人事部門からの信頼をベースに様々な部門、グループ法人に取引が広がっており、経営企画部門、R&D部門、事業部、グループ関連会社等の人事部門以外とも取引しております。

ⅳ.経営における重要テーマ案件への関与

 主に経営人材育成、ミドルマネジメント革新、理念・ビジョン浸透等、企業経営における重要テーマに関与しております。

ⅴ.顧客と親密な関係を築くための営業体制

 顧客企業との継続取引年数と、多くの部門からの取引関係を維持するために、当社グループの営業担当者は1名につき、平均4〜5社しか担当企業を持たない体制とし、顧客企業との密着度を高めていると認識しております。

ⅵ.プロフェッショナルタレントのネットワーク

 プロフェッショナルタレントのネットワークは、1,500名を超えています。そのうち、コンサルティングファーム出身者、大手企業の人事部門幹部経験者、企業経営経験者が主であります。(当社管理システムから2023年3月期実績を集計)

 

 

(2)主なサービス

 当社グループは、人材開発・組織開発事業とその他事業の2事業を運営しておりますが、当社グループの提供するサービスの内容及び特長は以下のとおりであります。

 

[当社グループの主な役割]

 サービスを提供するにあたり、主として以下のような活動を行っております。まず、顧客情報を概観的に把握するため、ホームページ、新聞等より中期経営計画の概要、社長メッセージ、人事・組織情報を収集・整理いたします。次に、顧客企業の課題特定に向け、当社内において想定される課題の仮説を立てております。そして、顧客企業とのディスカッションを通じて、経営的な視点・視座で課題を特定し、解決策を顧客企業と共に練り上げ、他社事例も踏まえた上でプロフェッショナルタレントとの議論を通じて情報を構造化し、フィットする解決策を提案いたします。受注後は、研修実施に向けて顧客、プロフェッショナルタレントとの詳細なすり合わせを行い、研修実施中は当社が同席し、プロフェッショナルタレントの進め方や受講生の反応等を確認する等品質管理を行うと同時に、更なる顧客理解に努めております。研修実施後は、アンケートや顧客との振り返りミーティングを踏まえて当社がプロフェッショナルタレントにフィードバックを行い、成果を検証し改善策や代替案を提供し続けております。

 
 

 

[人材開発・組織開発事業]

 主なサービスとしては、①次期経営幹部人材を発掘し・育成する「経営塾」、②現役員陣等への経営メンタリング(現役員、並びに次期役員候補者を対象とした外部のプロフェッショナルタレントによるマンツーマンOJT)、③ミドルマネジメント革新、④人材開発体系の構築コンサルティング、⑤経営理念・ビジョン浸透/企業風土改革支援、⑥ASEAN・中国における人材開発・組織開発支援、⑦ファーストキャリア開発事業(内定期間から入社5年目までの体系的な人材開発と人材育成マインドの高い職場風土醸成)、⑧障がい者の雇用・活躍支援等があります。

 

   次期経営幹部人材を発掘し・育成する「経営塾」(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  次期経営幹部人材(顧客企業の各部門、グループ企業、グローバル拠点等からの選出)

ⅱ.背景・目的

  経営リーダーとしての「軸」の開発を通じた経営幹部育成

ⅲ.特長

 個々人の経営人材としての資質の見極め、強み弱みの把握、その後の困難な課題・役割の付与(修羅場ポジション登用 例:事業部門や関連会社等において経営の実経験をさせること)をトータルで支援する、約1年間に亘るトレーニングプログラムであります。現経営陣、社外取締役、当社が選任するプロフェッショナルタレント陣との真剣な対話や議論を通じて、実施しております。また、経営塾終了後は「塾生」による「卒業生ネットワーク」が形成され、組織横断プロジェクト等への選任や変革チーム組成の際に大きな役割を果たすと考えております。

 また当社は、各社固有の課題から、経営環境の変化や経営トップの意向をダイレクトに確認しながら毎年経営塾のプログラムを進化させてまいります。同時に、塾生一人ひとりのアセスメント(能力や適性の評価)や選定への助言まで踏み込んでいくことも顧客に期待されていると考えております。

②   現役員陣等への経営メンタリング(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  現役員や次期役員候補者

ⅱ.背景・目的

  経営者に求められる視野・視点の獲得と意識変革の促進

ⅲ.特長

 プロフェッショナルタレントとの対話を繰り返す中で、経営リーダーとしての意識、言葉、行動について、プロフェッショナルタレントが対象者へ実践的な指導と助言を行うものであります。役員レベルへの登用前後に導入することで、当人のパフォーマンス向上のみならず、事業・組織変革の動きを加速させることができると考えております。

③   ミドルマネジメント革新(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  経営トップ層と現場をつなぐミドルマネジメント層

ⅱ.背景・目的

 事業変革やイノベーションの要請、ダイバーシティの推進、働き方改革等、組織が断続的な変化にさらされる中で成長期待が益々高まっているミドルマネジメント層の育成

ⅲ.特長

 現在では管理職昇格前後の一定期間をマネジメント育成期間と位置付け、集合研修とオンラインのグループで行うコーチング、アセスメント等を組み合わせた、計画的なトレーニングが当社顧客から求められており、この動きは今後大きく広がるものと思われます。経営の一員として高い視座をもって職務にあたる意識の改革、組織能力向上のためのリーダーシップ強化、働く価値観やキャリア観の多様化に対応するピープルマネジメント力(*)等、ミドルマネジメント層の育成目標を各社固有の課題に合わせて定め、テーラーメイドで育成体系とプログラムを立案、実行支援しております。研修を一過性のものに終わらせないために、研修前後や研修期間中に、職場での実践と上司や同僚からのフィードバックを促すプログラムを組み込む工夫もしております。これにより学びと気づきを実践し続ける行動習慣を身につけることがよりできるようになると考えております。また、当社は、経営塾を提供するプロセスの中で、顧客企業の経営トップ層と対話をするため、経営トップ層の持つ問題意識や価値観を理解しやすいと考えております。上述の理解により、最適なプロフェッショナルタレントの選任と効果的なプログラムの設計が可能となり、人材育成の投資対効果を向上できると考えております。

④   人材開発体系の構築コンサルティング(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  主に人事部門、経営戦略部門

ⅱ.背景・目的

 顧客企業の経営理念と戦略に同期した、戦略実行を担う人材を継続的に開発していくための人材開発体系の構築

ⅲ.特長

 顧客企業の中長期的な経営シナリオや事業環境の変化を鑑みて、人材の要件を定義し、開発目標を定め、各種育成施策と投資計画に反映させていくコンサルティングを、当社の組織人材開発コンサルタントが提供いたします。当社の組織人材開発コンサルタントが顧客企業のプロジェクトチームを支援・進行する形で行います。本サービスは、中長期ビジョンの見直し、基本戦略の変更、人事制度の改変等、企業経営の節目にニーズが発生する上に、その提供プロセスにおいて、経営トップとのインタビュー、役員陣のワークショップ、現場へのヒアリング等、多岐に渡る活動を行うため、顧客企業との信頼関係が一気に深まる契機となると当社は考えております。また、本サービスは体系構築から個別の育成施策(研修、アセスメント、メンタリング等)の支援へとつながっていくため、顧客企業との長期的なパートナーシップを更に深め、当社内に知見を蓄え続けていくことができると考えております。

⑤   経営理念・ビジョン浸透/企業風土改革支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象

主に人事部門、経営戦略部門

ⅱ.背景・目的

 組織の一体感、求心力、健全性を高め、顧客企業の経営理念、ビジョン、行動指針(Value)の浸透

ⅲ.特長

 これまで蓄積してきた人材開発・組織開発のノウハウを活かし、経営トップ、事業トップと社員との対話や、現在の組織の状態や職場風土と真摯に向き合う場を設定しております。

 企業のM&A施策に伴う組織再編や経営トップの交代のような大きな経営改革時、及び不祥事発生後のタイミングでのニーズが多く、パートナーシップによる企業理解と信頼をベースに、各社固有の課題に合わせたプログラムの設計を実施しております。

⑥   ASEAN・中国における人材開発・組織開発支援(主要な会社:升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.)

ⅰ.対象

 日本企業のASEAN・中国における現地スタッフ(主に経営幹部クラス)

ⅱ.背景・目的

 人材流動化・人材争奪戦が激しく人材マネジメント課題が多い地域と当社が考えるASEAN・中国における、顧客企業の現地での事業成長と組織発展のためのサポート

ⅲ.特長

 上記の目的のため、現地スタッフを対象として人材開発や、組織風土改革等の組織開発を支援しております。人材開発においては、幹部候補になり得る人材を発掘、戦略策定力やリーダーシップ力を開発するプログラムを提供しております。さらには、「タレントマネジメント(国・地域ごとのリーダー人材の把握、アサインメント、評価、育成の一貫した仕組み)」を支援しております。

 組織開発においては、自社の経営理念や行動指針の浸透と、チームワークによる問題解決の組織風土づくりを支援しております。

 特長としては、以下の3点であると認識しております。

・各国のビジネス環境を理解したプロフェッショナルタレントのネットワークを構築していること

・現地の経営トップとの人脈形成や実践事例共有のための異業種交流ネットワークを構築していること

・現地の実情やリーダーの想いと、日本本社関係者の意図や課題認識の両方を深く理解した日本本社とASEAN及び中国拠点のブリッジパーソン(架け橋となる役割)としての役割を担えていること

⑦   ファーストキャリア開発事業(主要な会社:㈱ファーストキャリア)

ⅰ.対象 

 入社前の内定者から入社後5年目までの若手社員、入社後の一定期間に指導役となる新人メンター、職場のOJTリーダー、新人教育トレーナー

ⅱ.背景・目的

 ファーストキャリア期(入社前の内定から入社後5年目)は、社会人としての基本スタンスを身につけ企業人人生の土台となる重要な時期であるため

ⅲ.特長

ファーストキャリア期における一貫した人材開発体系の構築支援、各種研修プログラムの企画・開発・実行支援、若手層育成に関し支援しております。

⑧   障がい者の雇用・活躍支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象

 人事部門及び障がい者受入部門

ⅱ.背景・目的

 障がい者が活躍できる職域開発、採用、定着支援

ⅲ.特長

 企業における障がい者の雇用・定着・活躍支援を、人材開発と組織開発双方の視点からトータルにアプローチしております。障がい者の個々人の持ち味や能力特性を積極的に活かしていくべく、主に2つのサービスを提供しております。

 [障がい者の人材紹介サービス]

  複数の企業と障がい者が参加する合同面接会を通じて、企業側の職場風土・受け入れ体制と障がい者のパーソナリティ・経験の双方を確認しあう機会を提供し、双方にとって納得感ある人材紹介サービスを提供しております。さらに、就職後の定着支援も行っております。

[障がい者の定着・活躍支援の組織開発サービス]

障がい者の定着に関するアドバイスや、受け入れ側の職場の社員の意識醸成のための研修、障がい者が働きやすい業務設計コンサルティング等、採用後の長期的な定着のためのサービスを提供しております。

 

 

[その他事業]

⑨   その他 

ⅰ.コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業(主要な会社:アリストテレスパートナーズ㈱、HRテック投資事業有限責任組合)

 テクノロジーの進化による生産性向上が進む中、企業の人事部門におけるテクノロジーの導入はまだ始まったばかりと認識しており、成功事例が出てくるのは数年先だと当社グループは考えております。その中でも人材開発・組織開発の分野はまだ実験段階にあると判断しております。そこで当社グループの顧客企業の人材開発・組織開発の投資対効果をより向上させるため、国内外のHRテックベンチャー企業(HRテック:人事領域でのテクノロジー活用)への投資と成長支援を行います。当社グループが持つ豊富な顧客基盤を活かして、従来の当社グループのサービスにHRテックベンチャー企業の技術を加えた新たなソリューションを顧客企業に提供することで新たな収益機会の創出を図っております。

ⅱ.幼児(1~6歳)向けバイリンガル英語教育(以下、幼児向け英語教育事業としております。)事業(主要な会社:RISE Japan㈱)

 未来をつくる子供たちの可能性の最大化を追求し、世界に通用するグローバルリーダー人材の輩出を目指す、バイリンガル教育によるプリスクール、アフタースクール事業を展開しております。幼少期に、バイリンガル教育が施される英語環境でチームワーク等により自分自身の世界を広げるために必要な知識、さらには日本人らしさを学ぶことで、子どもたちの一生の財産となる語学力、思考力、生きる力を養うスクールであります。世界15か国150以上のセンターで幼児対象のインターナショナル・プリスクール(英語幼児園)を展開するRise Global Holdings Ltd. (本店所在地:Dublin, Ireland、代表者:Barry O'Callaghan)のカリキュラム提携により、英語を学ぶのではなく、「英語でサブジェクト(テーマ・科目)を学ぶ」サブジェクト・ベースのプログラムを提供しております。なお、本事業は2020年2月からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響により生徒数が激減し、十分な収益をあげることが難しい状況が続いておりました。これまでの直接対面式を前提とした幼児向け英語教育事業を継続展開していくことは難しく、早期業績の回復見込みが低いことから、㈱セルムはRISE Japan㈱を吸収合併することを2022年11月25日付開催の取締役会にて決議し、2023年3月31日付で本事業の撤退を実施しております。

 

  [事業系統図]

※画像省略しています。

(注) 当社グループでは、顧客企業のニーズに対し、プロフェッショナルタレントと連携して人材開発・組織開発を支援しております。上記のプロフェッショナルタレントには、当社の関連当事者であるウィルコムズ有限会社及び株式会社MBCを含んでおります。

 

23/06/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループは「人と企業の可能性を広げ、世界を豊かにする」をビジョンに掲げ、顧客企業の持続的な戦略課題、組織課題を長期的に支援する事業を展開しております。

当連結会計年度における事業環境としましては、人的資本経営に対する国内企業の関心が高まる中、経営戦略と人材・組織戦略を適合させる重要度が増しております。顧客企業を取り巻く経営環境が複雑化し、人材・組織開発領域におけるソリューションもその環境変化に合わせ、常に進化を要求されています。当社グループでは、企業経営やコンサルティングファームでの経験を有するプロフェッショナルタレントと連携し、様々な領域における知見を活用したテーラーメード型の人材開発・組織開発を支援しております。顧客課題やその背景にある事業課題を解決する際に自社だけのリソース、ノウハウだけで実現しようとせず、常にその実現に近い外部のプロフェッショナルタレントを複数組み合わせることで、昨今複雑化しサービス品質に対する期待が高度化する顧客側の課題に確り応え、信頼を勝ち得ることができております。昨今の日本企業を取り巻く複雑な経営環境は、顧客ごとにカスタマイズ出来る個社固有のテーラーメード型ソリューションを提供できる当社の差別化戦略が活きやすい事業環境であり、当社グループの成長可能性は高まっていると認識しております。

当連結会計年度における、セグメント別の概要は以下のとおりであります。

 

[人材開発・組織開発事業]

ⅰ ㈱セルム、升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.

 当社を中心とした人材開発・組織開発事業においては、コーポレートガバナンスコードの変革を起点とした次世代の経営幹部候補・ミドルマネジメント育成に対する顧客企業側の根強い関心を背景に、個社固有の経営課題に合わせたテーラーメード型の当社ソリューションが顧客企業経営層から高く評価され、当連結会計年度において堅調に推移しました。特に当社の主力顧客である5,000億円以上の売上規模を有する大手顧客市場においては、顧客窓口として人事部のみならず、様々な事業部門と接点を作りながら重層的な取引関係を深耕することが出来ました。

    この結果、売上高は6,155,027千円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。

 

ⅱ ㈱ファーストキャリア(内定者から入社5年目までの若手ビジネスパーソン向け

 ㈱ファーストキャリアにおいても人材開発・組織開発事業と同様、昨今の人的資本経営における関心の高まりを追い風に、企業グループ内で一貫した人材開発方針の構築を志向する顧客企業との取引を伸長し、業績が堅調に推移しました。本領域においては、これまで人員体制の確保が業績成長上の課題であったものの、人員体制の強化が進捗したことで効率的な営業体制・サービス提供体制が当連結会計年度に構築できていることが業績進捗上、大きく寄与しております。

 本領域における売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)は1,050,121千円(前連結会計年度比10.7%増)となりました。

 

 

 

[その他事業]

 幼児向け英語教育事業であるRISE Japan株式会社は、2020年2月からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響により生徒数が激減し、十分な収益をあげることが難しい状況が続いておりました。これまでの直接対面式を前提とした幼児向け英語教育事業を継続展開していくことは難しく、早期業績の回復見込みが低いことから、株式会社セルムはRISE Japan株式会社を吸収合併することを2022年11月25日付開催の取締役会にて決議し、2023年3月31日付で幼児向け英語教育事業の撤退を実施しました。

 この結果、売上高は60,508千円(前連結会計年度比16.8%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は7,265,657千円(前連結会計年度比12.3%増)となりました。

売上総利益は3,757,140千円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。売上原価の大部分は外部のプロフェッショナルタレントへの支払金額となっています。

販売費及び一般管理費は2,820,824千円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。主な内訳は、給料手当等の人件費であります。この結果、営業利益は936,316千円(前連結会計年度比28.4%増)となりました。

営業外収益は、9,990千円(前連結会計年度比35.9%増)となりました。主な内訳は、顧客都合により案件がキャンセルとなった場合等に発生する受取補償金であります。営業外費用は、26,496千円(前連結会計年度比32.0%減)となりました。主な内訳は、自己株式取得費用であります。この結果、経常利益は919,809千円(前連結会計年度比31.9%増)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は542,793千円(前連結会計年度比45.3%増)となりました。

 

②財政状態の状況

  (ⅰ) 資産の部

当連結会計年度末の総資産は5,001,027千円(前連結会計年度末比1,003,946千円減)となりました。流動資産は2,880,023千円(同736,894千円減)となりました。これは、主に自己株式取得に伴う預け金が458,755千円増加した一方で、現金及び預金が1,234,258千円減少したためであります。固定資産は2,121,004千円(同267,051千円減)となりました。これは、主に無形固定資産ののれんを188,227千円償却し減少したためであります。

 

(ⅱ)負債の部

当連結会計年度末の負債合計は1,693,450千円(同375,552千円減)となりました。流動負債は1,607,899千円(同98,523千円減)となりました。これは、主に買掛金が40,996千円、未払費用が61,905千円増加した一方で、未払法人税等が254,394千円減少したためであります。また、固定負債は85,551千円(同277,029千円減)となりました。これは、主に長期借入金の流動負債への振替により241,776千円減少したためであります。

  (ⅲ)純資産の部

当連結会計年度末の純資産は3,307,577千円(同628,394千円減)となりました。これは、主に自己株式の取得により純資産が1,050,845千円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益542,793千円により利益剰余金が増加したためであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,234,258千円減少し、1,698,930千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により獲得した資金は699,735千円(前連結会計年度は1,106,667千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益736,767千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により使用した資金は41,891千円(前連結会計年度は20,895千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出42,138千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動により使用した資金は1,905,635千円(前連結会計年度は908,414千円の獲得)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,062,964千円及び自己株式取得のための預け金の増加による支出458,450千円があったことによるものであります。

 

 (2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。

②受注実績

当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比

(%)

人材開発・組織開発事業

7,205,149

112.2

㈱セルム、升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.

6,155,027

112.5

㈱ファーストキャリア

1,050,121

110.7

その他事業

60,508

116.8

合計

7,265,657

112.3

 

  (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析は、次のとおりであります。

(売上高)

 売上高は、7,265,657千円と前連結会計年度に比べて793,762千円の増加となりました。これは、当社を中心とした人材開発・組織開発事業においては、コーポレートガバナンスコードの変革を起点とした次世代の経営幹部候補・ミドルマネジメント育成に対する顧客企業側の根強い関心を背景に、個社固有の経営課題に合わせたテーラーメード型の当社ソリューションが顧客企業経営層から高く評価され、業績が堅調に推移したことによるものであります。

(売上原価及び売上総利益)

 売上原価は、3,508,516千円と前連結会計年度に比べて377,144千円の増加となりました。売上原価の大部分は外部のプロフェッショナルタレントへの支払金額となっており、売上高の増加に伴い売上原価も増加しました。この結果、売上総利益は3,757,140千円となり、前連結会計年度に比べて416,618千円増加しました。

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

 販売費及び一般管理費は、2,820,824千円と前連結会計年度に比べて209,556千円の増加となりました。これは人件費等が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は936,316千円となり、前連結会計年度と比べて207,062千円の増加となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 営業外収益は、9,990千円と前連結会計年度に比べて2,639千円減少となりました。主な内訳は、顧客都合により案件がキャンセルとなった場合等に発生する受取補償金であります。営業外費用は、26,496千円と前連結会計年度に比べて12,491千円減少となりました。主な内訳は、自己株式取得費用であります。この結果、経常利益は919,809千円となり、前連結会計年度と比べて222,193千円の増加となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は542,793千円となり、前連結会計年度と比べて169,251千円の増加となりました。

 なお、当社グループは持続的な成長を図るためには、健全な収益水準を意識すべきと考えております。当該指標としている連結EBITDAは1,156,765千円(前連結会計年度比22.3%増)となりました。適切な収益性を投資家と共有することで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、借入金の返済、法人税の支払等であります。その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等であります。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④経営成績等に重要な影響を与える要因

 経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご覧ください。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。