売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

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ROA 総資産利益率

総資本回転率

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最終更新:

E30118 IFRS

売上高

32.9億 円

前期

21.5億 円

前期比

153.0%

時価総額

277.6億 円

株価

202 (05/01)

発行済株式数

137,445,809

EPS(実績)

-2.17 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

611.9万 円

前期

616.6万 円

前期比

99.2%

平均年齢(勤続年数)

43.7歳(7.6年)

従業員数

82人(連結:257人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、『人』+『サイバー・フィジカル空間』を一体的に扱う新領域「サイバニクス(人・ロボット・AI/情報系の融合)」を駆使して、誰ひとり取り残さないイノベーションによって人とテクノロジーが共生し相互に支援し合う「テクノピアサポート社会」の実現、ロボット産業、IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による社会変革・産業変革を目指しています。

 

(1) サイバニクス技術による事業分野

 当社グループは、IoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)、ロボット、AIによるサイバニクス技術で医療、福祉、生活、職場、生産を繋ぎ、社会が直面する課題解決を実現する「サイバニクス産業」という人・ロボット・情報系が複合融合した新産業の創出を事業としています。具体的には、現在、下記のような事業を展開しています。

 

① 医療分野向けサイバニックシステム等の研究開発、製造、販売に関する事業

② 福祉分野向けサイバニックシステム等の研究開発、製造、販売に関する事業

③ 生活・職場・生産分野向けサイバニックシステム等の研究開発、製造、販売に関する事業

④ サイバニクス技術を活用したサイバニック治療サービス事業及びトレーニングサービス事業

 

 

(2) 中核技術としてのHAL®の動作原理と制御方法

 HAL®は、人が装着して利用します。HAL®の技術は様々な分野で利用でき、当社グループの事業の中核となるものです。HAL®は、装着者の脳神経系からの動作意思を反映した微弱な生体電位信号(Bio-Electrical Signal:BES)で機能する「サイバニック随意制御系」、姿勢や重心バランス等の装着者の動作情報を人工知能処理し機能する「サイバニック自律制御系」、装着者の人間特性に適応調整される「サイバニックインピーダンス制御系」、及びこれらを組み合わせた「サイバニックハイブリッド制御系」などで構成される革新的サイバニックシステムです。

 人が体を動かそうとする際、その運動意思は微弱なイオン電流の神経系指令信号として、脳、脊髄、運動神経、筋肉へと伝達され、最終的に筋骨格系が動くことになります。その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面にも到達してくるので、これを検出できれば運動意思を捉えたことになります。HAL®はこの微弱な生体電位信号を装着者の皮膚表面に貼付けられたセンサーで検出し、これを活用して機能します。これにより、装着者が身体を動かそうとすると、その運動意思に従ってHAL®が駆動します。HAL®は身体に密着しているため、装着者の意思によって駆動すると同時に、脚などの装着部位を動かすことになり、筋紡錘(※1)からの求心性ニューロン(※2)の信号が感覚神経、脊髄を経て脳に戻る(フィードバックされる)ことになります。更に、このような体内の感覚神経系情報に加え視聴覚情報も脳にフィードバックされることになります。このようにして、「脳→脊髄→運動神経→筋肉→HAL®」、そして、「HAL®→筋紡錘→感覚神経→脊髄→脳」という脳と身体とHAL®との間でインタラクティブなバイオフィードバックが構成されることになります。

 これが基本的な「サイバニック随意制御」であり、機能的に人間とロボットとを一体化させることに成功した新しい制御手法の動作原理の一つです。また、重度の運動機能障害を有する場合、特に、生体電位信号がまだ検出できないような状態では、「サイバニック随意制御」が機能しないため、人間の基本運動パターンや動作メカニズムの解析結果を元に予め準備されたプログラムによってロボットのように動作する「サイバニック自律制御」が機能します。また、HAL®の質量・慣性モーメント・粘性摩擦等の機械インピーダンスを補償し、装着感に関する物理パラメータを任意に調整することができるサイバニックインピーダンス制御も組み込まれています。目的に応じて、これらの制御を自在に組み合わせたサイバニックハイブリッド制御を構成できることがHAL®の大きな特徴です。

 

 

※画像省略しています。

図1 HAL®の動作原理

 

 

※画像省略しています。

図2 HAL®の制御方法

 

※1.筋紡錘

 筋肉の内部の紡錘型の筋繊維にらせん状に巻き付いている感覚受容器です。筋肉の長さや張力に応じて神経伝達物質が生じるため関節の角度や身体の姿勢や筋肉が発揮している力などの身体の内部の感覚を起こします。

 

※2.求心性ニューロン

 末梢の感覚受容器からの刺激を脊髄や脳など中枢に伝達する知覚神経のニューロンです。

HAL®に関する主な学術論文は、下記のとおりです。

(脊髄損傷)

・“Feasibility, safety, and functional outcomes using the neurological controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton (HAL®) following acute incomplete and complete spinal cord injury – Results of 50 patients”The Journal of Spinal Cord Medicine (2023)

・“Feasibility, safety, and functional outcomes using the neurological controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton (HAL®) following acute incomplete and complete spinal cord injury – Results of 50 patients”The Journal of Spinal Cord Medicine (2023)

・“Gait ability required to achieve therapeutic effect in gait and balance function with the voluntary driven exoskeleton in patients with chronic spinal cord injury: a clinical study The International Spinal Cord Society (2019)

・“Functional Outcome of Neurologic―Controlled HAL―Exoskeletal Neurorehabilitation in Chronic Spinal Cord Injury: A Pilot With One Year Treatment and Variable Treatment Frequency” Global Spine Journal (2017)

・“Against the odds: what to expect in rehabilitation of chronic spinal cord injury with a neurologically controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton. A subgroup analysis of 55 patients according to age and lesion level”Neurosurgical Focus (2017)

・“The Effectiveness and Safety of Exoskeletons as Assistive and Rehabilitation Devices in the Treatment of Neurologic Gait Disorders in Patients with Spinal Cord Injury: A Systematic Review” Global Spine Journal (2016)

・“Voluntary driven exoskeleton as a new tool for rehabilitation in chronic spinal cord injury : A pilot study” The Spine Journal (2014)

・“Locomotion training using voluntary driven exoskeleton (HAL) in acute incomplete SCI” Neurology (2014)

 

(脳卒中)

・“Combined therapy using botulinum toxin A and single-joint hybrid assistive limb for upper-limb disability due to spastic hemiplegia”, Journal of the Neurological Sciences (2017)

・“Gait training with Hybrid Assistive Limb enhances the gait functions in subacute stroke patients: A pilot study”, NeuroRehabilitation (2017)

・“Gait training of subacute stroke patients using a hybrid assistive limb: a pilot study” NeuroRehabilitation (2017)

・“Tailor-made rehabilitation approach using multiple types of hybrid assistive limb robots for acute stroke patients: A pilot study”, Assistive Technology (2016)

・“Feasibility and efficacy of high-speed gait training with a voluntary driven exoskeleton robot for gait and balance dysfunction in patients with chronic stroke: nonrandomized pilot study with concurrent control”, International Jounal of Rehabilitation Research (2015)

・“Gait training early after stroke with a new exoskeleton ― the hybrid assistive limb: a study of safety and feasibility” Journal of Neuro Engineering and Rehabilitation (2014)

・“Pilot study of locomotion improvement using hybrid assistive limb in chronic stroke patients” BMC Neurology (2013)

 

(神経・筋難病)

・“Effects of Long-term Hybrid Assistive Limb Use on Gait in Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis”Internal Medicine (2022)

・“Robot-assisted training using hybrid assistive limb ameliorates gait ability in patients with amyotrophic lateral sclerosis”, Journal of Clinical Neuroscience (2022)

・“Cybernic treatment with wearable cyborg Hybrid Assistive Limb (HAL) improves ambulatory function in patients with slowly progressive rare neuromuscular diseases: a multicentre, randomised, controlled crossover trial for efficacy and safety (NCY-3001)”, Orphanet Journal of Rare Diseases (2021)

 

(その他)

・“Biofeedback Core Exercise Using Hybrid Assistive Limb for Physical Frailty Patients With or Without Parkinson's Disease”, Frontiers in Neurology (2020)

・“Feasibility of rehabilitation using the single-joint hybrid assistive limb to facilitate early recovery following total knee arthroplasty: A pilot study”, Assistive Technology (2017)

・“Feasibility of rehabilitation training with a newly developed wearable robot for patients with limited mobility” Archives of Physical Medicine and Rehabilitation (2013)

 

(3) 当社グループ製品の内容

 当社グループでは、多様な分野において製品開発を推進していますが、現時点での当社グループの事業は

HAL®が中心となっています。HAL®は、その使用目的別に、①医療分野での患者の身体機能改善/機能再生を目的としたロボット治療機器、②介護福祉分野での自立支援を目的とした福祉機器や生活支援機器、③介護施設や建設・工場など重作業現場での作業者に対する作業支援機器などとして、人が装着して活用することで様々な用途展開を可能とするものです。HAL®以外には、AIを搭載した搬送ロボットや除菌・清掃ロボット「CL02」を製品化しています。また、心活動、脳活動、体温、SpO2、活動量など様々なヘルスケアデータを日常的に集積・解析・AI処理する超小型バイタルセンサー「Cyvis(サイビス)」シリーズなどの製品化を行っています。

 

(4) 当社グループの事業系統図

 以上に述べた事項を、以下の事業系統図に示します。なお、当社グループのセグメントはロボット関連事業のみの単一セグメントです。

 

※画像省略しています。

 

 

23/06/30

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号、以下、「連結財務諸表規則」)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

(2)経営成績の分析

(%表示は対前期増減率)

 

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

2023年3月期

3,289

52.9

△1,145

53

△298

2022年3月期

2,150

14.7

△878

△389

△498

 

 当社グループは、社会が直面する様々な課題を解決するため、「人」+「サイバー・フィジカル空間」(HCPS:Human-Cyber-Physical Space)を融合する「サイバニクス(人・AIロボット・情報系の融合複合)技術」を駆使して、人とテクノロジーが共生し相互に支援し合う「テクノ・ピアサポート社会」の実現、ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による未来開拓を推進しています。

 

 当社が目指す「テクノ・ピアサポート社会」とは、人とテクノロジーが共生し相互に支援し合うことにより、高齢になっても健康が維持・管理され、長く培ってきた能力を思う存分発揮できる社会であり、疾患・事故・加齢により身体状態が低下し、障がいを抱えたとしても、より心身の自立度を高く保ち、より自由度の高い生活を送ることのできる社会です。当社グループは、人間の機能改善・再生・拡張・支援が可能なサイバニクス技術の社会実装を事業として推進することにより、「テクノ・ピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出を進めています。

 

 

事業推進の状況

《医療:サイバニクス治療》

 当社グループは、世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療を、グローバルな標準治療として普及させる取り組みを進めています。

 

※画像省略しています。

 

※画像省略しています。

 

(日本)

 医療用HAL®「下肢タイプ」(両脚モデル)については、有効な治療法が確立されていない緩徐進行性の神経筋難病疾患に対する使用成績調査で高い有効性と安全性を示す結果が得られたことを踏まえて、医療用HAL®によるサイバニクス治療の普及に取り組んでいます。令和4年度診療報酬改定において診療報酬点数が増点並びにDPC対象病院(難病医療拠点病院等の約8割)の入院患者に対しても医療用HAL®の診療報酬の出来高算定が認められた一方で、新型コロナウィルス感染症の影響により医療機関への医療用HAL®の導入が一時的に遅れましたが、感染症の収束に伴い新年度(2023年4月)に入って受注は好調に推移しています。

 脊髄疾患に関して、ウィルス性のHTLV-1関連脊髄症(HAM)および遺伝性の痙性対麻痺の2疾患について、2022年10月27日に適応追加の承認を取得し、診療報酬保険適用に係る申請準備を進めています。また、外傷性の脊髄疾患である脊髄損傷については、当局と承認申請方法について協議しています。

 脳卒中に関しては、医療用HAL®「下肢タイプ」(単脚モデル)の医師主導治験について、本治験の評価ポイントとして最重要とされている臨床的な意義と主要評価項目の統計学的有意差について当局と協議する一方で、追加試験の実施も含めて検討しています。なお、本治験の有効性と安全性の評価結果は、諸外国での脳卒中患者に対する医療保険の適用申請にも有用なデータになると考えています。

 また、小児脳性麻痺等に伴う運動姿勢障害を呈する患児の粗大運動能力の向上を目的とする医師主導治験が、2022年1月より筑波大学附属病院を中心に現在進行中です。

 

(米国)

 個人向けの医療サービス事業のプラットフォームとして、子会社のRISEヘルスケアグループ(RHG)社はカリフォルニア州南部で順次拠点を拡大するとともに、2023年2月に同州北部にも進出し、2023年3月31日現在で27拠点(買収時から11拠点増加)を展開しています。当社のHAL®による革新的な医療技術との複合サービスは現在4拠点で展開しており、2023年1月より段階的に正式サービスへの移行を開始しています。

 

(EMEA:欧州や中東)

 2021年度に続いて主要各国でのサイバニクス治療の普及が進んでおり、本年度は新たにトルコでのHAL®シリーズの導入に続き、イタリアの医療介護サービスを専門とする大手社会協同組合Coopselios社にHAL®シリーズ25台を出荷いたしました(2024年3月期の第1四半期より売上を計上予定)。

 ドイツにおいては、公的医療保険の当局であるG-BA(ドイツ連邦共同委員会)が、脊髄損傷に対する公的医療保険適用を前提とした臨床試験の実施を決定しており、2023年3月時点においてプロトコルの準備中です。

 

(APAC:アジア太平洋)

 2022年2月にAPACエリアの事業推進拠点として、マレーシアにCYBERDYNE MALAYSIA社を設立し、東南アジアを中心にインド・オーストラリア・台湾においてサイバニクス治療の普及を加速し、本年度は新たにシンガポール最大の医療機関であるシンガポール総合病院にてサイバニクス治療が開始しました。

 マレーシアにおいては、政府系の従業員社会保障機構(SOCSO)との事業連携が更に強化され、SOCSOの被保険者に対してHAL®によるサイバニクス治療が普及すると共に(2023年3月時点で10施設にHAL®104台を有償レンタル)、2022年6月にSOCSOは東南アジア最大の医療複合施設である「国立神経ロボット・サイバニクスセンター」の建設を開始しました(2024年末頃の竣工予定)。

 また、医療用HAL®単関節タイプにつき、マレーシア・タイ・オーストラリアに続いて、台湾でも医療機器承認が得られました。

 

※画像省略しています。

《介護・自立支援》

 当社グループは、主に高齢者の自立度の改善や重度化防止及び加齢により身体機能が低下するフレイル予防や自立維持に向けて、歩行運動に対応した「下肢タイプ」、肘・膝・足首の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹運動に対応した「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。神奈川県では、2019年の高齢者を対象としたHAL®腰タイプを活用した介護予防プログラムのパイロット研究における良好な結果を踏まえ、2020年からランダム化比較試験を進めるとともに、2022年10月から、神奈川県、神奈川県立保健福祉大学、慶應義塾大学と共同で、同プログラムを介護現場へ実装するための研究を開始しました。

 

(施設型サービスの展開)

 HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促すプログラム「Neuro HALFIT」を提供するロボケア事業は、個人向けの医療ヘルスケアサービス事業のハブ拠点として、当社グループ並びに各地域の事業パートナーとの協働により全国17箇所で展開しており、今後、更なる拠点拡大を計画しています。

※画像省略しています。

 

(個人向け在宅サービス)

 個人向けレンタルとして非接触型の在宅サービス「自宅でNeuro HALFIT」は、訪問型のサービス事業者とも連携して、自宅での機器のセットアップからプログラム実施までの対面サポートも推進しています。

※画像省略しています。

《予防・早期発見》

 心活動、脳活動、体温、SpO2、活動量など様々なヘルスケアデータを日常的に集積・解析・AI処理することで、不整脈や心房細動などのリスクを管理し、心筋梗塞や脳梗塞などを予防することを目的とした超小型バイタルセンサー「Cyvis(サイビス)」シリーズの製品化を進めています。また、「Cyvis」は、睡眠時の呼吸状態の計測というオプション機能も備えており、SAS(睡眠時無呼吸症候群)のリスクを簡便に高精度スクリーニングすることが可能となります。また、2021年8月に睡眠を見える化するヘルスケア・アプリ「熟睡アラーム」を開発・運営するC2社の連結子会社化とともに、当社グループとしてヘルスケア事業の強化を進めています。なお、Cyvisシリーズの初モデル「Cyvis-1」は2022年4月に医療機器届出を行い、同年5月よりユーザー向けに試験提供を開始しています。また次モデル「Cyvis-2」は2023年4月に医療機器認証の申請を行っています。

 

※画像省略しています。

 

 

《生活・職場分野》

(介護支援用途)

 2021年以降、英国ハンプシャー州で進む介護施設等での「HAL®腰タイプ介護・自立支援用」の運用をモデルケースとして、同州と協力して英国の他のエリアや欧州各国への展開を進めてまいります。

 

(作業支援、除菌・清掃用途)

 世界最高水準のSLAM技術による高速自律走行を実現した次世代型清掃ロボット「CL02」は、エレベーター自動昇降やクラウド連携等によるビルのスマート化と管理コスト削減を実現すべく、ゼネコン等と協力してオフィスビルを中心に導入を進めています。また、モビリティ用途を拡張して、工場内での搬送ロボットとしても稼働しています。

 

 

 

※画像省略しています。

 

 

研究・製品開発の状況

 造影剤不要・非侵襲で末梢の血管や血液の高解像度3Dイメージングをリアルタイムに実現するLED光源方式(当社保有特許)の光音響イメージング装置「Acoustic X」は、次世代の医療用画像診断装置としての医療機器化を進めています。また、海外の著名な医療機関や研究施設においても、様々な適用に向けて研究が進められています。

 また、当社グループは、高齢者や障がい者向けの自立支援ロボットとして、歩行機能を維持向上するための薄型HAL、バイタル・環境情報を取得しつつ会話機能を備えてADL(日常生活動作)を維持向上するための見守り・コミュニケーションロボット、歩行困難な方のためのパーソナルモビリティロボットなどの研究開発を進めています。

 なお、川崎市の殿町国際戦略拠点(キングスカイフロント)において、HAL®等のサイバニクス治療と再生医療・創薬の新たな医療技術の開発を推進するサイバニクス・メディカル・イノベーションベースA棟が竣工し、2023年1月よりパートナー企業の入居が進んでいます。

 

※画像省略しています。

 

※画像省略しています。

 

製品稼働状況について

 医療用HAL®下肢タイプは、主にAPAC向けレンタルの増台により、2023年3月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて442台(内、国内レンタル契約84台)が稼働中です。HAL®単関節タイプは、医療用の増加により、 2023年3月末時点で584台が稼働中です。HAL®福祉用等の下肢タイプは、2023年3月末時点の稼働台数は351台となっています。また、HAL®腰タイプ介護・自立支援用は、2023年3月末時点で1,138台が稼働中です。HAL®腰タイプ作業支援用は、2023年3月末時点の稼働台数は419台となっています。また、清掃ロボット及び搬送ロボットは、2023年3月末時点において164台が稼働中です。

 

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は、海外向けHAL等のレンタル売上及び新型コロナウイルス感染症の影響からの回復と米国拠点の獲得によるサービス売上の増加により、3,289百万円(前年同期比52.9%増加)を計上しました。売上総利益は1,791百万円(同22.5%増加)となりました。

 研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及び受託研究事業の実施により735百万円(同3.1%増加)を計上、その他の販売費及び一般管理費はM&Aの影響により2,406百万円(同33.9%増加)を計上しました。

 その他の収益は、受託研究事業収入などにより212百万円(同21.0%増加)を計上、その他の費用8百万円(同38.5%増加)を計上した結果、営業損失は1,145百万円(同30.5%増加)を計上しました。

 また、金融収益は投資有価証券評価益などにより1,312百万円、CEJファンドに係る損益274百万円、法人所得税費用は繰延税金費用などにより446百万円等を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は298百万円(同40.2%減少)を計上しています。

 

 

 なお、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行なっており、当該非上場株式についてIFRS第9号「金融商品」に基づき公正価値を算定しています。当連結会計年度において、公正価値を算定した結果、投資有価証券評価益1,871百万円を「金融収益」及び「CEJファンドに係る損益」に、投資有価証券評価損624百万円を「金融費用」及び「CEJファンドに係る損益」に含めて計上しました。また、当該評価に関する繰延税金費用641百万円を「法人所得税費用」として計上、CEJファンドの外部投資家持分への振替額23百万円を計上した結果、「当期利益」に与える影響額は630百万円となります。

 

(3)財政状態の分析

① 資産

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比720百万円増加し、50,187百万円となりました。これは主として、その他の金融資産(流動)が5,644百万円、持分法で会計処理されている投資が195百万円、その他の流動資産が148百万円減少したものの、その他の金融資産(非流動)が4,070百万円、現金及び現金同等物が2,124百万円、のれんが461百万円増加したことによるものです。

 

② 負債

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比2,188百万円増加し、8,204百万円となりました。これは主として、CEJファンドにおける外部投資家持分が1,163百万円、繰延税金負債が537百万円、営業債務及びその他の債務が273百万円増加したことによるものです。

 

③ 資本

当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末比1,467百万円減少し、41,983百万円となりました。これは主として、自己株式が1,188百万円増加したことによるものです。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,124百万円増加し7,801百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、143百万円の資金流出(前連結会計年度は564百万円の資金流出)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費を627百万円計上したものの、金融収益を1,312百万円、営業債権及びその他の債権の増加額による資金流出275百万円、CEJファンドに係る損益274百万円を計上したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,173百万円の資金流入(前連結会計年度は1,788百万円の資金流出)となりました。これは主に、投資の取得による支出15,000百万円、定期預金の預入による支出2,000百万円、投資有価証券の取得による支出3,309百万円を計上したものの、投資の償還による収入18,000百万円、定期預金の払戻による収入4,500百万円を計上したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、14百万円の資金流入(前連結会計年度は1,248百万円の資金流入)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,188百万円を計上したものの、CEJファンドにおける外部投資家からの払込による収入1,380百万円を計上したことによるものです。

(5)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ロボット関連事業

250

97.1

合計

250

97.1

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績は記載していません。

2.金額は、製造原価及び自社製作資産により表示しています。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

ロボット関連事業

3,943

158.7

92

33.5

合計

3,943

158.7

92

33.5

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の受注実績は記載していません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ロボット関連事業

3,289

152.9

合計

3,289

152.9

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記載していません。

2.外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 経営成績に重要な影響を与える要因について

 本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、現在、運転資金及び開発投資等の資金需要に対しましては、自己資金を充当することを基本としています。当連結会計年度末時点において、事業活動の維持に必要な手元資金を保有しており、充分な流動性を確保していると考えています。

 

③ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めています。具体的には本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

④ 経営上の重要な非財務指標

 当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。

 当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上されるため、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれます。

 当社グループは、恒常的な業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。

 

(単位:台)

稼働台数

2019年3月末

 

2020年3月末

 

2021年3月末

 

2022年3月末

 

2023年3月末

HAL®医療用

(下肢タイプ)

291

 

310

 

351

 

368

 

442

HAL®福祉用等

(下肢タイプ)

357

 

357

 

342

 

341

 

351

HAL®単関節タイプ

252

 

300

 

391

 

492

 

584

HAL®腰タイプ

自立支援用及び

介護支援用

919

 

951

 

1,074

 

1,143

 

1,138

HAL®腰タイプ

作業支援用

572

 

624

 

459

 

417

 

419

清掃ロボット及び

搬送ロボット

44

 

75

 

141

 

147

 

164

合計

2,435

 

2,617

 

2,758

 

2,908

 

3,098