株式会社ブシロード

上場日 (2019-07-29)  その他製品娯楽用品グロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E35004 Japan GAAP

売上高

488.0億 円

前期

419.7億 円

前期比

116.3%

時価総額

262.4億 円

株価

368 (04/25)

発行済株式数

71,308,550

EPS(実績)

28.76 円

PER(実績)

12.80 倍

平均給与

509.4万 円

前期

477.5万 円

前期比

106.7%

平均年齢(勤続年数)

32.0歳(4.2年)

従業員数

242人(連結:590人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、子会社15社及び関連会社1社の合計17社により構成されており、良質なIP(Intellectual Property:知的財産)を開発・取得・発展するIPディベロッパーとして「新時代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションとし、IPを軸に置いて事業を展開しております。

 当社グループはエンターテイメント事業とスポーツ&ヘルスケア事業を報告セグメントとしております。エンターテイメント事業は、TCG(トレーディングカードゲーム)ユニット、デジタルコンテンツユニット、BI(Bushiroad International)ユニット、ライブエンタメユニット、MD(マーチャンダイジング)ユニット、アドユニットの6ユニットで、スポーツ&ヘルスケア事業はスポーツユニットで構成されており、TCGやモバイルゲーム、音楽CD、ライブ、グッズ、書籍など様々なサービス展開(=メディアミックス)をワンストップでタイミングよく提供できる体制を構築しております。この体制によって様々なチャネルからファンを獲得することができ、さらに収益源が多角化する体制であるため、1部門で得られる収益のボラティリティが高くとも他の部門で補えるビジネスモデルとなっております。

 2015年1月に発表した「BanG Dream!(バンドリ!)」は、キャラクターの声を演じる声優が実際に楽器を演奏し、生のライブ活動を行うというユニークな発想を起点として開発したIPであり、こうした音楽活動をはじめ、アニメ、TCG、モバイルゲーム、MDといった様々なメディアミックスと幅広い広告宣伝によって多様なチャネルからファンを獲得しております。収益の面においてもTCGやモバイルゲームのみならず、子会社が担う音楽ソフトやMDの売上が順調に伸びており、IPが発展することによって子会社を含む各部門の成長が牽引されるという当社が理想とするビジネスモデルを体現したIPとなっております。

 2017年4月に発表した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」は、昨今エンタメ業界で話題となっている「2.5次元ミュージカル(2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称)」の多くがアニメのミュージカル化であることに対し、ミュージカルを原点としたアニメとの二層展開式プロジェクトという発想から開発されたIPであり、ミュージカル、アニメともに同一のキャストが演じることがプロジェクトに一体感をもたらし、どちらの入り口からも相乗的にファンを獲得できるIPとなっております。また、こちらも「BanG Dream!(バンドリ!)」同様にIPをさらに発展させるべく、TCGやモバイルゲーム、MDなど様々な展開を実施しております。

 2018年12月に発表した「D4DJ(ディーフォーディージェー)」は、「DJ(ディスクジョッキー)」をテーマに、アニメ・ゲーム・声優によるライブなど様々なメディアミックスを展開し、幅広い層の獲得を目指している新規IPです。キャラクターの声を演じる声優がDJとして、世代を超えた名曲の再生(リミックス)はもちろん、個性溢れるオリジナル曲も展開してまいります。2019年7月に幕張メッセにて「D4DJ 1st LIVE」を開催、また、2020年10月にはモバイルゲーム「D4DJ Groovy Mix」をリリースしております。

 また、創業当初よりIPやメディアミックス展開が幅広く認知されることを重要視しており、屋外広告、TVCM、紙面出稿、SNS、WEB広告などオフライン、オンライン問わず積極的で幅広い広告宣伝施策を展開しております。

 なお、当連結会計年度より、下記の通り報告セグメントを変更しており、前年同期の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

※画像省略しています。

 

当社グループ各社の事業内容とセグメント区分との関連は次のとおりです。

セグメント区分

会社名

事業内容

エンターテイメント事業

㈱ブシロード(当社)

TCGユニット

(TCGの企画、開発、発売)

デジタルコンテンツユニット

(モバイルゲーム及びコンソールゲームの企画、開発)

㈱ブシロードワークス*

TCGユニット

(知的財産権(IP)の創出)

(雑誌・書籍制作)

㈱ブシロードクリエイティブ*

MDユニット

(グッズの企画、開発、発売)

(グッズ販売イベントの企画、運営)

㈱ブシロードムーブ*

アドユニット

(広告代理店)

(イベント制作)

(音響・映像制作)

(声優事務所「響」)

 

Bushiroad International Pte. Ltd. *

海外での当社製品の販売

BIユニット

(外国語版TCGの開発、販売)

BIユニット

(モバイルゲームのローカライズ)

Bushiroad USA Inc.

米国での当社製品の販売

㈱ゲームビズ*

アドユニット

(WEBメディア運営事業)

㈱フロントウイングラボ*

デジタルコンテンツユニット

(アニメーション・ビデオグラムソフトウエアの企画、販売)

(モバイルゲーム及びコンソールゲームの企画、開発)

㈱キネマシトラス

アニメーションの制作

㈱ブシロードミュージック*

ライブエンタメユニット

(音楽コンテンツの企画、制作、管理)

(ライブやイベントの制作、運営)

㈱ブシロードミュージック・パブリッシング*

ライブエンタメユニット

(音楽著作物の著作権に関する管理)

(音楽著作物の利用の開発)

(楽譜の出版)

㈱劇団飛行船*

ライブエンタメユニット

(マスクプレイミュージカルの企画・制作・公演事業など)

㈱アルゴナビス*

ライブエンタメユニット

(「from ARGONAVIS」の運営)

スポーツ&ヘルスケア事業

新日本プロレスリング㈱*

スポーツ部門

(プロレスリングの興行)

(グッズの企画、販売)

(映像コンテンツの制作、配信)

(ファンクラブの運営)

New Japan Pro-Wrestling of America Inc. *

スポーツ部門

(北米地域でのプロレスリングの興行)

(北米地域でのグッズの企画、販売)

㈱ブシロードファイト*

スポーツ部門

(女子プロレスリングブランド「スターダム」の事業運営)

㈱ブシロードウェルビー*

スポーツ部門

(健康食玩事業)

*連結子会社

(注)㈱ブシロードクリエイティブは2023年7月3日を効力発生日として簡易新設分割により当社の完全子会社である㈱ブシロードワークスを設立し、知的財産権(IP)の創出及び雑誌・書籍の出版事業を承継させました。

 

1.エンターテイメント事業

 エンターテイメント事業は、TCGユニット、デジタルコンテンツユニット、BI(Bushiroad International)ユニット、ライブエンタメユニット、MDユニット、アドユニットに分かれており、当社と連結子会社の相互作用によって独創性が高いIPを開発(又は良質なIPを取得)し、時代の潮流を読みながら多角的なメディアミックスを行うことでIPを発展させ、事業を拡大しております。

 

 ① TCGユニット

 当社が創業より開発、発売を行っておりますトレーディングカードゲームは、1対1の対面で遊べるアナログゲームであり、現在主に「カードファイト!! ヴァンガード」、「ヴァイスシュヴァルツ」、「ヴァイスシュヴァルツブラウ」、「Re バース for you」、「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」を展開しております。

 このうち「ヴァイスシュヴァルツ」は、自社他社問わずアニメやゲームなど様々な有力IPを取り入れたプラットフォーム型TCGであり、2008年3月の発売以降130を超えるIPに参入いただいております。これは当社が積極的かつ総合的なプロモーションを実現していることから、「ヴァイスシュヴァルツ」への参入が単なる商品化としての側面だけでなく、IP自体のプロモーションに寄与することが1つの要因であり、当社が「協業先から選んでいただけるIPプロデュース会社」であることを意味しています。また、2022年11月には姉妹ブランド「ヴァイスシュヴァルツブラウ」を発売しターゲット層の異なる新規顧客を開拓しております。

 一方で「カードファイト!! ヴァンガード」は、オリジナルIPとしての側面も持つトレーディングカードゲームであり、発売以来国内のTCG市場上位に位置し続けております。また、当社の有力IPの1つとしてアニメやコミック、MD、コンシューマーゲームなど様々な形のメディアミックス展開も盛んに行っております。

 「Reバース for you」は、オリジナルIPとしての側面と有力IPを取り入れるプラットフォームとしての側面の両方をあわせ持つTCGです。オリジナルIPとしてアニメなどを展開しつつ、他社IPを含めたカード商品を発売することで、幅広いユーザー層へのアプローチを継続的に行うことができます。

 また、㈱Cygamesとの共同制作となる「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」を前期より展開しております。

 いずれのトレーディングカードゲームにおいても対戦相手が必要なアナログゲームであるため、販売小売店での大会開催支援や当社主催での大型大会及びイベントの開催などユーザーが遊べる場所の提供をインフラ整備として積極的に行っており、その運営ノウハウが他の部門でも生かされております。

 また、連結子会社㈱ブシロードワークスでは、知的財産権(IP)の創出、WEBコミックサイト「コミックブシロードWEB」の運営及び雑誌「月刊ブシロード」の刊行などを行っており、これらを活用した複合的なプロモーションが可能となっております。

 

 ② デジタルコンテンツユニット

 当社のモバイルゲームはGoogle LLC.及びApple Inc.などが運営するプラットフォームを介しユーザーに無料で提供され、一部アイテムを購入する際に課金される課金型のビジネスモデルを導入しており、当連結会計年度末日時点で「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」「D4DJ Groovy Mix」など自社IPを題材としたタイトルや「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!」「新テニスの王子様 RisingBeat」など他社IPを題材としたタイトルなど、主にIPを中心としたタイトルを提供しております。

 当事業において提供しているタイトルはすべて外部のパートナー会社と共同で展開をしているものであり、その収益モデルは(①自社配信)当社がゲームの企画、製作、宣伝、配信を行って課金収入を得、外部のパートナー会社に開発及び運営を外注又は委託するケース、(②他社配信)当社がゲームの企画、製作、宣伝を、プロジェクトパートナー会社が開発、運営、配信を担い、収益は一定割合で分配するケースの2通りに分けられます。現在の主力タイトルである「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!」「D4DJ Groovy Mix」は(①)、「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」はいずれも(②)の収益モデルに該当しております。

 海外展開においてはパートナー会社と協力しながら、グローバル版(英語)、繁体字版、簡体字版、韓国語版をメインに展開しております。

 また、新たな収益の柱としてコンソールゲーム事業に本格参入しており、2022年9月に「新テニスの王子様 LET’S GO!! DailyLife from Risingbeat 」、2022年11月に「カードファイト!! ヴァンガード ディアデイズ」を発売しています。今後もNintendo Switch™/PlayStation®/STEAM®など、マルチプラットフォーム戦略でグローバルな展開をし、新規タイトル・アーカイブ売上とのポートフォリオ構築により安定収益を確保していきます。

 連結子会社㈱フロントウイングラボでは、オリジナルアニメーション制作及びプロデュース業務やオリジナルゲームの開発を行っております。

(注)Nintendo Switchは、任天堂㈱の商標です。PlayStationは、㈱ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標または商標です。STEAMは、米国及びまたはその他の国の Valve Corporation の商標及びまたは登録商標です。

 

 ③ BI(Bushiroad International)ユニット

 BIユニットは、連結子会社Bushiroad International Pte. Ltd.及び持分法適用子会社Bushiroad USA Inc.において、TCGユニットとデジタルコンテンツユニットの海外展開を行っております。

 各TCGの日本語版の輸出や英語版の発売の他、「カードファイト!! ヴァンガード」ではイタリア語、タイ語、韓国語などでもローカライズ(翻訳、仕様変更など)を行っており、当連結会計年度末時点では海外60カ国以上で発売しております。海外での主催大会においても、米国やフランス、ドイツ、シンガポール、中国、タイなど世界20カ国以上で毎年開催するなど意欲的に展開を進めております。また、国際展示会「2023 BUSHIROAD EXPO ASIA」の開催や、英語版「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」の全世界講習会の実施などグローバルなインフラ整備を積極的に行っております。

 

 ④ ライブエンタメユニット

 ライブエンタメユニットは、連結子会社㈱ブシロードミュージック、連結子会社㈱ブシロードミュージック・パブリッシング、連結子会社㈱劇団飛行船及び連結子会社㈱アルゴナビスにて展開しております。

 ㈱ブシロードミュージックでは、自社IPを中心に、音楽ソフトの販売や楽曲の権利開発、ライブやイベント運営などを行っております。また、それらの音楽ソフトやライブは、同じく連結子会社の㈱ブシロードムーブが運営する声優事務所「響-HiBiKi-」に所属する声優を中心に展開しているため、他社では模倣する事が困難なフットワークの軽さによって良質なパフォーマンスを実現しており、多くのユーザーから支持を頂いております。

 ㈱ブシロードミュージック・パブリッシングでは、当社グループを中心とした法人の音楽著作権の管理と使用促進を行っております。

 ㈱劇団飛行船は、50年以上にわたってマスクプレイミュージカル(ぬいぐるみ舞台劇)の上演を行ってきており、その舞台表現技術は国内外で高い評価を受けております。また、IPプロデュースにおいて重要な役割を持つ「舞台」の機能として、キャラクターミュージカルや2.5次元ミュージカルの分野にも力を入れております。

 また、㈱アルゴナビスは、当社IP「from ARGONAVIS(フロム アルゴナビス)」を軸足にメディア展開する事業を展開しております。男性声優バンドによるライブ活動から、音楽ソフト・配信、舞台、映像、グッズ、ゲーム等のメディアミックス展開をしております。

 

 ⑤ MDユニット

 MDユニットは連結子会社㈱ブシロードクリエイティブにて展開しており、自社や他社の有力IPを用いたグッズの企画・制作・販売を行っております。販売チャネルは全国にあるアニメショップなどでの一般流通のほか、全国のカプセル玩具自動販売機向けの販売や、アミューズメント施設向け景品の商品化も行っております。IPのファンが集うイベント会場や商業施設での期間限定ポップアップストアなどコアなファンに向けた商品展開にも積極的に取り組んでおり、IPに対するユーザーのロイヤリティをさらに高める役割を果たしております。また、カプセルトイブランド「TAMA-KYU (たまきゅう)」など独創性のある新事業の展開にも積極的に取り組んでおります。

 また、これらのMDやライブエンタメユニットの音楽ソフトなどを取り扱うオンラインショップ「ブシロードオンラインストア」を運営しております。

 なお、㈱ブシロードクリエイティブは2023年7月3日を効力発生日として簡易新設分割により当社の完全子会社である㈱ブシロードワークスを設立し、知的財産権(IP)の創出及び雑誌・書籍の出版事業を承継させました。

 

 ⑥ アドユニット

 アドユニットは連結子会社㈱ブシロードムーブにて展開しており、広告代理店事業・イベント制作・音響映像制作を、当社グループ向け・他社向けの両軸で行っております。また、声優事務所「響-HiBiKi-」での所属声優のマネージメントの他、WEBラジオの配信プラットフォームである「響 -HiBiKi Radio Station-」及びYouTubeチャンネル「HiBiKi StYle」を運営しており、自社、他社問わず有力IPのWEBラジオや所属声優による配信を行っております。

 この他、連結子会社㈱ゲームビズでは、ゲーム業界ニュースサイト「gamebiz」の運営を行っております。

 

 

2.スポーツ&ヘルスケア事業

 スポーツユニット

 スポーツユニットは、連結子会社新日本プロレスリング㈱、連結子会社㈱ブシロードファイト及び連結子会社㈱ブシロードウェルビーにて展開しております。

 新日本プロレスリング㈱は、1972年に旗揚げした歴史あるプロレス興行会社であり、年間およそ160試合を開催し、延べ約40万人を動員しております。また、北米を中心とした海外での興行にも注力しており、2019年4月に開催された米国ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン大会では、米国の団体ROHとの合同興行で16,534名の観衆を集めました。また、2019年11月には新日本プロレスリング㈱の100%子会社としてNew Japan Pro-Wrestling of America Inc.を米国のカリフォルニア州に設立いたしました。

 このような興行のほか、選手や団体名に関連するモチーフを使用したアパレルや雑貨などグッズの企画・販売・直営ECサイト「闘魂SHOP」の運営、㈱テレビ朝日との共同事業である月額動画配信サービス「新日本プロレスワールド」(有料会員約100,000名)の配信を行っております。主要大会の生中継や過去の名勝負など現在から過去まで豊富な映像資産は今後の海外展開においてもファン獲得の肝であり、外国語実況及び字幕をつけるなど海外の視聴者にも向けたコンテンツ作りへより一層注力し、さらなる海外ファンの掘り起こしを促進しております。

 ㈱ブシロードファイトでは、2011年に旗揚げし、2019年に当社グループに所属した女子プロレス団体「スターダム」を運営しており、年間およそ90試合を開催しております。

 ㈱ブシロードウェルビーは、健康食玩事業を行っており「新日本プロテイン」「ヴァイスシュヴァルツカード付プロテインバー」といった自社IPとプロテインを掛け合せた新しい業態の開発によるサービス拡充を目指しております。なお、2023年6月30日付で同社が行っていたフィットネスクラブ事業を会社分割(新設分割)により新設会社に承継させたうえで、新設会社の株式を大場隆志氏に譲渡しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。

 

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

23/09/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当社グループは、当連結会計年度よりセグメント区分を変更しており、以下の前年同期比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

 ① 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は46,335,845千円となり、前連結会計年度末に比べ2,614,832千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が497,430千円減少した一方、売掛金が932,064千円、商品及び製品が452,788千円、投資有価証券が1,861,044千円それぞれ増加したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は23,936,537千円となり、前連結会計年度末に比べ3,591,656千円減少いたしました。これは主に未払法人税等が443,181千円、長期借入金が688,700千円、転換社債型新株予約権付社債が4,000,000千円減少した一方、社債が1,400,000千円、一年以内償還予定社債が400,000千円増加したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は22,399,308千円となり、前連結会計年度末に比べ6,206,489千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が2,050,725千円、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ2,031,810千円増加したことによるものであります。

 また自己株式の消却により利益剰余金が2,325,717千円減少し、自己株式が2,325,717千円減少(株主資本の増加)しております。

 

 ② 経営成績の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や水際対策の緩和をうけ、個人消費を中心に緩やかに回復したものの、世界的なインフレや金融引き締め、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格の高騰及び為替相場の変動などを背景とした国内景気への影響が懸念され、依然として先行き不透明な情勢が継続しております。

 このような環境の中、当社グループは「IPディベロッパー」戦略のもと、TCG(トレーディングカードゲーム)を柱とし、グローバル展開を引き続き推進してまいりました。2023年6月30日に、㈱Cygamesとの共同制作であるTCG「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」の英語版を発売し、同時期に北米・アジア・ヨーロッパなど全世界へスタッフを派遣して延べ300回以上の講習会ツアーを開始いたしました。6月開催分については想定を上回る参加者数となっており、非常に好調な立ち上がりとなっております。TCGの世界展開を複数成功させた企業はほぼ例が無く、当社TCGのグローバル展開は順調に進行しております。

 その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高48,799,238千円(前年同期比16.3%増)、営業利益3,385,981千円(同0.1%減)、経常利益4,503,590千円(同11.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,050,725千円(同41.5%減)となりました。

 各セグメントの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

 

 なお、当連結会計年度より、下記の通り報告セグメントを変更しており、前年同期の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

※画像省略しています。

 

1.エンターテイメント事業

①TCG(トレーディングカードゲーム)ユニット

 「ヴァイスシュヴァルツ」は2022年11月に姉妹ブランド「ヴァイスシュヴァルツブラウ」を発売、2023年3月には15周年を迎えるなど、歴史あるキャラクターカードゲームとして確固たる地位を確立しつつあり、「ホロライブプロダクション Vol.2」「Disney100」など世界的IPの商品を多数発売し、過去最高売上を達成しました。「カードファイト!! ヴァンガード」はアニメ「カードファイト!! ヴァンガード will+Dress」が2022年7月より放送開始し、2023年1月には再放送を含め2025年12月まで継続したアニメの制作を発表するなど、オリジナルIPとして展開をさらに拡大しております。また、「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」は今期より通年での売上寄与となり、TCGユニットの売上拡大に貢献しました。

 ヴァイスシュヴァルツのプラットフォームとしての成長、新規タイトルの順調な立ち上がりや国内外のTCG市場の伸長により、TCGユニットの当連結会計年度の売上は前期に続き過去最高を更新しました。

②デジタルコンテンツユニット

 モバイルゲームでは「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」が2023年3月にリリース6周年を迎え超大型アップデートの実施をし、2023年4月に「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!」をリリースする一方で、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」や「ヴァンガード ZERO」がサービス終了となりました。依然として厳しい状況が続くなか、運営タイトルや収益構造の見直しをするとともに自社IPタイトルを中心にコンテンツの再燃に注力しております。

 また、コンソールゲームでは2022年11月発売の「カードファイト!! ヴァンガード ディアデイズ」を含む複数タイトルを発売し、新たな収益の柱として順調な立ち上がりを見せております。

 複数の新規タイトルのリリースがあったものの、既存タイトルの売上低迷やサービス終了、未リリースタイトルの開発費の計上などもあり、デジタルコンテンツユニットとしては軟調に推移しました。

③BI(Bushiroad International)ユニット

 BIユニットはTCGユニットとデジタルコンテンツユニットに重複して属しております。

 TCGにおいては、前々期から大きく伸長した前期と同等以上の売上水準を維持しており、新たに英語版「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」を2023年6月に発売いたしました。

 デジタルコンテンツでは、日本国内と同様に英語版「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」英語版「ヴァンガード ZERO」がサービス終了となりました。

 また、全アジア6都市で予定されている国際展示会「2023 BUSHIROAD EXPO ASIA」の開催や、英語版「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」発売に合わせた全世界講習会の実施開始など、グローバルにブシロードの存在感をアピールいたしました。

 

④ライブエンタメユニット

 ㈱ブシロードミュージックでは、ベルーナドームにて2022年11月12日に2年越しとなる「BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022」を、11月13日には「ブシロード15周年記念ライブ」を開催しました。さらに、翌年2023年には、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて、5月27日に「BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2023」、5月28日にRAISE A SUILEN LIVE 2023「EXCLAMATION HIGHLAND」など、期を通してライブイベントを多数開催しました。

 音楽・映像ソフトにおいては、他社IPの商品も含め、堅調に推移いたしました。

 ㈱劇団飛行船では、飛行船シアターにて2023年6月7日より「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Rebellion」を主催するなど、公演数が増えております。

 前年度まで新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受けておりましたが、ライブイベントの動員数も徐々に戻り、回復の兆しが見えております。

⑤MD(マーチャンダイジング)ユニット

 MD事業では、当第4四半期連結会計期間において「ヘブンバーンズレッドキャンペーン in GiGO」や「映画 五等分の花嫁コラボカフェ&グッズフェア」など催事・フェア販売が好調の上、カプセルトイでも「おぱんちゅうさぎ」や「ぴちぴちピッチ」などのヒット商品が支えとなり売上は好調、利益面も回復傾向となっております。

 しかしながら、当連結会計年度を通して円安や輸送費・材料費の高騰による影響を大きく受け、軟調な結果となりました。

 2023年4月には、8月より展開するトレーティングフィギュアブランド「PalVerse(パルバース)」の第一弾となる「僕のヒーローアカデミア」シリーズで予約受付を開始し、将来の伸長へ向けた追い風を作っております。

⑥アドユニット

 ㈱ブシロードムーブでは、「hololive SUPER EXPO 2023」や「ジャパンキャンピングカーショー2023」など複数の大型イベントの運営・制作に携わり、代理店事業が好調に推移いたしました。アニメ委員会への出資・参画も積極的に行い、プロモーションや音響等の売上獲得に繋がっております。

 また、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和や5類感染症への移行に伴い、声優事務所「響」に所属する声優の音楽ライブイベント等への稼働が増加いたしました。

 これらの結果、エンターテイメント事業は、売上高41,824,470千円(前年同期比15.0%増)、セグメント利益3,047,844千円(同11.2%減)となりました。

2.スポーツ&ヘルスケア事業

 新日本プロレスリング㈱では、国内の観客動員が引き続き回復傾向にあり、当第4四半期連結会計期間では2023年4月8日に両国国技館で開催した「SAKURA GENESIS 2023」、2023年5月3日に福岡国際センターで開催した「レスリングどんたく 2023」等の動員が好調であったほか、2023年6月26日(日本時間)にカナダオンタリオ州トロントで前年に引き続き2度目の開催となった米国のプロレス団体「All Elite Wrestling」との合同興行「AEW x NJPW: FORBIDDEN DOOR」の収入も、大きく寄与しました。

 女子プロレスブランド「スターダム」では、2023年4月23日に女子プロレス団体としては20年ぶりとなる横浜アリーナでの大会、「ALLSTAR GRAND QUEENDOM 2023」を開催するなどで動員を伸ばし、㈱ブシロードファイトとして当連結会計年度の営業利益は過去最高となりました。

 これらの結果、スポーツ&ヘルスケア事業は、売上高6,974,767千円(前年同期比24.6%増)、セグメント利益338,136千円(前年同期はセグメント損失41,898千円)となりました。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて498,049千円増加し、23,600,926千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,981,493千円となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益3,442,587千円、減価償却費732,603千円、減損損失995,282千円及び助成金の受取額807,397千円であり、主な支出要因は、売上債権の増加額858,327千円及び法人税等の支払額2,338,516千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、2,270,409千円となりました。主な支出要因は、固定資産の取得による支出1,488,312千円及び投資有価証券の取得による支出2,350,481千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、716,637千円となりました。主な収入要因は、長期借入れによる収入4,500,000千円及び社債の発行による収入1,981,693千円であり、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出5,323,036千円であります。

 ④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

前年同期比(%)

エンターテイメント事業(千円)

41,824,470

115.0

スポーツ&ヘルスケア事業(千円)

6,974,767

124.6

合計(千円)

48,799,238

116.3

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来事項に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の分析・②経営成績の分析」をご参照ください。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題意識及び今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であり、事業運営上必要な資本の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としており当連結会計年度末における借入金の残高は、11,689,115千円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。